(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の自動改札機およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態の自動改札機を上方から見た図である。自動改札機1は、例えば、鉄道の駅等に設置され、利用者の通過を許可または禁止する。自動改札機1は、通路を挟んで対向配置される主機10と従機30とを備える。主機10は、例えば、光学読取部11と、上面表示部12と、正面表示部13と、扉部14および15と、制御部20とを備える。また、従機30は、光学読取部31と、上面表示部32と、正面表示部33と、扉部34および35とを備える。
【0010】
主機10の光学読取部11は、
図1のa方向に通過しようとする利用者によって翳された乗車券に印刷された表示オブジェクトOBにエンコードされた情報を光学的に読み取り、読み取った情報を制御部20に送信する。上面表示部12は、光学読取部11に乗車券が翳された場合に、制御部20によって処理された結果を表示する。正面表示部13は、
図1のa方向に通過可能であるか否かを示すマークや図形、文字等を表示する。正面表示部13の表示内容または表示の有無は、制御部20によって決定される。
【0011】
一方、従機30の光学読取部31は、
図1のb方向に通過しようとする利用者によって翳された乗車券に印刷された表示オブジェクトOBにエンコードされた情報を読み取り、読み取った情報を主機10の制御部20に送信する。上面表示部32は、光学読取部31に乗車券が翳された場合に、主機10の制御部20によって処理された結果を表示する。正面表示部33は、
図1のb方向に通過可能であるか否かを示すマークや図形、文字等を表示する。正面表示部33の表示内容または表示の有無は、主機10の制御部20によって決定される。
【0012】
主機10の制御部20は、自動改札機1が
図1のa方向への利用者の通過を許可する動作モードに設定されている場合には、扉部15および35を開放状態に維持すると共に、扉部14および34を開放状態または閉止状態に制御することで、a方向の利用者の通過を許可または禁止する。また、制御部20は、自動改札機1が
図1のb方向への利用者の通過を許可する動作モードに設定されている場合には、扉部14および34を開放状態に維持すると共に、扉部15および35を開放状態または閉止状態に制御することで、b方向の利用者の通過を許可または禁止する。
【0013】
また、自動改札機1の動作モードには、
図1のa方向の通過とb方向の通過との双方を許可する動作モードが含まれてもよい。この場合、主機10の制御部20は、例えば、利用者が通過中でなければ正面表示部13と正面表示部33の双方に通過を許可することを示すマークや図形、文字等を表示させる制御を行う。また、制御部20は、例えば、利用者がいずれかの側から進入し、光学読取部11と光学読取部31とのいずれか一方に乗車券が翳されると、他方の光学読取部を無効化すると共に、利用者が進入してきていない側の表示部(正面表示部13または正面表示部33)に、通過を禁止することを示すマークや図形、文字等を表示させる制御を行う。
【0014】
図2は、実施形態の自動改札機1の主機10を通路側から見た図である。主機10は、光学読取部11と、扉部14および15とに加え、透過型光電センサStと、反射型光電センサSrとを更に備える。透過型光電センサStは、例えば、主機10の筐体面のうち、通路側の筐体面に等間隔に複数個(
図2の例の場合は26個)設けられる。
【0015】
本実施形態では、投光器として機能する透過型光電センサStと、受光器として機能する透過型光電センサStとを1対として用いる。例えば、主機10に設けられる透過型光電センサStが投光器である場合、従機30側に設けられる透過型光電センサStは、受光器として機能する。
【0016】
従機30側に設けられる透過型光電センサStは、通路に光を遮断するようなものが存在しない場合、主機10側の透過型光電センサStから発せられた投射光を受光する。一方、通路に利用者が存在する場合、透過型光電センサStから発せられた投射光は、利用者によって遮断される。従って、従機30側の透過型光電センサStは、透過型光電センサStから発せられた投射光を受光しない。
【0017】
制御部20は、透過型光電センサStから検出信号を取得して通路内に人がいるか否かを判定する。例えば、制御部20は、投射光を受光しない場合において生成された検出信号を透過型光電センサStから取得した場合、通路に投射光を遮断する利用者が存在していないと判定する。また、制御部20は、投射光を受光した場合において生成された検出信号を透過型光電センサStから取得した場合、通路に投射光を遮断する利用者が存在していると判定する。
【0018】
反射型光電センサSrは、透過型光電センサStと同様に、例えば、主機10の筐体から上方に突出する仕切部の通路側の面に、等間隔に複数個(
図2の例の場合は3個)設けられる。反射型光電センサSrは、所定の方向に光を投射する。反射型光電センサSrは、光を投射した後、投射した方向から反射された光を受光する。
【0019】
反射型光電センサSrは、受光した光の強度に基づいて、通路に光を反射する利用者の身体が存在しているか否かを示す検出信号を生成する。反射型光電センサSrは、例えば、受光した光の強度が閾値以下の場合、通路に利用者が存在していない旨の検出信号を生成する。また、反射型光電センサSr、受光した光の強度が閾値を超える場合、通路に利用者が存在している旨の検出信号を生成する。反射型光電センサSrは、主に、通路に存在している利用者が大人であるか子供であるかを判定するのに用いられる。
【0020】
なお、上述した反射型光電センサSrは、主機10に設けられるものとして説明したがこれに限られず、従機30に設けられてもよいし、主機10および従機30の双方に設けられてもよい。
【0021】
図3は、実施形態の光学読取部におけるカメラおよびライトの位置関係を示す図である。光学読取部11には、カメラ17およびライト18が内蔵されている。カメラ17は、光学読取部11に内蔵され、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサにより構成される。
【0022】
ライト18は、カメラ17が撮像動作を行う際に乗車券に表示された表示オブジェクトOBを照射する。2つのライト18は、例えばカメラ17の光軸17Aに対して対称となる位置に配置される。なお、カメラ17やライト18の動作タイミングについては任意に設定されてよい。
【0023】
図4は、実施形態の自動改札機の制御構成の一例を示すブロック図である。以下では、主機10側の光学読取部11に乗車券が翳された場合の動作を説明する。なお、従機30側の光学読取部31に乗車券が翳された場合の動作については説明を省略する。自動改札機1は、画像処理部19と、記憶部25と、スピーカ26とを更に備える。また、制御部20は、取得部21と、乗車券処理部23とを備える。
【0024】
制御部20が備える各機能部は、例えば、プログラムメモリに格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、制御部20が備える各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0025】
記憶部25は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等である。記憶部25には、後述する運賃テーブル等が記憶される。スピーカ26は、制御部20の指示に従って、音声を出力する。カメラ17は、乗車券に印刷された表示オブジェクトOBを撮像する。以下、乗車券に印刷された表示オブジェクトOBについて詳細に説明する。
【0026】
図5は、実施形態の表示オブジェクトの一例を示す図である。例えば、
図5に示されるように、乗車券にはQRコード(登録商標)が表示オブジェクトOBとして印刷されている。表示オブジェクトOBは、ファインダパターンFP1からFP3と、IDコードID1およびID2(ID2−1およびID2−2)と、効力情報EIとを有する。
【0027】
ファインダパターンFP1からFP3は、効力情報EIの位置を検出するために用いられる位置検出パターンである。効力情報EIは、乗車券の効力を示す情報である。自動改札機1は、乗車券から読み取った効力情報EIに基づいて、利用者の通過を許可するか否かを判定する。IDコードID1およびID2(ID2−1およびID2−2)は、乗車券の識別情報が符号化されたコードである。IDコードID1によって示される識別情報と、IDコードID2によって示される識別情報は、同じである。
【0028】
なお、
図5に示されるように、IDコードID1は、ファインダパターンFP1に隣接する位置に配置される。IDコードID2は、部分IDコードID2−1およびID2−2を有する。部分IDコードID2−1は、ファインダパターンFP2に隣接する位置に配置され、部分IDコードID2−2は、ファインダパターンFP3に隣接する位置に配置される。このように、ファインダパターンに隣接する位置にIDコードを配置することで、IDコードをより確実に検出することができる。
【0029】
本実施形態において、IDコードID1およびIDコードID2のうちの一方のIDコードが検出されなかった場合であっても、他方のIDコードが検出された場合、自動改札機1は読み取りエラーとはせず、検出されたIDコードを用いて処理を行う。これによって、読み取りエラーが原因で利用者の通過が禁止されることを防止することができ、利用者の速やかな通過を維持することができる。
【0030】
また、
図5に示されるように、IDコードID1とIDコードID2とは、ファインダパターンに隣接する位置、且つ互いにできるだけ離れた位置に配置している。この配置によって、仮に一方のIDコードの周辺が正常に読み取られなかった場合であっても、画像処理部19が他方のIDコードを検出する可能性を高めることができる。
【0031】
また、
図5において、表示オブジェクトOBはQRコード(登録商標)であるとしたが、これに限られない。例えば、表示オブジェクトOBは、DataMatrix(登録商標)やVeriCode(登録商標)などの他の二次元コードであってもよいし、バーコードなどの一次元コードであってもよい。ただし、表示オブジェクトOBには、乗車券の効力を示す効力情報と、位置検出パターンとが含まれている必要がある。
【0032】
図6は、実施形態の乗車券のIDおよび効力情報の一例を示す図である。乗車券は、IDおよび効力情報EIを保持している。IDは、IDコードID1およびID2(
図5参照)によって示される乗車券の識別情報である。効力情報EIは、利用可能区間情報、発行日時情報、発行駅情報、有効期限情報などを含む。利用可能区間情報は、鉄道の利用可能区間を示す情報である。発行日時情報は、乗車券が発行された日時を示す情報である。発行駅情報は、乗車券が発行された駅を示す情報である。有効期限情報は、乗車券の有効期限を示す情報である。なお、効力情報EIは、これらの情報の一部が省略されてもよいし、他の情報が追加されてもよい。例えば、効力情報EIには、乗車券の料金を示す料金情報が含まれてもよい。
【0033】
乗車券は、例えば、駅に設置された券売機から発券されてよい。この際、乗車券には、表示オブジェクトOBだけでなく、効力情報EIも印刷されてよい。なお、乗車券は、表示オブジェクトOBが印刷された紙券に限られない。例えば、乗車券は、表示オブジェクトOBを表示する機能を有する携帯端末等の電子媒体であってもよい。この場合、光学読取部11のカメラ17は、携帯端末に表示された表示オブジェクトOBを撮像してもよい。
【0034】
図4に示されるカメラ17は、表示オブジェクトOBを撮像し、撮像した画像を画像処理部19に出力する。画像処理部19は、カメラ17から入力された画像から表示オブジェクトOBを抽出し、抽出した表示オブジェクトOBから、ファインダパターンFP1からFP3を検出する。また、画像処理部19は、検出したファインダパターンFP1からFP3に基づき、乗車券のIDコードおよび乗車券の効力情報EI(
図6参照)を検出する。画像処理部19は、検出したIDコードおよび効力情報EIを取得部21に出力する。
【0035】
画像処理部19は、ファインダパターンFP1からFP3のいずれかを検出できた場合、ファインダパターンFP1からFP3のいずれかを検出できたことを示す情報を取得部21に出力する。また、画像処理部19は、IDコードID1およびID2の少なくとも一方を検出した場合、検出したIDコードを取得部21に出力する。また、画像処理部19は、IDコードID1およびID2のいずれも検出できなかった場合、IDコードを検出できなかった旨を示す情報を取得部21に出力する。また、画像処理部19は、効力情報EIの一部しか検出できなかった場合、検出できた効力情報EIの一部を取得部21に出力する。また、画像処理部19は、効力情報EIを全く検出できなかった場合、効力情報EIを全く検出できなかった旨を示す情報を取得部21に出力する。
【0036】
取得部21は、透過型光電センサStから入力された検出信号、反射型光電センサSrから入力された検出信号、および画像処理部19から入力された情報(乗車券の効力情報EI等)を取得する。取得部21は、取得した検出信号および情報(IDコードおよび効力情報EI等)を乗車券処理部23に出力する。
【0037】
乗車券処理部23は、入場処理を行う場合、取得部21から入力された効力情報EIが正当であるか否かを判定する。例えば、乗車券処理部23は、利用者が入場しようとする駅が利用可能区間に収まっている場合、取得部21から入力された効力情報EIが正当であると判定する。乗車券処理部23は、効力情報EIが正当である場合、利用者の通過を許可する。一方、乗車券処理部23は、効力情報EIが正当でない場合、利用者の通過を禁止する。また、乗車券処理部23は、画像処理部19が利用可能区間情報を検出できなかった場合にも、利用者の通過を禁止する。
【0038】
乗車券処理部23は、出場処理を行う場合、利用者が出場しようとする駅が利用可能区間に収まっている場合、利用者の通過を許可する。一方、乗車券処理部23は、利用者が出場しようとする駅が利用可能区間に収まっていない場合、利用者の通過を禁止する。また、乗車券処理部23は、画像処理部19が利用可能区間情報を検出できなかった場合にも、利用者の通過を禁止する。
【0039】
なお、効力情報EIに乗車券の料金を示す料金情報および入場駅情報が含まれる場合、乗車券処理部23は、料金情報および入場駅情報に基づいて利用者の通過を許可するか否かを判定してもよい。例えば、乗車券処理部23は、取得部21から入力された効力情報EIから、料金情報および入場駅情報を抽出する。乗車券処理部23は、抽出した入場駅情報を用いて記憶部25に格納された運賃テーブルを検索することによって、必要な運賃を導出する。そして、乗車券処理部23は、導出した運賃が料金情報によって示される料金以下である場合、利用者の通過を許可する。一方、乗車券処理部23は、導出した運賃が料金情報によって示される料金より多い場合、利用者の通過を禁止する。
【0040】
乗車券処理部23は、利用者の通過を許可する場合、扉部14および34を開放状態に制御すると共に、乗車券の回収箱(不図示)に乗車券を投入するように促す旨の情報を上面表示部12に表示させる。また、乗車券処理部23は、乗車券の回収箱に乗車券を投入するように促す旨の情報をスピーカ26に出力させてもよい。
【0041】
乗車券処理部23は、利用者の通過を禁止する場合、扉部14および34を閉止状態に制御すると共に、利用可能区間外である旨の情報を上面表示部12に表示させる。また、乗車券処理部23は、利用可能区間外である旨の情報をスピーカ26に出力させてもよい。
【0042】
また、乗車券処理部23は、透過型光電センサStの検出信号に基づいて、通路内における利用者の位置を検知する。具体的には、乗車券処理部23は、透過型光電センサStのうちいずれか1つ以上が利用者を検出した場合、通路に利用者が進入したと判定する。更に、乗車券処理部23は、自動改札機1の入口側に最も近い透過型光電センサSt(
図2において最も右側の透過型光電センサSt)が利用者を検出した場合、通路に利用者が進入したと判定する。
【0043】
利用者の通過が許可されない状態で、通路内の所定位置まで利用者が進入した場合、乗車券処理部23は、扉部14および34を閉止状態に制御する。また、乗車券処理部23は、利用者が後退して透過型光電センサStにより検出されなくなるまで、光学読取部11の動作を停止させ、または乗車券処理部23の動作を停止させる。以下、このような状態を、無札であると判定した状態と称する。
【0044】
図7は、実施形態における、無札であるか否かの判定処理の一例を説明するための図である。
図7の例においては、利用者が通路を矢印の方向(
図7の左方向)に通過するものとして説明する。上記「通路内の所定位置」は、例えば、
図7に示される所定位置P1に設定される。無札であると判定されるのは、利用者が光学読取部11に乗車券を翳すことなく進行した場合や、利用者が光学読取部11に乗車券を翳したが正常に情報が読み取られなかった場合である。無札判定がなされると、利用者は、自動改札機1に無札判定をキャンセルさせるため、一度、自動改札機1の通路から退出した後、光学読取部11に乗車券を再度翳す必要がある。この結果、無札判定がなされると、利用者の円滑な通過を妨げる場合がある。
【0045】
そこで、乗車券処理部23は、光学読取部11によってファインダパターンFP1からFP3のいずれも読み取られていない状態で、利用者が所定位置P1まで進入した場合、利用者の通過を禁止するとともに光学読取部11による表示オブジェクトOBの再度の読み取りを禁止する。一方、乗車券処理部23は、光学読取部11によってファインダパターンFP1からFP3のいずれか一つが読み取られ、且つ光学読取部11によって効力情報EIが読み取られていない状態で、利用者が所定位置P1まで進入した場合、利用者の通過を禁止するとともに光学読取部11による表示オブジェクトOBの再度の読み取りを許可する。
【0046】
すなわち、自動改札機1は、利用者が、効力情報EIが読み取られていない状態で所定位置P1まで進行したとしても、ファインダパターンFP1からFP3のいずれか一つが読み取られていれば、無札であると判定せず光学読取部11による乗車券の再度の読み取りを許可する。これによって、本実施形態の自動改札機1は、利用者の速やかな通過を維持することができる。以下、自動改札機1の動作についての詳細を説明する。
【0047】
図8は、実施形態の自動改札機の動作を示すフローチャートである。まず、乗車券処理部23は、利用者が通路に進入したか否かを判定する(S11)。例えば、乗車券処理部23は、自動改札機1の入口側に最も近い透過型光電センサSt(
図2において最も右側の透過型光電センサSt)が利用者を検出した場合、通路に利用者が進入したと判定する。
【0048】
乗車券処理部23は、利用者が通路に進入していないと判定した場合、ステップS11の処理を繰り返す。一方、乗車券処理部23は、利用者が通路に進入したと判定した場合、ファインダパターンFP1からFP3の少なくとも一つが画像処理部19によって検出されたか否かを判別する(S12)。乗車券処理部23は、ファインダパターンFP1からFP3のいずれも画像処理部19によって検出されていないと判定した場合、後述するステップS18の処理に進む。
【0049】
一方、乗車券処理部23は、ファインダパターンFP1からFP3の少なくとも一つが画像処理部19によって検出されたと判定した場合、IDコードID1およびID2の少なくとも一方が画像処理部19によって検出されたか否かを判別する(S13)。乗車券処理部23は、IDコードID1およびID2のいずれも画像処理部19によって検出されなかったと判定した場合、後述する処理1(
図9)を実行する(S14)。
【0050】
一方、乗車券処理部23は、IDコードID1およびID2の少なくとも一方が画像処理部19によって検出されたと判定した場合、効力情報EI(
図6)が画像処理部19によって検出されたか否かを判別する(S15)。乗車券処理部23は、効力情報EIが画像処理部19によって検出されなかったと判定した場合、後述する処理2(
図10)を実行する(S16)。
【0051】
一方、乗車券処理部23は、ステップS15において効力情報EIが画像処理部19によって検出されたと判定した場合、または、ステップS14またはステップS16の処理が完了した場合、検出された効力情報EIに基づいて、利用者の通過を許可するか否かを判定する(S17)。例えば、乗車券処理部23は、自動改札機1が設置された駅が、効力情報EIに含まれる利用可能区間に収まっている場合、利用者の通過を許可すると判定する。一方、乗車券処理部23は、自動改札機1が設置された駅が、効力情報EIに含まれる利用可能区間に収まっていない場合、利用者の通過を禁止すると判定する。
【0052】
乗車券処理部23は、利用者の通過を許可すると判定した場合、後述するステップS20の処理に移行する。このとき、乗車券処理部23は、乗車券の回収箱(不図示)に乗車券を投入するように促す旨の情報を上面表示部12に表示させる。また、乗車券処理部23は、乗車券の回収箱に乗車券を投入するように促す旨の情報をスピーカ26に出力させてもよい。
【0053】
一方、乗車券処理部23は、ステップS17において利用者の通過を禁止すると判定した場合、またはステップS12においてファインダパターンFP1からFP3のいずれも画像処理部19によって検出されていないと判定した場合、扉部14を閉止する(S18)。扉部14が閉止されると、利用者は自動改札機1を通過できなくなるため、利用者は自動改札機1の入り口まで戻ることになる。
【0054】
次に、乗車券処理部23は、透過型光電センサStの検出信号に基づいて、利用者が通路から退出したか否かを判定する(S19)。乗車券処理部23は、利用者が通路から退出していないと判定した場合、ステップS19の処理を繰り返す。乗車券処理部23は、ステップS19の処理を繰り返している間、光学読取部11による乗車券の読み取りを禁止する。
【0055】
一方、乗車券処理部23は、ステップS19において利用者が通路から退出したと判定した場合、またはステップS17において利用者の通過を許可すると判定した場合、扉部14を開放する(S20)。その後、乗車券処理部23は、光学読取部11による乗車券の読み取りを許可し、前述のステップS11に戻る。
【0056】
図9は、
図8のステップS14の処理1における自動改札機の動作を示すフローチャートである。前述したように、本フローチャートは、ファインダパターンFP1からFP3の少なくとも一つが検出されたものの、IDコードID1およびID2のいずれもが検出されない状態で利用者が通路に進入した場合に実行される。
【0057】
まず、乗車券処理部23は、扉部14を閉止する(S21)。扉部14が閉止されると、利用者は自動改札機1を通過できなくなる。次に、乗車券処理部23は、乗車券に印刷された表示オブジェクトOBを再度提示するよう案内する再提示案内を上面表示部12に表示させる(S22)。なお、乗車券処理部23は、再提示案内をスピーカ26に出力させてもよい。
【0058】
次に、乗車券処理部23は、効力情報EIが画像処理部19によって検出されたか否かを判別する(S23)。乗車券処理部23は、効力情報EIが画像処理部19によって検出されなかったと判定した場合、ステップS23の処理を繰り返す。一方、乗車券処理部23は、効力情報EIが画像処理部19によって検出されたと判定した場合、前述のステップS17(
図8)に移行し、検出された効力情報EIに基づいて、利用者の通過を許可するか否かを判定する。
【0059】
なお、ステップS23において、効力情報EIが検出されないまま利用者が通路から退出したことを透過型光電センサStが検出した場合、乗車券処理部23は、
図8のステップS11の処理に戻ってもよい。これによって、自動改札機1は、他の利用者の乗車券の読み取りを光学読取部11に行わせることができる。
【0060】
このように、制御部20の乗車券処理部23は、光学読取部11によってファインダパターンFP1からFP3の少なくとも一つが読み取られ、且つ光学読取部11によってIDコードID1およびID2のいずれも読み取られていない状態で、透過型光電センサStにより利用者が所定位置P1まで進入したことが検知された場合、利用者の通過を禁止するとともに光学読取部11による表示オブジェクトOBの再度の読み取りを許可する。これによって、利用者が通路から退出することなく、乗車券を光学読取部11に再度読み取らせることができ、利用者の速やかな通過を維持することができる。
【0061】
図10は、
図8のステップS16の処理2における自動改札機の動作を示すフローチャートである。前述したように、本フローチャートは、IDコードID1およびID2の少なくとも一方が検出されたものの、効力情報EIが検出されない状態で利用者が通路に進入した場合に実行される。
【0062】
まず、乗車券処理部23は、扉部14を閉止する(S31)。扉部14が閉止されると、利用者は自動改札機1を通過できなくなる。次に、乗車券処理部23は、乗車券に印刷された表示オブジェクトOBを再度提示するよう案内する再提示案内を上面表示部12に表示させる(S32)。なお、乗車券処理部23は、再提示案内をスピーカ26に出力させてもよい。
【0063】
次に、乗車券処理部23は、IDコードID1およびID2の少なくとも一方および効力情報EIが画像処理部19によって検出されたか否かを判別する(S33)。乗車券処理部23は、IDコードID1およびID2の少なくとも一方および効力情報EIが画像処理部19によって検出されなかったと判定した場合、ステップS33の処理を繰り返す。一方、乗車券処理部23は、IDコードID1およびID2の少なくとも一方および効力情報EIが画像処理部19によって検出されたと判定した場合、ステップS33において検出されたIDコードと、ステップS13(
図8)において検出されたIDコードとが一致するか否かを判定する(S34)。
【0064】
乗車券処理部23は、これらのIDコードが一致すると判定した場合、前述のステップS17(
図8)に移行し、検出された効力情報EIに基づいて、利用者の通過を許可するか否かを判定する。
【0065】
このように、制御部20の乗車券処理部23は、効力情報EIが光学読取部11によって読み取られ、且つ再度の読み取り時に光学読取部11により取得されたIDコードと、再度の読み取りの直前の読み取り時に取得されたIDコードとが同じである場合、効力情報EIに基づき利用者の通過を許可するか否かを判定する。これによって、乗車券が光学読取部11によって再度読み取られた場合に、利用者の速やかな通過を維持することができる。
【0066】
一方、乗車券処理部23が、これらのIDコードが一致しないと判定した場合、通路内に進入した利用者とは異なる利用者(例えば、次の利用者)の乗車券が、光学読取部11によって読み取られたこととなる。この場合、乗車券処理部23は、たとえ効力情報EIが正常に読み取られていたとしても、前述のステップS17(
図8)に移行せず、同じIDコードが検出されるまでステップS33の処理を繰り返す。
【0067】
このように、制御部20の乗車券処理部23は、再度の読み取り時に取得されたIDコードと、再度の読み取りの直前の読み取り時に取得されたIDコードとが異なる場合、効力情報EIが光学読取部11によって読み取られたか否かに関わらず、利用者の通過を禁止する。これによって、自動改札機1が、他人の乗車券の効力情報に基づいて、利用者の通過を許可してしまうことを防止することができる。
【0068】
なお、再度の読み取り時に取得されたIDコードと、再度の読み取りの直前の読み取り時に取得されたIDコードとが異なる場合、乗車券処理部23は、前の利用者の乗車券を提示するよう促すメッセージを上面表示部12に表示させてもよい。これによって、利用者は、自動改札機1を通過するために何をすべきかを理解することができ、利用者の速やかな通過を維持することができる。
【0069】
また、ステップS33において、IDコードおよび効力情報EIが検出されないまま利用者が通路から退出したことを透過型光電センサStが検出した場合、乗車券処理部23は、
図8のステップS11の処理に戻ってもよい。これによって、自動改札機1は、他の利用者の乗車券の読み取りを光学読取部11に行わせることができる。
【0070】
また、上記実施形態において、自動改札機1は表示オブジェクトOBが印刷された乗車券(または表示オブジェクトOBを表示する電子デバイス)を処理する専用機であるものとして説明したが、自動改札機1は、更に、磁気券を処理可能なものであってもよく、ICカード乗車券を処理可能なものであってもよい。また、自動改札機1は、利用者が双方向に通過可能なものに限らず、主機と補機により構成される、利用者が一方向にのみ通過可能なものであってもよい。
【0071】
なお、上記実施形態における自動改札機1は、内部にコンピュータを有している。そして、自動改札機1の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0072】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、自動改札機1は、光学読取部11と、透過型光電センサStと、制御部20とを持つ。光学読取部11は、利用者によって提示された乗車券(または携帯端末)に表示された表示オブジェクトOBから、乗車券の効力を示す効力情報EIと、効力情報EIの位置を検出するために用いられるファインダパターンFP1からFP3とを光学的に読み取る。透過型光電センサStは、利用者が通路における所定位置P1まで進入したことを検知する。制御部20は、光学読取部11によってファインダパターンFP1からFP3のいずれも読み取られていない状態で、透過型光電センサStにより利用者が所定位置P1まで進入したことが検知された場合、利用者の通過を禁止するとともに光学読取部11による表示オブジェクトOBの再度の読み取りを禁止する。また、制御部20は、光学読取部11によってファインダパターンFP1からFP3のいずれか一つが読み取られ、且つ光学読取部11によって効力情報EIが読み取られていない状態で、透過型光電センサStにより利用者が所定位置P1まで進入したことが検知された場合、利用者の通過を禁止するとともに光学読取部11による表示オブジェクトOBの再度の読み取りを許可する。これによって、実施形態の自動改札機1は、利用者の速やかな通過を維持することができる。
【0073】
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
利用者によって提示された媒体に表示された表示オブジェクトから、乗車券の効力を示す効力情報と、前記効力情報の位置を検出するために用いられる位置検出パターンとを光学的に読み取る光学読取部と、
前記利用者が通路における所定位置まで進入したことを検知する検知部と、
閉止されることにより、前記利用者の通過を禁止する扉部と、
前記光学読取部によって前記位置検出パターンが読み取られていない状態で、前記検知部により前記利用者が前記所定位置まで進入したことが検知された場合、前記扉部を閉止するとともに前記光学読取部による前記表示オブジェクトの再度の読み取りを禁止し、 前記光学読取部によって前記位置検出パターンが読み取られ、且つ前記光学読取部によって前記効力情報が読み取られていない状態で、前記検知部により前記利用者が前記所定位置まで進入したことが検知された場合、前記扉部を閉止するとともに前記光学読取部による前記表示オブジェクトの再度の読み取りを許可する制御部と、
を有する自動改札機。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。