特許第6823051号(P6823051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823051
(24)【登録日】2021年1月12日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】流体試料分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20210114BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20210114BHJP
   G01N 15/14 20060101ALI20210114BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20210114BHJP
【FI】
   G01N35/08 A
   G01N37/00 101
   G01N15/14 C
   G03B15/00 T
【請求項の数】24
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2018-513925(P2018-513925)
(86)(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公表番号】特表2018-524608(P2018-524608A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】IB2016000782
(87)【国際公開番号】WO2016189381
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年5月15日
(31)【優先権主張番号】14/724,511
(32)【優先日】2015年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517413753
【氏名又は名称】ピクセル メディカル テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PIXCELL MEDICAL TECHNOLOGIES LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ブランスキー,アヴィシャイ
(72)【発明者】
【氏名】シュロモ,リロン
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−006391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象の流体試料を含む試料ホルダを受け取るように構成されたステージと、
前記分析対象流体試料の少なくとも1つの特性を監視するように構成された流体分析器と、
傾斜レールと、を含み、
前記ステージは、前記試料ホルダを、前記流体分析器の分析軸に沿う第1の動き成分と、同時に、前記流体分析器の前記分析軸に垂直な第2の動き成分とによって動かす為に前記傾斜レールに沿って動くように構成されており、前記第1の動き成分は、前記分析対象流体試料の少なくとも1つの構成要素に対する、前記流体分析器の焦点に合わせる、
流体分析システム。
【請求項2】
回転可能なカムシャフトと、前記カムシャフトに関連付けられた1つ以上のカムと、を含む活性化装置を更に含み、前記1つ以上のカムは、前記カムシャフトが回転したときに、前記試料ホルダに関連付けられた流体の少なくとも幾らかの動きを引き起こすように構成されており、前記活性化装置は、前記ステージと機械的に結合されていて、前記傾斜レールに沿って前記ステージと一緒に動く、請求項1に記載の流体分析システム。
【請求項3】
フレームを更に含み、前記流体分析器、及び前記傾斜レールは前記フレームと機械的に結合される、請求項2に記載の流体分析システム。
【請求項4】
前記活性化装置の、前記流体試料を分析の為に調製する動作を制御するようにプログラムされた制御装置を更に含む、請求項2又は3に記載の流体分析システム。
【請求項5】
前記試料ホルダはカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記カートリッジ上で流体導管によってつながれた複数の流体リザーバに関連付けられた少なくとも2つの加圧可能部分を有し、前記流体試料の、分析の為の調製は、前記流体リザーバ間を流体が行ったり来たりするように、前記少なくとも2つの加圧可能部分を前記1つ以上のカムで交互に加圧することを含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項6】
前記流体分析器はカメラを含み、前記焦点は光学的焦点である、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項7】
シャフトを介して前記ステージと結合されたモータを更に含み、前記モータの動作によって、前記ステージが前記傾斜レールに沿って動く、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項8】
前記分析対象流体試料の前記少なくとも1つの構成要素に対して、前記流体分析器の自動焦点合わせを行うようにプログラムされた制御装置を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項9】
前記制御装置が実施する前記自動焦点合わせは、
前記ステージを、前記傾斜レールに沿って複数の異なる位置まで自動的に動かすことと、
前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて、少なくとも1つの焦点品質指標を算出することと、
前記複数の異なる位置における前記算出された焦点品質指標に基づいて、前記傾斜レールに沿う、前記ステージのターゲット位置を特定することと、
前記ステージを前記ターゲット位置まで動かすことと、によって実施される、
請求項8に記載の流体分析システム。
【請求項10】
前記分析対象流体試料の前記少なくとも1つの構成要素は細胞を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項11】
前記細胞は、前記試料ホルダに関連付けられたマイクロチャネル内で単一平面状に粘弾性焦点合わせされた細胞を含む、請求項10に記載の流体分析システム。
【請求項12】
前記1つ以上のカムは、前記試料ホルダに関連付けられた少なくとも1つの流体導管を挟みつぶして閉じる為に、前記少なくとも1つの流体導管に対して圧力を発生させるように構成されている、請求項に記載の流体分析システム。
【請求項13】
前記試料ホルダはマイクロチャネルを含み、前記流体試料の分析時に、前記分析対象流体試料は前記マイクロチャネルに流される、請求項1から12のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項14】
前記流体分析器は、前記粒子及び前記流体試料が、前記試料ホルダ内に配置されたマイクロチャネル内を流れる際に、前記試料ホルダに対する固定位置から、前記分析対象流体試料内の粒子の画像を取得するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の流体分析システム。
【請求項15】
前記粒子は、前記マイクロチャネル内で単一平面状に粘弾性焦点合わせされた粘弾性焦点合わせ済み粒子である、請求項14に記載の流体分析システム。
【請求項16】
流体試料を分析する方法であって、
前記流体試料を含む試料ホルダを、傾斜レールに沿って、前記傾斜レールに沿う複数の異なる位置まで動かすステップであって、前記試料ホルダの前記移動の結果として、前記流体試料の少なくとも1つの特性を監視するように構成された流体分析器の分析軸に沿う、前記試料ホルダの第1の動き成分と、前記分析軸に垂直な、前記試料ホルダの第2の動き成分と、が得られる、前記動かすステップと、
前記傾斜レールに沿う前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて画像を取得するステップと、
前記取得された画像を分析して、前記複数の異なる位置のそれぞれにおける少なくとも1つの焦点品質指標を自動的に算出するステップと、
前記複数の異なる位置における前記算出された焦点品質指標に基づいて、前記傾斜レールに沿う、前記試料ホルダのターゲット位置を特定するステップと、
前記試料ホルダを前記ターゲット位置まで動かすステップと、
前記ターゲット位置において前記流体試料を分析するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記ターゲット位置において1つ以上の画像を取得するステップと、
前記ターゲット位置において取得された前記1つ以上の画像の分析に基づいて、前記流体試料中の細胞数を算出するステップと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体分析器はカメラを含み、前記分析軸は前記カメラの光軸である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
モータの影響下で前記傾斜レールに沿って動くように構成されたステージの上に前記試料ホルダを保持するステップと、
前記ステージと一緒に前記傾斜レールに沿って移動する活性化装置を使用して、前記流体試料を分析の為に調製するステップと、
を更に含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記活性化装置は、回転可能なカムシャフトと、前記カムシャフトに関連付けられた1つ以上のカムと、を含み、前記1つ以上のカムは、前記カムシャフトが回転したときに、前記試料ホルダに関連付けられた流体の少なくとも幾らかの動きを引き起こすように構成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記活性化装置の、前記流体試料を分析の為に調製する動作を制御するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記試料ホルダはカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記カートリッジ上で流体導管によってつながれた複数の流体リザーバに関連付けられた少なくとも2つの加圧可能部分を有し、前記流体試料の、分析の為の調製は、前記流体リザーバ間を流体が行ったり来たりするように、前記少なくとも2つの加圧可能部分を前記1つ以上のカムで交互に加圧することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記試料ホルダはカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記カートリッジ上の複数の流体リザーバに関連付けられた少なくとも2つの加圧可能部分を有し、前記複数の流体リザーバは、流体導管によってつながれており、且つ、もろい封止部で封止された共通流体出口に関連付けられており、前記流体試料の、分析の為の調製は、前記もろい封止部を開いて、流体が前記共通流体出口を通って流れることを可能にするのに十分な圧力を、前記もろい封止部に対して発生させる為に、前記少なくとも2つの加圧可能部分を前記1つ以上のカムで同時に加圧することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ターゲット位置において前記流体試料を分析する前記ステップは、前記試料ホルダに関連付けられたマイクロチャネル内で単一平面状に粘弾性焦点合わせされた細胞の取得された画像に基づいて細胞数を算出することを含む、請求項16から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、流体試料分析システムに関する。幾つかの実施形態は、ポイントオブケア検査(POCT)システムを含んでよく、POCTシステムは、流体試料カートリッジと相互作用する装置と、分析器に対して流体試料の位置を調節する焦点合わせアセンブリと、を含む。
【背景技術】
【0002】
ポイントオブケア検査は、医師の診察室や現場の患者検査室などの、患者治療の現場又はその近くでの医療検査などである。ポイントオブケア検査の重要な利点として、検査(例えば、血液検査など)を現場で素早く実施することが可能である為、患者が現場にいる間に検査結果を取得して評価することが可能である。そのようなポイントオブケア検査であれば、試料を現場外の分析室に送らなくてもよい。試料を現場外の分析室に送ると、一般に検査結果の受け取りが遅くなり、これによって臨床管理上の判断が遅れる可能性がある。
【0003】
POCTシステムは、利便性や検査結果を素早く利用できることに関しては大きな恩恵をもたらしうるが、意味のある情報を提供する為には、これらのシステムは、正確で信頼性の高い検査結果を生成する必要がある。検査結果を現場で素早く利用できることは、便利ではあろうが、間違いが発生しやすい場合や、測定ごとの変動が大きい場合には、臨床的価値がほとんどないであろう。POCTシステムは、多くの場合、分析用試料の採取及び保持に使い捨てエレメントを使用することが前提である。そのような使い捨て用品は、互いにばらつきがある可能性があり、システムを不正確なものにする可能性がある。これは、新たに測定が行われるたびに別の使い捨て用品が投入されることになる為である。そこで、使い捨てエレメントとの相互作用を通じて測定システム及び分析に入り込むばらつきに適応することが可能なPOCT装置が必要とされる。
【0004】
POCTシステムによっては、光学的検査が行われる場合があり、光学的測定値の信号対ノイズ比を高める為の焦点合わせが可能な光学系を含む場合がある。使い捨て装置にばらつきがある場合(例えば、製造のばらつき、分析システム内での使い捨て用品の配置のばらつきなどを通じてばらつきが入り込む場合)、POCTシステムの光学系は、新たな使い捨て用品がシステムに投入されるたびに、或いは測定のタイプによっては測定の途中であっても、焦点合わせが必要になる場合がある。場合によっては、焦点合わせ機構は、非常に正確なステッパ又はアクチュエータシステム(例えば、圧電式システム)を含むことがある。これらのシステムは、所望の正確さを提供しうるが、システムのコスト及び複雑さが増す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は流体分析システムを含んでよく、これは、分析対象の流体試料を含む試料ホルダを受け取るように構成されたステージを含んでよい。流体分析システムは又、分析対象流体試料の少なくとも1つの特性を監視するように構成された流体分析器と、傾斜レールと、を含んでよく、ステージは、試料ホルダを、流体分析器の分析軸に沿う第1の動き成分と、同時に、流体分析器の分析軸に垂直な第2の動き成分とによって動かす為に傾斜レールに沿って動くように構成されており、第1の動き成分は、分析対象流体試料の少なくとも1つの構成要素に対する、流体分析器の焦点に作用する。
【0007】
本開示の別の態様は、流体試料を分析する方法を含んでよい。この方法は、流体試料を含む試料ホルダを、傾斜レールに沿って、傾斜レールに沿う複数の異なる位置まで動かすステップであって、試料ホルダの移動の結果として、流体試料の少なくとも1つの特性を監視するように構成された流体分析器の分析軸に沿う、試料ホルダの第1の動き成分と、分析軸に垂直な、試料ホルダの第2の動き成分と、が得られる、上記動かすステップと、傾斜レールに沿う複数の異なる位置のそれぞれにおいて画像を取得するステップと、取得された画像を分析して、複数の異なる位置のそれぞれにおける少なくとも1つの焦点品質指標を自動的に算出するステップと、複数の異なる位置における算出された焦点品質指標に基づいて、傾斜レールに沿う、試料ホルダのターゲット位置を特定するステップと、試料ホルダをターゲット位置まで動かすステップと、ターゲット位置において流体試料を分析するステップと、を含んでよい。
【0008】
本開示の別の態様は、流体分析システムを含んでよい。流体分析システムは、分析対象の流体試料を含む試料ホルダを受け取るように構成されたステージと、回転可能なカムシャフトと、カムシャフトに関連付けられた1つ以上のカムとを含む活性化装置と、を含んでよい。1つ以上のカムは、カムシャフトが回転したときに、試料ホルダに関連付けられた流体の少なくとも幾らかの動きを引き起こすことと、カムシャフトが回転したときに、試料ホルダ上の2つの流体リザーバに関連付けられた加圧可能部分を交互に加圧することにより、2つの流体リザーバの間で流体を行ったり来たりさせることと、試料ホルダに関連付けられた少なくとも1つの流体導管を挟みつぶして閉じる為に、少なくとも1つの流体導管に対して圧力を発生させることと、を行うように構成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の例示的実施形態による分析システムを概略的に表した図である。
図2】本開示の例示的実施形態による分析システムをブロック図で表した図である。
図3】本開示の例示的実施形態による分析システムから抜き出した内部構成要素を概略側面図で表した図である。
図4】本開示の例示的実施形態によるカートリッジ204を概略的に表した図である。
図5】本開示の例示的実施形態によるカートリッジの一セクションを概略的に示した図である。
図6】本開示の例示的実施形態による封止部を示した図である。
図7】本開示の例示的実施形態による封止部を示した図である。
図8】本開示の例示的実施形態によるカートリッジの一セクションを概略的に示した図である。
図9】本開示の例示的実施形態によるカートリッジの一セクションを概略的に示した図である。
図10A】乃至
図10B】本開示の特定の実施形態による2調製部構成を示す図である。
図11】本開示の例示的実施形態による分析コンパートメントを概略的に示す図である。
図12】本開示の例示的実施形態による分析コンパートメントを概略的に示す図である。
図13】本開示の例示的実施形態による分析コンパートメントを概略的に示す図である。
図14A】乃至
図14B】本開示の例示的実施形態による、調製コンパートメント及び分析コンパートメントを含むカートリッジを示す図である。
図15】本明細書に記載の実施形態による試料採取器を概略的に示す図である。
図16】本開示の例示的実施形態による、剛体フレームを含む、カートリッジの一部分を示す図である。
図17A】本開示の例示的実施形態によるカートリッジを示す図である。
図17B】本開示の例示的実施形態によるカートリッジを示す図である。
図17C】本開示の例示的実施形態によるカートリッジを示す図である。
図18】本開示の例示的実施形態による、分析システムから抜き出した内部構成要素を概略斜視図で表した図である。
図19】本開示の例示的実施形態による活性化装置を概略的に表した図である。
図20】本開示の例示的実施形態によるマルチローブカムを概略的に表した図である。
図21】本開示の例示的実施形態による、カムの回転に対応する定性的圧力図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態は、使い捨てカートリッジ/試料ホルダを受け取って、カートリッジに収容されているか、別の形式でカートリッジに含まれている流体試料の検査を実施することが可能な分析システムを含んでよい。カートリッジは、別々のコンパートメントに保管可能な1つ以上の液体試薬を含んでよい。検査プロセスの間、分析システムは、試薬の流量(例えば、カートリッジの、異なるエリア間の試薬の流量)、及び試薬の混合(例えば、タイプの異なる試薬同士の混合、及び/又は、分析の為の、試薬と1つ以上の試料(例えば、試料流体)との混合)を制御してよい。実施形態によっては、混合及び流量の制御は、試薬又は試料に物理的に接触せずに達成可能である。試料が適切な試薬と混合されて測定の為に調製された後、分析システムは、準備された試料(例えば、流体中に懸濁している細胞)を、試料の分析が実施可能な分析チャンバ(例えば、透明な測定チャンバ)に流入させてよい。場合によっては、分析は、調製済み試料流体中の細胞又は他のタイプの粒子の顕微鏡画像化を含んでよい。この画像化を実施する為に、分析システムは、調製済み試料流体中に懸濁している細胞又は粒子に画像化装置の光学系の焦点が合うように、光学系に対する分析チャンバの位置を調節することが可能である。
【0011】
図1は、本開示の例示的実施形態による分析システム101の概略図である。実施形態によっては、分析システム101は、流体試料を分析するPOCT装置であってよい。分析対象の試料は、集められてカートリッジ204に投入されてよく、カートリッジ204は、分析プロセスの前に分析システム101の受け器11に挿入されてよい。分析の結果は、ディスプレイ13に表示されてよい。分析システム101の操作者が1つ以上の入力装置を介してシステムと対話してよく、これは、例えば、ディスプレイ13がタッチセンサ式装置を含む場合であってよい。他の入出力装置、例えば、キーボード、ポイント装置、音声認識装置などを使用して、操作者に対話機能を提供したり、分析システム101にコマンドを与えたりすることも可能である。
【0012】
図2は、本開示の例示的実施形態による分析システム101に含まれてよい構成要素を示すブロック図である。例えば、分析システム101は、分析システム101の様々な構成要素と直接又は間接的に接続された制御装置20を含んでよい。制御装置20は、メモリ21にアクセスすることが可能であり、ディスプレイ13に文字及び/又は画像を描画することが可能である。場合によっては、ディスプレイ13がタッチセンサ式装置を含んでいれば、制御装置20は、ディスプレイ13に関連付けられたタッチセンサ式装置を介してユーザコマンドを受け取ることが可能である。制御装置20は、入出力(I/O)装置14を介して、ユーザ入力を受け取り、様々なタイプの出力を与えることが可能であり、I/O装置14は、上述のように、様々なキーボード、ポイント装置、音声認識装置などを含んでよい。制御装置20は又、例えば、データバス15を介して、流体分析器22、カートリッジ活性化装置24、及びカートリッジ位置決め装置26に接続されてよい。
【0013】
メモリ21は、任意の好適なタイプのデータ記憶装置を含んでよく、同種又は異種の1つ以上のデータ記憶装置を含んでよい。場合によっては、メモリ21は、揮発性又は不揮発性のメモリ装置を含んでよい。メモリ21は、例えば、RAM、ROM、SRAM、DRAM、PROM、EPROM、EEPROM、磁気コンピュータ可読媒体、光学式コンピュータ可読媒体、フラッシュメモリ、FPGAなどの任意の組み合わせを含んでよい。
【0014】
メモリ21は、制御装置20からアクセス可能な、様々なタイプのデータ及び命令を含んでよい。本開示の目的上、特定のタスク又は機能を実施するように構成又はプログラムされた制御装置への参照は、メモリ21に特定のデータ及び/又は機械可読命令が記憶されていて、制御装置20は、メモリ21に含まれるデータ及び/又は命令にアクセスし、1つ以上の命令を実行することにより、それらの特定のタスク又は機能を実行することが可能であることを示す。場合によっては、メモリ21は、制御装置20とは別個の装置を含んでよい。又、場合によっては、メモリ21は、制御装置20と一体化されてよい。
【0015】
制御装置20は、1つ以上の命令を実行することが可能な任意の好適なロジックベースの装置を含んでよい。例えば、制御装置20は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、CPUなどを含んでよい。制御装置20は、x86又はARMベースの命令、又は他の任意の好適なアーキテクチャからの命令を実行してよい。制御装置20は、単一の集積回路又は処理装置だけを含んでよく、或いは、複数の集積回路又は処理装置を含んでよい。例えば、制御装置20は、1つ以上のアプリケーションプロセッサ、タッチプロセッサ、動き制御装置、ビデオプロセッサなどを含んでよい。
【0016】
制御装置20は、システム101の様々な機能を有してよい。例えば、実施形態によっては、制御装置20は、モータ、照明装置、センサなどの、システム101の様々な構成要素を動作させるか、これと相互作用する電子回路及びロジックを含んでよい。実施形態によっては、そのような構成要素は、試料ホルダの様々な部分への流体の動きを支援するポンプ、圧力計、フォトダイオードセンサ、試料流体に照明を当てるLED、試料流体の画像をキャプチャするカメラ又は他のタイプの画像取得装置を含んでよい。実施形態によっては、制御装置20は、タッチスクリーンやキーボードなどの構成要素と対話するか、これらを制御してもよく、システム101に関連付けられたプロセス又は機能を実施する様々なアルゴリズムを実行してよく、そのようなプロセス又は機能として、特に、自動焦点合わせプロセス、画像取得、取得された試料流体画像の処理、細胞の計数、細胞の分類、試料ホルダ内の試料流体の調製、試料ホルダの、システム101内の適切な分析位置への移動、試料ホルダ内での流体の移動などがある。
【0017】
図3は、分析システム101から抜き出された内部構成要素の概略側面図を示す。例えば、カートリッジ204が、受け器11を介して分析システム101に投入されてよい。実施形態によっては、カートリッジ204がシステム101に挿入されると、カートリッジホルダ31が、カートリッジ204を、分析システム101内の所望の場所に保持、又は別の方法で固定してよい。カートリッジ204に含まれる試料を調製する際には、活性化装置24がカートリッジ204の1つ以上のセクションと相互作用して、流体試料を分析の為に調製してよい。実施形態によっては、カートリッジ活性化装置24は、回転カムシャフト33に組み込まれた1つ以上のカム32を含んでよく、これは、カートリッジの各セクションを加圧することにより、分析の為の試料の調製、混合、移動、分散などを行う為である(加圧は、カートリッジの各セクションに接触することによって直接行われるか、カートリッジと接触する1つ以上のピストン(又は他の任意の好適な構造物)と相互作用することによって間接的に行われる)。
【0018】
位置決め装置26は、流体分析器22に含まれる分析構成要素に対する(例えば、カートリッジ204上の)調製済み試料の相対的な位置を制御する様々な構成要素を含んでよい。例えば、実施形態によっては、位置決め装置26は、シャフト36を介してステージ35につながれたモータ34を含んでよい。カートリッジ204は、分析システム101に挿入されると、ステージ35によって直接又は間接的に支持されてよい。例えば、カートリッジホルダ31は、カートリッジ204をステージ35上の所定の位置に固定する為にカートリッジ204に力をかける1つ以上のエレメントを含んでよい。モータ34は、ステージ35を移動させる為にシャフト36を回転させるか他の方法で動かすことに使用されてよい。場合によっては、ステージ35は、傾斜レール37に乗せられてよい。そのような実施形態では、モータ34を制御して、ステージ35、及びステージと結合された任意の構成要素(例えば、保持されたカートリッジなど)を、傾斜レール37に沿って移動させることが可能である。レール37に沿って移動した結果、ステージ35は、流体分析器22に対してX方向及びZ方向の両方に同時に動くことが可能である。
【0019】
流体分析器22はフレームアセンブリ38にマウントされてよく、フレームアセンブリ38にはモータ34及び傾斜レール37もマウントされてよい。流体分析器22は、カートリッジ204に収容されるか、カートリッジ204上に含まれる流体試料を分析する1つ以上の装置を含んでよい。場合によっては、流体分析器22は、レーザ散乱、蛍光、インピーダンス測定などに基づいてフローサイトメトリを実施する構成要素を含んでよい。代替又は追加として、流体分析器22は、光学画像化装置を含んでよく、これは、例えば、レンズ、画像センサ、及び他の、試料の光学画像の取得に適する構成要素を含む。例えば、実施形態によっては、流体分析器22は、光センサ(例えば、CCD、CMOS、又は光電子増倍管)を含んでよい。選択されたタイプの分析に適する波長を有する放射線を分析対象の試料流体に当てる為に、1つ以上の励振源(図示せず)が設けられてよい。実施形態によっては、光センサは、カートリッジ204の検査領域の内側を流れる細胞又は粒子の画像を取得するカメラを含んでよい。取得された画像は、その後、適切なソフトウェア及び/又はハードウェアを使用する制御装置20によって処理されてよく、これは、例えば、試料流体中に存在する1つ以上の細胞のタイプ(例えば、好中球、リンパ球、赤血球など)の細胞数を算出する為である。分析プロセスの一環として特定又は取得された取得画像、画像ストリーム、分析結果、取得又は計算されたデータなどは、例えば、メモリ21に記憶されてよい。流体分析器22、活性化装置24、及び位置決め装置26のそれぞれについて、並びに流体試料の分析を実施する際のそれぞれの役割については、以下の各セクションで詳細に説明する。
【0020】
カートリッジ
前述のように、本開示の実施形態は、試料流体を分析の為に調製するカートリッジ204を含んでよい。試料流体は、細胞などの関心対象粒子を含んでよい。試料流体は体液を含んでよく、体液は、例えば、血液、脳脊髄液(CSF)、心嚢液、胸膜液、又は他の任意の、細胞を包み込むことが可能な流体であってよい。任意のタイプの細胞(又は他の粒子)が分析されてよい。場合によっては、分析対象の細胞は、原核細胞(例えば、バクテリア)、真核細胞(例えば、赤血球)、白血球、上皮細胞、循環腫瘍細胞、細胞断片(例えば、血小板)などであってよい。
【0021】
実施形態によっては、カートリッジ204は、光学的分析により完全血球算定(CBC)を行う為の血液試料の調製に使用されてよい。しかしながら、本開示はCBCに限定されないことに注意されたい。本開示による使い捨てカートリッジは、細胞の分析が必要とされる複数の用途に使用されてよく、例えば、HIVモニタリング(例えば、CD4/CD8比による)、ヘモグロビンFの検出、マラリア抗原又は他の血液寄生虫、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、腸筋内膜自己抗体(EmA)によるセリアック病の診断、アルツハイマー症、又は他の任意の、細胞ベースの診断を行うことが妥当と考えられる用途に使用されてよい。
【0022】
図4は、本開示の特定の実施形態によるカートリッジ204を概略的に示す。試料流体をカートリッジに投入するように機能することが可能な試料採取器202が、カートリッジ204に(例えば、一方の側から)挿入されてよい。試料流体は、調製コンパートメント201によって受け取られてよく、そこでは、試料流体に対して1つ以上のプロセスを実施することによって、試料流体が分析の為に調製されてよい。調製コンパートメント201には、分析コンパートメント203が連結されてよい。分析コンパートメントは、調製コンパートメント201から調製済み試料流体を受け取ってよく、試料流体の1つ以上の側面の分析を可能にしてよい。実施形態によっては、調製コンパートメント201と分析コンパートメント203は、別々に形成されてから、1つ以上の流路によって連結されてよい。実施形態によっては、カートリッジの調製コンパートメント201と分析コンパートメント203は、一緒に製造されて、製造中又は製造直後に連結されてよく、或いは、これらは別々に製造されて、カートリッジがエンドユーザに販売される前に連結されてよく、更には使用の直前に、おそらくは検査実施担当者によって、又はシステム101内で自動的に連結されてよい。ポンプ(図示せず)が、カートリッジの様々なセクションの中又はセクション間での試料流体の流れを駆動する圧力勾配(例えば、真空)を生成するように動作してよい。
【0023】
実施形態によっては、調製コンパートメント201及び分析コンパートメント203は、互いに連結された別々の2つのコンパートメントを含んでよい。しかしながら、実施形態によっては、調製コンパートメント201及び分析コンパートメント203は、カートリッジ204の構成部分で構成されてよい。例えば、実施形態によっては、調製コンパートメント201及び分析コンパートメント203は、共通基板に対して一体的に形成されてよい。更に、試料採取器及び分析コンパートメントは、カートリッジ204に対して、個々の用途の要件に応じて任意の好適な向き又はレイアウト配置で位置決めされてよい。
【0024】
実施形態によっては、試料採取器202は、カートリッジ204の構成部分として形成されてよい。しかしながら、実施形態によっては、試料採取器202は、カートリッジ204とは別個の構成要素として形成されてよい。しかしながら、いずれの場合も、試料採取器202は、試料流体を保持するキャリアを含んでよい。キャリアは、例えば、流体試料の収集に使用できる1つ以上の毛細管を含んでよい。特定の実施形態によれば、システム101は、試料流体をカートリッジ204に投入するために、試料採取器202をカートリッジ204に自動的に連結してよい。
【0025】
図5は、特定の実施形態によるカートリッジ204の一セクションの概略図である。カートリッジ204では、第1の開口部301が、カートリッジ204の側面の1つに位置してよく、試料流体を保持するキャリアを受け取るように構成されてよい。第1のチャネル302が、第1の開口部301と、リザーバ303とに結合されている。リザーバ303は、試料流体を受け取ることと、試料流体に作用することによって出力流体を形成する処置を実施することと、を行うように構成される。そして、リザーバは、出力流体を第2のチャネル304内に放出し、そこから第2の開口部305を経てカートリッジの外に放出するように構成されている。リザーバから第1の開口部を通る流れを阻止するように構成された先行封止部306が、第1のチャネル302と結合されてよく、リザーバから第2の開口部を通る流れを阻止するように構成された後続封止部307が、第2のチャネル304と結合されてよい。
【0026】
「出力流体」という用語は、試料流体に作用する処置の結果として得られる流体を含んでよい。作用する処置の前にリザーバに入る流体は、「入力流体」と呼ばれてよい。場合によっては、入力流体は、例えば、リザーバ303に投入される試料流体に対応してよい。
【0027】
試料流体に作用する処置は、リザーバ303などのリザーバの内側で実施され、試料流体、又は試料流体に含まれる細胞の物理的又は化学的状態(又は少なくとも1つの性質又は特性)を変化させることが可能な任意の処置を含んでよい。作用する処置の可能な例として、加熱、混合、希釈、染色、透過化、溶解などがあってよい。
【0028】
本開示の特定の実施形態では、リザーバ303は、ある物質がプリロードされていてよい。プリロードされる物質は、液体物質、固体物質、又はこれらの組み合わせであってよい。この物質は、単一試薬又は異なる複数の試薬で構成されてよい。複数の試薬で構成される液体物質の一例として、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)があり、一方、固体物質の例としては、凍結乾燥抗体、(例えば、水又はエタノールに)可溶な、様々な種類の粉末染色剤でコーティングされたビードなどがある。物質は、リザーバの底面上に自由に置かれていてよく、或いは、リザーバの内面に付着していてよい。或いは、物質は、リザーバの空間を満たしている構造物又は構成要素(例えば、スポンジ又はマイクロファイバ)に付着していてよい。そのような構造物又は構成要素は、試料流体に対して露出している表面積を大きくすることが可能である。
【0029】
更に、幾つかの可能な処置(例えば、加熱)は、リザーバに物質をプリロードすることが不要であってよい。従って、特定の実施形態では、リザーバは物質がプリロードされず、代わりに(又は物質のプリロードに加えて)機構、例えば、加熱機構又はその一部を保持することが可能である。更に、物質のプリロードがカートリッジの製造中、又は試料流体の投入前の任意の時点で実施されてよいことを理解すると、代替実施形態によれば、物質を試料流体と一緒にリザーバに投入してよいこと、又は試料流体の投入後にリザーバに投入してよいことが理解されるであろう。物質が構成物質の組み合わせからなる別の場合、或いは、物質が、複数の構成物質の間の化学反応の結果である別の場合には、少なくとも1つの構成物質がプリロードされ、他の少なくとも1つの構成物質が試料流体と一緒に投入されるか、試料流体の投入後に投入されることが可能である。
【0030】
リザーバ303に物質がロードされる場合、プリロードされるか、試料流体の投入と一緒に、又は試料流体の投入後にロードされるかにかかわらず、試料流体に作用する処置は、試料流体と物質とを混合することを含んでよい。場合によっては、均質性の欠如が後続の分析に影響を及ぼす可能性があるので、試料流体と物質との混合は入念に行われてよい。本開示の特定の実施形態によれば、混合を可能にする為に、リザーバの表面の少なくとも一部(一部分)が弾性ポリマー(例えば、ポリウレタン又はシリコーン)、又は別の弾性材料で作られた加圧可能部分を含んでよい。加圧可能部分を加圧すること、且つ/又は放すことによって作用する、リザーバの変形(例えば、圧縮)により、リザーバに収容されている流体がリザーバ内で噴流を形成することが可能であり、これは、混合を強化しうる流れ形態である。従って、本開示の実施形態によれば、リザーバの加圧可能部分を加圧することと放すこととを交互に行うことにより、混合を達成することが可能であってよい。加圧可能部分が加圧されると、流体は、加圧された領域から流れ出ることが可能であり、加圧可能部分が放されると、流体は逆流して戻ることが可能であり、これによって、流体は行ったり来たりする。
【0031】
本開示の特定の実施形態では、加圧可能部分は、リザーバの表面の一部を構成してよく、例えば、リザーバの上部表面、又はリザーバの表面のうちの特定の割合を構成してよい。本開示の別の実施形態では、リザーバ全体が加圧可能であってよい。本開示の目的上、「加圧可能」という用語は、材料にかけられた圧力に応じて材料が少なくとも部分的に変形しうることを意味する。実施形態によっては、加圧可能な材料の変形の結果として、加圧可能な材料に少なくとも部分的に含まれる領域の体積が変化する可能性がある。
【0032】
混合とは別に、又は混合に加えて、リザーバ内で実施される、試料流体に作用する処置は、物質と試料流体との間で起こりうる反応を含んでよい。この反応は、化学反応(例えば、酸化/還元)、又は生化学的反応(例えば、抗体のリガンドへの結合)などであってよい。この処置は、試料流体、又は試料流体に含まれる細胞の物理的且つ/又は化学的状態の変化につながる可能性がある。例えば、この処置は、試料流体の粘弾性又はpHの変化に作用する可能性がある。試料流体に含まれる細胞の濃度を、希釈によって下げることが可能である。細胞膜を透過性にすることによって、物質に含まれる着色剤又は抗体の細胞成分(例えば、細胞顆粒)への結合を可能にしてよい。様々な細胞成分の酸化又は還元が起こる可能性があり、例えば、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸化してメトヘモグロビンになるなどの可能性がある。
【0033】
この処置が完了した後(或いは、少なくとも部分的に完了した後)、結果として得られる出力流体がリザーバから放出されてよい。この放出は、正圧、即ち、流体をリザーバから「押し」出すことによる作用を受けてよい。例えば、流体は、加圧することによってリザーバから押し出されてよい。追加又は代替として、流体は負圧の作用を受けてよく、これは、例えば、流体を「引っ張り」出す物理的な力(例えば、重力)、又は外力(例えば、真空)がかかることによって、流体がリザーバから外に駆動される場合である。本開示の実施形態によっては、リザーバから第2の開口部を経て分析コンパートメントに入る出力流体の流れは分析コンパートメントと結合された真空ポンプによって発生する吸引力によって引き起こされてよい。
【0034】
リザーバ303は2つの封止部の間で密閉されてよく、先行封止部306は、流体がリザーバから第1の開口部301を通って流れ出るのを阻止し、後続封止部307は、流体がリザーバから第2の開口部を通って流れ出るのを阻止する。2つの封止部306及び307は、試料流体がリザーバ303に投入される前に、物質がリザーバから放出されるのを阻止することが可能である。これらの封止部は又、作用する処置の間に物質及び/又は試料流体が放出されるのを阻止することが可能である。そして、これらの封止部は、出力流体の意図されない放出を阻止することが可能である。
【0035】
封止部307に関しては、封止部307を壊すか破ることによって、出力流体をリザーバから第2の開口部に向けて流出させることが可能である。実施形態によっては、封止部を破った後、開いたままにしてよい。実施形態によっては、第2の封止部307は、壊れやすいか「もろい封止部」を構成してよい。封止部は、例えば、ある閾値を超える圧力がかかると壊れるように構成された粘着物で形成されることが可能である。リザーバの加圧可能部分に圧力をかけることによって、封止部の場所の圧力が、封止部が壊れる閾値を超えると、封止部が破れることが可能である。そして、出力流体は、第2のチャネル304内に放出され、第2の開口部305を通って分析コンパートメントに入ることが可能である。つまり、出力流は、第2のチャネル304及び第2の開口部305を経て分析コンパートメントに運ばれることが可能である。
【0036】
リザーバの加圧可能部分を断続的に加圧することによって試料流体と物質とを混合しても、封止部の場所の圧力が閾値を超えない場合がある。その場合は、混合されている間、封止部307は壊れていない状態のままであることが可能である。実施形態によっては、混合されている間に圧力が閾値を超えることがあっても、その作用から封止部を保護する為に、封止部307の前の流路に構造物又は障害物が形成されてよい。例えば、リザーバと封止部との間のチャネルに圧力をかけることによって、封止部に達する圧力がリザーバ内に発生することを防ぐ物理的障害物を形成することが可能である。又、実施形態によっては、閾値を超える圧力が封止部に達して、封止部が破れることが可能であってよいが、チャネルに位置する物理的障害物が、除去されるまで、流体の流れを阻止してよい。
【0037】
先行封止部306を再度参照すると、この封止部は、異なる複数の役割があってよい。第1の役割では、封止部306は、試料流体の投入前にリザーバから物質が放出されるのを防ぐことが可能である。しかしながら、試料流体の投入時には、そのような投入を可能にする為に、先行封止部は壊れなければならない。実施形態によっては、リザーバの加圧可能部分に与えられる圧力によって混合を可能にする為に、リザーバは両側から封止されてよい。従って、先行封止部306は、試料流体の投入後に再封止可能であってもよい。封止部306を再封止することにより、出力流体がリザーバから(例えば、チャネル302を経て)意図されずに放出されることを避けながらの混合が可能であってよい。
【0038】
上述のように、試料流体は、キャリアを使用して第1の開口部から投入されてよい。試料流体の投入後にキャリアがカートリッジ内に残される実施形態では、キャリアと第1のチャネルの内部表面との間に隙間が存在しても、再封止により、流体がその隙間を通るのを防ぐことが可能である。
【0039】
図6A及び図6Bは、本開示の特定の実施形態による先行封止部306を示す。図6A及び図6Bに示される実施形態は、試料流体の送達又は投入の後に第1のチャネルの内側に残るキャリアに適応可能である。
【0040】
図示された実施形態によれば、示された先行封止部306は、別個の2つの封止部、即ち、第1の封止部401及び第2の封止部402で構成されてよい。図6Aは、キャリア403によって試料流体が投入される前の先行封止部を示しており、図6Bは、先行封止部306を貫通してキャリアが挿入された封止部を示している。実施形態によっては、キャリア403は、試料採取器202に関連付けられた毛細管を含んでよい。
【0041】
第1の封止部401は、試料流体の投入前の、リザーバから第1の開口部を通る流れを阻止するように構成されている(上述の第1の役割)。従って、後続封止部と同様に、第1の封止部401は、粘着物又は栓で形成されるもろい封止部であってよい。キャリア403が第1の開口部からリザーバに挿入されると、キャリア403は、図6Bに示されるように、封止部401を壊す。
【0042】
第2の封止部402は、キャリアの挿入後にリザーバを再封止するように動作可能である。第2の封止部は、キャリア、より厳密にはキャリアの外側表面と、チャネルの内側表面との境目を通り抜ける漏れを防ぐように構成されてよい。特定の実施形態によれば、封止部402は、チャネルの内側にマウントされた可撓リング(例えば、Oリング)で構成されてよい。このリングの内径は、キャリアの直径より小さい、従って、封止部402は、キャリアを貫通させながら、キャリアの周囲を密閉して漏れを防ぐことが可能である。代替実施形態によれば、第1の封止部401と第2の封止部402は入れ替えられてよく、即ち、封止部402が第1の封止部401の前にあってよい。
【0043】
キャリア403は中空であってよい。従って、キャリアの挿入後に、リザーバからキャリアの中空の内部空間に入るか通り抜ける流れ又は漏れが発生する可能性がある。この漏れは、キャリアの内側に位置する疎水性メンブレンによって防ぐことが可能である。
【0044】
図7A及び図7Bは、本開示の特定の実施形態による別の先行封止部を示す。図7A及び図7Bに示された封止部は、機能性が封止部401及び402の組み合わせの機能性と同様である単一部材を含む。例えば、図7Aでは、第1のチャネル302の内側に、センタリング肩部を有するストッパ501が成形されている。ストッパ501は、試料流体の投入前の、リザーバから第1の開口部301を通る流れを阻止する。図7Bに示されるように、キャリア403が挿入されると、ストッパ501の中心部が破られ、一方、ストッパの肩部は、キャリアの外側表面とチャネルの内側表面との境目を塞いで、試料流体の投入に対する更なる漏れを防ぐ。特定の実施形態によれば、ストッパ501は、軟粘着性エラストマで形成されてよい。しかしながら、ストッパ501の形成には他の材料が使用されてもよい。
【0045】
特定の実施形態は、試料流体を分析の為に調製するプロセスを含んでよく、このプロセスは、例えば、活性化装置24による、カートリッジ204との相互作用を通して行われる(これについては後で詳細に説明する)。例えば、試料流体のキャリア403が、第1の開口部301から第1のチャネル302に挿入されてよい。キャリアは、第1のチャネルと結合されている先行封止部306を破り、試料流体をリザーバ303内に送達する(図6A)。リザーバの内側では、試料流体に対する処置が実施されてよく、例えば、送達された試料流体と、リザーバにプリロードされた物質とが混合されて、出力流体が生成されてよい。混合は、リザーバの加圧可能部分に圧力を断続的にかけることによって可能であってよい。この処置が完了したら、後続封止部307(図5)が壊されてよく、これは、後続封止部の場所に閾値を超える圧力が発生するようにリザーバを加圧することによって行われる。圧力が閾値を超えた結果として、封止部307が開いて、生成された出力流体がリザーバから放出されてよい。放出された出力流体は、その後、第2のチャネル304及び第2の開口部305を通って分析コンパートメント203に流れ込んでよく、そこで分析されてよい。
【0046】
図8は、本開示の特定の実施形態による、2つのコンパートメントを含むリザーバを含むカートリッジの一セクションを示す。2つのコンパートメント701は、これらの一方又は両方に物質がプリロードされてよく、これらは、流路702によって相互接続されている。第1のコンパートメントは第1のチャネル302を経て第1の開口部と結合されており、一方、第2のコンパートメントは、第2のチャネル304を経て第2の開口部305と結合されている。これら2つのコンパートメントの一方又は両方が、加圧可能部分を含んでよい。
【0047】
両コンパートメントが加圧可能部分を含む場合には、2つの加圧可能部分に交互に圧力をかけることにより(例えば、一方のコンパートメントに圧力をかけた後、他方のコンパートメントに圧力をかけることにより)混合を達成することが可能であってよい。コンパートメント701間の流路702は、噴流を発生させることが可能であり、これによって混合を強化することが可能である。後続封止部307を壊すことは、例えば、両コンパートメントを同時に加圧することにより、且つ/又は、混合の為にかけられる圧力より強い圧力をかけることにより、引き起こされることが可能である。
【0048】
加圧可能部分が1つしかない場合(一方のコンパートメントにしかない場合)は、この部分を断続的に加圧することによって混合を達成することが可能であってよい。後続封止部307を壊すことは、閾値を超える圧力を加圧可能部分にかけることによって引き起こされることが可能である。
【0049】
図9は、本開示の特定の実施形態による、2つのリザーバで構成される調製部を含むカートリッジの一セクションを示す。第1の開口部301と結合された第1のリザーバ801が加圧可能リザーバを含んでよく、一方、第2の開口部305と結合された第2のリザーバ802が、加圧可能リザーバ又は加圧不可能リザーバを含んでよい。これら2つのリザーバは、接続チャネル803によって接続されてよく、接続チャネル803は、封止部804によって封止されてよい。これら2つのリザーバは、封止部306と封止部307との間に位置してよく、第1のリザーバ801の前に封止部306があってよく、第2のリザーバ802の後に封止部307があってよい。
【0050】
各リザーバは、それぞれの入力流体及びそれぞれの出力流体に関連付けられてよいが、第1の開口部から第1のリザーバ801に投入される、第1のリザーバ801の入力流体は、試料流体を含んでよい。第1のリザーバの内側では、流体に作用する処置が実施されてよい。この処置は、「第1の処置」と呼ばれてよい。封止部804に適切な圧力(例えば、封止部804に関連付けられた、閾値を超える圧力)を作用させることにより、封止部804は、破れて、第1のリザーバ801から出力流体を放出させてよく、それによって、出力流体は第2のリザーバ802に運ばれる。第1のリザーバの出力流体は、第2のリザーバの入力流体として動作することが可能である。
【0051】
封止部804がもろい封止部である場合、封止部がいったん破られると、2つのリザーバ801と802の間のチャネル803は開いたままであってよく、流体がリザーバ801と802の間を両方向に(即ち、801から802へ、且つ802から801へ)流れることが可能であってよい。封止部804がもろい封止部を含む場合、封止部がいったん破られると、2つのリザーバは、実質的に、単一リザーバの2つのコンパートメントを形成することになる。従って、接続チャネル803にもろい封止部を有する実施形態では、この封止部が破られた後は、第1のリザーバ801の出力流体は、前記の2つのリザーバの間を行ったり来たりすることが可能であり、流体がこれらのコンパートメントにとどまる間は、リザーバ801又はリザーバ802に関連付けられたあらゆる処置の作用を受けることが可能である。更に、もろい封止部804が破られて、2つのコンパートメントを有する単一リザーバが実質的に形成された後は、この単一リザーバの2つのコンパートメントをつないでいるチャネル803が、「コンパートメント」801を、「コンパートメント」802と、従って、開口部305と結合していると見なされてよい。
【0052】
別の実施形態、例えば、封止部804が再封止可能な実施形態では、リザーバ801の出力流体がリザーバ802に運ばれた後、流体がリザーバ801に戻ることを防ぐことが可能なように、封止部804が再封止されてよい。再封止可能な封止部の一例として、弁があってよい。代替又は追加として、特定の実施形態が、再封止可能な接続チャネル803を含んでよく、再封止は、例えば、接続チャネル803を再加圧して、チャネル803の開口部を物理的に塞いで、流体がチャネル803を通って流れないようにすることによって、実施されてよい。
【0053】
第2のリザーバ802の内側では、「第2の処置」が実施されてよい。封止部307に適切な圧力レベルを引き起こすことにより、この封止部が破られ、結果として、出力流体が第2のリザーバ802から第2の開口部305に向かって放出されてよい。第2のリザーバの出力流体は、リザーバ801及び802をベースとして形成される調製部の出力流体を構成してよい。調製部の出力流体は、第2の開口部305から分析コンパートメント(例えば、図4の分析コンパートメント203)に流れ込んでよく、そこで分析されてよい。
【0054】
調製部の各リザーバは、特定の処置を実施するように構成されるか、別の方法で特定の処置に関連付けられるように構成されてよい。例えば、第1のリザーバが試料流体を取得する場合には、第1のリザーバに関連付けられた処置は、この試料流体に作用して、試料流体の派生物を発生させてよい。派生物は、試料流体、又は試料流体に含まれる細胞又は成分の一方又は両方で発生した変化などであってよい。この変化は、化学変化、生化学的変化、物理的変化などであってよい。化学変化の例として、pHの変化、細胞成分の酸化/還元、又は染色剤などの化学物質の細胞成分へのヒンジングなどがあってよく、生化学的変化の例として、抗体のリガンドへの結合などがあってよく、物理的変化の例として、粘弾性の変化、希釈剤の温度又は濃度の変化などがあってよい。実施形態によっては、試料流体は、それ自体の派生物、即ち、その試料流体の派生物と見なされてよい。従って、試料流体の派生物を入力として取得して、その派生物の派生物である出力を発生させる処置があってよい。そのような実施形態では、リザーバの入力が試料流体の第1の派生物と見なされてよく、リザーバの出力が試料流体の第2の派生物と見なされてよい。調製部の全てのリザーバが同じ参照方式で参照されてよく、各リザーバは、試料流体の派生物である入力流体を取得してよい。試料流体に対して実施される第1のプロセスが試料流体の第1の派生物を与えてよく、試料流体の第1の派生物に対して実施される第2のプロセスが試料流体の第2の派生物を与えてよく、調製部のリザーバに関連付けられた各プロセスにおいて同様のことが行われてよい。
【0055】
リザーバは連続的に配置されてよいので、処置も連続的に行われてよい。例えば、一連のリザーバの中で、特定のリザーバの処置が試料流体の第2の派生物を発生させてよく、これがそのリザーバの出力になる。次のリザーバは、第2の派生物を先行リザーバからの入力として取得して、試料流体の第3の派生物を与えてよい。この連鎖は、最後のリザーバがそのそれぞれの、試料流体の派生物を最後の開口部に向けて運ぶまで続いてよい。場合によっては、1つのリザーバの出力は、一連のリザーバの中で、次のリザーバに渡されるだけではない。むしろ、場合によっては、2つのリザーバの間の封止部、例えば、もろい封止部を開いてよく、2つのリザーバの中の全ての流体を混合させて、試料流体の新たな派生物を発生させてよい。しかしながら、特に、この新たな派生物は、この新たな派生流体の少なくとも一部が両リザーバ内にとどまるように、(例えば、混合プロセスにおいて行ったり来たりして)2つのリザーバの両方にわたって共有されてよい。
【0056】
連続的な処置の一例として細胞の免疫標識があってよく、一次抗体による標識が実施されてよく、その後、第2のリザーバにおいて、二次抗体による連続した標識が実施されてよい。別の例として、2つの染色試薬による血液試料の白血球の分染があってよく、これらの試薬は別々に保管しなければならない。第1の試薬による染色処置が第1のリザーバにおいて実施され、その後、第2の試薬による染色が、連続した(場合によっては最終の)リザーバにおいて実施されてよい。
【0057】
当然のことながら、本開示の実施形態によれば、処置はリザーバの内側で実施されてよく、各リザーバは出力流体の調製の段階を追加し、その全てが一緒になって累積的且つ連続的なプロセスになる。このプロセスによって、流体と試薬の効率的且つ完全な混合が行われることが可能である。
【0058】
図10A及び図10Bは、本開示の特定の実施形態による、2つの調製部を含む構成を示す。図10A及び図10Bの両方に示されるように、2つの調製部の一方が、相互接続された2つのコンパートメント701を含む単一リザーバを含む。そのような調製部は、既に図8を参照して説明されている。図10A及び図10Bの両方に示された他方の調製部は、チャネル803でつながれ、封止部804で封止されている2つのリザーバ801及び802を含む。そのような調製部は、既に図9を参照して説明されている。各調製部は、それぞれの第1の開口部301、及びそれぞれの第2の開口部305を有する。両調製部の第1の開口部は、カートリッジの第1の開口部を構成してよい。
【0059】
図10A及び図10Bに示された、カートリッジの2つの構成は、調製部の組み合わせに対して出口として与えられた第2の開口部に関して異なっている。例えば、一実施形態では、図10Aに示されたカートリッジは、それぞれの調製部の第2の開口部305と流体連通している、カートリッジの単一の第2の開口部901を含んでよい。別の実施形態では、図10Bに示されたカートリッジは、各調製部に関連付けられた第2の開口部305を含んでよく、第2の開口部305のそれぞれも、調製コンパートメント201の出口を構成する。
【0060】
記載の実施形態では、カートリッジの各調製部は、それぞれのキャリアから試料流体を受け取るように構成されてよい。しかしながら、別の実施形態では、単一キャリアが、カートリッジの複数の調製部に試料流体を投入できるような構造であってよい。試料流体は、カートリッジの複数の調製部に、同時に、又は別々のタイミングで投入されてよい。
【0061】
各調製部の出力流体は、別々のタイミングで分析コンパートメントに流れ込んでよい。更に、各調製部の出力流体に対して、別々の分析プロセスが実施されてよい。
【0062】
互いに平行な2つの調製部を含む実施形態は、試料流体に対する2つの別々の独立した処置の実施を可能にすることができる。例えば、特定の実施形態では、カートリッジは完全血球算定を実施するように構成されてよい。そのような実施形態では、カートリッジは、互いに平行な2つの調製部を含んでよく、一方の調製部は、分析の為の赤血球の調製を行うように構成され、他方の調製部は、分析の為の白血球の調製を行うように構成される。
【0063】
図10A及び図10Bに示されたカートリッジは2つの調製部を含んでいるが、個々の用途の要件に応じて他の構成が使用されてもよい。カートリッジに含まれる調製部の数、各調製部に含まれるリザーバの数、並びに複数のコンパートメントを含むリザーバの数は様々であってよく、これは、カートリッジの構成が、所望の処置の性能、及び/又は特定の分析処置の為に試料流体を調製する目的に応じて調整されてよい為である。
【0064】
図11は、本開示の特定の実施形態による分析コンパートメント203を概略的に示す。分析コンパートメント203は、1つ以上の調製部から運ばれた出力流体を受け取ることと、出力流体の分析が可能なように出力流体を与えることと、を行うように構成された分析導管1002を含んでよい。第3のチャネル1004が、分析導管1002と結合されてよく、使い捨て出力流体を分析導管1002から無くすように構成されてよい。実施形態によっては、分析導管と第3のチャネルが一体で分析装置を構成してよい。廃棄される出力流体を貯蔵するように構成された廃棄物容器1005が、第3のチャネル1004により、分析装置と結合されてよい。廃棄物容器1005は第4のチャネル1006及び開口部1007を介して真空ポンプと結合されてよい。
【0065】
出力流体が、調製部から第3の開口部1001を通って分析装置203に流れ込んでよい。分析導管1002内では、出力流体が分析システム101に渡されてよい。分析が行われた後、出力流体は、第3のチャネル1004を介して廃棄物容器1005に廃棄され、そこで保管されてよい。
【0066】
分析装置内での出力流体の流れは、真空ポンプが発生させる吸引力によって駆動されてよく、真空ポンプは分析システム101の一部として含まれてよい。真空ポンプは、開口部1007、第4のチャネル1006、開口部1008、及び廃棄物容器1005を介して分析装置と結合可能であってよい。吸引力は廃棄物容器1005にかけられてよいが、保管されている出力流体が廃棄物容器1005から流出しないようにできる。代わりに、廃棄物容器は、液体トラップとして設計されてよい。液体トラップを設ける為に、容器1005の、保管されている出力流体の高さより上に開口部1008が位置してよい。
【0067】
実施形態によっては、分析導管1002は、出力流体に含まれる細胞を、分析を容易にするパターンに並べるように構成されたマイクロチャネル1003を含んでよい。例えば、実施形態によっては、マイクロチャネル1003は、出力流体中の流れている細胞を単一平面状に並べてよく、これにより、カメラ107による、流れている細胞の画像の取得に役立ちうる。又、実施形態によっては、そのような細胞が、(例えば、サイトメータにおいて)焦点合わせされた光ビーム/レーザビームによってプロービングされてよい。細胞を並べることは、粘弾性焦点合わせ呼ばれる方法によって実施されてよい。粘弾性焦点合わせについては、PCT公開第WO2008/149365号、件名「粒子の焦点合わせのシステム及び方法(Systems and Methods for Focusing Particles)」に記載されており、粘弾性焦点合わせ用に構成されたマイクロチャネルについては更に、PCT公開第WO2010/0l323号、件名「マイクロ流体システムとその製造方法(Microfluidic System and Method for Manufacturing the Same)」に記載されており、これらはいずれも参照により本明細書に組み込まれている。その後、並べられた細胞に対して、マイクロチャネル1003の透明又は半透明の表面(例えば、観察エリア)から光学的分析が行われてよい。
【0068】
図12は、本開示の特定の実施形態による、別の分析コンパートメント203を示す。図12の分析コンパートメント203は、血中ヘモグロビン濃度を算出するように構成されてよい。このコンパートメントは分析導管1002を含んでよく、分析導管1002は、第3のチャネル1103と結合された分析リザーバ1101を含んでよい。チャネル1103は、例えば、分析リザーバ1101に対して断面が小さくてよく、長さが長くてよい。
【0069】
分析リザーバ1101は、粉末酸化剤及び/又は溶解剤を含んでよい。この薬剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、トリトンX、又は別の適切な酸化剤/溶解剤であってよい。リザーバ1101が出力流体で満たされていて、これに血液試料の派生物が含まれる可能性がある場合には、酸化剤を溶かすことが可能である。溶かされた酸化剤は、血液試料の派生物の赤血球を溶解させ、これはヘモグロビンの放出を引き起こすことが可能である。放出されたヘモグロビンは、その後、酸化剤によって酸化されてメトヘモグロビンを形成することが可能である(メトヘモグロビンは、結合酸素を放出することができない形態のヘモグロビンである)。その後、分光計を使用してメトヘモグロビンの濃度が算出されてよく、これは、1つ以上の波長の吸収量を測定することによって算出される。従って、実施形態によっては、そのような実施形態における流体分析器22は、分光計を含んでよい。
【0070】
特定の実施形態によれば、リザーバ1101内に粉末薬剤が自由にとどまってよい。或いは、粉末薬剤は、リザーバ1101の内側表面をコーティングしてよい。薬剤と血液試料の派生物との間の接触面積を広げる為に、特定の実施形態によれば、リザーバの内側表面は、薬剤でコーティングされた突起(ピラーなど)、バッフル、又は他の構造物を含んでよい。代替又は追加として、リザーバ内にとどまる(例えば、リザーバを満たす)キャリア(スポンジなど)に粉末酸化剤を付着させてよい。粉末薬剤に加えて、他の薬剤、例えば、ゲルなども使用されてよい。
【0071】
ヘモグロビンの酸化量及び吸収量の測定は、それぞれにある程度の時間がかかる場合がある。従って、血液試料の派生物は、適切な長さの時間にわたって分析リザーバ内で保持されてよい。実施形態によっては、流れに抵抗をかけて減速させることによって、分析リザーバ内での試料流体の保持を達成することが可能であってよい。そのような抵抗をかける一方法が、長くて断面が小さい第3のチャネル1103を分析リザーバ1101に結合することによるものであってよい。このチャネルが空の場合は、流れに対する抵抗が無いか低いことが可能である。そのような条件の下では、血液試料の派生物が、第3の開口部1001から分析導管1002及び分析リザーバ1101に自由に流れ込むことが可能である。これに対し、第3のチャネルを血液試料の派生物で満たすことにより、抵抗を増やすことが可能であり、これによって、分析リザーバ1101内の流れを減速又は停止させることが可能である。
【0072】
図13は、本開示の特定の実施形態による、2つの分析装置を含む分析コンパートメント203を概略的に示す。一方の分析装置は、図11に示された分析装置と同様のマイクロチャネル1003を含む。他方の分析装置は、図12に示された分析装置と同様の分析リザーバ1101を含む。実施形態によっては、これら2つの分析装置は、1つ以上の調製部から出力流体を取得する目的で、一方の側が第3の開口部1001と結合されてよい。これらの分析装置の他方の側は、使い捨て流体が廃棄されてよい廃棄物容器1005と結合されてよい。実施形態によっては、2つの分析装置は、図13に示されるように、平行に構成されてよい。
【0073】
なお、そのような、分析コンパートメント内に平行に配置された分析装置は、出力流体に対する異なる2タイプの分析を並行して実施することを可能にしてよい。例えば、図13に示された分析コンパートメントを使用して、血液試料の派生物の細胞の計数とヘモグロビン濃度の測定とを実施することが可能である。流体分析器22に含まれる別々の分析モジュール(例えば、カメラ、分光計など)を使用して、2タイプの分析を実施することが可能である。
【0074】
図14A及び図14Bは、本開示の特定の実施形態による、調製コンパートメント201及び分析コンパートメント203を含むカートリッジを示す。カートリッジ204の調製コンパートメント201については、図10A及び図10Bを参照して上述されている。図14A及び図14Bに示された例では、調製コンパートメントは、2つの調製部、即ち、第1の調製部及び第2の調製部を含んでよい。第1の調製部は、相互接続された2つのコンパートメント701を含む単一リザーバを含んでよく、第1の調製部については、図8を参照して上述されている。第2の調製部は、2つのリザーバ801及び802を含み、第2の調製部については、図9を参照して詳細に上述されている。
【0075】
図14A及び図14Bの分析コンパートメント203は、2つの分析装置を含んでよい。一方の分析装置は、マイクロチャネル1003を含んでおり、出力流体に含まれる細胞を単一平面状に並べるように構成されてよく、これにより、流れている細胞の画像をカメラで取得すること、又はサイトメータで行われるように、流れている細胞を焦点合わせされた光ビーム/レーザビームによってプロービングすることが可能になる。他方の分析装置は、長くて断面が小さい第3のチャネル1004と結合された分析リザーバ1101を含んでおり、(例えば、分光計を使用して)ヘモグロビン濃度を算出するように構成されてよい。
【0076】
分析の為に調製された出力流体が調製コンパートメント201から分析コンパートメント203に流れることを可能にする為に、これら2つのコンパートメントは、調製コンパートメントの開口部901が分析コンパートメントの開口部1001と結合されることによって相互接続されてよい。
【0077】
特定の実施形態によれば、カートリッジ204は、血液試料を受け取るように構成されてよく、血球計数の実施を可能にしてよい。カートリッジ204によって実施される血球計数は、試料中に存在する赤血球、白血球(総数)、及び血小板の数の算出、並びに白血球の各タイプの数(白血球百分率)の算出を含んでよい。白血球のタイプは、好中球、リンパ球、単球、好酸球及び単球、又はこれらの一部分であってよい。更なるタイプ及びサブタイプの白血球も計数されてよい。更に、開示の実施形態は、血液中を循環している任意のタイプの細胞に適用可能であってよく、例えば、循環している腫瘍細胞、血小板凝集体などに適用可能であってよい。
【0078】
記載の実施形態では、細胞計数は、流れている細胞の画像をカメラで取得することによって、又はサイトメータで行われるように焦点合わせされた光ビーム/レーザビームによってプロービングすることによって実施されてよい。信頼できる計数を可能にする為に、細胞を分析光学系の焦点位置に持ってきてよい。そこで、細胞を(例えば、粘弾性焦点合わせにより)単一平面状に並べなければならない。この方法は、特定の粘弾性の集束媒体中に細胞を懸濁させて、特定の幾何学的形状(例えば、長さが100ミクロン超であり、少なくとも1つの断面寸法が100ミクロン未満(例えば、5ミクロンから100ミクロンの間)である幾何学的形状)のマイクロチャネルに流した場合に、懸濁している細胞を単一平面状に並べることに基づく。カートリッジ204の調製コンパートメント201で実施される計数の為の試料流体の調製は、集束媒体を試料流体に追加して、試料流体の派生物を発生させることを含んでよい。
【0079】
第1の調製部は、血液試料中に存在する赤血球、白血球(総数)、及び血小板の数の算出の為に血液試料を調製するように構成されてよい。リザーバ701に収容される物質は、界面活性剤が追加された集束媒体を含む。集束媒体は、例えば、可溶性の高分子量ポリマーを含む緩衝液を含んでよい。緩衝液は、生体細胞の管理に適する任意の等張緩衝液であってよく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などであってよい。血液試料に粘弾性を与えることに適する可溶性ポリマーの例として、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコールなどがある。集束媒体に追加される界面活性剤は、赤血球の形状を両凹円盤状から球状に変化させることが可能な球状化剤として動作することが可能であり、この形状変化は、より高品質の細胞画像を取得することに役立ちうる。界面活性剤の例として、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)やDDAPS(ドデシルジメチルアンモニオプロパンスルホナート)などがある。集束媒体の組成については、例えば、PCT公開第WO2008/149365号、件名「粒子の焦点合わせのシステム及び方法(Systems and Methods for Focusing Particles)」に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれている。
【0080】
リザーバ701によって実施される処置は、送達された血液試料と集束媒体とを混合することを含んでよい。混合が完了した後、後続封止部307が圧力によって破られてよく、これによって、生成された出力流体が分析コンパートメント203に流れ込むことが可能になる。
【0081】
第2の調製部は、白血球タイプの白血球百分率の為に血液試料を調製するように構成されてよい。特定の実施形態では、調製は、細胞の化学染色を含んでよく、調製部のリザーバ801及び802において、連続する2つの染色処置が実施されてよい。
【0082】
リザーバ801に含まれる物質は、集束媒体に溶けた細胞染色試薬を含んでよい。細胞染色試薬の例として、フロキシンB、ビーブリッヒスカーレット、ベーシックオレンジ21などがある。場合によっては細胞の固定が必要とされることがある為、例えば、ホルムアルデヒドやホルマリンなどの固定試薬も含まれてよい。血液試料と物質との混合に続いてインキューベーションが実施されてよく、これによって染色が可能になる。所定のインキュベーション期間が終了したら、リザーバ801をリザーバ802から隔てている封止部804が圧力によって破られてよく、これによって、生成された出力流体がリザーバ802に向かって放出される。
【0083】
リザーバ802に含まれる物質は、集束媒体に溶けた別の細胞染色試薬を含んでよい。リザーバ802に含まれる細胞染色試薬の例として、メチルグリーン、メチレンブルー、バレルブルーなどがあってよい。(リザーバ801の出力流体を構成する)入力流体と物質との混合に続いて第2のインキュベーションが実施されてよく、これによって、第2の染色プロセスが実施されることが可能になる。第2の所定のインキュベーション期間が終了したら、第2の調製部の封止部307が圧力によって破られてよく、これによって、生成された出力流体が分析コンパートメント203に流れ込むことが可能になる。
【0084】
実施形態によっては、分析の為の細胞の調製は、細胞の免疫染色を含んでよい。これらの実施形態では、調製部の一方又は両方のリザーバが、免疫染色に適する試薬を含んでよく、1つのリザーバ又は別々のリザーバに試薬及び集束媒体が含まれてよい。免疫染色に適する試薬の例として、抗体でコーティングされた様々な色のマイクロビーズがあり、例えば、CD14/CD15や染色剤の組み合わせがある。
【0085】
両調製部の第2の開口部305から流れ出る出力流体は、両分析装置の分析導管と結合された単一チャネルに運ばれてよい。出力流体の分析は、順次的又は同時に実施されてよい。順次的な分析は、2つの出力流体の流れを時間的に分離することによって可能にされてよく、分離は調製コンパートメント内で制御されてよい。上述のように、第1の調製部によって実施される調製プロセスは、インキュベーションがない単一リザーバでの混合を含んでよく、一方、第2の調製部によって実施される調製プロセスは、異なる2つのリザーバでの混合に加えて、インキュベーション期間が必要になる場合がある2つの染色処置を含んでよい。従って、第2の調製部の出力流体が分析コンパートメントに流れ込むことが可能になる前に、第1の調製部の出力流体が分析コンパートメントに流れ込むことが可能になってよい。
【0086】
第1の調製部の出力流体は、分析コンパートメント203に流れ込んだら、図示されている2つの分析装置の間で分割されてよい。流体の一部はマイクロチャネル1003に入ってよく、出力流体内の細胞は、例えば、粘弾性焦点合わせにより単一平面状に並べられてよい。その後、並べられた細胞に対して、マイクロチャネル1003に関連付けられた透明又は半透明の表面又は窓から光学的分析が行われてよい。その後、出力流体は廃棄物容器1005に流れ込み、そこで保管されてよい。出力流体の他の部分は、分析リザーバ1101に入ってよく、そこでは、出力流体内の細胞が溶解されて、それらのヘモグロビン含有率が、図12を参照して説明されたように定量化される。
【0087】
第1の調製部の出力流体が分析コンパートメントに流れ込むことは、第2の調製部の封止部307が破れるまでは止められてよく、これは、分析を妨げる可能性のある出力流体同士の混ざり合いを最小化又は阻止する為である。これが可能であるのは、第1の調製部の第2のチャネル304が再封止可能である為である。チャネルの再封止は、例えば、第1の調製部の第2のチャネル304の後続封止部又は別の場所に圧力をかけることによって実施されてよい。
【0088】
上述のように、リザーバ1101と結合された第3のチャネル1103の長さ及び断面形状は、リザーバでの流れに抵抗を与えることが可能であり、特に特定の条件下で可能である。従って、第2の調製部の封止部307が破られたら、ほぼ全ての出力流体が、分析コンパートメント203に流れ込むことが可能であり、2つの分析装置の間で分割される代わりにマイクロチャネル1003に運ばれてよい。マイクロチャネル1003内では、第2の調製部の出力流体内の細胞が、単一平面状に並べられてよく、これによって光学的分析が可能になる。その後、出力流体は廃棄物容器1005に流れ込んでよく、そこで保管される。
【0089】
図15A図15B、及び図15Cは、本明細書に記載の実施形態による試料採取器を概略的に示す。試料採取器1400は、試料流体を採取することと、採取された試料流体(の、例えば、厳密な量)をカートリッジ204に投入することと、を行うように構成されてよい。図15Aに示された試料採取器は、ハンドル1402に取り付けられたキャリア1401を含んでよい。実施形態によっては、キャリアは毛細管を含んでよい。毛細管内では、封止部/栓が形成されてよく、封止部又は栓は、少なくとも一部の空気の流れを通すが液体の流れは阻止する任意のタイプの材料又は構成を含んでよい。例えば、実施形態によっては、毛細管の出口から所定の距離の場所に疎水性メンブレン1404が貼り付けられてよい。毛細管1401は、内側に疎水性メンブレンが貼り付けられていて特定の用途に適する任意のタイプの毛細管を含んでよい。例えば、本明細書に開示の実施形態では、ドラモンド(DRUMMOND)社で製造される毛細管であるアクア・キャップ(Aqua−Cap(商標))マイクロディスペンサ(Microdispenser)が使用されてよい。
【0090】
流体試料の採取は、毛細管1401の出口を流体に浸すことによって実施されてよい。試料流体は、毛細管力によって毛細管に入っていくことが可能である。毛細管1401の内側に貼り付けられた疎水性メンブレン1404は、このプロセスを促進することが可能である。これは、試料流体によって押し退けられた空気が、疎水性メンブレン1404によって流れ出ることが可能になる為である。流体は、疎水性メンブレンに達するまで毛細管を満たす。当然のことながら、メンブレン1404の疎水性により、流体はメンブレンとは接触しない。従って、試料流体がメンブレンに吸収されることは起こりえず、言い換えると、メンブレンによって流体の量が減少することはない。従って、採取された試料流体の最終的な量は、毛細管の出口から疎水性メンブレン1404までの距離に基づいて、且つ、毛細管の内径によって決定されうる。
【0091】
採取された試料流体は、毛細管1401をカートリッジ204の第1の開口部301からカートリッジ204に挿入することにより、カートリッジ204に送達又は投入されることが可能である。この段階では、流体が毛細管力によって内側で保持されることが可能な為、起こりうる毛細管からリザーバ303内への試料流体の漏れはごく限られる。試料流体を毛細管からリザーバ303内へ押し出す為に、プランジャ1405が使用されてよい。図15Bに示されるプランジャ1405は、把持部材1407にプランジ部材1406が取り付けられていてよい。プランジ部材1406は、ハンドル1402内に位置する毛細管入口から毛細管1401に挿入されるように構成されてよい。プランジャは、疎水性メンブレン1404を毛細管の出口に達するまで押し、場合によっては、その結果として、試料流体全体をリザーバ303内に送達する。しかしながら、プランジ部材1406が毛細管の出口に届くほど長くはない場合には、ある決まった量の流体が毛細管内に残りうることを考えられたい。従って、リザーバに送達される試料流体の量は、毛細管1401の長さに対するプランジ部材1406の長さに応じて決まりうる。毛細管の直径は、毛細管の長さ、及びプランジャの長さとともにあらかじめ知ることが可能である。従って、試料採取器によって転送可能な流体の量をあらかじめ決めておくことが可能である。
【0092】
上述のような試料採取及びプランジは、一定量の試料流体をリザーバに送達することを可能にしうる。試料ごとに送達量がばらつくと、順次的な分析の信頼性に悪影響を及ぼすおそれがある為、流体の送達量を一定にできることは重要であると考えられる。全ての試料流体(例えば、血液)が第1のリザーバに定量供給されることを保証する為に疎水性メンブレンが役立ちうるため、血液を試料採取器(この場合は毛細管)からフラッシすることは不要であってよい。
【0093】
特定の実施形態を参照すると、プランジャ1405は分析システム101の一部として含まれてよく、カートリッジ204が分析システム101のカートリッジ保持部103の内側に配置されると、プランジャはカートリッジ204に挿入される。しかしながら、様々な実施形態では、プランジャは別個の装置を構成してよく、プランジャのカートリッジへの挿入は、カートリッジをカートリッジ保持部103内に配置する前に実施されてよい。
【0094】
図15Cに示されるように、試料採取器は2つのキャリア1401を含んでよく、これらのキャリアによる流体の試料採取は、同時又は順次的に実施される。2つのキャリアを含む、図15Cの試料採取器は、例えば、血液を試料採取して、血球計数の実施を可能にするように構成されたカートリッジに送達することに使用されてよい。実施形態によっては、試料採取器の2つのキャリアは、疎水性メンブレンを有する、凝固防止剤でコーティングされた毛細管を含んでよい。毛細管にコーティングされる凝固防止剤は、試料採取された血液の凝固を防ぐことに役立ちうる。凝固防止剤の例として、EDT A(エチレンジアミン四酢酸)がある。
【0095】
試料採取器1400の各キャリア1401によって試料採取され、カートリッジ204内に送達される流体量は、わずか20μlであってよく、更にはそれより少なくてよい。従って、試料採取器1400、カートリッジ204、及び分析システム101を使用して血球計数を実施することに必要な、個体から取得される血液は、わずか1滴であってよい。そのような少量の血液を取得することは、例えば家庭用血糖モニタリング装置によって行われるように指先又は前腕に針を刺すことによって可能な為、患者、特に子供にとって面倒な、静脈からの採血を行わなくてすむ。
【0096】
実施形態によっては、カートリッジ204は、1つ以上の調製部のリザーバの少なくとも一部分を収容する、ほぼ剛体のフレームを含んでよい。図16は、剛体フレーム1501を含むカートリッジ1500の一部分を示す。剛体フレーム1501は、何らかの剛体又は半剛体の材料を含んでよい。例えば、実施形態によっては、剛体フレーム1501は、PMMA、COP(環式オレフィンコポリマ)、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリセンなど、又はこれらの組み合わせのいずれかから作られてよい。
【0097】
剛体フレーム1501は、上述の調製部に関連付けられた1つ以上の構造物を含むように作られてよい。例えば、実施形態によっては、剛体フレーム1501は、射出成形によって作られてよく、様々な流路、入口、出口、及び/又はリザーバ要素(例えば、剛体フレームの面内に形成されて、キャップ又はカバー層で覆われるとリザーバを与える凹部)を含んでよい。剛体フレーム1501は、例えば、図16に示されるように、ほぼモノリシックの基板として与えられてよい。或いは、剛体フレーム1501は、カートリッジ204/1500に関連付けられていて、カートリッジ204/1500の1つ以上の要素を支持する1つ以上の構造的構成要素を含んでよい。
【0098】
実施形態によっては、剛体フレーム1501は、開口部1506及び1507を含んでよく、これらはそれぞれ流れチャネル1516及び1517につながる。開口部1506及び/又は開口部1507のサイズは、大量の試料流体を収容する試料採取器を受けるように決定されてよい。例えば、開口部1506及び1507の一方又は両方のサイズが、試料採取器1400に関連付けられた毛細管1401を受けるように決定されてよい。実施形態によっては、開口部1506と開口部1507の間隔は、図14Cに示されたようなデュアル毛細管試料採取器に設けられた毛細管1401同士の間隔と一致するように与えられてよい。
【0099】
剛体フレーム内に形成されるか、別の方法で剛体フレームに関連付けられる更なるチャネル1516及び/又は1517が、試料採取器の毛細管を位置合わせして安定化するように構成されてよい。そのような構成は、毛細管1401を位置合わせしてカートリッジ1500に挿入することを容易にすることが可能である。更に、これらのチャネルは、毛細管を剛体フレーム又はカートリッジ204内の所望の場所に誘導することに役立ちうるとともに、毛細管が剛体フレーム1501に挿入されている間に壊れないように毛細管を保護することが可能である。
【0100】
実施形態によっては、開口部1506及び1507、並びにチャネル1516及び1517は、カートリッジ1500に関連付けられた1つ以上のリザーバに流体流路を与えることが可能である。例えば、図16に示されるように、チャネル1516はリザーバ1504につながってよく、チャネル1517はリザーバ1505につながってよい。従って、チャネル1516に供給される試料流体はリザーバ1504に流れてよく、チャネル1517に供給される試料流体はリザーバ1505に流れてよい。当然のことながら、図16はほぼ剛体のフレームにある2つの開口部を示しているが、ほぼ剛体のフレームは、本開示の範囲から逸脱しない限り、任意の数の開口部を含んでよい。ほぼ剛体のフレームの開口部のうちの1つ以上が、毛細管を位置合わせして安定化するように構成されてよい。
【0101】
リザーバ1504及び1505は、カートリッジ1500の(上述のように)調製部の一部として含まれてよい。例えば、リザーバ1504は、チャネル1520及び封止部1507を介して別のリザーバ1502と結合されてよい。同様に、リザーバ1505は、チャネル1521及び封止部1508を介して別のリザーバ1503と結合されてよい。
【0102】
実施形態によっては、カートリッジ1500及びこれに関連付けられた調製部は、2部構造に基づいて形成されてよい。例えば、カートリッジ1500の第1の部分が剛体フレーム1501を含んでよく、剛体フレーム1501は、カートリッジ1500の調製部に関連付けられた構造の少なくとも一部分を与える成形された構成要素を含む。カートリッジの第2の部分が、剛体フレーム1501の上に配置された薄膜1530を含んでよい。剛体フレーム1501の上に薄膜1530を配置することにより、調製部の構造又は構成要素の少なくとも一部分が完成することになる。例えば、リザーバ1504(及び図16に示された他方のリザーバ)は、剛体フレーム1501に形成された凹部を含む第1の部分を含んでよい。剛体フレームの上に薄膜1530が配置されると、この薄膜の一部が、リザーバ1504に関連付けられた凹部を覆う。更に、薄膜1530を弾性材料から形成することにより、カートリッジ1500に関連付けられたリザーバのうちの1つ以上が上述のように加圧可能であることが可能になってもよい。
【0103】
薄膜1530は、任意の適切な材料から形成されてよい。実施形態によっては、薄膜1530は、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、アルミニウム及びPEを含む積層物、又はこれらの組み合わせから形成されてよい。
【0104】
実施形態によっては、剛体フレーム1501及び薄膜1530のうちの1つ以上が、熱にさらされると互いに結合することが可能な複数の材料から形成されてよい。図15に示されるように、カートリッジ1500の2部構造の構築中に様々なレベルの加熱を行うことにより、所望の結果を達成することが可能である。例えば、高温(例えば、140〜180℃)をかけた場所では、薄膜1530を、剛体フレーム1501の材料と永続的に溶着させることが可能である。熱をほとんど又は全くかけない別の場所では、薄膜1530を、下層の剛体フレームと結合しないままにすることが可能である。材料の溶着閾値(例えば、100〜130℃)より低いレベルの熱をかけた場所では、薄膜1530の材料を剛体フレーム1501の材料と結合させることが可能であるが、この結合は永続的ではない可能性がある。即ち、これらの場所では、結合された材料は、後で引っ張ると互いに離れる可能性がある。実施形態によっては、上述の選択的結合は、例えば、多層構造を有する薄膜1530を使用することにより達成可能である。多層構造の第1のサブ薄膜(例えば、剛体フレーム1501と最初に接触する最下層)は、剛体フレーム1501の材料と比較的弱い結合を形成する材料を含んでよい。従って、第1のサブ薄膜が剛体フレーム1501と結合している場所に後から力をかけることにより、そのサブ薄膜を分離する(例えば、剥がす)ことが可能であり、従って、薄膜1530全体を剛体フレーム1501から分離することが可能である。
【0105】
実施形態によっては、薄膜1530の多層構造が、第1のサブ薄膜の上に配置された第2のサブ薄膜を含んでよい。第2のサブ薄膜は、より高温をかけることにより、剛体フレーム1501の材料と、より永続的な結合を形成することが可能である。例えば、実施形態によっては、より高い温度をかけると、第1のサブ薄膜が溶融して結合場所から流れ去る可能性があり、これによって、第2のサブ薄膜が剛体フレーム材料と(永続的又は反永続的に)直接結合することが可能になりうる。
【0106】
このタイプの結合は、カートリッジ1500の調製部に関連付けられた構成要素の構築を容易にしうる。例えば、調製部の構造から離れている領域1531のような場所では、高温をかけることにより、薄膜1530の材料を剛体フレーム1501と永続的に溶着させることが可能である。リザーバ1502、1503、1504、1505に関連付けられた場所、並びにチャネル1520及び1521に関連付けられた場所では、これらの領域の剛体フレーム1501に対して薄膜1530が自由なままであるように、加熱を行わなくてよい。封止部1507及び1508に関連付けられた領域では、薄膜1530が剛体フレーム1501に仮留めされるか一時的に結合されるように、副溶着レベルの加熱が行われてよい。これらの封止部は、封止部に圧力がかかっている「易剥離封止部」と呼ばれてよく(例えば、封止部1507にはリザーバ1504内の流体による圧力がかかっている)、これらの封止部はフレーム1501から薄膜1530を剥がすことが可能である。そのような状況下では、流体が封止部を通って流れることが可能であってよい。これらの易剥離封止部はもろくてよく、封止部のところで流体経路を閉じる為には、例えば、封止部の場所で薄膜1530に圧力をかけて、壊れた封止部1507又は1508を通る流体流を止めればよい。
【0107】
カートリッジ1500は、チャネル1516及び1517内にそれぞれ配置される封止部1518及び1519を含んでもよい。封止部1518及び1519は、リザーバ1504及び1505にプリロードされた流体又は他の材料が、例えば、カートリッジから漏れたり、周囲環境によって汚染されたりするのを防ぐことが可能である。
【0108】
図17Aは、開示される一例示的実施形態によるカートリッジ1700を示す。図17Aに示されるように、カートリッジ1700は、第1の入口又は開口部1701、第1のリザーバ1702、第2のリザーバ103、第2の入口又は開口部1704、第3のリザーバ1705、及び第4のリザーバ1706を含む。入口1701は第1のリザーバ1702に関連付けられており、入口1704は第3のリザーバ1705に関連付けられている。このカートリッジ例は更に、第1の封止部1707、第2の封止部1708、及び第3の封止部1709を含む。封止部のうちのいずれか又は全てが、上述のような「易剥離封止部」として作られてよい。図17に示されるように、第1の流路が、第1及び第2のリザーバ1702及び1703、流体チャネル1720、及び第1の封止部1707にわたって形成されている。第2の流路が、第3及び第4のリザーバ1705及び1706、流体チャネル1721、第2の封止部1708、及び第3の封止部1709にわたって形成されている。
【0109】
第1の流路は、血液又は流体試料を第1の試薬と混合するように構成されてよく、第2の流路は、血液又は流体試料を第2の試薬と混合するように構成されてよい。試薬は、リザーバにプリロードされ、封止されてよい。或いは、試薬は、カートリッジの入口からリザーバに注入されてよい。試薬は、白血球染色剤(例えば、酸性染色剤及びアルカリ性染色剤)、溶解剤、バイオマーカ、及び流体形態の少なくとも1つの高分子量ポリマーのうちの少なくとも1つを含んでよい。リザーバのうちの1つ以上が加圧されると、対応する封止部が開かれて、リザーバ内の全ての流体がそれぞれの流路に沿って流れることが可能になってよい。
【0110】
カートリッジ1700は、緩衝コンパートメント1710を含んでもよい。緩衝コンパートメント1710は、試料流体調製リザーバ(例えば、リザーバ1702及び1703)と、分析セグメントにつながっている流体出口1712との間の流路内に含まれてよい。実施形態によっては、出口1712のところに管1711が設けられてよく、管1711は試料流体又はその派生物を1つ以上の分析セグメントに運ぶ。実施形態によっては、緩衝コンパートメント1710は、カートリッジ1700が運用されるまでは流体がないままであってよい。試料流体が(例えば、入口1701及び/又は1704から)カートリッジ1700に受け入れられると、試料流体は、リザーバ1702及び1703を含む調製部に渡されて、上述のいずれかの調製プロセスに従って、分析の為に調製されてよい。
【0111】
実施形態によっては、試料流体(又はその派生物)が調製されて分析可能になると、試料流体/試料流体派生物は、分析前に緩衝コンパートメント1710に渡されてよい。緩衝コンパートメント1710は、リザーバを含んでよく、カートリッジ1700内での、流体の分析前の一時的な保持場所として動作してよい。実施形態によっては、緩衝コンパートメント1710に入る流量が、緩衝コンパートメント1710から出る流量を超える可能性があるときに、緩衝コンパートメント1710に流体が集まる。又、実施形態によっては、緩衝コンパートメント1710は、緩衝コンパートメントから出る流体流量が、緩衝コンパートメント1710に入る流量と等しいか、場合によってはその流量を超える場合に、流体のパススルーチャンバとして動作してよい。
【0112】
緩衝コンパートメント1710に渡される流体の量は、任意の適切な方法で制御されてよい。実施形態によっては、調製済み試料流体をリザーバ1702/1703から緩衝コンパートメント1710に渡すことは、(例えば、閾値を超える圧力を封止部にかけること、又は封止部1707に関連付けられた物理的な障害物を解放又は除去すること、又は他の任意の開く方法により)封止部1707を開き、所望の量の調製済み流体を緩衝コンパートメント1710に計量しながら供給することによって行われてよい。所定量の調製済み流体を緩衝コンパートメント1710に渡すためには、例えば、リザーバ1702及び/又は1703の各部分を所定量だけ、且つ/又は所定の速度でへこませる1つ以上のステッパモータが使用されてよい。
【0113】
緩衝コンパートメント1710に渡された流体は、任意の適切な方法で、分析の為に緩衝コンパートメント1710から引き出されてよい。例えば、実施形態によっては、流体を緩衝コンパートメント1710から流し出す為に、管1711から出口1712に真空がかけられてよい。分析の為に所定量の流体を緩衝コンパートメント1710から弾き出す為には、(例えば、ステッパモータ、プランジャ、流量制御封止部などを含む)計量しながら供給する方法が使用されてよい。
【0114】
緩衝コンパートメント1710は、特定の構成の構造に応じて、又は特定の動作方式に基づいて、特定の性能特性を提供してよい。例えば、動作中の緩衝コンパートメント1710は、流体に対してコンデンサのように動作することが可能であり、流体の分析の前に流体流を緩衝することが可能である。緩衝コンパートメント1710は、分析対象の流体中に存在する泡の量を減らすことに役立ちうる。実施形態によっては、分析の為に緩衝コンパートメント1710から引き出される流体は、緩衝コンパートメント1710のうちの、緩衝コンパートメント1710の流体レベル線の下にある領域から引き出されてよい。緩衝コンパートメント1710に渡される流体にある(例えば、調製部の1つ以上の構成要素を通る調製済み流体の流れに起因する)泡は、緩衝コンパートメント1710内の流体の表面にたまりがちな場合がある。緩衝コンパートメント1710の流体レベル線より下から流体を引き出すことにより、そのような泡は緩衝コンパートメント1710内に残る可能性があり、分析の為に緩衝コンパートメント1710から引き出された流体は、泡がない可能性があるか、単位体積当たりに含まれる泡が少なくとも、緩衝コンパートメント1710にとどまる流体の総量より少ない可能性がある。更に、緩衝コンパートメント1710は、分析の為の所望の流体流を与える為に、封止部1707の動作特性を制御することに関連付けられる複雑さを避けることが可能である。実施形態によっては、緩衝コンパートメント1710に渡される流体の量は、流体の量を超える可能性がある。
【0115】
図17B及び図17Cは、開示される一例示的実施形態によるカートリッジ1900の斜視図である。図17Bは、カートリッジ1900の組立図を示し、図17Cは、カートリッジ1900の分解図を示す。カートリッジ1900は、調製部1901及び分析部1902を含んでよい。図17Cに示されるように、カートリッジ1900は、剛体フレーム又は剛体部1910を含んでよい。剛体部1910は、(例えば、モールディング又は他の任意の適切な方法により)2部構造として作られてよい。図示されるように、剛体フレーム1910は、上部部分1910が下部部分1912と嵌まり合い、結合されるように構成されてよい。
【0116】
実施形態によっては、剛体部1910は、1つ以上の入口1920を含んでよく、これらはそれぞれが、大量の試料流体を収容する毛細管などの流体試料採取器を受け取り、支持し、且つ/又は位置合わせするように構成されてよい。カートリッジ1900内の流体流路を確立する為に、様々な流路が、剛体部1910の中に向かって、又は剛体部1910上に作られてよい。例えば、図17Aのカートリッジに関して上述された流路のいずれか又は全てが、図17Cの2部剛体フレーム1910に含まれてもよい。
【0117】
カートリッジ1900は、図17Cに示された2部剛体フレーム1910とともに作られるばかりでなく、2つ以上の可撓シート材とともに作られてもよい。例えば、カートリッジ1900は、第1のシート1970及び第2のシート1980を含んでよい。実施形態によっては、シート層1970及び1980は、可撓材料(例えば、ポリマー又は他の任意の適切な弾性材料)を含んでよく、カートリッジ1900の組み立て中に互いに結合されてよい。可撓材料を互いに結合させる為に任意の適切な方法が用いられてよい。実施形態によっては、層1970及び1980の様々な領域が、様々な結合強度で互いに結合されてよい。そのような構成は、例えば、特定の領域を永続的又は半永続的に互いに結合させ、他の領域をより一時的に互いに結合させることに有用であろう。例えば、一部の領域ではもろい封止部が形成されてよく、これは、層1970と層1980との間に、互いに剥がれてその封止部を開くことが可能な一時的結合を形成することにより行われる。
【0118】
層1970と層1980とを互いに結合させる為に、様々な機構が用いられてよい。例えば、接着剤が使用されてよい。領域1984のような、永続的又は半永続的な結合が必要とされる一部の領域では、適切な接着剤を使用して、それらの領域の層1970と層1980とを永続的又は半永続的に互いに結合させてよい。同様に、領域1985のような、もろい封止部を形成する為に結合が一時的であればよい別の領域では、別の接着剤(例えば、一時的な剥がせる結合しか提供しない接着剤)が使用されてよい。
【0119】
そのような結合は、溶着によって達成されてもよい。例えば、実施形態によっては、電極を使用して、層1970と層1980との間にスポット溶着を形成してよい。そのような実施形態では、それら2層間の結合強度は、個々の領域におけるスポット溶着の密度及び/又は形状に依存してよい。従って、領域1984のような、高い結合強度が必要とされるであろう領域では、領域1985のような、一時的な剥がせる結合を与える為に低密度のスポット溶着が行われてよい領域に比べて、高密度のスポット溶着が行われてよい。
【0120】
層1970と層1980は、他の機構で互いに結合されてもよい。例えば、層1970及び1980のそれぞれは2つのサブ薄膜を含んでよく、例えば、第1のサブ薄膜は融解温度又は結合温度が低く、これに比べて、第2のサブ薄膜は融解温度又は結合温度が高い。層1970及び1980は、層1970の第1のサブ薄膜が層1980の第1のサブ薄膜との境界面を形成し、層1970及び1980のそれぞれの第2のサブ薄膜が互いに接触しないように、結合時に方向づけられるように形成されてよい。領域1985のような特定領域内のもろい封止場所において一時的な剥がせる結合を形成する場合は、第1のサブ薄膜同士が結合するように、低温(例えば、約100℃から約130℃の範囲の低温)がかけられてよい。この領域の結合された構造は、後で互いに剥がすことが可能であり、これは、結合された第1のサブ薄膜同士を分離すること、又は結合された第1のサブ薄膜同士によって形成された構造を引き裂くことによって行われる。領域1984などにおいて永続的又は半永続的な結合を形成する場合は、高温(例えば、約140℃から約180℃の範囲の高温)がかけられてよい。そのような温度は、第1のサブ薄膜同士を融解させ、且つ/又は結合される領域から流出させることが可能であり、これによって、層1970及び1980の第2のサブ薄膜同士が接触して永続的又は半永続的結合を形成することが可能になる。このような、接着剤、スポット溶着、及び/又は多層の温度依存結合構造をはじめとする結合方法は、本明細書に記載のいずれのカートリッジと併用されてもよい。
【0121】
層1970及び1980は、層1970及び1980を互いに結合させたときに流路、リザーバ、封止部などを実現する様々な構造を含むように事前作成又は形成されてよい。例えば、層1970及び1980は、互いに結合された時点でリザーバ1940を形成してよい。これらのリザーバは可撓であってよく、従って、加圧に応じて変形可能(即ち、「加圧可能」)であってよい。同様に、層1970及び1980は一緒に、もろい封止部を形成してよく、例えば、リザーバ間、コンパートメント間などの流路に封止部を形成してよい。そのようなもろい封止部として、図17Cに示されるような、領域1985の封止部などがあってよい。結合された層1970及び1980は、緩衝コンパートメント1960などの別の構造を形成してよい。
【0122】
活性化装置
図18は、開示される例示的実施形態による、分析システムから抜き出された内部構成要素の概略斜視図を示す。図3に関して既に言及されたように、且つ図18に更に示されるように、カートリッジ204に含まれる試料を調製するにあたっては、活性化装置24が、カートリッジ204の1つ以上のセクションと相互作用することにより、流体試料を分析の為に調製してよい。実施形態によっては、カートリッジ活性化装置24は、モータ1801、ベルト1802、及び歯車装置1803によって回転する回転カムシャフト33に組み込まれた1つ以上のカム32を含んでよく、これは、カートリッジの各セクションを加圧することにより、分析の為の流体試料の調製、混合、移動、分散などを行う為である(加圧は、カートリッジの各セクションに接触することによって直接行われるか、カートリッジと接触する1つ以上のピストン1804と相互作用することによって間接的に行われる)。活性化装置24に含まれてよい構成要素の数は、記載のカム、カムシャフト、モータ、ベルト、ピストン、及び歯車装置の数より多くても少なくてもよい。
【0123】
カム32及び/又はピストン1804は、流体試料を分析の為に調製すること、カートリッジ204の各部分にある流体を移送すること、封止部を開くことなどの為に、カートリッジ204の任意の適切な部分と相互作用するように構成されてよい。例えば、カム及び/又はピストン1804は、カートリッジ204の様々な実施形態のいずれかに関して上述された加圧可能部分、リザーバ、緩衝チャンバ、コンパートメント、流体チャネルなどのいずれかと相互作用してよい。例えば、図18に示されるように、カムシャフト33が回転することによって、カム32が回転することが可能である。カム32の外形が様々な形状であることにより(例えば、カムシャフト33の周囲に半径方向に分散する様々な形状のローブであることにより)、カム32は、多様なタイミングでピストン1804を加圧して押し下げることが可能である。これらのカムローブは、例えば、ピストンが、隣接する流体リザーバを上述のように、交互に加圧するように配列されてよく、これによって、流体がリザーバ間を行ったり来たりする。
【0124】
以下の説明では、カム32、カムシャフト33、ピストン1804を含む活性化装置24の様々な構成、並びに活性化装置24がカートリッジ204の各区画と相互作用する様子についての更なる詳細を示す。本開示の目的上、カム32は、いかなる特定の構造又は構成にも限定されない。カム32は、単体要素を含んでよく、或いは、異なる複数の構成要素を集めて組み立てたものを含んでよい。カム32は、任意の適切な厚さ、及び任意の適切な構成のローブを有してよい。更に、任意の数のカムシャフト33が使用されてよい(例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のシャフトが使用されてよい)。更に、モータ1801(又は他の任意の活性化装置24用駆動装置)が、カムシャフト33に直接接続されてよく、或いは、(図18に示されるように)歯車装置、ベルトなどを介してカムシャフト33に間接的に接続されてよい。活性化装置駆動機構(例えば、モータ1801)は、所望の活性化運動(例えば、シャフトの回転)を引き起こすことに適する任意の駆動機構を含んでよい。駆動機構は、回転機構を固定又は可変の速度で駆動するように構成されてよく、運転中に速度及び/又は回転方向を変更することが可能である。制御装置20が、個々のカートリッジ構成に適合する所定のパターンに従って、モータ1801がカムシャフト33を回転させるように、モータ1801を制御してよい。
【0125】
図19を参照すると、所定のパターンに従ってカムシャフト33を駆動することと、加圧可能要素(例えば、リザーバ801及び802(図9)の全て又は一部を覆うか、それ自体で構成する要素)を含む特定のカートリッジ204との組み合わせの結果として、カム32の動きに応じてタイミング調節された、加圧可能要素の加圧及び解放が行われる。例えば、図19に示されるように、カム32Aが有するローブ(又はノード)は、ピストン1804Aに接触して、ピストン1804Aが、リザーバ801に関連付けられた加圧可能要素を部分的に押し下げることを引き起こす。カム32Bは、カム32Aと同様の外形を有するが、回転位置が異なる。その結果、カム32Bの長いローブは、まだピストン1804Bと接触していない。カム32Bがピストン1804Bと接触するほどにカムシャフト33が回転したときには(これにより、ピストン1804が下降して、リザーバ802に関連付けられた加圧可能要素を加圧する)、カム32Aは、ピストン1804Aと接触しなくなるように回転している。従って、カムシャフト33の回転が続くことにより、リザーバ801及び802に関連付けられた加圧可能要素の周期的且つ順次的な加圧が行われ、カム32A及び32Bが回転を周期的に繰り返すと、流体がリザーバ801とリザーバ802の間を行ったり来たりすることが可能である。もちろん、図19に示された配置は一例に過ぎない。含まれるカムは、これより多くても少なくてもよい。含まれるピストンは、これより多くても少なくてもよく(ゼロであってもよく)、活性化装置24は、カートリッジ204に関連付けられた任意の数の別々の構造物を押し下げるか、これらと相互作用するように構成されてよい。更に、カム32は、任意の適切な外形を有してよい。実施形態によっては、図19に示されるように、カム32はいずれも単一ローブ(ノード)を含んでよい。又、実施形態によっては、カム32はいずれも、図20に示されるように、半径方向の様々な場所に配置された複数のローブ(ノード)を含んでよい。活性化装置24内の複数のカム32が、同一又は同等の幅を有するように構成されてよい。又、実施形態によっては、カム32は様々な幅であってよい。
【0126】
リザーバ801及び802に関連付けられた加圧可能要素にかけられる圧力を引き起こすことに加えて、カム32A及び32Bは、カートリッジ204の別の場所への圧力を引き起こすように構成されてよい。例えば、実施形態によっては、カムは、カートリッジ204に関連付けられた1つ以上の流体導管にかけられる圧力を引き起こしてよい。そのような圧力下では、そのような流体導管は、カートリッジ204の2つ以上の領域の間で流体が流れることを抑えるか阻止する為に、挟みつぶされて閉じることが可能である。
【0127】
圧力図が、カムのノード構成に基づいてカムに関連付けられてよい。そのような図は、カムの回転時にカムのノードによって加圧可能要素にかけられる圧力の変化を反映することが可能である。そのような定性的な圧力図を、図21に示す。これは、1回転周期(360度)にわたってカム32から加圧可能要素にかかる圧力を概略的且つ定性的に表現したものである。図21の圧力図は、カム21の回転によって引き起こされる3つの圧力段階を含んでおり、それらは圧力漸増段階2101、圧力滞留段階2102、及び圧力漸減段階2103である。漸増段階の勾配の絶対値は、漸減段階の勾配の絶対値と必ずしも同等ではなく、カム32のローブ2105の外形に依存する。上述のように、活性化装置24に含まれるカム32はいずれも、カートリッジ204の1つ以上の特定の場所で(例えば、リザーバ801及び801に関連付けられた加圧可能部材の場所で)所望の圧力特性を実現する為に、任意の所望のカム外形(例えば、ローブ形状、ローブ数、ローブ振幅、カム幅など)により構成されてよい。
【0128】
カートリッジ204の加圧可能要素に圧力をかける為にフル360度周期にわたってカム32を回転させることに加えて、カムシャフト33は、より限られた角度範囲で回転してよい。例えば、実施形態によっては、カムシャフト33の回転によって所望の圧力特性が得られることが可能であり、従って、カム32は、フル360度範囲の一部分(例えば、±10度の範囲、±20度の範囲、又はこれより大きいか小さい範囲)にわたって行ったり来たりする。
【0129】
位置決め装置
上述のように、且つ図3を再度参照すると、システム101は位置決め装置26を含んでもよい。位置決め装置26は、流体分析器22に含まれる分析構成要素に対する(例えば、カートリッジ204上の)調製済み試料の位置を制御する様々な構成要素を含んでよい。例えば、実施形態によっては、位置決め装置26は、シャフト36を介してステージ35につながれたモータ34(又は他の適切なタイプのアクチュエータ)を含んでよい。モータ34は、ステージ35を移動させる為にシャフト36を回転させるか他の方法で動かすことに使用されてよく、分析中はステージ35の上にカートリッジ204が保持されてよい。ステージ35は傾斜レール37に乗せられてよく、(傾斜レール37と平行に延びてよい)シャフト36を動かすことにより、ステージ35を傾斜レール37上で引き上げたり、ステージ35を傾斜レール37上で押し下げたりすることが可能である。レール37に沿って動かした結果として、ステージ35は、流体分析器22に対して、X方向及びZ方向の両方に同時に動くことが可能である。図3に示されるように、X軸は、流体分析器22の分析軸27にほぼ直交する方向に延び、Z軸は、流体分析器22の分析軸にほぼ平行な方向に延びる。場合によっては、例えば、流体分析器22がカメラなどの画像化装置を含む場合には、分析軸27は画像化装置の光軸に対応してよい。ステージ35を動かす為に位置決め装置26に含まれる構成要素は、本明細書に記載のモータ及びシャフトより多くても少なくてもよい。
【0130】
傾斜レール37に沿ってステージ35を動かすことにより、ステージ35に乗っているか保持されているカートリッジ204を同様に動かすことが可能である。実施形態によっては、ステージ35は、流体分析器22の分析軸27(及びZ方向)にほぼ垂直であって、X方向にほぼ平行である上面(又は試料支持面)により構成されてよい(図3を参照)。従って、実施形態によっては、カートリッジ204がステージ35上に置かれる場合、カートリッジ204は、カートリッジ204の分析領域(例えば、マイクロチャネル1003)がX方向に、且つ分析軸27に垂直な方向に延びるように配置されてよい。
【0131】
図3に示されるように、傾斜レール37は、X方向に関連して含まれてよい。従って、ステージ35を傾斜レール37に沿って動かすことにより、カートリッジ204を分析装置22に対してX方向及びZ方向の両方に平行移動させることが可能である。言い換えると、ステージ35を傾斜レール37に沿って動かすことにより、ステージ35/カートリッジ204の(分析軸27に垂直な)X方向の第1の動き成分と、ステージ35/カートリッジ204の(分析軸27に平行な)Z方向の第2の動き成分と、が得られる。分析軸27に平行なZ方向に動かした結果として、カートリッジ204上の調製済み試料の少なくとも一部に、流体分析器22の分析構成要素の焦点を合わせることが可能である。流体分析器22が1つ以上の画像化装置を含む実施形態では、そのような焦点は、光学的焦点を含んでよい。
【0132】
ステージ35を傾斜レール37に沿って動かす為に、位置決め装置26において、任意の適切なタイプの移動機構が使用されてよい。実施形態によっては、位置決め装置26はモータ34を含んでよい。場合によっては、モータ34は、精度及び再現性という利点をもたらしうるステッパモータなどであってよい。サーボモータ、DCモータエンコーダなどのような別のタイプの移動装置も使用されてよい。前述のように、モータ34はシャフト36と(直接、又は1つ以上の結合部品を介して間接的に)連結されてよく、そのシャフト36はステージ35と(直接、又は1つ以上の結合部品を介して間接的に)連結されてよい。実施形態によっては、シャフト36は、例えば、ねじ又はねじ式部品により、ステージ35と接続されてよい。そのような実施形態では、(例えば、シャフト36上のねじが、これと対応する、ステージ35又はステージ35に関連付けられた構成要素に含まれるねじと相互作用することにより)ステージ35を傾斜レール37に沿って所望の量だけ平行移動させる為に、モータ34がシャフト36を所望の回転角度にわたって回転させてよい。
【0133】
このような構成は、試料の焦点合わせの精密な制御を、同等に精密なモータを必要とせずに行うという利点を提供しうる。例えば、モータ又は他のタイプのアクチュエータが試料を画像化装置の光軸に沿って直接動かすことによって画像化装置の焦点を試料に合わせる実施形態では、焦点調節の精度は、モータ又はアクチュエータが提供する精度に依存することになる。ミクロン又はサブミクロンの分解能が望ましいであろう用途においては、その必要なレベルの精度を実現するモータ又はアクチュエータは高くつく可能性がある。
【0134】
しかしながら、本開示の実施形態では、ミクロン又はサブミクロンの分解能は、別の方法ではそのような分解能を実現することが不可能であろうモータ又はアクチュエータが、試料を分析装置22の光軸又は分析軸に沿って直接動かすように構成されていれば、達成可能である。例えば、本開示の傾斜レール構成を使用すると、傾斜レール37に沿うステージ35の平行移動が、(図3に示されるX方向に)Rmmの水平移動を引き起こすのに十分であれば、Z方向(図3)にはR×Smmの移動を引き起こす(但し、Sは、傾斜レールに関連付けられた勾配比である)。例えば、直線レール37が1/10の勾配比(S)で構成されている場合、傾斜レール37に沿うステージ35の平行移動が、X方向に6ミクロンの水平移動(R)を引き起こすのに十分であれば、Z方向には0.6ミクロンの移動を引き起こす。従って、傾斜レールの勾配を活用することにより、実効的な垂直方向の焦点合わせ精度を、モータ又は他のアクチュエータの精度に対して大幅に(例えば、2倍、5倍、10倍、更にはそれ以上に)高めることが可能である。
【0135】
本開示のシステムでは、焦点合わせに使用される、Z軸に沿う移動に加えて、X軸に沿う移動が結果として生じうるが、そのような水平方向の平行移動は、多くの用途においては重要ではないと考えられる。例えば、実施形態によっては、カートリッジ204上の流体検査領域は、(図11図13図14A、又は図14Bに示されたように)マイクロチャネル1003を含んでよい。上述の粘弾性焦点合わせ技術を用いると、粘弾性媒体中に懸濁していてマイクロチャネル1003を流れる細胞又は粒子(例えば、長さが100ミクロン超であり、少なくとも1つの断面寸法が100ミクロン未満(例えば、5ミクロンから100ミクロンの間)である細胞又は粒子)を物理的に焦点合わせさせること、又は単一平面状に並べることが可能である。細胞が単一平面に流れ込む構成は、例えば、流れている細胞の画像を分析装置22に関連付けられたカメラで取得することを容易にすることが可能である。そのような画像を分析することにより、細胞計数を実施することが可能である。
【0136】
分析対象の粒子又は細胞をマイクロチャネルに沿って流すことにより、上述の焦点合わせ構成を使用しやすくすることも可能である。例えば、流れている細胞は、マイクロチャネル1003に沿って延びる平面において物理的に焦点合わせされることが可能である為、流れている細胞が適切に配列されている、マイクロチャネルの長さ方向のどの場所においても細胞の分析を実施することが可能である。例えば、実施形態によっては、マイクロチャネルは、幅が約1mm、深さが約40ミクロン、長さが約20mmであってよい(もちろん、他の任意の適切な寸法が使用されてもよく、特に粘弾性焦点合わせの効果が考慮されていれば他の任意の適切な寸法が使用されてよい)。細胞又は粒子は、マイクロチャネル1003に入った後、マイクロチャネルに入ってからの短い距離の間に(例えば、粘着性弾性焦点合わせにより)並べられる。例えば、実施形態によっては、細胞又は粒子の物理的な焦点合わせは、マイクロチャネルの入口から5mm以下又は3mm以下の間に行われることが可能であり、それらは、マイクロチャネルの残りの長さにわたって、焦点合わせされた状態のままで流れることが可能である。焦点合わせされた細胞は、マイクロチャネル1003の底部(そこでのマイクロチャネルの深さは40ミクロンである)の上方約20ミクロンの平面として並べられてよい。細胞又は粒子を検査する場合、分析装置22は、分析対象の細胞又は粒子が分析に適する配列を示す、検査領域(例えば、マイクロチャネル)に沿う任意の場所に配置されてよい。既述の粘弾性焦点合わせの例では、(例えば、カメラ又は他のタイプの画像化装置を含む)分析装置22は、カメラ又は画像化装置の視野が、分析対象の細胞又は流体が単一平面状に粘弾性焦点合わせされている領域と重なるような、マイクロチャネル1003に沿う任意の場所に配置されてよい。例えば、視野がおよそ0.3mm×0.3mmであるとすると、マイクロチャネルに沿う、細胞又は粒子が粘弾性焦点合わせされている任意の場所で、焦点合わせされた細胞又は粒子の画像を取得することが可能である。これは、チャネルの幅が1mm以内である任意の場所であって、チャネル入口の約3mm下流からチャネル出口にかけての任意の場所である領域を含んでよく、これは、上述の例では、入口から約20mmである。細胞又は粒子は流れていると考えられる為、画像ごとにキャプチャされた細胞が、流れの結果として何らかの形で変化しているであろうことから、マイクロチャネルに沿う様々な場所で画像を収集することは重要ではないと考えられる。
【0137】
この、適切な分析箇所を見つける上での柔軟性は、垂直方向(Z方向)の焦点合わせの為の移動とともに少なくとも幾らかの水平方向(X方向)の平行移動を含んでよい上述の焦点合わせシステムと親和性がある。場合によっては、ステージ35の、傾斜レール37に沿う水平方向の移動方向は、カートリッジ204上に含まれるマイクロチャネル又は他の検査領域と位置合わせされてよい。従って、ステージ35が傾斜レール37に沿って平行移動するにつれて、分析装置22は、マイクロチャネル又は他の検査領域の経路をたどることが可能である。一具体例では、分析装置22に対してステージ35及びカートリッジ204が傾斜レール37に沿って動くと、幅1mmのマイクロチャネル1003の5mmの長さにわたって視野0.3mm×0.3mmの画像を取得することが可能である。傾斜レール37の勾配比が1/10であるとすると、マイクロチャネル1003に沿う画像キャプチャゾーンが5mmあれば、最大500ミクロンのZ方向移動が可能であることになり、これは、(例えば約30〜40ミクロンの)全マイクロチャネル深さ又は実質的にこれを超える範囲にわたる任意の場所での光学的焦点合わせを可能にするのに十分すぎるであろう。
【0138】
本開示の実施形態は、自動焦点合わせ機能を含んでもよい。例えば、分析装置22がカメラ又は画像化装置を含む場合、位置決め装置26は、制御装置20によって制御されて、分析対象の流体の関心領域に対して、分析装置22に関連付けられた画像化構成要素の光学的焦点合わせを行う自動焦点合わせプロセスの一環としてステージ35を自動的に移動させてよい。実施形態によっては、制御装置20は、マイクロチャネル1003内で細胞の粘弾性焦点合わせされた領域を見つけることと、光学的焦点合わせを達成することとを同時に、分析装置22の画像化構成要素に行わせてよい。
【0139】
自動焦点合わせプロセスは、分析対象の細胞又は粒子に対して所望のレベルの焦点合わせを達成する為の任意の適切なプロセスに従って進められてよい。実施形態によっては、自動焦点合わせプロセスは、(ステージ35を傾斜レール37に沿って平行移動させて)Z軸に沿う一連の位置群において分析装置22で画像を収集することによって進められてよい。例えば、ステージがZ方向の100ミクロン(又は他の任意の適切な距離)の範囲にわたって動くように、ステージ35を傾斜レール37に沿って平行移動させてよい。画像の取得は、Z方向の2ミクロンごとに行われてよい(又は、レールに沿う任意の所定の距離間隔、又は他の任意の適切な間隔で行われてよい)。様々なZ方向位置で収集された画像を(例えば、制御装置20により)分析することによって、関心対象の細胞又は粒子に関する焦点のレベル又は品質を決定してよい。実施形態によっては、分析は、特定のZ方向位置における焦点品質を表しうる数学的尺度(例えば、空間周波数分析)の評価を含んでよい。実施形態によっては、空間周波数が高いほど、焦点品質が高いことを意味してよく、空間周波数が低いほど、焦点品質が低いことを意味してよい。様々なZ方向位置/レール位置にわたるスキャン、並びにそこでキャプチャされた画像の分析に基づいて、最高品質が観測された焦点に対応する位置(例えば、ターゲット位置)を特定することが可能である。所望の流体分析(例えば、細胞計数など)を実施する為に、制御装置20は、観測された最高焦点品質に対応する位置として特定されたターゲット位置にステージ35を再配置してよい。
【0140】
更に、単純に、観測された最高焦点品質を有する位置として最初に特定されたターゲット位置にステージを動かして、その位置で流体分析を実施することの代わりに、1回以上の後続スキャンを実施してよい。例えば、様々なZ方向位置にわたる1回目のスキャンの後に1回以上の更なるスキャンを実施してよく、例えば、既に特定された最高焦点品質のターゲット位置の周辺でZ方向の動きをだんだん細かくしてスキャンを実施してよい。これは、関心対象の細胞又は流体に対する焦点のレベルをより高める為である。後続スキャンを行うごとに、新たなターゲット位置を特定することが可能である。そのような後続スキャンは、例えば、1.5ミクロン、1ミクロン、又は0.5ミクロン以下のZ方向ステップを含んでよい。
【0141】
この、様々なZ方向位置にわたる複数回のスキャンを伴う反復式自動焦点合わせアプローチに加えて、又はこのアプローチの代替として、制御装置20は、Z方向位置の1回のスキャンに基づいて、最高焦点品質をもたらすことが期待されるZ方向位置を計算することも可能である。例えば、そのようなプロセスでは、自動焦点合わせプロセスは、(ステージ35を傾斜レール37に沿って平行移動させて)Z軸に沿う一連の位置群において分析装置22で画像を収集することによって進められてよい。様々なZ方向位置/レール位置で収集された画像を(例えば、制御装置20により)分析することによって、関心対象の細胞又は粒子に関する焦点のレベル又は品質を決定してよい。様々なZ方向位置/レール位置における焦点品質レベルを使用して、最高焦点品質のZ方向位置/位置を予測することが可能である。例えば、制御装置20は、観測された焦点品質値に基づいて最高焦点品質のZ方向位置/レール位置(例えば、ターゲット位置)を外挿してよく、曲線当てはめ法、又は他の任意の適切なタイプの計算により、最高焦点品質をもたらすことが期待されるZ方向位置を予測してよい。このターゲット位置が特定されたら、制御装置20は、その計算されたターゲット位置にステージが配置されるように、ステージ35を傾斜レール37に沿って再配置してよい。
【0142】
なお、(観測されたものであれ計算されたものであれ)最高焦点品質をもたらす位置として特定されたZ方向位置は、分析装置22と、カートリッジ204、ステージ35、又は分析対象の細胞との間のどの特定の距離にも、対応してもしなくてもよい。むしろ、場合によっては、最高焦点品質をもたらす位置として特定されたZ方向位置は、位置決めシステム26の動作に対して制御装置20によって追跡される値にのみ対応してよい。言い換えると、制御装置26は、分析装置のいずれかの部分とカートリッジ又はカートリッジに収容された流体のいずれかの部分との間のどの実際の垂直方向距離Zも特定しなくてよい。むしろ、制御装置20は、モータ34の位置を追跡し、これを、観測された焦点品質値を追跡する為のベースとして使用してよい。しかしながら、一意の各モータ位置は、例えば、カートリッジ204の一意のZ方向位置に対応してよい為、本開示における追跡されたZ方向位置、特定されたZ方向位置などへの参照は全て、モータ位置の追跡、特定などを行うことと同義であると理解されるべきであり、或いは、他の任意の量制御装置20が、それらを、傾斜レール37に沿うステージ35の移動にインデックスを付ける為に使用してよい。例えば、モータ34の動きは、傾斜レール37に沿うステージ35の対応する動きLを引き起こすことが可能であり、これによって、モータ位置は、傾斜レール37に沿うステージ35の位置を特定することを可能にしうる。傾斜レール37に沿う平行移動Lの結果としての、ステージ35(従って、カートリッジ204)のZ方向の移動は、Z=L×sin(α)と表されてよい。傾斜の角度が小さい場合、正接は正弦にほぼ等しく、従って、角度が小さい場合、勾配比Sはほぼsin(α)である。従って、傾斜の角度が小さい場合、分析軸27に平行なZ方向のZ(ステージ/カートリッジの動き成分)は、傾斜レールに沿う平行移動Lに勾配比Sを乗じたものにほぼ等しい。
【0143】
実施形態によっては、分析は、特定のZ方向位置における焦点品質を表しうる適切な数学的尺度(例えば、空間周波数分析)の評価を含んでよい。実施形態によっては、空間周波数が高いほど、焦点品質が高いことを意味してよく、空間周波数が低いほど、焦点品質が低いことを意味してよい。様々なZ方向位置にわたるスキャン、並びにそこでキャプチャされた画像の分析に基づいて、最高品質の焦点の位置を特定することが可能である。所望の流体分析(例えば、細胞計数など)を実施する為に、制御装置20は、観測された最高焦点品質に対応する位置として特定された位置にステージ35を再配置してよい。
【0144】
本開示のシステムは、自動焦点合わせの妥当性を検査するステップを含んでもよい。例えば、上述のように、様々なZ方向位置/レール位置において観測された焦点品質値に基づいて、ターゲット位置を計算することが可能である。計算されたターゲット位置は、最高品質の焦点を与えることが期待されるZ方向位置/レール位置に対応すると考えられる。この計算の妥当性を検査する為に、制御装置20は、所望のZ方向位置/レール位置にステージ35を配置し、分析装置22により画像を収集し、収集された画像を分析し、焦点品質が期待どおりかどうかを判定してよい。
【0145】
本開示のシステムでは、少なくとも幾らかのレベルの機械的分離を実現する為に、特定のシステム同士が関連付けられてよい。例えば、図3及び図18に示されるように、分析装置22は、モータ34及び傾斜レール37も結合されているフレーム38にマウント又は結合されてよい。これに対し、ステージ35及び活性化装置24は、フレーム38と結合されない。逆に、これらは両方一緒に、例えば、モータ34及びシャフト36の作用により、傾斜レール37に沿って自由に摺動する。
【0146】
この構成の結果として、活性化装置24の様々な構成要素の動きの、流体分析に対する潜在的影響を減らすか無くすことが可能である。例えば、ステージ35と活性化装置24とを機械的に結合することにより、カム32及び/又はピストン1804の動きが、カートリッジ204に下向きの力をかけるように働くことが可能であり、これによってカートリッジ204をステージ35まで平行移動させることが可能である。これに対し、(カム32及びピストン1804を含む)活性化装置はステージ35と一緒にマウントされている為、カム32及び/又はピストン1804の動きによる力が直線レール37に伝わることはない。このことは、レールに何らかの力がかかると、レールを損傷したり、レールに沿うステージ35の動きを妨げたりする潜在的可能性があることから、有利であると言える。更に、カートリッジ/ステージ/活性化装置システムの内部にとどまらない何らかの力があると、カートリッジと分析装置22との間の相対的な動きを引き起こす可能性があり、従って、カートリッジ204内の流体に対する分析装置22の焦点に影響を及ぼしたり、焦点を変化させたりする可能性があり、これは流体分析の妨げになる可能性がある。
【0147】
当業者であれば明らかなように、本開示の範囲から逸脱しない限り、本開示の流体分析システムにおいて様々な修正や変形が行われてよい。当業者であれば、本明細書に開示の仕様及び実施態様を検討することにより、本開示のシステム及び方法の別の実施形態が明らかであろう。
〔付記1〕
分析対象の流体試料を含む試料ホルダを受け取るように構成されたステージと、
前記分析対象流体試料の少なくとも1つの特性を監視するように構成された流体分析器と、
傾斜レールと、を含み、
前記ステージは、前記試料ホルダを、前記流体分析器の分析軸に沿う第1の動き成分と、同時に、前記流体分析器の前記分析軸に垂直な第2の動き成分とによって動かす為に前記傾斜レールに沿って動くように構成されており、前記第1の動き成分は、前記分析対象流体試料の少なくとも1つの構成要素に対する、前記流体分析器の焦点に作用する、
流体分析システム。
〔付記2〕
回転可能なカムシャフトと、前記カムシャフトに関連付けられた1つ以上のカムと、を含む活性化装置を更に含み、前記1つ以上のカムは、前記カムシャフトが回転したときに、前記試料ホルダに関連付けられた流体の少なくとも幾らかの動きを引き起こすように構成されており、前記活性化装置は、前記ステージと機械的に結合されていて、前記傾斜レールに沿って前記ステージと一緒に動く、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記3〕
フレームを更に含み、前記モータ、前記流体分析器、及び前記傾斜レールは前記フレームと機械的に結合される、付記2に記載の流体分析システム。
〔付記4〕
前記活性化装置の、前記流体試料を分析の為に調製する動作を制御するようにプログラムされた制御装置を更に含む、付記2に記載の流体分析システム。
〔付記5〕
前記試料ホルダはカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記カートリッジ上で流体導管によってつながれた複数の流体リザーバに関連付けられた少なくとも2つの加圧可能部分を有し、前記流体試料の、分析の為の調製は、前記流体リザーバ間を流体が行ったり来たりするように、前記少なくとも2つの加圧可能部分を前記1つ以上のカムで交互に加圧することを含む、付記2に記載の流体分析システム。
〔付記6〕
前記流体分析器はカメラを含み、前記焦点は光学的焦点である、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記7〕
シャフトを介して前記ステージと結合されたモータを更に含み、前記モータの動作によって、前記ステージが前記傾斜レールに沿って動く、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記8〕
前記分析対象流体試料の前記少なくとも1つの構成要素に対して、前記流体分析器の自動焦点合わせを行うようにプログラムされた制御装置を更に含む、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記9〕
前記制御装置が実施する前記自動焦点合わせは、
前記ステージを、前記傾斜レールに沿って複数の異なる位置まで自動的に動かすことと、
前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて、少なくとも1つの焦点品質指標を算出することと、
前記複数の異なる位置における前記算出された焦点品質指標に基づいて、前記傾斜レールに沿う、前記ステージのターゲット位置を特定することと、
前記ステージを前記ターゲット位置まで動かすことと、によって実施される、
付記8に記載の流体分析システム。
〔付記10〕
前記分析対象流体試料の前記少なくとも1つの構成要素は細胞を含む、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記11〕
前記細胞は、前記試料ホルダに関連付けられたマイクロチャネル内で単一平面状に粘弾性焦点合わせされた細胞を含む、付記10に記載の流体分析システム。
〔付記12〕
前記1つ以上のカムは、前記試料ホルダに関連付けられた少なくとも1つの流体導管を挟みつぶして閉じる為に、前記少なくとも1つの流体導管に対して圧力を発生させるように構成されている、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記13〕
前記試料ホルダはマイクロチャネルを含み、前記流体試料の分析時に、前記分析対象流体試料は前記マイクロチャネルに流される、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記14〕
前記流体分析器は、前記粒子及び前記流体試料が、前記試料ホルダ内に配置されたマイクロチャネル内を流れる際に、前記試料ホルダに対する固定位置から、前記分析対象流体試料内の粒子の画像を取得するように構成されている、付記1に記載の流体分析システム。
〔付記15〕
前記粒子は、前記マイクロチャネル内で単一平面状に粘弾性焦点合わせされた粘弾性焦点合わせ済み粒子である、付記14に記載の流体分析システム。
〔付記16〕
流体試料を分析する方法であって、
前記流体試料を含む試料ホルダを、傾斜レールに沿って、前記傾斜レールに沿う複数の異なる位置まで動かすステップであって、前記試料ホルダの前記移動の結果として、前記流体試料の少なくとも1つの特性を監視するように構成された流体分析器の分析軸に沿う、前記試料ホルダの第1の動き成分と、前記分析軸に垂直な、前記試料ホルダの第2の動き成分と、が得られる、前記動かすステップと、
前記傾斜レールに沿う前記複数の異なる位置のそれぞれにおいて画像を取得するステップと、
前記取得された画像を分析して、前記複数の異なる位置のそれぞれにおける少なくとも1つの焦点品質指標を自動的に算出するステップと、
前記複数の異なる位置における前記算出された焦点品質指標に基づいて、前記傾斜レールに沿う、前記試料ホルダのターゲット位置を特定するステップと、
前記試料ホルダを前記ターゲット位置まで動かすステップと、
前記ターゲット位置において前記流体試料を分析するステップと、
を含む方法。
〔付記17〕
前記ターゲット位置において1つ以上の画像を取得するステップと、
前記ターゲット位置において取得された前記1つ以上の画像の分析に基づいて、前記流体試料中の細胞数を算出するステップと、
を更に含む、付記16に記載の方法。
〔付記18〕
前記流体分析器はカメラを含み、前記分析軸は前記カメラの光軸である、付記16に記載の方法。
〔付記19〕
モータの影響下で前記傾斜レールに沿って動くように構成されたステージの上に前記試料ホルダを保持するステップと、
前記ステージと一緒に前記傾斜レールに沿って移動する活性化装置を使用して、前記流体試料を分析の為に調製するステップと、
を更に含む、付記16に記載の方法。
〔付記20〕
前記活性化装置は、回転可能なカムシャフトと、前記カムシャフトに関連付けられた1つ以上のカムと、を含み、前記1つ以上のカムは、前記カムシャフトが回転したときに、前記試料ホルダに関連付けられた流体の少なくとも幾らかの動きを引き起こすように構成されている、付記19に記載の方法。
〔付記21〕
前記活性化装置の、前記流体試料を分析の為に調製する動作を制御するステップを更に含む、付記20に記載の方法。
〔付記22〕
前記試料ホルダはカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記カートリッジ上で流体導管によってつながれた複数の流体リザーバに関連付けられた少なくとも2つの加圧可能部分を有し、前記流体試料の、分析の為の調製は、前記流体リザーバ間を流体が行ったり来たりするように、前記少なくとも2つの加圧可能部分を前記1つ以上のカムで交互に加圧することを含む、付記21に記載の方法。
〔付記23〕
前記試料ホルダはカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記カートリッジ上の複数の流体リザーバに関連付けられた少なくとも2つの加圧可能部分を有し、前記複数の流体リザーバは、流体導管によってつながれており、且つ、もろい封止部で封止された共通流体出口に関連付けられており、前記流体試料の、分析の為の調製は、前記もろい封止部を開いて、流体が前記共通流体出口を通って流れることを可能にするのに十分な圧力を、前記もろい封止部に対して発生させる為に、前記少なくとも2つの加圧可能部分を前記1つ以上のカムで同時に加圧することを含む、付記21に記載の方法。
〔付記24〕
前記ターゲット位置において前記流体試料を分析する前記ステップは、前記試料ホルダに関連付けられたマイクロチャネル内で単一平面状に粘弾性焦点合わせされた細胞の取得された画像に基づいて細胞数を算出することを含む、付記16に記載の方法。
〔付記25〕
分析対象の流体試料を含む試料ホルダを受け取るように構成されたステージと、
回転可能なカムシャフトと、前記カムシャフトに関連付けられた1つ以上のカムと、を含む活性化装置と、を含み、前記1つ以上のカムは、
前記カムシャフトが回転したときに、前記試料ホルダに関連付けられた流体の少なくとも幾らかの動きを引き起こすことと、
前記カムシャフトが回転したときに、前記試料ホルダ上の2つの流体リザーバに関連付けられた加圧可能部分を交互に加圧することにより、前記2つの流体リザーバの間で流体を行ったり来たりさせることと、
前記試料ホルダに関連付けられた少なくとも1つの流体導管を挟みつぶして閉じる為に、前記少なくとも1つの流体導管に対して圧力を発生させることと、を行うように構成されている、
流体分析システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21