(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823699
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】生物医学的な感知及び検出のための粒子を含む溶液中の粒子の空間的な分離
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20210121BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20210121BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20210121BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N1/28 J
G01N33/48 H
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-191899(P2019-191899)
(22)【出願日】2019年10月21日
(62)【分割の表示】特願2017-534914(P2017-534914)の分割
【原出願日】2016年1月11日
(65)【公開番号】特開2020-24213(P2020-24213A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】62/102,308
(32)【優先日】2015年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506391864
【氏名又は名称】インストゥルメンテーション ラボラトリー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ブランケンスタイン,ゲルト
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6607945(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0086938(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0139377(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0033808(US,A1)
【文献】
特開2008−134063(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0266778(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0336062(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/006225(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
G01N 1/28
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全血中の分析物を分析する方法であって、
全血を分析デバイスのマイクロチャネルに導入することと、
音響力が前記全血中の血漿から血液細胞を可逆的に分離するよう、前記マイクロチャネルの検出領域の前記全血に前記音響力を加え、前記マイクロチャネル中に実質的に粒子を含まない血漿の領域を生成し、前記実質的に粒子を含まない血漿の領域が、前記検出領域を含むことと、
前記マイクロチャネルの前記検出領域における血漿分析物を検出するよう構成された検出器を適用することと、
前記音響力を加えながら、前記検出器で、前記検出領域の前記血漿分析物を光学的に検出することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記血漿分析物の光学的検出の間、前記マイクロチャネル中の前記血漿の流れを、前記マイクロチャネルの前記検出領域に抑制することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記音響力を解放し、前記マイクロチャネル中に再構成された全血を形成することと、
前記検出領域の下流で前記再構成された全血を収集することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流れが、ポンプ、バルブ、及び流れレギュレータからなる群から選択される流れ抑制部で抑制される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記検出器が、前記実質的に粒子を含まない血漿中の遊離ヘモグロビンを検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記音響力が超音波定在波を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記音響力が、前記検出器に組み込まれた音響トランスデューサによって生成され、前記検出器が測光検出装置を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記音響力が表面音響波を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記音響力がバルク音響波を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記音響力が、前記検出器に組み込まれた音響トランスデューサによって生成され、前記検出器が蛍光測定システムを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記音響力が、前記検出器に組み込まれた音響トランスデューサによって生成され、前記検出器が時間分解蛍光測定システムを備える、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生物医学的試験用に実質的に粒子を含まない流体を得るために、粒子を含む流体から粒子を分離するデバイス及び方法に関する。本発明は、より詳細には、全血中の分析物、より具体的には、例えば血漿又は血清である体液中の分析物を測定するためのデバイス及び方法に関する。具体的には、デバイス及び方法は、マイクロ流体デバイスのマイクロチャネル内の全血の流れを抑えること、及びマイクロチャネル内の検出領域において全血中の赤血球と血漿を音響により分離することを用いて全血のような体液中の分析物を検出すること、及び例えば光学検出器である分析物検出器によって検出領域内の分析物を検出することを対象とする。より詳細には、方法及びデバイスは、マイクロチャネル内で全血が流れている又は止められている間における、検出領域内の遊離ヘモグロビンの検出と組み合わせた、検出領域内での赤血球の音響による分離を用いた、全血中の溶血の監視に有用である。
【背景技術】
【0002】
全血中の分析物の分析システムは、典型的には、全血の細胞部分、具体的には赤血球から、チャンバ内で全血の流体部分、すなわち血漿を収集する必要がある。典型的には、分析の前に、細胞部分を分離し流体すなわち血漿部分を収集するために、全血を遠心分離する又は濾過することによって、全血サンプルから血漿を収集し、それを対象の分析物の検出のために分析器に導入する。複合流体(complex fluid)混合物からの粒子又は細胞の分離は、ヘルスケアに関する臨床診断だけでなく、生物学的研究及び医学の多くの領域においても不可欠な手段である。
【0003】
マイクロチャネルの直径が10ナノメートルから1.5ミリメートル未満までの範囲の技術であるマイクロ流体工学は、当技術分野で述べられる多くの高性能の細胞分類用途について大きな可能性を提供する。マイクロ流体工学によって、細胞の動きを支配する分離力の精密な操作が可能になる。いくつかの異なる力場は、水力学的集束、磁気分離/分類、並びに表面音響波及び超音波などのアコーストフォレティック(acoustophoretic)細胞分離/分類装置を含め、細胞を分類するのに、マイクロチャネル内で成功裏に利用される。
【0004】
従来技術における細胞分離技法にもかかわらず、臨床医学においてまだ達成されていない挑戦としては、細胞部分から血漿を収集するのに全血を濾過又は遠心分離してから対象の分析物のために収集した血漿を分析するために収集した血漿を分析器に導入する必要のない、全血のような体液中の分析物を高い処理量で迅速に測定する、ポイントオブケア用途におけるデバイス及び方法の開発がある。分析のために血漿を収集するのに全血を濾過し遠心分離するのに必要な追加の時間、ハートウェア、人手による操作手順は、処理量を著しく減少させ、装置の誤作動及びヒューマンエラーのリスクを増加させる。
【0005】
さらに、臨床診断においてまだ達成されていない挑戦としては、標的分析物の測定が損傷した赤血球(RBC)からの分析物の解放によって歪曲されないことを確実にするように、全血サンプルにおける溶血の存在を検出する迅速試験の開発がある。溶血は、本来なら赤血球の中だけにあるが赤血球が損傷を受けると解放される蛋白質であるヘモグロビンを測定することによって検出することができる。血液サンプル中の遊離ヘモグロビンの検出、すなわち溶血の検出は、血液サンプル中の分析物濃度が損傷した赤血球からの分析物の解放によって歪曲されているかどうかを示す。
【0006】
例えば、全血中のカリウム値は、通常、約4.0mMであり、赤血球では、カリウム濃度は、通常、約150mMである。患者から全血を採取し取り扱う過程で、いくつかの細胞、具体的には赤血球が物理的に損傷を受けると、赤血球の破壊が起こる。溶血が全血サンプル中で起こると、赤血球の内容物が解放され、全血の無細胞部分の内容物、すなわち血漿、場合によっては血清と混ざる。通常、赤血球中で見られる全血の構成成分であるヘモグロビン及び他の細胞内成分である例えばカリウムは、損傷した赤血球の細胞内区画から解放されて血液の流体部分、すなわち血漿又は血清に入る。
【0007】
赤血球中のカリウムの濃度は正常な血漿中のカリウムの濃度の25〜75倍高いので、溶血している患者血液サンプルの流体部分中のカリウムを測定した場合、患者の実際の血漿カリウム値の上昇などの不自然な結果を誘発することになる。溶血していない血液の流体部分中のカリウム濃度は、様々な状態の重要な指標となる。溶血していない患者血液サンプルでのカリウム濃度が実際は低い又は正常である場合、溶血している血液ではカリウム濃度が過大に見積もられてしまうので、患者が高カリウム血症(血中のカリウムの増加)として治療を受けることになる恐れがある。不幸にも、破壊された赤血球が比較的少数だけの場合、結果的に、不自然に、血中カリウム値が上昇されることになる恐れがある。
【0008】
血液サンプルが溶血していると、血漿中のカリウムの上昇に加えて、他の分析物、例えば乳酸脱水素酵素、酸性ホスファターゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼなども、血液の流体部分中よりも高濃度で赤血球中に存在するので、これらの分析物も、溶血した血液中で不自然に上昇する恐れがある。現在、溶血は、根拠のない臨床検査の約3.3%を占めている。
【0009】
溶血を検出するために全血サンプル中のヘモグロビンのような分析物を検出する現在の方法は、閉じた管構造内において数十ミリリットルの体積の全血を用いて全血サンプルを遠心分離し、細胞を除去し血漿を収集する、又は、全血サンプルを濾過し、赤血球を除去し血漿を収集し、次いで、収集した血漿を例えば光学検出器である検出装置へと移送し、諸方法を適用して、対象の標的分析物について収集した血漿を分析することを含む。例えば、溶血の検出のため、血液サンプルを遠心分離して血漿を収集し、それを光学検出装置へと移送して、諸方法、例えばロシュインデックスファクタ(Roche Index Factor)を使用して、血漿部分中の遊離細胞外ヘモグロビンの存在を検出する。
【0010】
注目すべきは、溶血を決定するのに、全血、濾過されていない血液、又は遠心分離されていない血液を用いて行える方法は現在のところ存在していないことである。
【0011】
超音波、表面音響波及びバルク音響波を含む様々なメカニズムによって生成される音響波は、現在、複合液体媒体がマイクロチャネル内を連続的に流れている間に、全血などの複合液体媒体中に懸濁した粒子を操作し、赤血球、白血球及び血小板などの粒子を凝縮して収集することに使用されている。複合液体媒体の粒子が凝縮された部分及び/又は無粒子もしくは粒子が希薄な部分はそれぞれ別々に収集される。
【0012】
例えば、
図1に示されるように、マイクロチャネル内の横方向にわたって超音波定在波を使用して全血サンプルから粒子を分離することが記述されている。半波長の超音波定在波は、粒子が場を通って移動するときにマイクロチャネル内に維持され、それによって、粒子は、マイクロチャネルの中心にある圧力ノードの方へと移動させられる。サンプルの粒子の希薄な部分/無粒子部分は流れ続け、マイクロチャネルの2つの側部にある出口から収集され、その間、サンプルの粒子が凝縮された部分は、マイクロチャネルの中心に沿った出口から収集される。
【0013】
あるいは、
図2に示されるように、マイクロチャネルの垂直方向に沿って超音波定在波を加え、流れている全血から赤血球を分離することが記述されている。流れている全血中のRBCは、マイクロチャネル内で流体の上側部分へと動かされ、その一方で、血漿は、マイクロチャネルの下側部分へと流れ続ける。2つの出口ポートをフローデバイスの上側と下側にそれぞれ配置することによって、血漿又はRBCを装置から別々に収集する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、全血のような複合微粒子担持流体中の分析物を分析するシステム及び方法を提供することである。例えば赤血球である微粒子材料と、例えば血漿である流体の分離は、複合微粒子担持流体中の分析物の検出と同じシステムにおいて行われる。換言すると、全血中の血球と血漿の分離は、マイクロチャネルのような、システムの同じ装置内で行われ、そこにおいて、分離された、流れている又は止められている血漿中の分析物が検出器によって検出される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様において、本明細書に開示の本発明は、複合微粒子担持流体中の分析物の分析のためのシステムを対象とする。複合微粒子担持流体は、例えば血漿と赤血球を有する全血であり、流体部分と微粒子部分を含む。システムは、複合微粒子流体のカラムを収容することができるマイクロチャネルを備える。マイクロチャネルは、少なくとも1つの分析物検出領域と、音響トランスデューサ領域を有する。音響トランスデューサ領域内の音響トランスデューサは、音響波を生成し、マイクロチャネル内の少なくとも1つの分析物検出領域と整列される。音響トランスデューサによって生成される音響波は、マイクロチャネル内で、複合微粒子流体のカラムの流体部分から粒子部分を分離する。分析物検出器は、複合微粒子流体の流体部分中の対象の標的分析物を測定するために、マイクロチャネルの分析物検出領域内に配置される。
【0016】
一実施形態では、本発明に係るシステムは、分析物検出領域における複合流体の流れを抑えるための流体流れ抑制部(arrestor)及び/又は標的分析物の分析後に無微粒子の流体又は再構成された複合微粒子流体を収集するための流体コレクタを含む。無微粒子流体又は再構成された複合微粒子流体のコレクタは、例えば、マイクロチャネル、ポケット、ダイラテーション、チャンバ又はキャビティを備える。
【0017】
音響波は、これらに限定されないが、超音波定在波、表面音響波、バルク音響波、及び好ましくは周波数が2KHz〜2GHzの範囲内の音響波からなる群から選択される。
【0018】
本発明に係るシステムは、例えば2つ、3つ、4〜6つ又はそれを上回る、1つ又は2つ以上の音響トランスデューサと、例えば2つ、3つ、4〜6つ又はそれを上回る1又は複数の分析物検出器と、例えば2つ、3つ、4〜6つ又はそれを上回る分析物検出器である、1つ又は2つ以上の分析物のための(analyted)検出器を備えることができる。典型的には、常にそうであるわけではないが、マイクロチャネル内には、音響トランスデューサと同数の音響領域がある。典型的には、常にそうであるわけではないが、マイクロチャネル内には、検出器と同数の検出器領域がある。
【0019】
他の態様では、本発明は、全血中の分析物の分析方法である。全血のサンプルは、本明細書に記載の本発明に係る分析システムのマイクロチャネルに導入される。音響トランスデューサは、マイクロチャネルの音響領域において全血サンプルに音響力を加える。音響力によって、血液の血漿から血球が分離される。検出器は、検出領域における全血サンプル中の少なくとも1つの分析物の分析のために、前記マイクロチャネルの検出領域内の血漿に適用される。
【0020】
方法の一実施形態では、血漿の流れは、流れ抑制部によって検出領域において抑制され、検出器は、血漿の流れが検出領域で抑制されている間に、標的分析物を検出する。あるいは、全血及び血漿の流れは抑制されず、検出器は、血漿が検出領域を通って流れている間に対象の分析物を検出する。
【0021】
本発明の方法のさらなる特徴は、音響力の下流にある、マイクロチャネル、ポケット、ダイラテーション、チャンバ又はキャビティなどのコレクタ内における、血漿の収集又は再構成された全血の収集を含むことができる。再構成全血は、音響トランスデューサによってマイクロチャネル内の流体に加えられている音響力を解放することによって形成され、それによって、血漿から分離されていた赤血球が血漿と再び混ぜられて全血が再構成され得る。再構成された全血は、追加の臨床分析に使用することができる。
【0022】
本明細書に開示の本発明の上記その他の目的、特徴及び利点、並びに発明自体は、添付の図面とあわせて、以下にある好ましい実施形態の説明及び特許請求の範囲を読めばより完全に理解されるであろう。図面は、必ずしも原寸に忠実ではなく、その代わりに、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。さらに、本明細書に記載の様々な実施形態の特徴は、互いに排他的ではなく、様々な組み合わせ及び順列で存在することができると理解されたい。
【0023】
図面は、必ずしも原寸に忠実ではなく、その代わりに、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】チャネルの長軸に対して垂直に適用される超音波定在波を使用して全血サンプル中の粒子を分離する、従来技術によるデバイス及び音響構造を示す概略図である。
【
図1B】
図1Aに示されるシステムの音響力の、1B−1Bに沿った概略断面図である。
【
図2】チャネルの垂直方向に沿って適用される超音波定在波を使用して全血サンプル中の粒子を分離する、他の従来技術によるデバイスの図である。
【
図3A】粒子が流体から分離されてマイクロチャネルの壁の方に向かう間、一体化された検出器によって、チャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出する、本発明に係るシステムの音響構造の一実施形態の概略図である。
【
図3B】血漿から赤血球を分離するために血液のカラムに適用される
図3Aに示されるシステムの音響力の、3B−3Bに沿った概略断面図である。
【
図3C】オキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、(デオキシ)モノキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、及びシアン化メトヘモグロビンについての、分子吸光係数対波長をプロットしたグラフである。
【
図4A】粒子が流体から分離されてマイクロチャネルの中心の方に向かう間、一体化された検出器によって、チャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出するための、本発明に係るシステムの音響構造の他の実施形態の概略図である。
【
図4B】血液のカラムに適用される
図4Aに示されるシステムの音響力の4B−4Bに沿った概略断面図である。分離後の流体中の分析物の検出のために、赤血球は血漿から分離される。
【
図5A】検出器によってチャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出する、本発明に係るシステムの音響構造の他の実施形態の概略図である。検出器は、検出領域において音響トランスデューサと一体化され、粒子は流体から分離される。
【
図5B】血液のカラムに適用される
図5Aに示されるシステムの音響力の、5b−5bに沿った概略断面図である。定在波の1周期がマイクロチャネルに導入されると2つの圧力ノードが形成されて粒子がその圧力ノードの方へと動かされることで、赤血球は血漿から分離され、分離された流体中の分析物を検出することが可能になる。
【
図6】チャネルの検出器領域に配置された検出器、チャネル内の第1の音響領域に配置された音響トランスデューサ、及びチャネル内の第2の音響領域に配置された他の音響トランスデューサによって、チャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出する、本発明に係るシステムの音響構造の他の実施形態の概略図である。
【
図7】第1及び第2の音響トランスデューサ領域の下流にある第1の検出器領域に配置された検出器によってチャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出する、本発明に係るシステムの音響構造の他の実施形態の概略図である。
【
図8A】検出器領域に配置された検出器、及び音響トランスデューサであって、トランスデューサによる力が流体の流れに対して水平又は横方向に適用される
図1〜7のシステムとは対照的に、垂直方向に沿って音響力を導入する音響トランスデューサによって、チャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出する、本発明に係るシステムの音響構造の他の実施形態の概略図である。
【
図8B】血漿から赤血球を分離するために血液のカラムに加えられる
図8Aに示されるシステムの音響力の、8b−8bに沿った概略断面図である。
【
図9】検出器領域に配置された検出器、トランスデューサ領域のトランスデューサ、及び赤血球を捕獲するための少なくとも1つのポートによって、チャネル内の粒子を含む流体中の分析物を検出する、本発明に係るシステムの音響構造の他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に記載の本発明は、全血などの複合流体及び数ナノメートルから数百ミクロンのサイズ範囲の粒子を含む他の流体中の分析物の分析に幅広く必要とされる、マイクロ流体デバイス、音響トランスデューサ及び検出装置を一体化することで、全血中の分析物を検出し測定する、システム及び方法を対象とする。標的分析物としては、これらに限定されないが、ブドウ糖、乳酸塩、ナトリウム、カリウム、塩化物、ヘモグロビン、トロポニンI、コレステロール及び凝固因子が挙げられる。
【0026】
本明細書に開示される本発明は、これらに限定されないが、遊離ヘモグロビンを含む、全血中の分析物の検出及び測定のための既存のシステムよりも優れた少なくとも以下にある利点を有する。ヘモグロビンは、分析を受ける血液サンプルの溶血の指標として使用することができる。
・1つの工程で、単一の一体化されたデバイスにより、流体が止められている間あるいは流体が流れている間に流体の局所的な領域内に連続的に音響力を加え、止められている又は流れている流体から粒子が分離されている流体中の分析物を検出器によって測定することで、微粒子担持流体における粒子分離効率が向上すること、
・流れている又は止められているサンプル中の微粒子及び流体を1つの工程で分離する、すなわち、例えば細胞である粒子を単一段階で分離し、「流れている間の分離」に使用されている多段階分離の必要がないこと、
・分析測定のために血漿を収集するための別個のデバイス、例えば遠心分離機又はフィルタ、又は収集された血漿を分析する別個の分析物検出デバイスを省略することができること、
・音響力を加えてから分析物を分析した後に、分離されている例えば赤血球(RBC)を
元に戻して全血を再構成し、血液の完全性、例えば、ヘマトクリット値、血液成分、RBCの完全性を維持することができること、
・全血の他の測定値、例えば全血の粘性について、血漿及びRBCを追加的に再混合する必要なしに、(粒子が可逆的に分離されるので)全血サンプルを再利用することができること、
・分析に必要なサンプル量が、1マイクロリットル〜10ミリリットルと、少量ですむこと、
・本発明に係るマイクロ流体デバイスにおける、音響手段(acoustics)、流体手段(fluidics)、及び例えば光学検出器である検出器の製造及び動作が単純であること。
【0027】
本明細書に開示される本発明の大きな利点は、はじめに血漿を収集し、それから収集した血漿において分析を行う必要なく、1つの工程で、全血サンプルから血漿を分離しサンプル中の分析物を検出する装置及び方法である。血漿は、マイクロチャネル内で可逆的に分離され、したがって全血の細胞内容物(cellular content)から収集されない。分離された血漿は、収集工程、又は対象の分析物のための別個の独立した臨床分析機器において収集した血漿の分析を必要とする工程なしに、一体化された検出器において分析される。
【0028】
本明細書で使用されるような粒子とは、これらに限定されないが、赤血球、白血球、血小板、バクテリア、ウイルス及び他の病原菌などの細胞を含む、サイズが10nm〜1.5ミリメートルの範囲内のあらゆる微粒子物質を示す。
【0029】
複合粒子担持流体の分析のための開示システムの特定の非限定的な適用は、ヘルスケア分野における臨床診断に関連する。例えば、本明細書に記載の本発明は、血漿の分離及び血漿の収集を達成するために、全血サンプルを保持するマイクロチャネル以外の容器内で患者の全血サンプルを遠心分離する又は濾過する必要をなくす。本発明に係るシステムは、例えば、救急治療、心疾患治療、救命救急室、又は戦闘地域にある軍の病院などにおけるポイントオブケア環境において、例えば臨床分析機器における独立した検出器又は遠心分離機である、追加の機器の必要性をなくすことで、サンプル処理量を向上させる。
【0030】
本発明によれば、
図3A及び
図3Bに示される一実施形態を参照すると、システム10は、微粒子担持流体、例えば全血サンプルを、例えば約50nm〜1.5mmの範囲内の直径を有するマイクロチャネル12に受け入れる、マイクロ流体デバイスを含む。システム10に組み込まれた、音響トランスデューサ20、又は一対の音響トランスデューサ20a、20b、又は音響トランスデューサのアレイ20nは、マイクロチャネル12内の全血の静止した(抑制された)又は流れるカラム26に対して横方向に加えられる音響力24を生成する。音響トランスデューサ20nによって生成される音響力24は、これらに限定されないが、周波数が約2KHz〜2GHzの範囲内の、超音波、表面音響波、バルク音響波などを含む。音響力によって、マイクロチャネル12内の(血漿とRBCの物理的特性が異なることにより)血漿28から赤血球(RBC)27が分離される。赤血球27がマイクロチャネル12内の流体カラム26内で分離される間に、全血サンプル中の血漿28は、例えばヘモグロビンである対象の標的分析物について、光学装置又はセンサのような一体化された検出器19によって分析される。全血サンプルのカラム26が、フローマイクロチャネル12内のカラム26の一部分において血漿28に、他の部分において細胞27に分離される間に、検出器19によって測定が行われるので、本発明に係るシステム10は、操作者による汚染という潜在的に高いリスクをなくすことによって、従来技術よりも優れた利点を有し、本発明によらなければ、別個の臨床分析装置において行われる分析のために、まず全血を遠心分離する又は濾過して血漿を収集するという、処理量を制限する工程が必要となる。
【0031】
特定の一実施形態では、連続流れ法とは対照的に、抑制流れモードによって、微粒子の分離の効率及びオンチップ検出装置の一体化が促進される。この実施形態では、本発明に係るシステム10は、音響力がマイクロチャネル12内の抑制された微粒子担持流体サンプルに加えられる間の一定時間、これらに限定されないが、ポンプ、バルブ、流れレギュレータ、圧縮機及びプロセッサ(図示せず)などのハードウェアによって分離/検出マイクロチャネル12内の血液のような流体の流れを抑制する流体流れ抑制部(図示せず)を含む。血流を抑制することで、加えられる音場内におけるサンプルの滞留時間が増加する。指定領域、すなわちマイクロチャネルの検出領域における粒子の連続的な分離が達成される。
【0032】
さらに、流体サンプルにかかる音響力を解放することによって、複合流体媒体中の粒子の分離を元に戻すことができ、それによって、複合流体媒体、例えば血漿中の粒子、例えば細胞が再構成され、さらなる分析のために全血が再構成される。再構成された全血は、これらに限定されないが、他のマイクロチャネル、ポケット、ダイラテーション、チャンバ又はキャビティなどのリザーバ内にマイクロチャネル12と流体連通するように配置されるコレクタ内で捕らえられ得る。したがって、本発明に係るシステム10は、ポイントオブケア用途、並びに中央臨床検査室に容易に適用可能である。
【0033】
さらに、本発明に係るシステム10は、これらに限定されないが、心臓弁修復又は置換、肺血栓切除、中隔欠損修復、先天性心臓又は血管障害、及び血栓内膜摘出術など、心肺バイパスを必要とする外科処置の間に、血液分析物を連続的に監視するように、人工心肺装置の体外血液路に組み込むことができる。本発明に係るシステムは、生命維持を受ける重度の先天性障害を持つ幼児の体外血液路に使用することもでき、又は、臓器移植を必要とする患者及びそれを待つ患者を維持するのに血液を酸素化するのに使用することもできる。
【0034】
溶血反応の検出に加えて、本発明に係るシステム及び方法は、さらに、以下の分野である、
・例えばビーズベース(bead-based)のウイルス検出、又はバクテリア検出など、リポータビーズ(reporter bead)を用いた、粒子ベースの化学アッセイの分野、
・血液サンプル中、他の体液サンプル中、又はこれに限定されないが腫瘍などの組織から得られる細胞分画中の循環腫瘍細胞(CTC)など、細胞懸濁液を用いた他の細胞ベースア
ッセイの分野、
でも使用可能である。
【0035】
本発明に係るシステムの様々な実施形態の例
図3A及び
図3Bは、対象の標的分析物についての、全血などの複合粒子担持流体(複合流体)16の分析のための本発明に係るシステム10の全体的な原理及び一実施形態を示している。システム10は、マイクロ流体デバイス構造22を含む。マイクロ流体デバイス構造22は、1つ又は複数のマイクロチャネル12と、複合粒子担持流体16の導入のための少なくとも1つのマイクロチャネル12と流体連通する少なくとも1つのサンプルポート14とを含む。マイクロチャネル12は、複合粒子担持流体16中の分析物を検出する少なくとも1つの検出器19、及び少なくとも1つの検出場所18又は領域を含む。少なくとも1つの音響トランスデューサ20は、マイクロ流体デバイス22に組み込まれ、音響波24を、マイクロチャネル12の検出器領域18内の、例えば全血である複合流体16のカラム26内へと送る。検出器19による標的分析物の分析のために、流体カラム16の検出器領域18に加えられる音響力24によって、複合流体16中の粒子27、例えばRBC27が分離され、検出器領域18内に、例えば血漿である、実質的に粒子を含まない流体28が生成される。
【0036】
図3A及び
図3Bを引き続き参照すると、一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、
図3Aに示されるように、対象の分析物の検出のために、マイクロチャネル12内の検出器領域18において音響トランスデューサ20に組み込まれる。
図3Bは、全血のカラム16内のRBC27をマイクロチャネル12の両側11へと動かす、本発明に係る、
図3Aに示されるマイクロチャネル内における音響力24の断面図である。検出器19による分析は、流れが抑制されている間、あるいは、実質的に粒子を含まない流体28がマイクロチャネル12内を移動している間に、実質的に粒子を含まない流体28において実施される。具体的に、溶血(遊離ヘモグロビン検出)の場合の、他の血液成分と対比させたヘモグロビンの光吸収スペクトルが、
図3Cに示されている。
【0037】
上述したように、流体サンプルにかかる音響力を解放することによって、RBCの分離を元に戻すことができ、それによって、全血は、再構成され、全血を収集し保持するための例えば管、ベッセル、バッグ又はチャンバなどの下流のコレクタ内に収集され得る。
【0038】
図4A及び
図4Bは、標的分析物の検出及び分析のために、例えば全血からRBCを粒子分離し、例えば血漿である、流体分析のための実質的に粒子を含まない流体を生成するための音響構造システム10の他の実施形態を示している。マイクロチャネル12の幅は、例えば、約50nm〜1.5ミリメートル、好ましくは5マイクロメートル〜1ミリメートルの範囲内であってよい。この構造で使用される音響波24は、周波数が2KHz〜2GHzの範囲内の、例えば、超音波、表面音響波、バルク音響波であってよい。
【0039】
一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、対象の分析物の検出のため、マイクロチャネル12内の検出器領域18に配置される。
【0040】
図4Aに示されるこの実施形態では、複合流体16は、マイクロチャネル12と流体連通するサンプルポート14を介して導入される。複合流体16は、マイクロチャネル12内の流体カラム26を満たし、それを形成する。音響トランスデューサ20及び分析物検出器19は、マイクロチャネル内の検出領域18において一体化され、音響波24を例えば全血のカラムである複合流体16のカラム26内へと送り、流体カラム26内の標的分析物を検出及び分析する。
【0041】
検出器19による分析は、流れが抑制されている間、あるいは、実質的に粒子を含まない流体28がマイクロチャネル12内を移動している間に、実質的に粒子を含まない流体28において実施される。一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサを含む検出器19は、対象の分析物の検出のために、マイクロチャネル12内の検出器領域18において音響トランスデューサ20に組み込まれる。
【0042】
図4Bは、音響力24を受けて
図4Aに示されるマイクロチャネル12の中心へと動かされるRBC27の断面図である。音響定在波がマイクロチャネル12へと導入されると音響力24によってRBC27がマイクロチャネル12の中心へと移動され、それによってマイクロチャネル壁11に近い領域に無細胞の血漿28が残る。この実施形態では、壁11に近い領域を分析物測定に使用することができる。
【0043】
上述したように、流体サンプルにかかる音響力を解放することによって、RBCの分離を元に戻すことができ、それによって、全血は、再構成され、全血を収集し保持するための例えば管、ベッセル、バッグ又はチャンバなどの下流のコレクタ内に収集され得る。
【0044】
図5A及び
図5Bは、標的分析物の検出及び分析のために、例えば全血中のRBCを粒子分離し、例えば血漿である、流体分析のための実質的に粒子を含まない流体を生成するための音響構造システム10の他の実施形態を示している。
【0045】
図5Aに示されるこの実施形態では、複合流体16は、マイクロチャネル12と流体連通するサンプルポート14を介して導入される。複合流体16は、マイクロチャネル12内の流体カラム26を満たし、それを形成する。音響トランスデューサ20及び検出器19は、マイクロチャネル内の検出領域18において一体化され、音響波24を例えば全血である複合流体16のカラム26内へと送り、流体カラム26内の標的分析物を検出及び分析する。
【0046】
検出器19による分析は、流れが抑制されている間、あるいは、実質的に粒子を含まない流体28がマイクロチャネル12内を移動している間に、実質的に粒子を含まない流体28において実施される。
【0047】
図5Bは、
図5Aに示されるマイクロチャネル12の断面図であり、音響波24に応答してマイクロチャネル12内でRBC27が分配されることを示している。この実施形態において、定在波の1周期がマイクロチャネル12へと導入されると、流体カラム26内に2つの圧力ノード40a、40bが形成される。RBC27は、圧力ノード40a、40bの方へと動かされ、それによって、マイクロチャネル12の中心29の領域とマイクロチャネルの壁11の隣の領域に無細胞血漿28が残る。
【0048】
分析物検出は、無細胞の血漿の領域内で行われる。一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、
図3Aに示されるように、対象の分析物の検出のために、マイクロチャネル12内の検出器領域18において音響トランスデューサ20に組み込まれる。
【0049】
上述したように、流体サンプルにかかる音響力を解放することによって、RBCの分離を元に戻すことができ、それによって、全血は、再構成され、全血を収集し保持するための例えば管、ベッセル、バッグ又はチャンバなどの下流のコレクタ内に収集され得る。
【0050】
図6は、標的分析物の検出及び分析のために、例えば全血中のRBCを粒子分離し、例えば血漿である、流体分析のための実質的に粒子を含まない流体28を生成するための音響構造システム10の他の実施形態を示している。
【0051】
この実施形態では、複合流体16は、マイクロチャネル12と流体連通するサンプルポート14を介して導入される。複合流体16は、マイクロチャネル12内の流体カラム26を満たし、それを形成する。音響トランスデューサ20a、20bはそれぞれ、音響領域21a、21bに配置され、音響波24a、24bを、例えば全血である複合流体16のカラムにそれぞれ送る。
【0052】
RBCは、音響力24aによって、マイクロチャネル12の壁11の方に向かって移動される。流体がマイクロチャネル12内をさらに下方に流れると、音響力24aによって分離されたRBCは、マイクロチャネル12から出て1つ又は複数の粒子出口チャネル42a、42b(42n)に入る。
図6に示されるように、第1及び第2のマイクロ流体マイクロチャネル12a、12bは、直列に構成される。第1及び第2のマイクロ流体マイクロチャネル12a、12bは、それぞれ第1及び第2の音響トランスデューサ20a、20bを備える第1又は第2の音響領域21a、21bを有する。
【0053】
音響力24が加えられることで第1のマイクロチャネル12a内の第1の音響領域21aで粒子27が分離されて第1の実質的に粒子を含まない流体28aが生成された後、実質的に粒子を含まない部分が第2のマイクロチャネル12bに流入し、粒子は、さらに、第2のマイクロチャネル12bの第2の音響領域21b内で第2の音響トランスデューサ20bによって流体カラム26から分離される。システム10のこの実施形態では、全血のような複合流体中の粒子は、第2の音響領域21b内で音響力24bによってさらに分離され、それによって、標的分析物の検出及び分析のために、血漿のようなさらなる実質的に粒子を含まない流体が得られる。検出器19による分析は、第1の音響領域21a及び第2の音響領域21bを通過した後、流体が流れている間又は抑制されている間に、検出器領域18内で第2の粒子を含まない流体28bにおいて行われる。
【0054】
一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、第2の粒子を含まない流体28b中の対象の分析物の検出のために、すぐ下流にある音響領域21bにおける第2のマイクロチャネル12bの検出器領域18内に配置される。
【0055】
図7は、標的分析物の検出及び分析のために、全血中の例えばRBCを粒子分離し、例えば血漿である、分析のための実質的に粒子を含まない流体を生成するためのシステム10の音響構造の他の実施形態を示している。
【0056】
図7に示される実施形態では、複合流体16は、マイクロチャネル12と流体連通するサンプルポート14を介して導入される。複合流体16は、マイクロチャネル12内の流体カラム26を満たし、それを形成する。2つ以上の音響トランスデューサ20a、20bは、1つずつ音響領域21a、21bを含み、単一のマイクロチャネル12に沿って直列に構成される。
【0057】
図7に示される実施形態では、複合流体16は、2回、つまりマイクロチャネル12の第1の音響領域21aで1回目、マイクロチャネル12の第2の音響領域21bで再び2回目分離され、それによって、標的分析物の検出及び分析のために、単一のマイクロチャネル12内で血漿のような粒子を含まない流体28が得られる。
【0058】
音響領域21nの下流の位置における検出器19による分析は、流体が流れている間又は抑制されている間に、実質的に粒子を含まない流体28において行われ得る。一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、対象の分析物の検出のために、マイクロチャネル内の検出器領域に配置される。
【0059】
上述したように、流体サンプルにかかる音響力を解放することによって、RBCの分離を元に戻すことができ、それによって、全血は、再構成され、全血を収集し保持するための例えば管、ベッセル、バッグ又はチャンバなどの下流のコレクタ内に収集され得る。
【0060】
図8Aは、標的分析物の検出及び分析のために、例えば全血中のRBCを粒子分離し、例えば血漿である、流体分析のための実質的に粒子を含まない流体を生成するためのシステム10の音響構造の他の実施形態を示している。
【0061】
この実施形態では、複合流体16は、マイクロチャネル12と流体連通するサンプルポート14を介して導入される。複合流体26は、マイクロチャネル12内の流体カラム26を満たし、それを形成する。
【0062】
図8Bは、音響力24が、音響トランスデューサ20によって垂直方向に沿って導入されることを示している。RBCのような粒子は、マイクロチャネル12の上層32に分離され、血漿のような実質的に粒子を含まない流体28は、マイクロチャネル12の底部34にとどまる。この構造によって、実質的に粒子を含まない流体28は、溶血の検出のために、ヘモグロビンなどの標的分析物の分析のために分離される。音響構造によって、実質的に粒子を含まない流体28は、上層32、中間層36、又はマイクロチャネル12の垂直軸に沿ったいくつかの位置に分離されてもよい。
【0063】
検出器19による分析は、流体が流れている間又は抑制されている間に、実質的に粒子を含まない流体28において行われ得る。一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、対象の分析物の検出のため、マイクロチャネル内の検出器領域18に配置される。
【0064】
上述したように、流体サンプルにかかる音響力を解放することによって、RBCの分離を元に戻すことができ、それによって、全血は、再構成され、全血を収集し保持するための例えば管、ベッセル、バッグ又はチャンバなどの下流のコレクタ内に収集され得る。
【0065】
図9は、標的分析物の検出及び分析のために、例えば全血中のRBCを粒子分離し、例えば血漿である、流体分析のための実質的に粒子を含まない流体を生成するための音響構造システム10の他の実施形態を示している。
【0066】
図9に示される実施形態では、複合流体16は、マイクロチャネル12と流体連通するサンプルポート14を介して導入される。複合流体16は、マイクロチャネル12内の流体カラム26を満たし、それを形成する。音響による分離は、マイクロチャネル12の第1の音響領域21aで行われる。音響による分離は、音響トランスデューサ20によって音響力24が流体カラム26内へと送られる結果として起こる。実質的に粒子を含まない流体28は、全血サンプル中の溶血の検出のために、カラム26内を検出器領域18の方へと流れ、その間、複合流体16内のRBCのような粒子27は、分離され出口ポート42a、42bの方へと流れる。
【0067】
一般的にLED、分光計、フォトダイオード及び関連の光学部品を含む、従来の測光検出装置、従来の蛍光測定システム、時間分解蛍光測定システムなど、光学検出器/送信器又はセンサなどの検出器19は、対象の分析物の検出のために、マイクロチャネル12内の検出器領域18に配置される。血漿のような粒子を含まない流体は、血漿チャネルを通って、粒子出口ポート42a、42bとは別個の血漿出口ポート38の方へと流れる。
【0068】
本発明のさらに他の実施形態では、上記の実施形態において述べたマイクロチャネル12内の多数の検出器領域18nは、全血のような複合流体中の多数の標的分析物の分析のために、音響デバイス20及び検出器19に関連付けられ、各標的分析物は、検出器領域18nのうちの1つにおいて検出される。