(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)の車両用シートについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」とは車両用シートの前後方向であり、車両走行時の走行方向と一致する。また、「幅方向」とは車両用シートの幅方向であり、車両用シートを正面から見たときの左右方向である。また、「高さ方向」とは車両用シートの高さ方向であり、車両が水平面を走行している際には鉛直方向と一致する。
【0023】
また、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。特に、以下の説明の中で述べる各部品の形状、材質及び配置位置等については、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0024】
また、以下の説明では、標準体型の成人男性を着座者として想定しており、車両用シート各部の構造を説明する上で着座者の身体各部との間の位置関係等を言及する際にも、同様に標準体型の成人男性の身体を基準とする。ここで、「標準体型」とは、本実施形態に係る車両用シートが利用される場所や時期若しくは適用法規等に応じて適宜設定されるものであるが、本実施形態では、成人男性(厳密には米国人)の95%を網羅し得るような平均体型を標準体型として設定することとする。
【0025】
<<本実施形態の車両用シートの概略構成>>
本実施形態の車両用シート(以下、本シートS)の概略構成を説明する。本シートSは、後述するショルダーサポートA1、サイドサポートA2、ランバーサポートA3及びオットマン部A4を除き、基本構成の大部分において従来の車両用シートと共通している。
【0026】
本シートSは、
図1に示すように、着座者を背側から支持するシートバックS1、着座者の臀部を支持するシートクッションS2、及び着座者の頭部を支持するヘッドレストS3より構成されている。シートバックS1及びシートクッションS2は、フレーム体にパッド材を載置してから表皮材で被覆することにより構成される。ヘッドレストS3は、頭部の芯材にパッド材を配してから表皮材で被覆することにより構成される。また、ヘッドレストS3は、
図2に図示のヘッドレストピラーhpを介して、シートバックS1の上端部に支持されている。
【0027】
一方、本シートSは、着座者の着座姿勢を計測するための機器(センサ)と、着座姿勢を調整(補正)するための機構と、を備えている。かかる点で、本シートSは、従来の車両用シートと異なっている。以下、本シートSにおける着座姿勢調整用の構成を中心に説明する。
【0028】
<<着座姿勢調整に関する構成>>
本シートSに設けられた着座姿勢調整用の機構とは、ショルダーサポートA1、サイドサポートA2、ランバーサポートA3、オットマン部A4である。これらについてそれぞれ説明すると、ショルダーサポートA1は、肩支持部に相当し、
図1に示すようにシートバックS1中、着座者の肩部を後方から支持する位置に設けられている。なお、本実施形態において、ショルダーサポートA1は、幅方向において互いに離間した位置に対をなして設けられている。
【0029】
サイドサポートA2は、側方支持部に相当し、
図1に示すようにシートバックS1中、幅方向両端部に備わっており、着座者の胴部を側方から支持する。ランバーサポートA3は、腰支持部に相当し、
図1に示すようにシートバックS1中、着座者の腰部(厳密には、腹部から腰部に亘る部分)を後方から支持する位置に設けられている。オットマン部A4は、膝下支持部に相当し、
図1に示すようにシートクッションS2の前端に取り付けられ、着座者の脚の膝下部を膝裏側から支持する。
【0030】
上述したサポート部の基本構成について説明すると、各サポート部は、エアセルを有している。このエアセルは、流体の一例である空気が封入・排気されることで膨縮自在に構成された袋体である。そして、各サポート部は、エアセルが膨出することで着座者の身体中、対応する部位を押すようになる。
【0031】
具体的に説明すると、ショルダーサポートA1は、エアセル10を内蔵しており、このエアセル10の膨出により、着座者の肩を後方から押す。より詳しく説明すると、ショルダーサポートA1は、エアセル10が膨出することによって着座者の肩に当接するようになり、
図2中、記号Fにて示す押圧力を着座者の肩に付与する。この押圧力Fは、
図2に示す通り、幅方向内側に向かう成分と、下方に向かう成分とを有している。つまり、ショルダーサポートA1は、着座者の肩を包み込むように押す。このようなショルダーサポートA1の機能により、着座者の上体が幅方向や上下方向にずれ動くのを抑制可能となり、以て、着座期間中の着座姿勢を安定的に保持することが可能となる。
【0032】
また、ショルダーサポートA1は、着座者の肩をより効率よく押す目的から、エアセル10の前方位置に樹脂製のプレートを備えている。かかるプレートについては、後に詳しく説明するが、エアセル10が当該プレートの後面に当接しながら膨出するので、ショルダーサポートA1は、当該プレートの前面にて着座者の肩を押すようになる。
【0033】
サイドサポートA2は、側方エアセル4を内蔵しており、側方エアセル4の膨出によって着座者の胴部を側方から幅方向内側に押す。また、サイドサポートA2は、着座者の胴部をより効率よく押す目的から、側方エアセル4の脇位置(幅方向内側の脇位置)に樹脂製のプレートを備えている。かかるプレートは、ショルダーサポートA1が備えるものと同様の材料からなり、側方エアセル4が当該プレートの裏面(幅方向外側にある面)に当接しながら膨出する。これにより、サイドサポートA2は、上記プレートの表面(幅方向内側にある表面)にて着座者の胴部を押すようになる。
【0034】
ランバーサポートA3は、腰用エアセル8を内蔵しており、腰用エアセル8の膨出によって着座者の腰を後方から押す。また、ランバーサポートA3は、着座者の腰をより効率よく押す目的から、腰用エアセル8の前方位置に樹脂製のプレートを備えている。かかるプレートは、ショルダーサポートA1が備えるものと同様の材料からなり、腰用エアセル8が当該プレートの後面に当接しながら膨出する。これにより、ランバーサポートA3は、上記プレートの前面にて着座者の腰を押すようになる。
【0035】
オットマン部A4は、シートクッションS2の前端に配置されたエアセル(オットマン用エアセル30)を備えており、オットマン用エアセル30の膨出により着座者の脚の膝下部を押し上げる。また、オットマン部A4は、着座者の脚の膝下部を効率よく押し上げる目的から、オットマン用エアセル30の前方位置に帯状部材を備えている。かかる帯状部材は、通常時には垂下状態にあり、オットマン用エアセル30が当該帯状部材の後面に当接しながら膨出すると、これに連動して持ち上がるようになる。これにより、オットマン部A4は、持ち上がった帯状部材の前面(上面)にて着座者の脚の膝下部を支えるようになる。なお、帯状部材については、後に詳しく説明する。
【0036】
ところで、各サポート部が備えるエアセル(エアセル10、側方エアセル4、腰用エアセル8及びオットマン用エアセル30)の膨縮は、本シートSを搭載する車両内に構築された制御システムCSによって制御される。この制御システムCSは、
図3に示すように、着座者の着座姿勢を計測するためのセンサ群と、コントローラ50と、コンプレッサ52と、コンプレッサ52に接続された給気路53とを有する。また、給気路53は、分岐して各エアセルに繋ぎ込まれており、分岐後の各給気路53の中途位置には電磁弁54が設けられている。
【0037】
センサ群は、本シートSに搭載された形状センサ、体圧センサ及びウェイトセンサ等からなる。このセンサ群により、着座姿勢に関する指標値、具体的には骨格の曲がり状態、肩付近の圧力分布、背中各部の圧力分布、腰付近の圧力分布、臀部から膝裏部に亘る範囲の圧力分布及び体重が計測される。
【0038】
ここで、センサ群のうち、シートバックS1内に設けられているセンサとして、
図10に図示の形状センサ40及び体圧センサ41について説明する。形状センサ40は、可撓性を有する形状感知光ファイバからなり、着座者の骨格の曲がり形状に沿って屈曲することによって着座者の姿勢を検出し、その検知結果に応じた信号を出力する。そして、形状センサ40は、着座者の骨格(例えば脊椎)に沿って適切に屈曲するように、
図10に示すようにシートバックS1の幅方向中央部に配置されている。
【0039】
体圧センサ41は、略短冊型のフィルム形状をなしており、センサ本体としての検知部41aと、検知部41aから出力された信号の伝送路41bと、を有する。そして、体圧センサ41は、シートバックS1を構成するパッド材P1と表皮材との間に介在しており、着座者の肩付近、背中全域及び腰付近のそれぞれの体圧分布を計測可能な位置に配置されている。より詳しく説明すると、体圧センサ41は、幅方向において形状センサ40を避けた位置に配置されており、具体的には、
図10に示すように形状センサ40の脇位置に横向き姿勢で上下に複数並べて設けられている。
【0040】
コントローラ50は、車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit)によって構成され、センサ群の各々の計測結果に基づいて各サポート部を駆動する。厳密に説明すると、コントローラ50は、各種センサの計測結果から適正な制御量を設定した上で、コンプレッサ52を起動し、また各電磁弁54を開く。これにより、各エアセルには、設定された制御量に応じた量の空気が封入されるようになる。この結果、各サポート部が上記制御量に応じた駆動量だけ駆動するようになる。
【0041】
そして、各サポート部(具体的には、ショルダーサポートA1、サイドサポートA2及びランバーサポートA3)が駆動することで、着座者の身体中、対応する部分が各サポート部によって押圧されるようになる。これにより、本シートSに着座している着座者の姿勢(着座姿勢)が補正され、その後、着座者は、着座期間中、補正後の姿勢にて保持されるようになる。
【0042】
なお、本実施形態では、各サポート部を駆動させるためにエアセルに空気を封入して当該エアセルを膨出させることとしたが、エアセル以外の袋体に空気以外の流体を封入して当該袋体を膨出させることとしてもよい。
【0043】
<<シートバックの内部構成>>
次に、本シートSのシートバックS1の内部構造について
図4及び5を参照しながら説明する。
図4は、シートバックフレームSf1を正面から見たときの図であり、
図5は、
図4に図示のシートバックフレームSf1から後述する樹脂プレート20を取り外した状態を示す図である。
【0044】
シートバックS1の内部には、
図4及び5に示すように、シートバックS1の骨格を成すシートバックフレームSf1が備えられている。このシートバックフレームSf1は、正面視で略矩形状の枠体であり、上部フレーム1と、一対の側部フレーム2と、下部連結フレーム3と、を備えている。
【0045】
上部フレーム1は、一対の側部フレーム2の上端同士を連結する部分であり、金属パイプを逆さU字状に折り曲げ加工することにより構成される。そして、上部フレーム1のうち、幅方向に沿って延出している部分は、シートバックフレームSf1の上端部をなしている。また、かかる部分の所定領域(幅方向中央よりも若干外側に位置する領域)には、筒状のピラー支持部7が取り付けられている。このピラー支持部7にヘッドレストS3の下部から延出したヘッドレストピラーhpが挿入されることで、ヘッドレストS3が上部フレーム1の上方に位置している。
【0046】
一対の側部フレーム2は、シートバックフレームSf1のうち、互いに幅方向に離間して配設され、それぞれ高さ方向に延在している。そして、一対の側部フレーム2は、上部フレーム1のうち、下方に延出した部分とともに、シートバックフレームSf1の幅方向両端部をなしている。また、
図5に示すように、各側部フレーム2は、平板状の側板2aと、側板2aの前端部からU字型に内側へ屈曲した前縁部2bと、を備えている。また、各側板2a中、幅方向内側にある面には、サイドサポートA2を構成する側方エアセル4が取り付けられている。
【0047】
下部連結フレーム3は、シートバックフレームSf1のうち、下端部をなし、側部フレーム2の下端部同士を連結している。
【0048】
シートバックS1の内部構造について更に説明すると、
図5に示すように、幅方向においてシートバックフレームSf1の幅方向一端部と他端部との間にはスペースが形成されている。また、上記スペース内には板状の部材である受圧プレート5が配置されている。この受圧プレート5は、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際の圧力を受ける樹脂製の部材であり、正面視で縦長矩形状に成形されている。なお、受圧プレート5の形状については、
図5に記載された形状に限定されず、他の形状であってもよい。
【0049】
受圧プレート5の構成について
図5を参照しながら説明すると、受圧プレート5は、最も上方に位置する上方部5uと、上方部5uよりも幅広な中央部52vと、下方に向かって延出した下方部5wと、によって構成されている。本実施形態において上方部5u、中央部52v及び下方部5wは一体成形されており、1つの受圧プレート5を構成している。
【0050】
上方部5uは、上部フレーム1の内側に位置し、着座者が本シートSに着座した状態において着座者の肩の後方に位置する。そして、上方部5uの前側表面には、ショルダーサポートA1を構成するエアセル10が固定されている。つまり、本シートSにおいて、受圧プレート5は、本来の機能に加え、エアセル10固定用の部材、すなわち固定部材としての機能を有する。このように受圧プレート5をエアセル10固定用の部材として利用することにより、当該固定部材を別途に設ける場合よりも部品点数が少なくなり、シートバックフレームSf1の構成をより簡素化させることが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、ショルダーサポートA1が2つ備えられており、エアセル10が各ショルダーサポートA1別に設けられている。つまり、本実施形態では、2つのエアセル10が固定部材としての上方部5uに固定されている。より具体的に説明すると、2つのエアセル10は、
図5に示すようにシートバックS1の幅方向中央を境にして左右対称に配置され、幅方向外側に向かうほど下方に位置するように傾いた姿勢にて配置されている。
【0052】
なお、本実施形態では、上方部5uが正面視で横長矩形状となっているが、これに限定されるものではなく、
図5中、破線にて示すように、上方部5uの外縁(厳密には、外縁中、上側に位置する部分)が斜め姿勢のエアセル10に沿うように上側角部が面取り加工された形状であってもよい。
【0053】
中央部52vは、側部フレーム2に挟まれた位置に配置されている。また、中央部52vは、その幅方向両端側に位置する部分が幅方向中央に位置する部分に対してやや前方に向かうように屈曲している。
【0054】
下方部5wは、上方部5uよりも一回り幅狭となっており、その下端が下部連結フレーム3付近に至るまで下方に延出している。また、
図5に示すように、受圧プレート5の前側表面において中央部52vと下方部5wを跨る位置には、ランバーサポートA3を構成する腰用エアセル8が配置されている。つまり、受圧プレート5は、ショルダーサポートA1を構成するエアセル10を固定する固定部材であるとともに、ランバーサポートA3を構成する腰用エアセル8を固定する固定部材でもある。
【0055】
以上のように構成された受圧プレート5は、弾性を有する結合ワイヤ5aにてシートバックフレームSf1の本体に取り付けられている。より詳しく説明すると、結合ワイヤ5aは、受圧プレート5のうち、上方部5u及び下方部5wにそれぞれ係止されている。下方部5wに係止されている結合ワイヤ5aは、一対の側部フレーム2の間に架設されている。この結合ワイヤ5aのうち、両端部分が側部フレーム2に掛けられており、中央に位置する部分が下方部5wの裏面に形成された係止部(不図示)に係止されている。
【0056】
上方部5uに係止されている結合ワイヤ5aは、上部フレーム1と上方部5uとの間に架設されており、そのうちの一端部が上部フレーム1に固定され、他端部が上方部5uの裏面に形成された係止部(不図示)に係止されている。なお、上方部5uに係止されている方の結合ワイヤ5aについては、配置に関して特に制限がない。例えば、
図5に示すように、上方から受圧プレート5を吊り下げるように配置されていてもよく、上方部5uの側方から斜め上方に延出して受圧プレート5を吊るすように配置されていてもよい。
【0057】
結合ワイヤ5aによってシートバックフレームSf1に固定された受圧プレート5は、シートバックS1に凭れ掛かった着座者の背から圧力が掛かると、結合ワイヤ5aが撓むことで後方に移動するようになる。これにより、着座者の上体は、後方に向かって適度に沈み込むようになる。
【0058】
シートバックS1の内部構造について引き続き説明すると、エアセル10、側方エアセル4及び腰用エアセル8の前方位置には、板状部材としての樹脂プレート20が配置されている。この樹脂プレート20は、各エアセルが着座者の身体を押圧する際の押圧範囲を面状に広げるために設けられている。すなわち、樹脂プレート20は、その後面にてエアセルと当接し、当該エアセルが当接しながら膨出することで着座者の身体中、対応する部分(具体的には肩、胴部側方及び腰付近)を面にて押圧する。
【0059】
樹脂プレート20の構成についてより詳しく説明すると、ショルダーサポートA1の一部としてエアセル10の前方位置に配置された部分と、サイドサポートA2の一部として側方エアセル4の前方位置(厳密には、幅方向内側)に配置された部分と、ランバーサポートA3の一部として腰用エアセル8の前方位置に配置された部分と、に分かれている。なお、本実施形態では、上記3つの部分が一体成形されており、1つの樹脂プレート20を構成している。
【0060】
樹脂プレート20の各部について説明すると、ショルダーサポートA1の一部としてエアセル10の前方位置に配置された部分は、エアセル10の膨出に伴って着座者の肩に作用する力の作用範囲を拡大するために設けられ、具体的には、エアセル10の膨出に伴って変形する変形部21となっている。変形部21は、樹脂プレート20の上端部に配置されており、
図4に示すように正面視で尾鰭状となっている。変形部21の幅方向中央部には、上端から下方に向かって逆三角形状の切り欠き24が形成されている。この切り欠き24は、その先端(下端)位置が変形部21の高さ方向の中央位置よりも若干下方に位置するように形成されている。
【0061】
上記の切り欠き24が形成されることで、変形部21は、切り欠き24を境にして2つの部分、具体的には、一端側変形部片25及び他端側変形部片26に分離している。分離した2つの部分である一端側変形部片25及び他端側変形部片26がそれぞれ個別に変形可能となっている。換言すると、切り欠き24は、両変形部片25、26の間に形成され、両変形部片25、26を分離するための分離部に相当する。
【0062】
一端側変形部片25及び他端側変形部片26は、着座者の背がシートバックS1に凭れ掛かった際に着座者の肩の後方に位置する。より厳密に説明すると、一端側変形部片25は、着座者の一方の肩の後方に位置し、他端側変形部片26は、着座者の他方の肩の後方に位置する。つまり、一端側変形部片25及び他端側変形部片26の各々は、対応するエアセル10の直ぐ前に位置している。そして、一端側変形部片25及び他端側変形部片26の各々は、対応するエアセル10が膨出すると、
図6や
図7に示すように着座者の肩を包むように湾曲しながら変形する。これにより、ショルダーサポートA1が着座者の肩を押さえるようになる。
【0063】
ここで、一端側変形部片25及び他端側変形部片26のそれぞれの前面の面積は、エアセル10の面積(厳密には、変形部21との当接面積)より広くなっている。このため、エアセル10の膨出によって生じる力は、着座者の肩に対してより広い範囲で及ぶようになる。このようにエアセル10の膨出によって発生する力の作用範囲を樹脂プレート20により拡大すれば、比較的に小型のエアセル10を用いた場合であっても着座者の肩を適切に押さえることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、前述したように、一端側変形部片25及び他端側変形部片26の各々が個別に変形可能であるため、着座者の両肩の各々を個別に押さえることが可能となる。この結果、着座者の姿勢を安定的に保持するために着座者の肩を押さえる際の力を、左右の肩の各々に対して個別に調整することが可能となる。さらにまた、
図4に示すように、一端側変形部片25及び他端側変形部片26のそれぞれの外縁のうち、上側角部に位置する部分は、着座者の肩を模して弧状にカーブしている。このように樹脂プレート20のうち、着座者の肩の後方に位置する部分が着座者の肩を模した形状となっていることで、ショルダーサポートA1は、より適切に着座者の肩を包み込むように押すようになる。
【0065】
ランバーサポートA3の一部として腰用エアセル8の前方位置に配置された部分は、腰用エアセル8の膨出に伴って着座者の腰に作用する力の作用範囲を拡大するために設けられ、変形部21よりも下側に位置し、下方に向かって延出した延出部22となっている。この延出部22は、変形部21よりも幅狭となっており、幅方向において左右一対のサイドサポートA2間を通過するように下方に延出している。これにより、ランバーサポートA3は、サイドサポートA2との干渉を抑制しながら設けられることになり、延出部22を通じて着座者の腰を押すことが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態において、延出部22の下端は、下部連結フレーム3の直上位置に至っている。また、延出部22は、高さ方向に対して若干湾曲して弓形になっている。このため、ランバーサポートA3が延出部22にて着座者の腰を前方に押す際、比較的なだらかな面にて着座者の腰を好適に押すことが可能となる。
【0067】
さらに、本実施形態では変形部21と延出部22とが互いに隣接しており、両者の境界位置には、幅方向に沿って直線状に形成された溝23が設けられている。さらにまた、樹脂プレート20のうち、変形部21と延出部22との境界領域、すなわち、上記溝23の形成領域の幅方向両端部分には、幅方向内側に向かって略三角形状の切れ込み20aが形成されている。
【0068】
サイドサポートA2の一部として側方エアセル4の前方位置に配置された部分は、側方エアセル4の膨出に伴って着座者の胴部に側方から作用する力の作用範囲を拡大するために設けられ、延出部22の両脇に位置した側方部27となっている。この側方部27は、延出部22の幅方向両端から斜め前方に向かって延出しており、その前端が側部フレーム2の前端と略同じ位置に至っている。また、側方部27は、上下にも延出しており、延出部22と略同じ高さを有している。さらに、本実施形態では延出部22と側方部27とが互いに隣接しており、両者の境界位置には、高さ方向に沿って直線状に形成された溝28が設けられている。
【0069】
そして、本実施形態において、樹脂プレート20は、受圧プレート5に支持されている。すなわち、受圧プレート5は、エアセル固定用の固定部材として機能するとともに、樹脂プレート20を支持する支持体としても機能する。このように受圧プレート5を樹脂プレート20の支持体として利用することにより、当該支持体を別途に設ける場合よりも部品点数が少なくなり、シートバックフレームSf1の構成をより簡素化させることが可能となる。なお、樹脂プレート20中、受圧プレート5に支持されている部分の位置等については、後に詳述する。
【0070】
<<各エアセルの固定位置及び樹脂プレートの支持位置について>>
次に、
図8を参照しながら、各エアセルの固定位置及び樹脂プレート20の支持位置について説明する。なお、各エアセルの固定位置については、
図8中、黒抜きの円印にて示しており、樹脂プレート20の支持位置については、
図8中、黒抜きの星印にて示している。
【0071】
先ず、エアセルのうち、ショルダーサポートA1を構成するエアセル10の固定位置について説明する。エアセル10の固定位置を説明するにあたり、当該エアセルの構造について説明する。エアセル10は、正面視で略矩形状となっており、その長手方向に沿って延出している。また、エアセル10の長手方向両端部(換言すると、延出方向両端部)には、短手方向に沿って外側に延出した舌状の突出部10aを備えている。この突出部10aは、被固定部に相当し、ボルト等の固定具を取り付ける際の座面を形成する。
【0072】
そして、エアセル10は、突出部10aに取り付けられた固定具により受圧プレート5に固定されている。なお、本実施形態において1個のエアセル10に上記の突出部10aが2個備えられており、当該2個の突出部10aは、いずれも同じ方向に向かって突出している。
【0073】
エアセル10の固定位置について説明すると、エアセル10は、受圧プレート5のうち、上方部5uに固定されている。そして、本実施形態では、各エアセル10に2つずつ設けられた突出部10aの各々が幅方向において互いに離れた固定位置に固定されている。ここで、固定位置とは、受圧プレート5において、エアセル10の突出部10aに取り付けられた固定具が嵌る部分(例えば、ボルト孔)の位置である。
【0074】
図8を参照しながら詳しく説明すると、エアセル10は、長手方向両端部のうち、幅方向においてより外側に位置する端部(以下、外端部)がより内側に位置する端部(以下、内端部)よりも下方に位置するように斜め姿勢にて受圧プレート5に固定されている。また、2つの突出部10aのそれぞれは、下方に向かって(厳密には、幅方向には内側に向き、且つ、上下方向には下方に向かって)延出している。つまり、本実施形態では、突出部10aが、エアセル10の長手方向両端部のうち、下方領域に備えられている。
【0075】
また、本実施形態では、シートバックS1の幅方向中央を境にして2つのエアセル10が互いに左右対称となるように配置されており、エアセル10同士間には若干の隙間が形成されている。さらにまた、本実施形態において、エアセル10は、受圧プレート5の上方部5uの外縁よりも外側にはみ出すことなく、当該外縁の内側に収められた状態で固定されている。
【0076】
以上のように本実施形態では、エアセル10が、その長手方向両端部にて固定されているので、より安定的に固定されるようになる。さらに、エアセル10の固定位置が幅方向、すなわち、着座者の肩幅に沿う方向において互いに異なる位置に設けられている。これにより、着座者の肩幅に沿わせて固定されたエアセル10の状態、すなわち、固定状態が安定するようになる。そして、固定状態が安定することより、エアセル10は、着座者の肩を適切に押すようになる。
【0077】
また、エアセル10の長手方向両端部のうち、下方領域に被固定部としての突出部10aが備えられているので、エアセル10の上方領域は、固定されていない状態にあり、膨出時には前方に動き易くなっている。これにより、エアセル10は、その上方領域が前方に向かうように膨出することができ、結果として、着座者の肩を包み込むように押さえることが可能となる。なお、かかる効果は、エアセル10が受圧プレート5の前側表面に固定されることで効果的に奏される。つまり、エアセル10は、膨出時に受圧プレート5による規制を受けることで前方に向かって膨出するようになる。この結果、エアセル10は、着座者の肩を前方に押すように適切に膨出するようになる。
【0078】
ところで、上述したエアセル10の突出部10aの固定位置については、当該固定位置と着座者の身体との関係が考慮されている。具体的に説明すると、エアセル10の長手方向両端部に備えられた突出部10aのうち、内端部に備えられた突出部10aに対する固定位置は、高さ方向及び幅方向の双方において着座者の肩甲骨が存する領域から外れた位置となっている。ここで、肩甲骨が存する領域とは、
図9に図示の肩甲骨が占有する空間領域であり、肩甲骨が存する領域から外れた位置とは、突出部10aが前後方向において肩甲骨の一部又は全部と重ならないように配置されたときの位置のことである。
【0079】
また、エアセル10の長手方向両端部に備えられた突出部10aのうち、外端部にある突出部10aに対する固定位置は、高さ方向及び幅方向の双方において着座者の僧帽筋が存する領域から外れた位置となっている。ここで、僧帽筋が存する領域とは、
図9に図示の僧帽筋が占有する空間領域であり、僧帽筋が存する領域から外れた位置とは、突出部10aが前後方向において僧帽筋の一部又は全部と重ならないように配置されたときの位置のことである。
【0080】
以上に説明した位置を各突出部10aに対する固定位置として設定することで、当該固定位置が前後方向において肩甲骨と重なる位置、または僧帽筋と重なる位置となった場合に着座者が感じる違和感を抑えることが可能となる。
【0081】
さらにまた、2つのエアセル10の配置位置は、幅方向において着座者の背骨が存する領域から外れた位置となっている。ここで、背骨が存する領域から外れた位置とは、突出部10aが前後方向において背骨の一部と重ならないように配置されたときの位置のことである。このような位置関係にあれば、各エアセル10が幅方向において背骨が存する領域まで掛かるような場合に比べてエアセル10の横幅(幅方向における長さ)がより短くなるので、エアセル10の小型化が図られることとなる。
【0082】
次に、サイドサポートA2を構成する側方エアセル4の固定位置について説明する。側方エアセル4も上記のエアセル10と同様に正面視で略矩形状で、その長手方向に沿って延出しており、長手方向両端部には、短手方向に沿って外側に延出した舌状の突出部4aを備えている。すなわち、本実施形態において1個の側方エアセル4が上記の突出部4aを2個備えており、当該2個の突出部4aは、いずれも同じ方向に向かって突出している。
【0083】
そして、側方エアセル4は、長手方向が高さ方向に沿い、かつ、突出部4aが幅方向内側に向かって延出した姿勢にて固定されている。なお、側方エアセル4が備える2つの突出部4aのそれぞれの固定位置については、側部フレーム2(厳密には側板2a)の幅方向内側の表面に設けられており、本実施形態では、上下に並んで設けられている。
【0084】
次に、ランバーサポートA3を構成する腰用エアセル8の固定位置について説明する。腰用エアセル8は、正面視で方形状となっており、その上端にて受圧プレート5、より具体的には中央部5vに固定されている。なお、受圧プレート5における腰用エアセル8の固定位置は、
図8に示すように幅方向において互いに離れた位置に2箇所ある。
【0085】
以上までに説明した固定位置にて各エアセルは、対応する固定部材(受圧プレート5や側部フレーム2)に固定されている。ちなみに、エアセル10及び側方エアセル4のそれぞれに設けられた突出部10a、4aの固定位置については、
図10に示すように形状センサ40や体圧センサ41を避けた位置となっている。このような位置関係により、形状センサ40及び体圧センサ41の計測に影響を及ぼすことなく、エアセル10及び側方エアセル4を適切に固定することが可能となる。
【0086】
図10は、シートバックS1に設けられたセンサの配置位置を示した図であり、同図には、エアセル10及び側方エアセル4の各々の固定位置との位置関係を示すために両エアセルを破線にて図示している。なお、
図10は、説明を分かり易くする目的から模式化されており、同図には、実際の構造とは若干異なる構成(例えば、
図10ではピラー支持部7が省略されている)が図示されている。また、
図10ではエアセルの固定位置を破線の円印にて図示している。
【0087】
次に、樹脂プレート20の支持位置について説明する。樹脂プレート20は、前述したように受圧プレート5に支持されており、より具体的にはビス等にて受圧プレート5(厳密には、中央部5v)の前側表面に取り付けられている。ここで、樹脂プレート20中、受圧プレート5に支持された部分は、変形部21と延出部22との間の境界部分、より具体的には、上述の溝23が形成された部分となっている。このように変形部21と延出部22との境界部分で樹脂プレート20が受圧プレート5に支持されることで、変形部21や延出部22が着座者の身体を押す際に支障が生じぬように、樹脂プレート20を適切に支持することが可能となる。特に、樹脂プレート20のうち、折れ曲がり起点となる溝23の形成部分に支持位置があることで、変形部21や延出部22が着座者の身体を押す際に支障が生じるのをより効果的に抑制することが可能となる。
【0088】
さらに、本実施形態では、樹脂プレート20中、受圧プレート5に支持された部分の位置は、高さ方向及び幅方向の双方において着座者の第9胸椎が存する領域に掛かる位置となっている。ここで、第9胸椎が存する領域とは、
図9に図示の第9胸椎が占有する空間領域であり、第9胸椎が存する領域に掛かる位置とは、前後方向において第9胸椎の一部又は全部と重なるように配置されたときの位置のことである。かかる位置関係であれば、樹脂プレート20をより安定的に支持することが可能となる。
【0089】
より詳しく説明すると、第9胸椎の位置については、着座者の着座姿勢が変動した際の変位量が他の部位(他の胸椎における変動量)よりも小さくなる。このため、第9胸椎が存する領域に樹脂プレート20の支持位置が掛かっていれば、樹脂プレート20の支持状態がより安定することになる。
【0090】
また、本実施形態では、
図8に示すように、樹脂プレート20の支持位置が幅方向に沿って列状に複数箇所(
図8に示すケースでは3箇所)存在する。そして、同図に示すように、樹脂プレート20の各支持位置と、受圧プレート5におけるエアセル10の固定位置とは、幅方向において互いに異なる位置となっている。このような位置関係となっていることで、本実施形態では、樹脂プレート20中、受圧プレート5に支持された部分とエアセル10との干渉が抑制され、樹脂プレート20を更に適切に支持することが可能となる。
【0091】
さらに、樹脂プレート20の支持位置については、
図10に示すように形状センサ40や体圧センサ41を避けた位置となっている。このような位置関係により、形状センサ40及び体圧センサ41の計測に影響を及ぼすことなく樹脂プレート20を適切に支持することが可能となる。なお、
図10では、樹脂プレート20のうち、変形部21及び延出部22のみを破線にて図示しており、側方部27を省略している。また、同図では樹脂プレート20の支持位置を破線の星印にて示している。
【0092】
ところで、本実施形態では、エアセル10固定用の部材と樹脂プレート20の支持体とが同一の部材、具体的には1個の受圧プレート5によって構成されていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、
図11に示すようにエアセル10固定用の部材と樹脂プレート20の支持体とが、それぞれ別個に用意され、それらが互いに別体をなしていてもよい。
【0093】
図11の構成について説明すると、エアセル10固定用の部材が、板状の第1プレート部材81によって構成されており、樹脂プレート20の支持体が、第2プレート部材82によって構成されている。第1プレート部材81は、高さ方向において幾分幅広となっており、幅方向において一対の側部フレーム2間に架け渡されている。そして、第1プレート部材81の前側表面にはエアセル10が固定されている。つまり、第1プレート部材81は、受圧プレート5の上方部5uに相当し、受圧プレート5を固定部材として用いた場合と同様の固定位置及び固定方法にてエアセル10が固定されている。
【0094】
なお、エアセル10の長手方向両端部に備えられた突出部10aのうち、より下側にある突出部10aに対する固定位置(
図11中、破線の円印にて図示)は、
図11に示すように第1プレート部材81の前側表面の下側領域に設けられている。これにより、第1プレート部材81の前側表面の中央領域に上記固定位置が設けられている場合と比較し、同プレート部材の高さ(上下方向の長さ)が短くなる。この結果、第1プレート部材81の大型化が抑制されることになる。
【0095】
第2プレート部材82は、第1プレート部材81から下側に幾分離間しており、下方に向かって延出している。そして、第2プレート部材82の前側表面には樹脂プレート20が取り付けられており、これによって、樹脂プレート20が第2プレート部材82によって支持されている。つまり、第2プレート部材82は、受圧プレート5の中央部5vに相当し、受圧プレート5を支持体として用いた場合と同様の支持位置及び支持方法にて樹脂プレート20を支持している。
【0096】
なお、第2プレート部材82における樹脂プレート20の支持位置(
図11中、破線の星印にて図示)は、
図11に示すように第2プレート部材82の上端部にあり、例えば、幅方向に沿って列状に複数箇所(
図11に示すケースでは3箇所)存在する。ここで、第1プレート部材81におけるエアセル10の固定位置と、第2プレート部材82における樹脂プレート20の各支持位置とは、幅方向において互いに異なる位置となっていると好適である。すなわち、上記の位置関係により、樹脂プレート20中、第2プレート部材82に支持された部分とエアセル10との干渉が抑制され、樹脂プレート20が適切に支持されるようになる。
【0097】
以上に説明したように、エアセル10を固定する部材としては、受圧プレート5以外の板状部材であってもよいが、板状部材以外の部材を用いることとしてもよい。例えば、側部フレーム2間に張架された弾性部材、具体的にはバネ部材(Sバネ)等にエアセル10を固定することとしてもよい。
【0098】
<<エアセルと樹脂プレートとの位置関係>>
次に、ショルダーサポートA1を構成するエアセル10と樹脂プレート20中の変形部21との位置関係について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、エアセル10と変形部21との位置関係を示す図である。なお、説明を分かり易くするため、
図12ではエアセル10及び樹脂プレート20のみを図示している。また、一端側変形部片25とエアセル10との位置関係を左右反転すると、他端側変形部片26とエアセル10との位置関係と一致することになる。このため、以下では、一端側変形部片25とエアセル10との位置関係のみを説明することとする。
【0099】
エアセル10及び一端側変形部片25は、
図12に示すように、両者の中心位置が略一致するように配置されている。ここで、エアセル10の中心位置とは、エアセル10の長手方向及び短手方向(長手方向と直交する方向)の双方向における中央位置である。また、一端側変形部片25の中心位置とは、幅方向及び高さ方向の双方向における一端側変形部片25の中央位置である。なお、一端側変形部片25の幅方向一端は、一端側変形部片25の中で最も幅方向外側に位置する部位に相当し、一端側変形部片25の幅方向他端は、前述した切り欠き24の先端が位置する部位に相当する。
【0100】
一方、エアセル10については、その長手方向両端部のうち、下方領域に設けられた突出部10aにて受圧プレート5に固定されている。ここで、下方領域とは、エアセル10を、その中心位置を通りエアセル10の長手方向に沿う仮想線にて分断したときに、より下方に位置する領域のことである。反対に、上方領域とは、上記仮想線にてエアセル10を分断したときに、より上方に位置する領域のことである。
【0101】
また、エアセル10に設けられた空気の供給口(不図示)は、正面視でエアセル10の中心位置と略一致する箇所に位置している。したがって、エアセル10は、その中心位置から優先的に膨出し始めることとなる。このため、エアセル10が膨出すると、固定されていない上方領域が選択的に変形するようになる。また、エアセル10の膨出に伴って変形する一端側変形部片25では、上方領域と対応する部分、具体的には一端側変形部片25の中心位置よりも上側に位置する部分が前方へ向かうようになる。
【0102】
さらに、本実施形態では、エアセル10は、長手方向両端部のうち、外端部が内端部よりも下方に位置するように傾いた姿勢にて固定されている。したがって、エアセル10の膨出に伴って一端側変形部片25が変形する際には、傾いた状態にあるエアセル10の長手方向に沿っており一端側変形部片25の中心位置を通る折れ線を基点に折れ曲がるようになる。これにより、幅方向内側に向かう成分と下方に向かう成分とを有する力が、シートバックS1のショルダーサポートA1から着座者の肩に対して作用するようになる。この結果、着座者の肩がショルダーサポートA1によって包み込まれるように保持され、以て、着座姿勢が安定するようになる。
【0103】
<<オットマン部におけるエアセルの固定方法>>
次に、オットマン部A4におけるエアセル、すなわちオットマン用エアセル30の固定方法について説明する。オットマン用エアセル30の固定方法について説明するにあたり、オットマン用エアセル30の前方位置に備えられた帯状部材(以下、帯状支持部材31)について説明する。帯状支持部材31は、オットマン用エアセル30が膨出した際に持ち上がり、その前面(上面)には着座者の脚の膝下部が載せ置かれる。
【0104】
本実施形態において、帯状支持部材31は、連結された複数の断片31aによって構成されている。各断片31aは、幅方向に長い金属体からなり、互いに隣接する断片31a同士は、一方の断片31aが他方の断片31aに対して相対回動可能となるように蝶番を介して連結されている。そして、連結した複数の断片31aが簾状に広がることで帯状支持部材31を構成している。以上のように構成された帯状支持部材31は、オットマン用エアセル30が膨出すると、
図13に示すように断片31aが連なって形成する平坦な支持面にて着座者の脚の膝下部を支持するようになる。
【0105】
一方、オットマン用エアセル30は、
図14に示すように、前後方向において、シートクッションS2の骨格をなすクッションフレームSf2の前端部に設けられた下がり壁71と帯状支持部材31との間に介在している。また、オットマン用エアセル30は、その上端部に突出部32を有しており、この突出部32に取り付けられたビス等の固定具によって下がり壁71に固定されている。なお、上記の突出部32は、可撓性を有したシート状の部分であり、折り曲げ自在となっている。
【0106】
そして、本実施形態では、オットマン用エアセル30のうち、膨縮するエアセル本体を極力上方に配置して着座者の脚に近付けるべく、突出部32を後方に折り曲げた上で当該突出部32を下がり壁71の上端面に固定している。これにより、突出部32を下がり壁71の前面に固定する構成に比して、オットマン用エアセル30をより上方に配置することが可能となる。また、上記の固定方法を採用することにより、エアセル本体が膨出する際の向き(
図13中、矢印にて表記)が前方且つ上方に向かうようになり、結果として着座者の脚の膝下部を好適に支持することが可能となる。
【0107】
なお、オットマン用エアセル30の固定方法については、上記の内容に限定されず、例えば
図15に図示の内容であってもよい。
図15に図示の構成では、オットマン用エアセル30の下端部に上記の突出部32が設けられている。そして、当該突出部32が下がり壁71の前面に固定されている。このようにオットマン用エアセル30の下端部に突出部32が設けられていれば、オットマン用エアセル30の上端をより上方に配置することが可能となる。また、オットマン用エアセル30の上側部分は、固定されていないため膨出時に前方に向かって膨出し易くなる。これにより、エアセル本体が着座者の脚の膝下部に対してより近付くようになり、結果として着座者の脚の膝下部を好適に支持することが可能となる。