(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記模型ブロックの昇降高さは、当該模型ブロックが再現する範囲内の支配投影面積の割合が最も大きな構造物の高さにより決定されていることを特徴とする、請求項1に記載の風洞実験装置。
【背景技術】
【0002】
風の特徴(気流性状)は、建物や樹木等の地表面の地物や凹凸、地形の起伏等から受ける摩擦の影響等によって変化する。そのため、建設構造物の風洞実験では、自然風の特徴を模擬した風の流れ(気流)を目標に再現する。風洞実験の気流は、日本建築学会の「建築物荷重指針・同解説」等に規定されている「地表面粗度区分」に応じた平均風速や乱れ強度(平均風速に対する風速の標準偏差の比)、乱れのスケール(風の渦の平均的な大きさ)等の鉛直分布を参考にして設定するのが一般的である。なお、風洞実験における気流の調整は、風洞測定部の風上側に、ラフネスブロック、水平格子またはスパイヤー等を配置することにより行う。ところが、風速の鉛直分布は、建設地の風上側の粗度状況によって決定されるため、風向き毎に地表面粗度区分が変化する。一方、風洞実験において、風洞測定部の風上側に配置するラフネスブロック、水平格子またはスパイヤーを風向き毎に調整するには手間とコストがかかる。
そのため、特許文献1には、風路の主流方向に並設された複数の台版を上下動させることで地形起伏を再現させるとともに、台板に穿設した貫通孔から粗度材を上昇させることで、地形粗度を再現させた風洞実験用の地形模型が開示されている。
また、特許文献2には、風洞内部に設置された床部材の下方に設置された台座を上下動させることで、床部材より上方側に露出する模型の全長を変更可能な風洞実験装置が開示されている。
さらに、特許文献3には、多数の針状部材を市街地模型用のテーブル上に設置し、そのテーブルの下方にドットマシーンを設け、そのドットマシーンをX−Y方向、及びY方向移動させて、針状部材を昇降させる風洞実験用の市街地模型作成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の風洞実験装置では、地表面粗度区分に応じて地形粗度の調整を行っているが、地表面粗度区分に規定されている風速の鉛直分布は、厳密には建設地周囲の粗度状況が正確に再現された気流とは言えない。また、地表面粗度区分は5段階(I〜V)であるが、定性的に規定されたものであり、設計者等が建設地の地表面の状況等に応じて選択するものであるため、人によって判断が異なる場合がある。
そのため、本発明は、建設構造物の周囲の建物高さや地形起伏を詳細に再現することで、建設構造物に作用する風力値や風速度を、実情を反映した風情報として得ることを可能とした風洞実験装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、建設構造物の周囲の建物高さや地形起伏を比較的詳細に再現するために、地表面の粗度形状を表わす風上模型ブロックを3次元の形状データに基づいて昇降させる風洞実験装置を発明するに至った。
前記課題を解決するために、本発明は、建設構造物と前記建設構造物が建設される建設地とが再現された計測領域と、前記計測領域に向けて風を吹き付ける送風機と、前記計測領域と前記送風機との間に形成された風上模型ブロック領域とを備える風洞実験装置であって、前記計測領域には風情報を計測する計測具が配設されており、前記風上模型ブロック領域では、地表面の粗度形状を表わす3次元の形状データに応じて昇降可能な複数の模型ブロックにより、風上範囲の建物高さおよび地形起伏が再現されているとともに、道路または空地が再現されてい
て、前記風上模型ブロック領域の風洞床レベルの下方に、上下移動用モータ、及び回転移動用モータが設置されていることを特徴とする。
かかる風洞実験装置によれば、建設構造物の周囲の建物高さや地形起伏を、3次元の形状データに基づいて模型ブロックを昇降させることにより再現しているため、建設構造物に作用する風力値や風速度を、実情を反映した風情報として得ることができる。建設構造物の周囲の建物高さや地形起伏は、模型ブロックを昇降させることにより比較的詳細かつ簡易に再現することができる。模型ブロックの昇降高さは、風上模型ブロック領域に模型ブロックの縮尺を乗じた範囲において、各模型ブロックの平面視ごとの建物高さ及び地形起伏、道路または空地部分の投影面積の割合と、それらの3次元の形状高さに基づくものである。また、実情を反映した風情報を得ることで、建設構造物に作用する風荷重を精度よく推定し、ひいては、建設前に風の影響の度合いや、風の低減構造の検討を行うことができる。また、人によって地表面粗度区分の判断が異なり風洞気流が異なることがなくなり、風向刻みごとの正確な気流が容易に(自動的に)作成できる。
【0006】
前記風洞実験装置の前記模型ブロックの昇降高さは、当該模型ブロックが再現する範囲内の支配投影面積の割合が最も大きな構造物の高さにより決定するのが望ましい。
かかる風洞実験装置によれば、気流の影響範囲が拡大または縮小した場合であっても、整合性を持った領域として評価することができる。
なお、建設構造物の外周面に作用する風荷重を推定する場合、実現象を忠実に模擬するには、構造物の模型ブロックを固定し、その模型ブロックが設置されるターンテーブルを大きくし,模型再現範囲を大きくすることで、其々の風向ごとの風荷重を測定すれば可能であるが、巨大な風洞実験装置が必要になるために現実的でない。
前記風洞実験装置は、前記風上模型ブロック領域の風洞床レベルの下方に、上下移動用モータ、及び回転移動用モータが設置されていることで、送風機を固定し、各風向に対応するように模型ブロックの角度をふること(変化させること)で、建設構造物の外面に作用する各風向の風荷重を推定(測定)する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の風洞実験装置によれば、建設構造物の周囲の建物高さや地形起伏を詳細に再現することで、建設構造物に作用する風力値や風速度を、実情を反映した風情報として得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、建設構造物の外面に作用する風荷重を測定(推定)するための風洞実験装置であって、3次元の形状データに基づいて、建設構造物の建設地周囲の建物や地形起伏を模型ブロックにより再現することで、実情を反映した風情報を取得するものである。
本発明の風洞実験装置では、建設構造物の風上側に位置する風上模型ブロック領域を対象として、第1実施形態では、ブロック間に隙間を設けることなく、各風向ごとに複数の模型ブロックを昇降させて、建物高さや地形起伏、または道路、空地を再現させるものである。風向ごとに、模型ブロックを昇降させることで、略実情に合致するように建物や地形が再現される。言い換えると、風上模型ブロック領域を隙間なくそれぞれ昇降させた模型ブロックによって形成するものである(
図1〜
図5)。
これに対して、第2実施形態では、風上模型ブロック領域を、予めブロック間に隙間を設けた複数の模型ブロックによって形成するものである。詳細には、先ず、基準とする風向き方向に対して、模型ブロックを昇降させて建物高さや地形起伏を再現し、その模型ブロックを各風向に対応するように角度変更させることで、風向きごとの建物高さや地形起伏、または道路、空地を再現させるものである。例えば、基準の風向き方向とは、0度、90度、180度、270度の4方向であり、0度方向の模型ブロックに対して、プラスマイナス45度づつ模型ブロックの角度をふることで、擬似的に風向ごとの建物高さや地形形状を再現させるものである(
図6)。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を
図1に示す。以下、添付図面を参照して、本発明による風洞実験装置1の実施形態について説明する。
本実施形態の風洞実験装置1は、
図1に示すように、一端に給気口21、他端に排気口22が形成された筒状の本体部2を備えている。本体部2の内部には、一端側から順に、送風機3と、風上模型ブロック領域4と、計測領域5とが設けられている。本実施形態の本体部2は、直線状を呈していて、給気口21から取り込んだ空気を排気口22から排出するように構成されている。なお、本体部2の形状は限定されるものではなく、例えば、本体部2を平面視口字状に形成することで空気の循環が可能に構成してもよい。また、本体部2の材質は限定されるものではないが、例えば金属板を加工することにより構成すればよい。
給気口21には、フィルターが設置されている。このフィルターは、空気を本体部2内に取り込む際に、埃や塵等が入り込むことを防止している。フィルターの取付方法やフィルターを構成する材料は限定されるものではない。
排気口22は、本体部2内に空気が滞留することがないように解放されている。風洞実験装置1は、給気口21から送風された風を排気口22から排出することで、本体部2の端部において風が対流して乱流が生じることを防止している。なお、排気口22には必要に応じてフィルターなどを設置する。
本実施形態の本体部2は、給気口21側(風上側)から順に、送風機洞23、拡散洞24、整流洞25、縮流洞26および測定洞27が形成された、いわゆるエッフェル型風洞である。なお、本体部2の構成および形状は限定されるものではない。
【0011】
送風機洞23は、本体部2の一端部に形成された円筒状部分であって、内部に送風機3が配設されている。なお、送風機洞23の形状は限定されるものではなく、例えば、断面一定の角筒状であってもよい。
送風機3は、給気口21に面していて、給気口21から取り込んだ空気を、排気口22側へ送風する。送風機3は、風力の調整が可能に構成されている。送風機3は、制御手段を介してコンピュータ(図示せず)に接続されていて、コンピュータからの信号によって駆動および風力が制御されている。なお、送風機3は、手動により制御してもよい。
【0012】
拡散洞24は、送風機洞23の排気口22側(風下側)に接続された部分であって、給気口21から排気口22に向うに従って、内径が拡径(内空面積が拡大)するように構成されている。すなわち、拡散洞24は、風力が不規則(断面内に生じる風の分布等)になりがちな送風機3の風を一旦拡散させることで均一化を図る風路である。
整流洞25は、拡散洞24の排気口22側(風下側)に接続された部分であって、内空形状が一定の筒状部分である。本実施形態の整流洞25は角筒状を呈しているが、整流洞25の形状は限定されるものではなく、例えば円筒状であってもよい。整流洞25内には、給気口21側から順に整流格子28と整流網29とが本体部2の軸方向と直交する向きに配設されている。整流洞25は、拡散洞24における拡散によって乱れた風の流れ(乱流)を整える風路であって、拡散洞24から流れてきた風を整流格子28と整流網29都に通すことで整流する。なお、整流洞25に配設される整流格子28や整流網29の数(枚数)は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。また、整流格子28や整流網29は、必要に応じて配設すればよく、例えば、整流格子28または整流網29のいずれか一方のみが配設されていてもよい。
縮流洞26は、整流洞25の排気口22側(風下側)に接続された部分であって、給気口21から排気口22に向うに従って、内径が縮径するように(内空断面が測定洞27の内空断面と一致するように)構成されている。縮流洞26は、整流洞25によって安定した風を、測定洞27へ送風する風路である。
【0013】
測定洞27は、本体部2の他端部に形成された角筒状部分であって、縮流洞26に接続されている。測定洞27の他端には、排気口22が形成されている。なお、測定洞27の形状は限定されるものではなく、例えば円筒状であってもよい。
図2に示すように、測定洞27には、計測領域5と風上模型ブロック領域4とが設けられている。
【0014】
計測領域5は、測定洞27の排気口22側(風下側)に配設されている。計測領域5には、建設構造物の模型(以下、「構造物模型」という。)と、建設構造物が建設される建設地の模型(以下、「周辺模型」という。)とが設けられる。すなわち、計測領域5では、建設構造物と建設構造物の周囲の構造物や地形等が風上模型ブロック領域4よりも詳細に再現されている。また、計測領域5には、風情報を計測する計測具が配設されている。計測具は、構造物模型に取り付ける風圧センサーと、道路や建物脚部周辺に設置する風速センサーを使用して測定洞27内に送風された風の構造物模型への作用状況を測定する。計測具はコンピュータ(図示せず)に接続されている。計測具の測定結果は、コンピュータに保存される。
本実施形態の計測領域5には、ターンテーブル51が配設されている。構造物模型および周辺模型(図示省略)は、ターンテーブル51上に設けられており、実験風向きに応じて向きを変更可能である。なお、ターンテーブル51は必要に応じて配設すればよい。ターンテーブル51は、制御手段を介してコンピュータ(図示せず)に接続されている。ターンテーブル51は、コンピュータから送信された信号によって回転する。なお、ターンテーブル51は、手動により回転させてもよい。
【0015】
風上模型ブロック領域4は、測定洞27の給気口21側(風上側)に配設されている。すなわち、風上模型ブロック領域4は、送風機3と計測領域5との間に形成されている(
図1参照)。風上模型ブロック領域4には、複数の模型ブロック41が整列配置されている。風上模型ブロック領域4では、
図3(a)に示すように、模型ブロック41を3次元の形状データに応じて昇降させることで、計測領域5の風上範囲の建物高さ、道路、空き地等に加え、地形起伏が再現される。つまり、計測領域5の風上範囲の粗度形状が再現される。各模型ブロック41は、平面視正方形で縦長の直方体を呈している。なお、模型ブロック41の幅および高さ寸法は限定されるものではない。また、模型ブロック41は、平面視長方形であってもよい。本実施形態では、模型ブロック41同士が隙間なく配設されている。なお、模型ブロック41同士の間には、模型ブロック41が昇降する際に隣接する模型ブロック面同士が接触しない程度の隙間が形成されていてもよい。
【0016】
風上模型ブロック領域4の風洞床レベルFL(模型ブロック41)の下方には、各模型ブロック41に対応して、駆動手段42が配設されている。本実施形態の駆動手段42は、
図3(b)に示すように、それぞれ上下移動用モータ43と移動軸44とを備えている。移動軸44は、上下移動用モータ43によって上下動可能に保持されている。また、移動軸44の上端は、模型ブロック41の下端に固定されている。すなわち、各模型ブロック41は、上下移動用モータ43を駆動させることで移動軸44を介して上下方向に昇降する。本実施形態の移動軸44はボールネジにより構成されていて、ボールネジナット45に螺合されている。ボールネジナット45は、高さ位置が固定されている。上下移動用モータ43が駆動すると、移動軸44に回転力が付与される。移動軸44が回転すると、ボールネジナット45に対して上下動する。なお、移動軸44を構成する材料は棒状部材であれば限定されるものではない。また、駆動手段42は、モータに代えて油圧制御装置を有していてもよい。
【0017】
駆動手段42の構成は、模型ブロック41を少なくとも上下方向に昇降させることが可能であれば限定されるものではない。駆動手段42は、制御手段を介してコンピュータ(図示せず)に接続されている。風上模型ブロック領域4では、コンピュータに入力された3次元の形状データに基づいて、模型ブロック41を昇降させることで、建設構造物の風上街区の状況を再現する。
【0018】
以下、本実施形態の風洞実験装置1を利用した測定方法について説明する。
まず、コンピュータに、構造物模型の長さの縮尺Aを入力する。
次に、建設構造物の建設地周囲の形状データ(3次元の形状データ)を入力する。3次元の形状データは、建築物等の位置や大きさ、道路や空き地などの形状や標高、地形起伏等を表わすデータ(例えば、STLデータ)である(
図4(a)参照)。なお、3次元の形状データは、公開または市販のデータを使用すればよい。入力する形状データの必要最小半径Rは、ターンテーブル51の中心位置から計測領域5の風上側端部までの長さL(
図2参照)に縮尺Aで除して算出する。例えば、縮尺Aが1/500の場合において、長さLが10mの場合には、必要最小半径Rは10m÷(1/500)=5kmとする。必要最小半径Rの円内には、風上街区範囲が含まれる。
【0019】
形状データを入力したら、形状データに対する実験風向きの定義を入力するとともに、測定を行う実験風向きを入力する。形状データのX座標方向またはY座標方向に対する風向きを定義して、ターンテーブル51の回転方向を指定する。
次に、風上街区の範囲を決定する。風上街区の範囲は、実験風向きに相当する方向を定め、装置の大きさ(測定洞27の幅や長さL)に従って、風上街区範囲を抽出する(
図4(b)参照)。なお、風上街区の範囲は、実験風向きの入力データおよび3次元の形状データに基づいて、コンピュータが自動的に抽出してもよい。
【0020】
風上街区の範囲が決定すると、当該範囲に対応する3次元の形状データの情報に基づいてコンピュータが模型ブロック41の昇降を演算し、その結果に基づいて複数の模型ブロック41が昇降する。これにより、風上街区を3次元的に模擬する(
図5(a)参照)。すなわち、風上街区範囲における粗度形状が再現される。なお、
図5(a)では、風上街区を3次元的に模擬する途中状況を示しているため、風上街区の風下側のみが再現されている。模型ブロック41により再現される形状は、コンピュータ内において、装置範囲(風上模型ブロック領域4の形状)と、風上街区の範囲に縮尺Aを乗じた範囲とを重ね合わせた形状になるようにする。各模型ブロック41の高さは、1つの模型ブロック41が再現する範囲内に3次元の形状データの高さ情報が1種類の場合は、その高さに縮尺Aを乗じた高さとする。一方、1つの模型ブロック41が再現する範囲内に複数の高さ情報がある場合には、この範囲内の支配投影面積の割合が最も大きな構造物や道路、または空地等の高さに縮尺Aを乗じた値を、模型ブロック41の高さとして採用する。すなわち、
図5(b)に示すように、模型ブロック41が再現する範囲に形状B1〜B3の三種類の高さ情報がある場合には、最も支配面積が大きい形状B2の高さを採用する。模型ブロック41の昇降により風上街区の形状が再現されたら、送風機3を駆動させて、送風するとともに、構造物模型への風の作用状況を測定する。
【0021】
本実施形態の風洞実験装置1によれば、建設構造物の周囲の建物高さや地形起伏を、3次元の形状データに基づいて模型ブロック41を昇降させることにより比較的詳細かつ簡易に再現することができる。つまり、風上街区領域の粗度形状を再現することができ、ひいては、建設構造物(構造物模型)に作用する風力値や風速度を、風上街区領域の実情を反映した風情報として得ることができる。また、風上街区領域の実情を反映した風情報を得ることで、建設構造物に作用する風荷重を精度よく推定し、ひいては、建設前に風(ビル風等)の影響の度合いや、風の低減構造の検討を行うことができる。
また、模型ブロック41の高さを、当該模型ブロック41が再現する範囲内の支配投影面積の割合が最も大きな構造物や道路、または空地等の高さにより決定しているため、気流の影響範囲が拡大または縮小した場合であっても、整合性を持った領域として評価することができる。
【0022】
(第2実施形態)
第2実施形態では、風上模型ブロック領域4を、隣り合う模型ブロック41同士の間に隙間6を形成し、風向に対する各模型ブロック41の角度を変化させる点が第1実施形態と異なるものの、その他は同様である。
図6に、第2実施形態による模型ブロック41、及び駆動手段42の模式図を示す。
図6(a)および(c)は模型ブロック41の模式図であり、
図6(b)は駆動手段42の模式図である。
模型ブロック41同士の隙間6は、当該模型ブロック41の角度を変更させる際に、隣接する他の模型ブロック41に接触しないように模型ブロック41の平面視辺長の0.71倍以上の幅を確保する必要がある。当該隙間6は、道路または空地を再現するために使用することができる。
駆動手段42は、
図6(b)に示すように上下移動用モータ43、及び回転移動用モータ46の両方を備えている。移動軸44に支持された模型ブロック41は上下移動および回転移動が可能なため、建設構造物に作用する風向きの変化に対応することができる。すなわち、各模型ブロック41の風上に対する向き(角度)を変化させることで、送風機3の位置が固定された風洞実験装置1を利用して、あらゆる方向から建設構造物に作用する風を再現することができる。
模型ブロック41同士の間に隙間6を有していれば、回転移動用モータ46は、移動軸44およびボールネジナット45を回転させることで、模型ブロック41を上下動することなく回転できる。回転移動用モータ46による回転範囲は、例えば、
図6(c)に示すように、移動軸44の軸心Cを中心に±45°の範囲とする。なお、回転移動用モータ46による回転角度は限定されるものではない。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記風上模型ブロック領域4には、地表面プレートが設けられていてもよい。このとき、地表面プレートの表面が、風上街区の最も標高が低い位置における地表面(路面等を含む)を表わすものとする。