(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝送盤は、バッファーと、記憶部と、前記受信部により受信された制御情報を前記バッファーまたは前記記憶部のうちいずれか一方に記憶させる制御を行う記憶制御部とをさらに有し、
前記記憶制御部は、前記伝送部による前記制御コードの伝送が完了しない期間に、前記受信部により制御情報が受信された場合、前記伝送部による前記制御コードの伝送が完了するまでの期間、前記受信部により受信された制御情報をバッファーに記憶させ、前記伝送部による前記制御コードの伝送が完了した後、前記記憶部に記憶させる制御情報を、前記バッファーに記憶させた制御情報に更新し、
前記伝送部は、前記記憶部に記憶された制御情報に基づく制御コードを、前記設備制御盤にハンドシェイク方式に従って伝送する、
請求項1記載のテレメータ伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のテレメータ伝送システムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるテレメータ伝送システム1の構成の一例を示す図である。本実施形態におけるテレメータ伝送システム1は、互いに離れた地点(以下、「遠隔地」と称する)に設けられた装置間でデータを送受信させるシステムである。テレメータ伝送システム1は、下水処理場や浄水場等の水処理施設を監視する際に用いられる。テレメータ伝送システム1は、中央監視装置10と、親機100−1から100−nと、子機200−1から200−nと、観測装置300−1から300−nとを備える。中央監視装置10は、例えば、上述した水処理施設の遠隔地に設けられるのに対し、観測装置300−1から300−nは、例えば、水処理施設の近接地に設けられる。すなわち、観測装置300−1から300−nは、中央監視装置10の遠隔地に設けられる。
【0009】
中央監視装置10は、観測装置300−1から300−nにより観測された種々の観測情報を収集する。中央監視装置10は、収集した観測情報を解析し、解析した結果に基づいて、観測装置300−1から300−nを制御するための命令プログラムを生成する。命令プログラムに記述される各種コード(以下、「命令コード」と称する)は、観測装置300−1から300−nの種々の運転動作を命令する。中央監視装置10は、ネットワークNWを介して、生成した命令プログラムを親機100−1から100−nに送信する。ネットワークNWは、LANやWAN等のネットワークである。すなわち、中央監視装置10は、遠隔地から観測装置300−1から300−nを制御する。なお、上述した命令プログラムは、「制御情報」の一例である。また、命令コードは、「制御コード」の一例である。
【0010】
親機100−1から100−nは、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)等を備えた制御装置である。親機100−1から100−nは、複数のPLCから構成される。親機100−1から100−nを構成する各PLCは、互いに近傍に設置される場合もあるが、数km等の離れた位置(遠隔地)に設置される場合もある。
【0011】
本実施形態において、親機100−1から100−nは、他のPLCを統合制御するCPU(Central Processing Unit)を備えた1つのPLCに対して、他のPLCが光ファイバーケーブルを介して接続されている。他のPLCを統合制御するCPUを備えるPLCには、例えば、上位装置である中央監視装置10から命令プログラムを取得するモジュール(以下、「取得モジュール110−1から110−n」と称する)が設けられる。また、複数のPLCのうち、上述した取得モジュール110−1から110−nが設けられていないPLCには、取得モジュール110−1から110−nのいずれかにより取得された命令プログラムを子機200に伝送するモジュール(以下、「伝送モジュール130−1から130−n」と称する)が設けられる。
【0012】
例えば、親機100−1から100−nが、取得モジュール110−1から110−nのいずれか1つを有するPLCと、伝送モジュール130−1から130−nを有するPLCとの2つのPLCにより構成される場合、取得モジュール110−1から110−nを有するPLCは、中央監視装置10が設けられるエリア内に設置され、伝送モジュール130−1から130−nを有するPLCは、後述する子機200−1から200−n(或いは観測装置300−1から300−n)が設けられるエリア内に設置される。エリアとは、例えば、市町村などの区分された地域を示す。より具体的には、中央監視装置10がA市内に設けられている場合、取得モジュール110−1から110−nのいずれかを有するPLCはA市内に設けられ、子機200−1から200−nがB市内に設けられている場合、伝送モジュール130−1から130−nはB市内に設けられる。
【0013】
これにより、例えば、観測装置300が設けられたエリアに対応して設けられた伝送モジュール130を有するPLCが、取得モジュール110を有するPLCから数km離れていても、光ファイバーケーブルを介して通信を行うことにより必要な情報を受信することができる。従って、複数の伝送モジュール130を有するPLCごとに、それぞれ取得モジュール110を有するPLCを設ける必要がなくなる。従って、取得モジュール110を有するPLCは、伝送モジュール130を有するPLCの数よりも少ない個数設けられていればよい。
【0014】
親機100−1から100−nは、上位装置である中央監視装置10から命令プログラムを取得するPLC(以下、「取得モジュール110−1から110−n」と称する)と、取得モジュール110により取得された命令プログラムを子機200に伝送するPLC(以下、「伝送モジュール130−1から130−n」と称する)を備える。取得モジュール110を有するPLCは、「コントローラ盤」の一例であり、伝送モジュール130を有するPLCは、「伝送盤」の一例である。
【0015】
本実施形態では、取得モジュール110−1から110−nと、伝送モジュール130−1から130−nとは、光ファイバーケーブルを介して、数km離れた地点から互いに接続されているものとして説明する。
図1の例の場合、取得モジュール110−1から110−nには、3つの伝送モジュール130−1から130−nがそれぞれ光ファイバーケーブルを介して接続されている。
【0016】
親機100−1から100−nは、中央監視装置10により生成された命令プログラムを、公衆交換電話網(電話回線)を介して子機200−1から200−nに伝送する。
【0017】
また、親機100−1から100−nは、子機200−1から200−nから伝送される観測情報を中央監視装置10に送信する。なお、本実施形態では、親機100−1から100−n、および子機200−1から200−nは、
図1に示すようにそれぞれ一対一の関係になっている。すなわち、親機100において伝送モジュールが1つ設けられているものとして説明する。この場合、例えば、親機100−1は、子機200−1と通信を行い、親機100−2は、子機200−2と通信を行う。
【0018】
子機200−1から200−nは、観測装置300−1から300−nの対応したそれぞれの装置と接続される。子機200−1から200−nは、親機100−1から100−nから伝送された命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムを観測装置300−1から300−nに送信する。
また、子機200−1から200−nは、観測装置300−1から300−nにより送信された観測情報を受信し、受信した観測情報を親機100−1から100−nに伝送する。なお、子機200−1から200−nは、「設備制御盤」の一例である。
【0019】
観測装置300−1から300−nは、上述した水処理施設内に設けられる。観測装置300−1から300−nは、例えば、子機200−1から200−nにより送信された命令プログラムに示される命令コードに基づいて、水処理施設内の貯水槽の水位や水質を観測すると共に、貯水槽に設けられたポンプの弁の開閉度等を制御する。観測装置300−1から300−nは、観測結果を観測情報として子機200−1から200−nに送信する。
【0020】
なお、本実施形態におけるテレメータ伝送システム1は、水処理施設を監視するシステム、またはその一部機能を担うシステムとして説明するがこれに限られない。テレメータ伝送システム1は、例えば、放射性物質の濃度を観測するシステムや、太陽光発電装置や風力発電装置等の発電装置における発電量を観測するシステム、雨量や風速、気温等の気象を観測するシステムに用いられてもよい。
【0021】
また、以下において、親機100−1から100−nと、子機200−1から200−nと、観測装置300−1から300−nと、をそれぞれ区別しない場合、単に「親機100」と「子機200」と「観測装置300」と記載して説明する。また、取得モジュール110−1から110−nと、伝送モジュール130−1から130−nと、をそれぞれ区別しない場合、単に「取得モジュール110」と「伝送モジュール130」と記載して説明する。
【0022】
図2は、第1の実施形態における親機100の機能構成の一例を示す図である。
取得モジュール110は、通信部112と、送受信制御部114と、光送受信部116と、第1記憶部118とを備える。通信部112および送受信制御部114の一方または双方は、CPU等のプロセッサが第1記憶部118に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、通信部112および送受信制御部114の一方または双方は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア機能部であってもよい。なお、光送受信部116は、「送信部」の一例である。また、第1記憶部118は、「送信先情報記憶部」の一例である。
【0023】
通信部112は、イーサネット(登録商標)やPCI等のハードウェアインターフェース(不図示)を介して中央監視装置10と通信を行う。通信部112は、通信対象の中央監視装置10から命令プログラムを取得する。通信部112は、取得した命令プログラムを第1記憶部118に記憶させる。また、通信部112は、光送受信部116により受信された観測情報を、通信対象の中央監視装置10に送信する。
【0024】
送受信制御部114は、通信部112により取得された命令プログラム(電気信号)を光信号に変換して送信するように光送受信部116を制御する。また、送受信制御部114は、後述する光送受信部116により受信された観測信号(光信号)を電気信号の観測情報に変換し、変換した観測情報(電気信号)を通信部112に送信するように光送受信部116を制御する。
【0025】
光送受信部116は、光ファイバーを介して後述する伝送モジュール130の光送受信部132に接続される。光送受信部116は、送受信制御部114による制御によって、命令プログラム(電気信号)を光信号に変換し、変換した光信号を、光ファイバーを介して伝送モジュール130に送信する。また、光送受信部116は、送受信制御部114による制御によって、伝送モジュール130から送信された観測情報に基づく光信号を、電気信号の観測情報に変換し、変換した観測情報(電気信号)を通信部112に送信する。
【0026】
第1記憶部118は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶媒体と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とを有する。第1記憶部118に記憶される情報は、命令プログラムや観測情報等である。
【0027】
伝送モジュール130は、光送受信部132と、記憶制御部134と、バッファー136と、第2記憶部140と、伝送部150とを備える。記憶制御部134および伝送部150は、CPU等のプロセッサが第2記憶部140に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、記憶制御部134は、LSI、ASIC、FPGA等のハードウェア機能部であってもよい。なお、光送受信部132は、「受信部」の一例である。
【0028】
光送受信部132は、取得モジュール110の光送受信部116から受信した命令プログラムに基づく光信号を電気信号に変換し、電気信号に変換した命令プログラムを記憶制御部134に送信する。また、光送受信部132は、第2記憶部140のデータ記憶部144に記憶された観測情報(電気信号)を光信号に変換し、変換した光信号を、光ファイバーを介して取得モジュール110の光送受信部116に送信する。
【0029】
第2記憶部140は、フラグ記憶部142と、データ記憶部144とを備える。第2記憶部140は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、HDD等の不揮発性の記憶媒体と、RAM、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とを有する。フラグ記憶部142に記憶される情報は、命令フラグ、動作完了フラグ、リセットフラグ等である。データ記憶部144に記憶される情報は、命令プログラム等である。フラグ記憶部142に記憶される情報については、
図3を参照して説明する。
【0030】
図3は、フラグ記憶部142に記憶される情報の一例を示す図である。命令フラグとは、データ記憶部144に命令プログラムが記憶されているか否かを示す変数である。記憶制御部134は、例えば、データ記憶部144に命令プログラムが記憶されている場合、命令フラグの格納値を“1”に書き換え、データ記憶部144に命令プログラムが記憶されている以外の場合、データ記憶部144に対して直前の命令フラグの格納値(すなわち“0”)を保持させる。
【0031】
また、動作完了フラグとは、命令プログラムに基づく観測装置300の動作が完了したか否かを示す変数である。観測装置300の動作が完了したか否かの判定は、後述する伝送部150が子機200から観測情報を受信したか否かにより行われる。記憶制御部134は、例えば、伝送部150により観測情報が受信された場合、観測装置300の動作が完了したと判定し、動作完了フラグの格納値を“1”に書き換える。また、記憶制御部134は、例えば、伝送部150により観測情報が受信されない場合、観測装置300の動作が完了いないと判定し、直前の動作完了フラグの格納値(すなわち“0”)を保持させる。
【0032】
また、リセットフラグとは、命令フラグの格納値と動作完了フラグの格納値とをリセット(すなわち“0”に)するか否かを示す変数である。記憶制御部134は、例えば、命令フラグの格納値と動作完了フラグの格納値とが一致する場合に、リセットフラグの格納値を“1”に書き換え、両フラグの格納値をリセットする。また、記憶制御部134は、命令フラグの格納値と動作完了フラグの格納値とが一致しない場合に、直前のリセットフラグの格納値(すなわち“0”)を保持させ、両フラグの格納値をリセットさせない。リセットフラグは、所謂XNOR論理回路により実現される。
【0033】
記憶制御部134は、伝送部150が子機200と伝送を行う際に、取得モジュール110と伝送モジュール130との間でハンドシェイク処理が実施されるようにするために、以下の処理を行う。
【0034】
記憶制御部134は、光送受信部132により受信された命令プログラムを、バッファー136に記憶させる。
【0035】
また、記憶制御部134は、第2記憶部140におけるフラグ記憶部142の命令フラグ値に基づいて、バッファー136に記憶させた命令プログラムを、第2記憶部140におけるデータ記憶部144に記憶させる。
【0036】
具体的には、記憶制御部134は、命令フラグ値が“0”の場合、バッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させる。また、記憶制御部134は、命令フラグ値が“1”の場合、バッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させない。記憶制御部134は、バッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させた場合、すなわち、バッファー136からデータ記憶部144に命令プログラムをコピーした場合、当該命令プログラムをバッファー136から消去する。
【0037】
また、記憶制御部134は、命令フラグ値が“1”の状態で、且つバッファー136に命令プログラムを既に記憶させた状態において、光送受信部132から命令プログラムを更に取得した場合、先に取得した命令プログラムと同様に後に取得した命令プログラムをバッファー136に記憶させる。このような場合、記憶制御部134は、次に命令フラグ値が“0”になったとき、後に取得した命令プログラムよりも先に取得した命令プログラムを優先してデータ記憶部144に記憶させる。すなわち、記憶制御部134は、バッファー136に対して、先入れ先出しのリスト構造(所謂キュー)の形式で命令プログラムを保持させる。
【0038】
バッファー136は、例えば、RAM、レジスタ等の揮発性の記憶媒体である。バッファー136に記憶される情報は、命令プログラム等である。
【0039】
伝送部150は、データ記憶部144に記憶された命令プログラムを展開し、命令プログラムから観測装置300を動作させるための命令コードを抽出し、抽出した命令コードを子機200に伝送する。この場合、子機200は、伝送部150から伝送された命令を受信し、受信した命令コードに基づいて観測装置300を動作させる。観測装置300は、動作後に、観測情報を生成する。子機200は、観測装置300から観測情報を取得し、取得した観測情報を伝送部150に伝送する。この場合、伝送部150は、子機200から伝送された観測情報を受信し、受信した観測情報を第2記憶部140におけるデータ記憶部144に記憶させる。
【0040】
図5は、第1の実施形態における親機100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態における親機100は、例えば、中央監視装置10における命令プログラムの送信タイミングと同期して本フローチャートの処理を行う。
【0041】
まず、取得モジュール110は、通信部112が中央監視装置10から命令プログラムを受信したか否かを判定する(ステップS100)。送受信制御部114は、通信部112が中央監視装置10から命令プログラムを受信した場合(ステップS100;Yes)、光送受信部116に当該命令プログラムを光信号に変換させ、光信号に変換させた命令プログラムを伝送モジュール130に送信させる(ステップS102)。
【0042】
次に、記憶制御部134は、光送受信部132により命令プログラムが受信された後、当該命令プログラムをバッファー136に記憶させる(ステップS104)。親機100は、通信部112が中央監視装置10から命令プログラムを受信していない場合(ステップS100;No)、ステップS102およびステップS104の処理をスキップして、後述するステップS106の処理を行う。
【0043】
次に、記憶制御部134は、第2記憶部140におけるフラグ記憶部142の命令フラグ値が“0”であるか否かを判定する。(ステップS106)。記憶制御部134は、フラグ記憶部142の命令フラグ値が“0”である場合(ステップS106;Yes)、すなわちデータ記憶部144に命令プログラムが記憶されていない場合、バッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させる(ステップS108)。親機100は、フラグ記憶部142の命令フラグ値が“1”である場合(ステップS106;No)、後述するステップS108からステップS114の処理をスキップして、ステップS116の処理を行う。
【0044】
次に、伝送部150は、データ記憶部144に記憶された命令プログラムを展開し、命令プログラムから観測装置300を動作させるための命令コードを抽出し、抽出した命令コードを子機200に伝送する(ステップS110)。次に、記憶制御部134は、フラグ記憶部142の命令フラグの格納値を“1”に書き換える(ステップS112)。なお、記憶制御部134は、ステップS112の処理を、ステップS108の処理を同時、或いはステップS110の前に行ってもよい。
【0045】
次に、記憶制御部134は、データ記憶部144に記憶させた命令プログラムをバッファー136から消去する(ステップS114)。次に、伝送モジュール130は、伝送部150が子機200から観測情報を受信したか否かを判定する(ステップS116)。親機100は、伝送部150が子機200から観測情報を受信していない場合(ステップS116;No)、ステップS100の処理に戻る。
【0046】
記憶制御部134は、伝送部150が子機200から観測情報を受信した場合(ステップS116;Yes)、フラグ記憶部142の動作完了フラグの格納値を“1”に書き換える(ステップS118)。次に、フラグ記憶部142の命令フラグおよび動作完了フラグにおける双方の格納値は、リセットフラグによりリセットされる(ステップS120)。次に、取得モジュール110は、伝送モジュール130により受信された観測情報を中央監視装置10に送信する(ステップS122)。これによって、親機100は、本フローチャートの処理を終了する。
【0047】
以上説明した第1の実施形態のテレメータ伝送システム1によれば、取得モジュール110は、中央監視装置10から命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムを光信号に変換して伝送モジュール130に送信する。伝送モジュール130は、取得モジュール110から送信された命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムをバッファー136に記憶させ、データ記憶部144に命令プログラムが記憶されていない場合にバッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させ、データ記憶部144に記憶させた命令プログラムが示す命令コードを、子機200に伝送する。
【0048】
この結果、本実施形態におけるテレメータ伝送システム1では、上位装置である中央監視装置10から命令プログラムを取得する取得モジュール110と、遠隔地の観測装置300に設けられる子機200に命令プログラムを伝送する伝送モジュール130との間で光通信を行うことにより、取得モジュール110を有するPLCと伝送モジュール130を有するPLCとを好適な配置構成にすることができる。例えば、取得モジュール110と伝送モジュール130との配置距離をキロメートルオーダーで実装することができる。
【0049】
例えば、観測装置300が設けられたエリアに対応して設けられた伝送モジュール130を有するPLCが、取得モジュール110を有するPLCから数km離れていても、光ファイバーケーブルを介して通信を行うことにより必要な情報を受信することができる。従って、複数の伝送モジュール130を有するPLCごとに、それぞれ取得モジュール110を有するPLCを設ける必要がなくなる。よって、取得モジュール110を有するPLCは、伝送モジュール130を有するPLCの数よりも少ない個数設けられていればよい。
【0050】
また、本実施形態におけるテレメータ伝送システム1では、取得モジュール110と、伝送モジュール130との間においてハンドシェイク方式に従った通信処理が行われることにより、取得モジュール110を有するPLCは、上位装置である中央監視装置10から取得した命令プログラムを、後段の伝送モジュール130を有するPLCに送信するだけでよく、命令プログラムを受け取った伝送モジュール130を有するPLC側で命令プログラムの書き込み処理を行えばよい。なお、上述したハンドシェイク方式については、上記のフラグ管理方法以外にも、例えば、
図4に示すように2つのアクセスフラグを用いて両モジュールの読み書きを制御するといった方法がある。
図4は、ハンドシェイク方式の一例を説明するための図である。
図4の例の場合、アクセスフラグ1とアクセスフラグ2とをそれぞれ示すパルス信号が両方励起された状態(両方のフラグがON状態)である期間、すなわちT1の期間において、取得モジュール110を有するPLCは、第1記憶部118に情報を記憶させたり、または第1記憶部118から記憶させた情報を取得したりする。また、アクセスフラグ2を示すパルス信号のみが励起された状態である期間、すなわちT2の期間において、伝送モジュール130を有するPLCは、第2記憶部140に情報を記憶させたり、または第2記憶部140から記憶させた情報を取得したりする。
【0051】
また、第1の実施形態のテレメータ伝送システム1によれば、伝送モジュール130は、子機200に命令コードを伝送してから観測装置300における動作の完了を示す観測情報を子機200から受信するまで、次の命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させずにバッファー136に記憶させておく。これにより、本実施形態におけるテレメータ伝送システム1では、中央監視装置10側の送信速度が速く、親機100および子機200側での処理が追い付かない場合でも、中央監視装置10の送信を中止させずに、親機100側で情報の伝送を調整することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態におけるテレメータ伝送システム1について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点として、親機100が備える1つの取得モジュール110が複数の伝送モジュール130に命令プログラムを送信する場合における親機100の機能構成について説明する。以下、上述した第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
【0053】
図6は、第2の実施形態におけるテレメータ伝送システム1の構成の一例を示す図である。第2実施形態におけるテレメータ伝送システム1では、1つの親機100に対して複数の子機200が接続されている。例えば、親機100−1は、子機200−1(a)から200−1(x)と通信を行う。
【0054】
図7は、第2の実施形態における親機100の機能構成の一例を示す図である。
親機100は、1つの取得モジュール110と、複数の伝送モジュール130とを備える。伝送モジュール130の数は、通信対象である子機200の数と同じである。
【0055】
命令プログラムは、制御対象の制御設備である観測装置300を識別する識別情報(以下、「観測装置ID」と称する)を含むことができる。観測装置IDは、「制御設備識別情報」の一例である。
【0056】
上位装置である中央監視装置10は、命令プログラムに上述した観測装置IDを含めて、制御対象である観測装置300を配下に含む取得モジュール110を有するPLC(親機100)に送信する。
【0057】
取得モジュール110における通信部112は、取得した観測装置IDを含む命令プログラムを第1記憶部118に記憶させる。
【0058】
第1記憶部118には、予め観測装置IDと、伝送モジュール130を有するPLCを識別する識別情報(以下、「伝送モジュールID」と称する)とが対応付けられたテーブルが記憶されている。伝送モジュールIDは、「伝送盤識別情報」の一例である。
【0059】
送受信制御部114は、第1記憶部118を参照して、命令プログラムに含まれる観測装置IDと対応する伝送モジュールIDを読み出す。送受信制御部114は、読み出した伝送モジュールIDが割り当てられた伝送モジュール130を有するPLCに対して、当該命令プログラムを光信号に変換して送信するように光送受信部116を制御する。
【0060】
以上説明した第2の実施形態のテレメータ伝送システム1によれば、取得モジュール110は、中央監視装置10から命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムに含まれる観測装置IDに基づいて伝送モジュール130を有するPLCを選択すると共に、受信した命令プログラムを光信号に変換し、選択した伝送モジュール130を有するPLCに変換した光信号を送信する。この結果、本実施形態におけるテレメータ伝送システム1では、伝送モジュール130を有するPLCは、自身に複数接続された伝送モジュール130を有するPLCのうち、命令プログラムを送信する対象の観測装置300が配下に接続されたPLCを選択して命令プログラムを送信することができる。従って、伝送モジュール130を有するPLCは、複数の伝送モジュール130を有するPLCが接続されていたとしても、送信が必要なPLCのみに命令プログラムを送信することができる。
【0061】
また、第2の実施形態のテレメータ伝送システム1によれば、第1の実施形態同様に、複数の伝送モジュール130を有するPLCごとに、それぞれ取得モジュール110を有するPLCを設ける必要がなくなり、伝送モジュール130を有するPLCの数よりも少ない数の取得モジュール110を有するPLCを設けるだけで済む。
【0062】
また、第2の実施形態のテレメータ伝送システム1によれば、複数の伝送モジュール130のそれぞれに対して命令プログラムの書き込み処理を行わせることにより、取得モジュール110を有するPLC側の処理負荷を低減させることができる。
【0063】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態におけるテレメータ伝送システム1について説明する。ここでは、上述した実施形態との相違点として、親機100が備える1つの伝送モジュール130から複数の子機200に命令コードを伝送する場合における親機100の機能構成について説明する。以下、上述した実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
【0064】
図8は、第3の実施形態における親機100の機能構成の一例を示す図である。なお、ここでは、取得モジュール110の機能構成の説明を省略する。
伝送モジュール130は、光送受信部132および記憶制御部134を共に1つ備え、バッファー136、第2記憶部140、および伝送部150を、通信対象である子機200の数と同数備える。すなわち、伝送モジュール130内において、光送受信部132および記憶制御部134は、子機200の数に関わらず共通で用いられる。
【0065】
図8に示す例の場合、子機200の数は2つであるため、伝送モジュール130は、バッファー136、第2記憶部140、および伝送部150をそれぞれ2つずつ備える。本実施形態では、例えば、子機200(a)と接続される伝送部150(a)と、当該伝送部150(a)と情報の受け渡しを行う第2記憶部140(a)と、当該第2記憶部140(a)に命令プログラムをコピーするためのバッファー136(a)とは、グループ化されている。また同様に、本実施形態では、例えば、子機200(b)と接続される伝送部150(b)と、当該伝送部150(b)と情報の受け渡しを行う第2記憶部140(b)と、当該第2記憶部140(b)に命令プログラムをコピーするためのバッファー136(b)とは、グループ化されている。以下、バッファー136、第2記憶部140、および伝送部150の数を2つとして説明するがこれに限られず、子機200の数に合わせて適宜変動させてよい。
【0066】
取得モジュール110は、中央監視装置10から複数の命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムをそれぞれ光信号に変換し、変換した複数の光信号を光送受信部132に送信する。
【0067】
光送受信部132は、取得モジュール110の光送受信部116から受信した命令プログラムに基づく光信号を電気信号に変換し、電気信号に変換した命令プログラムを記憶制御部134に送信する。また、光送受信部132は、第2記憶部140のデータ記憶部144(a)、144(b)に記憶された観測情報(電気信号)を光信号に変換し、変換した光信号を、光ファイバーを介して取得モジュール110の光送受信部116に送信する。
【0068】
記憶制御部134は、光送受信部132により受信された命令プログラムが、子機200(a)に接続される観測装置300(a)を制御するためのものであるか、或いは子機200(b)に接続される観測装置300(b)を制御するためのものであるかを判定する。記憶制御部134は、命令プログラムが、観測装置300(a)を制御するためのものである場合、子機200(a)と同一のグループに属すバッファー136(a)に当該命令プログラムを記憶させる。また、記憶制御部134は、命令プログラムが、観測装置300(b)を制御するためのものである場合、子機200(b)と同一のグループに属すバッファー136(b)に当該命令プログラムを記憶させる。
【0069】
記憶制御部134は、上述した第1の実施形態と同様に、各グループ内において、フラグ記憶部142の命令フラグ値に応じて、バッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させる処理を行う。
【0070】
以上説明した第3の実施形態におけるテレメータ伝送システム1によれば、第1および第2の実施形態と同様に、複数の伝送モジュール130を有するPLCごとに、それぞれ取得モジュール110を有するPLCを設ける必要がなくなり、伝送モジュール130を有するPLCの数よりも少ない数の取得モジュール110を有するPLCを設けるだけで済む。
【0071】
また、第3の実施形態のテレメータ伝送システム1によれば、複数の伝送モジュール130のそれぞれに対して命令プログラムの書き込み処理を行わせることにより、取得モジュール110を有するPLC側の処理負荷を低減させることができる。
【0072】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態におけるテレメータ伝送システム1について説明する。ここでは、上述した実施形態との相違点として、取得モジュール110から送信される情報が複数の伝送モジュール130を横断して伝達される点について説明する。以下、上述した実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
【0073】
図9は、第4の実施形態における親機100の機能構成の一例を示す図である。本実施形態における親機100は、1つの取得モジュール110と、2つの伝送モジュール130(a)、130(b)とを備える。なお、伝送モジュール130の数は、子機200の数に合わせて適宜変動させてよく、例えば2つ以上であってもよい。
【0074】
例えば、取得モジュール110は、子機200(a)と接続される伝送部150(a)を制御するための命令プログラムと、子機200(b)と接続される伝送部150(b)を制御するための命令プログラムとの双方を、中央監視装置10から取得した場合、取得した2つの命令プログラムを光信号に変換して、いずれか一方の伝送モジュール130に対して、変換した2つの光信号を送信する。本実施形態では、取得モジュール110は、2つの光信号を伝送モジュール130(a)に送信するものとして説明する。また、伝送部150(a)を制御するための命令プログラムを、「命令プログラムPa」と記載し、伝送部150(b)を制御するための命令プログラムを、「命令プログラムPb」と記載する。
【0075】
伝送モジュール130(a)は、取得モジュール110から受信した命令プログラムのうち、自身と子機200(a)を介して通信する伝送部150(a)を制御するための命令プログラムPaを、バッファー136(a)に記憶させる。また、伝送モジュール130(a)は、取得モジュール110から受信した命令プログラムのうち、残りの命令プログラムPbを、他のモジュールである伝送モジュール130(b)に送信する。
【0076】
伝送モジュール130(b)は、伝送モジュール130(a)から送信された命令プログラムPbをバッファー136(b)に記憶させる。
【0077】
以上説明した第4の実施形態におけるテレメータ伝送システム1によれば、複数の伝送モジュール130のうち、いずれか1つの伝送モジュール130が取得モジュール110と光通信を行うことにより、他の伝送モジュール130を直接取得モジュール110と通信させなくて済む。この結果、本実施形態におけるテレメータ伝送システム1は、取得モジュール110を有するPLCと伝送モジュール130を有するPLCとを、より好適な配置構成にすることができる。
【0078】
(その他の実施形態)
以下、その他の実施形態(変形例)について説明する。
上述した第1の実施形態におけるテレメータ伝送システム1において、命令プログラムに伝送の優先順位を示す優先度情報が含まれている場合に、記憶制御部134は、バッファー136に対して、先入れ先出しのリスト構造の形式で保持させた命令プログラムのうち、優先度情報に基づいて優先順位が高い命令プログラムから先出しされるようにソートする。優先順位が高い命令プログラムとは、例えば、観測装置300を緊急停止させるような命令コードが記述されたプログラムである。これにより、優先順位の高い命令プログラムから順にデータ記憶部144にコピーされ、伝送部150は、優先順位の高い命令コードをより早く子機200に送信することができる。この結果、テレメータ伝送システム1は、柔軟に観測装置300を制御することができる。
【0079】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、取得モジュール110は、中央監視装置10から命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムを光信号に変換して伝送モジュール130に送信する。伝送モジュール130は、取得モジュール110から送信された命令プログラムを受信し、受信した命令プログラムをバッファー136に記憶させ、データ記憶部144に命令プログラムが記憶されていない場合にバッファー136に記憶させた命令プログラムをデータ記憶部144に記憶させ、データ記憶部144に記憶させた命令プログラムが示す命令を、子機200に伝送する。
この結果、実施形態におけるテレメータ伝送システム1では、上位装置である中央監視装置10から命令プログラムを取得する取得モジュール110と、遠隔地の観測装置300に設けられる子機200に命令プログラムを伝送する伝送モジュール130との間で光通信を行うことにより、取得モジュール110を有するPLCと伝送モジュール130を有するPLCとを好適な配置構成にすることができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。