(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば陳列しやすいピロー包装体のように、耳部を折り曲げた形態の包装体を製造するための従来のピロー包装機では、耳折り装置が別途必要となり、装置全体の大型化を招く。また、折り曲げ処理を行うための工程が必要であるとともに、折り曲げ処理に一定の時間が係る必要から、連続的にフィルムを搬送して包装処理するピロー包装機においては、高速化を阻害する要因となる。
【0006】
さらにまた、従来の耳折り装置では、ピロー包装体の両側に形成される耳部を、同じ方向に折り曲げるようにしている。従って、例えば、耳部の折り曲げ方向を逆側にした包装形態のピロー包装体を製造したいという要求に対しては、対応できないという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のトップシール装置は、(1)
自立する包装体を製造するためのピロー包装機に実装され、前記包装体の底面側と天面側をシールするトップシール装置であって、互いのシール面を対向した状態で接近離反移動し、包装フィルムを挟み込んだ状態でシールする一対のトップシーラと、そのトップシーラの前記包装フィルムの進行方向に沿った前面側と後面
側に配置した折り癖シーラと、を備え、前記折り癖シーラは、一対のシーラ部を備え、前記一対のシーラ部のうちの一方のシーラ部の対向面には凸条を有し、前記一対のシーラ部のうちの他方のシーラ部の対向面には前記凸条に符合する凹溝を有し、前記トップシーラに内蔵する加熱手段から発する熱により、前記凸条と前記凹溝が加熱され、前記一対のトップシーラが前記包装フィルムを挟み込んだ状態では、前記凸条と前記凹溝も前記包装フィルムを挟み込んだ状態となり、前記凸条と前記凹溝で挟み込まれたフィルム部位が加熱・加圧状態されて、前記前記トップシーラでシールされた耳部に沿って折り癖線部が形成されるようにし、前記凸条を有する前記シーラ部が配置される前記トップシーラの温度を、前記凹溝を有する前記シーラ部が配置される前記トップシーラの温度よりも高温にし、トップシール装置を通過して、前記折り癖シーラから離反した前記折り癖線部が、窪んだ側と膨らんだ側の温度差に伴い、高温側の前記窪んだ側が内側に来るように折れ曲がるように
し、前記折り癖シーラは、前記トップシーラの前記前面側と前記後面側の両方に配置し、前記凸条を有する前記シーラ部と、前記凹溝を有する前記シーラ部の配置を、前記前面側の前記折り癖シーラと前記後面側の前記折り癖シーラで逆の配置とし
、前記底面側の前記耳部が前記ピロー包装機のセンターシール装置がシールして形成されるセンターシール部と反対側に折れ曲がり、前記天面側の前記耳部が前記センターシール部に折れ曲がるようにした。
【0008】
折り癖シーラの配置は、折り癖シーラを構成する一対のシーラ部と、トップシーラとを一体もので形成しても良いし、別部材で構成したシーラ部をトップシーラに連結するようにしても良い。別部材を連結する場合、トップシーラに内蔵する加熱手段からの熱が、熱伝導によりシーラ部側に伝わり、凸条や凹溝が加熱されるように連結する。包装フィルムは、実施形態では、帯状フィルム5から筒状に形成された筒状フィルム9に対応する。加熱手段は、実施形態では、ヒータ37,42に対応する。シーラ部は実施形態では、前方凸型シーラ部51,前方凹型シーラ部52,後方凸型シーラ部62,後方凹型シーラ部61に対応する。
【0009】
一対のトップシーラの前後の少なくとも一方に、折り癖シーラを配置したため、折り癖シーラを構成する一対のシーラ部は、それぞれ配置されるトップシーラの接近離反移動に伴い接近離反し、トップシーラが包装フィルムを挟み込んだ状態では、そのトップシーラのシール面で挟み込んだフィルム部位の付近で凸条と凹溝が包装フィルムを挟み込んで加圧する。このとき、凸条と凹溝は、トップシーラに内蔵された加熱手段により加熱されているため、当該凸条と凹溝で挟み込まれたフィルム部位は、加熱・加圧され、凸条・凹溝の形状に沿って成型されシールされ、折り癖線部が形成される。そして本発明では、凸条を形成したトップシーラを高温にしているため、その凸条と凹溝で挟まれたフィルム部位も、凸条に接触する窪んだ側のフィルム温度が高く、凹溝に接触する膨らんだ側のフィルム温度が低い状態となる。そして、トップシール装置を通過し、折り癖シーラから離反した折り癖線部は、加圧状態の挟み込みが解除されてフリーになる。すると、シールされて一体化した窪んだ側と膨らんだ側の温度差に伴いフィルムの熱収縮に差が生じ、折り癖線部は、窪んだ側・すなわち高温側が内側に来るように折れ曲がっていき、それに伴い、耳部は高温側のフィルム部位が包装の本体側に近づくように変位・折れ曲がる。よって、耳折り装置などの別途の装置を設けることなく、トップシール装置でシール処理をすると、それに伴いトップシール装置を通過後に耳部の折曲げが自動的に行われるので、装置がコンパクトとなり、高速処理にも対応できる。
【0010】
前記折り癖シーラは、前記トップシーラの前記前面側と前記後面側の両方に配置し、前記凸条を有する前記シーラ部と、前記凹溝を有する前記シーラ部の配置を、前記前面側の前記折り癖シーラと前記後面側の前記折り癖シーラで逆の配置とし
たため、包装体の両側に設けられる耳部の折り曲げ方向を逆向きにすることができる。
【0011】
(2)前記折り癖シーラは、前記トップシーラの前記前面側と前記後面側の両方に配置し、前記トップシーラの前記前面側から、その前面側に配置した前記折り癖シーラの前記凸条と前記凹溝までの距離と、前記トップシーラの前記後面側から、その後面側に配置した前記折り癖シーラの前記凸条と前記凹溝までの距離を異ならせるとよい。このようにすると、耳部の根元から折り癖線部までの距離を両側で異ならせることができ、例えば、一方側をより包装体の奥まった位置に折り癖線部を形成し、当該奥まった位置を起点に折り曲げることができる。よって、トップシールされた耳部並びに耳部から折り癖線部までのフィルム部位も折り曲げることができ、例えば、その奥まった位置に折り癖線部を設ける側を、包装体を自立させるような場合の底面側にすることで、当該底面をより平坦で綺麗なに状態にすることができるので良い。
【0012】
(3)前記折り癖シーラと、前記トップシーラは同一の金属材料で構成されるとよい。このようにすると、折り癖シーラのシーラ部における加熱温度は、トップシーラと同様のものになるので、例えば実施形態のように、特に折り癖シーラ側での温度を直接測定しなくても、トップシーラ側の温度に基づいて当該トップシーラ側で温度の高低差が所望の状態になるように温度制御すれば、折り癖シーラ側でも同様の温度の高低差になるので、温度管理が容易に行えるとともに、構成も簡易にすることができるので良い。
【0013】
(4)本発明に係るピロー包装機は、(1)から
(3)のいずれか1に記載のトップシール装置を備えて構成すると良い。ピロー包装機は、帯状フィルムの両側縁が下に来る通常のピロー包装機や、帯状フィルムの両側縁が上に来る逆ピロー包装機などがある。好ましくは、耳部の折り曲げ方向が、センターシール部が形成される面と逆側に倒れるようにすると良い。例えば、自立する包装体などでは、自立した状態でセンターシール部が背面側になるようになっている。そのため、耳部の折曲げ方向が、センターシール部と逆向きになるように折り癖シーラの一対のシーラ部の配置をすると、製造された包装体は安定して起立するので良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構成で耳部を折り曲げた包装体を製造することができ、例えば、陳列しやすいピロー包装体を仕上がり良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1は、本発明に係るトップシール装置の好適な一実施形態を含むピロー包装機の一例を示し、
図2以降は、一部の機器の図示を省略した状態を示している。横ピロー包装機は、包装機本体1と、その包装機本体1に対して包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置2と、包装機本体1の上流側に配置され、その包装機本体1に対して被包装物3を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置4を備えている。
【0018】
フィルム供給装置2は、包装フィルムたる帯状フィルム5をロール状に巻き取った原反ロール6に対し、図示省略する駆動モータ(例えば、サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール6の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体1に供給する。また、原反ロール6から包装機本体1に至る所定位置に各種のローラ7(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール6から送り出された帯状フィルム5は、そのローラ7に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体1に導かれる。本発明では、必ずしも原反ロール6に駆動モータを連係する必要はなく、帯状フィルム5の搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。本実施形態では、いわゆる逆ピロー包装機であるため、フィルム供給装置2は、包装機本体1の下側に配置している。
【0019】
被包装物搬送供給装置4は、ベルトコンベア,フィンガーコンベア,その他の各種のコンベア装置等を用いる。
【0020】
包装機本体1は、供給される帯状フィルム5を筒状フィルム9に製袋する製袋器10と、その製袋器10の下流側に配置され、筒状フィルム9を搬送するベルトコンベア12と、ベルトコンベア12の上方に配置されるセンターシール装置14と、ベルトコンベア12の下流側に配置されたトップシール装置20と、トップシール装置20の下流側に配置された搬出コンベア15と、ベルトコンベア12の上方であってトップシール装置20の直前に配置された抑え部材16を備えている。被包装物3は、単体でも良いし、複数の物品からなる集合体でも良い。
【0021】
製袋器10は、フィルム供給装置2から連続して供給される帯状フィルム5を通過させることで、帯状フィルム5の両側端縁部5a同士を接触・重合させ、筒状となった筒状フィルム9に製袋するものである。本実施形態の製袋器10は、上側が開放されており、帯状フィルム5の両側端縁部5aが上側に位置するように設定されている。
【0022】
また、被包装物搬送供給装置4から包装機本体1に対して順次供給される被包装物3は、製袋器10内に挿入される。これにより、製袋器10に供給された被包装物3は、筒状フィルム9内に所定間隔ごとに配置される。また、このように筒状フィルム9内に被包装物3が内包されることから、ベルトコンベア12は、その被包装物3を内包した筒状フィルム9を搬送する。
【0023】
センターシール装置14は、重合された帯状フィルム5の両側端縁部5aをシールする。このセンターシール装置14は、左右一対のバーシーラ14aを備え、その一対のバーシーラ14aの前後に、それぞれ左右一対のピンチローラ14b,14cを配置した構成を採る。上流側のピンチローラ14cは、製袋器10を通過して筒状に形成された帯状フィルム5の両側端縁部5aの重合された部位をその両側から所定の力で挟み込むとともに回転することで、帯状フィルム5に対して所定のテンションを与えつつ引き出し、バーシーラ14aへ送る。バーシーラ14aは、通過する両側端縁部5aを加熱する。下流側のピンチローラ14bは、帯状フィルム5の両側端縁部5aの重合された部位を所定の圧力で挟み込んだ状態で回転し、加熱されたフィルム部位を加圧してシールしてセンターシール部9aを形成するとともに、帯状フィルム5に対して搬送力を与える。
【0024】
抑え部材16は、トップシール装置20の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム9内の被包装物3が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。本実施形態では、吸着手段で実現している。
【0025】
トップシール装置20は、筒状フィルム9の進行方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向に、当該筒状フィルム9をシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物3の間の所定位置である。これにより、トップシール装置20を通過することで、筒状フィルム9の先頭部分は、後続から分離され、包装体18が製造される。包装体18の前後には、トップシール装置20でシールされた耳部19を備える。
【0026】
本形態のトップシール装置20は、筒状フィルム9を挟んで上下に対向配置される上側トップシーラ21と下側トップシーラ22を備え、その上側トップシーラ21のシール面21aと、下側トップシーラ22のシール面22aを対向した状態を保持しながらそれぞれを所定の軌跡で公転移動する。所定の軌跡は、少なくとも両シール面21a,22aが筒状フィルム9を上下から挟み込んだ状態で一定区間を筒状フィルム9と同速度で移動するようにしている。
【0027】
係る所定の軌跡で動かすための機構は、以下のようになっている。上側トップシーラ21は、上側シーラ取付台23に取り付けられ、下側トップシーラ22は、下側シーラ取付台24に取り付けられる。上側シーラ取付台23と下側シーラ取付台24の両端には、カムフォロアが取り付けられ、そのカムフォロアを左右両側に配置される板カム26のカム溝内に符合させる。この板カム26は、円盤状の本体を備え、筒状フィルムの搬送方向に対して平行な垂直平面内で回転するように、トップシール装置20の機枠27の左右に配置された側壁28に、取り付けられる。板カム26の当該本体の内側の平面に、所定軌跡のカム溝が形成される。上下並びに左右に配置された4枚の板カム26は、機枠27の奥側に配置されたサーボモータの出力を受けて、同期して回転し、その回転に伴いカム溝の形状・軌跡に沿って上側シーラ取付台23,下側シーラ取付台24ひいては上側トップシーラ21,下側トップシーラ22が、所望の軌跡で公転移動する。
【0028】
図7に拡大して示すように、上側シーラ取り付け第23内には、コイルスプリング32が内蔵され、そのコイルスプリング32の弾性復元力により上側トップシーラ21が下方に付勢される。この弾性復元力により、上側トップシーラ21と下側トップシーラ22は、所定の圧力で筒状フィルム9を挟み込む。また、上側トップシーラ21,上側シーラ取付台23を上下に貫通するようにカッター刃33が内蔵される。カッター刃33の上端は、シリンダ34に連係される。カッター刃33は、シリンダ34の駆動を受けて、上側トップシーラ21,上側シーラ取付台23内を相対的に昇降移動する。そして、カッター刃33が上方位置にあるとき、カッター刃33の下方先端は、上側トップシーラ21のシール面21aよりも上方に位置し、カッター刃33が下方位置にあるとき、カッター刃33の下方先端は、上側トップシーラ21のシール面21aよりも下方に突出し、筒状フィルム9をカットする。
【0029】
本形態のトップシール装置20は、ガゼット形成装置30を備える。ガゼット形成装置30は、筒状フィルム9の側面両側に位置するガゼット爪31と、そのガゼット爪31を移動させる駆動機構39を備えている。ガゼット爪31の先端は、二股状に形成される。そして、そのガゼット爪31の先端は、上側トップシーラ21と下側トップシーラ22の前後面を跨ぐように配置され、高さ方向は所望の位置を維持しながらトップシーラの移動に伴いトップシーラとともに前後進移動する。さらに、ガゼット爪31は、筒状フィルム9の側面に対して、接近・離反する方向に移動可能となる。つまり、筒状フィルム9の被包装物3が収納されている部分が通過している間は、ガゼット爪31の先端が筒状フィルム9の側面よりもさらに外側の退避位置に位置している。そして、両トップシーラ21,22の前後にそれぞれ被包装物3が存在し、両トップシーラ21,22間には筒状フィルム9のみが存在するような相対位置関係のときに、各ガゼット爪31が内側(筒状フィルム側)に向かって移動する。そして、その先端が筒状フィルム9の側面に接触し、それを内方に押し込むことにより、筒状フィルム9の側面にガゼットを形成する。この状態で、ガゼット爪31の二股状の先端の間に両トップシーラ21,22が進入するように設定される。
【0030】
図7,
図8等に拡大して示すように、上側トップシーラ21は、フィルムの進行方向の前後に二分割され、進行方向の前側(下流側)の上側第一シーラ部35と、進行方向後ろ側(上流側)の上側第二シーラ部36を備える。上側第一シーラ部35と上側第二シーラ部36は、所定の間隔をおいて配置され、その所定の間隔の空間が、カッター刃33の昇降移動する空間となる。上側第一シーラ部35と上側第二シーラ部36には、それぞれヒータ37と熱電対38が内蔵される。熱電対38は、シール面21aの近傍に配置され、そのシール面21aの温度を測定する。
【0031】
下側トップシーラ22は、フィルムの進行方向の前後に二分割され、進行方向の前側(下流側)の下側第一シーラ部40と、進行方向後ろ側(上流側)の下側第二シーラ部41を備える。下側第一シーラ部40と下側第二シーラ部41は、所定の間隔をおいて配置され、その所定の間隔の空間が、カッター刃33の先端が入り込む空間となる。下側第一シーラ部40と下側第二シーラ部41には、それぞれヒータ42と熱電対43が内蔵される。熱電対43は、シール面22aの近傍に配置され、そのシール面22aの温度を測定する。
【0032】
そして本実施形態では、上側トップシーラ21並びに下側トップシーラ22のフィルム進行方向の前後面に、それぞれ前方折り癖シーラ45と、後方折り癖シーラ46を取り付ける。前方折り癖シーラ45は、トップシールされた耳部19の根本の近くに下に凸の第一折り癖線部50を形成するものである。前方折り癖シーラ45は、上側第一シーラ部35の前面に接続された前方凸型シーラ部51と、下側第一シーラ部40の前面に接続された前方凹型シーラ部52を備える。前方凸型シーラ部51は、その下面に凸条51aを有し、前方凹型シーラ部52は、その上面に凹溝52aを備える。凸条51a並びに凹溝52aは、ともに筒状フィルム9の進行方向に対して直交する方向に延びるように一直線上に形成されている。前方凸型シーラ部51と前方凹型シーラ部52は、それぞれ所定の金属材料から構成され、上側第一シーラ部35と下側第一シーラ部40に内蔵されるヒータ37から発せられる熱がそれぞれ熱伝導し、凸条51a,凹溝52aの表面が所定の温度で加熱される。
【0033】
凸条51aと凹溝52aは、符合し、上下から筒状フィルム9を挟み込み、加熱・加圧する。この加熱しながらの加圧により、挟み込まれた筒状フィルム9のフィルム部位は、凸条51a,凹溝52aの形状に沿った下に凸に窪んだ態様に成型されるとともに、シールされ、第一折り癖線部50が形成される。
図8に拡大して示すように、凸条51aと凹溝52aの噛み合う位置は、上側第一シーラ部35と下側第一シーラ部40の前面近傍で、当該前面から少し離れた位置としている。さらに筒状フィルム9を挟み込んだ状態では、凸条51aの先端は、シール面21a,22aよりも下側に位置する。これにより、
図9(a)に示すように、第一折り癖線部50は、耳部19の根元から少し内側に、当該根元に沿って形成される。
【0034】
前方凸型シーラ部51と前方凹型シーラ部52を構成する所定の金属材料は、例えば、上側第一シーラ部35並びに下側第一シーラ部40を構成する金属材料と同じにする。これにより、それら各シーラ部の熱伝導率は等しくなり、凸条51aの表面温度は、上側第一シーラ部35のシール面21aの表面温度と同等になり、凹溝52aの表面温度は、下側第一シーラ部40のシール面22aの表面温度と同等になる。
【0035】
後方折り癖シーラ46は、トップシールされた耳部19の根本の近くに上に凸の第二折り癖線部60を形成するものである。後方折り癖シーラ46は、上側第二シーラ部36の後面に接続された後方凹型シーラ部61と、下側第二シーラ部41の後面に接続された後方凸型シーラ部62を備える。後方凹型シーラ部61は、その上面に凹溝61aを有し、後方凸型シーラ部62は、その上面に凸条62aを備える。凹溝61a並びに凸条62aは、ともに筒状フィルム9の進行方向に対して直交する方向に延びるように一直線上に形成されている。後方凹型シーラ部61と後方凸型シーラ部62は、それぞれ所定の金属材料から構成され、上側第二シーラ部36と下側第二シーラ部41に内蔵されるヒータ42から発せられる熱がそれぞれ熱伝導し、凹溝61a,凸条62aの表面が所定の温度で加熱される。
【0036】
凹溝61aと凸条62aは、符合し、上下から筒状フィルム9を挟み込み、加熱・加圧する。この加熱しながらの加圧により、挟み込まれた筒状フィルム9のフィルム部位は、凹溝61a,凸条62aの形状に沿って上に凸の状態で成型されるとともに、シールされ、第二折り癖線部60が形成される。
図8に拡大して示すように、凹溝61aと凸条62aの噛み合う位置は、上側第二シーラ部36と下側第二シーラ部41の後面から一定距離だけ離れた位置としている。さらに筒状フィルム9を挟み込んだ状態では、凸条62aの先端は、シール面21a,22aよりも上側に位置する。これにより、
図9(a)に示すように、第二折り癖線部60は、耳部19の根元から所定距離だけ内側に、当該根元に沿って形成される。
【0037】
後方凹型シーラ部61と後方凸型シーラ部62を構成する所定の金属材料は、例えば、上側第二シーラ部36並びに下側第二シーラ部41を構成する金属材料と同じにする。これにより、それら各シーラ部の熱伝導率は等しくなり、凹溝61aの表面温度は、上側第二シーラ部36のシール面21aの表面温度と同等になり、凸条62aの表面温度は、下側第二シーラ部41のシール面22aの表面温度と同等になる。
【0038】
さらに本実施形態では、筒状フィルム9を上下から挟み込むシーラの温度を、上下で異なる温度としている。具体的には、上側第一シーラ部35と、下側第一シーラ部40との関係では、相対的に上側第一シーラ部35の方が高温になるように温度制御する。また、上側第二シーラ部36と、下側第二シーラ部41との関係では、相対的に下側第二シーラ部41の方が高温になるように温度制御する。これにより、前方折り癖シーラ45と、後方折り癖シーラ46は、それぞれ凸条51a,62a側が高温となる。
【0039】
その結果、両折り癖シーラ45,46で形成される第一折り癖線部50と第二折り癖線部60は、凸条に接触する窪んだ側のフィルム温度が高く、凹溝に接触する膨らんだ側のフィルム温度が低い状態となる。そして、トップシール装置20を通過し、両折り癖シーラ45,46から離反した第一折り癖線部50と第二折り癖線部60は、加圧状態の挟み込みが解除されてフリーになる。すると、シールされて一体化した窪んだ側と膨らんだ側の2枚のフィルム部位の温度差に伴い熱収縮に差が生じ、第一折り癖線部50と第二折り癖線部60は、窪んだ側・すなわち高温側が内側に来るように折れ曲がっていき、それに伴い、耳部19は高温側のフィルム部位が包装体18の本体側に近づくように変位する。つまり、第一折り癖線部50が形成される耳部19の先端側は上昇し、第二折り癖線部60が形成された耳部19の先端側は下降するように折れ曲がる(
図9(b)等参照)。
【0040】
本実施形態では、凸条51aと凹溝52a,凹溝61aと凸条62aの嵌め合いは、平坦なシール面に比し尖っていて小さい面積でピンポイントに接触し、しかも凸条51a,62aがシール面21a,22aよりも突出しているため、シール面21a,22aより強く加圧され、また、集中して加熱されるため、上記の効果がより顕著に表れる。
【0041】
このように、本実施形態では、トップシール装置20によりトップシールすると同時に耳折りをすることができ、耳折り装置を別途設ける必要がなくなる。よって、ピロー包装機の装置全体をコンパクトにできるとともに、折り曲げ処理を行うための工程が不要となるため、連続的にフィルムを搬送して包装処理するピロー包装機において高速化に対応することができる。
【0042】
そして、本実施形態では、第一折り癖線部50と第二折り癖線部60で、凹凸の向きすなわち加熱温度の高低を上下逆にしたため、包装体18の両側に設けられる耳部19が、逆向きになる。耳部の折り曲げ方向を逆側にした包装形態のピロー包装体を製造したいという要求に対応できる。その結果、例えば、自立させる包装体において、センターシール部9aは背面側に位置するので、底面側の耳部19を手前側に折り曲げて安定性を確保しつつ、起立した包装体の天面側の耳部19を奥側に折り曲げる形態にすることができる(
図9(c)等参照)。
【0043】
上述した実施形態では、前方折り癖シーラ45と後方折り癖シーラ46を構成する各シーラ部は、上側トップシーラ21,下側トップシーラ22と同じ金属材料を用いて構成したが、本発明はこれに限ることはなく、異なる材料で構成しても良い。また、同じ金属材料で構成する場合、折り癖シーラとトップシーラは、別部材で形成したものを連結しても良いし、一体物で形成しても良い。すなわち、例えば上側第一シーラ部35と前方凸型シーラ部51をそれぞれ別部材で形成したものを連結しても良いし、一体物で形成しても良い。他の箇所についても同様である。
【0044】
上述した実施形態では、耳部19の折り曲げ方向を逆にしたが、前方折り癖シーラ45と、後方折り癖シーラ46とで、凸条/凹溝を備えるシール部を上下で同じ側に配置し、耳部19が同じ方向に曲げるようにしても良い。また、必ずしも両方の耳部を折り曲げる必要は無く、前方折り癖シーラ45と後方折り癖シーラ46の一方のみ配置し、片方の耳部のみを折り曲げるようにしても良い。
【0045】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。