特許第6823498号(P6823498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823498
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】歯車装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/16 20060101AFI20210121BHJP
   F16H 55/10 20060101ALI20210121BHJP
   F16H 55/12 20060101ALI20210121BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   F16H1/16 A
   F16H55/10
   F16H55/12 Z
   F16H19/04 L
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-35915(P2017-35915)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-141515(P2018-141515A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 容平
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104964017(CN,A)
【文献】 特開昭63−158340(JP,A)
【文献】 特開平06−249295(JP,A)
【文献】 特表2005−509810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/16
F16H 19/04
F16H 55/10
F16H 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ねじ歯車と、
前記第1ねじ歯車に複数の転動体を介して組まれる第2ねじ歯車と、
前記転動体を循環させる少なくとも一つの一巻きの循環経路と、を備え、
前記循環経路は、前記第1ねじ歯車に沿う一巻き未満の螺旋経路と、前記螺旋経路の一端と他端とを繋ぐ戻し経路と、から構成され
前記循環経路が複数設けられ、
前記複数の循環経路の前記戻し経路の位相が互いに円周方向にずれる歯車装置。
【請求項2】
第1ねじ歯車と、
前記第1ねじ歯車に複数の転動体を介して組まれる第2ねじ歯車と、
前記転動体を循環させる少なくとも一つの一巻きの循環経路と、を備え、
前記循環経路は、前記第1ねじ歯車に沿う一巻き未満の螺旋経路と、前記螺旋経路の一端と他端とを繋ぐ戻し経路と、から構成され
前記第1ねじ歯車は、前記循環経路に沿って分割された複数の分割体を積層してなる歯車装置。
【請求項3】
接する前記分割体の合わせ面には、前記螺旋経路を形成する螺旋溝が形成され、
前記転動体が隣接する前記分割体の前記螺旋溝に保持されることを特徴とする請求項2に記載の歯車装置。
【請求項4】
隣接する前記分割体の前記合わせ面には、前記循環経路の前記螺旋溝が形成される曲面部と、前記第1ねじ歯車の軸に直角な平面部と、が設けられ、
前記分割体の前記平面部が互いに接触することを特徴とする請求項3に記載の歯車装置。
【請求項5】
隣接する前記分割体の一方には、筒状の凸部が設けられ、
隣接する前記分割体の他方には、前記凸部が嵌まる凹部が設けられ、
前記平面部は、前記凸部及び前記凹部に形成されることを特徴とする請求項4に記載の歯車装置。
【請求項6】
前記複数の分割体には、前記複数の分割体が互いに円周方向に位置ずれするのを防止する位置決めピンが通されることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項に記載の歯車装置。
【請求項7】
前記第1ねじ歯車は、ウォームであり、
前記第2ねじ歯車は、ウォームホイールであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ねじ歯車と、第1ねじ歯車に組まれる第2ねじ歯車と、を備え、2軸の間に回転運動を伝える歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の歯車装置として、平行でなく交わりもしない2軸の間に回転運動を伝えるウォームギヤが知られている。ウォームギヤは、第1ねじ歯車(ウォーム)と、これに組まれる第2ねじ歯車(ウォームホイール)と、を備える。ウォームは歯すじのねじれ角が大きく、ピッチ円筒の直径が小さいねじ歯車である。ウォームホイールは、ねじれ角の小さいはすば歯車状のねじ歯車である。入力はウォームの回転であり、出力はウォームホイールの回転である。
【0003】
ウォームギヤには、ウォームとウォームホイールとの間にすべりが多くて摩耗し易いという課題がある。また、これらの間にバックラッシが発生し易いという課題がある。この課題を解決するために、特許文献1には、ウォームとウォームホイールとの間に転がり運動可能にボール状の転動体を介在させたウォームギヤが開示されている。ウォームを回転させると、転動体がウォームとウォームホイールとの間を転がるので、すべりの低減、バックラッシの低減、高い効率などの効果を奏する。
【0004】
特許文献1に記載のウォームギヤには、ウォームとウォームホイールとの間を転がる転動体を循環させる循環経路が設けられる。この循環経路は、ウォームとウォームホイールとの間で転動体が転がる能動経路と、能動経路から出た転動体をウォームとウォームを囲むケーシングとの間で移動させる受動経路と、ウォームの内部に設けられる再循環経路と、から構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−509810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、循環経路を転動体を循環させるにあたって、ウォームとウォームホイールとの間を転がる転動体が循環経路の残りの転動体を押す必要がある。特許文献1に記載のウォームギヤにあっては、循環経路の巻き数が3であり、ウォームとウォームホイールとの間の数少ない残りの転動体が残りの多数の転動体を押す必要があるので、転動体を循環させにくいという課題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、転動体が循環経路を円滑に循環することができる歯車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、第1ねじ歯車と、前記第1ねじ歯車に複数の転動体を介して組まれる第2ねじ歯車と、前記転動体を循環させる少なくとも一つの一巻きの循環経路と、を備え、前記循環経路は、前記第1ねじ歯車に沿う一巻き未満の螺旋経路と、前記螺旋経路の一端と他端とを繋ぐ戻し経路と、から構成され、前記循環経路が複数設けられ、前記複数の循環経路の前記戻し経路の位相が互いに円周方向にずれる歯車装置である。
本発明の他の態様は、第1ねじ歯車と、前記第1ねじ歯車に複数の転動体を介して組まれる第2ねじ歯車と、前記転動体を循環させる少なくとも一つの一巻きの循環経路と、を備え、前記循環経路は、前記第1ねじ歯車に沿う一巻き未満の螺旋経路と、前記螺旋経路の一端と他端とを繋ぐ戻し経路と、から構成され、前記第1ねじ歯車は、前記循環経路に沿って分割された複数の分割体を積層してなる歯車装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、循環経路が一巻きであるので、第1ねじ歯車と第2ねじ歯車との間を転がる転動体が押す残りの転動体の数が少なくなる。このため、転動体が円滑に循環する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の歯車装置の斜視図である。
図2】ウォームとウォームホイールの斜視図である。
図3】ウォームの主要部の側面図である。
図4】軸に沿ったウォームの主要部の断面図である。
図5】ウォームの分解斜視図である。
図6】ウォームの分割体の分解斜視図である(図6(a)は手前側から見た分割体の分解斜視図であり、図6(b)は奥側から見た分割体の分解斜視図である)。
図7】位置決めピンを示す斜視図である。
図8】一巻きの循環経路でのボールの循環を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態の歯車装置を詳細に説明する。ただし、本発明の歯車装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明の範囲を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態の歯車装置の斜視図を示す。1は第1ねじ歯車としてのウォーム、2は第2ねじ歯車としてのウォームホイール、3はケーシングである。本実施形態の歯車装置は、非交差で直角な2軸1a,2aの間に回転運動を伝えるウォームギヤである。ウォーム1はケーシング3にベアリングを介して第1軸1aの回りを回転可能に支持される。ウォームホイール2はケーシング3にベアリングを介して第2軸2aの回りを回転可能に支持される。ウォーム1とウォームホイール2との間には、転動体としてのボール4が転がり運動可能に介在する。ウォーム1を回転させると、ボール4が転がり、ウォームホイール2が回転する。ウォーム1とウォームホイール2との間の回転伝達はボール4を介してなされる。
【0013】
図2は、ウォーム1とウォームホイール2の斜視図を示す。図3は、ウォーム1の主要部の側面図を示す。図4は、軸に沿ったウォーム1の主要部の断面図を示す。図2に示すように、ウォーム1は鼓状であり、その外周面は双曲線回転面に形成される。ウォーム1には、例えば一巻きの循環経路11が3つ設けられる。一巻きの循環経路11は、ウォーム1に沿う一巻き未満の螺旋経路11aと、螺旋経路11aの一端と他端とを繋ぐ戻し経路11bと、から構成される。螺旋経路11aの巻き数は1/2以上1未満である。戻し経路11bはウォーム1の内部に設けられる。
【0014】
図3に示すように、螺旋経路11aは、所定のねじれ角(リード角)を持つ螺旋状の溝からなる。図4に示すように、螺旋経路11aは、ボール4を露出させることができるように開いた断面を持つ。螺旋経路11a直角の断面形状は特に限定されるものではなく、例えば単一の円弧からなるサーキュラーアーク形状、二つの円弧を組み合わせたゴシックアーチ形状である。螺旋経路11aのボール4はウォーム1の歯の役割をし、ウォームホイール2に噛み合う。
【0015】
螺旋経路11aの幅Wは、螺旋経路11aに嵌まるボール4が螺旋経路11aから落下しないようにボール4の直径未満である。後述するようにウォーム1を螺旋経路11aに沿って分割することで、螺旋経路11aの幅Wをボール4の直径未満に加工するのが可能になる。
【0016】
図3に示すように、戻し経路11bは、S字状又は直線状であり、螺旋経路11aのリードと逆のリードを持つ。図4に示すように、戻し経路11bの断面形状はボール4の直径よりも大きい円状であり、戻し経路11bは閉じた断面を持つ。戻し経路11bは、循環経路11の一端まで移動したボール4を循環経路11の他端に戻す役割を持つ。戻し経路11bでは、ボール4がウォーム1の内部を移動する。
【0017】
図2に示すように、本実施形態の循環経路11の数は3である。3つの戻し経路11bの位相は、互いに円周方向に120度ずれる。戻し経路11bの位相を120度ずらすことで、3つの循環経路11のうち、常に2つの螺旋経路11aのボール4をウォームホイール2に噛み合わせることができる。
【0018】
ウォームホイール2は、ねじれ角の小さいはすば歯車状である。ウォームホイール2の外周面には、円周方向に一定のピッチで所定のねじれ角を持つ歯溝12が形成される。ウォームホイール2の歯溝12のピッチ、ねじれ角は、ウォームホイール2の歯溝12がウォーム1の螺旋経路11aのボール4に噛み合うように設定される。歯溝12の直角の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば単一の円弧からなるサーキュラーアーク形状、二つの円弧を組み合わせたゴシックアーチ形状である。
【0019】
図5は、ウォーム1の分解斜視図を示す。図6は、ウォーム1の分割体の分解斜視図を示す。ウォーム1は循環経路11に沿って複数に分割される。本実施形態では、3つの循環経路11が設けられるので、ウォーム1は4つに分割される。ウォーム1は4つの分割体21−24を軸方向に積層してなる。
【0020】
分割体21−24は、その中心に軸1aが通る通し孔21a−24aを有するリング状である。分割体21−24に軸1aを通し、ロックナット26を軸1aに締めることで、分割体21−24がロックナット26とフランジ1a1との間に挟まれて、軸1aに固定される。通し孔21a−24aには、軸1aに回転不可能に連結するためのキー溝が形成される。
【0021】
分割体21−24の合わせ面には、一巻きの循環経路11を形成する一巻きの循環溝13が形成される。循環溝13は、螺旋経路11aを形成する螺旋溝13aと、螺旋溝13aの一端と他端とを繋ぎ、戻し経路11bを形成する戻し溝13bと、から構成される。隣接する分割体21−24を合わせると、開いた断面の螺旋経路11aと閉じた断面の戻し経路11bが構成される。
【0022】
図6(a)は手前側から見た分割体21−24の分解斜視図であり、図6(b)は奥側から見た分割体21−24の分解斜視図である。分割体21−24は、軸方向の端部に配置される端部分割体21,24と、軸方向の中間部に配置される中間部分割体22,23とに分類される。端部分割体21、中間部分割体22、中間部分割体23、端部分割体24の構成を順番に説明する。
【0023】
図6(b)に示すように、端部分割体21の端面21bの外周側には、循環溝13が形成される(図4参照)。端部分割体21の端面21bの外周側のうち、少なくとも螺旋溝13aが形成される部分(曲面部)は、曲面状である。端部分割体21の端面21bの外周側のうち、戻し溝13bが形成される部分は、平面状又は曲面状である。筒状の凸部21cの端面21c1(平面部)は、軸1aに直交する平面状である。
【0024】
図6(a)(b)に示すように、中間部分割体22の両端面22b1,22b2の外周側には、循環溝13が形成される。中間部分割体22の両端面22b1,22b2の外周側のうち、少なくとも螺旋溝13aが形成される部分(曲面部)は、曲面状である。中間部分割体22の端面22b1の内周側には、端部分割体21の凸部21cに嵌まる凹部22cが形成される(図6(a)、図4参照)。凹部22cの底面(平面部)は、軸1aに直角な平面状である。中間部分割体22の端面22b1の内周側には、筒状の凸部22dが設けられる。凸部22dの端面22d1(平面部)は、軸1aに直交する平面状である(図6(b)、図4参照)。
【0025】
図4に示すように、端部分割体21と中間部分割体22を重ね合わせるとき、端部分割体21の凸部21cの端面21c1(平面部)と中間部分割体22の凹部22cの底面(平面部)とが接触する。端部分割体21の曲面部21eと中間部分割体22の曲面部22eとの間には、僅かな隙間が空く(図4参照)。
【0026】
図6(a)(b)に示すように、中間部分割体23の両端面23b1,23b2の外周側には、中間部分割体22と同様に循環溝13が形成される。中間部分割体23の両端面23b1,23b2の外周側のうち、少なくとも螺旋溝13aが形成される部分(曲面部)は曲面状である。中間部分割体23の端面23b1の内周側には、中間部分割体22の凸部22dに嵌まる凹部23cが形成される(図6(a)、図4参照)。凹部23cの底面(平面部)は平面状である。中間部分割体23の端面23b2の内周側には、筒状の凸部23dが形成される(図6(b)、図4参照)。凸部23dの端面23d1(平面部)は平面状である。図4に示すように、中間部分割体22と中間部分割体23を重ね合わせるとき、中間部分割体22の凸部22dの端面22d1(平面部)と中間部分割体23の凹部23cの底面(平面部)とが接触する。
【0027】
図6(a)に示すように、端部分割体24の端面24bの外周側には、循環溝13が形成される。端部分割体24の端面24bの外周側のうち、少なくとも螺旋溝13aが形成される部分(曲面部)は曲面状である。端部分割体24の端面24bの内周側には、中間部分割体23の凸部23dに嵌まる凹部24cが形成される(図4参照)。凹部24cの底面(平面部)は平面状である。中間部分割体23と端部分割体24を重ね合わせるとき、中間部分割体23の凸部23dの端面23d1(平面部)と端部分割体24の凹部24cの底面(平面部)とが接触する(図4参照)。
【0028】
図6(a)に示すように、4つの分割体21−24には、円周方向に120度間隔を開けて軸方向を向く複数の孔27が形成される。図7に示すように、孔27には位置決めピン28が通される。分割体21−24に位置決めピン28を通すことで、分割体21−24を円周方向に位置決めできる。
【0029】
本実施形態のウォームギヤによれば、以下の効果を奏する。ウォーム1を回転させると、ボール4がウォーム1とウォームホイール2との間を転がる。ボール4の転がり運動を利用することで、すべりの低減、バックラッシの低減、高い効率などの効果を奏する。
【0030】
図8に示すように、循環経路11は一巻きであるので、ウォーム1とウォームホイール2との間を転がるボール4aが押すボール4bの数を少なくすることができる。このため、ボール4a,4bを円滑に循環させることができる。
【0031】
循環経路11が一巻きであるので、循環経路11のリード角やBCD(Ball Center Diameter、ボール中心径)、ボール4の径等を一巻き毎に変化させることができる。ウォームホイール2の歯溝12に合う最適な循環経路11を設計できるので、ボール4の循環をより円滑にすることができる。また、ウォームギヤの効率をより高くすることができる。
【0032】
3つの戻し経路11bの位相が互いに円周方向に120度ずれるので、3つの循環経路11のうちの2つの循環経路11のボール4をウォームホイール2に噛み合わせることができる。
【0033】
循環経路11に沿って分割された分割体21−24の螺旋溝13aでボール4を保持するので、ウォーム1単独でボール4を保持することができる。このため、ウォームギヤの製造者がウォーム1やウォームホイール2を別々に出荷することができる。
【0034】
複数の分割体21−24の軸方向の位置決めをするにあたって、隣接する分割体21−24の平面部を互いに接触させ、曲面部の間に僅かな隙間を空けることで、複雑な形状の曲面部の加工を容易にすることがき、ウォーム1の組立てが容易になる。
【0035】
隣接する分割体21−24の一方に筒状の凸部21c,22d,23dを形成し、隣接する分割体21−24の他方に凹部22c,23c,24cを形成するので、隣接する分割体21−24の軸方向の位置決めと半径方向の位置決めとが可能になる。
【0036】
分割体21−24に位置決めピン28を通すので、分割体21−24を円周方向に位置決めすることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に変更可能である。
【0038】
例えばウォームは鼓状にすることも円筒状にすることもできる。また、ウォームの第1軸とウォームホイールの第2軸とを直角からずらすこともできる。さらに、ウォームの一巻き循環経路の数を2以上にすることができる。
【0039】
上記実施形態では、本発明をウォームギヤに適用する例を説明したが、本発明は歯すじがねじれ角を持つ歯車装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1…ウォーム(第1ねじ歯車)、2…ウォームホイール(第2ねじ歯車)、3…ケーシング、4…ボール(転動体)、11…循環経路、11a…螺旋経路、11b…戻し経路、13a…螺旋溝、13b…戻し溝、21,24…端部分割体(分割体)、22,23…中間部分割体(分割体)、21b,22b1,22b2,23b1,23b2,24b…端面(合わせ面)、21c,22d,23d…凸部、21e,22e…曲面部、21c1,22d1,23d1…端面(平面部)、22c,23c,24c…凹部、28…位置決めピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8