【実施例】
【0094】
以下の実施例は、単に例示目的で提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0095】
以下の略語を本明細書で使用することができ、それらは、以下に示す定義を有する:Acは、アセチル(−C(O)CH
3)であり、AIDSは、後天性免疫不全症候群であり、BocおよびBOCは、tert−ブトキシカルボニルであり、Boc
2Oは、ジ−tert−ブチルジカーボネートであり、Bnは、ベンジルであり、BOM−Clは、塩化ベンジルオキシメチルであり、CANは、硝酸セリウムアンモニウムであり、Cbzは、カルボキシベンジルであり、DCMは、ジクロロメタンであり、DIADは、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートであり、DIPEAは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンであり、DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンであり、DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドであり、DMSOは、ジメチルスルホキシドであり、EDCおよびEDCIは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩であり、ESIは、エレクトロスプレーイオン化であり、EtOAcは、酢酸エチルであり、Glyは、グリシンであり、hは、時間であり、HATUは、2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり、HIVは、ヒト免疫不全ウイルスであり、HOBtは、ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HPLCは、高速液体クロマトグラフィーであり、LCMSは、液体クロマトグラフィー/質量分析法であり、LDAは、リチウムジイソプロピルアミドであり、LiHMDSは、リチウムヘキサメチルジシラザンであり、MTBEは、メチルtert−ブチルエーテルであり、NMDARは、N−メチル−d−アスパルテート受容体であり、NMPは、N−メチル−2−ピロリドンであり、NMRは、核磁気共鳴であり、Pd/Cは、炭素上パラジウムであり、PMBは、パラメトキシベンジルであり、RTは、室温(例えば、約20℃〜約25℃)であり、TBSおよびTBDMSは、tert−ブチルジメチルシリルであり、TEAは、トリエチルアミンであり、TLCは、薄層クロマトグラフィーであり、TFAは、トリフルオロ酢酸であり、THFは、テトラヒドロフランであり、TMSは、トリメチルシリルであり、TMSCNは、トリメチルシリルシアニドであり、TPPは、トリフェニルホスフィンである。
【0096】
実施例1 − 化合物Aおよび化合物Aマレイン酸塩の合成
【化7】
(3R、7aS)−3−(トリクロロメチル)テトラヒドロ−1H,3H−ピロロ[1,2−c]オキサゾール−1−オン(1)の合成:
クロロホルム(50L)中のL−プロリン(2.0kg、0.017mol)の懸濁液に室温で抱水クロラール(5.7kg、0.034mol)を添加した。反応混合物をリバースディーンスターク装置下で60℃に加熱し、得られた水を収集した。16時間後、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。粗固体を冷エタノールで洗浄し、濾過し、乾燥させて化合物1(2.2kg、57%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ5.82(s,1H),4.11−4.08(m,1H),3.33−3.27(m,2H),3.19−3.14(m,1H),2.15−2.10(m,1H),1.96−1.91(m,1H),1.80−1.74(m,1H),1.65−1.58(m,1H).
【0097】
(3R、7aR)−7a−((ベンジルオキシ)メチル)−3−(トリクロロメチル)テトラヒドロ−1H,3H−ピロロ[1,2−c]オキサゾール−1−オン(2)の合成:
ジイソプロピルアミン(221.2mL、1.533mol)のTHF(870mL)溶液に窒素雰囲気下において−78℃でn−BuLi(ヘキサン中1.6M)(958.5mL、1.533mol)を滴下した。添加終了後、反応混合物の温度を−20℃に上げ、1時間撹拌した。再び−78℃に冷却し、THF(1L)中の化合物1(250g、1.022mol)を加え、30分間撹拌した。次いで、ベンジルクロロメチルエーテル(208mL、1.329mol)を滴下し、1時間撹拌を続けた。出発物質が消費された後(TLCによる)、氷冷水(100mL)で反応混合物の反応を停止させ、Et
2O(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを10%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(220g、粗製)を褐色の粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.42−7.26(m,5H),5.60(s,1H),4.59−4.53(d,2H),3.67−3.61(m,2H),3.37−3.33(m,1H),3.31−3.10(m,1H),2.12−1.99(m,2H),1.87−1.75(m,2H);LCMS(ESI):m/z363.9[M
++1].
【0098】
メチル(R)−2−((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン−2−カルボキシレート塩酸塩(3)の合成:
化合物2(400g、1.096mol)のメタノール(1L)溶液に室温でMeOH(1.64L、3.29mol)中の2N HClを添加し、80℃で16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をヘキサン(3×750mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、化合物3(358g、粗製)を、赤味を帯びた粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ10.40(br s,1H),7.40−7.21(m,5H),4.64−4.50(d,2H),4.49−4.3(d,2H),3.76(s,3H),3.33−3.22(m,2H),2.22−2.15(s,1H),2.02−1.9(m,2H),1.95−1.83(m,1H).
【0099】
1−(tert−ブチル)2−メチル(R)−2−((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(4)の合成:
DCM(2.19L)中の化合物3(313g、粗製1.096mol)の撹拌懸濁液に窒素雰囲気下において0℃でEt
3N(458.4mL、3.288mol)を滴下し、10分間撹拌した。次いで、Boc無水物(358.4g、1.644mol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応物を水(2×1L)で希釈し、CH
2Cl
2(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を10%クエン酸(pH〜7)およびブライン溶液(1L)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを20%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4(215g、56%)を無色の粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.37−7.26(m,5H),4.56−4.48(m,2H),4.03−3.87(dd,1H),3.69−3.67(d,1H),3.62(s,3H),3.53−3.47(m,1H),3.33−3.30(m,1H),2.27−2.20(m,1H),2.03−1.89(m,2H),1.88−1.79(m,1H),1.46−1.24(2s,9H);LCMS(ESI):m/z250.1[(M
++1)−Boc].
【0100】
(R)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸(5)の合成:
化合物4(215g、0.616mol)のMeOH:THF:H
2O(3L、5:5:3)溶液にNaOH(73.9g、1.848mol)を添加し、室温で10分間撹拌した。反応混合物を80℃に加熱し、16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を室温にし、揮発性物質を蒸発させた。粗物質を水(1L)で希釈し、Et
2O(2×500mL)で抽出した。分離した水層を、2N HCl溶液(pH〜3)を用いて酸性化し、DCM(2×750mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、化合物5(170g、82.4%)をオフホワイトの固体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ12.66(br s,1H),7.36−7.26(m,5H),4.54−4.47(m,2H),4.05−3.90(dd,1H),3.88−3.63(d,1H),3.63−3.44(m,1H),3.34−3.27(m,1H),2.27−2.01(m,1H),2.02−1.8(m,2H),1.79−1.76(m,1H),1.17−1.14(2s,9H);LCMS(ESI):m/z235.1[(M
++1)−Boc].
【0101】
(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−カルボン酸(6)の合成:
CH
3OH(1L)中の化合物5(170g、0.507mol)の撹拌溶液に50%湿10%Pd−C(68g)を室温で添加し、H
2雰囲気下で16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、パッドをCH
3OH(1L)で洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮して、化合物6(110g、88%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ12.66(br s,1H),3.96−3.83(dd,1H),3.63−3.60(m,1H),3.49−3.46(m,1H),3.34−3.25(m,2H),2.30−2.15(m,1H),1.95−1.72(m,3H),1.38−1.33(2s,9H);LCMS(ESI):m/z244[M
+−1];キラルHPLC:95.88%.
【0102】
tert−ブチル(R)−2−(((2S,3R)−1,3−ビス(ベンジルオキシ)−1−オキソブタン−2−イル)カルバモイル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(7)の合成:
N
2雰囲気下で0℃に冷却したDCM(20mL)中の化合物6(110g、0.448mol)の撹拌溶液にジイソプロピルエチルアミン(206mL、1.12mol)、中間体D1(150g、0.448mol)およびHATU(204g、0.537mol)を添加した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をDCM(1L)で希釈し、水(2×500mL)、10%クエン酸溶液(500mL)およびブライン溶液(500mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを30%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物7(143g、60%)を無色の粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ8.20−8.12(d,1H),7.29−7.18(m,10H),5.83−5.59(m,1H),5.08(s,2H),4.50−4.44(m,2H),4.30−4.26(m,1H),4.08−4.00(m,2H),3.42−3.40(m,2H),3.39−3.29(m,1H),2.19−2.08(m,1H),1.96−1.87(m,1H),1.68−1.63(m,2H),1.23−1.15(2s,9H),1.14−1.13(d,3H);LCMS(m/z):525.2[M
+−1];HPLC:76.2%;ChiralHPLC:69.47%.
【0103】
tert−ブチル(R)−2−((2S,3R)−1,3−ビス(ベンジルオキシ)−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(8)の合成:
トリフェニルホスフィン(161.4g、0.612mol)のTHF(430mL)溶液に窒素雰囲気下において室温でDIAD(123.8g、0.612mol)を滴下し、15分間撹拌した。これに化合物7(215g、0.408mol)のTHF(860mL)溶液を滴下し、室温で4時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粗物質を20%EtOAc/ヘキサンで溶離させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物8(180g、DIAD副生成物との混合物)を黄色のシロップとして得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ7.31−7.18(m,10H),5.18−5.10(m,2H),4.61−4.54(m,2H),4.27−4.18(m,2H),3.78−3.77(d,1H),3.45−3.43(d,1H),3.35−3.31(d,1H),3.27−3.23(m,1H),2.03−1.98(m,2H),1.78−1.76(m,2H),1.39−1.31(2s,9H),1.23−1.22(d,3H)(DIAD副生成物のピークは捕捉されなかった);LCMS(ESI):m/z509.4[M
++1].
【0104】
(2S,3R)−2−((R)−5−(tert−ブトキシカルボニル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸(9)の合成:
化合物8(85g、0.167mol)のメタノール(850mL)溶液をN
2雰囲気下で脱気した。次いで、50%湿10%Pd−C(40g)を室温で添加し、H
2雰囲気下で24時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗固体をEt
2O(1L)で希釈し、室温で1時間激しく撹拌した。得られた固体物質を濾別し、乾燥して化合物9(75g、68%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ12.86(br s,1H),5.24(br s 1H),4.06−4.00(m,2H),3.88−3.82(m,1H),3.51−3.50(m,1H),3.43−3.34(m,1H),3.31−3.23(m,1H),2.15−2.09(m,2H),1.82−1.78(m,2H),1.39−1.31(2s,9H),1.10−1.08(d,3H);LCMS(m/z):329.1[M
++1];HPLC:93.97%.
【0105】
tert−ブチル(R)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(A4)の合成:
0℃のCH
2Cl
2(2L)中の化合物9(150g、0.457mol)の撹拌溶液にジイソプロピルエチルアミン(176.85g、1.37mol)、NH
4Cl(48.8g、0.914mol)およびHATU(208.3g 0.548mol)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を室温にし、12時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を水(2×750mL)で希釈し、CH
2Cl
2(2×1L)で抽出した。合わせた有機層を2N HCl溶液および飽和塩化ナトリウム溶液(750mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、純化合物を3%MeOH/CH
2Cl
2で溶離した。得られた物質をDCM(2L)で希釈し、飽和クエン酸(5×500mL)で洗浄し、飽和重炭酸塩洗浄、続いてブライン洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。物質をエーテル(2×500mL)で研和して化合物A4(80g、53%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,D
2O):δ4.36−4.21(m,2H),4.03−3.98(m,1H),3.76−3.67(m,1H),3.56−.3.37(m,2H),2.32−2.23(m,2H),1.97−1.93(m,2H),1.49−1.47(2s,9H),1.33−1.32(d,3H);LCMS(ESI):m/z328.3[M
++1];HPLC:99.30%;キラルHPLC:98.97%;SOR(c=1、CH
3OH):−11.08.
【0106】
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(10)の合成:
化合物A4(10g、0.030mol)のCH
2Cl
2(50mL)中の撹拌溶液に窒素雰囲気下において0℃でTFA(24mL、0.3058mol)を添加した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粘度の高いシロップ物質をエーテル(2×100mL)およびヘキサン(1×100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物10(3.5g、TFA塩)を粘度の高いシロップとして得、これを次の工程に用いた。粗製RMは、精製することなくそのまま先に進めた。LCMS(ESI):m/z228.1[M
++1].
【0107】
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(化合物A)の合成:
メタノール(50mL)中の化合物10(10g、TFA塩0.028mol)の撹拌溶液にイソブチルアルデヒド(10mL、0.115mmol)、続いてAcOH(12mL)を窒素雰囲気下において室温で添加し、10分間撹拌した。次いで、NaCNBH
3(7.2g、11.5mmol)を少しずつ添加し、16時間撹拌を続けた。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をCH
2Cl
2(10mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。5gのバッチで同様の反応を行った。両方のロットを合わせ、得られた粗物質を4%MeOH/DCMで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミドの混合物を得た。得られた混合物をさらにカラムクロマトグラフィーに供し、(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(8g)を粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,CD
3OD):δ4.16−4.12(m,1H),4.09(d,J=7.0Hz,1H),3.60(d,J=6.0Hz,1H),3.54(d,J=6.0Hz,1H),2.97−2.93(m,1H),2.75(q,J=8.0Hz,1H),2.47−2.45(m,2H),2.22−2.18(m,1H),2.16−2.10(m,1H),1.92−1.83(m,2H),1.76−1.73(m,1H),1.24(d,J=6.0Hz,3H),0.92−0.89(m,6H);LCMS(ESI):m/z284.1[M
++1];HPLC:97.65%;キラルHPLC:98.25%;SOR(c=1、CH
3OH):1.6.
【0108】
(4R)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−イウム(Z)−3−カルボキシアクリレート(化合物Aマレイン酸塩)の合成:
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(400mg、1.41mmol)の溶液にマレイン酸(148mg、1.27mmol)を室温で添加し、16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、水を減圧下で除去した。得られた粗物質をペンタンおよびヘキサンで研和し、真空下で乾燥して、(4R)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−イウム(Z)−3−カルボキシアクリレート(530mg、94%)を白色固体として得た。
1H NMR(500MHz,CD
3OD)δ6.29(s,2H),4.21−4.12(m,2H),3.91−3.85(m,1H),3.83−3.79(m,1H),3.61−3.51(m,1H),3.29−3.19(m,1H),3.04(dd,J=9.0,12.5Hz,1H),2.90(dd,J=5.8,12.2Hz,1H),2.52−2.43(m,1H),2.40−2.31(m,1H),2.25−1.97(m,3H),1.28(d,J=5.8Hz,3H),1.04(dd,J=6.4,9.9Hz,6H);LCMS(ESI):m/z284.3[M
++1−マレイン酸];HPLC:96.83%;融点:113.4℃〜117.5℃.
【0109】
Int−Dの調製:
(tert−ブトキシカルボニル)−L−トレオニン(A1)の合成:
SM−2(50g、0.420mol)の1,4−ジオキサン:水(500mL、1:1)溶液にNaHCO
3(133g、1.255mol)を室温で少しずつ加え、15分間撹拌した。次いで、Boc無水物(144mL、0.629mol)を反応混合物に滴下し、撹拌を室温で16時間継続した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を水(200mL)で希釈し、1NのHCl(pH約2)を用いることによって酸性にした。水層をEtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×200mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、A1(80g、87%)を無色のシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ12.5(br s,1H),6.30(d,J=8.5Hz,1H),4.50(br s,1H),4.05−4.02(m,1H),3.88−3.86(m,1H),1.39(s,9H),1.08(d,J=6.0Hz,3H);
LCMS(m/z):218.1[M
+−1]
【0110】
O−ベンジル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トレオニン(B1)の合成:
DMF(800mL)中の化合物A1(80g、0.365mol)の撹拌溶液にN
2雰囲気下において−20℃で60%NaH(22g、0.913mol)を少しずつ添加し、2時間撹拌した。これに臭化ベンジル(52mL、0.438mol)を滴下し、反応混合物を0℃で4時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、氷冷水で反応混合物の反応を停止させ、ジエチルエーテル(2×500mL)で抽出した。水層を、1N HCl(pH〜2)を用いて酸性化した。水層をEtOAc(2×1L)で抽出した。分離した有機層をブライン溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、化合物B1(84g、粗製)を粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ12.64(br s,1H),7.34−7.25(m,5H),6.46(d,J=8.5Hz,1H),4.53(d,J=11.5Hz,1H),4.39(d,J=12.0Hz,1H),4.00−3.98(m,2H),1.39(s,9H),1.15(d,J=6.0Hz,3H).
【0111】
ベンジルO−ベンジル−N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−トレオニン酸(C1)の合成:
DMF(780mL)中の化合物B1(78g、0.252mol)の撹拌溶液にK
2CO
3(87g、0.631mol)をN
2雰囲気下において室温で添加し、30分間撹拌した。これに臭化ベンジル(45mL、0.378mol)を室温で滴下し、16時間撹拌した。水(2L)で反応混合物の反応を停止させ、ジエチルエーテル(2×1L)で抽出した。分離した有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗物質を10%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物C1(68g、68%)を黄色のシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.37−7.18(m,10H),6.81(d,J=9.0Hz,1H),5.08(s,2H),4.49(d,J=12.0Hz,1H),4.32(d,J=12.0Hz,1H),4.25−4.22(m,1H),4.01−3.98(m,1H),1.38(s,9H),1.15(d,J=6.0Hz,3H);質量(ESI):m/z399.4[M
+].
【0112】
ベンジルO−ベンジル−L−トレオニン塩酸塩(D1)の合成:
化合物C1(68g、0.170mol)のジエチルエーテル(500mL)溶液に1,4−ジオキサン中の4N HCl(130mL、0.511mol)を添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗物質をジエチルエーテル(1L)に溶解し、室温で1時間激しく撹拌した。得られた固体を濾別し、減圧下で乾燥させて化合物D1(50g、87%)を白色固体(HCl塩)として得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ8.59(s,2H),7.50−7.25(m,10H),5.23(d,J=12.5Hz,1H),5.16(d,J=12.5Hz,1H),4.54(d,J=12.0Hz,1H),4.36(d,J=12.0Hz,1H),4.12−4.09(m,1H),4.09−3.99(m,1H),1.29(d,J=6.5Hz,3H);質量(ESI):m/z336.4[M
++1].
【0113】
実施例2 − 化合物Bおよび化合物Bマレイン酸塩の合成
【化8】
(3S,7aR)−3−(トリクロロメチル)テトラヒドロ−1H,3H−ピロロ[1,2−c]オキサゾール−1−オン(1)の合成:
クロロホルム(60L)中のD−プロリン(3kg、26.057mol)の懸濁液に室温で抱水クロラール(8.62kg、52.115mol)を添加した。反応混合物をリバースディーンスターク装置下で80℃に加熱し、得られた水を収集した。24時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、ブライン溶液(25L)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、30分間静置した。分離した有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、揮発物を減圧下で蒸発させた。得られた粗製固体を冷エタノール(5L)でスラリー化し、濾過し、乾燥して、化合物1(4.7kg、74%)をオフホワイトの固体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ5.82(s,1H),4.11−4.09(m,1H),3.33−3.28(m,1H),3.19−3.14(m,1H),2.17−2.10(m,1H),1.97−1.91(m,1H),1.80−1.74(m,1H),1.65−1.58(m,1H).
【0114】
(3S,7aS)−7a−((ベンジルオキシ)メチル)−3−(トリクロロメチル)テトラヒドロ−1H,3H−ピロロ[1,2−c]オキサゾール−1−オン(2)の合成:
ジイソプロピルアミン(442mL、3.067mol)のTHF(1L)溶液に窒素雰囲気下において−78℃でn−BuLi(ヘキサン中1.6M)(1.91L、3.067mol)を滴下した。添加終了後、反応混合物の温度を−20℃に上げ、45分間撹拌した。再び−78℃に冷却し、THF(2L)中の化合物1(500g、2.044mol)を滴下し、45分間撹拌した。次いで、ベンジルクロロメチルエーテル(425mL、3.067mol)を滴下し、2時間撹拌を続けた。出発物質が消費された後(TLCによる)、氷冷水(2L)で反応混合物の反応を停止させ、Et
2O(2×1L)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3L)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを10%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(425g、57%)を黄色の液体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.35−7.26(m,5H),5.60(s,1H),4.59−4.53(d,2H),3.67−3.62(m,2H),3.71−3.31(m,1H),3.16−3.11(m,1H),2.12−1.99(m,2H),1.86−1.72(m,2H);LCMS(ESI):m/z363.8[M
+−1].
【0115】
メチル(S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン−2−カルボキシレート塩酸塩(3)の合成:
化合物2(1kg、2.742mol)のメタノール(2L)溶液にメタノール中の2N HCl(4.1L、8.227mol)を室温で添加し、30分間撹拌した。反応混合物を60℃で16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粗シロップをDM水(3L)で希釈し、EtOAc(2×1L)で洗浄した。水層pH(8〜9)をNaHCO3溶液で調整した。水層を5%MeOH/DCM(2×2L)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物3(600g、88%)を褐色のシロップとして得た。別の1kgバッチを繰り返し、600gの化合物3を得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ10.54(br s,1H),9.44(br s,1H),7.40−7.30(m,5H),4.68−4.62(d,1H),4.51−4.46(d,1H),4.00−3.90(m,2H),3.76(s,3H),3.33−3.16(m,2H),2.20−2.14(s,1H),2.01−1.85(m,3H).
【0116】
1−(tert−ブチル)2−メチル(S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(4)の合成:
DCM(6L)中の化合物3(1.2kg、4.819mol)の撹拌懸濁液に窒素雰囲気下において0℃でEt
3N(1.35L、9.638mol)を滴下し、20分間撹拌した。次いで、0℃でBoc無水物(1.65L、7.228mol)を滴下した。反応混合物を室温にし、8時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応物をDM水(3L)で希釈し、DCM(2L)で抽出した。合わせた有機層を10%クエン酸(2L)溶液およびブライン溶液(2L)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、化合物4(2kg、粗製)を褐色のシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.37−7.28(m,5H),4.57−4.50(m,2H),4.03−3.88(dd,1H),3.71−3.69(d,1H),3.63(s,3H),3.52−3.47(m,1H),3.36−3.31(m,1H),2.32−2.23(m,1H),2.05−1.88(m,2H),1.82−1.77(m,1H),1.38−1.26(s,9H);LCMS(ESI):m/z350.2[(M
++1)].
【0117】
(S)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸(5)の合成:
化合物4(1kg、2.865mol)のMeOH:THF(3L、1:1)溶液にH
2O(1.5L)中のNaOH(343.84g、8.595mol)を室温で添加し、70℃で6時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を室温にし、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。粗物質を水(5L)で希釈し、EtOAc(2×2L)で抽出した。分離した水層を、6N HCl溶液(pH〜2)を用いて酸性化し、DCM(3×2L)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して化合物5(550g、58%)を褐色のシロップとして得た。別の1kgバッチを繰り返し、550gの化合物5を得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ12.68(br s,1H),7.36−7.28(m,5H),4.56−4.49(m,2H),4.07−3.90(dd,1H),3.66−3.64(d,1H),3.50−3.44(m,1H),2.29−2.20(m,1H),2.03−1.75(m,3H),1.39−1.28(2s,9H).LCMS(ESI):m/z236.0[M
++1−Boc];HPLC:76.79%;キラルHPLC:96.26%
【0118】
(S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−カルボン酸(6)の合成:
メタノール(10L)中の化合物5(1.1kg、32.835mol)の撹拌溶液に50%湿10%Pd−C(500g)を室温で添加し、H
2雰囲気下で8時間撹拌した(3kg)。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、パッドをメタノール(50mL)で洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをEt
2Oで研和してオフホワイトの固体として化合物6(650g、81%)を得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ3.92−3.80(dd,1H),3.64−3.61(m,1H),3.49−3.34(m,1H),3.32−3.26(m,1H),2.29−2.16(m,1H),1.95−1.71(m,3H),1.38−1.33(s,9H);LCMS(ESI):m/z243.8[M
+−1].
【0119】
tert−ブチル(S)−2−(((2S,3R)−1,3−ビス(ベンジルオキシ)−1−オキソブタン−2−イル)カルバモイル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(7)の合成:
化合物6(450g、0.836mol)のDCM(4.5L)溶液に窒素雰囲気下において0〜5℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(846mL、4.591mol)を添加した。10分間撹拌した後、中間体D1(615g、1.836mol)を添加した。10分間撹拌した後、HATU(701g、2.204mol)を添加した。反応混合物を室温にし、6時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をDCM(1L)で希釈し、水(2×2L)、10%クエン酸溶液(2L)およびブライン溶液(2L)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを40%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物7を得、これをEt
2O(1.5L)中に溶解し、1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、真空下で乾燥して化合物7(630g、65%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ7.91−7.89(d,0.5H),7.53−7.51(d,0.5H),7.32−7.19(m,10H),5.64(br s,1H),5.16−5.04(m,2H),4.62−4.49(m,2H),4.31−4.28(m,1H),4.09−4.02(m,1.5H),3.87(br s,1H),3.57−3.56(m,0.5H),3.43−3.37(m,1H),3.29−3.25(m,1H),2.32−2.14(m,1H),1.98−1.90(m,1H),1.75−1.69(m,2H),1.33−1.26(2s,9H),1.14−1.12(d,3H);LCMS(m/z):527.6[M
++1];HPLC:96.60%.
【0120】
tert−ブチル(S)−2−((2S,3R)−1,3−ビス(ベンジルオキシ)−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(8)の合成:
トリフェニルホスフィン(295g、1.125mol)のTHF(846mL)溶液に窒素雰囲気下において室温でDIAD(227g、1.125mol)を滴下し、30分間撹拌した。反応混合物を15℃に冷却し、化合物7(423g、0.804mol)のTHF(1.2L)溶液を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた粗物質をヘキサンで洗浄し、続いて50%Et
2O/ヘキサンで30分間撹拌した。形成された沈殿物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を40%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物8(425g、粗製)を褐色のシロップとして得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ7.38−7.21(m,10H),5.17−5.10(m,2H),4.56−4.50(m,2H),4.31−4.28(d,1H),4.06−3.99(m,2H),3.89−3.88(d,0.5H),3.48−3.47(d,0.5H),3.36−3.34(m,1H),3.25−3.19(m,1H),2.10−2.02(m,2H),1.79−1.77(m,2H),1.40−1.25(s,9H),1.15−1.12(d,3H).LCMS(ESI):m/z509.4[M
++1];HPLC:92.31%;キラルHPLC:86.47%.
【0121】
(2S,3R)−2−((S)−5−(tert−ブトキシカルボニル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸(9)の合成:
化合物8(283g、0.557mol)のメタノール(1.2L)溶液をN
2雰囲気下で脱気した。次いで、50%湿10%Pd−C(140g)を室温で添加し、H
2雰囲気下で24時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗固体をEt
2O(500mL)で希釈し、0℃で1時間激しく撹拌した。得られた固体物質を濾別し、乾燥して化合物9(140g、76%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ12.86(br s,1H),5.24(br s 1H),4.06−4.00(m,2H),3.88−3.82(m,1H),3.51−3.50(m,1H),3.43−3.34(m,1H),3.31−3.23(m,1H),2.15−2.09(m,2H),1.82−1.78(m,2H),1.39−1.31(2s,9H),1.10−1.08(d,3H);LCMS(m/z):327.1[M
+−1];HPLC:95.44%;キラルHPLC:100.00%.
【0122】
tert−ブチル(S)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(B4)の合成:
CH
2Cl
2(4.2L)中の化合物9(420g、1.28mol)の撹拌溶液に窒素雰囲気下において0℃でHATU(584g、1.536mol)、NH
4Cl(137g、2.56mol)およびジイソプロピルエチルアミン(708mL、3.841mol)を添加した。反応混合物を室温にし、8時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を水(2L)とCH
2Cl
2(2L)との間で分配し、15分間撹拌した。有機層を分離し、2N HCl溶液(2×1L)および飽和NaHCO
3溶液(2L)およびブライン溶液(2L)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を5%MeOH/CH
2Cl
2で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物B4(320g、混合物)をオフホワイトの固体として得た。混合化合物B4(87g)をDCMに溶解し、室温で1時間激しく撹拌しながらEt
2Oで再沈殿させた。生成物を濾過し、真空下で乾燥して化合物B4(82g)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,D
2O):δ4.53−4.10(m,2H),4.08−3.96(m,1H),3.80−3.72(m,1H),3.60−3.39(m,2H),2.53−2.31(m,2H),2.02−1.93(m,2H),1.51−1.45(s,9H),1.31−1.29(d,3H);LCMS(ESI):m/z326.1[M
+−1];HPLC:99.66%;キラルHPLC:99.76%;SOR(c=1、MeOH):−49.61.
【0123】
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((S)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(10)の合成:
化合物B4(10g、0.031mol)のCH
2Cl
2(40mL)中の撹拌溶液に窒素雰囲気下において0℃でTFA(23mL、0.305mol)を添加した。反応混合物を室温にし、3時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粘度の高いシロップ物質をエーテル(2×50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物10(10g、TFA塩、粗製)を粘度の高いシロップとして得、これを次の工程に用いた。
1H−NMR:(400MHz,D
2O):δ4.38−4.10(m,2H),4.11−3.94(m,2H),3.56−3.44(m,2H),2.52−2.38(m,2H),2.24−2.16(m,2H),1.39−1.27(d,3H);LCMS(ESI):m/z228.2[M
++1].
【0124】
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((S)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(化合物B)の合成:
メタノール(50mL)中の粗化合物10(10g、TFA塩0.029mol)の撹拌溶液にイソブチルアルデヒド(6.5mL、0.073mol)、続いてAcOH(2.5mL)を窒素雰囲気下において室温で添加し、10分間撹拌した。次いで、NaCNBH
3(5.4g、0.087mol)を少しずつ添加し、16時間撹拌を続けた。出発物質の消費(TLCによる)は完了しなかった。再度、イソブチルアルデヒド(3.2mL、0.036mol)およびAcOH(1mL)を添加し、2時間撹拌を続けた。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をCH
2Cl
2(20mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を4%MeOH/DCMで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((S)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(6g)を粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,CD
3OD):δ4.10−4.07(m,2H),3.63(d,J=5.5Hz,1H),3.49(d,J=6.0Hz,1H),2.97−2.93(m,1H),2.74(q,J=8.0Hz,1H),2.41−2.34(m,2H),2.26−2.20(m,1H),2.17−2.11(m,1H),1.94−1.81(m,2H),1.73−1.69(m,1H),1.21(d,J=6.0Hz,3H),0.91−0.89(m,6H);LCMS(ESI):m/z284.1[M
++1];HPLC:99.53%;キラルHPLC:100.00%;SOR(c=0.5、MeOH):−60.25.
【0125】
(4S)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−イウム(Z)−3−カルボキシアクリレート(化合物Bマレイン酸塩)の合成:
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((S)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(180mg、0.636mmol)の溶液にマレイン酸(59mg、0.508mmol)を室温で添加し、16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、水を減圧下で除去した。得られた粗物質をペンタンおよびヘキサンで研和し、真空下で乾燥して、(4S)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−5−イソブチル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−イウム(Z)−3−カルボキシアクリレート(210mg、86%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD)δ6.28(s,2H),4.21−4.11(m,2H),3.90(d,J=7.0Hz,1H),3.71(d,J=7.0Hz,1H),3.47−3.36(m,1H),3.20−3.09(m,1H),2.92−2.82(m,1H),2.81−2.71(m,1H),2.48−2.38(m,1H),2.36−2.26(m,1H),2.20−1.88(m,3H),1.24(d,J=6.0Hz,3H),1.00(t,J=7.0Hz,6H);LCMS(ESI):m/z284.2[M
++1−マレイン酸];HPLC:97.98%;融点:114.8℃〜118.3℃.
【0126】
実施例3 − 化合物Cの合成
【化9】
(3R,7aS)−3−(トリクロロメチル)テトラヒドロ−1H,3H−ピロロ[1,2−c]オキサゾール−1−オン(1)の合成:
クロロホルム(50L)中のL−プロリン(2.0kg、0.017mol)の懸濁液に室温で抱水クロラール(5.7kg、0.034mol)を添加した。反応混合物をリバースディーンスターク装置下で60℃に加熱し、得られた水を収集した。16時間後、揮発性物質を減圧下で濃縮した。粗固体を冷エタノールで洗浄し、濾過し、乾燥させて化合物1(2.2kg、57%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ5.82(s,1H),4.11−4.08(m,1H),3.33−3.27(m,2H),3.19−3.14(m,1H),2.15−2.10(m,1H),1.96−1.91(m,1H),1.80−1.74(m,1H),1.65−1.58(m,1H).
【0127】
(3R,7aR)−7a−((ベンジルオキシ)メチル)−3−(トリクロロメチル)テトラヒドロ−1H,3H−ピロロ[1,2−c]オキサゾール−1−オン(2)の合成:
ジイソプロピルアミン(221.2mL、1.533mol)のTHF(870mL)溶液に窒素雰囲気下において−78℃でn−BuLi(ヘキサン中1.6M)(958.5mL、1.533mol)を滴下した。添加終了後、反応混合物の温度を−20℃に上げ、1時間撹拌した。再び−78℃に冷却し、THF(1L)中の化合物1(250g、1.022mol)を加え、30分間撹拌した。次いで、ベンジルクロロメチルエーテル(208mL、1.329mol)を滴下し、1時間撹拌を続けた。出発物質が消費された後(TLCによる)、氷冷水(100mL)で反応混合物の反応を停止させ、Et
2O(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、これを10%EtOAC/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(220g、粗製)を褐色の粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.42−7.26(m,5H),5.60(s,1H),4.59−4.53(d,2H),3.67−3.61(m,2H),3.37−3.33(m,1H),3.31−3.10(m,1H),2.12−1.99(m,2H),1.87−1.75(m,2H);LCMS(ESI):m/z363.9[M
++1].
【0128】
メチル(R)−2−((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン−2−カルボキシレート塩酸塩(3)の合成:
化合物2(400g、1.096mol)のメタノール(1L)溶液に室温でMeOH(1.64L、3.29mol)中の2N HClを添加し、80℃で16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物をヘキサン(3×750mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、化合物3(358g、粗製)を、赤味を帯びた粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ10.40(br s,1H),7.40−7.21(m,5H),4.64−4.50(d,2H),4.49−4.3(d,2H),3.76(s,3H),3.33−3.22(m,2H),2.22−2.15(s,1H),2.02−1.9(m,2H),1.95−1.83(m,1H).
【0129】
1−(tert−ブチル)2−メチル(R)−2−((ベンジルオキシ)メチル)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(4)の合成:
DCM(2.19L)中の化合物3(313g、粗製1.096mol)の撹拌懸濁液に窒素雰囲気下において0℃でEt
3N(458.4mL、3.288mol)を滴下し、10分間撹拌した。次いで、Boc無水物(358.4g、1.644mol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温にし、16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応物を水(2×1L)で希釈し、CH
2Cl
2(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を10%クエン酸(pH〜7)およびブライン溶液(1L)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを20%EtOAC/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物4(215g、56%)を無色の粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ7.37−7.26(m,5H),4.56−4.48(m,2H),4.03−3.87(dd,1H),3.69−3.67(d,1H),3.62(s,3H),3.53−3.47(m,1H),3.33−3.30(m,1H),2.27−2.20(m,1H),2.03−1.89(m,2H),1.88−1.79(m,1H),1.46−1.24(2s,9H);LCMS(ESI):m/z250.1[(M
++1)−Boc].
【0130】
(R)−2−((ベンジルオキシ)メチル)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸(5)の合成:
化合物4(215g、0.616mol)のMeOH:THF:H
2O(3L、5:5:3)溶液にNaOH(73.9g、1.848mol)を添加し、室温で10分間撹拌した。反応混合物を80℃に加熱し、16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を室温にし、揮発性物質を蒸発させた。粗物質を水(1L)で希釈し、Et
2O(2×500mL)で抽出した。分離した水層を、2N HCl溶液(pH〜3)を用いて酸性化し、DCM(2×750mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、化合物5(170g、82.4%)をオフホワイトの固体として得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ12.66(br s,1H),7.36−7.26(m,5H),4.54−4.47(m,2H),4.05−3.90(dd,1H),3.88−3.63(d,1H),3.63−3.44(m,1H),3.34−3.27(m,1H),2.27−2.01(m,1H),2.02−1.8(m,2H),1.79−1.76(m,1H),1.17−1.14(2s,9H);LCMS(ESI):m/z235.1[(M
++1)−Boc].
【0131】
(R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−2−カルボン酸(6)の合成:
CH
3OH(1L)中の化合物5(170g、0.507mol)の撹拌溶液に50%湿10%Pd−C(68g)を室温で添加し、H
2雰囲気下で16時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、パッドをCH
3OH(1L)で洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮して、化合物6(110g、88%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ12.66(br s,1H),3.96−3.83(dd,1H),3.63−3.60(m,1H),3.49−3.46(m,1H),3.34−3.25(m,2H),2.30−2.15(m,1H),1.95−1.72(m,3H),1.38−1.33(2s,9H);LCMS(ESI):m/z244[M
+−1];キラルHPLC:95.88%.
【0132】
tert−ブチル(R)−2−(((2S,3R)−1,3−ビス(ベンジルオキシ)−1−オキソブタン−2−イル)カルバモイル)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(7)の合成:
N
2雰囲気下で0℃に冷却したDCM(20mL)反応混合物中の化合物6(110g、0.448mol)の撹拌溶液にジイソプロピルエチルアミン(206mL、1.12mol)を添加し、中間体D1(150g、0.448mol)およびHATU(204g、0.537mol)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をDCM(1L)で希釈し、水(2×500mL)、10%クエン酸溶液(500mL)およびブライン溶液(500mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗化合物を得、これを30%EtOAc/n−ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物7(143g、60%)を無色の粘度の高いシロップとして得た。
1H−NMR:(500MHz,DMSO−d
6):δ8.20−8.12(d,1H),7.29−7.18(m,10H),5.83−5.59(m,1H),5.08(s,2H),4.50−4.44(m,2H),4.30−4.26(m,1H),4.08−4.00(m,2H),3.42−3.40(m,2H),3.39−3.29(m,1H),2.19−2.08(m,1H),1.96−1.87(m,1H),1.68−1.63(m,2H),1.23−1.15(2s,9H),1.14−1.13(d,3H);LCMS(m/z):525.2[M
+−1];HPLC:76.2%;キラルHPLC:69.47%.
【0133】
tert−ブチル(R)−2−((2S,3R)−1,3−ビス(ベンジルオキシ)−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(8)の合成:
トリフェニルホスフィン(161.4g、0.612mol)のTHF(430mL)溶液に窒素雰囲気下において室温でDIAD(123.8g、0.612mol)を滴下し、15分間撹拌した。これに化合物7(215g、0.408mol)のTHF(860mL)溶液を滴下し、室温で4時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粗物質を20%EtOAc/ヘキサンで溶離させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物8(180g、DIAD副生成物との混合物)を黄色のシロップとして得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ7.31−7.18(m,10H),5.18−5.10(m,2H),4.61−4.54(m,2H),4.27−4.18(m,2H),3.78−3.77(d,1H),3.45−3.43(d,1H),3.35−3.31(d,1H),3.27−3.23(m,1H),2.03−1.98(m,2H),1.78−1.76(m,2H),1.39−1.31(2s,9H),1.23−1.22(d,3H)(DIAD副生成物のピークは捕捉されなかった);LCMS(ESI):m/z509.4[M
++1].
【0134】
(2S,3R)−2−((R)−5−(tert−ブトキシカルボニル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸(9)の合成:
化合物8(85g、0.167mol)のメタノール(850mL)溶液をN
2雰囲気下で脱気した。次いで、50%湿10%Pd−C(40g)を室温で添加し、H
2雰囲気下で24時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗固体をEt
2O(1L)で希釈し、室温で1時間激しく撹拌した。得られた固体物質を濾別し、乾燥して化合物9(75g、68%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,DMSO−d
6):δ12.86(br s,1H),5.24(br s 1H),4.06−4.00(m,2H),3.88−3.82(m,1H),3.51−3.50(m,1H),3.43−3.34(m,1H),3.31−3.23(m,1H),2.15−2.09(m,2H),1.82−1.78(m,2H),1.39−1.31(2s,9H),1.10−1.08(d,3H);LCMS(m/z):329.1[M
++1];HPLC:93.97%.
【0135】
tert−ブチル(R)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(A4)の合成:
反応混合物を0℃に冷却した状態のCH
2Cl
2(2L)中の化合物9(150g、0.457mol)の撹拌溶液にジイソプロピルエチルアミン(176.85g、1.37mol)、NH
4Cl(48.8g、0.914mol)およびHATU(208.3g 0.548mol)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を室温にし、12時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物を水(2×750mL)で希釈し、CH
2Cl
2(2×1L)で抽出した。合わせた有機層を2N HCl溶液および飽和塩化ナトリウム溶液(750mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、純化合物を3%MeOH/CH
2Cl
2で溶離した。得られた物質をDCM(2L)で希釈し、飽和クエン酸(5×500mL)で洗浄し、飽和重炭酸塩洗浄、続いてブライン洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。物質をエーテル(2×500mL)で研和して化合物A4(80g、53%)を白色固体として得た。
1H−NMR:(400MHz,D
2O):δ4.36−4.21(m,2H),4.03−3.98(m,1H),3.76−3.67(m,1H),3.56−.3.37(m,2H),2.32−2.23(m,2H),1.97−1.93(m,2H),1.49−1.47(2s,9H),1.33−1.32(d,3H);LCMS(ESI):m/z328.3[M
++1];HPLC:99.30%;キラルHPLC:98.97%;SOR(c=1、CH
3OH):−11.08.
【0136】
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(10)の合成:
化合物A4(2g、6.16mmol)のCH
2Cl
2(10mL)中の撹拌溶液に窒素雰囲気下において0℃でTFA(1.0mL、12.2mmol)を添加した。反応混合物を室温にし、2時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。得られた粘度の高いシロップ物質をエーテル(2×50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗化合物10(2.5g、TFA塩)を粘度の高いシロップとして得、これを次の工程に用いた。
1H NMR(500MHz,CD
3OD):δ4.24−4.17(m,2H),3.99−3.89(m,2H),3.52−3.39(m,2H),2.46−2.32(m,2H),2.26−2.10(m,2H),1.28(d,J=6.1Hz,3H);LCMS(ESI):m/z228.1[M
++1].
【0137】
(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−((S)−2−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(化合物C):
メタノール(10mL)中の化合物10(TFA塩、2g、5.86mmol)の撹拌溶液にNaOMe(630mg、11.7mmol)、続いて(S)−2−メチルオキシラン(510mg、8.79mmol)を窒素雰囲気下において室温で添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。出発物質が消費された後(TLCによる)、反応混合物をCH
2Cl
2(10mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を5%MeOH/DCMで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−((S)−2−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(185mg、12%)を粘度の高いシロップとして得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ4.18−4.07(m,2H),3.90−3.81(m,1H),3.63(d,J=6.1Hz,1H),3.58(d,J=6.1Hz,1H),3.11(dt,J=4.2,8.2Hz,1H),2.83−2.67(m,2H),2.62−2.54(m,1H),2.26−2.12(m,2H),1.98−1.83(m,2H),1.24(d,J=6.1Hz,3H),1.14(d,J=6.3Hz,3H);LCMS(ESI):m/z285.9[M
++1];HPLC:97.20%.
【0138】
実施例4
この例は、肯定的感情学習(PEL)試験を示す。実験は、Burgdorf et al.,“The effect of selective breeding for differential rates of 50−kHz ultrasonic vocalizations on emotional behavior in rats,”Devel.Psychobiol.,51:34−46(2009)に記載されているように行った。ラットの50kHzの超音波啼鳴(ヘドニックUSV)は、肯定的感情状態の研究のための有効なモデルであり、取っ組み合い遊び(rough−and−tumble play)によって最もよく誘発される。50kHzの超音波啼鳴は、ラットにおける報酬および食欲に関する社会的行動と正の相関を有し、肯定的感情状態を反映することが以前に示されている。
【0139】
PELアッセイは、社会的刺激、異種特異的取っ組み合い遊び刺激に対する陽性(ヘドニック)50kHz超音波啼鳴(USV)の獲得を測定する。実験者の右手で異種特異的な取っ組み合い遊び刺激を施した。動物は、異種特異的な遊びの15秒のブロックと無刺激の15秒のブロックとの交互のブロックからなる3分の異種特異的な取っ組み合い遊びを受けた。Burgdorf et al.,“Positive emotional learning is regulated in the medial prefrontal cortex by GluN2B−containing NMDA receptors,”Neuroscience,192:515−523(2011)によって以前に記載されているように、Avasoft SASlab Pro(Germany)を用いて超音波による高周波数超音波啼鳴(USV)を記録し、分析した。各無刺激期間中に発生した周波数変調された50kHzのUSVを定量してPELを測定した。動物は、刺激を与えるため、試験前に馴化しなかった。くすぐり無条件刺激(UCS)試験に先行する条件付き刺激(CS)試験中に肯定的感情学習を測定した。動物は、それぞれ6回のCSおよび6回のUCS試験からなる15回の第2回試験を受けた(合計3分間)。3分間のセッションの最後に、自発的に受けるくすぐりに対する動物の走行速度も測定した。
【0140】
図1は、ラットPEL試験の結果を示す。結果は、化合物AがPEL試験の1時間前に投与された場合、ラットUSVによって測定された肯定的感情学習を増加させ、それにより抗うつ効果を示すことを実証する。
【0141】
実施例5
化合物Aのミクロソームおよび血漿安定性を調査した。以下の表は、60分後に残存する化合物Aのパーセントを示す。
【表1】
脳内の未結合薬物濃度も調査し、血漿タンパク質結合アッセイを実施した。以下の表(%結合)は、化合物Aの結果を示す。
【表2】
PO投与後に化合物Aのバイオアベイラビリティを調査した。CSF、脳および血漿試料を、化合物A(10mg/kg)を投与した後に分析した。以下の表は、バイオアベイラビリティならびにCSF/血漿および脳/血漿比を示す。
【表3】
【0142】
実施例6
アッセイは、Moskal et al.,“GLYX−13:a monoclonal antibody−derived peptide that acts as an N−methyl−D−aspartate receptor modulator,”Neuropharmacology,49,1077−87,2005によって記載されているように行った。濃度を漸増させた化合物Aの存在下において、[
3H]MK−801(5nM;22.5Ci/mmol)と十分に洗浄したラット皮質膜(200μg)との結合の増強を非平衡条件下で(25℃で15分間)測定した。
図2は、Aに対する野生型NMDAR2サブタイプの[
3H]MK−801結合の増強を示す。
図2に示すように、化合物Aは、NR2Aを高度に選好し、NR2Dに結合しない。
【0143】
実施例7
Sprague Dawleyラットに2mg/kgの化合物Aを静脈内投与した。第2群のSprague Dawleyラットに10mg/kgの化合物Aを経口投与した。血漿試料を24時間にわたって採取し、化合物Aについて分析した。
図3は、24時間にわたる雄Sprague Dawleyラットにおける単回静脈内(2mg/kg)および経口(10mg/kg)投与後の化合物Aの平均血漿濃度−時間プロファイルを提示する。
別の実験では、Sprague Dawleyラットに10mg/kgの化合物Aを経口投与した。血漿、脳およびCSF試料を24時間にわたって様々な時点で分析した。
図4は、24時間にわたる雄Sprague Dawleyラットにおける単回経口(10mg/kg)投与後の化合物Aの平均血漿、脳およびCSF濃度−時間プロファイルを示す。
【0144】
実施例8
この例は、実施例3で上述したように、PEL実験に関する。ラット超音波啼鳴(USV)試験である。
くすぐり無条件刺激(UCS)試験に先行する条件付き刺激(CS)試験中に肯定的感情学習を測定した。動物は、それぞれ6回のCSおよび6回のUCS試験からなる15回の第2回試験を受けた(合計3分間)。
図5は、ラットUSV試験の結果を示す。この結果は、化合物BがラットUSV試験において肯定的感情学習を増加させ、それにより抗うつ効果を示すことを実証する。
【0145】
実施例9
化合物Bのミクロソームおよび血漿安定性を調査した。以下の表は、60分後に残存する化合物Bのパーセントを示す。
【表4】
脳内の未結合薬物濃度も調査し、血漿タンパク質結合アッセイを実施した。以下の表(%結合)は、化合物Bの結果を示す。
【表5】
化合物Bのバイオアベイラビリティを調査した。CSF、脳および血漿試料を、化合物Bを投与した後に分析した。以下の表は、バイオアベイラビリティならびにCSF/血漿および脳/血漿比を示す。
【表6】
化合物Aおよび化合物Bは、両方とも経口バイオアベイラビリティがより低いが、より高い割合でCSFおよび脳に到達することができる。
【0146】
実施例10
アッセイは、Moskal et al.(2005)による上記の実施例5に記載されるように行った。濃度を漸増させた化合物Bの存在下において、[
3H]MK−801(5nM;22.5Ci/mmol)と十分に洗浄したラット皮質膜(200μg)との結合の増強を非平衡条件下で(25℃で15分間)測定した。
図6は、化合物Bの野生型NMDAR2サブタイプに対する[
3H]MK−801結合の増強を示す。化合物Bは、NR2BおよびNR2Dを高度に選好し、NR2AおよびNR2Cにおける効力がより低い。
【0147】
実施例11
Sprague Dawleyラットに2mg/kgの化合物Bを静脈内投与した。第2群のSprague Dawleyラットに10mg/kgの化合物Bを経口投与した。血漿試料を24時間にわたって採取し、化合物Bについて分析した。
図7は、24時間にわたる雄Sprague Dawleyラットにおける単回静脈内(2mg/kg)および経口(10mg/kg)投与後の化合物Bの平均血漿濃度−時間プロファイルを示す。
別の実験では、Sprague Dawleyラットに10mg/kgの化合物Bを経口投与した。血漿、脳およびCSF試料を24時間にわたって様々な時点で分析した。
図8は、24時間にわたる雄Sprague Dawleyラットにおける単回経口(10mg/kg)投与後の化合物Bの平均血漿、脳およびCSF濃度−時間プロファイルを示す。
【0148】
実施例12
インビトロMN(小核)アッセイを化合物Aについて実施した。化合物Bについてもアッセイを行った。細胞毒性は、対照増殖の%として示される。60%未満の細胞毒性値が標識され、化合物は、それぞれの濃度で毒性であると考えられる。化合物AのインビトロMNアッセイの結果を
図9に示す。化合物BのインビトロMNアッセイの結果を
図10に示す。
Amesアッセイは、化合物Aおよび化合物Bのそれぞれについて行った。Amesアッセイの結果では、ハイフン(−)は、否定的な結果を示す。p<0.05の場合、弱い陽性は、「+」として示される。p<0.01の場合、強い陽性は、「++」と示される。p<0.001の場合、非常に強い陽性は、「+++」と示される。化合物AのAmesアッセイの結果を
図9に示す。化合物BのAmesアッセイの結果を
図10に示す。
潜在的なhERGチャネル相互作用を同定するために、化合物Aを用いてhERGアッセイを行った。また、化合物Bを用いてhERGアッセイを行った。hERGについて、50%より高い阻害または刺激を示す結果は、試験化合物に有意な影響を表すと考えられる。化合物AのhERGアッセイの結果を
図9に示し、化合物BのhERGアッセイの結果を
図10に示す。
【0149】
実施例13
Goldstein et al.,“Chronic traumatic encephalopathy in blast−exposed military veterans and a blast neurotrauma mouse model,”Science Translational Medicine,Vol.4,Issue 134,pp.134ra60,2012のプロトコルに従い、ラットにおける使用のために改変して、単一の爆風誘発性外傷性脳傷害/認知障害を誘発した。2〜3ヶ月齢の雄Sprague Dawleyラットを用いた。ラットをアスペンウッドチップの敷材と共にLuciteケージに収容し、12:12の明暗サイクル(午前5時に点灯)で維持し、試験を通してPurina研究用飼料(USA)および水道水を自由摂取させた。最初に3.5〜4%イソフルランを用いてラットを麻酔し、次いで耳を1.5×1.5mm発泡プラグ(Pura−Fit(登録商標)、Moldex−Metric Inc.、Culver City、California)で保護し、ラットを頭部アクセス齧歯類用胸部拘束具(Stoelting、USA)に入れて、頭部を自由に動かせるようにしながら身体を保護した。アルミニウムショックチューブ(183×61cm;L−3 Applied Technologies、USA)をラットの頭部から10cmに配置した。ラットは、0.014インチのポリエステルフィルムを穿刺することによって発生したヘリウムの1回の約42PSIの爆風を受けた。擬似対照は、爆風半径の外側に配置された。爆風の1時間後に化合物A(10mg/kg PO)、化合物B(10mg/kg PO)、または0.9%滅菌生理食塩水中0.5%Na−CMCビヒクル(1ml/kg PO)を動物に投与した。
【0150】
PEL(肯定的感情学習)は、爆風の48時間後に実施された。異種特異的な取っ組み合い遊びは、以前にBurgdorf et al.,“The long−lasting antidepressant effects of rapastinel(GLYX−13)are associated with a metaplasticity process in the medial prefrontal cortex and hippocampus,”Neuroscience 308:202−211,2015に記載されるように実施した。実験者の右手で異種特異的な取っ組み合い遊び刺激を施した。動物は、異種特異的な遊びの15秒のブロックと無刺激の15秒のブロックとの交互のブロックからなる3分の異種特異的な取っ組み合い遊びを受けた。Burgdorf et al.,“Positive emotional learning is regulated in the medial prefrontal cortex by GluN2B−containing NMDA receptors,”Neuroscience,192:515−523,2011によって以前に記載されているように、Avasoft SASlab Pro(Germany)を用いて超音波による高周波数超音波啼鳴(USV)を記録し、分析した。各無刺激期間中に発生した周波数変調された50kHzのUSVを定量してPELを測定した。動物は、刺激を与えるため、試験前に馴化しなかった。
化合物AおよびBについてのPEL研究の結果は、
図11および12に報告されている。
【0151】
実施例14
この実施例は、ストレス誘発性不安モデル、新規性誘発性食欲不振における治療の抗不安効果の評価に関する。このアッセイは、速効型抗うつ薬ケタミンおよびGLYX−13にも感受性である(Li et al.,“mTOR−dependent synapse formation underlies the rapid antidepressant effects of NMDA antagonists,”Science 329:959−964,2010;およびBurgdorf et al.,2013)。Bodnoff et al.,“A comparison of the effects of diazepam versus several typical and atypical anti−depressant drugs in an animal model of anxiety,”Psychopharmacology,97:277−279,1989も参照されたい。
【0152】
試験は、(Burgdorf et al.,2013)に記載されているように行った。以前にケタミンの急性抗不安様作用を検出することが示されている(Li et al.,2010)新規性誘発性食欲不振(NIH)試験の1バージョンが用いられた。動物は、試験前に一晩食物を与えられず、研究用飼料は、オープンフィールド(40×40×20cm)の中央チャンバ内に暗い赤色の照明下において10分間置かれた。各動物の試験間で糞便および尿を装置から除去した。NIH試験後、動物のホームケージでの摂食までの待ち時間は、摂食に対する効果が新規な環境に特異的であることを確認するための対照として決定された。動物は、ビデオテープに録画され、最初の食料摂取までの待ち時間(秒)は、オフラインで手動採点された。
【0153】
平均からの標準偏差2以上であった用量群あたりの単一点は、外れ値とみなされ、データ分析から除外された。ED
50は、log(用量)線形(NIH値)プロットから半最大効果(ビヒクルおよび最大有効用量の平均)を示す用量(または用量の対数線形補間)として定義した。最大有効用量は、ビヒクルと統計学的に異なるが、その用量より高い用量と統計学的に均等(フィッシャーのPLSDによる;αを0.05に設定)である最低容量であると定義された。
【0154】
結果を
図13および
図14に示す。
図13に示すように、化合物Aは、ラットの新規性誘発性食欲不振(NIH)試験において抗不安効果を生じる。単回10分間の試験セッションの1時間前に化合物A(10〜1000μg/kg PO;青丸)または滅菌生理食塩水+0.5%Na−CMCビヒクル(1ml/kg PO;黒丸)で処置した2〜3ヵ月齢の雄SDラットでの、新規性誘発性食欲不振(NIH)試験における摂食までの待ち時間平均±SEMである。動物は、試験前に一晩食物を与えられず、研究用飼料は、試験中にオープンフィールドの中央チャンバ内に置かれた。
【0155】
図14に示すように、化合物Bは、ラットの新規性誘発性食欲不振(NIH)試験において抗不安効果を生じる。単回10分間の試験セッションの1時間前に化合物B(0.0001〜1μg/kg PO;青丸)または滅菌生理食塩水+0.5%Na−CMCビヒクル(1ml/kg PO;黒丸)で処置した2〜3ヵ月齢の雄SDラットでの、新規性誘発性食欲不振(NIH)試験における摂食までの待ち時間平均±SEMである。動物は、試験前に一晩食物を与えられず、研究用飼料は、試験中にオープンフィールドの中央チャンバ内に置かれた。
【0156】
実施例15
器質的鎮痛のBennettモデルを用いて、足引込み閾値によって測定された化合物の鎮痛効果を評価する。Bennett GJ,Xie YK,“A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man,”Pain33:87−107,1988。動物が手術から回復したが、von freyフィラメントの適用後に依然として低い足引込み閾値を示す場合、鎮痛応答の試験をしている動物で神経部分損傷手術を実施する。ビヒクル動物は、手術を受け、次いで試験化合物ではなくビヒクルを投与される。試験化合物またはビヒクル投与の1時間後、24時間後および1週間後に動物を試験した。
【0157】
2〜3ヶ月齢の雄Sprague Dawleyラットを用いた。Harlanは、全研究のサプライヤであった。ラットをアスペンウッドチップの敷材と共にLuciteケージに収容し、12:12の明暗サイクル(午前5時に点灯)で維持し、試験を通してPurina研究用飼料(USA)および水道水を自由摂取させた。
【0158】
吸入イソフルラン(2.5%)を用いてラットを麻酔した。神経部分損傷手術は、以前に記載されているように(Bennett and Xie,1988)実施した。切開部(約1.5cmの長さ)を、大腿と平行およびその後方に、右後脚の皮膚上にメスの刃で背中側に作製した。小さい先尖止血鉗子を用いて大腿二頭筋と大腿筋とを分離した。湾曲した鈍頭鉗子を用いて一般的な坐骨神経を分離し、露出させた。器質的鎮痛試験のために坐骨神経全体を結紮した。止血鉗子/鉗子およびchromic gut(5−0)を使用して神経をゆるくこま結びで結紮し、3つの結紮を1mm間隔で神経上に配置した。結紮糸は、縫合糸が神経の上または下に滑らない程度まで締め付けられた。このプロトコルは、神経の部分的機能喪失をもたらした。熱鎮痛試験のために坐骨神経の一般的な腓骨および脛骨の枝を結紮し切断し、腓腹枝を温存した。Decosterd I,Woolf CJ,“Spared nerve injury: an animal model of persistent peripheral neuropathic pain,”Pain 87:149−158,2000を参照されたい。試験は、手術後1〜2週間で行われた。
【0159】
試験中、ラットを、懸架されたワイヤメッシュグリッド(1cm×1cm、直径0.3cmのワイヤを用いた)の表面に15〜20分間順化した。各Von Freyフィラメントを、最も小さいものから、障害した(同側の)後足の足底面にわずかに曲がるまで垂直に押し付け、次いで6秒間保持した。フィラメントの回収直後に明白な後足引込みまたは尻込み挙動が観察されなかった場合、次のより大きいフィラメントが同様に使用された。応答があった場合、より低いフィラメントが使用された。これは、6応答が収集されるまで繰り返された。
【0160】
試験は、化合物Aおよび化合物B(0.1〜10mg/kg PO)、ガバペンチン(150mg/kg PO)または0.9%滅菌生理食塩水中0.5%Na−CMC投与の1時間後に行った。動物は、投薬の24時間後および1週間後に再試験した。化合物Aの結果を
図15に示し、化合物Bの結果を
図16に示す。両方の化合物について、10mg/kg POの単回投与は、投与後1時間、24時間および1週間、Bennettモデルにおける器質的鎮痛効果を生じたが、ガバペンチンは、投与後1時間のみ鎮痛効果を生じた。
【0161】
実施例16
抗うつ薬様作用を測定するために非臨床インビボ薬理試験(Porsoltアッセイ)を行った。化合物Aおよび化合物Bと比較するために陰性対照(0.9%滅菌食塩水中0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム)および陽性対照(化合物D)を用いた。本研究は、5分間の水泳試験中のラットの応答(浮遊時間の減少)によって評価されるPorsolt強制水泳試験における各化合物の効果の用量反応曲線の構築を可能にした。
【0162】
2〜3ヶ月齢の雄Sprague Dawleyラットを使用した(Harlan、Indianapolis、IN)。ラットをアスペンウッドチップの敷材と共にLuciteケージに収容し、12:12の明暗サイクル(午前5時に点灯)で維持し、試験を通してPurina研究用飼料(USA)および水道水を自由摂取させた。
【0163】
ラットでの使用に適合させたPorsolt強制水泳試験は、Burgdorf et al.,(The long−lasting antidepressant effects of rapastinel(GLYX−13)are associated with a metaplasticity process in the medial prefrontal cortex and hippocampus.Neuroscience 308:202−211,2015)に記載されるように実施した。動物を、初日に15分間(馴化)、その後の試験日には5分間、水道水(23±1℃)で30cmまで満たした高さ46cm×直径20cmの透明ガラス管に入れた。動物を化合物(化合物Aおよび化合物B)、陽性対照(化合物D、10μg/kg)またはビヒクル(0.9%滅菌生理食塩水中0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC))の投与から1時間後に試験した。1動物おきの後に水を変えた。動物をビデオ撮影し、動物の頭を水の上に保つのに必要な労力の最小量として定義される浮遊時間が、高い評価者間信頼度(ピアソンのr>0.9)を有する盲検の実験者によってオフラインで採点された。
【0164】
EC
50は、log(用量)線形プロットから半最大効果(ビヒクルおよび最大有効用量の平均)を示す用量(または用量の対数線形補間)として定義した。最大有効用量は、ビヒクルと統計学的に異なるが、その用量より高い用量と統計学的に均等(フィッシャーのPLSDによる)である最低容量であると定義された。
【0165】
化合物Aの結果を
図17に示す。成体雄Sprague Dawleyラットに化合物A(10〜1000μg/kg PO;青丸または線で接続されたデータ点)、陽性対照化合物D(10μg/kg PO;緑丸または10μg/kg POのデータ点)または0.9%生理食塩水中Na−CMC(1ml/kg PO;黒丸または1ml/kg POのデータ点)を試験の1時間前に投与した。ラットPorsolt試験における平均±SEM浮遊時間を示す。動物は、5分間の試験の1日前に15分間の馴化セッションを受けた。一群あたりN=6〜18である。示されるように、化合物Aは、投与後1時間のビヒクル群と比較して、Porsolt試験における浮遊時間の減少によって測定される抗うつ薬様効果を生じる。
【0166】
化合物Bの結果を
図18に示す。成体雄Sprague Dawleyラットに化合物B(0.1〜10μg/kg PO;青丸または線で接続されたデータ点)、陽性対照化合物D(10μg/kg PO;緑丸または10μg/kg POのデータ点)または0.9%生理食塩水中Na−CMC(1ml/kg PO;黒丸または1ml/kg POのデータ点)を試験の1時間前に投与した。ラットPorsolt試験における平均±SEM浮遊時間を示す。動物は、5分間の試験の1日前に15分間の馴化セッションを受けた。一群あたりN=6〜18である。示されるように、化合物Bは、投与後1時間のビヒクル群と比較して、Porsolt試験における浮遊時間の減少によって測定される抗うつ薬様効果を生じる。
【0167】
実施例17
以下の表は、化合物A、化合物B、tert−ブチル(R)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(化合物W)、tert−ブチル(S)−2−((2S,3R)−1−アミノ−3−ヒドロキシ−1−オキソブタン−2−イル)−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−5−カルボキシレート(化合物X)、(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((R)−5−イソブチリル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(化合物Y)、または(2S,3R)−3−ヒドロキシ−2−((S)−5−イソブチリル−1−オキソ−2,5−ジアザスピロ[3.4]オクタン−2−イル)ブタンアミド(化合物Z)の存在下での野生型NMDAR2サブタイプの相対インビボ結合データを示す。
【0168】
【表7】
【0169】
【表8】
【0170】
均等物
当業者は、ルーチンの実験のみを用いて、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多数の均等物を認識または確認することができる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0171】
参照による組み込み
本明細書に引用される特許、公開特許出願、ウェブサイトおよび他の参考文献の全内容は、その全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。