特許第6823480号(P6823480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823480
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】透明導電性フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20210121BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20210121BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   B32B27/18 Z
   B32B7/02
   H01B5/14 A
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-15744(P2017-15744)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-122492(P2018-122492A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 寛倫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 寛行
【審査官】 中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−66477(JP,A)
【文献】 特開2015−141674(JP,A)
【文献】 特開2011−167914(JP,A)
【文献】 特開2000−246855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/18
B32B 7/02
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、前記透明基材の片側または両側に配置される透明導電層と、前記透明基材および前記透明導電層の間に介在する中間層とを備え、
前記中間層は、
5nm以上、45nm未満であるメジアン径を有する第1無機粒子と、
45nm以上、120nm未満であるメジアン径を有する第2無機粒子と、
樹脂とを含み、
前記第1無機粒子の、前記樹脂100質量部に対する含有割合が、65質量部以上、235質量部以下であり、
前記第2無機粒子の、前記樹脂100質量部に対する含有割合が、5質量部以上、80質量部以下であることを特徴とする、透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記第1無機粒子および前記第2無機粒子の、前記樹脂100質量部に対する含有割合が、85質量部以上、260質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記中間層は、500nm未満の厚みを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記中間層が、耐ブロッキング光学調整層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記第1無機粒子および前記第2無機粒子が、ともにジルコニア粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記透明基材と前記中間層との間に介在するハードコート層をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記ハードコート層は、その表面に複数の突起を有し、
前記突起の、前記ハードコート層1cm当たりにおける最大突出長さが200nm以下であることを特徴とする、請求項6に記載の透明導電性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明高分子基材上に、アンチブロッキング層、色差調整層および透明導電層が順に積層された透明導電性積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の透明導電性積層体では、透明導電層を所定形状のパターンに形成している。
【0004】
特許文献1では、アンチブロッキング層によって、アンチブロッキング性を担保しつつ、色差調整層によって、パターンの視認性の差を抑制して、光学特性を担保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−66477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1では、アンチブロッキング層および色差調整層の2層を設ける必要があり、そのため、層構成が複雑となるという不具合がある。
【0007】
また、近年、アンチブロッキング性および光学特性の両方のより一層の向上が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、層構成が簡単であり、耐ブロッキング性および光学特性の両方に優れる透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、透明基材と、前記透明基材の片側または両側に配置される透明導電層と、前記透明基材および前記透明導電層の間に介在する中間層とを備え、前記中間層は、5nm以上、45nm未満であるメジアン径を有する第1無機粒子と、45nm以上、120nm未満であるメジアン径を有する第2無機粒子と、樹脂とを含み、前記第1無機粒子の、前記樹脂100質量部に対する含有割合が、65質量部以上、235質量部以下であり、前記第2無機粒子の、前記樹脂100質量部に対する含有割合が、5質量部以上、80質量部以下である、透明導電性フィルムを含む。
【0010】
本発明(2)は、前記第1無機粒子および前記第2無機粒子の、前記樹脂100質量部に対する含有割合が、85質量部以上、260質量部以下である、(1)に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0011】
本発明(3)は、前記中間層は、500nm未満の厚みを有する、(1)または(2)に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0012】
本発明(4)は、前記中間層が、耐ブロッキング光学調整層である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0013】
本発明(5)は、前記第1無機粒子および前記第2無機粒子が、ともにジルコニア粒子である、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0014】
本発明(6)は、前記透明基材と前記中間層との間に介在するハードコート層をさらに備える、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0015】
本発明(7)は、前記ハードコート層は、その表面に複数の突起を有し、前記突起の、前記ハードコート層1cm当たりにおける最大突出長さが200nm以下である、(6)に記載の透明導電性フィルムを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の透明導電性フィルムは、層構成が簡単であり、耐ブロッキング性および光学特性の両方に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の透明導電性フィルムの一実施形態(透明基材の上に、ハードコート層、中間層および透明導電層が設けられる態様)の断面図を示す。
図2図2は、図1に示す透明導電性フィルムの変形例(透明基材の上下に、ハードコート層、中間層および透明導電層が設けられる態様)を示す。
図3図3は、図1に示す透明導電性フィルムの変形例(透明基材の上に、中間層および透明導電層が設けられる態様)を示す。
図4図4は、図1に示す透明導電性フィルムの変形例(透明基材の上下に、中間層および透明導電層が設けられる態様)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の透明導電性フィルムの一実施形態を、図1を参照して説明する。
【0019】
1.透明導電性フィルム
図1に示すように、この透明導電性フィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)をなし、厚み方向と直交する所定方向(面方向)に延び、平坦な上面および平坦な下面(2つの主面)を有する。
【0020】
透明導電性フィルム1は、透明基材2と、透明基材2の片側に配置される透明導電層5と、透明基材2および透明導電層5の間に介在するハードコート層3および中間層4とを備える。具体的には、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、ハードコート層3と、中間層4と、透明導電層5とを順に備える。つまり、透明導電性フィルム1は、透明基材2と、透明基材2の上に設けられるハードコート層3と、ハードコート層3の上に設けられる中間層4と、中間層4の上に設けられる透明導電層5とを備える。好ましくは、透明導電性フィルム1は、透明基材2、ハードコート層3、中間層4および透明導電層5のみからなる。以下、各層について詳述する。
【0021】
2.透明基材
透明基材2は、透明導電性フィルム1の下層であって、透明導電性フィルム1の機械強度を確保する支持層(支持材)である。また、透明基材2は、面方向に延びるフィルム形状を有しており、平坦な平面および平坦な下面(2つの主面)を有する。
【0022】
透明基材2は、高分子フィルムからなる。高分子フィルムは、透明性を有する。高分子フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、ポリメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)などのオレフィン樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、例えば、ポリエーテルスルフォン樹脂、例えば、ポリアリレート樹脂、例えば、メラミン樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、例えば、ポリイミド樹脂、例えば、セルロース樹脂、例えば、ポリスチレン樹脂、例えば、ノルボルネン樹脂などが挙げられる。これら高分子フィルムは、単独使用または2種以上併用することができる。透明性、機械特性などの観点から、好ましくは、オレフィン樹脂が挙げられ、より好ましくは、COPが挙げられる。
【0023】
透明基材2の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
【0024】
3.ハードコート層
ハードコート層3は、透明導電性フィルム1の耐擦傷性を高める層であって、透明基材2と次に説明する中間層4との間に介在する層である。ハードコート層3は、面方向に延びるフィルム形状を有しており、実質的に平坦な上面および平坦な下面(2つの主面)を有する。
【0025】
ハードコート層3は、フィルム形状(シート形状を含む)を有しており、透明基材2の上面全面に直接接触している。
【0026】
ハードコート層3は、例えば、公知の樹脂組成物からなる。また、樹脂組成物は、後述する粒子(有機粒子や無機粒子を含む粒子)を適度の割合で含有することもできる。
【0027】
また、ハードコート層3は、その上面に複数の突起(図示せず)を有してもよく、そのような突起の、ハードコート層3 1cm当たりにおける最大突出長さが、例えば、200nm以下、好ましくは、100nm以下、より好ましくは、10nm以下であり、また、例えば、1nm以上である。突起の最大突出長さが上記した上限以下であれば、ハードコート層3の上面を実質的に平滑にすることができる。そのため、ヘイズを抑えるすることができる。
【0028】
また、ハードコート層3の上面の粗さ(表面粗さ)は、例えば、10nm以下、好ましくは、5nm以下であり、また、例えば、0.1nm以上である。ハードコート層3の表面粗さの測定方法は、後の実施例で記載される。
【0029】
ハードコート層3の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下である。
【0030】
4.中間層
中間層4は、ハードコート層3の上面に設けられている。中間層4は、ハードコート層3と次に説明する透明導電層5との間に介在する層である。また、中間層4は、目的に応じた機能性を付与する機能層である。具体的には、中間層4は、透明導電性フィルム1に耐ブロッキング性を付与しながら、透明導電層5が後の工程でパターンに形成された後に、非パターン部とパターン部との相違が認識されないように(すなわち、パターンの視認を抑制するように)、透明導電層5の光学物性を調整する、耐ブロッキング光学調整層である。
【0031】
中間層4は、ハードコート層3の上面全面に直接接触している。中間層4は、面方向に延びるフィルム形状を有している。中間層4は、後で説明する第2無機粒子に起因する凹凸状の上面(図1において示されていない)、および、ハードコート層3の上面に対応する実質的に平坦な下面(2つの主面)を有する。
【0032】
中間層4は、第1無機粒子と、第2無機粒子と、樹脂とを含有する。具体的には、中間層4は、第1無機粒子と、第2無機粒子と、樹脂とを含有する粒子樹脂組成物からなる。つまり、中間層4の材料は、粒子樹脂組成物である。
【0033】
粒子樹脂組成物は、好ましくは、第1無機粒子と、第2無機粒子と、樹脂とを含有する。より好ましくは、粒子樹脂組成物は、第1無機粒子と、第2無機粒子と、樹脂とのみからなる。
【0034】
4−1.第1無機粒子
第1無機粒子は、無機粒子のうちメジアン径が相対的に小さい小粒子である。第1無機粒子は、透明導電性フィルム1の光学特性を向上させる光学粒子、具体的には、中間層4の屈折率を所望の範囲に調製することにより、透明導電層5のパターン視認を抑制する光学粒子である。
【0035】
第1無機粒子としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)粒子、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化錫などからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などの無機粒子が挙げられる。第1無機粒子は、単独種類を単独使用でき、あるいは、複数種類を併用することもできる。粒子として、好ましくは、金属酸化物粒子、より好ましくは、酸化ケイ素(シリカ)粒子、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、さらに好ましくは、酸化ジルコニウム粒子(ジルコニア粒子)が挙げられる。酸化ジルコニウム粒子は、その添加量により容易に膜の屈折率を変化させることができるので、第1無機粒子として好適である。
【0036】
第1無機粒子は、5nm以上、45nm未満のメジアン径を有する。
【0037】
第1無機粒子は、好ましくは、6nm以上、より好ましくは、9nm以上、さらに好ましくは、10nm以上、とりわけ好ましくは、12nm以上、最も好ましくは、15nm以上のメジアン径を有し、また、好ましくは、40nm以下、より好ましくは、40nm未満、とりわけ好ましくは、35nm以下のメジアン径を有する。
【0038】
第1無機粒子のメジアン径が上記した下限を上回れば、中間層4の透明導電層5に対する密着力を向上させることができる。第1無機粒子のメジアン径が上記した上限を下回れば、透明導電性フィルム1が優れた外観を有することができる。
【0039】
第1無機粒子は、粒子径の分布の標準偏差が10%以内の単分散粒子である。その場合には、第1無機粒子は、1つのメジアン径を有する。
【0040】
一方、第1無機粒子は、2峰性の粒度分布を有することもできる。その場合には、第1無機粒子は、2つのメジアン径を有する。この場合には、第1無機粒子は、2つのメジアン径の内、小さいメジアン径を有する小径粒子と、大きいメジアン径を有する大径粒子とを含有する。小径粒子の含有割合は、大径粒子100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、50質量部未満、好ましくは、20質量部以下である。また、小径粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、25質量部以上であり、また、例えば、50質量部未満、好ましくは、30質量部以下である。大径粒子の含有割合は、小径粒子100質量部に対して、例えば、100質量部以上、好ましくは、300質量部以上、より好ましくは、500質量部以上であり、また、例えば、1000質量部以下、好ましくは、750質量部以下、より好ましくは、500質量部以下である。また、大径粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上、より好ましくは、130質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、175質量部以下、より好ましくは、130質量部量部以下である。
【0041】
そして、第1無機粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、65質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、75質量部以上、さらに好ましくは、80質量部以上、とりわけ好ましくは、90質量部以上、最も好ましくは、100質量部以上である。
【0042】
また、第1無機粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、235質量部以下、好ましくは、230質量部以下、より好ましくは、200質量部以下、さらに好ましくは、175質量部以下、とりわけ好ましくは、150質量部以下である。
【0043】
さらに、第1無機粒子の含有割合は、中間層4(つまり、粒子樹脂組成物の固形分)に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、35質量%以上、より好ましくは、40質量%以上、さらに好ましくは、45質量%以上であり、また、例えば、66質量%以下、好ましくは、63質量%以下、より好ましくは、60質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下である。
【0044】
第1無機粒子の含有割合が上記した下限以上であれば、あるいは、第1無機粒子の含有割合が上記した上限以下であれば、中間層4の屈折率を所望の範囲に設定することができる。そのため、透明導電層5から形成されるパターンと非パターンとの反射率差(ΔR、後述)を低減することができず、透明導電層5のパターン視認を抑制することができる。
【0045】
4−2.第2無機粒子
第2無機粒子は、無機粒子のうち、第1無機粒子に対して相対的にメジアン径が大きい大粒子である。第2無機粒子は、透明導電性フィルム1に優れた耐ブロッキング性を付与する耐ブロッキング粒子である。
【0046】
第2無機粒子としては、第1無機粒子で例示した無機粒子が挙げられ、好ましくは、第1無機粒子と同一種類の無機粒子が挙げられ、より好ましくは、酸化ジルコニウム粒子が挙げられる。
【0047】
第1無機粒子および第2無機粒子が同一種類の無機粒子(好ましくは、ジルコニウム粒子)であれば、透明導電性フィルム1の製造工程を簡易にしつつ、中間層4の組成を単純にすることができる。
【0048】
第2無機粒子は、45nm以上、120nm未満のメジアン径を有する。第2無機粒子は、好ましくは、55nm以上、より好ましくは、60nm以上、さらに好ましくは、65nm以上であり、また、好ましくは、110nm以下、より好ましくは、100nm以下、さらに好ましくは、80nm以下のメジアン径を有する。
【0049】
第2無機粒子のメジアン径が上記した下限を上回れば、透明導電性フィルム1が優れた耐ブロッキング性を有することができる。第2無機粒子のメジアン径が上記した上限を下回れば、透明導電性フィルム1が優れた外観を有することができる。
【0050】
なお、好ましくは、第2無機粒子は、粒子径の分布の標準偏差が10%以内の単分散粒子である。
【0051】
第2無機粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、10質量部超過、さら好ましくは、12質量部以上、とりわけ好ましくは、15質量部以上、最も好ましくは、20質量部以上である。
【0052】
第2無機粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、80質量部以下、好ましくは、80質量部未満、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、30質量部以下、さらに好ましくは、25質量部以下である。
【0053】
さらに、第1無機粒子の含有割合は、中間層4(つまり、粒子樹脂組成物の固形分)に対して、例えば、2.5質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、7質量%以上、さらに好ましくは、7.5質量%以上、とりわけ好ましくは、9質量%以上であり、また、例えば、23質量%以下、好ましくは、17質量%以下、より好ましくは、15質量%以下である。
【0054】
第2無機粒子の、第1無機粒子に対する含有割合(比、第2無機粒子の質量部数/第1無機粒子の質量部数)は、例えば、0.06以上、好ましくは、0.1以上、より好ましくは、0.15以上、さらに好ましくは、0.2以上であり、また、例えば、0.45以下、好ましくは、0.4以下、より好ましくは、0.3以下である。
【0055】
第2無機粒子の含有割合が上記した下限以上であれば、透明導電性フィルム1が優れた耐ブロッキング性を有することができる。一方、第2無機粒子の含有割合が上記した上限以下であれば、中間層4のヘイズを低くすることができる。
【0056】
第1無機粒子および第2無機粒子の総量の、樹脂100質量部に対する含有割合は、例えば、85質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、また、例えば、260質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。第1無機粒子および第2無機粒子の総量の含有割合が上記した下限以上であれば、透明導電性フィルム1の全光線透過率を上昇させることができる。第1無機粒子および第2無機粒子の総量の含有割合が上記した上限以下であれば、透明導電性フィルム1の反射色相をよりニュートラルにすることができる。
【0057】
4−3.樹脂
樹脂としては、特に限定されず、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
【0058】
硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂、より好ましくは、紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
【0059】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂、例えば、ウレタン樹脂、例えば、メラミン樹脂、例えば、アルキド樹脂、例えば、シロキサン系ポリマー、例えば、有機シラン縮合物などが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂、より好ましくは、ウレタンアクリレートが挙げられる。
【0060】
これら樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0061】
樹脂の含有割合は、第1無機粒子および第2無機粒子の含有割合の残部である。具体的には、樹脂の含有割合は、中間層4(つまり、粒子樹脂組成物の固形分)に対して、例えば、25質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、60質量%以下、好ましくは、55質量%以下である。
【0062】
4−4.中間層の作製方法
中間層4を作製するには、例えば、まず、上記した粒子樹脂組成物を調製する。好ましくは、第1無機粒子、第2無機粒子、樹脂および溶媒を配合して、粒子樹脂組成物溶液(塗布液、中間層形成用塗布液)を調製する。
【0063】
溶媒として、有機溶媒が挙げられ、そのような有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール−モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒などが挙げられる。
【0064】
粒子樹脂組成物溶液(塗布液)を調製するには、例えば、樹脂と、第1無機粒子および第2無機粒子のいずれか一方とが予め混合された粒子樹脂混合物を用意し、この粒子樹脂混合物と、他方(の無機粒子)とを混合する。この際、溶媒を、上記したいずれかの原料(樹脂、第1無機粒子、第2無機粒子のいずれか)とともに配合しておくこともできる。あるいは、溶媒は、原料の調製後、配合することもできる。
【0065】
あるいは、まず、樹脂と溶媒とを混合して、樹脂溶液を調製し、次いで、樹脂溶液に、第1無機粒子および第2無機粒子を配合する。さらには、樹脂に、第1無機粒子、第2無機粒子および溶媒を配合する。
【0066】
好ましくは、樹脂と第1無機粒子とが予め混合された粒子樹脂混合物(第1粒子樹脂混合物)と、樹脂と第2無機粒子とが予め混合された粒子樹脂混合物(第2粒子樹脂混合物)とを用意し、次いで、それらを混合し、続いて、溶媒を配合して、塗布液を調製するとともに、塗布液における固形分量を調整する。塗布液における固形分量は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
【0067】
なお、粒子樹脂混合物(第1粒子樹脂混合物や第2粒子樹脂混合物)は、市販品を用いることができ、具体的には、オプスターシリーズ(荒川化学社製)などが用いられる。
【0068】
その後、粒子樹脂組成物溶液をハードコート層3の上面全面に塗布する。
【0069】
その後、溶剤を加熱により除去する。加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、55℃以上であり、また、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。加熱時間は、例えば、10秒以上、好ましくは、20秒以上であり、また、例えば、5分以下、好ましくは、3分以下である。
【0070】
これにより、粒子樹脂組成物からなる塗膜を形成する。
【0071】
その後、粒子樹脂組成物が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合には、塗膜に活性エネルギー線を照射する。これによって、樹脂を硬化させる。
【0072】
これによって、中間層4をハードコート層3の上面に形成する。
【0073】
なお、中間層4に含有される第1無機粒子および第2無機粒子は、例えば、中間層4を燃焼させた後、得られた灰分を元素分析することにより定性分析(同定)される。第1無機粒子および第2無機粒子は、それらをレーザ回折式粒度分布測定装置などで粒径測定することにより、定量分析される。上記した定量分析では、第1無機粒子および第2無機粒子の、2つのメジアン径に基づく2つのピークを有する粒度分布曲線が得られ、それらのピークから、第1無機粒子および第2無機粒子のメジアン径および配合割合がそれぞれ得られる。
【0074】
4−5.中間層の物性
中間層4のヘイズは、例えば、0.7以下、好ましくは、0.6以下、より好ましくは、0.5以下、さらに好ましくは、0.4以下であり、また、例えば、0超過である。中間層4のヘイズが上記した上限を下回れば、透明導電性フィルム1は光学特性に優れる。中間層4のヘイズの測定方法は、後の実施例で記載される。
【0075】
中間層4の上面の粗さ(表面粗さ)は、例えば、10nm以下、好ましくは、6nm以下であり、また、例えば、0.3nm以上、好ましくは、0.5nm以上である。
【0076】
中間層4の厚みは、例えば、500nm未満、好ましくは、300nm以下、より好ましくは、200nm以下、さらに好ましくは、140nm以下、とりわけ好ましくは、120nm以下、最も好ましくは、105nm以下である。また、中間層4の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、50nm以上、より好ましくは、60nm以上である。中間層4の厚みが上記した上限を下回れば、透明導電性フィルム1の薄型化を図ることができる。さらにまた、中間層4の厚みが上記した上限を下回れば、透明導電層5から形成されるパターン部(後述)の細線化を可能とすることができる。
【0077】
5.透明導電層
透明導電層5は、透明導電性フィルム1の上層であって、具体的には、透明基材2の上側に配置されている。透明導電層5は、後の工程でパターンに形成して、パターン部(図示せず)を形成するための導電層である。透明導電層5は、面方向に延びるフィルム形状(シート形状を含む)を有しており、平坦な下面および平坦な上面を有している。透明導電層5は、中間層4の上面全面に直接接触している。
【0078】
透明導電層5を形成する材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子をドープすることができる。
【0079】
材料としては、好ましくは、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)などが挙げられ、より好ましくは、ITOが挙げられる。
【0080】
透明導電層5の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、35nm以下、好ましくは、30nm以下である。
【0081】
透明導電層5を、中間層4の上面全面に、公知方法により、形成する。
【0082】
これにより、透明基材2、ハードコート層3、中間層4および透明導電層5を順に備える透明導電性フィルム1が得られる。
【0083】
6.透明導電性フィルムの製造方法および物性
この透明導電性フィルム1は、透明基材2の上側に、ハードコート層3、中間層4および透明導電層5を順に配置することにより、得られる。なお、透明導電性フィルム1を製造する方法は、ロールトゥロール方式で実施される。また、一部または全部をバッチ方式で実施することもできる。
【0084】
透明導電性フィルム1の厚みは、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下であり、また、例えば、20μm以上、好ましくは、30μm以上である。
【0085】
7.透明導電性フィルムの使用
このような透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置に備えられる。
【0086】
とりわけ、この透明導電性フィルム1は、例えば、タッチパネル用基材として用いられる。タッチパネルの形式としては、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などの各種方式が挙げられる。透明導電性フィルム1は、特に静電容量方式のタッチパネルに好適に用いられる。
【0087】
具体的には、まず、透明導電性フィルム1の透明導電層5を、例えば、エッチングによって除去するなどして、パターン部(図示せず)と、非パターン部(図示せず)とを形成する。
【0088】
透明導電性フィルム1におけるパターン部と非パターン部とにおける反射率差ΔRは、その絶対値で、例えば、2以下、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.0以下、さらに好ましくは、0.5以下である。反射率差ΔRが上記した上限以下であれば、透明導電層5のパターン部における視認を抑制することができる。透明導電性フィルム1における反射率差ΔRは、パターン部の反射率R1から非パターン部の反射率R2を差し引いた値であって、例えば、特開2015−166184号公報などに記載の方法により、求められる。
【0089】
その後、透明導電性フィルム1は、上記した画像表示装置に備えられる。
【0090】
8.作用効果
この透明導電性フィルム1では、中間層4が、5nm以上、45nm未満であるメジアン径を有する第1無機粒子と、45nm以上、120nm未満であるメジアン径を有する第2無機粒子と、樹脂とを含むので、耐ブロッキング性および光学特性の両方に優れる。
【0091】
一方、特許文献1では、アンチブロッキング層および色差調整層の2層を設ける必要があり、そのため、層構成が複雑となるという不具合がある。
【0092】
しかし、この透明導電性フィルム1では、中間層4が、耐ブロッキング光学調整層であるので、層構成が簡易でありながら、透明導電性フィルム1に耐ブロッキング性を確実に付与しつつ、透明導電層5におけるパターンの視認を確実に抑制することができる。
【0093】
さらに、この透明導電性フィルム1では、第1無機粒子の、樹脂100質量部に対する含有割合が、65質量部以上、235質量部以下であり、第2無機粒子の、樹脂100質量部に対する含有割合が、5質量部以上、80質量部以下である。そのため、透明導電層5のパターン視認を抑制することができつつ、透明導電性フィルム1が優れた耐ブロッキング性、および、優れた外観を有することができる。
【0094】
その結果、透明導電性フィルム1は、層構成が簡単であり、耐ブロッキング性および光学特性の両方に優れる。
【0095】
また、この透明導電性フィルム1では、第1無機粒子および第2無機粒子の、樹脂100質量部に対する含有割合が、85質量部以上であれば、透明導電性フィルム1の全光線透過率を上昇させることができ、また、260質量部以下であれば、透明導電性フィルム1の反射色相をよりニュートラルにすることができる。
【0096】
さらに、この透明導電性フィルム1では、中間層4の厚みが500nm未満であれば、透明導電性フィルム1の薄型化を図ることができる。さらにまた、中間層4の厚みが200nm以下であれば、透明導電層5から形成されるパターン部の細線化を可能とすることができる。
【0097】
さらにまた、この透明導電性フィルム1では、第1無機粒子および第2無機粒子が、ともにジルコニア粒子であれば、中間層4が容易に光学調整できながら、高品質の透明導電性フィルム1を得ることができる。
【0098】
また、この透明導電性フィルム1は、ハードコート層3を備えるので、透明導電性フィルム1の耐擦傷性を高めることができる。
【0099】
さらに、この透明導電性フィルム1では、ハードコート層3は、その表面に複数の突起を有し、突起の、ハードコート層3 1cm当たりにおける最大突出長さが200nm以下であれば、ハードコート層3の平滑性を担保することができ、ヘイズを抑えることができる。
【0100】
9.変形例
変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0101】
図1に示す一実施形態では、透明導電性フィルム1は、透明基材2の上側のみに配置されたハードコート層3、中間層4および透明導電層5を備える。しかし、ハードコート層3、中間層4および透明導電層5の配置は上記に限定されず、例えば、図2に示すように、透明基材2の上下両側(両面)にそれぞれ順に配置されたハードコート層3、中間層4および透明導電層5を備えることもできる。つまり、図2に示すように、この透明導電性フィルム1は、透明基材2と、透明基材2の両側に配置される2つの透明導電層5と、透明基材2および透明導電層5の間に介在する2つのハードコート層3および2つの中間層4とを備える。
【0102】
図2に示す変形例によっても、図1に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0103】
また、図1に示す一実施形態では、透明導電性フィルム1は、ハードコート層3を備える。しかし、図3に示すように、透明導電性フィルム1は、ハードコート層3を備えず、透明基材2、中間層4および透明導電層5のみを順に備えることもできる。この変形例では、好ましくは、透明導電性フィルム1は、透明基材2、中間層4および透明導電層5のみからなる。中間層4は、透明基材2の上面に配置されている。具体的には、中間層4は、透明基材2の上面全面に直接接触している。
【0104】
図3に示す変形例によっても、図1に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0105】
また、図4に示すように、透明導電性フィルム1は、透明基材2の上下両側にそれぞれ順に配置される中間層4および透明導電層5を備えることもできる。図4に示すように、この透明導電性フィルム1は、透明基材2と、透明基材2の両側に配置される透明導電層5と、透明基材2および透明導電層5の間に介在する中間層4とを備える。
【0106】
図4に示す変形例によっても、図1に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0107】
上記した変形例を適宜組み合わせることもできる。
【0108】
例えば、図1が参照されるように、透明基材2の上側に、ハードコート層3、中間層4および透明導電層5を設ける一方、図4が参照されるように、透明基材2の下側に、中間層4および透明導電層5のみを設けることもできる。
【実施例】
【0109】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0110】
(塗布液の調製)
調製例1
紫外線硬化性樹脂としてウレタンアクリレートおよび第1無機粒子としてメジアン径が30nmのジルコニア粒子が予め配合された第1粒子樹脂混合物(荒川化学工業社製、品名「オプスターZ7412」、第1無機粒子の含有割合:47質量%)と、紫外線硬化性樹脂としてウレタンアクリレートおよび第2無機粒子としてメジアン径が64nmであるジルコニア粒子が予め配合された第2粒子樹脂混合物(荒川化学工業社製、品名「オプスターKZ6941」、第2無機粒子の含有割合:47質量%)を、表1の配合割合で混合し、さらに、固形分濃度が3.5質量%となるように、溶媒(酢酸ブチル)を配合して、混合塗布液(中間層形成用塗布液)を調製した。
【0111】
調製例2〜比較調製例2
第1粒子樹脂混合物および第2粒子樹脂混合物の配合割合を表1に記載に従って、変更した以外は、調製例1と同様にして、塗布液(中間層形成用塗布液)を調製した。
【0112】
【表1】
【0113】
表1における各塗布液の詳細を以下に示す。
【0114】
オプスターZ7412:第1粒子樹脂混合物、メジアン径が30nmのジルコニア粒子(第1無機粒子)の含有割合47質量%
オプスターKZ6954:第1粒子樹脂混合物、メジアン径が25nmのジルコニア粒子(第1無機粒子、大径粒子)の含有割合54質量%、メジアン径が10nmのシリカ粒子(第1無機粒子、小径粒子)の含有割合13質量%
オプスターKZ6734:第1粒子樹脂混合物、メジアン径が30nmのジルコニア粒子(第1無機粒子)の含有割合72質量%
オプスターKZ6956:第2粒子樹脂混合物、メジアン径が25nmのジルコニア粒子(第1無機粒子)の含有割合54質量%
オプスターKZ6941:第2粒子樹脂混合物、メジアン径が64nmのジルコニア粒子(第1無機粒子)の含有割合47質量%
オプスターRA009:第2粒子樹脂混合物、メジアン径が64nmのジルコニア粒子(第1無機粒子)の含有割合54質量%
オプスターRA010:第2粒子樹脂混合物、メジアン径が64nmのジルコニア粒子(第1無機粒子)の含有割合72質量%
実施例1
透明基材2として100μmの厚さのCOPフィルム(ZEONOR ZF−16、日本ゼオン社製)の上面に、有機無機ハイブリット樹脂(KZ6506 JSR社製)からなる厚み1μmのハードコート層3を設けた。
【0115】
次いで、ハードコート層3の上面に、調製例1の塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥オーブンで60℃の雰囲気下で1分間乾燥させて、溶剤を揮発させて、塗膜を形成した。その後、塗膜を、酸素濃度2500ppm雰囲気下で160W/cmの空冷水銀ランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を、照度60mW/cm、照射量280mJ/cmで照射して、塗膜を硬化させた。
【0116】
これによって、厚みが85nmの中間層4を、ハードコート層3の上面に形成した。
【0117】
その後、中間層4の上面に、厚み25nmのITOからなる透明導電層5を形成した。
【0118】
これにより、透明導電性フィルム1を得た。
【0119】
実施例2〜比較例2
表2に基づいて、中間層4の処方を変更した以外は、実施例1と同様に処理して、透明導電性フィルム1を得た。
【0120】
(評価)
以下の項目を測定した。その結果を表2に示す。
【0121】
(中間層の厚み)
中間層4の厚みは、分光光度計(型番「U4100」、日立ハイテクノロジーズ社製)により得られた反射スペクトルのピーク波長により、求めた。
【0122】
(耐ブロッキング性)
COPフィルム(ZEONORフィルム ZF−16、日本ゼオン製)を中間層4に対して指で圧着させ、その貼り付きの程度を観察し、下記の基準で、耐ブロッキング性を評価した。
○:COPフィルムの貼り付きが起こらない。
△:COPフィルムの貼り付き一旦生じるが、10秒経過すると、COPフィルムが中間層4から離れる。
×:COPフィルムの貼り付き生じ、そのCOPフィルムは、10秒経過しても、COPフィルムが中間層4から離れなかった。
【0123】
(中間層のヘイズ)
中間層4が形成され、透明導電層5が形成される前の透明導電性フィルム1のヘイズをヘイズメータ(HM−150、村上色彩技術研究所社製)により測定した。
【0124】
(中間層の屈折率)
中間層4を屈折率を、高速分光エリプソメータ(M−2000、ジェー・エー・ウーラム社製 により求めた。
【0125】
(ハードコート層の表面粗さ)
ハードコート層3の表面粗さを、AFM(Digital Instruments社製)により、求めた。
【0126】
【表2】
【符号の説明】
【0127】
1 透明導電性フィルム
2 透明基材
3 ハードコート層
4 中間層
5 透明導電層
図1
図2
図3
図4