(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
身体側に設けられた液透過性のトップシートと、反身体側に設けられた液不透過性のバックシートと、前記トップシートとバックシートの間に設けられた排泄物を吸収する吸収体と、前記バックシートの反身体側に設けられた不織布で形成された外装シートと、前記外装シートの外面の腹側部にファスニングテープを係止する第1止着領域を備えた使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートの背側部に、それぞれ幅方向に延在するファスニングテープを設け、前記ファスニングテープは、上側に位置する上側ファスニングテープと下側に位置する下側ファスニングテープで形成し、
装着時において、前記外装シートの腹側部に、下側ファスニングテープは上り傾斜姿勢で係止され、その後に、上側ファスニングテープは下り傾斜姿勢にされ、
前記上側ファスニングテープには幅方向に延在する上側本体部の端部の内面に第1係止部と、上側本体部の略中央の内面に第2係止部が形成され、
前記下側ファスニングテープには幅方向に延在する下側本体部の端部の内面に第3係止部と、下側本体部の外面にターゲット部材から成る第2止着領域が形成され、
前記第2係止部と第2止着領域の第2係合強度は、前記第1係止部と第1止着領域の第1係合強度よりも大きいことを特徴とする使い捨ておむつ。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつの良好な装着感を得るために、ファスニングテープをクロス止めし、ファスニングテープを斜め下向きに引っ張りつつ連結することによりウエスト周りをしっかりと締め付けるとともに、脚周り側のファスニングテープを斜め上向きに引っ張りつつ連結することにより脚周りをしっかりと締め付けることがされてきた。
【0003】
特許文献1は、クロス止めの使い捨ておむつであって、上下2つに分かれ、伸縮するファスニングテープ゜部を持ったおむつにおいて、「サイドフラップの側縁部に配置した2個のファスニングテープが、一方のファスニングテープを固定した上に他方のファスニングテープを重ねて固定することが可能である」おむつを開示する(同段落0051、
図3)。これにより、「着用者の動きにもおむつを追随させやすく、おむつの弛みやずり落ちを軽減させることが可能であり、装着性、並びにフィット性に優れ、脚周りからの漏れ防止効果に優れた」おむつを提供するという。
【0004】
特許文献2は、クロス止めの使い捨ておむつであって、「長手方向に配列されて左右方向に伸びる2つの止着テープを備え、前記2つの止着テープのそれぞれが、テープ状のテープ基部と、前記テープ基部を横断するように前記テープ基部の内面上に設けられ、前方部の外面に対して止着可能な第1止着部と、前記第1止着部から本体部側に離間して前記テープ基部を横断するように内面上に設けられ、前方部の前記外面に対して止着可能な第2止着部とを備え、・・、前記2つの止着テープを前記前方部の前記外面に重ね止めする場合、前記一方の止着テープが、前記前方部の前記外面に止着された前記他方の止着テープを跨ぎ、前記一方の止着テープの前記第1止着部および前記第2止着部が、前記他方の止着テープの両側にて前記前方部の前記外面に止着されるおむつ」を開示し(同段落0009、
図6)、「止着部の合計面積を小さくしつつ、止着テープの重ね止めの際に、上に重なる止着テープを前方部に容易に止着する」おむつを提供するという(同段落0018)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のクロス止めの使い捨ておむつでは、おむつ交換時に、上下のファスニングテープをそれぞれ剥がさなければならず、おむつ対象者が多い病院施設、介護施設では、ここに手間がかかるため、おむつ交換又は尿パッドの交換に時間を割かなくてはいけないという課題を抱え、特に、多くの高齢者を収容している病院、介護施設では、使い捨ておむつの交換時間、使い捨ておむつに装着されるパッドの交換時間を短縮して交換作業を低減することが希求されていていた。
【0007】
しかし、特許文献1の開示技術でも、使い捨ておむつの交換時に、上下側ファスニングテープをそれぞれ剥がす必要があり、交換時間が長く、交換作業の負担が大きいままであった。
【0008】
特許文献2の開示技術でも、使い捨ておむつの交換時に、上下側ファスニングテープをそれぞれ剥がす必要があり、交換時間が長く、交換作業の負担が大きいままであった。
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、使い捨ておむつの交換時間の短縮、使い捨ておむつの内面に装着されるパッドの交換時間を短縮して交換作業を低減する使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した手段は次のとおりである。
第1手段は、 身体側に設けられた液透過性のトップシートと、反身体側に設けられた液不透過性のバックシートと、前記トップシートとバックシートの間に設けられた排泄物を吸収する吸収体と、前記バックシートの反身体側に設けられた不織布で形成された外装シートと、前記外装シートの外面の腹側部にファスニングテープを係止する第1止着領域を備えた使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートの背側部に、それぞれ幅方向に延在するファスニングテープを設け、前記ファスニングテープは、上側に位置する上側ファスニングテープと下側に位置する下側ファスニングテープで形成し、装着時において、前記外装シートの腹側部に、下側ファスニングテープは上り傾斜姿勢で係止され、
その後に、上側ファスニングテープは下り傾斜姿勢にされ、
前記上側ファスニングテープには幅方向に延在する上側本体部の端部の内面に第1係止部と、上側本体部の略中央の内面に第2係止部が形成され、前記下側ファスニングテープには幅方向に延在する下側本体部の端部の内面に第3係止部と、下側本体部の外面にターゲット部材から成る第2止着領域が形成され、前記第2係止部と第2止着領域の第2係合強度は、前記第1係止部と第1止着領域の第1係合強度よりも大きいことを特徴とする使い捨ておむつである。
【0011】
【0012】
【0013】
第
2手段は、第
1手段の構成において、第1係合強度と第2係合強度の強度差は、第1係止部と第2係止部を形成する止着材のフックピンの大きさの相違による構成であることを特徴とする。
【0014】
第
3手段は、第
2手段の構成において、第1係合強度と第2係合強度の強度差は、第1止着領域と第2止着領域を形成するターゲットのループ編み、密度の相違による構成であることを特徴とする。
【0015】
【0016】
第
4手段は、第1手段から第3手段の構成において、第1止着領域
と第2止着領域はターゲットシートから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1手段によれば、外装シートの背側部に、それぞれ幅方向に延在するファスニングテープを設け、ファスニングテープは、上側に位置する上側ファスニングテープと下側に位置する下側ファスニングテープで形成し、装着時において、外装シートの腹側部に、下側ファスニングテープは上り傾斜姿勢で係止され、上側ファスニングテープは下り傾斜姿勢にされ、上側ファスニングテープと下側ファスニングテープの一側には幅方向に延在する本体部の端部の内面に第1係止部と、本体部の第1係止部と基部の中間に第2係止部が形成され、前記上側ファスニングテープと下側ファスニングテープの他側には幅方向に延在する本体部の端部の内面に第3係止部と、本体部の外面に第2止着領域が形成されていることを特徴とする使い捨ておむつが提供され、両ファスニングテープは第2係止部と第2止着領域の係合によって一体とされた装着状態において、上側ファスニングテープの第1係止部と第1止着領域の係合又は下側ファスニングテープの第3係止部と第1止着領域の係合のいずれか一方のファスニングテープの係合を解除すれば、ファスニングテープと第1止着領域とのもう一方の係合も解除でき、係合の解除後も、上側ファスニングテープと下側ファスニングテープは第2止着領域での係合で一体のままであり、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間を短縮でき、交換作業の負荷を低減することができ、パッドズレ等のズレ調整時間も同様に短縮することができる。
【0018】
上側ファスニングテープには幅方向に延在する上側本体部の端部の内面に第1係止部と、上側本体部の略中央
の内面に第2係止部が形成され、下側ファスニングテープには幅方向に延在する下側本体部の端部の内面に第3係止部と、下側本体部の外面にターゲット部材から成る第2止着領域が形成されているから、装着時には下側ファスニングテープを内側に装着し、解除時には下側ファスニングテープを剥がせばこれと一体の上側ファスニングテープも確実に剥がれる構成で装着可能であり、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間をより確実に短縮し得るし、交換作業の負荷をより確実に低減することができ、パッドズレ等のズレ調整時間もより確実に短縮することができ好適である。
【0019】
第2係止部と第2止着領域の第2係合強度は、第1係止部と第1止着領域の第1係合強度よりも大きい構成であるから第1止着領域とファスニングテープとの係合部が解除された場合でも第2係合強度は比較的強固であってこの係合が維持される確度が高くなり、上側ファスニングテープと下側ファスニングテープは一体に剥がれ、あるいは、剥がれた後も一体を保ち、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間をより短縮でき、交換作業の負荷をより低減する機会が高ま
る。
【0020】
第
2手段によれば、第
1手段の好適な場合を特定し、第1係合強度と第2係合強度の強度差は、第1係止部と第2係止部を形成する止着材のフックピンの大きさの相違を係合部の止着材を構成するフックピンの大きさの差により、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間を短縮でき、交換作業の負荷を同様に低減するに好適である。
【0021】
第
3手段によれば、第
2手段の好適な場合を特定し、第1係合強度と第2係合強度の強度差は、第1止着領域と第2止着領域を形成するターゲットのループ編み、密度の相違により、第3手段による効果と少なくとも同等の効果が得られ、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間を短縮でき、交換作業の負荷を同様に低減するに好適である。
【0022】
【0023】
第4手段によれば、第1手段から第3手段のうち好適な場合を特定し、第1止着領域
と第2止着領域はターゲットシートから成り、第3手段に特定される第2手段によって第2止着領域をターゲット部材とする場合でも、第1止着領域にターゲットシートを用いても、第2係止部と第2止着領域の第2係合強度は、第1係止部と第1止着領域の第1係合強度よりも大きい構成となる関係を維持しつつ、第1係合強度と第2係合強度を総合する全体の係合強度を確保し、第1止着領域とファスニングテープとの係合部が解除された場合に第2止着領域は、例えば、ターゲットシートが使用されて第2係合強度を比較的強固とされてこの係合が維持される確度を高くし、上側ファスニングテープと下側ファスニングテープは一体に剥がれ、あるいは、剥がれた後も一体を保ち、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間をより短縮でき、交換作業の負荷をより低減する機会を高める。
【0024】
第1の製造方法では、係止めを有する端部を中央に向け対向配置すれば、連続シート上に蜜充填可能である外形を有するファスニングテープを製造する連続製造方法において、
連続シートを各々のファスニングテープ形に切断する前の工程に、以下の、
シートの表面中央部に所定の幅で止着材を連続シート長尺方向に連続帯状に、第1手段の使い捨ておむつの下側係止部及び上側第1係止部となる止着材層をシート表面に形成する工程、及び、前記シートの連続帯からシート両端側へ離隔する帯域に、連続シート上のファスニングテープ仮想型の一つおきの繰り返し間隔幅で間欠的に前記上側第2係止部となる止着材層をシート表面に形成する工程を含むから、素材の無駄がなく、かつ、単純な繰り返し作業単位でファスニングテープが連続製造でき、生産性が向上するという効果を得られる。
【0025】
第2の製造方法では、第1の製造方法による効果に加えて、連続シートからのファスニングテープ横切断間隔の一つおきの繰り返し間隔幅で間欠的に前記連続シートの裏面に前記止着材層と係合可能である止着領域を形成する工程をさらに含むから、表面及び裏面の加工も連続工程で実現でき、ファスニングテープが連続製造でき、生産性が向上するという効果を得られる。
【0026】
第3の製造方法では、第1及び第2の製造方法による効果に加えて、ファスニングテープの連続製造の利益を使い捨ておむつに拡散可能であるという利益がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<本実施形態の使い捨ておむつ>
本実施形態の使い捨ておむつについて
図1〜12を参照しながら説明する。本明細書においては、「前後方向」とは腹側と背側を結ぶ方向をいい、「幅方向」とは前後方向と直交する方向をいい、「上下方向」とは使い捨ておむつの装着状態において胴回り方向と直交する方向をいい、「内面」とはそれぞれの部材の身体側面をいい、「外面」とは反身体側面をいうものとする。なお、説明上必要と考えられるホットメルト等の接着剤を介して固定した固定箇所は斜線やドットを付している。
【0029】
図1,2に示すように、使い捨ておむつ100は、身体側の液透過性のトップシート1と、反身体側の液不透過性のバックシート2と、トップシート1とバックシート2の間に設けられた吸収体3を備えて構成されている。また、バックシート2の外面には、外装シート20が設けられている。
【0030】
吸収体3の幅方向の外側には、排泄物の外部への漏れを防止するために脚周り用の立体ギャザー30がそれぞれ設けられ、立体ギャザー30の基部の外側には、所定の間隔を隔てて排泄物の外部への漏れを防止する脚周り用の平面ギャザー40がそれぞれ設けられている。
【0031】
吸収体3の前後方向の背側には、排泄物の外部への漏れを防止する背側用の立体ギャザー50が設けられ、立体ギャザー30の基部には、排泄物の外部への漏れを防止する背側用の平面ギャザー60が設けられている。
【0032】
吸収体3の前後方向の外側には、吸収体3が延在しないエンドフラップ部EFがそれぞれ設けられ、吸収体3の幅方向の両外側には、吸収体3が延在しないサイドフラップ部SFがそれぞれ設けられている。
【0033】
サイドフラップ部SFの背側には、外側に向かって延在するファスニングテープ70がそれぞれ設けられ、外装シート20の外面の腹側には、装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合にファスニングテープ70を係止するターゲットシート(請求項における「第1止着領域」)90が設けられている。
【0034】
(トップシート)
トップシート1は、吸収体3の外周縁よりも外側に延在しており、その延在した部位は、ホットメルト等の接着剤を介してバックシート2の内面に固定されている。
【0035】
トップシート1としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。トップシート1に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m
2が好ましく、厚みは0.05〜1mmが好ましい。
【0036】
(バックシート)
バックシート2は、吸収体3の外周縁よりも外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の外部への移動を遮断するものである。
【0037】
バックシート2としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート2の単位面積あたりの重量は13〜40g/m
2が好ましく、厚みは0.01〜0.1mmが好ましい。
【0038】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固定等してなるものを用いることができる。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m
2、厚みは1〜15mmが好ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m
2が好ましく、高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。また、本実施形態の吸収体3は平面視において砂時計形状に形成しているが、長方形状等に形成することもできる。
【0039】
(外装シート)
外装シート20は、バックシート2を覆って使い捨ておむつ100の外面を布のような外観、肌触りとするものである。外装シート20としては、不織布で形成するのが好ましい。素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法は、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いて製作することができる。但し、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好ましい。
【0040】
不織布は一枚で使用する他、複数枚を重ねて使用することもでき、複数枚を重ねて使用する場合は、不織布相互をホットメルト等の接着剤を介して固定するのが好ましい。また、不織布を用いる場合は、その繊維目付けは10〜50g/m
2、特に15〜30g/m
2が好ましい。
【0041】
(脚周り用の立体ギャザー)
図3,5に示すように、脚周り用の立体ギャザー30を形成するギャザーシート31の基部31Aは、トップシート1の内面の幅方向の外側部とバックシート2の内面の幅方向の外側部に前後方向に亘って固定されている。また、ギャザーシート31の起立部31Bの前後方向の両端部は、トップシート1の内面の幅方向の外側部と立体ギャザー50を形成するギャザーシート51の内面の幅方向の外側部に固定され、ギャザーシート31の起立部31Bの前後方向の中間部は、トップシート1の内面とギャザーシート51の内面には固定されておらず離間している。また、起立部31Bには、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する複数の細長状の弾性伸縮部材32が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材32の収縮力によって起立部31Bを装着者の股間部に向かって起立させて、起立部31Bの先端部を装着者の股間部に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0042】
ギャザーシート31としては、スパンボンド不織布等の不織布の他、バックシート2に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好ましい。
【0043】
弾性伸縮部材32としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材32の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150〜250%程度、特に160〜200%程度が好ましい。なお、
図1の右斜め上がりの斜線はギャザーシート31の固定箇所を示し、左斜め上がりの斜線はギャザーシート51の固定箇所を示している。
【0044】
(脚周り用の平面ギャザー)
平面ギャザー40は、サイドフラップ部SFにおけるギャザーシート31の基部31Aに対向する部位に設けられている。サイドフラップ部SFを形成するバックシート2と外装シート12の幅方向の外側部には、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する細長状の弾性伸縮部材41が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材41の収縮力によって平面ギャザー40が装着者の脚部に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0045】
弾性伸縮部材41としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材41の間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度が好ましい。さらに、弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150〜250%程度、特に160〜200%程度が好ましい。
【0046】
(背側用の立体ギャザー)
図6に示すように、背側用の立体ギャザー50を形成するギャザーシート51の基部51Aは、トップシート1の内面の背側部の幅方向に中間部に固定されている。また、ギャザーシート51の起立部51Bの内面の幅方向の両側部は、トップシート1の内面と対向するギャザーシート31の外面に固定され、ギャザーシート51の起立部51Bの幅方向の中間部には、前後方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在する複数の細長状の弾性伸縮部材52が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材52の収縮力によって起立部51Bを装着者の背中に向かって起立させて、起立部51Bの先端部を装着者の背中に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0047】
ギャザーシート51は、ギャザーシート31と同様にスパンボンド不織布等の不織布の他、バックシート2に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好ましい。
【0048】
弾性伸縮部材52としては、弾性伸縮部材32と同様に糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材32の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150〜250%程度、特に160〜200%程度が好ましい。
【0049】
(背側用の平面ギャザー)
平面ギャザー60は、エンドフラップ部EFにおけるギャザーシート51の基部51Aに対向する部位に設けられている。ギャザーシート51の基部51Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在する細長状の弾性伸縮部材61が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材61の収縮力によって平面ギャザー60が装着者の背中に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0050】
弾性伸縮部材61としては、弾性伸縮部材41と同様に糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材41の間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度が好ましい。さらに、弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150〜250%程度、特に160〜200%程度が好ましい。なお、本実施形態の弾性伸縮部材61は、ギャザーシート51の基部51Aに設けているが、ギャザーシート51の前後方向の背側に別途シートを設けて弾性伸縮部材61を設けることもできる。
【0051】
(ファスニングテープ)
図1〜4に示すように、サイドフラップ部SFの背側部には、それぞれ外側に向かって延在するファスニングテープ70が設けられている。ファスニングテープ70の基部73は、外装シート20とギャザーシート31の幅方向の外側部の間に固定されている。ファスニングテープ70は、上側に位置する上側ファスニングテープ78と下側に位置する下側ファスニングテープ88から形成され、さらに、上側ファスニングテープ78は、幅方向に延在する上側本体部79と、上側本体部79の端部の内面に配される上側第1係止部(請求項における「第1係止部」)72、上側本体部79の略中央の上側第2係止部(請求項における「第2係止部」)75で形成され、下側ファスニングテープ88は、幅方向に延在する下側本体部89と、下側本体部89の端部の内面に配される下側係止部(請求項における「第3係止部」)82、下側本体部の外面にターゲット部材から成る止着領域(請求項における「第2止着領域」)85で形成される。
【0052】
ファスニングテープ70の素材は、不織布が好ましく、不織布としては公知のものを特に限定無く用いることができる。不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の製造方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができ、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができ、不織布と伸縮フィルムを多層に、例えば、二層の不織布の間に伸縮フィルムを貼りあわせた伸縮不織布でもよい。特にオレフィン系繊維を用いたスパンボンド不織布、SMS不織布が好ましい。使用する不織布の坪量は適宜定めることができるが、本体部5bにおける不織布の総坪量が20〜75g/m
2、特に26〜46g/m
2であり、固定部5f及び先端部5pにおける不織布の総坪量がそれぞれ35〜130g/m
2、特に46〜116g/m
2であると好ましい。この範囲内であれば、外装シート20とギャザーシート31の間に固定される基部73における強度や剛性を確保でき、且つ上側本体部79、下側本体部89の柔軟性や伸縮性を確保することができる。
【0053】
係止部72、75、82としては、メカニカルファスナーのフック材が好ましい。フック材は、多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。また、フック材に替えて粘着剤層を用いることもできる。
【0054】
係合強度は、フック材のピンの大きさを止着領域との相性を考えつつ調整し決定すべきであり、第2係止部75と第2止着領域85との係合強度は、第1係止部72とターゲットシート90との係合強度よりも大きく設定するのが好ましく、この場合には、上側ファスニングテープ78と下側ファスニングテープ88は一体のまま、同時にターゲットシート90から剥せる。
【0055】
このように第2係止部75と第2止着領域85との係合強度(請求項における「第2係合強度」)T2は第1係止部72とターゲットシート90との係合強度(請求項における「第1係合強度」)T1よりも大きく設定し、係合強度T1、T2は、所定の強度差を有するフックピンの大きさ、形状、本数等によって調整することができる。また、第2止着領域85、ターゲットシート90はターゲットテープを使用する場合にはループの編み方や密度で調整することができる。第2止着領域85については、T2>T1の関係が成り立つのであれば、不織布にエンボス等の加工を施し、係合しやすい性状とする場合であってもよく、第1止着領域に不織布にエンボス等の加工を施し、第2止着領域にT2>T1の関係を満たしつつ、これと異なる設定で不織布にエンボス等の加工を施してもよい。
【0056】
本体部79、89の先端部の幅方向の長さ76は、ファスニングテープ70の幅方向の長さ74の50〜90%に形成するのが好ましい。これにより、先端部の長さ76を、クロスして上側ファスニングテープ78と下側ファスニングテープ88を傾斜させて引伸ばす方向、上側ファスニングテープ78と下側ファスニングテープ88の係止部72,82をターゲットシート90に係合するそれぞれの位置の自由度を高くすることができる。
【0057】
(第1止着領域)
第1止着領域は、ターゲットシート90としてもよく、ループ糸が表面に多数設けられたプラスチックフィルムや不織布等が好ましい。本実施形態の使い捨ておむつ100ではターゲットシート90を用い、装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合には、ファスニングテープ70の上下双方の係止部72、82をターゲットシート90に効率よく係止することができる。
【0058】
(装着時のファスニングテープと各止着領域の関係)
上側ファスニングテープ78の端部は上側第1係止部72でターゲットシート90に係合され、かつ、上側ファスニングテープ78の上側第2係止部75はターゲット部材から成る第2止着領域85で下側ファスニングテープ88に係合される。
図7〜12に示すように、装着時には、外装シート20の腹側部に設けられたターゲットシート90に、上側ファスニングテープ78はターゲットシート90の中央部に向かって下り傾斜姿勢で係止され、下側ファスニングテープ88はターゲットシート90の中央部に向かって上り傾斜姿勢で係止され、さらに上側ファスニングテープ78と下側ファスニングテープ88は、第2係止部75と第2止着領域85で係合されている。
【0059】
図8には、下側ファスニングテープ88を先に係合した場合を示す。下側係止部82がターゲットシート90に係合し、次に上側ファスニングテープ78を
図7中の矢印に沿って移動させ、上側第1係止部72をターゲットシート90に係合する場合、同時に第2係止部75は下側ファスニングテープ88の
図8中の上面に形成されている第2止着領域85で係合されることとなる前の段階である。以下では便宜的のこの状態を第1装着状態(
図8)と言う。
【0060】
図8から上側ファスニングテープ78の上側第1係止部72がターゲットシート90に係合されると
図7に示されるように係合は完成し、同時に下側ファスニングテープ88の第2止着領域85は上側ファスニングテープ78の上側第2係止部75と係合されている。以下では便宜的のこの状態を第2装着状態(
図7)と言う。
【0061】
(脱着時のファスニングテープと両テープの係合部の関係)
図7に示す係合状態から、第2装着状態にある上側ファスニングテープ78とターゲットシート90の係合を解除し、上側ファスニングテープ78の先端部を
図9の矢印に示すように前側へ引き寄せると、上側ファスニングテープ78と同時に、第2止着領域85と上側ファスニングテープ78の上側第2係止部75との係合により、下側ファスニングテープ88も前側に引き寄せられて、下側ファスニングテープ88とターゲットシート90の係合も解除される。前者の係合強度T2が後者の係合強度T1よりも大きい所定の強度となるように係止部に大きさ、係止部72、75、82の材質・性状、止着領域85,90の材質・性状が設定されているからである。第2装着状態にある下側ファスニングテープ88とターゲットシート90の係合を解除し、下側ファスニングテープ88の先端部を前側へ引き寄せると、下側ファスニングテープ88と同時に、上側第2係止部75を介して上側ファスニングテープ78も前側に引き寄せられて、上側ファスニングテープ78とターゲットシート90の係合を解除されるのは同様である。
【0062】
これにより、使い捨ておむつ交換時には、上側ファスニングテープ78と下側ファスニングテープ88のいずれか一方のファスニングテープ70の係合を解除して前側に引き寄せることによって、他方のファスニングテープ70の係合も解除することができるので、使い捨ておむつの交換時間や、使い捨ておむつに内装されたパッドの交換時間を短縮でき、交換作業の負荷を低減することができる。また、いずれのファスニングテープの係合部が解除された場合でも上側ファスニングテープは、上側ファスニングテープ78の上側第2係止部75と下側ファスニングテープ88の第2止着領域8の係合は維持され、上側ファスニングテープ部78と下側ファスニングテープ88は一体の状態を維持するので、特にパッドズレ等のズレ調整時間も短縮することができる。
【0063】
<他の実施形態に係る使い捨ておむつ>
次に、他の実施形態の使い捨ておむつのファスニングテープ70について説明する。なお、本実施形態の使い捨ておむつのファスニングテープ70と同一部材には、同一符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、上側ファスニングテープ91、下側ファスニングテープ92の輪郭形状を左右で対になる形状とし、左右二つのファスニングテープを突合し合わせると、
図14に示すように長形となる輪郭形状とすることもできる。この実施形態であれば、連続シート99上に素材の無駄なくファスニングテープ91、92を割り当てることが可能となる。
さらに、この場合においては、
図14に示す、連続シート99の切断前に係止部72,82に相当する係止部領域94を連続シート99の表面上に表面材を層形成あるいは表面加工し帯域係止部94を形成しておけば、切断後に上側ファスニングテープ91、下側ファスニングテープ92の各部分が部材として完成し、素材の無駄がなく、かつ、単純な繰り返し作業単位でファスニングテープが連続製造でき、生産性が向上するという効果を得られる。
【0064】
同様に、
図14に示す、連続シート99の切断前に係止部75に相当する係止部領域95をファスニングテープ93の長尺方向へひとつおきに間欠的に形成すれば好適である。逆に、非係止部96を形成し係止部95を形成してもよい。
【0065】
さらに、連続シートの切断前に連続シートの裏面に、ファスニングテープ93の長尺方向へひとつおきに間欠的に第2止着領域85を形成しておけば切断時に上側ファスニングテープ91、下側ファスニングテープ92の表面及び裏面の加工も連続工程で実現でき、ファスニングテープが連続製造でき、生産性が向上するという利点がある。
【0066】
すなわち、ファスニングテープ93であって係止部72,82を有する端部を中央に向け対向配置すれば、連続シート99上に蜜充填可能である外形を有するファスニングテープ93を製造する連続製造方法において、
連続シート99を各々のファスニングテープ形93に切断する前の工程に、以下の、
前記シート99の表面中央部に所定の幅で止着材を連続シート長尺方向に連続帯状に、本発明の使い捨ておむつ100の前記下側係止部82及び前記上側第1係止部72となる止着材層94をシート99表面に形成する工程S1、及び、前記シート99の連続帯94からシート99両端側へ離隔する帯域に、連続シート99からのファスニングテープ93横切断間隔の一つおきの繰り返し間隔幅で間欠的に前記上側第2係止部75となる止着材層95をシート99表面に形成する工程S2を含む、ファスニングテープの連続製造方法は、素材の無駄がなく、かつ、単純な繰り返し作業単位でファスニングテープが連続製造でき、生産性が向上するという効果を提供し得る。
【0067】
加えて、追加の製造方法では、上記の製造方法による効果に加えて、連続シートからのファスニングテープ横切断間隔の一つおきの繰り返し間隔幅で間欠的に前記連続シートの裏面に前記止着材層と係合可能である止着領域を形成する工程をさらに含めば、表面及び裏面の加工も連続工程で実現でき、ファスニングテープが表裏一体で連続製造でき、生産性がさらに向上するという効果を得られる。
【0068】
本製造方法によるファスニングテープ91,92を用い使い捨ておむつ100を生産すると、ファスニングテープの連続製造の利益を使い捨ておむつに拡散可能であるという利益が得られ、このおむつは、第2装着状態から上側ファスニングテープ91の上側第1係止部72の係合を解除した場合に、下側ファスニングテープ92が上側ファスニングテープ91の係止部75に係止されたままに残り、使用済みのパッドの交換を行った後に使い捨ておむつを装着する場合に、上側ファスニングテープ91と下側ファスニングテープ92とを再び係合する必要がないので特にパッドズレ等のズレ調整時間をより短縮することができる。また、第2装着状態から下側ファスニングテープ92の下側係合部82の係合を解除した場合に、下側ファスニングテープ92が上側ファスニングテープ91の係止部75に係止されたまま残るので、使用済みのパッドの交換を行う際に、特にパッドズレ等のズレ調整時間をより短縮することができる利点を提供できる。