(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823049
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】リング状フレームを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/30 20060101AFI20210114BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20210114BHJP
【FI】
B29C70/30
C08J5/04
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-509593(P2018-509593)
(86)(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公表番号】特表2018-523601(P2018-523601A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】FR2016052060
(87)【国際公開番号】WO2017029445
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2019年8月1日
(31)【優先権主張番号】1570023
(32)【優先日】2015年8月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518054010
【氏名又は名称】コンセイル エ テクニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランボワ ギー
【審査官】
関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−544676(JP,A)
【文献】
特開2014−083792(JP,A)
【文献】
特表2010−500232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00−70/88
B29B 15/08−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料から作られるリング状フレーム(10)を製造するための方法であって、少なくとも、
−ドライファイバの少なくとも1つの管状ケーシング(9)を、アセンブリ(8)上に滑らせるステップであって、前記アセンブリ(8)が、互いに対して同軸に移動可能であり、その間で外周溝(11)が画定され、前記フレーム(10)の一般平面に配設される、少なくとも2つの同軸サブアセンブリ(81,82)を備え、前記溝(11)の対称面が、前記管状ケーシング(9)に垂直であるステップと、
−前記管状ケーシング(9)の一部分(90)を、前記2つのサブアセンブリ(81,82)の間に設けられる前記溝(11)の中に押込み、前記2つのサブアセンブリ(81,82)を締付けるステップであって、それにより、前記管状ケーシングの前記一部分(90)を前記溝(11)内に保持するステップと、
−前記溝(11)の外側にある前記ケーシング(9)の2つの部分(91,92)を結合し、得られた結合体(93)を前記2つのサブアセンブリ(81,82)の一方の上に折り畳むステップであって、それにより、ドライファイバのプリフォーム(15)を得るステップと、
−樹脂を噴霧する、または樹脂を射出し、その後、前記樹脂の重合を可能にする特別な温度及び圧力条件を適用することによって、前記プリフォーム(15)を固化するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
複合材料から作られるリング状フレーム(10)を製造するための方法であって、少なくとも、
−樹脂で予備含浸されたファイバの少なくとも1つの管状ケーシング(9)を、アセンブリ(8)上に滑らせるステップであって、前記アセンブリ(8)が、互いに対して同軸に移動可能であり、その間で外周溝(11)が画定され、前記フレーム(10)の一般平面に配設される、少なくとも2つの同軸サブアセンブリ(81,82)を備え、前記溝(11)の対称面が、前記管状ケーシング(9)に垂直であるステップと、
−前記管状ケーシング(9)の一部分(90)を、前記2つのサブアセンブリ(81,82)の間に設けられる前記溝(11)の中に押込み、前記2つのサブアセンブリ(81,82)を締付けるステップであって、それにより、前記管状ケーシングの前記一部分(90)を前記溝(11)内に保持するステップと、
−前記溝(11)の外側にある前記ケーシング(9)の2つの部分(91,92)を結合し、得られた結合体(93)を前記2つのサブアセンブリ(81,82)の一方の上に折り畳むステップであって、それにより、予備含浸ファイバのプリフォーム(15)を得るステップと、
−前記樹脂の重合を可能にする特別な温度及び圧力条件を適用することによって、前記プリフォーム(15)を固化するステップと
を含む方法。
【請求項3】
複合材料から作られるリング状フレーム(10)を製造するための方法であって、少なくとも、
−ドライファイバの少なくとも1つの管状ケーシング(9)を、アセンブリ(8)上に滑らせるステップであって、前記アセンブリ(8)が、互いに対して同軸に移動可能であり、その間で外周溝(11)が画定され、前記フレーム(10)の一般平面に配設される、少なくとも2つの同軸サブアセンブリ(81,82)を備え、前記溝(11)の対称面が、前記管状ケーシング(9)に垂直であるステップと、
−前記管状ケーシング(9)の一部分(90)を、前記2つのサブアセンブリ(81,82)の間に設けられる前記溝(11)の中に押込み、前記2つのサブアセンブリ(81,82)を締付けるステップであって、それにより、前記管状ケーシングの前記一部分(90)を前記溝(11)内に保持するステップと、
−前記溝の前記対称面の延長部において、前記溝(11)の外側にある前記ケーシング(9)の2つの部分(91,92)の一方を直立させ、間に角度を形成する前記2つの部分を、ドライファイバを有する材料のストリップ(9’)と結合するステップであって、それにより、ドライファイバのプリフォーム(15)を得るステップと、
−樹脂を噴霧するまたは樹脂を射出し、その後、前記樹脂の重合を可能にする特別な温度及び圧力条件を適用することによって、前記プリフォーム(15)を固化するステップと
を含む方法。
【請求項4】
複合材料から作られるリング状フレーム(10)を製造するための方法であって、少なくとも、
−樹脂で予備含浸されたファイバの少なくとも1つの管状ケーシング(9)を、アセンブリ(8)上に滑らせるステップであって、前記アセンブリ(8)が、互いに対して同軸に移動可能であり、その間で外周溝(11)が画定され、前記フレーム(10)の一般平面に配設される、少なくとも2つの同軸サブアセンブリ(81,82)を備え、前記溝(11)の対称面が、前記管状ケーシング(9)に垂直であるステップと、
−前記管状ケーシング(9)の一部分(90)を、前記2つのサブアセンブリ(81,82)の間に設けられる前記溝(11)の中に押込み、前記2つのサブアセンブリ(81,82)を締付けるステップであって、それにより、前記管状ケーシングの前記一部分(90)を前記溝(11)内に保持するステップと、
−前記溝の前記対称面の延長部において、前記溝(11)の外側にある前記ケーシング(9)の2つの部分(91,92)の一方を直立させ、間に角度を形成する前記2つの部分を、樹脂で予備含浸されたファイバ(9)を有する材料のストリップ(9’)と結合するステップであって、それにより、予備含浸ファイバのプリフォーム(15)を得るステップと、
−前記樹脂の重合を可能にする特別な温度及び圧力条件を適用することによって、前記プリフォーム(15)を固化するステップと
を含む方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のフレーム(10)を製造するための方法であって、前記材料のストリップは、管状ケーシング(9’)からなる方法。
【請求項6】
先行する請求項のいずれか1項記載のフレーム(10)を製造するための方法であって、前記溝(11)の下部(13)は、製造される前記フレーム(10)の内縁の湾曲と同様の湾曲を有する方法。
【請求項7】
先行する請求項のいずれか1項記載のフレーム(10)を製造するための方法であって、前記アセンブリ(8)は、マンドレル(81)及びカウンターマンドレル(82)で構成される方法。
【請求項8】
先行する請求項のいずれか1項記載のフレーム(10)を製造するための方法であって、前記ケーシングは、ループで構成されるワイヤードエレメントを使用して前記溝に押込められ、前記ワイヤードエレメントが前記ケーシングを前記下部に押付けるまで前記溝内で把持される方法。
【請求項9】
先行する請求項のいずれか1項記載のフレーム(10)を製造するための方法であって、複数の管状ケーシング(9)が、前記アセンブリ(8)の上に重ね合わされる方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、合成樹脂マトリックスの、ドライ又は予備含浸された、ファイバに基づく強化材料を含む、複合材料から作られる部品の分野に関する。
【0002】
本発明は、複合環状フレーム、特に、例えば航空機、より詳細には、飛行機の胴体に装備することが意図される丸窓用のフレームを製造する分野において主に適用可能であり、前記胴体は同様に、一般に、複合材料から作られる。
【0003】
航空機ポータルフレームは、伝統的に、丸いまたは好ましくは楕円形状を有し、前記フレームは、単一平面内に含まれない;フレームは、装置の胴体の円筒形状に最もよく適合するように湾曲している。
【0004】
丸窓フレームは、特に飛行機上において、幾つかの機能を果たさなければならない。
【0005】
一方では、丸窓フレームは、装置の胴体に締結されることが意図され、次に、シーリングガスケットを介してポータルが締結されることを可能にすることが意図される。
【0006】
他方では、丸窓フレームは、特に強度及び剛性の点で優れた特性を持たなければならず、また、装置の胴体の内側と外側との間で完全なシールの維持を可能にしなければならない。
【0007】
二次的には、丸窓フレームは、航空機の胴体との或る表面連続性を提供すると、装置の空気力学的及び音響的特性に有利である。更に、丸窓フレームは、丸窓のガラス要素の取付けを容易にする。
【0008】
従って、航空機用のポータルフレームの製造において、或る数の制約に配慮することが必要である。
【0009】
より具体的には、丸窓のフレームと胴体または装置の他の部品との間の界面が存在しなければならない。
【0010】
ポータルフレーム10の1つの例示的な実施形態の斜視図が
図1Aに示される。前記界面は、生じる問題をより容易に理解するため、ポータルフレーム10の断面図を示す添付
図1Bにおいて、影付き灰色で詳細に示される。
【0011】
そのため、例えば、ポータルフレーム10のゾーン1の内側表面は、丸窓のシールと協働することが意図される。
【0012】
ゾーン2のヒール、外側表面は、装置の胴体に関するデッドスペースを制限しなければならず、また同様に、装置の胴体上でのポータルフレーム10の事前位置決めを可能にする。
【0013】
ゾーン3は、航空機の胴体上でポータルフレーム10を締結するためのピアスを受容する。
【0014】
ゾーン4の内側表面は、フレーム10の円筒スカート16の自由端において、丸窓の把持部を支持することを意図される。
【0015】
最後に、ゾーン5の外側表面は、胴体の音響的及び空気力学的特性を保証するために、丸窓と航空機の胴体との間の表面連続性を確保する。
【0016】
複合材料から作られるポータルフレームを製造するため、幾つかのプリフォームを個々に製造することからなる方法が知られている。これらのプリフォームは、次に、集められ、そのアセンブリは、樹脂を射出し硬化させることによって適切なモールド内で固められる。
【0017】
しかし、これらの方法は、多数の工程を有し、実施するのが複雑であるとわかる。更に、種々のプリフォーム間の接合ゾーンは、脆弱性を有する場合がある。
【0018】
国際特許出願WO2013/139714から、繊維強化材を有する複合材料から作られるポータルフレームを製造するための方法が同様に知られている。
【0019】
ポータルフレームは、ここで、その断面が実質的にT状であるプロファイルからなり、また、コア及びベースを画定する、複数のコンカレント方向に延在する3つのウィングを備える。
【0020】
丸窓フレームを得るため、幾つかの工程が実施される。まず、管状繊維プリフォームまたはソックが、編み込み方法を使用して作られる。管状ソックは、次に、平坦化されて、平坦管状バンドを形成し、複数の平坦バンドは、その後、ツールの第1の面に貼り付けられて、丸窓フレームのコアを構成する。
【0021】
第1の予備成形工程によれば、或るストリップの一部分は、ツールの第2の面上に折り畳まれる。第2の予備成形工程において、他のストリップの一部分は、ツールの第3の面上に折り畳まれる。これらの予備成形工程は、フレームのベースの確立を可能にすることを意図され、ベースの確立は、強化折畳みを使用するドレーピング工程によって遂行される。
【0022】
得られる繊維プリフォームは、次に、例えば、樹脂インジェクションまたはインフュージョンによって固められる。
【0023】
しかし、この文献による方法は、幾つかの予備成形工程を含み、また同様に、プリフォームの固化後に得られるフレームの2つの端の間の接合問題を呈する。
【0024】
文献US2012/2225087から、特に、窓フレーム、ホイールリム、または燃焼チャンバを製造するための方法が同様に知られており、その方法は、複雑な管状形状であって、管状形状の長さに沿って幾つかの直径を含む、複雑な管状形状の特別な織り方を必要とする。
【0025】
この方法は、非標準の管状プリフォームを実現及び必要とするために複雑になる。
【0026】
特許文献WO2011/041435は、外側面に真っ直ぐな部分及びいわゆる「ジョグル(joggle)」部分を備える断面形状を有し、航空機の胴体に対してポータルフレームをシールすることを可能にする、航空機用のポータルフレームの製造を記載する。
【0027】
この方法において、初期プリフォームは、平坦であり、また、一端に従来のカーボンファイバを、また、別の端にいわゆる伸張破断カーボンファイバを含む。プリフォームは、モールド内で圧縮されて、所望の形状を与えて最終フレームにする。
【0028】
多数の工程が、この方法では実施されなければならず、そのことが、この方法を複雑にすることをもたらす。更に、この方法を使用すると、断面全体にわたって一定厚さを有する部品を得ることが特に難しい。最後に、得られるプリフォームの2つの端の間の接合の問題が、ここでも生じる。
【0029】
さらに、本出願人は、概して、現在の技術水準で入手可能なポータルフレームのファイバ状内側構造における欠点のうちの幾つかを示してきた。
【0030】
より詳細には、ポータルのジョイントへの近接のために、「接合ゾーン(junction zone)」と呼ばれる表面6において、フレームの断面を採取した後に顕微鏡を使用してファイバの配置を分析すると、かなり急峻な角度ならびに厚さの有意の変動を有する前記ファイバの方向変化の蓄積を示した。
【0031】
結果として、これは、一方では、角度の内部に向かって移動する傾向があるファイバの適切な配置を、また、他方では、外部押圧によるファイバの正しい加圧を、大いに仮説する。
【0032】
更に、表面7または「屈曲ゾーン(bend zone)」において、ファイバの折り畳み問題が生じる。
【0033】
これは、ポータルフレームの機械的特性の実質的な減少、このタイプの部品について満足されなければならない安全性の制約を考慮して解決されなければならない欠点を生じさせる傾向がある。
【0034】
その結果、本発明は、特にファイバの配置に関する、技術水準のポータルフレームで従来から遭遇する問題を解決して、ポータルフレームの機械的特性を改善することを提案する。本発明による方法は、同様に、単一ピースリング状フレームを製造することを可能にし、したがって、接合部における部品の脆弱性に関するいずれの問題も回避する。
【0035】
そのため、本発明は、複合材料から作られるリング状フレームを製造するための方法に関し、方法は、少なくとも、
−ドライファイバの少なくとも1つの管状ケーシングを、アセンブリ上に滑らせるステップであって、前記アセンブリが、互いに対して同軸に移動可能であり、その間で外周溝が画定され、前記フレームの一般平面(general plane)に配設される、少なくとも2つの同軸サブアセンブリを備え、前記溝の対称面が、前記管状ケーシングに垂直であるステップと、
−前記管状ケーシングの一部分を、前記2つのサブアセンブリの間に設けられる前記溝の中に押込み、前記2つのサブアセンブリを締付けるステップであって、それにより、前記管状ケーシングの前記一部分を前記溝内に保持するステップと、
−前記溝の外側にある前記ケーシングの2つの部分を結合し、得られた結合体を前記2つのサブアセンブリの一方の上に折り畳むステップであって、それにより、ドライファイバのプリフォームを得るステップと、
−樹脂を噴霧する、または樹脂を射出し、その後、前記樹脂の重合を可能にする特別な温度及び圧力条件を適用することによって、前記プリフォームを固化するステップと、を含む。
【0036】
本発明は更に、複合材料から作られるリング状フレームを製造するための方法に関し、方法は、少なくとも、
−樹脂で予備含浸されたファイバの少なくとも1つの管状ケーシングを、アセンブリ上に滑らせるステップであって、前記アセンブリが、互いに対して同軸に移動可能であり、その間で外周溝が画定され、前記フレームの一般平面に配設される、少なくとも2つの同軸サブアセンブリを備え、前記溝の対称面が、前記管状ケーシングに垂直であるステップと、
−前記管状ケーシングの一部分を、前記2つのサブアセンブリの間に設けられる前記溝の中に押込み、前記2つのサブアセンブリを締付けるステップであって、それにより、前記管状ケーシングの前記一部分を前記溝内に保持するステップと、
−前記溝の外側にある前記ケーシングの2つの部分を結合し、得られた結合体を前記2つのサブアセンブリの一方の上に折り畳むステップであって、それにより、予備含浸ファイバのプリフォームを得るステップと、
−前記樹脂の重合を可能にする特別な温度及び圧力条件を適用することによって、前記プリフォームを固化するステップとを含む。
【0037】
本発明に係る方法の1つの代替法によれば、溝の外側にあるケーシングの2つの部品を結合するフェーズは、ケーシングの前記2つの部分の一方が、溝の前記対称面の延長部において直立にされ、間に角度を形成する前記2つの部分が、ドライファイバまたは樹脂で予備含浸されたファイバを有する材料のストリップに結合されるフェーズによって置換される。
【0038】
有利には、溝の下部は、製造される前記フレームの内縁と同様の湾曲を有する。
【0039】
本発明の別の詳細によれば、前記アセンブリは、マンドレル及びカウンターマンドレルで構成される。
【0040】
本発明の別の詳細によれば、ケーシングは、ループで構成されるワイヤードエレメントを使用して溝に押込められ、ワイヤードエレメントが前記ケーシングを下部に押付けるまで前記溝内で把持される。
【0041】
興味深いことには、幾つかの管状ケーシングが、前記アセンブリの上に重ね合わされる。
【0042】
本発明は多くの利点を有する。一方では、説明された方法は、単純で、効率的で、また特に、費用効果的である。説明された方法は、より低コストで単一の基本プリフォームを製造することによって、断面全体にわたってほぼ一定の厚さを有するフレームを得ることを可能にする。更に、フレームの厚さは、必要に応じて、ドライファイバまたは予備含浸ファイバを有する複数の管状ケーシングの、重ね合わせを使用して容易に制御され得る。更に、本発明の方法は、液体樹脂を射出する回転成形法と完全に互換性がある。
【0043】
本発明に係る方法はまた、ファイバの配向またはファイバの配向の重ね合わせの維持によって、特に強度及び剛性の点で、特に興味深い機械的特性を有する部品の製造を保証する。
【0044】
別の利点は、この方法を使用すると、プリフォームの内縁が、ファイバを切断することなく作られ、それにより、ポータルフレームと丸窓のジョイントとの間の接合部を形成するシールリップの品質を改善することにある。
【0045】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図を参照して、本発明の非制限的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A-1B】
図1Aは、航空機に装備することが意図されるリング状ポータルフレームの斜視図を概略的に示し、
図1Bは、前記フレームの断面図であり、フレームと装置の他の要素との間の様々な界面を示す。
【
図2A-2B】
図2以降は、本発明の方法において実施される種々の工程の1つの好ましい実施形態を概略的に示し、特に、
図2A及び
図2Bでは、それぞれ、1つのアセンブリにおける2つのサブアセンブリの配置であって、前記2つのサブアセンブリの間に溝を画定し、前記アセンブリ上に編まれたファイバの管状ケーシングを滑らせる配置を示す。
【
図3A-3B】
図3A及び
図3Bでは、前記管状ケーシングの一部分を溝に押込む把持手段を配置すること、及び、把持手段に引張力を加えることによって溝の下部に向かうケーシングの一部分の対称移動を示す。
【
図4A-4C】アセンブリの溝を満たす管状ケーシングの部分の断面図であり、
図4Aでは、前記溝の下部が、製造されるフレームの内部の湾曲と同様の湾曲を有することを示し、
図4Bでは、溝内にない管状ケーシングの2つの部分の結合を示し、
図4Cでは、アセンブリを構成するサブアセンブリの一方、の面の一方に、ツールを使用して管状ケーシングを折畳むことを示す。
【
図5A-5C】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、溝の下部が直線構成であり、特定の湾曲を持たず、異なる断面を有するフレームの製造を可能にする、一つの異なる実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明に係るフレームの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、複合材料から作られる、実質的に丸いまたは好ましくは楕円のリング状フレーム10を製造することを可能にする方法に関し、前記フレーム10は、
図1に示される。
【0048】
好ましくは、本方法の種々の工程を実施することによって得られるリング状フレーム10は、航空機エンジンの胴体、より具体的には更に、飛行機の胴体に装備することが意図され、前記胴体は、有利には次に、複合材料から作られることができる。
【0049】
図2A及び2Bを参照すると、方法の第1の工程において、ソックタイプのファイバの少なくとも1つの管状ケーシング9が、アセンブリ8にスリップオンされ、アセンブリ8は、好ましくは全体的に円筒の形状を有し、少なくとも2つのサブアセンブリ81、82を備える。
【0050】
前記管状ケーシング9は、有利には、編まれたファイバで構成され、ファイバは、例えば、(ドライのまたはポリマー樹脂で予備含浸された)ガラス、ポリアミド、または好ましくは炭素から作られる。
【0051】
編まれた炭素から作られる管状ケーシング9は、前記編まれたものが制御可能な変形可能性を有するため、特に有利である。
【0052】
更に、多くの異なる直径が、製造したいリング状フレーム10の周囲長に応じて商業的に利用可能である。
【0053】
図示しない1つの興味深い実施形態において、
図6に示すように、幾つかの重ね合わされた管状ケーシング9をアセンブリ8の上に滑らせることが考えられる。
【0054】
これは、有利には、課される制約に応じて、製造されるフレーム10の断面の厚さを選択可能にする。更に、それぞれがファイバの特定のまた相補的な配向を有する幾つかの編まれた管状ケーシング9を重ねることが同様に考えられる。
【0055】
管状ケーシング9におけるファイバの配向は、一方では、前記ケーシング9が制約を受ける形状の周囲長、手近な場合、アセンブリ8の周囲長に依存し、他方では、ケーシング9の直径に依存する。
【0056】
その結果、異なる直径を有するケーシング9の細やかな選択は、準等方性の均質アセンブリを得るために、異なるかつ相補的なファイバ配向を有することを可能にする。
【0057】
1つの好ましい実施形態において、アセンブリ8上に少なくとも1つの管状ファイバケーシング9を配置する前に、前記ケーシング9は、ケーシング9が、リング状フレーム10を製造するため適切な長さを有するように切断される。
【0058】
アセンブリ8を構成し、少なくとも管状ケーシング9がスリップオンされる前記2つのサブアセンブリ81、82は、互いに対して移動可能である。一般に、2つのサブアセンブリの一方のサブアセンブリ82は、第2のサブアセンブリ81に対して案内され、第2のサブアセンブリ81は、次に静止したままである。
【0059】
図に示す1つの興味深い例示的な実施形態において、前記2つのサブアセンブリは、マンドレル81及びカウンターマンドレル82からなり、カウンターマンドレル82は前記マンドレル81上で誘導され、管状ケーシング9は、マンドレル81、82の外側表面上に取付けられる。
【0060】
アセンブリ8の全体的な形状が、本方法を使用して製造したいリング状丸窓フレーム10の形状に対応しなければならないことが理解されるであろう。
【0061】
2つのサブアセンブリ81、82、好ましくは、マンドレル81及びカウンターマンドレル82の間で、外周溝11が画定され、外周溝11は、リング状フレーム10の一般平面(general plane)内にあり、外周溝11の対称面は、前記管状ケーシング9がアセンブリ8にスリップオンされるとき、前記管状ケーシング9に対して垂直である。
【0062】
ここで
図3A及び3Bを参照すると、以下の工程は、管状ファイバケーシングの一部分90を溝11の内側に強制的に移動させることからなる。
【0063】
特に好ましくは、この工程は、特に、フィッシングライン型のリンクからなることができる締付け手段12によって実施される。
【0064】
前記締付け手段12は、有利には、管状ケーシング9の外側でかつ実質的に外周溝の対称面内で、円周上に配置される。
【0065】
図3B及び4Bを参照すると、締付け手段12に引張力を加えることによって、管状ケーシング9の一部分90が、溝11の下部13に向かって前記溝11の対称面に対して対称に移動する。
【0066】
特に有利には、サブアセンブリ81、82の間で画定される溝11の下部13は、製造されるフレーム10のそれと同様の形状または湾曲を有する。
【0067】
そのため、
図4A〜4Cに示す実施形態において、溝11の前記下部13は、ポータルフレーム10の接合ゾーン6の断面形状に対応する断面形状を有する。この例は、破線の円及び矢印を使用して
図4Aにより詳細に示される。
【0068】
その後、ファイバケーシング9の一部分90を溝9内に保持できるように、2つのサブアセンブリ81、82、例えば、マンドレル81及びカウンターマンドレル82を把持する。
【0069】
より具体的には、まず、管状ケーシング9の溝11内への移動中に、マンドレル81に対してカウンターマンドレル82のわずかな把持を加えて、前記溝11内に既にあるケーシング11の部分に対する圧力を維持する。この圧力の印加は、ケーシング9の移動にわずかに対抗し、前記ケーシング9の皺を防止するために、前記ケーシング9のファイバの張力を、その整形中に維持することを可能にする。
【0070】
作業の終りに、管状ケーシング9が溝11の下部13に達すると、マンドレル81とカウンターマンドレル82との間の圧力が増加して、管状ケーシング9をその最終状態でブロックし、その後、把持する手段12は、前記手段12がワイヤタイプのリンクからなるとき、例えば、その2つの端の一方の端に引張力を加えることによって取り外される。
【0071】
方法のこの瞬間に、
図4Aに示すように、管状ケーシング9の一部分90は、溝11内で溝11の下部13にトラップされ、一方、前記溝11の外側にある前記ケーシング9の部分が残される。
【0072】
より具体的には、ケーシング9の2つの部分91、92が存在し、管状ケーシングの一番端からなる前記2つの部分91、92のそれぞれは、前記溝11の両側でかつそのそれぞれの側で全体的に対称に延在する。
【0073】
ケーシング9の前記2つの部分91、92は、その後、結合体93になるよう、実質的に溝11の対称面で一緒にされる。この工程は、
図4Bでより具体的に示される。
【0074】
ここで
図4Cを参照すると、得られる前記結合体93は、次に、2つのサブアセンブリ81、82の一方のサブアセンブリの上に折畳まれて、ポータルフレーム10の円筒スカート16を形成する。手近な場合、示される例示的な実施形態において、結合体93は、マンドレル81の外側表面810上に戻される。
【0075】
好ましくは、結合体93は、円筒スカート16の形態にケーシング9を構成するのに適切な形状を有するツール83を使用して折畳まれ、こうして、リング状ポータルフレーム10を得ることを可能にするプリフォーム15に到達する。
【0076】
前記フレーム10の製造を完了させるため、前記プリフォーム15は固化される。
【0077】
プリフォーム15が、ポリマー樹脂で予備含浸された編まれたファイバの少なくとも1つの管状ケーシング9を含むシナリオにおいて、前記プリフォーム15の固化は、前記樹脂の重合を可能にする温度及び圧力条件下での単純な配置によって行われる。
【0078】
プリフォーム15がドライファイバで構成される例示的な実施形態において、ドライファイバは、ポリマー樹脂を噴霧または噴射することによって固化され、その後、前記樹脂を重合可能にする適切な温度及び圧力条件を適用する。
【0079】
例えば、一旦前記ケーシング9がマンドレル81及びカウンターマンドレル82のアセンブリにスリップオンされた後、前記ケーシング9の立体配置(コンフォメーション)工程を実施する前に、管状ケーシング9の外側表面上にエポキシ樹脂スプレーを噴霧することが考えられる。
【0080】
この先行する噴霧作業は、有利には、最終的に得られるプリフォーム15に機械的強度を与えることを可能にし、その機械的強度は、特にマンドレル81及び82を分解するときに、必要に応じて切断作業をするときに、または前記プリフォーム15の成形時の操作をより容易にする。
【0081】
実際には、プリフォーム15を固化するための工程は、モールド内での液体樹脂の低圧射出成形用のプロセスを使用して実施され得る。
【0082】
更に、特に有利には、複合フレーム10の製造を自動化することができるよう、モールド内で直接プリフォーム15を製造することが考えられる。
【0083】
本発明は、航空機、特に飛行機に装備することが意図されるリング状丸窓フレーム10を製造するための1つの好ましい実施形態においてより詳細に述べられた。
【0084】
しかし、ここで述べる方法は、丸窓フレームの製造に限定されるものとして理解される必要はなく、方法はまた、より一般的に、全体的にリング状であり、複合材料の基材で作られるフレームを、非制限的に得るために特に興味深い新しい実施形態を規定する。
【0085】
そのため、
図5A〜5Cは、組みつけられる界面の全てを有する「接合ゾーン(junction zone)」6の特定のコンフォメーションなしの、航空機に装備することが意図されるフレームに比べて、簡略化された断面を有する環状フレームの製造を示す。
【0086】
この実施形態において、溝11の下部13は、前記溝11の残りの部分のように直線構造である。
【0087】
本発明による方法は特に興味深い。その理由は、ファイバの連続管状ケーシング9が使用され、前記ケーシング9が全体的に円筒のマンドレル及びカウンターマンドレルのアセンブリ上で形作られることを考えれば、方法が、制限された数の作業で、かつ、幾つかのプリフォームの間のまたは単一及び同じプリフォームの2つの端の間の接合問題なしで、環状フレーム10を製造することを可能にするからである。
【0088】
ここで
図6を参照すると、異なる断面を有するフレームを製造するための本発明に係る方法の実施、特には、文献WO2013/139714によって包含されるフレーム、すなわちT状のフレームの発明に係る方法の実施を理解することができる。
【0089】
この形状は、ケーシング9を溝11に押込んだ後に、ケーシング9の2つの部分91、92を集合及び結合することによってではなく、一方では、合成樹脂マトリックスでの、ドライのまたは予備含浸されたファイバに基づく強化材料のストリップ9’が前記部分91、92に結合され、他方では、ツール83が、ストリップ9’を部分91、92に同時に押付けている間に、部分92が、他の部分、この場合、部分91と角度を形成するように、1つの部分だけを、この場合、部分92を直立させることによって得られる。そのため、部分91及びそれに結合されるストリップ部分9’は、フレームの残りの部分から突出する外周部分を構成する。
【0090】
有利には、ストリップ9’は、マンドレル81及び部分91にスリップオンされ、部分92に対して半分だけ直立した管状ケーシングからなる。したがって、本発明に係る方法は、接合ゾーンを有さないT状断面を有するフレームを製造可能にする。
【0091】
この
図6において、ケーシング9が第2のケーシング9によってライニングされて、相応してフレームの厚さを増加させることが、既に述べたように留意されるべきである。3つ以上のケーシング9を重ね合わせることが、もちろん可能である。