(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823721
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】電磁リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/24 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
H01H50/24 E
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-529310(P2019-529310)
(86)(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公表番号】特表2019-525444(P2019-525444A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】CN2017096675
(87)【国際公開番号】WO2018040872
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2019年2月12日
(31)【優先権主張番号】201610755861.X
(32)【優先日】2016年8月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519048160
【氏名又は名称】厦▲門▼宏▲発▼信号▲電▼子有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN HONGFA SIGNAL ELECTRONICS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】林 佳▲賓▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲斉▼岳
(72)【発明者】
【氏名】汪 志坤
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第201117581(CN,Y)
【文献】
特開2016−015296(JP,A)
【文献】
特開2013−196763(JP,A)
【文献】
特開平03−246846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ばね、ヨーク、及びコイルを含み、前記コイル内には、鉄コアが設けられ、ヨークは、L型であり、水平辺と、垂直辺とを備え、前記ヨークは、前記コイルの外側に設置され、且つ前記ヨークの水平辺は、前記鉄コアの底部と固定接続され、前記ヨークの垂直辺は、前記鉄コアの軸線と平行する電磁リレーであって、
前記ヨークの垂直辺における前記コイルに向く面には、射出成形により形成されるプラスチック層が設けられ、ヨークとコイルとの間に当該プラスチック層を絶縁的に設置させ、
前記ヨークの垂直辺における前記コイルと反対側の面には、射出成形により形成されるプラスチック凸起が設けられ、当該プラスチック凸起により前記可動ばねと固定接続されることを特徴とする電磁リレー。
【請求項2】
前記ヨークの垂直辺には、プラスチック凸起の位置に対応する第1の孔が設けられ、前記第1の孔には、射出成形により形成される第1のプラスチック体が設けられることを特徴とする請求項1に記載の電磁リレー。
【請求項3】
プラスチック層、プラスチック凸起、及び第1のプラスチック体の射出成形時のプラスチックゲートは、射出成形により形成されるプラスチック凸起の位置に位置することを特徴とする請求項2に記載の電磁リレー。
【請求項4】
前記ヨークの第1の孔の形状は、円形、正方形、三角形、楕円形または矩形であることを特徴とする請求項2に記載の電磁リレー。
【請求項5】
前記ヨークの垂直辺における前記コイルに向く面には、さらに凹溝が設けられ、前記プラスチック層は、前記凹溝に充填されることを特徴とする請求項1に記載の電磁リレー。
【請求項6】
前記プラスチック層におけるコイルに向く面と、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面とは、面一であることを特徴とする請求項5に記載の電磁リレー。
【請求項7】
前記プラスチック層におけるコイルに向く面は、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面よりも突出し、且つ突出する部分の厚みは、0.4mm以下であることを特徴とする請求項1または5に記載の電磁リレー。
【請求項8】
前記プラスチック層の高さは、コイルのコイルボビンの巻線窓口の縦方向の寸法よりも大きいであることを特徴とする請求項1に記載の電磁リレー。
【請求項9】
前記可動ばねには、ヨークの第1の孔の位置に対応する第2の孔が設けられ、前記ヨークのプラスチック凸起は、可動ばねの第2の孔に嵌合されて、可動ばねとヨークを固定接続させることを特徴とする請求項2に記載の電磁リレー。
【請求項10】
前記プラスチック凸起は、射出成形により形成されると共に、前記可動ばねの第2の孔から突出し、前記プラスチック凸起は、前記可動ばねの第2の孔から外部に突出する末端に、断面積が前記可動ばねの第2の孔の断面積よりも大きい固定部が形成され、前記固定部により、前記可動ばねの第2の孔の以外の可動ばね本体を全部または一部に覆うことによって、前記可動ばねと前記ヨークとの固定接続を実現することを特徴とする請求項9に記載の電磁リレー。
【請求項11】
前記プラスチック凸起は、前記可動ばねの第2の孔に挿設されると共に、前記可動ばねの第2の孔から突出し、前記プラスチック凸起の前記可動ばねの第2の孔から外部に突出する部分に対して熱かしめ処理を行うことによって、当該部分のプラスチック凸起が変形して外へ延在して延在部を形成し、前記延在部は、前記可動ばねの第2の孔の以外の可動ばね本体を全部または一部に覆って、前記可動ばねと前記ヨークを固定することを特徴とする請求項9に記載の電磁リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の技術分野に係り、特に、電磁リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の電磁リレーの構造を示す模式図であり、これは、リレー業界で広く使用される典型的な構造である。このような電磁リレーは、可動ばね101、ヨーク102、コイル103及びアーマチュア104を含む。ここで、ヨーク102は、L型であり、ヨーク102の水平辺とコイル103における鉄コアは、コイルの底部で互いに固定され、ヨーク102の垂直辺と鉄コアの軸線は、平行し、可動ばね101とアーマチュア104が一緒に組み立てられて可動ばねアーマチュアアセンブリを構成する。ヨーク102には、凸起1021が設けられ、可動ばね101には、孔が設けられ、可動ばね101の孔とヨーク102の凸起1021は、嵌合する。アーマチュア104は、ヨーク102のエッジ、即ち、ヨーク102の垂直辺の先端に設置され、可動ばねアーマチュアアセンブリとヨーク102は、圧力かしめにより固定される。このような電磁リレーは、ヨークとコイル(即ち、エナメル線)との間の絶縁(即ち、沿面距離)が不足である欠点を主に有する。
【0003】
上記の問題を解決するために、従来技術において採用されている方式は、主に、2つの方式を有する。1つの方式は、コイル(即ち、エナメル線)の外表面の全体にテープを被覆して、コイル(即ち、エナメル線)とヨークとの間の絶縁性能を増加させることである。ただし、このような方式は、一つの工程を増加するだけでなく、エナメル線の断線のりクスを招く恐れがある。もう1つの方式は、コイルとヨークとの間に絶縁テープまたはプラスチックシートを装入することである。
【0004】
図2は、プラスチックシートが従来の電磁リレーに装入される構造の模式図であり、
図2に示すように、ヨーク102とコイル103との間にプラスチックシート105が装入され、これにより、コイル(即ち、エナメル線)とヨークとの間の絶縁性能を向上させることができる。ただし、このような方式は、一つの工程を増加し、装着の難度が大きい、また、絶縁テープが巻き付く時にエナメル線を完全に被覆しにくい、または、プラスチックシートが完全に固定されない、使用または運搬中に揺れやすいため、絶縁効果の一致性を保証しにくい、また、装着空間を予め保留する必要があり、これは、エナメル線の巻線空間に影響し、製品の性能を向上することに不利である。
【0005】
なお、上記の背景技術に開示された上記の情報は、本発明の背景に対する理解を強化するためのものに過ぎず、当業者にとって公知の先行技術ではない情報を含むことができる。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の不足を克服するために、本発明は、ヨーク、及びヨークと可動ばねとの間の接続構造を改善することによって、巻線空間に影響を与えない場合、ヨークとコイルとの絶縁性能を向上させることができ、装着工程を有効に減少させることができる電磁リレーを提供することを目的とする。
【0007】
本発明がその技術問題を解決する技術案は、可動ばね、ヨーク、及びコイルを含み、前記コイル内には、鉄コアが設けられ、ヨークは、L型であり、水平辺と、垂直辺とを備え、前記ヨークは、前記コイルの外側に設置され、且つ前記ヨークの水平辺は、前記鉄コアの底部と固定接続され、前記ヨークの垂直辺は、前記鉄コアの軸線と平行する電磁リレーであって、前記ヨークの垂直辺における前記コイルに向く面には、射出成形により形成されるプラスチック層が設けられ、ヨークとコイルとの間に当該プラスチック層を絶縁的に設置させる電磁リレー。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記ヨークの垂直辺における前記コイルと反対側の面には、射出成形により形成されるプラスチック凸起が設けられ、当該プラスチック凸起により前記可動ばねと固定接続される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記ヨークの垂直辺には、プラスチック凸起の位置に対応する第1の孔が設けられ、前記第1の孔には、射出成形により形成される第1のプラスチック体が設けられる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、プラスチック層、プラスチック凸起、及び第1のプラスチック体の射出成形時のプラスチックゲートは、プラスチック凸起に位置する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記ヨークの第1の孔の形状は、円形、正方形、三角形、楕円形または矩形である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記ヨークの垂直辺における前記コイルに向く面には、さらに凹溝が設けられ、前記プラスチック層は、前記凹溝に充填される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記プラスチック層におけるコイルに向く面と、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面とは、面一である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記プラスチック層におけるコイルに向く面は、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面よりも突出し、且つ突出する部分の厚みは、0.4mm以下である。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記プラスチック層の高さは、コイルのコイルボビンの巻線窓口の縦方向の寸法よりも大きいである。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記可動ばねには、ヨークの第1の孔の位置に対応する第2の孔が設けられ、前記ヨークのプラスチック凸起は、可動ばねの第2の孔に嵌合されて、可動ばねとヨークを固定接続させる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記プラスチック凸起は、射出成形により形成されると共に、前記可動ばねの第2の孔から突出し、前記プラスチック凸起は、前記可動ばねの第2の孔から外部に突出する末端に、断面積が前記可動ばねの第2の孔の断面積よりも大きい固定部が形成され、前記固定部により、前記可動ばねの第2の孔の以外の可動ばね本体を全部または一部に覆うことによって、前記可動ばねと前記ヨークとの固定接続を実現する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記プラスチック凸起は、前記可動ばねの第2の孔に挿設されると共に、前記可動ばねの第2の孔から突出し、前記プラスチック凸起の前記可動ばねの第2の孔から外部に突出する部分に対して熱かしめ処理を行うことによって、当該部分のプラスチック凸起が変形して外へ延在して延在部を形成し、前記延在部は、前記可動ばねの第2の孔の以外の可動ばね本体を全部または一部に覆って、前記可動ばねと前記ヨークを固定する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記可動ばねと前記ヨークとの接触部位には、さらに、レーザ溶接により形成される溶融構造体が設けられ、前記可動ばねと前記ヨークは、前記溶融構造体により一体に接続される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記溶融構造体は、点状であり、複数の点状の溶融構造体は、一直線に並んでいる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記溶融構造体は、直線状である。
【0022】
従来技術に比べ、本発明は、以下の有益な効果があり、即ち、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面には、射出成形により形成されるプラスチック層が設けられ、ヨークとコイルとの間に当該プラスチック層を絶縁的に設置させ、コイルと反対側の面には、射出成形により形成されるプラスチック凸起が設けられ、当該プラスチック凸起により、可動ばねと互いに固定させる。本発明の当該構造は、巻線空間に影響を与えない場合、ヨークとコイルとの絶縁性能を向上させると共に、絶縁部品の位置精度を保証することができ、且つ、装着工程を有効に減少させることができる。。
【0023】
以下、図面及び実施形態を結合して、本発明をさらに説明するが、本発明の電磁リレーは、実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、従来技術の電磁リレーの構造の模式図である。
【
図2】
図2は、プラスチックシートが装入される従来技術の電磁リレーの構造の模式図であり。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電磁リレーにおけるヨークの射出成形前の構造の模式斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すヨークを他の角度から見た構造の模式斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示すヨークの射出成形後の構造の模式斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すヨークを他の角度から見た構造の模式斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5に示すヨークと可動ばねアーマチュアアセンブリが一体に射出成形される構造の模式斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すヨークと可動ばねアーマチュアアセンブリを他の角度から見た構造の模式斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る電磁リレーの構造の模式斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す電磁リレーを他の角度から見た構造の模式斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る電磁リレーにおけるヨークの構造の模式斜視図である。
【
図12】
図12は、
図11に示すヨークと可動ばねアーマチュアアセンブリが熱かしめにより一体に装着される構造の模式斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電磁リレーの構造の模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について詳細に説明する。なお、例示的な実施形態は、様々な形態で実施されることができ、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。逆に、これらの実施形態を提供することによって、本開示はより具体的な統合性を有するとともに、例示的な実施形態の構想を全面的に当業者に伝えることができる。図面において、同じ符号は、同一又は類似の部分を示しているため、それらについて重複する説明を省略する。
【0026】
第1の実施形態
図3〜
図10を示すように、本発明の第1の実施形態に係る電磁リレーは、可動ばね1、ヨーク2、コイル3、アーマチュア4、及びコイルボビン5を含む。ここで、コイルボビン5は、垂直に設けられる貫通孔を備え、当該貫通孔内には、鉄コア7が収容され、コイル3は、例えば、エナメル線であり、鉄コア7を包囲して設置される。可動ばね1とアーマチュア4が一緒に組み立てられて可動ばねアーマチュアアセンブリを形成する。ヨーク2は、L型であり、水平辺21と垂直辺22を備え、ヨーク2は、コイル3の外側に設置され、ヨークの水平辺21は、コイル3中の鉄コア7の底部に固定接続され、ヨーク2の垂直辺22は、鉄コア7の軸線と平行する。ヨーク2の垂直辺22は、ヨーク2とコイル3との間に追加的な絶縁層を形成するように、コイル3に向く面に、射出成形方式により形成されるプラスチック層61が設けられる。プラスチック層61に対してコイル3と反対側の面に、射出成形方式により形成される少なくとも1つのプラスチック凸起62が設けられ、これにょり、当該プラスチック凸起62により可動ばね1に固定接続される。本実施形態において、2つのプラスチック凸起62が設けられる。
【0027】
ヨーク2の垂直辺22には、プラスチック凸起62の位置に対応する第1の孔23が設けられ、前記第1の孔23内には、射出成形方式により形成される第1のプラスチック体が設けられる(図示せず)。
【0028】
本実施形態において、ヨーク2の第1の孔23の形状は、円形であり、もちろん、必要に応じて、第1の孔23は、正方形、三角形、楕円形、矩形または他の形状としてもよい。
【0029】
ヨーク2の垂直辺22において、コイル3に向く面には、さらに凹溝24が設けられ、前記プラスチック層61は、前記凹溝24に充填される。
【0030】
本実施形態において、プラスチック層61のコイル3に向く面とヨーク2の垂直辺22のコイル3に向く面は、面一であり、即ち、プラスチック層61は、ちょうど凹溝24を埋めて、ヨーク2の垂直辺22のコイル3に向く面である平面から突出しない。
【0031】
もちろん、製品空間が十分である場合、プラスチック層61のコイル3に向く一面をヨーク2の垂直辺22のコイル3に向く一面から突出するものに設計しても良い、通常、突出部分の厚みは、0.4mm以下である。本発明は、プラスチック層61の突出部分の厚みを0.4mm以下に設定する原因は、0.4mmのプラスチック層が絶縁効果を実現でき、プラスチック層が厚過ぎると、材料を浪費し、且つ巻線空間を占有することである。この時、凹溝24を設けずに、ヨーク2の垂直辺22のコイルに向く面にプラスチック層61を直接に射出成形してもよい。
【0032】
プラスチック層61の高さは、コイルボビン5の巻線窓口51の縦方向の寸法よりも大きい、プラスチック層61の幅は、絶縁距離を増大させる効果を達するように、両側へ適当に延在してもよい。製品の実際の絶縁要求に応じて、プラスチック層61の幅を設計することができる。
【0033】
可動ばね1には、ヨークの第1の孔23の位置に対応する第2の孔11が設けられ、前記プラスチック層61のプラスチック凸起62が可動ばね1の第2の孔11に嵌合されることによって、可動ばね1とヨーク2を互いに固定させることができる。
【0034】
本実施形態において、射出成形の過程で、プラスチック凸起62を可動ばね1の第2の孔11に形成させると共に、可動ばね1の第2の孔11から突出するプラスチック凸起62の末端には、断面積が可動ばね1の第2の孔11よりも大きい固定部620が形成され、固定部620により可動ばね1の第2の孔11の以外の可動ばね本体を全部または一部に覆うことによって、可動ばね1とヨーク2とが固定接続されることをを実現する。このように、ヨーク2の両側のプラスチック部分の位置を移動せずに安定させることができる。
【0035】
金型の射出成形時に、プラスチックゲートは、1つまたは複数のプラスチック凸起62に位置してもよい、コイル3に向くプラスチック面に位置してもよい。本実施形態において、プラスチックゲートは、プラスチック凸起62に位置し、これは、射出成形に有利であり、金型構造を簡単化させ、且つ歩留まりを向上させることができる。
【0036】
可動ばね1の第2の孔11の大きさ、及び対応するヨーク2の第1の孔23の大きさに対して限定されない、プラスチックゲートがプラスチック凸起62に設けられる場合、通常に可動ばね1の第2の孔11がヨーク2の第1の孔23よりも大きく設計される。可動ばね1の第2の孔11がより大きいため、プラスチックの流動に有利であり、射出成形の難度を低減することができる。
【0037】
さらに、可動ばね1とヨーク2との接触部位において、レーザ溶接により可動ばね1とヨーク2をさらに固定させてもよい、即ち、可動ばね1とヨーク2との接触部位には、さらに、レーザ溶接により形成される溶融構造体12が設けられ、前記可動ばね1と前記ヨーク2は、溶融構造体12により一体に接続される。
【0038】
本実施形態において、溶融構造体は、直線状である。もちろん、溶融構造体は、点状であってもよい、複数の点状の溶融構造体は、一直線に並んでいる。
【0039】
本発明に係る電磁リレーにおいて、ヨーク2の垂直辺22におけるコイル3に向く面には、射出成形により形成されるプラスチック層61が設けられ、ヨーク2とコイル3(コイルのエナメル線)との間に当該プラスチック層61を絶縁的に設置させ、当該プラスチック層61のコイル3と反対側の面には、射出成形により形成されるプラスチック凸起62が設けられ、当該プラスチック凸起62により、可動ばね1と互いに固定させる。本発明の当該構造は、巻線空間に影響を与えない場合、ヨーク2とコイル3との絶縁性能を向上させると共に、絶縁部品の位置精度を保証することができ、且つ、装着工程を有効に減少させることができる。一方、従来のヨークと可動ばねとの間に圧力かしめまたはロータリーかしめによる固定方式の代わりに、ヨーク2と可動ばね1が固定された場合、プラスチック凸起、プラスチック層及び第1の射出成形体によりヨークと可動ばねを固定するのは、可動ばねに対して応力を生成しないため、可動ばねが変形しない、これにより、可動ばねの寸法の一致性を改善することができる。
【0040】
本発明に係る電磁リレーにおいて、ヨークの垂直辺におけるコイル3に向く面には、さらに凹溝24が設けられ、前記 プラスチック層61は、前記凹溝24に充填される。当該構造用の凹溝24には、射出成形されるプラスチックが収容され、これにより、絶縁距離を向上すると共に、巻線空間を減少しまたは占用しない。本発明は、プラスチック層61の高さがコイルのコイルボビンの巻線窓口の縦方向の寸法よりも大きく設計されることによって、絶縁距離を増大する効果を達すことができる。
【0041】
本発明に係る電磁リレーにおいて、ヨーク2の垂直辺22には、プラスチック凸起62の位置に対応する第1の孔23が設けられ、第1の孔23には、射出成形により形成される第1のプラスチック体が充填され、第1のプラスチック体は、前記プラスチック層61とプラスチック凸起62との間に一体に接続される。当該構造は、プラスチックをインサート成型によりヨーク2に設置させ、装着する必要がないため、装着による付加的な位置のばらつきを減少させることができ、絶縁距離の一致性を向上させることができる。本発明において、射出成形によりプラスチック凸起62を可動ばねの第2の孔11に形成させると共に、可動ばねの第2の孔から外部に突出するプラスチック凸起の断面積を可動ばね1の第2の孔11の断面積よりも大きくする。本発明の凸起62は、溶融射出成形により形成され、冷却後に、可動ばね1をヨーク2の背面に押し付けることによって、確実な固定を形成する。プラスチックが溶融状態で可動ばねの貫通孔に接触し、且つ接触面積が小さいため、冷却過程において可動ばねに対して付加的な応力を与えない、したがって、可動ばねが応力変形を生成しにくい、可動ばねの一致性を向上させることができる。
【0042】
本発明に係る電磁リレーにおいて、可動ばね1とヨーク2との接触部位には、さらに、レーザ溶接により可動ばね1とヨーク2を一体に接続させる。当該構造は、可動ばねの位置止めの堅牢度をさらに向上させることができ、可動ばねの熱量の放熱効果をさらに改善することができる。レーザ溶接は、可動ばね1とヨーク2とのレーザ照射箇所に一部の金属溶解を発生させることができ、金属溶解により両者を一体に形成させ、可動ばねにおける熱量は、溶接箇所によりヨーク2を介して迅速に放熱することができる。
【0043】
第2の実施形態
図11〜
図13に示すように、本発明の第2の実施形態に係る電磁リレーは、可動ばねとヨークとの固定接続の方式が異なる点で、第1の実施形態と異なる。当該第2の実施形態において、ヨークに成型されたプラスチック凸起62を可動ばね1の第2の孔11に挿入することによって、可動ばね1とヨーク2とを互いに固定させる。この時、可動ばね1の第2の孔11は、位置止めの作用を奏する。当該孔がヨークの第1の孔23に成型される凸起62と隙間嵌合を形成することができ、その後、プラスチック凸起の可動ばね1の第2の孔11から外部に突出する部分に対して熱かしめ処理を行うことによって、当該部分のプラスチック凸起が変形して外へ延在して延在部621を形成し、延在部621は、可動ばね1の第2の孔11の以外の可動ばね本体を全部または一部に覆い、これにより、可動ばね1とヨーク2が固定接続されることを実現する。
【0044】
本発明の第2の実施形態に係る電磁リレーにおいて、ヨーク2に成型されるプラスチック凸起62を可動ばねの第2の孔11に挿入し、可動ばね1の第2の孔11から外部に突出するプラスチック凸起に対して熱かしめ処理を行うことによって、延在部621を形成し、ヨーク2と可動ばね1との固定接続を実現する。本発明における前記熱かしめは、プラスチック凸起62を高温で溶解させて規定の位置に流れた後に、それを再び冷却固化させることであり、溶解したプラスチックは、可動ばね1に対して応力を生成しない、且つ、プラスチック凸起62と可動ばね1との接触面積が小さいため、可動ばね1が変形しない、これにより、可動ばね1の寸法の一致性を改善することができる。
【0045】
従来の技術に比べ、本発明に係る電磁リレーは、以下の有益な効果を有する。
【0046】
1、本発明において、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面には、射出成形により形成されるプラスチック層が設けられ、ヨークとコイルとの間に当該プラスチック層を絶縁的に設置させ、コイルと反対側の面には、射出成形により形成されるプラスチック凸起が設けられ、当該プラスチック凸起により、可動ばねと互いに固定させる。本発明の当該構造は、巻線空間に影響を与えない場合、ヨークとコイルとの絶縁性能を向上させると共に、絶縁部品の位置精度を保証することができ、且つ、装着工程を有効に減少させることができる。一方、従来のヨークと可動ばねとの間に圧力かしめまたはロータリーかしめによる固定方式の代わりに、ヨーク2と可動ばね1が固定された場合、プラスチック凸起、プラスチック層及び第1の射出成形体によりヨークと可動ばねを固定するのは、可動ばねに対して応力を生成しないため、可動ばねが変形しない、これにより、可動ばねの寸法の一致性を改善することができる。
【0047】
2、本発明において、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面には、さらに凹溝が設けられ、前記プラスチック層は、前記凹溝に充填される。当該構造用の凹溝には、射出成形のプラスチックが収容され、絶縁距離を向上すると共に、巻線空間を減少しまたは占用しない。
【0048】
3、本発明において、プラスチック層の高さがコイルのコイルボビンの巻線窓口の縦方向の寸法よりも大きく設計されることによって、絶縁距離を増大する効果を達することができる。
【0049】
4、本発明において、ヨークの垂直辺には、プラスチック凸起の位置に対応する第1の孔が設けられ、第1の孔には、射出成形により形成される第1のプラスチック体が充填され、第1のプラスチック体は、前記プラスチック層とプラスチック凸起との間に一体に接続される。当該構造は、プラスチックをインサート成型によりヨークに設置させることができ、装着する必要がないため、装着による付加的な位置のばらつきを減少させることができ、絶縁距離の一致性を向上させることができる。
【0050】
5、本発明において、射出成形によりプラスチック凸起を可動ばねの第2の孔に形成させると共に、可動ばねの第2の孔から外部に突出するプラスチック凸起の断面積を可動ばねの第2の孔の断面積よりも大きくする。本発明の凸起は、溶融射出成形により形成され、冷却後に、可動ばねをヨークの背面に押し付けることによって、確実な固定を形成する。プラスチックが溶融状態で可動ばねの貫通孔に接触し、且つ接触面積が小さいため、冷却過程において可動ばねに対して付加的な応力を与えない、これにより、可動ばねが応力変形を生成しにくい、可動ばねの一致性を向上させることができる。
【0051】
6、本発明において、ヨークに成型されるプラスチック凸起を可動ばねの第2の孔11に挿入し、プラスチック凸起の可動ばねの第2の孔から外部に突出する部分に対して熱かしめ処理を行うことによって、当該部分のプラスチック凸起を変形させる。本発明における熱かしめは、プラスチック凸起を高温で溶解させて規定の位置に流れた後に、それを冷却固化させる方式で固定することであり、溶解したプラスチックは、可動ばねに対して応力を生成しない、且つ、プラスチック凸起と可動ばねとの接触面積が小さいため、可動ばねが変形しない、可動ばねの寸法の一致性を改善することができる。
【0052】
7、本発明において、可動ばねとヨークとの接触部位には、さらにレーザ溶接により可動ばねとヨークを一体に接続させる。当該構造は、可動ばねの位置止めの堅牢度をさらに向上させることができ、可動ばねの熱量の放熱効果をさらに改善することができる。
【0053】
8、プラスチック層、プラスチック凸起及び第1のプラスチック体において、射出成形時のプラスチックゲートは、プラスチック層におけるコイルに向く面、または、プラスチック凸起に位置してもよい、好ましくは、プラスチック凸起に位置する。このような構造は、射出成形に有利であり、金型構造を簡単化させると共に、歩留まりを向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明において、ヨークの垂直辺におけるコイルに向く面には、射出成形により形成されるプラスチック層が設けられ、ヨークとコイルとの間に当該プラスチック層を絶縁的に設置させ、コイルと反対側の面には、射出成形により形成されるプラスチック凸起が設けられ、当該プラスチック凸起により、可動ばねと互いに固定させる。本発明の当該構造は、巻線空間に影響を与えない場合、ヨークとコイルとの絶縁性能を向上させると共に、絶縁部品の位置精度を保証することができ、且つ、装着工程を有効に減少させることができる。一方、従来のヨークと可動ばねとの間に圧力かしめまたはロータリーかしめによる固定方式の代わりに、ヨークと可動ばねが固定された場合、プラスチック凸起、プラスチック層及び第1の射出成形体によりヨークと可動ばねを固定するのは、可動ばねに対して応力を生成しないため、可動ばねが変形しない、これにより、可動ばねの寸法の一致性を改善することができる。
【0055】
いくつかの典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、使用される述語は、説明するための例示的なものであり、限定するものではない。本発明は、発明の精神または範囲から逸脱しない場合、様々な形態で実施することができる。上記の実施形態は、上記の詳細のいずれかに限定されない、添付されている特許請求の範囲により限定される精神及び範囲に広く解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲またはそれと等価的な範囲内に入るすべての変更および修正は、いずれも当該特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0056】
ここで、1、可動ばね;11、第2の孔;12、溶融構造体;2、ヨーク;21、水平辺;22、垂直辺;23、第1の孔;24、凹溝;3、コイル;4、アーマチュア;5、コイルボビン;61、プラスチック層;62、プラスチック凸起;620、固定部;621延在部;7、鉄コア。