(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823669
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】2つの回路支持体の間に配置されたデバイスを有する電子モジュールおよびこのような電子モジュールの接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/16 20060101AFI20210121BHJP
H01L 25/04 20140101ALI20210121BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
H01L25/16 A
H01L25/04 Z
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-560067(P2018-560067)
(86)(22)【出願日】2017年5月2日
(65)【公表番号】特表2019-515512(P2019-515512A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017060361
(87)【国際公開番号】WO2017198447
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】16170185.9
(32)【優先日】2016年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ビーグル,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンスラー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ノイゲバウアー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】プフェッファーライン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュトロギース,ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルケ,クラウス
【審査官】
古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/150311(WO,A1)
【文献】
特開2013−172105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00 − 25/07
H01L 25/10 − 25/11
H01L 25/16 − 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスのための第1の実装面(12)を有する第1の回路支持体(11)と、
電子デバイスのための第2の実装面(14)を有する第2の回路支持体(13)であって、前記第2の実装面(14)を前記第1の回路支持体(11)の第1の実装面(12)の方向に向けられて前記第1の回路支持体に結合されている第2の回路支持体(13)と、
前記第1の実装面(12)にも前記第2の実装面(14)にも結合されている少なくとも1つの電子デバイス(16)と、
を有する電子モジュールであって、
前記第1の回路支持体(11)が、前記第1の回路支持体(11)と前記デバイス(16)との間に形成された接触領域(21)において、
前記接触領域(21)を取り囲んでいる前記第1の回路支持体(11)に比べても、前記第2の回路支持体(13)に比べても、
前記第1の実装面(12)に対して垂直の方向に撓みやすく形成されていることを特徴とするモジュール。
【請求項2】
前記接触領域(21)が嵌め合い部材(30)上にあり、前記嵌め合い部材が、前記第1の回路支持体(11)における切り抜き部(31)への嵌め合わせにより取り付けられており、前記嵌め合い部材(30)が前記切り抜き部(31)内で前記第1の実装面(12)に対して垂直に移動可能であることを特徴とする請求項1記載のモジュール。
【請求項3】
前記接触領域(21)が、前記接触領域(21)を取り囲んでいる前記第1の回路支持体(11)に比べても、前記第2の回路支持体(13)に比べても、前記第1の実装面(12)に対して垂直の方向に撓みやすく形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のモジュール。
【請求項4】
前記接触領域(21)が台座(32)を有し、前記台座の材料が前記第1の回路支持体(11)の残りの部分の材料よりも大きい弾性を有することを特徴とする請求項3記載のモジュール。
【請求項5】
弾性の前記台座(32)がポリシロキサンからなることを特徴とする請求項4記載のモジュール。
【請求項6】
前記接触領域(21)内において、前記第1の回路支持体(11)の材料が、前記接触領域を取り囲んでいる回路支持体に比べて厚さが薄くなっていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項7】
厚さが薄くなった領域の材料が、前記第1の回路支持体(11)内で積層されており、前記接触領域(21)内で露出していることを特徴とする請求項6記載のモジュール。
【請求項8】
厚さが薄くなった領域の材料がポリイミドであることを特徴とする請求項7記載のモジュール。
【請求項9】
前記接触領域(21)の縁部が切り抜き部によって弱められていることを特徴とする請求項3から8のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項10】
前記切り抜き部が前記第1の回路支持体(11)を突き抜けるスリット(26)からなり、前記スリット(26)の間に、前記接触領域(21)を前記第1の回路支持体(11)の残りの部分に結合するブリッジ部(27)が設けられていることを特徴とする請求項9記載のモジュール。
【請求項11】
前記ブリッジ部(27)が前記第1の実装面(12)の平面内に分岐および少なくとも1つの方向変更を持った経路の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項10記載のモジュール。
【請求項12】
前記切り抜き部が溝(28)からなることを特徴とする請求項9記載のモジュール。
【請求項13】
複数の平行に延びる溝(28)が設けられており、前記溝が、前記第1の実装面(12)と、前記第1の実装面(12)と反対の方向を向いている前記第1の回路支持体(11)の反対側(29)とに、交互に形成されていることを特徴とする請求項12記載のモジュール。
【請求項14】
前記第1の回路支持体(11)が前記第1の実装面(12)、および、前記第2の回路支持体(13)が前記第2の実装面(14)の少なくとも一方に、前記デバイス(16)が配置される凹部(20)を有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項15】
前記第1の回路支持体(11)と前記第2の回路支持体(13)とが、外部に対して封止された空洞部(15)を形成していることを特徴とする請求項14記載のモジュール。
【請求項16】
前記デバイス(16)が、前記第1の実装面(12)および前記第2の実装面(14)の少なくとも一方と材料結合されていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項17】
前記デバイス(16)が、前記第1の実装面(12)または前記第2の実装面(14)と摩擦結合されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項18】
前記デバイス(16)が、前記第1の回路支持体(11)または前記第2の回路支持体(13)に実装され、
その後、前記第1の回路支持体(11)が前記第2の回路支持体(13)と接合され、
前記デバイスと前記第1の回路支持体(11)および前記第2の回路支持体(13)の少なくとも一方との間の結合が形成されることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の電子モジュールの接合方法。
【請求項19】
前記第1の回路支持体(11)、前記第2の回路支持体(13)および前記デバイス(16)の間の結合の少なくとも一部が、焼結、はんだ付けおよび導電接着剤の少なくとも一つによって形成されることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第1の回路支持体(11)と前記第2の回路支持体(13)とを結合する際に、接合力Fが、撓みやすい前記接触領域(21)に加えられることを特徴とする請求項18または19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次の構成要素を有し、すなわち
電子デバイスのための第1の実装面を有する第1の回路支持体と、
電子デバイスのための第2の実装面を有する第2の回路支持体であって、第2の実装面が第1の回路支持体の第1の実装面の方向に向けられて第1の実装面に結合されている、第2の回路支持体と、
第1の実装面にも第2の実装面にも結合されている少なくとも1つの電子デバイスと、を有する電子モジュールに関する。
さらに、本発明はこのような電子モジュールの接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた如きモジュールは、例えば特許文献1から公知である。この特許文献1に記載されているデバイスは、上面と下面に接触面を有するパワーデバイスである。そのデバイスの下面はセラミック基板に導電接続されている。蓋の形をした第2の回路支持体がそのデバイスの上面での接触を可能にし、この回路支持体は導体路を有し、これらの導体路が第1の回路支持体での接触、即ち異なる平面での接触を可能にする。従って、その蓋状の回路支持体は空洞部を形成するのに適しており、その空洞部において、異なる配線平面が生じるように、前記デバイスを両回路支持体の間に保持することができる。この場合に、異なる配線平面および異なる部品における接触が必要であるために、静的に過剰決定された系が生じ、従って信頼性のある接触のためには、公差補償が必要である。
【0003】
類似の形をしたモジュールにおいて公差補償をするために、特許文献2によれば、その解決策が示されている。この特許文献によれば蓋状の回路支持体が塑性変形可能な複数の層から構成されており、これらの層間には配線および接触のための層も設けられている。この蓋状の回路支持体がデバイス実装後に第1の回路支持体上に載置され、接触部のはんだ付けの間、その蓋状の回路支持体に接合力が加えられる。その際に蓋状の回路支持体は変形し、同時に公差が補償される。はんだ付けに必要な熱は、同時に蓋状の回路支持体の材料が硬化することをもたらし、同時にデバイスのための封止された空洞部が生じ得る。
【0004】
さらに、特許文献3から、蓋部によって形成される空洞部において、デバイスも周辺から封止できることは公知である。蓋部が封止材によりデバイス用の基板上に取り付けられており、それによって空洞部は周辺から封止されている。さらに、デバイスと蓋部との間に熱結合材料を設けることができ、この熱結合材料は、デバイス内に生じる熱を吸収することができる。
【0005】
明らかのように、上述の解決策が複雑であればあるほど、それだけ一層多い機能を回路支持体内に組み込まなければならない。同時に、信頼性の高い接触は、上述の系の静的な過剰決定が原因で問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014206601号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102014206608号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0127663号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、デバイスが2つの回路支持体の間に保持されて電気的に接触させられなければならない電子モジュールを、一方ではデバイスの信頼性の高い接触が可能にされ、他方では構成要素のコスト効率のよい製造および組立が可能であるように改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、冒頭に述べた電子モジュールにより、本発明によれば、第1の回路支持体が、第1の回路支持体と前記デバイスとの間に形成された接触領域において、該接触領域を取り囲んでいる第1の回路支持体に比べても第2の回路支持体に比べても第1の実装面に対して垂直な方向に撓みやすく形成されていることによって達成される。本発明によれば、このように撓みやすく形成されていることによって、次のことを達成することができる。即ち、関係している接合部品同士(即ち、両回路支持体、デバイスおよび接合補助材料、例えばはんだ材料または焼結材料からなるデポー)の寸法公差および位置公差が、接合時に、接合方向に、従って第1の実装面に対して垂直な方向に、好ましくは第2の実装面に対して垂直な方向にも、接触領域が撓むことによって補償できることである。その際に複数または1つのデバイスと第1および/または第2の回路支持体との結合は、電気的および/または熱的に行われ得る。以下において1つの回路支持体または両回路支持体を問題にする場合には、常に第1の回路支持体および第2の回路支持体を意味し、もしくは第1の回路支持体か第2の回路支持体かが重要でないならこれらの回路支持体のうちの一方を意味する。
【0009】
従って、撓みやすい接触領域による、即ちデバイスが場合によっては接合補助物質の助けにより装着されている領域による公差の補償は、非常に重要である。というのも、電子モジュールが多数の形成すべき接続のために静的に過剰決定されているからである。それゆえ接合部品同士のもとでさまざまの結果になり得る公差は、これらの複数の接合部品の少なくとも一部の可撓性によって補償されなければならない。この可撓性は、最も簡単な場合、第1の回路支持体において実現するのが有利である。モジュールは簡単に接合可能であり、その接合個所は有利に高い信頼性で形成される。
【0010】
本発明の有利な実施形態によれば、前記接触領域が嵌め合い部材上にあって、その嵌め合い部材が第1の回路支持体における切り抜き部への嵌め合わせにより取り付けられており、前記嵌め合い部材が前記切り抜き部内で第1の実装面に対して垂直に移動可能である。前記接触領域の可撓性は、この実施形態の場合には、次によって有利に実現されている。即ち、一方では超過サイズを有する嵌め合わせが第1の回路支持体内での嵌め合い部材の固定をもたらし、他方ではその嵌め合い部材が公差を補償するべく第1の実装面に対して垂直に移動可能であることによって有利に実現されている。それに代えて、隙間ばめまたは中間ばめによって、嵌め合い部材の非常に軽快な移動可能性が保証される。この構成は、構造が簡単であるという点で有利であり、電子モジュールは、接合後に切り抜き部内での嵌め合い部材の滑動によって殆ど無力状態で存在するので、電気的な接続が負担にならず有利である。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、前記接触領域が、前記接触領域を取り囲んでいる第1の回路支持体に比べても、第2の回路支持体に比べても、第1の実装面に対して垂直の方向に撓みやすく形成されている。「撓みやすく」は、換言するならば、前記接触領域が、少なくとも部分領域、特に縁部領域において、第1の回路支持体の残り部分および第2の回路支持体よりも小さい弾性係数が与えられていることを意味しており、それによって前記接触領域の可撓性は、材料特性によっていわば固有に生じさせられる。これは、有利なことに、元に戻せる公差補償を生じさせ、その公差補償はデバイス交換のためのはんだ付け修理後にも、再び使用することができる。
【0012】
弾性のある接触領域の実施形態によれば、前記接触領域が台座を有し、その台座の材料が第1の回路支持体の残りの部分の材料よりも大きい弾性を有する。例えば、弾性台座がポリシロキサンからなるとよい。その弾性の台座は、有利には簡単にフィルムとして少なくとも第1の回路支持体の接触領域内に形成され、その際にデバイス用の基板を成し、その基板上でデバイスも接触させられ得る。回路支持体を有利に簡単に作製することができる。というのも、弾性台座の形成は1つの付加的な組立工程しか必要としないからである。
【0013】
それに代えて、前記接触領域内において、第1の回路支持体の材料が、前記接触領域を取り囲んでいる回路支持体に比べて厚さが薄くされてもよい。これは、この領域内での回路支持体の材料厚さが、前記接触領域を取り囲んでいる回路支持体区域での厚さよりも薄いことを意味している。このようにして前記接触領域内で大きな弾性を発生させることができ、これは簡単に実行できる製造工程によって、例えば切削加工またはエッチング加工によって有利に達成することができる。
【0014】
厚さが薄くされる領域の材料を第1の回路支持体中に積層形成し、前記接触領域内では被覆層を剥がしてむき出し状態にすることによって、厚さが薄くされた領域を有利に形成することができる。上述の構造のための半製品としては、例えば積層されたプリント基板が使用され、これらの積層された層が、むき出し状態にされることによって厚さが薄くされた領域として使用される。この場合に、技術的に広く普及しているためコスト効率良く調達することができる半製品を、第1の回路支持体の製造のために有利に使用することができる。その材料がポリイミドであると有利である。フレキシブルである部分領域と、それに比べてリジッドである部分領域とを有するいわゆるフレックス・リジッド・プリント基板を作製するための公知の製造技術を利用することができる。本発明によれば、フレキシブルな部分領域がデバイス用の接触領域として使用される。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、前記接触領域の縁部が切り抜き部によって弱められている。前記接触領域の縁部が弱められることは、前記接触領域が第1の実装面に対して垂直に実装方向にずれた際に、切り抜き部によって機械的に弱められた縁部が弾性変形させられることにより、前記接触領域が全体として撓むことをもたらす。切り抜き部は、例えば切削加工またはエッチング加工によって有利に作製することができ、それゆえ簡単で信頼性のある製造方法を有利に使用することができる。
【0016】
本発明の特別な実施形態によれば、前記切り抜き部が第1の回路支持体を突き抜けるスリットからなり、それらのスリットの間に、前記接触領域を第1の回路支持体の残りの部分に結合するブリッジ部が設けられている。このようにして、ブリッジ部は弾性領域として使用することができるカンチレバーを形成している。ブリッジ部の端部は、それぞれ前記接触領域と、第1の回路支持体の残りの部分とに結合されている。スリットは回路支持体を突き抜けており、従って換言するならば回路支持体内で貫通口を生じるので、力案内がそれぞれカンチレバーの端部でのみ可能である。
【0017】
前記ブリッジ部が第1の実装面の平面内に分岐および/または少なくとも1つの方向変更を持つ経路を有すると有利である。これによって、前記ブリッジ部によって形成されたカンチレバーの曲げ剛性が有利に影響を及ぼされ、前記ブリッジ部を前記接触領域のジオメトリに適合させることができる。
【0018】
本発明の他の特別な実施形態では、前記切り抜き部が溝からなる。これらの溝は、回路支持体を完全には突き抜けておらず、第1の実装面および/またはその第1の実装面と反対の方を向いている反対側に形成されている。従って、これらの溝は、回路支持体の断面の厚さが薄くし、このようにして、特に前記接触領域の縁部に配置することができる弾性領域を生じさせる。複数の平行に延びる溝が設けられ、これらの溝が、交互に第1の実装面と、これに向かい合った反対側とに形成されているならば、格別に有利である。これによって1つの蛇腹の弾性構造に類似した格別に弾性のある構造が生じる。特に溝によって強化繊維の突き抜けが行われる繊維強化プリント基板の場合には、第1の回路支持体の残りの部分に比べて遥かに弾性が増大する。
【0019】
本発明の他の実施形態では、第1の回路支持体が第1の実装面に、および/または第2の回路支持体が第2の実装面に、前記デバイスが配置される凹部を有する。これによって、前記デバイスは、その凹部の領域内において第1の回路支持体と第2の回路支持体とによって形成される封止された空洞部の中に有利に収納することができる。この空洞部は、付加的に電気絶縁材料によって塞がれるとよい。
【0020】
さらに、前記デバイスが第1の実装面および/または第2の実装面に材料結合されていると有利である。この場合に、例えば、はんだ結合または焼結結合または接着結合を使用することができる。これらの結合は、電流伝達のために利用され、または熱伝達のためにも利用される。
【0021】
さらに、前記デバイスが第1の実装面および/または第2の実装面と摩擦結合されていると有利である。この場合に、摩擦結合部に力を作用させるために、前記接触領域において可撓性、特に弾性が利用される。このような結合は、電流および/または熱エネルギーを伝達するのに適している。これによって電子モジュールの組立工程が有利に簡略化される。というのは摩擦結合において接合補助物質が節約できるからである。
【0022】
さらに、前記課題は、本発明によれば、電子モジュールの接合方法によっても解決される。この方法は、第1の回路支持体または第2の回路支持体に前記デバイスが実装されることを特徴とする。しかる後に、第1の回路支持体が第2の回路支持体に接合される。その際に前記デバイスと第1の回路支持体および/または第2の回路支持体との間に結合が形成される。この際に、既に説明したように電子モジュールが生じ、既述の利点がもたらされる。
【0023】
方法の一実施形態によれば、第1の回路支持体と、第2の回路支持体と、前記デバイスとの間の結合の少なくとも一部が、焼結および/またははんだ付けおよび/または導電接着剤によって形成される。これによって、電流および/または熱エネルギーの伝達を可能にする非常に信頼性のある結合が有利に提供される。
【0024】
さらに、第1の回路支持体と第2の回路支持体とを結合する際に、撓みやすい接触領域に接合力Fが加えられる。その接合力により、接触領域は、それの撓みやすさの範囲内で、例えば接合部品同士の寸法公差に基づく間隙を克服するべく、第1の実装面に対して垂直な接合方向に移動することができる。さらに、この方法で、形成される電気接続部において接合力が増大され、このことは、例えば焼結結合を形成する際に有利である。
【0025】
以下において本発明の更なる詳細を図面に基づいて説明する。図面における同じまたは対応する要素は、それぞれ同じ参照符号を付しており、個々の図の間で相違が生じない限り繰り返して説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は本発明による電子モジュールの実施例を概略断面図で示す。
【
図2】
図2は本発明による電子モジュールの他の実施例の接触領域のみを断面図で示し、この接触領域は
図1によるモジュールの構造内に設けることができる。
【
図3】
図3は本発明による電子モジュールの他の実施例の接触領域のみを上面図として示し、この接触領域は
図1によるモジュールの構造内に設けることができる。
【
図4】
図4は本発明による電子モジュールの他の実施例の接触領域のみを断面図で示し、この接触領域は
図1によるモジュールの構造内に設けることができる。
【
図5】
図5は本発明による電子モジュールの他の実施例の接触領域のみを断面図で示し、この接触領域は
図1によるモジュールの構造内に設けることができる。
【
図6】
図6は本発明による電子モジュールの他の実施例の接触領域のみを断面図で示し、この接触領域は
図1によるモジュールの構造内に設けることができる。
【
図7】
図7は本発明による方法の実施例を製造状態において概略断面図で示す。
【
図8】
図8は本発明による方法の実施例を製造状態において概略断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1によれば、例えばFR4のようなエポキシ樹脂系のプリント基板材料からなり第1の実装面12を有する第1の回路支持体11と、例えばAl
2O
3、Si
3N
4またはAlNのようなセラミックスからなり第2の実装面14を有する第2の回路支持体13とが示されている。これらの両回路支持体11,13は空洞部15を形成しており、この空洞部15内に2つのデバイス16が挿設されている。これらのデバイス16は、はんだ結合部17を介して、それぞれ第1の実装面12および第2の実装面14に接続されている。このために両実装面12,14には電気接触のために接触パッド18が使用される。さらに、第1の回路支持体11は接着結合部19を介して第2の回路支持体13に導電接続されており、それによって空洞部15は外部に対して封止される。
【0028】
空洞部15は、第1の回路支持体11における凹部20に配置される。この凹部内にデバイス16が収容されている。さらに、これらのデバイス16のために接触領域21が設けられており、これらの接触領域21は実装面12において接触パッド18を支持している。さらに、これらの接触領域21は、回路支持体11の残りの部分よりも高い弾性によって撓みやすく形成されており、このことは、
図1によればプリント基板材料の厚さを薄くすることによって達成される。これにより、回路支持体11の実装面に向き合っている面には、接触領域21を規定する凹部が生じる。
図1には、実装時に例えば質量片22を置くとよいことが示されており、これらの質量片22は組み立てを支援するために第1の回路支持体11に重力Gを及ぼす。
【0029】
図2では、第1の回路支持体11が、当該回路支持体の材料24の中に積層されている複数の層23からなる積層板で形成されていることが認識できる。層23のうちの1つの層の厚さが薄くされた接触領域21を形成しており、その接触領域21上には接触パッド18がデバイス16と共に配置されている。さらに、当該領域を外部から保護するために、厚さが薄くされた部分にカバー25が設けられている。
【0030】
図3によれば、接触領域21は、実装面12におけるスリット26によって回路支持体11の残りの部分から仕切られている。スリット間にはカンチレバーとして作用するブリッジ部27が形成されており、これによって非常に弾力性のある領域が生じる。さらに、これらのブリッジ部は実装領域21を回路支持体11の残りの部分に接続する。実装領域21は、図示されていないデバイスを実装するために使用することができる。スリット26は回路支持体11における貫通口として実施されており、従って、両回路支持体11,13により形成される空洞部が外側に対して封止されていなければならない場合には、図示されていないやり方でカバー25を
図2と同様に設けることができる。
【0031】
さらに、
図3による構造は、
図1または
図2に従って厚さが薄くされた実装領域21に、付加的な弾性向上を達成するために導入することができる。これは、以下において説明しようとする
図4による構造にも当てはまる。
【0032】
図4においては、接触領域21が溝28の縁で取り囲まれており、これらの溝28が、回路支持体11の第1の実装面12と、この実装面12に対向する反対側29とに、交互に設けられていることが認識できる。これによって、ベローズまたはスピーカ膜の縁部構造に相当しかつ極めて僅かの曲げ剛性を有する構造が生じる。それゆえ、接触領域21は容易に接合方向に対して垂直に移動可能である。
【0033】
図5には接触領域21として嵌め合い部材30が切り抜き部31に挿入されており、接触領域21の可撓性は、この実施例では、嵌め合い部材30が切り抜き部31内で第1の実装面12の方向に対して垂直に移動可能であることによって保証されている。その場合に、嵌め合い部材の超過サイズによってもたらされる締まりばめまたは中間ばめで摩擦に起因して生じる抵抗が克服されなければならない。
【0034】
結局、
図6においては、接触領域21がポリシロキサンからなる弾性の台座32によって形成されており、該台座32は、凹部内において回路支持体11上に載置され、この回路支持体11に(例えば、図示されていないが接着によって)取り付けられ、第1の実装面11を形成している。その台座は、例えばプリント基板材料によって形成されている回路支持体11の残りの部分よりも弾性に富む。
【0035】
図7には電子モジュールのための組立工程が示されている。電子モジュールが前もって組み立てられた状態では、所望の計画された製造工程に起因して、または接合部品同士(特に、両回路支持体11,13、デバイス16および焼結成形部材33)の寸法公差に起因して、接合間隙34が残っていることが明らかである。回路支持体11,13のどれにデバイス16が前もって取り付けられたかに応じて、関連した焼結成形部材33と対面する接合間隙が生じる(しかし、これとは異なった構成も考えられ得る)。
【0036】
この接合間隙を橋絡するために焼結中に第1の回路支持体11に接合力Fが作用し、その結果、弾性接触領域21が、鎖線で示す撓み曲線35に従って変形し、それによって接合間隙34が塞がれる。同時に、接合力Fによって、焼結成形部材33により焼結結合を生じさせるに十分な圧力が形成される(もちろん、適切な接合温度も維持されなければならない)。
【0037】
図8では、デバイス16が超過サイズである場合に(または図示のはんだ結合部の代わりに配置することができる焼結成形部材(
図7参照)が超過サイズである場合にも)、接合力Fが部品接合部に加えられる際に、弾性に形成された実装面12がどのように変形するかを認識することができる。後続のはんだ付け工程において、台座32の弾性変形を介して接合力Fが、形成されるはんだ結合部に少なくとも部分的に伝達され、これによって、はんだ結合部を高い信頼性で形成することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 第1の回路支持体
12 第1の実装面
13 第2の回路支持体
14 第2の実装面
15 空洞部
16 電子デバイス
17 はんだ結合部
18 接触パッド
19 接着結合部
20 凹部
21 接触領域
22 質量片
23 層
24 回路支持体の材料
25 カバー
26 スリット
27 ブリッジ部
28 溝
29 反対側
30 嵌め合い部材
31 切り抜き部
32 台座
33 焼結成形部
34 接合間隙
35 たわみ曲線
F 接合力
G 重力