特許第6823270号(P6823270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823270
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20210121BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20210121BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210121BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20210121BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20210121BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   H01L27/088 A
   H01L29/78 301X
   H01L27/04 L
   H01L27/04 H
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-524611(P2018-524611)
(86)(22)【出願日】2016年6月28日
(86)【国際出願番号】JP2016069089
(87)【国際公開番号】WO2018003001
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2019年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 正章
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−516301(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0332883(US,A1)
【文献】 特開2011−101322(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/008299(WO,A1)
【文献】 特開2016−042568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8234
H01L 21/336
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/088
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成され、互いに対向した第1の端部及び第2の端部を有する素子分離領域と、
前記基板に形成され、前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延在する凸状の半導体領域と、
それぞれ、前記素子分離領域の前記第1の端部及び前記第2の端部に隣接して、前記凸状の半導体領域の両端部の両側面及び上面に形成され、電気的にフローティングである一対のダミーゲート電極と、
前記凸状の半導体領域の第1の部分の両側面及び上面に形成されたゲート電極であって、前記一対のダミーゲート電極の間に形成され、複数の第1のトランジスタを構成する複数の第1のゲート電極と、
前記第1の部分とは異なる前記凸状の半導体領域の第2の部分の両側面及び上面に形成されたゲート電極であって、前記複数の第1のゲート電極と同一の層に、前記一対のダミーゲート電極の間、かつ、前記複数の第1のゲート電極の間に、前記第1のゲート電極と並列に形成され、第2のトランジスタを構成する少なくとも1つの第2のゲート電極と、
を有し、
前記複数の第1のトランジスタは、それぞれFinFETであり、前記第1のゲート電極に入力される信号に応じて駆動され、
前記第2のトランジスタは、前記第2のゲート電極に前記第2のトランジスタをオフ状態とするゲート電圧が印加される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2のゲート電極には、前記ゲート電圧として、前記第2のトランジスタのバックゲートと同じ電圧が印加されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1のゲート電極の各々の間に、前記第2のゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
隣接する2つの前記第1のゲート電極を1組とし、前記第1のゲート電極の組の各々の間に、前記第2のゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の両側の前記凸状の半導体領域に形成されたソース領域及びドレイン領域をさらに有し、
前記複数の第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは前記ソース領域及びドレイン領域を有する
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体装置に形成され、複数のトランジスタを含む第1の回路を有し、
前記半導体装置は、
基板に形成され、互いに対向した第1の端部及び第2の端部を有する素子分離領域と、
前記基板に形成され、前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延在する凸状の半導体領域と、
それぞれ、前記素子分離領域の前記第1の端部及び前記第2の端部に隣接して、前記凸状の半導体領域の両端部の両側面及び上面に形成され、電気的にフローティングである一対のダミーゲート電極と、
前記凸状の半導体領域の第1の部分の両側面及び上面に形成されたゲート電極であって、前記一対のダミーゲート電極の間に形成され、複数の第1のトランジスタの構成要素となる複数の第1のゲート電極と、
前記第1の部分とは異なる前記凸状の半導体領域の第2の部分の両側面及び上面に形成されたゲート電極であって、前記複数の第1のゲート電極と同一の層に、前記一対のダミーゲート電極の間、かつ、前記複数の第1のゲート電極の間に、前記第1のゲート電極と並列に形成され、第2のトランジスタを構成する少なくとも1つの第2のゲート電極と、
を有し、
前記複数の第1のトランジスタは、それぞれFinFETであり、前記第1のゲート電極に入力される信号に応じて駆動され、
前記第2のトランジスタは、前記第2のゲート電極に前記第2のトランジスタをオフ状態とするゲート電圧が印加される
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1の回路は、
前記複数の第1のトランジスタにより構成されクロスカップリングされたインバータと、
前記インバータの出力ノード間に接続されたインダクタと、
前記インバータの出力ノード間に、前記インダクタと並列に接続された容量とを有する発振回路であることを特徴とする請求項記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記第1の回路は、
前記複数の第1のトランジスタの1つである第のトランジスタと、
前記複数の第1のトランジスタの別の1つであり、前記第のトランジスタとカレントミラー接続された第のトランジスタとを有するバイアス回路であることを特徴とする請求項記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記第2のゲート電極には、前記ゲート電圧として、前記第2のトランジスタのバックゲートと同じ電圧が印加されることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記複数の第1のゲート電極の各々の間に、前記第2のゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項11】
隣接する2つの前記第1のゲート電極を1組とし、前記第1のゲート電極の組の各々の間に、前記第2のゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項12】
前記半導体装置は前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の両側の前記凸状の半導体領域に形成されたソース領域及びドレイン領域をさらに有し、
前記複数の第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは前記ソース領域及びドレイン領域を有する
ことを特徴とする請求項11の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上に形成された一方向に延在する凸状(フィン形)の半導体領域の一部について、その両側面及び上面にゲート絶縁膜及びゲート電極が形成され、ゲート電極の両側の凸状の半導体領域にソース領域及びドレイン領域が形成されるフィン形の構造を有する電界効果トランジスタ(Fin Field Effect Transistor:FinFET)がある(例えば、特許文献1参照)。FinFETは、その構造上、熱がこもりやすいため、レイアウトにより発熱を減らすような工夫が必要となってくる。
【0003】
図8は、ゲート電極が櫛歯状(フィンガー状)に複数形成されたマルチフィンガー構造を有するFinFETの構成例を示す図である。図8において、101は、基板の上に形成された一方向に延在する凸状(フィン形)の半導体領域である。
【0004】
凸状の半導体領域101の一部について、その両側面及び上面をゲート絶縁膜を介して覆うゲート電極102が凸状の半導体領域101に交差するように形成され、ゲート電極102の両側の凸状の半導体領域101にソース領域及びドレイン領域が形成される。複数のゲート電極102は、例えばポリシリコンで構成され、ビアを介して金属配線103に接続されている。
【0005】
また、図8において、104はトランジスタが形成される領域を分離するための素子分離絶縁膜(Shallow Trench Isolation:STI)であり、105はゲート電極102とSTI104との間に配置され、ゲート電極102と同一の層に形成されたダミーのゲート電極である。ダミーのゲート電極10も、例えばポリシリコンで構成される。
【0006】
マルチフィンガー構造を有するFinFETは、隣接するトランジスタの発熱の影響を受け、図9に示すようにフィンガー数が多くなるほど発熱しやすくなる。つまり、FinFETは、図8に示したようなマルチフィンガー構造にすると、フィンガー数が1である場合よりも発熱しやすくなる。
【0007】
FinFETの発熱を抑える一つの方法として、図10に示すようにフィンガー数を1にするなどして、隣接するトランジスタからの発熱の影響を低減し発熱を抑える方法が考えられる。図10は、フィンガー数を1にしたFinFETの構成例を示す図であり、図8に示した構成要素と同じ構成要素には同一の符号を付している。
【0008】
しかし、図10に示したようにフィンガー数を1にしたFinFETでは、ゲート電極102の両側に配置されているSTI104間の距離xが短くなる。STI104間の距離xが短くなると、STIストレス(STI104による応力)により、図11に示すようにトランジスタの飽和電流Ionが減少する。そのため、例えば図8に示したマルチフィンガー構造を有するFinFETと同じ飽和電流Ionを得るにはトランジスタ数を増加する必要があり、消費電力や面積が増加してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−220420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、トランジスタの飽和電流を低下させずにトランジスタにおける発熱を減らすことができるFinFET型の半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
半導体装置の一態様は、基板に形成され、互いに対向した第1の端部及び第2の端部を有する素子分離領域と、基板に形成され、第1の端部から第2の端部に向かって延在する凸状の半導体領域と、それぞれ、素子分離領域の第1の端部及び第2の端部に隣接して、凸状の半導体領域の両端部の両側面及び上面に形成され、電気的にフローティングである一対のダミーゲート電極と、凸状の半導体領域の一部分の両側面及び上面に形成されたゲート電極であって、一対のダミーゲート電極の間に形成され、複数の第1のトランジスタを構成する複数の第1のゲート電極と、複数の第1のゲート電極と同一の層に、一対のダミーゲート電極の間、かつ、複数の第1のゲート電極の間に、第1のゲート電極と並列に形成され、第2のトランジスタを構成する第2のゲート電極とを有する。複数の第1のトランジスタは、それぞれFinFETであり、第1のゲート電極に入力される信号に応じて駆動され、第2のトランジスタは、第2のゲート電極に第2トランジスタをオフ状態とするゲート電圧が印加される。
【発明の効果】
【0012】
開示の半導体装置は、第1のゲート電極を有するトランジスタの間に、オフ状態とする電圧が印加される第2のゲート電極を有するトランジスタを配置することにより、トランジスタの飽和電流を低下させずにトランジスタにおける発熱を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態における半導体装置の構成例を示す図である。
図2A図2Aは、図1のI−I線に沿った概略断面図である。
図2B図2Bは、図1のII−II線に沿った概略断面図である。
図2C図2Cは、図1のIII−III線に沿った概略断面図である。
図3図3は、本実施形態における半導体装置の他の構成例を示す図である。
図4図4は、本実施形態における半導体装置の他の構成例を示す図である。
図5図5は、本実施形態における半導体装置の他の構成例を示す図である。
図6A図6Aは、本実施形態における半導体装置の適用例である発振回路の構成例を示す回路図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すPチャネルトランジスタの構成例を示す図である。
図6C図6Cは、図6Aに示すNチャネルトランジスタの構成例を示す図である。
図7A図7Aは、本実施形態における半導体装置の適用例であるバイアス回路の構成例を示す回路図である。
図7B図7Bは、図7Aに示すトランジスタの構成例を示す図である。
図8図8は、マルチフィンガー構造を有するFinFETの構成例を示す図である。
図9図9は、FinFETにおけるフィンガー数に応じた発熱の変化を示す図である。
図10図10は、FinFETの発熱を抑える方法を説明する図である。
図11図11は、FinFETにおけるSTI間の距離に応じた飽和電流の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における半導体装置としてのフィン形の構造を有する電界効果トランジスタ(Fin Field Effect Transistor:FinFET)の構成例を示す図である。図2A図1のI−I線に沿った概略断面図であり、図2B図1のII−II線に沿った概略断面図であり、図2C図1のIII−III線に沿った概略断面図である。
【0016】
本実施形態におけるFinFETは、基板17の上に一方向に延在する凸状(フィン形)の半導体領域11が形成されている。凸状の半導体領域11の一部について、その両側面及び上面に図示しないゲート絶縁膜が形成されている。凸状の半導体領域11の一部には、両側面及び上面にゲート絶縁膜を介して覆うゲート電極12A、12Bが形成されている。凸状の半導体領域11のゲート絶縁膜の被覆部分、言い換えればゲート電極12A、12Bの両側の凸状の半導体領域11にソース領域及びドレイン領域が形成されている。
【0017】
ゲート電極12A、12Bは、素子分離領域の対向する一対の端部の間に、同じ層に形成されており、例えばポリシリコンで構成されている。ゲート電極12Aの各々は、ビア16Aを介して信号が入力される金属配線13Aに接続されている。ゲート電極12Bの各々は、ビア16Bを介してバックゲートと同じ電圧が印加される金属配線13Bに接続されている。また、凸状の半導体領域11に形成されたソース領域及びドレイン領域は、それぞれ図示しないコンタクト電極を介してソース電極及びドレイン電極に接続されている。
【0018】
また、基板17の上にトランジスタが形成される領域を分離するための素子分離絶縁膜(Shallow Trench Isolation:STI)14が形成されている。STI14とゲート電極12A又は12Bとの間に、ゲート電極12A、12Bと同一の層に例えばポリシリコンで構成されたダミーのゲート電極15が形成されている。なお、図1図2A図2B、及び図2Cに示した半導体装置は、周知の製造方法を用いて形成することができ、例えば、上記特許文献1に記載された製造方法の少なくとも一部を用いて形成することができる。
【0019】
このように本実施形態におけるFinFETは、STI14が配された素子分離領域の対向する一対の端部の間に、信号が印加されるゲート電極12Aが櫛歯状(フィンガー状)に複数形成されたマルチフィンガー構造を有し、信号が印加されるゲート電極12Aの間に、バックゲートと同じ電圧が印加されるゲート電極12Bを設けている。すなわち、信号に応じて駆動されるトランジスタMAの間に、ゲート電極12Bの電位がオフ状態にするようにクリップされているトランジスタMBが配置されている。
【0020】
これにより、FinFETにおける発熱を抑制することができる。また、ゲート電極の両側に形成されているSTI14間の距離も十分長くなり、STIストレスを緩和し飽和電流Ionを維持することができる。
【0021】
なお、前述した例では、信号が入力されるゲート電極12Aとバックゲートと同じ電圧が印加されるゲート電極12Bとを交互に設けている。すなわち、信号に応じて駆動されるトランジスタの間にオフ状態にするようにゲート電極の電位がクリップされているトランジスタが1つ設けている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0022】
信号が入力されるゲート電極12A間に設けるバックゲートと同じ電圧が印加されるゲート電極12Bの数は任意であり、例えば、図3に示すように、信号が入力されるゲート電極12Aの間にバックゲートと同じ電圧が印加される2つのゲート電極12Bを設けるようにしてもよい。すなわち、信号に応じて駆動されるトランジスタの間にオフ状態にするようにゲート電極の電位がクリップされているトランジスタを2つ設けるようにしてもよい。
【0023】
また、例えば、図4に示すように、信号が入力されるゲート電極12Aを2つずつ隣接して配置し、その間にバックゲートと同じ電圧が印加される1つのゲート電極12Bを設けるようにしてもよい。すなわち、信号に応じて駆動されるトランジスタを2つ隣接させ、その間にオフ状態にするようにゲート電極の電位がクリップされているトランジスタを1つ設けるようにしてもよい。
【0024】
また、例えば、図5に示すように、信号が入力されるゲート電極12Aを2つずつ隣接して配置し、その間にバックゲートと同じ電圧が印加される2つのゲート電極12Bを設けるようにしてもよい。すなわち、信号に応じて駆動されるトランジスタを2つ隣接させ、その間にオフ状態にするようにゲート電極の電位がクリップされているトランジスタを2つ設けるようにしてもよい。なお、信号に応じて駆動されるトランジスタを隣接して配置する数を多くすると発熱が増加するので、信号に応じて駆動されるトランジスタは1つ又は2つ隣接して配置することが好ましい。
【0025】
次に、本実施形態におけるFinFETを適用した半導体集積回路について説明する。図6Aは、本実施形態におけるFinFETの適用例としての電圧制御発振回路(VCO)の構成例を示す回路図である。電圧制御発振回路は、PチャネルトランジスタM11、M13、NチャネルトランジスタM12、M14、インダクタL11、容量C11、及び電圧制御される可変容量C12を有する。
【0026】
PチャネルトランジスタM11は、ソースが電源電圧VDDを供給する信号線に接続され、ドレインがNチャネルトランジスタM12のドレインに接続される。NチャネルトランジスタM12のソースは、基準電圧(例えばグランドGND)を供給する信号線に接続される。
【0027】
同様に、PチャネルトランジスタM13は、ソースが電源電圧VDDを供給する信号線に接続され、ドレインがNチャネルトランジスタM14のドレインに接続される。NチャネルトランジスタM14のソースは、基準電圧を供給する信号線に接続される。
【0028】
また、PチャネルトランジスタM11のゲート及びNチャネルトランジスタM12のゲートは、PチャネルトランジスタM13のドレインとNチャネルトランジスタM14のドレインとの相互接続点に接続される。PチャネルトランジスタM13のゲート及びNチャネルトランジスタM14のゲートは、PチャネルトランジスタM11のドレインとNチャネルトランジスタM12のドレインとの相互接続点に接続される。すなわち、トランジスタM11、M12により構成された第1のインバータと、トランジスタM13、M14により構成された第2のインバータとがクロスカップリングされている。
【0029】
トランジスタM11、M12のドレインの相互接続点と、トランジスタM13、M14のドレインの相互接続点との間に、インダクタL11、容量C11、及び可変容量C12が並列に接続される。
【0030】
図6Aに示した発振回路の発振周波数fは、インダクタL11、容量C11、及び可変容量C12によって決まり、f=1/(2π√(L11(C11+C12)))で表される。高周波な発振周波数を実現するにはインダクタL11や容量C11を小さくするが、インダクタL11を小さくしすぎると発振しにくくなるため、一般的には容量C11を小さくする。
【0031】
容量C11の成分としては配線の寄生負荷やクロスカップルのトランジスタ負荷が支配的となる。また、発振信号は正弦波であるので、トランジスタM11〜M14がオン状態になっている期間が比較的長く、発熱しやすい傾向がある。ここで、例えば図10に示したようにして発熱を抑制しようとすると、配線による負荷が増加するとともにトランジスタの飽和電流Ionが低下するため、トランジスタの数を増加する必要がある。その結果、容量C11が増加し、所望の発振周波数を実現しにくくなる。
【0032】
トランジスタM11〜M14として、本実施形態におけるFinFETを適用することで、トランジスタの飽和電流Ionを低下させずに発熱を抑えることができ、配線負荷による容量C11の増加を抑制し、所望の発振周波数の信号を出力することが可能となる。
【0033】
例えば、PチャネルトランジスタM11、M13を図6Bに示すような構成とし、NチャネルトランジスタM12、M14を図6Cに示すような構成とすることでトランジスタの飽和電流Ionを低下させずに発熱を抑えることが可能である。図6B及び図6Cは、図6Aに示したPチャネルトランジスタM11、M13及びNチャネルトランジスタM12、M14の構成例を示す図であり、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0034】
図6Bに示すFinFETは、ゲート電極12Aをゲート電極とするトランジスタのソース領域がゲート電極12Aとゲート電極12B(又はダミーのゲート電極15)との間の半導体領域11に形成され、ドレイン領域が隣接するゲート電極12Aの間の半導体領域11に形成されている。ゲート電極12Aをゲート電極とするトランジスタのソース領域は、図示しないコンタクト電極を介して電源電圧VDDが供給されるソース電極に接続され、ドレイン領域は図示しないコンタクト電極を介してドレイン電極に接続されている。
【0035】
また、図6Cに示すFinFETは、ゲート電極12Aをゲート電極とするトランジスタのソース領域がゲート電極12Aとゲート電極12B(又はダミーのゲート電極15)との間の半導体領域11に形成され、ドレイン領域が隣接するゲート電極12Aの間の半導体領域11に形成されている。ゲート電極12Aをゲート電極とするトランジスタのソース領域は、図示しないコンタクト電極を介して基準電圧(例えばグランドGND)が供給されるソース電極に接続され、ドレイン領域は図示しないコンタクト電極を介してドレイン電極に接続されている。
【0036】
図7Aは、本実施形態におけるFinFETの適用例としてのバイアス回路の構成例を示す回路図である。図7Aに示すバイアス回路は、PチャネルトランジスタM21、M22がカレントミラー接続され、電流I2として電流I1の2倍の電流を流す回路である。
【0037】
例えば、PチャネルトランジスタM21、M22を図7Bに示すような構成とすることでトランジスタの飽和電流Ionを低下させずに発熱を抑えることが可能である。図7Bは、図7Aに示したPチャネルトランジスタM21、M22の構成例を示す図であり、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。PチャネルトランジスタM21として1組の2つの隣接するゲート電極12Aを有するトランジスタを用い、PチャネルトランジスタM22として2組の2つの隣接するゲート電極12Aを有するトランジスタを用いることで、電流I2としてトランジスタM21を流れる電流I1の2倍の電流を流すことが可能となる。
【0038】
また、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、FinFETにおいて、信号が印加されるゲート電極を有するトランジスタの間に、オフ状態とする電圧が印加されるゲート電極を有するトランジスタを配置することにより、トランジスタの飽和電流を低下させずにトランジスタにおける発熱を減らすことができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11