(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1および第2帯状部は、前記接続部の略中央部を通って上下方向に伸びる軸を基準として、180度回転対称であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のバネコンタクト。
前記ベース部は、前記接続部が有する第1平面部に対して平行であって下側の前記接続対象に接続される第2平面部を有することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のバネコンタクト。
第1折り曲げ部の下端と第2平面部との接触、または、第2折り曲げ部の上端と第1平面部との接触により、第1平面部と第2平面部の相対的な位置関係が制限されることを特徴とする請求項6に記載のバネコンタクト。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係るバネコンタクト、バネコンタクトの形成方法、バネコンタクトを備えたプリント基板および電子機器について、各実施形態を例に挙げ、図面を使用して以下に説明する。以下の説明における上下、左右、および前後の各方向(互いに直交する方向)は、
図1等に示すとおりである。
【0024】
バネコンタクトは、上下2つの接続対象を電気的に接続するものである。たとえばバネコンタクトは、プリント基板の導体パターン同士を電気的に接続する場合が挙げられる。この場合、一方のプリント基板がリジッド基板、他方のプリント基板がフレキシブル基板となり得る。以下、バネコンタクトがリジッド基板の導体パターン(下側の接続対象に相当する)に固定された状態で接合され、バネコンタクトがフレキシブル基板の導体パターンなどの被電気的接続部材(上側の接続対象に相当する)で押圧される場合を例にして説明する。
【0025】
1.第1実施形態
まず本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るバネコンタクト10の斜視図である。バネコンタクト10は、一続きに形成された第1平面部12、バネ部となる帯状部14、第2平面部16を備えている。それらを一続きに形成するために、
図2に示すように、長尺板状の金属条材(フープ材)18を第1平面部12、帯状部14および第2平面部16となる部分を有する複数のバネコンタクトが得られるように切断加工(打ち抜き加工)し、各帯状部14の曲げ加工等を行うことによりバネコンタクト10を形成している。切断加工および曲げ加工はプレス加工によって行うことができる。バネコンタクト10は曲げ加工の前または後で金属条材18から切り離される。金属条材18はリン青銅、ベリリウム銅、黄銅などの金属から成る。プレス加工の前または後で金属条材18の表面に錫メッキ層または金メッキ層などのメッキ層を形成しても良い。金属条材18からバネコンタクト10を形成する以外に、枚葉の金属板からバネコンタクト10を形成しても良い。なお
図2での上下に示される第2平面部16それぞれ(
図7での上下に示される第2平面部16それぞれも同様)は、一方が本発明に係る第1要素に相当し、他方が本発明に係る第2要素に相当する。
【0026】
図3の平面図に示すように、第1平面部12は、上下方向を厚み方向とする平面状になっており、被電気的接続部材が押圧する接点になる部分である。第1平面部12は偶数の辺を有する多角形状(本実施形態では矩形状)に形成されており、後述するストッパ40を形成することができる。多角形状の角はR形状などの丸められた形状であっても良い。第1平面部12を平面視した場合の大きさの一例として約1.4×1.0mmが挙げられるが、この大きさに限定されない。また、本実施形態では、第1平面部12の対向する端辺20に凸部22を設けているが、必要に応じてこの凸部22は形成しなくても良い。なお、凸部22の一部23が金属条材18から切り離された部分である。
図4に示すように、第1平面部12に押圧力がかかっていない初期状態で第1平面部12と第2平面部16は平行になっている。
【0027】
第1平面部12の中心に上側の接続対象と接触する凸部24が設けられている。凸部24は
図3、
図4に示すように、頂点26に対して点対称になった山形になっている。凸部24は上記プレス加工時に押圧加工することで形成できる。被電気的接続部材は凸部24の頂点26を押圧することで、第1平面部12に押圧力を加える。凸部24が第1平面部12の中央部分にあり、その頂点26が第1平面部12の中心にあるので、被電気的接続部材の押圧力が第1平面部12の全体へ均等にかけられる。なお、バネコンタクト10の形状は、頂点26(第1平面部12の中心)を通り、第1平面部12と直交する軸を基準として180°回転対称(元の形状と180°回転させた形状が同一)であり、その一部である第1平面部12や各帯状部14についても同様に180°回転対称となっている。第1平面部12の形状は、第1平面部12を平面視して第1平面部12の中心に対して180°対称(点対称)であると見ることもできる。第1平面部12から帯状部14へ均等に押圧力がかかり、後述するように第1平面部12が第2平面部16に対して平行を維持しながら移動できる。
【0028】
凸部24の大きさは限定されないが、バネコンタクト10を実装するときに、吸引ノズルで第1平面部12を吸引するのであれば、吸引ノズルの吸引口よりも凸部24を小さくして、吸引ノズルで第1平面部12を吸引できるようにする。なお、被電気的接続部材が第1平面部12の全体に対して均等に押圧できるのであれば、凸部24を省略しても良い。
【0029】
図1、
図2、
図5に示すように、帯状部14は第1平面部12と第2平面部16の間に屈曲して形成された帯状になった部分であり、バネ部となる。また
図1に示すように、二つの帯状部14の一端28は、第1平面部12の左右に対向する端辺20にそれぞれ繋がっている。帯状部14は第1平面部12の端辺20の幅の1/2よりも狭い幅になっており、帯状部14同士が接触しないようになっている。帯状部14は2以上の屈曲部30a、30b、30cを備えており、本実施形態ではこのように、一つの帯状部14ごとに3個の屈曲部が形成されている。また、帯状部14は、屈曲部30a、30b、30c同士を結ぶ部分は直線状に形成しており、直線部31a、31bとなる。
図4、
図5に示すように、前方視により、二つの帯状部14は第1平面部12から第2平面部16まで概ね蛇行するように配置されており、一方の帯状部14の中央の屈曲部30cは、他方の帯状部14の上下の屈曲部30a、30bと左右方向位置がほぼ同じである。このように各帯状部14は、前方視により一部が重なるように形成され、第1平面部12と第2平面部16の間のスペースを十分に大きく使った蛇行が実現可能であるため、良好なバネとしての特性を持たせることが容易である。更に本実施形態では、二つの帯状部14を前後方向へ位置をずらして配置しているため、このように一部が重なるように形成されていても、互いの接触を回避することが可能である。
【0030】
なお、各帯状部14は先述した軸を基準として180°回転対称であり、各帯状部14の屈曲部30a、30b、30cの曲げ角度も等しくなっている。屈曲部30a、30b、30cは、第1平面部12と直線部31a、直線部31aと直線部31b、直線部31bと第2平面部16が鋭角になるように曲げられている。なお、各屈曲部30a、30b、30cの曲げ角度は上記鋭角に限定されず、帯状部14をバネとして機能させることができるのであれば角度を大きくしても良い。例えば、各屈曲部30a、30b、30cの角度は90°などであっても良い。
【0031】
上記構成によって、第1平面部12を第2平面部16に向けて被電気的接続部材で押圧した際、第1平面部12から各帯状部14に均等に押圧力が加えられる。帯状部14同士が先述のとおり180°回転対称になるようなっているため、各帯状部14が同時に同じ形状になるように圧縮される。第1平面部12は、第2平面部16に対してねじれることなく、第1平面部12は第2平面部16と平行な状態を維持しながら移動する。帯状部14同士が先述した180°回転対称になるよう配置されているので、帯状部14がねじれて塑性変形することを防止できる。
【0032】
帯状部14において、屈曲部30a、30b、30cはR形状である。屈曲部30a、30b、30cがR形状になっていることで、帯状部14に弾性力をもたせることができ、帯状部14がバネとして機能を維持することができる。第1平面部12が押圧され、その押圧力がなくなった時に第1平面部12は元の位置に戻り、バネコンタクト10が元の状態に戻る。
【0033】
帯状部14の各屈曲部30a、30b、30cは、第1平面部12に連続する第1屈曲部30a、第2平面部16に連続する第2屈曲部30b、第1屈曲部30aと第2屈曲部30bとの間に形成される第3屈曲部30cから構成される。第1屈曲部30aは幅細になっており、第2屈曲部30bよりも幅を狭くしている。第2屈曲部30bは第1屈曲部30aが入り込む切り欠き32を備えている。なお、この切り欠き32は直線部30bにも多少形成されていても良い。
図6に示すように、帯状部14が強く圧縮されて弾性変形したときに、第1屈曲部30aが切り欠き32の中に入り込むことができる。第2屈曲部30bに、第1屈曲部30aが入り込む切り欠き32を形成しているので、各屈曲部30a、30b、30cの変形量を大きくできるだけでなく、バネコンタクト10全体が嵩高くなるのを防止できながら、被電気的接続部材が第1平面部12を押圧する際のストロークを長くすることができる。このとき、直線部31a、31bはしなり、帯状部14のバネ機能に寄与する。なお、そのストロークが短くても良いのであれば、切り欠き32を省略することも可能である。
【0034】
屈曲部30a、30b、30cは、バネコンタクト10の初期状態(第1平面部12が押圧されていない状態)での曲げ角度を調整することにより、バネコンタクト10を実装する電子機器の大きさに合わせて第1平面部12から第2平面部16までの距離を調整可能に構成されている。たとえば第1平面部12から第2平面部16までの距離は、約3.0〜1.0mmである。具体的には、屈曲部30a、30b、30cは、被電気的接続部材が第1平面部12を押圧する際のストロークに応じて曲げ角度を適宜調整すればよい。
【0035】
図7に示すように、第2平面部16はプリント基板の導体パターンにはんだなどで電気的に接合される部分であり、2本の帯状部14のそれぞれの端部に連続して形成されている。具体的には、2つの第2平面部16は平面状になっており、第2平面部16の端辺34に帯状部14の他端36が繋げられ、後述するように2つの第2平面部16が嵌合部58により一体になっている。2つの第2平面部16が面一になることで2つの第2平面部16は導体パターンに一体となって接合される。また、第2平面部16は偶数の辺を有する多角形状(本実施形態では矩形状)になっており、後述するガイド44を形成することができる。多角形状の角はR形状などの丸められた形状であっても良い。
【0036】
第2平面部16は、導体パターンとの接触面全体を導体パターンにはんだ付けしても良いし、その接触面の側方部分38のみを導体パターンにはんだ付けしても良い。はんだ付けはリフロー方式など任意の方法でおこなうことができる。
【0037】
本実施形態では、第1平面部12はストッパ40を形成している。ストッパ40は、第1平面部12における帯状部14が繋がっていない端辺42(前後の各端辺)を第2平面部16に向けて屈曲部30b、30c側に折り曲げた部分である。ストッパ40は第1平面部12に対して垂直に配置されている。ストッパ40は平行して対向するように2か所形成されている。第1平面部12を第2平面部16に向けて押圧したとき、ストッパ40の先端を第2平面部16に接触させることにより、第1平面部12が必要以上に移動するのを阻止する。ストッパ40により、第1平面部12が移動しすぎて、バネコンタクト10が変形することを防止する。ストッパ40の高さを変更することで、第1平面部12の移動可能距離を変更できる。また、第1平面部12に対してストッパ40が垂直方向に折れ曲がって配置されることで、バネコンタクト10の強度を高めることができる。
【0038】
また本実施形態では、第2平面部16はガイド44を備えている。ガイド44は、第2平面部16における帯状部14が繋がっていない端辺46(前後の各端辺)を第1平面部12に向けて屈曲部30a、30b側に折り曲げた部分である。ガイド44は第2平面部16に対して垂直に配置されている。ガイド44は平行して対向するように2か所形成されている。対向しているガイド44間を2つのストッパ40が移動する。ストッパ40の外面とガイド44の内面は前後方向に対向した面(対向面)となっており、ストッパ40とガイド44との位置関係は、ストッパ40の外面がガイド44の内面に当接しながら摺動するようにしても良いし、小さい隙間を介して移動するようにしてもよい。このようにストッパ40の外面とガイド44の内面を近接して対向させたことにより、ストッパ40の外面とガイド44の内面を常時平行に維持し、第1平面部12と第2平面部16の上方視による相対的な回転等を防止することができる。ガイド44の高さを適宜変更することで、ストッパ40を案内する長さを変更できる。また、第2平面部16に対してガイド44が垂直方向に折れ曲がって配置されることで、バネコンタクト10の強度を高めることができる。
【0039】
ストッパ40とガイド44の端辺42、46に傾斜面52、54を設けても良い(
図8(a))。2つのストッパ40のうちの一方のストッパ40は、ガイド44の端辺46上にかかるように降下してきても、傾斜面52がガイド44の傾斜面54に当接してストッパ40の内方側に案内されながら第2平面部16に向けて降下し(
図8(b))、ストッパ40がガイド44の内面側で移動する(
図8(c))。バネコンタクト10の形成時に多少の寸法誤差が生じても、傾斜面52、54によってストッパ40の外面48をガイド44の内面50側に確実に配置させることができる。なお、各傾斜面52、54は省略されても良い。
【0040】
本実施形態ではストッパ40を第1平面部12、ガイド44を第2平面部16に設けたが、ストッパ40を第2平面部16、ガイド44を第1平面部12に設けても良い。また、ストッパ40とガイド44はそれぞれ2つに限定されず、それぞれ1つであっても良い。さらに、バネコンタクト10の強度を所定値以上に保てたり、第1平面部12と第2平面部16を平行に保てたりできるのであれば、ストッパ40とガイド44を設けなくても良い。また、ストッパ40だけを設けてもよい。この場合、第1平面部12だけに設けてよいし、第2平面部16だけに設けてよいし、第1平面部12と第2平面部16とに設けてもよい。
【0041】
図7に示すように、2つの第2平面部16は対向側部56に相互に嵌め合わせる嵌合部58を備える。嵌合部58は、たとえばL字形状の凸部60とその凸部60がはめ込まれる凹部62により形成される。凸部60が凹部62に入り込むことによって、帯状部14の圧縮方向に直交する方向に第2平面部16が移動することを規制できる。2つの第2平面部16が平面方向でずれることを防止でき、2つの第2平面部16が一体になった状態を保つことができるため、バネコンタクト10の形状を維持しやすい。
【0042】
バネコンタクト10をプリント基板の導体パターンにはんだ等で電気的に接続することで、バネコンタクト10を備えたプリント基板を構成することができる。本願のバネコンタクト10は、上記のように非常に小さな形状になっているため、
図9のようにプリント基板64の曲線形状66に沿ってバネコンタクト10を実装させることもできる。プリント基板64における実装面積の割合を高めることができ、高密度実装のプリント基板64になる。
【0043】
また本実施形態の電子機器はバネコンタクト10を実装したプリント基板64を備えた機器である。電子機器としては、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ラップトップコンピュータ、ディジタルカメラ、テレビ、オーディオ機器、各種リモコンなどの任意の機器が含まれる。さらに電子機器は1つの商品になっていることに限定されず、自動車に搭載されたカーオーディオ、カーナビゲーションシステムなどの所定の機能を発揮するモジュールも含む。上記のように高密度実装のプリント基板64であれば、電子機器を小型化できる。
【0044】
以上のように、本実施形態では第2平面部16に対する平行を保ちながら第1平面部12を移動させることができるため、帯状部14がねじれたりして塑性変形することを防止できる。導体パターンと被電気的接続部材との接続と切断を繰り返しても、バネコンタクト10の形状を維持することができる。そのため、バネコンタクト10は電気的な接続と切断を確実にすることができる。本発明のバネコンタクト10は近接センサーやスイッチとして使用することもできる。
【0045】
以上、第1実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。たとえば、第1平面部12の形状は正方形や長方形を含む多角形、円形、楕円形など任意の形状で良い。また、2つの第2平面部16が一体になった状態での形状も多角形、円形、楕円形などの任意の形状であっても良い。第1平面部12と第2平面部16とで異なる形状になっていても良い。さらに、第1平面部12と第2平面部16の形状はその外周に任意の凹凸があっても良い。
【0046】
上記の実施形態は帯状部14の屈曲部30a、30b、30cの数は3であったが、その数は任意に設定することができる。例えば
図10のバネコンタクト70のように、帯状部72は第1屈曲部30aと第2屈曲部30bの2つの屈曲部を備え、さらにそれらの屈曲部30a、30bの間の直線部73を備えている。
図10に示すように、第1平面部12、帯状部72および第2平面部16によって側面視がZ形状になるように形成されている。この場合、第1平面部12が第2平面部16に対して平行を保ちながら、多少平面方向に回転する恐れがあるが、ストロークの短いバネコンタクト70に適用することができる。第2平面部16は、基板に対して導通可能状態でスライドできるように基板に接続することにより、第1平面部12が平面方向に回転することなく移動させることが可能になる。また、1本の帯状部に含まれる屈曲部の数を4以上にしても良い。
【0047】
また、第1平面部12が第2平面部16に対する平行を保って移動できるのであれば、帯状部14の数も任意に設定することができる。たとえば、
図11のように、第1平面部74の一方の端辺76に2本の帯状部78が繋がっており、他方の端辺80に1本の帯状部82が繋がっていても良い。
図11の場合、帯状部78、82の幅を変えて弾性力を調整し、第1平面部12が第2平面部84a、84b、84cに対する平行を保って移動できるようになっている。さらに、帯状部14の長さ方向は第1平面部12に対して任意の方向を向いていても良いし、2本の帯状部14が先述した180°回転対称となる方向に向かずに、任意の方向を向いていても良い。
【0048】
帯状部14における屈曲部30a、30b、30c同士の間は直線形状になっていたが、直線形状に限定されない。屈曲部30a、30b、30c同士の間が湾曲されていたり、蛇行されていたりしても良い。また、屈曲部30a、30b、30c同士を直接繋ぎ、直線部31a、31bを省略した帯状部であっても良い。
【0049】
図1の帯状部14は第1屈曲部30aが第1平面部12、第2屈曲部30bが第2平面部16に連続して形成されていたが、第1屈曲部30aが第2平面部16、第2屈曲部30bが第1平面部12に連続して形成された構成であっても良い。
【0050】
図7の第2平面部16には2つの嵌合部58が設けられたが、
図12(a)の第2平面部86のように1つの嵌合部88であっても良い。また、第2平面部12の位置を規制できるのであれば、嵌合部58、88は上記の凸部60と凹部62に限定されない。たとえば、
図12(b)の第2平面部90ように、嵌合部92として段差形状として、互いの段差形状が第2平面部90の位置がずれるのを防止しても良い。
【0051】
上記実施形態で示したバネコンタクト10の構成を上下逆にして使用してもよい。たとえば、
図1のバネコンタクト10を上下逆にして使用する場合、第2平面部16が被電気的接続部材により押圧される接点側となり、第1平面部12がプリント基板の導体パターンにはんだなどで電気的に接合される。この場合、導体パターンへの接合を考慮して凸部24を省略することが好ましい。
【0052】
上記実施形態は、リジッド基板の導体パターンとフレキシブル基板の導体パターンを接続することを説明したが、リジッド基板の導体パターン同士、フレキシブル基板の導体パターン同士の接続であっても良い。また、フレキシブル基板の導体パターンにバネコンタクトが接合され、リジッド基板の導体パターンが第1平面部を押圧しても良い。
【0053】
さらに、バネコンタクトによって接続される2つの接続対象はプリント基板の導体パターンの接続に限定されず、ワイヤーハーネスの端子接続に使用しても良い。そのため、本願の電子機器は、バネコンタクトが実装されたプリント基板を備えた電子機器に限定されず、任意の方法で電子機器の中に含まれたものである。
【0054】
本実施形態のバネコンタクトは、帯状部の各端部が第1平面部と第2平面部形とに連続するように成されており、屈曲した帯状部を介して第1平面部が第2平面部に向けて移動することで、帯状部が圧縮されるように変形する。その時、帯状部は、複数形成しているので、第1平面部が第2平面部に対する平行を保って移動することができ、帯状部が変形したり破損したりすることを防止できると共に、平面部の傾きも防止できる。さらに、帯状部は、電気接続と切断を繰り返しても元の形状に回復できる。そのため、バネコンタクトの形状が維持され、バネコンタクトは所望の電気接続を維持できる。
【0055】
帯状部が第1平面部の中心に対して180°回転対称となる形状に形成され、180°回転対称となる2以上の屈曲部は曲げ角度が等しくなるように形成されているため、第1平面部と第2平面部とは、傾くことなく平行を保つことができる。さらに、屈曲部に切り欠きを形成しているので、屈曲部の圧縮量をできるだけ大きくすることができので、所定の圧縮量を維持しながら、バネコンタクト全体の高さを低くすることができる。また、ストッパとガイドを形成することによって、バネコンタクトを変形および破損させずに第1平面部と第2平面部の平行をより確実に保つことができる。第2平面部に嵌合部を形成することにり、嵌合部によって第2平面部の平面方向への移動を規制できるので、バネコンタクトの形状を維持しやすくなる。
【0056】
本実施形態のバネコンタクトはプリント基板への高密度実装が可能であり、プリント基板の小型化も可能になる。そのため、本実施形態のバネコタクトを備えた電子機器の小型化も可能になる。さらに本実施形態のバネコンタクトは従来の物より導通する距離が短くなることにより高周波回路において高速で信号の受送信が可能となる。
【0057】
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお以下の説明では、第1実施形態と異なる内容に重点を置いて説明し、第1実施形態と共通する内容については説明を省略することがある。また、第1実施形態と第2実施形態において同じ符号が付された要素同士は、基本的に同等の要素であるとする。
【0058】
図13から
図15のそれぞれは、第2実施形態に係るバネコンタクト10aの別の角度から見た斜視図である。これらの図に示すように、第2実施形態に係るバネコンタクト10aの形状も、頂点26(第1平面部12の中心)を通り、第1平面部12と直交する軸(上下方向に伸びる軸)を基準として180°回転対称であり、その一部である第1平面部12や各帯状部14についても180°回転対称となっている。
【0059】
バネコンタクト10aに設けられた二つの帯状部14の一端28それぞれは、第1平面部12の左右に対向する端辺20にそれぞれ繋がっている。また、第1屈曲部30aと第2屈曲部20bの前後方向中央部には、帯状部14の伸びる方向と同じ向きに伸びた切り欠きが設けられている。これらの切り欠きは、主として弾性変形時に帯状部14に生じる応力のバランスを取るために設けられている。例えば帯状部14の幅を均一にしておくと、第3屈曲部30aの近傍に比べ第1屈曲部30aと第2屈曲部20bの近傍において応力が高くなるが、当該切り欠きを設けることでこのような応力の偏りを低減させることが可能である。
【0060】
なお第1実施形態では、第2屈曲部30bに形成した切り欠きに第1屈曲部30bが入り込み可能である構成としていたが、第2実施形態ではこのような構成を採用していない。但し第2実施形態においても、このような入り込みが可能となる構成を採用してもよい。また後述する第3実施形態では、上記の切り欠きを設ける代わりに、第3屈曲部30aの近傍に比べ第1屈曲部30aと第2屈曲部20bの近傍において帯状部14の幅を狭くすることで、同様に応力の偏りを低減させるようにしている。
【0061】
また、第2実施形態における二つの第2平面部16(別々の帯状部14に連接している部分であり、本発明に係る第1要素と第2要素に相当する)には嵌合部は設けられておらず、これらの第2平面部16は端辺同士が左右に近接して対向し、それぞれの下側表面は同一平面上にある。第2実施形態では上記の嵌合部を設けなくても、後述する嵌め込み用突起40aと孔44aの組み合わせを設けることにより、二つの第2平面部16が平面方向でずれることは極力防止される。但し第2実施形態においても、第1実施形態と同様に嵌合部を設けるようにしてもよい。二つの第2平面部16は、はんだを用いて接続対象に固定する際のはんだ付け面として利用することが可能である。
【0062】
更に、第2実施形態の前後の各ストッパ40には嵌め込み用突起40aが設けられ、前後の各ガイド44には、嵌め込み用突起40aが嵌め込まれる孔44aが設けられている。本実施形態では、嵌め込み用突起40aを孔44aに嵌め込んで、第1平面部12と第2平面部16の相対的な位置関係が、嵌め込み用突起40aと孔44aの縁との接触により制限されるようにしている。
【0063】
より具体的に説明すると、孔44aの左右方向寸法は上下の位置に関わらず一定となっており、その寸法は、嵌め込み用突起40aの左右方向寸法より僅かに大きい程度となっている。また、嵌め込み用突起40aと孔44aは、左右方向中心位置が一致している。これにより、嵌め込み用突起40aの左右の動きは孔44aの左右の縁との接触により抑制され、第1平面部12と第2平面部16の左右方向の相対的な位置関係のずれも抑制される。更に、嵌め込み用突起40aが上方視で回転する動きも、嵌め込み用突起40aの左右の端面と孔44aの左右の縁の面(前後方向寸法が板厚に相当する面)との接触により抑制され、第1平面部12と第2平面部16の上方視回転方向の相対的な位置ずれも抑制される。なお、孔44aの上側の縁に接触しない限り、嵌め込み用突起40aの上下の動きは妨げられない。嵌め込み用突起40aに相当するものをガイド44側に設け、孔44aに相当するものをストッパ40側に設けるようにしても構わない。
【0064】
また、嵌め込み用突起40aが孔44aの上側の縁に接触する(引っ掛かる)ことにより、第1平面部12と第2平面部16の最大距離が規定される。本実施形態では初期状態(第1平面部12および第2平面部16の一方の他方に向けた押圧がなされていない状態)において、嵌め込み用突起40aが孔44aの上側の縁に接触するとともに、帯状部14によるバネ(上下に伸縮するバネ)は少し縮んだ状態となるように設定されている。これにより初期状態においても、帯状部14の弾性力により、第1平面部12と第2平面部16が互いに離れる方向へ付勢される。本実施形態では、このように当該バネに初期荷重(プリロード)を設定することにより、初期状態における第1平面部12と第2平面部16の距離を、上記の規定された最大距離に安定させることが出来る。また、初期荷重の大きさを調節することにより、接続対象と第1平面部12との初期の接触力(バネコンタクト10aが変形し始める際の接触力)を調節することも可能である。なお当該初期荷重の大きさや最大距離の大きさは、製品仕様等に合わせて適宜設定され得る。
【0065】
また本実施形態では、前後の各ガイド44の内面に、対応するストッパ40の外面(対向面)に向けて突出した導電用突起44bを設けている。導電用突起44bは、凸部24の場合と同様に、ガイド44の外面を押圧加工することで形成できる。なお、ガイド44の外面に形成された凹部44cは、当該押圧加工により形成されたものである。導電用突起44bはストッパ40の対向面に接触しており、これにより導電用突起44bを介して、各ガイド44と導電用突起44bを接触させ、第1平面部と第2平面部の間の導電経路を形成することが可能である。この導電経路は、各ガイド44と導電用突起44bが接触していない場合の導電経路(帯状部14を介した第1平面部と第2平面部の間の導電経路)よりも短くなっており、その結果、例えば高周波回路における高速な信号の受送信が可能となっている。
【0066】
ガイド44と導電用突起44bをより確実に接触させるため、導電用突起44bの先端はストッパ40の外面に圧接することが望ましい。また、導電用突起44bに相当するものをストッパ40の外面に設け、これをガイド40の内面に接触させるようにしても構わない。本実施形態では、初期状態においては導電用突起44bがストッパ40へ接触しないようにし、平面部12が下方へ所定量以上移動した段階で接触するようにしている。このように、初期状態においては導電用突起44bとストッパ40の外面との摩擦を抑えて、第1平面部12が下方へ極力移動し易くなるように配慮されている。なお、ストッパ40の外面とガイド44の内面を近接して対向させたことにより、ストッパ40の外面とガイド44の内面を常時平行に維持し、第1平面部12と第2平面部16の上方視による相対的な回転等を防止することができる点は、第1実施形態の場合と同様である。特に本実施形態(後述する第3実施形態も同様)では、初期状態においてもストッパ40の外面とガイド44の内面を近接して対向させているため、初期状態での当該回転等も防止することができる。更に、先述した嵌め込み用突起40aと孔44aの組合せにより位置ずれを抑える効果は、初期状態においても有効である。このような構成により、本実施形態のバネコンタクト10aは初期状態において意図しない外力が加わっても、変形や破損等は極力抑えられる。なおバネコンタクトは、第1平面部12に接続対象を未だ接触させていない初期状態のまま取り扱われることも多く、このように初期状態においても変形や破損等が抑えられることは重要である。
【0067】
3.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお以下の説明では、第2実施形態と異なる内容に重点を置いて説明し、第2実施形態と共通する内容については説明を省略することがある。また、第2実施形態と第3実施形態において同じ符号が付された要素同士は、基本的に同等の要素であるとする。
【0068】
図16および
図17のそれぞれは、第3実施形態に係るバネコンタクト10bの別の角度から見た斜視図である。これらの図に示すように、第3実施形態に係るバネコンタクト10bの形状も、頂点26(第1平面部12の中心)を通り、第1平面部12と直交する軸(上下方向に伸びる軸)を基準として180°回転対称であり、その一部である第1平面部12や各帯状部14についても180°回転対称となっている。バネコンタクト10bの上下方向寸法は、0.9mm(押圧された状態)から1.2mm(初期状態)程度の範囲で変動する。
【0069】
また、第2実施形態においては、互いに対応する嵌め込み用突起40aと孔44aの組合せが前後に一組ずつ設けられていたが、第3実施形態においては、同等の組合せが前後に二組ずつ設けられている。より具体的には、前後の各ストッパ40には二つの嵌め込み用突起40a1、40a2が設けられ、前後の各ガイド44には二つの孔44a1、44a2が設けられている。嵌め込み用突起40a1はストッパ40の左側寄りに設けられ、嵌め込み用突起40a2はストッパ40の右側寄りに設けられている。また、孔44a1はガイド44における嵌め込み用突起40a1が嵌め込まれる位置に、孔44a2はガイド44における嵌め込み用突起40a2が嵌め込まれる位置に、それぞれ設けられている。
【0070】
これらの嵌め込み用突起40a1、40a2および孔44a1、44a2の役割は、基本的に第2実施形態の場合と同様である。但し第3実施形態では、嵌め込み用突起と孔の組合せを増やしたことにより、第1平面部12と第2平面部16の左右方向の相対的な位置関係のずれを、より効果的に抑制することが可能である。また、互いに対応する嵌め込み用突起と孔の計4個の組合せは、上方視により前後と左右の何れにもほぼ対称となるように配置されており、帯状部14による初期荷重がかかった初期状態での形態をより安定させることが可能である。
【0071】
また本実施形態においても、複数のバネコンタクトが得られるように切断加工(打ち抜き加工)した金属条材(金属板材)からバネコンタクトが製造されるが、バネコンタクト10bの製造段階で生じる中間体(金属条材からバネコンタクトが切り出される直前の状態)は、
図18(a)に示す形態となっている。なお
図18においては、破線枠で囲んだ部分の拡大図を右側に示している。このように当該中間体では、バネコンタクト10bにおける第1平面部12の前後の端辺に金属条材の他の部分が連接しており、この連接部分近傍を切断することによりバネコンタクト10bが得られる。そのため本実施形態では、第1平面部12の前後の端部の一部23aが、金属条材の他の部分から切り離された部分となる。
【0072】
なお、当該端部の一部23aは、曲げ加工によって第1平面部12の外面よりも少し下方に位置させており、接続対象との接触(
図19を参照)が極力回避されるよう配慮されている。また、バネコンタクトが適切に得られる限り、上記中間体の形態は特に限定されない。例えば
図18(b)に示すように、バネコンタクト10bにおける第1平面部12の左右の端辺に金属条材の他の部分が連接するようにし、この連接部分近傍を切断することによりバネコンタクト10bが得られるようにしても良い。
【0073】
4.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明では、第3実施形態と異なる内容に重点を置いて説明し、第3実施形態と共通する内容については説明を省略することがある。第3実施形態と第4実施形態において同じ符号が付された要素同士は、基本的に同等の要素であるとする。なお第4実施形態(後述する第5実施形態および第6実施形態も同様)に係るバネコンタクトの形状も、第1平面部12の中心を通り、第1平面部12と直交する軸(上下方向に伸びる軸)を基準として180°回転対称である。
【0074】
図20および
図21のそれぞれは、第4実施形態に係るバネコンタクト10cの別の角度から見た斜視図である。これらの図に示すように、バネコンタクト10cにおいては、前後の各ガイド44に形成された二つの孔44a1、44a2の下側は、第2平面部16と前後の各ガイド44の間における折り曲げ部βのR部分(金属板材の折り曲げにより形成された曲面部分)には及んでいない。そのため第4実施形態では、折り曲げ部βのR部分には孔が設けられておらず、第2平面部16の前後両端の全体において、折り曲げ部βのR部分が連接した形態となっている。
【0075】
そのため、バネコンタクト10cを下側の接続対象へ実装する工程において、
図21に示す破線で囲まれた範囲(斜線のハッチングで示した範囲)を、接続対象へはんだ付けすることが可能である。すなわち、第2平面部16だけでなく折り曲げ部βのR部分の広い範囲を接続対象へはんだ付けすることができ、バネコンタクト10cを接続対象へより強固に接続固定することが可能である。また、第2平面部16をリフローはんだ付けによって当該接続対象へ固定する際、当該R部分におけるはんだの表面張力が強くなり、バネコンタクト10cが意図せずに回転する事態を抑えることが可能である。
【0076】
また、左右二つの嵌め込み用突起40a1、40a2は、ガイド40の一部が外向きに折り曲げられて形成されているが、この折り曲げの角度(折り曲げ角度θ)は、各種の値に設定することが可能である。
図22(A)〜(C)それぞれは、折り曲げ角度θを異なる値に設定した場合のバネコンタクト10cを示している。なお
図22において、上側にはバネコンタクト10cの外観斜視図が示され、下側には断面図(嵌め込み用突起40a1を通り左右方向に垂直な平面で切断した場合の断面図)が示されている。
【0077】
図22(A)における折り曲げ角度θは概ね180°であり、嵌め込み用突起40a1、40a2はガイド40へ密着するように折り曲げられている。この場合、嵌め込み用突起40a1、40a2のガイド40からの前後方向への出っ張り量δは、概ね、嵌め込み用突起40a1、40a2の板厚相当となる。
【0078】
一方で、
図22(B)における折り曲げ角度θは、
図22(A)における折り曲げ角度θよりも少し小さくなっている。これにより、
図22(B)における出っ張り量δは、
図22(A)における出っ張り量δよりも大きくなっている。そのため、
図22(B)に示すバネコンタクト10cにおいては、
図22の白抜矢印で例示するようにガイド部40に前後方向の外力が加わっても、出っ張り量δが大きくなっている分、嵌め込み用突起40a1、40a2を孔44a1、44a2から逸脱し難くすることが可能である。これにより、嵌め込み用突起40a1、40a2の引掛り(孔44a1、44a2の上側の縁への引掛り)が外れる事態を生じ難くすることが可能である。
【0079】
また、
図22(C)に示すバネコンタクト10cにおいては、折り曲げ角度θは
図22(B)に示すものよりも小さくなっており、その分、出っ張り量δもより大きくなっている。更に、
図22(C)に示すバネコンタクト10cにおいては、ガイド44と嵌め込み用突起40a1、40a2との間に、孔44a1、44a2の上側の縁が入る大きさの隙間が形成されている。そのため当該バネコンタクト10cは、少なくとも初期状態において、孔44a1、44a2の上側の縁が、ガイド44と嵌め込み用突起40a1、40a2との間に嵌まり込んだ状態となる。これにより、
図22の白抜矢印で例示するようにガイド部40に前後方向の外力が加わっても、嵌め込み用突起40a1、40a2が孔44a2の上側の縁近傍へ当たることにより、ガイド部40の前後方向の位置ずれを防ぐことが可能である。
【0080】
5.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明では、第4実施形態と異なる内容に重点を置いて説明し、第4実施形態と共通する内容については説明を省略することがある。第4実施形態と第5実施形態において同じ符号が付された要素同士は、基本的に同等の要素であるとする。
【0081】
図23は、第5実施形態に係るバネコンタクト10dの斜視図である。バネコンタクト10dにおいては、ガイド40の左右方向の一端に連接するように補強部45が設けられている。より具体的に説明すると、前側のガイド40の左側に連接した金属板材の部分が後方へ90°折り曲げられて、左側の補強部45が形成されている。一方、後側のガイド40の右側に連接した金属板材が前方へ90°折り曲げられて、右側の補強部45が形成されている。
【0082】
また補強部45の下端部45aの上下方向位置は、第2平面部16の下側表面の上下方向位置と一致している。これにより、
図24に示すようにバネコンタクト10dを接続対象Ob1の上側平面に固定させると、第2平面部16とともに下端部45aが接続対象Ob1に接触する。
【0083】
バネコンタクト10dを接続対象Ob1に固定させる際には、第2平面部16とともに下端部45aを、接続対象Ob1の上側平面にはんだ付けすれば良い。例えば、
図24に示す領域γにはんだを設けることにより、下端部45aも接続対象Ob1へはんだ付けすることができ、バネコンタクト10dの意図しない変形や接続対象Ob1からの剥離を抑えることが可能となる。すなわち、ガイド40に白抜矢印で例示する外力が加わっても、下端部45aが接続対象Ob1へ接触しているため、補強部45の支持により、ガイド40の上側が後方へ倒れるような変形は抑えられる。またこの際、下端部45aが接続対象Ob1へ押し付けられる力が生じることになり、この力は下端部45aと接続対象Ob1のはんだ付けの剥離を妨げるように作用する。
【0084】
6.第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明では、第4実施形態と異なる内容に重点を置いて説明し、第4実施形態と共通する内容については説明を省略することがある。第4実施形態と第6実施形態において同じ符号が付された要素同士は、基本的に同等の要素であるとする。
【0085】
図25は、第6実施形態に係るバネコンタクト10eの斜視図である。
図26は、
図25に示すバネコンタクト10eの断面図(バネコンタクト10eを前後に二分する平面で切断した場合の断面図)である。本実施形態におけるストッパ40およびガイド44については、嵌め込み用突起40a1、40a2および孔44a1、44a2が設けられる代わりに、溝部40xおよび爪部44xが設けられている。
【0086】
ストッパ40には、上下に伸びる2本の溝部40xが左右に並ぶように設けられている。またガイド44には、2本の溝部40xそれぞれに対応するように2個の爪部44xが設けられている。爪部44xは、ガイド44の上端から前後方向内側へ折り曲げられ、対応する溝部40xへ嵌まり込むように形成されている。
【0087】
爪部44xの幅(左右方向寸法)は溝部40xの幅と同等あるいは少し小さくなっている。これにより爪部44xは、溝部40x内において上下方向へ相対的に移動可能である。一方、爪部44xが溝部40xの左右の縁に引っ掛かることにより、第1平面部12の左右方向への位置ずれを防ぐことができる。また、爪部44xが溝部40xの下の縁に引っ掛かることにより、第1平面部12の上側への可動範囲を規制することができる。
【0088】
また、バネコンタクト10eの左右両側それぞれには、左右方向を厚み方向とする壁部49が設けられている。左側の壁部49は、後側の帯状部14を左側から保護するように、後寄り部分が上方へ張り出している。一方、右側の壁部49は、前側の帯状部14を右側から保護するように、前寄り部分が上方へ張り出している。なお、これらの張り出した部分の上端(例えば
図25にQ1で示す箇所)へ第1平面部12の所定箇所(例えば
図25にQ2で示す箇所)が接触することにより、第1平面部12の下側への可動範囲を規制することができる。
【0089】
また前側のガイド44のうち、左寄りの部分は、左側の壁部49の前端から右方へ90度折り曲がった部分として形成されており、右寄りの部分は、右側の壁部49の前端から左方へ90度折り曲がった部分として形成されている。一方、後側のガイド44のうち、左寄りの部分は、左側の壁部49の後端から右方へ90度折り曲がった部分として形成されており、右寄りの部分は、右側の壁部49の後端から左方へ90度折り曲がった部分として形成されている。なお、前側のガイド44の左寄り部分と右寄り部分、および、前側のガイド44の左寄り部分と右寄り部分のそれぞれには、下端の一部から前後方向内側へ90度折り曲げられた延出部44zが設けられている。延出部44zは、第4実施形態における第2平面部16の一部として機能する。
【0090】
前側の帯状部14は、一方の端部が第1平面部12へ連接する一方、他方の端部が左側の壁部49の前寄り部分の上側に連接している。後側の帯状部14は、一方の端部が第1平面部12へ連接する一方、他方の端部が右側の壁部49の後寄り部分の上側に連接している。なおバネコンタクト10eは、前後の各ガイド部44の下側の縁および左右の各壁部49の下側の縁(いずれも、金属板材の側面に相当する)、ならびに各延出部44zが下方へ露出している。
【0091】
本実施形態では、これらの下方へ露出した部分は同一平面上にあり、この平面(仮想平面)は第1平面部12と平行である。これらの部分の全部または一部を接続対象Ob1の上側平面へはんだ付けすることにより、バネコンタクト10eを接続対象Ob1へ接続固定させることができる。
【0092】
なお本実施形態のバネコンタクト10eは、各ガイド部44および各壁部49の下側に肉盛り(板材要素の追加)を施して、上下方向寸法を種々の事情に応じて調節することが容易である。
図25に示すバネコンタクト10eに対して、上下方向の寸法が大きくなるように調節されたバネコンタクト10e1を、
図27に示す。この例では、
図27に示す破線Y1と破線Y2の間の要素が肉盛りされており、その分だけ上下方向の寸法が大きくなっている。
【0093】
寸法調節後のバネコンタクト10e1を製造するためには、元のバネコンタクト10eを製造するための金属板材に対して肉盛りを行えば良い。具体的には
図28に無着色で示す金属板材に対して、着色して示す部分(製造後に破線Y1と破線Y2の間の要素となる部分)の肉盛りを行えば良い。これにより、基本的な製造工程を変更することなく、寸法調整後のバネコンタクト10e1を容易に製造することが可能である。
【0094】
7.その他
上述した各実施形態に係るバネコンタクトは、上下それぞれの接続対象を電気的に接続するバネコンタクトであって、第1平面部12を有し、上側の接続対象に接続される接続部と、第1平面部12の端辺に一端が連続するように形成され、折り曲げによって二箇所以上の屈曲部を設けたバネとして形成された少なくとも二つの帯状部14と、帯状部14それぞれの他端に連続して形成され、下側の接続対象に接続されるベース部と、を備える。また、帯状部14それぞれは、前記接続部が下方に向けて押圧された際、当該押圧の荷重を均等に受けて、当該接続部が下方へ平行移動するように弾性変形する。
【0095】
そのため、第1平面部12の移動がバネの板幅によって制限されないようにしつつ、第1平面部12を有する接続部と接続対象の接触をより安定させることができる。また平面部同士(第1平面部12と第2平面部16)の平行を維持することも可能となっている。なお、第1〜第5実施形態の第2平面部16、および、第6実施形態のガイド44および壁部49は、本発明に係るベース部の一形態と見ることが出来る。
【0096】
仮に接続部が平行移動しない場合には、接続部と接続対象の接触が不安定となったり、バネが伸縮する度にコンタクトと接続対象の間に摩擦が生じて、これが摩耗等の要因となったりする虞がある。このような現象をより理解容易とするため、第2平面部16を一方の接続対象Ob1に接続固定されたバネコンタクトに対し、他方の接続対象Ob2(下を向いた基板)を下方に移動させて接続部を押圧する様子を、
図19に概略的に示す。
図19は、(a)に示す状態において接続対象Ob2が下方に移動すると、接続部が下方に押圧されて(b)に示す状態になることを示している。
【0097】
ここで、仮に第1平面部12が何れかの点線矢印で示す方向へ傾くとすると、接続対象Ob2の下面が第1平面部12の端部付近(概ねαで示す箇所)に当たり、第1平面部12と接続対象Ob2の接触が不安定となる虞がある。しかし接続部が下方へ平行移動する場合には当該問題は回避され、このことは第1平面部12に凸部24が設けられていない場合にも同様である。また、上記の点線矢印で示す方向への傾きが発生する際、特に凸部の頂点26付近と接続対象Ob2の間に摩擦が生じる虞がある。接続部が下方へ平行移動する場合には、このような問題も回避される。また各実施形態では、平面部の移動方向(上下方向)はバネの板幅方向(前後方向)と直交しており、平面部の移動がバネの板幅によって制限されることはない。
【0098】
また各実施形態における第1平面部12および第2平面部16は、上述したように平行を維持するだけでなく、上方視による相対的な回転も防ぐことが可能である。そのため、当該回転によって凸部の頂点26付近と接続対象Ob2の間に摩擦が生じる事態も回避される。更に、各実施形態に係るバネコンタクトを、吸引ノズル(吸着ノズル)を用いて第1平面部12を吸着してエンボステープ(梱包資材)等から取り出す際、吸引ノズルを第1平面部12へ軽く押し当てたときに第1平面部12がこのような回転を生じると、吸引ノズルへの吸着に支障をきたす虞がある。また更に、吸引ノズルに吸着されたバネコンタクトを接続対象Ob1に実装する際、吸引ノズルを用いてバネコンタクトを接続対象Ob1へ軽く押し当てたときに第2平面部16がこのような回転を生じると、接続対象Ob1におけるバネコンタクトの固定位置がずれてしまう虞がある。第1平面部12と第2平面部16の上方視による相対的な回転が抑えられると、こういった問題も解消させることが可能である。
【0099】
なお帯状部14それぞれは、第1平面部12および第2平面部16の一方の他方に向けた押圧がなされた際、当該平面部同士の傾きが生じる動きを抑え合いながら弾性変形すると見ることもできる。例えば
図5(前方視点の図)を参照して、第1平面部12の右側に連接した帯状部14が無いと仮定した場合、第1平面部12の左側に連接した帯状部14のみがバネの役割を果たすことになるが、この場合は第1平面部12(凸部24)が下方に押圧されると、第1平面部12が左右のどちらかに傾きながら(つまり、回転の動きを伴いながら)下向きに移動し易い。しかし第1平面部12の右側に連接した帯状部14があれば、この帯状部14が、他方の帯状部14における当該傾きが生じる動きを抑えるように作用しながら弾性変形するため、平面部同士の平行を極力維持しながら第1平面部12を下向きに移動させることが可能である。
【0100】
また、二つの帯状部14は、一方が第1平面部12の左側の端辺に連続するように形成され、他方が第1平面部12の右側の端辺に連続するように形成されている。二つの帯状部14それぞれは、前後方向へ位置をずらし、前方視により一部が重なるように形成されている。そのため各帯状部14を、前方から見て第1平面部12と第2平面部16の間のスペースを十分に大きく使って配置することができるとともに、帯状部14同士の接触を回避させることが可能である。
【0101】
また、二つの帯状部14それぞれは、第1平面部12の中央部を通って上下方向に伸びる軸(第1平面部12と直交する軸)を基準として、180度回転対称である。これにより、帯状部14同士の位置や特性等の偏りを極力抑えることができ、各帯状部14が平面部の押圧の荷重を均等に受けて、平面部同士の平行が維持されるように弾性変形するという効果をより確実かつ容易に得ることが可能となる。また、第1平面部12の中央部には接続対象を接触させる凸部24が設けられているため、上側の接続対象に第1平面部12の中央部を押圧させることが容易である。
【0102】
また各実施形態では、第1平面部12の前側および後側の端辺を下方に折り曲げてストッパ40(第1折り曲げ部)が形成され、第2平面部16の前側および後側の端辺を上方に折り曲げてガイド44(第2折り曲げ部)が形成されている。そしてストッパ40およびガイド44の前後に対向する対向面同士を近接させ、第1平面部12と第2平面部16の相対的な位置関係が、当該対向面同士の接触により制限されるようにしている。
なお、第1折り曲げ部を、第1平面部12の前側および後側の一方のみの端辺を下方に折り曲げて形成し、第2折り曲げ部を、第2平面部16の前側および後側の一方のみの端辺を上方に折り曲げて形成しても構わない。
【0103】
また、各実施形態のバネコンタクトは、金属条材(金属板材)の折り曲げ工程を含む形成方法によって形成される。この金属板材は、第1平面部12の構成要素の一端に、一方の帯状部14の構成要素と第2平面部16の構成要素の一部である第1要素が順に連接し、第1平面部12の構成要素の他端に、他方の帯状部14の構成要素と第2平面部16の構成要素の残りの部分である第2要素が順に連接している。このような金属板材を用いることにより、第1要素から順に、一方の帯状部14、第1平面部12、他方の帯状部14、および第2要素に至るまで接着等を要せずに繋がった状態を実現することができ、バネ性能に大きく関わる帯状部14の品質が接着等により劣化することを防ぐことができる。
【0104】
なお第1実施形態においては、上記の第1要素と第2要素は、一方側を他方側に嵌め込み可能とした嵌め込み構造を有している。そして上記の形成方法は、当該嵌め込みの工程を含んでいる。そのため、第1要素と第2要素の平面方向への位置ずれを防ぎ、バネコンタクトの形状を維持し易くすることが可能である。
【0105】
本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。