特許第6823712号(P6823712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6823712マイクロ流体デバイスのための流体流制御器の改良またはそれに関する改良
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823712
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイスのための流体流制御器の改良またはそれに関する改良
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20210121BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   B01J19/00 321
   G01N37/00 101
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-511914(P2019-511914)
(86)(22)【出願日】2017年9月1日
(65)【公表番号】特表2019-529081(P2019-529081A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】GB2017052552
(87)【国際公開番号】WO2018042190
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年6月16日
(31)【優先権主張番号】1614904.9
(32)【優先日】2016年9月2日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518296506
【氏名又は名称】フルイディック・アナリティクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ノウルズ,ツォーマス・ペルッティ・ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リン,アンドリュー
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/118138(WO,A1)
【文献】 特表2013−527022(JP,A)
【文献】 特開2008−122233(JP,A)
【文献】 米国特許第06637463(US,B1)
【文献】 国際公開第2016/010861(WO,A1)
【文献】 実開平02−040441(JP,U)
【文献】 特開2007−136253(JP,A)
【文献】 実開昭53−145894(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00−12/02、
14/00−19/32、
4/00− 7/02
G01N 35/00−37/00
B81B 1/00− 7/04
B81C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体デバイスへ流体を導入するための流体流制御器(10)であって、
前記制御器は、
前記制御器への入口ポートと前記マイクロ流体デバイスへの接続ポートとの間に設けられる、高抵抗流体経路(12)と、
前記入口ポートと前記接続ポートとの間の低抵抗流体経路(14)であって、前記低抵抗流体経路(14)の抵抗が、前記高抵抗流体経路(12)の抵抗よりも少なくとも10倍小さい、低抵抗流体経路(14)と、
を備え、
前記制御器は、前記低抵抗流体経路(14)を通る、流体流を可能にするように構成される、少なくとも1つの弁(20)を更に備える、
制御器。
【請求項2】
前記高抵抗流体経路(12)および前記低抵抗流体経路(14)の抵抗が、以下:前記経路の断面積、前記経路の長さおよび前記経路の表面粗さ、のうちの1つまたは複数によって規定される、請求項1に記載の制御器。
【請求項3】
前記高抵抗流体経路(12)が、1つまたは複数の入口ポートを、1つまたは複数の接続ポートに連結する経路網内の1つの経路である、請求項1または2に記載の制御器。
【請求項4】
高抵抗流体経路(12)が、対応する低抵抗流体経路(14)を有する、請求項1または2に記載の制御器。
【請求項5】
複数の高抵抗流体経路(12)および複数の低抵抗流体経路(14)が配列して設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御器。
【請求項6】
前記高抵抗流体経路(12)および前記低抵抗流体経路(14)の前記配列を制御するための複数の弁を含むマニホールドを更に備える、請求項5に記載の制御器。
【請求項7】
前記高抵抗流体経路(12)が、1mbar/μl/hと1000mbar/μl/hとの間の抵抗を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の制御器。
【請求項8】
前記低抵抗流体経路(14)が、1×10−5mbar/μl/hrの範囲乃至100mbar/μl/hrの範囲の抵抗を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の制御器。
【請求項9】
前記弁が、前記低抵抗流体経路(14)だけを閉じるように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の制御器。
【請求項10】
チップへの接点として提供される、請求項1からのいずれか一項に記載の制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流制御器の改良またはそれに関する改良に関し、特に、マイクロ流体デバイスへの流体の流れを制御するための流体流制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイスは、多くの所望の機能、例えば蛋白質、炭水化物またはDNAなどの非常に少量の生体または化学試料および試薬を使用する能力を提供する。加えて、マイクロ流体デバイスは、試料または試薬内に含まれる流体を高分解能および感度で解析、分離および検出する能力も有する。
【0003】
マイクロ流体デバイスへ流体を導入する際に、流体処理、ポンピングおよび操作が、しばしば重要な役割を果たす。大抵のマイクロ流体デバイスにおいて、流体経路に圧力を加えることまたは流動ポンプを使用することなどの、外部手段によって、流体流が操作されることができる。
【0004】
圧力は、マイクロ流体デバイスにおいて、圧力作動器を用いて、正確かつ精密に制御されることができる。しかしながら、マイクロ流体デバイスにおいて流量を制御することは、しばしば難題となり得る。この課題は、安価なマイクロ流体チップを使用するときに悪化される可能性がある。
【0005】
マイクロ流体デバイスにおいて流体の流量を制御することは、流動ポンプを用いて達成されてもよい。しかしながら、流動ポンプは、典型的に所望の流体流の変化への応答が遅い。例えば、マイクロ流体デバイス内で流量の変化が生じるために数分かかり得る。
【0006】
加えて、流体の流れを制御することは、流体経路の大きな抵抗を上回る圧力を加えることを含む場合がある。しかしながら、大きな抵抗が流路を通る流体の流量を減少させることがあるので、これは、しばしば時間のかかる工程であり得る。
【0007】
本発明が生まれたのは、この背景に対してである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、マイクロ流体デバイスへ流体を導入するための流体流制御器であって、入口ポートと接続ポートとの間に設けられる少なくとも1つの高抵抗流体経路と;入口ポートと接続ポートとの間の少なくとも1つの低抵抗流体経路と;高抵抗流体経路、低抵抗流体経路もしくは両方を通る、またはいずれも通らない流体流を可能にするように構成される少なくとも1つの弁と、を備える制御器が提供される。
【0009】
流体流制御器は、マイクロ流体デバイスへ流体を導入するために使用されることができるが、それが1つもしくは複数の高抵抗流体経路および/または1つもしくは複数の低抵抗流体経路を通る流体の流れを制御するための手段を提供することができると、特に有利である。
【0010】
通常動作では、流体は高抵抗経路を通って流れる。しかしながら、デバイスをバイパスすることが望まれる場合、低抵抗流体経路へのアクセスが可能にされることができる。これは、さもなければ高抵抗流体経路を通って流れたであろう流体が、代わりにバイパスまたは低抵抗流体経路を通って流れることを許容する。
【0011】
いくつかの実施形態において、低抵抗流体経路へのアクセスが可能にされるとき、高抵抗流体経路は閉じられる。この構成は、流体の全てが高抵抗経路を完全にバイパスすることを確実にする。
【0012】
いくつかの実施形態において、低抵抗流体経路へのアクセスが可能にされるとき、高抵抗流体経路はアクセス可能なままであるが、しかし抵抗の差の結果として、流体は優先的に低抵抗流体経路を通って流れることになる。しかしながら、流体の僅かな一部が高抵抗流体経路を通って流れることになり、したがって同じ流体が全ての経路を通って流れていることを確実にし、かつデバイスのいかなる部分にも気泡が入らないことを確実にする。
【0013】
高抵抗流体経路および低抵抗流体経路の抵抗は、以下:経路の断面積、経路の長さおよび経路の表面粗さの他、流体の粘度のうちの1つまたは複数によって規定されてもよい。いくつかの実施形態において、低抵抗経路の断面積は0.1mm〜2mmであってもよく、そして低抵抗経路の長さは1および1000mmの間、例えば長さ100mmであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の入口ポートを1つまたは複数の接続ポートに連結する高抵抗流体経路の相互連結網が設けられる。
【0015】
いくつかの実施形態において、各高抵抗流体経路は、対応する低抵抗流体経路を有する。この実施形態は、異なる高抵抗経路が異なる流体を運搬しており、かつそれらの高抵抗経路の各々がバイパスされる必要がある場合に、特に有用である。各高抵抗経路に対して別個の低抵抗経路を設けることは、流体が低抵抗経路で混ざることなく高抵抗経路の全てがバイパスされることができることを意味する。
【0016】
複数の高抵抗流体経路および複数の低抵抗流体経路が配列して設けられてもよい。複数の高抵抗流体経路および複数の低抵抗流体経路がマイクロ流体チップに接続すると、それが数種の流体の流量を制御するために使用されることができるので、有利であり得る。
【0017】
制御器は、流体経路の配列を制御するための複数の弁を含むマニホールドを更に備えてもよい。マイクロ流体デバイスとの関連では、弁は、それらによってマイクロ流体デバイスが複雑な流体処理手順を行うために使用されることを可能にすることができるという点で有利である。例えば、弁は、流体経路の配列を通って流れる流体の方向を制御するために使用され得る。
【0018】
複数の弁は、それが、流体が1つまたは複数の流体経路を部分的または完全にバイパスすることを可能にするために使用されることができるので、特に有利である。いくつかの実施形態において、弁は開かれて、流体が低抵抗流体経路を通って流れることを許可し、それによって流体が高抵抗流体経路を部分的または完全にバイパスすることを可能にしてもよい。いくつかの実施形態において、弁は閉じられて、流体が高抵抗流体経路だけに沿って流れることを可能にしてもよい。他の実施形態において、弁は、低抵抗流体経路に設けられて、高抵抗流体経路および低抵抗流体経路の両方を通る流体の流れを許可してもよい。
【0019】
低抵抗流体経路の抵抗はチップの抵抗よりも数桁小さく、例えば100000倍まで小さくなることができる。高抵抗流体経路の抵抗はチップ抵抗よりも数桁大きく、例えば3および3000倍の間で大きくなることができる。
【0020】
例えば、低抵抗流体経路は、チップ抵抗よりも1000倍小さい抵抗を有してもよく、そして高抵抗流体経路は、チップ抵抗よりも100倍大きい抵抗を有してもよい。
【0021】
高抵抗流体経路は1mbar/μl/hと1000mbar/μl/hとの間の抵抗を有してもよい。低抵抗流体経路は1×10−5mbar/μl/hrの範囲乃至100mbar/μl/hrの範囲の抵抗を有してもよい。
【0022】
バイパスの使用は、高抵抗流体経路が流れ制御のために使用されることができるように低精度チップを配備したシステムに特に適切である。
【0023】
低抵抗流体経路の抵抗は、高抵抗流体経路の抵抗よりも1〜10,000,000倍小さくできる。
【0024】
いくつかの実施形態において、高抵抗流体経路は1mbar/μl/h〜1000mbar/μl/hの抵抗を有してもよく、またはそれは100、200、400、800もしくは1000mbar/μl/hを超えてもよい。いくつかの実施形態において、高抵抗流体経路は1000、800、400、200、100または50mbar/μl/h未満の抵抗を有してもよい。好ましくは、高抵抗流体経路は10mbar/μl/hの抵抗を有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、低抵抗流体経路は0.00001mbar/μl/h〜100mbar/μl/hの抵抗を有してもよく、またはそれは0.0001、0.001、0.01、0.1、1、10もしくは100mbar/μl/hを超えてもよい。いくつかの実施形態において、低抵抗流体経路は100、50、10、1、0.1、0.01、0.001または0.0001mbar/μl/h未満の抵抗を有してもよい。好ましくは、低抵抗流体経路は0.001mbar/μl/hの抵抗を有する。
【0026】
弁は、低抵抗流体経路だけを閉じるように構成されてもよい。低抵抗流体経路だけを閉じることによって、それは、1種もしくは複数種の流体が低抵抗流体経路を通って流れることを防止する手段を提供してもよく、かつ/またはそれは、1種もしくは複数種の流体を低抵抗流体経路から高抵抗流体経路に流れるように管理してもよい。
【0027】
好ましくは、本発明に開示される流体流制御器は、マイクロ流体チップへの接点として提供される。
【0028】
本発明は、ここで、単に例としてかつ添付図面を参照しつつ、更にかつより詳細に記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】低抵抗流体経路上の弁が閉じた、マイクロ流体チップに適用される、本発明に係る流体流制御器を示す図である。
図1B】低抵抗流体経路上の弁が開いた、マイクロ流体チップに適用される、図1Aに係る流体流制御器を示す図である。
図2】マイクロ流体チップに適用される、図1Aおよび1Bに係る複数の流体経路を図示する。
図3A】本発明の流体流制御器の側面図である。
図3B】流体流制御器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1Aを参照すると、マイクロ流体デバイス22へ流体を導入するために使用される流体流制御器10が図示される。流体流制御器10は、入口ポート16と、流れ制御器からの出口と共にマイクロ流体デバイス22への接続を提供する接続ポート18との間に設けられる、少なくとも1つの高抵抗流体経路12を備える。
【0031】
流体流制御器は、入口ポート16と接続ポート18との間の少なくとも1つの低抵抗流体経路14;および高抵抗流体経路12、低抵抗流体経路14または両方を通る流体流を可能にするように構成される少なくとも1つの弁20も備える。各高抵抗流体経路は、流体が同じ入口ポートまたは接続ポートに流れることを可能にするために、対応する低抵抗流体経路を有する。
【0032】
図1A、1Bおよび2に例示されるマイクロ流体チップ22は、1つまたは複数の高抵抗流体経路12および1つまたは複数の低抵抗流体経路14を、1つまたは複数の結節点24で、結合するように構成される。結節点24は、図1A、1Bおよび2に図示される流体経路の、少なくとも1つの入口ポート16または少なくとも1つの接続ポート18の端に位置する。結節点24は、高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14を結合するための手段を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態において、チップ22の下流の構成は、例示される実施形態と異なってもよい。例えば、結節点24がなくてもよい。いくつかの実施形態において、結節点24が2つ以上あってもよい。特に、低抵抗流体経路および弁20が数個並列にあってもよい。したがって、接続ポート18の数が入口ポート16の数に一致する必要はないことが明らかなはずである。
【0034】
いくつかの実施形態において、高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14からの結合流体は、図1A、1Bおよび2に例示されるマイクロ流体チップに向かって更なる流体経路15に沿って流れ続ける。
【0035】
弁20は低抵抗流体経路に設けられる。使用中のとき、図1Aに例示されるように、弁は開かれて、流体が低抵抗流体経路14に沿ってかつマイクロ流体チップ22に向かって優先して流れることを可能にする。いくつかの例では、弁の開放は、流体が高抵抗流体経路にも低抵抗流体経路にも沿って流れることを可能にすることができる。したがって、使用中のとき、弁20は、流体流が高抵抗流体経路12を部分的または完全にバイパスすることを可能にするように構成される。本稿では、低抵抗流体経路へのアクセスを可能にするが、高抵抗流体経路を積極的には遮断しないことによって、部分的なバイパスは達成される。これらの状況下では、経路を通る相対流量は、経路の相対抵抗に関連があることになる。結果として、低抵抗経路へのアクセスが可能にされるや否や、高抵抗経路を通る流れはごく僅かしかないことになる。
【0036】
高抵抗流体経路を通る流体の流量は、しばしば遅くなり得、結果として、或る容積がマイクロ流体デバイスを通過するのにかかる時間は数分から数時間であり得る。これは、しばしば時間のかかる工程であり得る。対照的に、流体が低抵抗流体経路に沿って流れるのにかかる時間は著しく減少されて、流体が低抵抗流体経路に沿ってかつマイクロ流体チップへ流れるのに典型的に数秒から数分かかる。これは、例えば、マイクロ流体チップから急速に気泡を除去するために流体の速い流量が要求される状況では望ましいかもしれない。
【0037】
図1Bを参照すると、低抵抗流体経路14上で閉じた弁20が図示される。閉じた弁は、低抵抗流体経路に沿った流体の流れを部分的または完全に遮断するように構成される。結果として、流体は、マイクロ流体チップに向かって高抵抗流体経路に沿って流れることを強いられる。
【0038】
いくつかの実施形態において、低抵抗経路が、各低抵抗経路に弁を伴って、数個並列に設けられることができ、ここではデバイスは、低抵抗経路の各々が異なる流体を導入するように構成される。
【0039】
図3Aおよび3Bに図示されるように、結節点24は、小押しのけ容積および実質的にゼロ死容積を有してもよい。本明細書に開示されるように、かつ特に明記されない限り、用語「死容積」は、例えば流路外にある内部流体の一部分を指し、そして用語「押しのけ容積」は、裸で弁のない流体経路と比較して弁が提供する追加容積を指す。結節点24の死容積は実質的にゼロであり、そして総押しのけ容積は経路自体の容積だけである。したがって、結節点は、実質的にゼロ押しのけ容積を有すると考えられることができる。
【0040】
図2を参照すると、配列した複数の高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14が図示される。高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14は、マイクロ流体チップ22へ複数の流体を導入するために、図2に図示されるように、マイクロ流体チップ22に適用される。更には、複数の高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14は、流体流における、蛋白質または核酸などの生体成分の分離または解析を可能にしてもよい。
【0041】
図2に例示されるように、弁20は開かれて、流体が配列した低抵抗流体経路12に沿って流れることを可能にする。結果として、流体は、配列内の高抵抗流体経路14を部分的または完全にバイパスする。低抵抗流体経路の各々における流量は、高抵抗流体経路の各々における流量よりも大きいことになる。
【0042】
図1A、1B、2、3Aおよび3Bに例示される高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14の抵抗26は、流体経路に沿った流体の流れを制御するために設けられる。特に、高抵抗流体経路および低抵抗流体経路内の抵抗26の組合せが、高抵抗流体経路12、低抵抗流体経路14または両方内の、流量を制御するために使用される。高抵抗流体経路12および低抵抗流体経路14の抵抗26の組合せは、全流量を制御するためにも使用されてもよい。更には、2つ以上の弁20を含む構成では、流体の流れに対する制御を増強するために、弁は異なる時間に切り替えられることができる。流量を制御することは、生体もしくは化学反応を実行および制御するために、または例えば流体における成分を分離および解析するために、特に有益であり得る。
【0043】
図3Aおよび3Bを参照すると、低抵抗流体経路は矩形断面を有しており、0.1mm〜10mm間の直径を有してもよい。低抵抗流体経路の長さは1mmと1000mmとの間であってもよい。高抵抗流体経路の直径は0.001mmと0.5mmとの間であってもよく、そしてその長さは1〜2500mmの範囲内であってもよい。流体経路の例は、毛管経路または細管経路であってもよい。代替的に、流体経路は、円形、D形または正方形断面を有してもよい。
【0044】
図3Aおよび3Bに図示されるように、高抵抗流体経路の接続ポート18は、結節点24で低抵抗流体経路に接続される。流体経路に沿った流体の流れは、流体経路の抵抗によって規定されることができる。
【0045】
高抵抗流体経路12の抵抗26の値は高抵抗流体経路の幾何形状によって与えられる。低抵抗流体経路14の抵抗26の値は低抵抗流体経路の幾何形状によって与えられる。
【0046】
一例として、高抵抗流体経路および低抵抗流体経路の抵抗26は、以下:経路の断面積、経路の長さおよび経路の表面粗さのうちの1つまたは複数によって規定されることができる。いくつかの実施形態において、直径1mmかつ長さ100mmの低抵抗流体経路の抵抗は0.00001mbar/(μl/h)である。
【0047】
低抵抗流体経路の抵抗は、高抵抗流体経路の抵抗よりも3倍小さくなることができる。代替的に、低抵抗流体経路の抵抗は、高抵抗流体経路の抵抗よりも少なくとも10倍小さくなることができる。高抵抗流体経路は10mbar/μl/hの抵抗を有しており、低抵抗流体経路で与えられる0.001mbar/μl/hの抵抗と比較して大きい。
【0048】
流体流制御器10は、流体経路の配列を制御するための複数の弁を含むマニホールドを更に備えてもよい。
【0049】
マイクロ流体チップ内の高抵抗流体経路および低抵抗流体経路の数が実質的に変動してもよいことが認識されるであろう。高抵抗流体経路および低抵抗流体経路の抵抗は、マイクロ流体チップにおける正確で制御された流量を可能にする。低抵抗流体経路上の弁は、使用中のとき、1種または複数種の流体流が高抵抗流体経路をバイパスするのを許可するように構成される。
【0050】
本発明がいくつかの実施形態を参照しつつ例を通じて記載されたが、それが開示された実施形態に限定されないこと、および添付の特許請求の範囲で定められる本発明の範囲から逸脱することなく代替実施形態が構築され得ることが、当業者によって更に認識されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B