(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する工程と、
前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の調理判定方法。
さらに、前記被調理物を搬送する搬送機構を備え、前記処理部は、前記内部入熱量の評価結果を取得して前記被調理物を再加熱するための指示情報を生成し、この指示情報を取得して前記被調理物を前記待機部から前記加熱部側に前記搬送機構で搬送させることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の調理判定システム。
さらに、前記処理部は、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する処理と、
前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する処理と、
を実行することを特徴とする、請求項5ないし請求項7の何れかの請求項に記載の調理判定システム。
さらに、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する機能と、
前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する機能と、
を前記コンピュータにより実現するための請求項9ないし請求項11の何れかの請求項に記載のプログラム。
さらに、前記被調理物を搬送する搬送機構を備え、前記処理部は、前記内部入熱量の評価結果を取得して前記被調理物を再加熱するための指示情報を生成し、この指示情報を取得して前記被調理物を前記待機部から前記加熱部側に前記搬送機構で搬送させることを特徴とする、請求項14または請求項15に記載の調理機器。
さらに、前記処理部は、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する処理と、
前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する処理と、
を実行することを特徴とする、請求項14ないし請求項16の何れかの請求項に記載の調理機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、学校や病院などの公的施設、給食を提供する施設などでは食中毒の発症や調理工程での異物混入などを防止するための衛生管理手法としてHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point: 危害分析・重要管理点)が普及している。このHACCPは、食品製造の各工程において厳格な工程管理を行い、被調理物の温度計測を行い、その計測情報を記録することを義務づけている。このような衛生管理の取り組みがレストランなどに拡大することは好ましいことである。
【0005】
レストランなどで提供する被調理物にはハンバーグ、つくね、餃子などの破砕肉を使うもの、細切れ肉を使う焼き鳥など、多様なものが含まれる。調理前の加工で内部に雑菌が付着するおそれがある被調理物では、加熱による調理で容易に加熱される表面部だけでなく、内部まで充分に殺菌される程度に加熱する必要がある。
しかしながら、直火加熱による調理法による焼き鳥などの被調理物では、その表面温度が上昇していても、内部が充分に加熱されていないという場合があり得る。
このような被調理物について、調理済みの肉などに温度計を差し込むなどの操作は調理品の品質を損ねる上、表面温度が上昇していても内部温度が殺菌される温度まで上昇していない場合には、被調理物の加熱殺菌が不十分となるという課題がある。
【0006】
発明者は、加熱中または加熱後、被調理物の表面温度の推移は被調理物の内部熱量による熱移動に依存するので、これを観測すれば、被調理物の加熱状況を判定できるとの知見を得た。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記課題および上記知見に鑑み、焼き鳥などの被調理物に非接触で被調理物の加熱状態を評価し、生焼けなどの不完全な調理を未然に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の調理判定方法の一側面によれば、被調理物を
加熱部で加熱する工程と、加熱中および/または加熱後
の前記被調理物を前記加熱部の影響を受けない待機部に移動させ、前記待機部への移動後に前記被調理物の表面温度を計測
し、この計測時から設定時間経過後に前記被調理物の前記表面温度を計測する工程と、
前記待機部において、撮像部で前記被調理物を撮像するとともに重さ計測部で重さを計測する工程と、前記撮像部で撮像された画像から前記被調理物の該画像に投影された部分の表面積情報を取得し、前記設定時間における前記表面温度の傾き情報、
前記表面積情報および
前記被調理物の重さ情報を用いて
前記設定時間での前記被調理物の内部への入熱量(=内部入熱量)を算出する工程と、前記内部入熱量を評価する工程とを含む。
この調理判定方法において、さらに、
前記設定時間での前記被調理物の全放熱量を算出する工程と、
前記設定時間での前記被調理物の外部への放熱量(=外部放熱量)を算出する工程と、前記全放熱量から前記外部放熱量を減算して前記内部入熱量を算出する工程とを含んでよい。
この調理判定方法において、さらに、前記内部入熱量の評価結果を取得して前記被調理物を再加熱するための指示情報を生成する工程と、前記指示情報を取得して前記被調理物を
前記待機部から前記加熱部側に搬送させる工程とを含んでよい。
この調理判定方法において、さらに、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する工程と、前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する工程とを含んでよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の調理判定システムの一側面によれば、被調理物を加熱する加熱部と、
前記加熱部による加熱の影響を受けない位置に設けられた待機部と、加熱中および/または加熱後
に前記待機部に移された前記被調理物を撮像する撮像部と、
前記待機部において、前記被調理物の表面温度を計測する温度計測部と、
前記待機部において、前記被調理物の重さを計測する重さ計測部と、前記被調理物の画像情報から取得した
前記被調理物の画像に投影された部分の表面積情報、
前記待機部へ移動後に計測した前記表面温度と該計測時から設定時間経過後に計測した前記表面温度とから取得した前記設定時間における前記表面温度の傾き情報、および重さ情報を用いて
前記設定時間での前記被調理物の内部入熱量を算出し、この内部入熱量を評価する処理部とを備える。
この調理判定システムにおいて、さらに、前記処理部は、
前記設定時間での前記被調理物の全放熱量を算出する処理と、
前記設定時間での前記被調理物の外部放熱量を算出する処理と、前記全放熱量から前記外部放熱量を減算して前記内部入熱量を算出する処理とを実行してよい。
この調理判定システムにおいて、さらに、前記被調理物を搬送する搬送機構を備え、前記処理部は、前記内部入熱量の評価結果を取得して前記被調理物を再加熱するための指示情報を生成し、この指示情報を取得して前記被調理物を
前記待機部から前記加熱部側に前記搬送機構で搬送させてよい。
この調理判定システムにおいて、さらに、前記処理部は、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する処理と、前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する処理とを実行してよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、コンピュータにより実現するプログラムであって、
加熱部で加熱中および/または加熱後
の被調理物を前記加熱部の影響を受けない待機部に移動させ、前記待機部への移動後に前記被調理物の表面温度を取得
し、この取得時から設定時間経過後に前記被調理物の前記表面温度を取得する機能と、
前記待機部において、撮像部で撮像した前記被調理物の画像から前記被調理物の該画像に投影された部分の表面積情報を取得するとともに、重さ計測部によって重さ情報を取得する機能と、前記設定時間における前記表面温度の傾き情報、前記被調理物の
前記表面積情報および
前記重さ情報を用いて前記被調理物の内部入熱量を算出する機能と、前記内部入熱量により
前記設定時間での前記被調理物の内部入熱量を評価する機能とを前記コンピュータにより実現する。
このプログラムにおいて、さらに、
前記設定時間での前記被調理物の全放熱量を算出する機能と、
前記設定時間での前記被調理物の外部放熱量を算出する機能と、前記全放熱量から前記外部放熱量を減算して前記内部入熱量を算出する機能とを前記コンピュータにより実現してよい。
このプログラムにおいて、さらに、前記内部入熱量の評価結果を取得して前記被調理物を再加熱するための指示情報を生成する機能と、前記指示情報を取得して前記被調理物を
前記待機部から前記加熱部側に搬送させる制御情報を生成する機能とを前記コンピュータにより実現してよい。
このプログラムにおいて、さらに、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する機能と、前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する機能とを前記コンピュータにより実現してよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の記録媒体の一側面によれば、前記プログラムを格納した記録媒体である。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の調理機器の一側面によれば、被調理物を加熱する加熱部と、
前記加熱部による加熱の影響を受けない位置に設けられた待機部と、加熱中および/または加熱後
に前記待機部に移された前記被調理物を撮像する撮像部と、
前記待機部において、前記被調理物の表面温度を計測する温度計測部と、
前記待機部において、前記被調理物の重さを計測する重さ計測部と、前記被調理物の画像情報から取得した
前記被調理物の画像に投影された部分の表面積情報、
前記待機部へ移動後に計測した前記表面温度と該計測時から設定時間経過後に計測した前記表面温度とから取得した前記設定時間における前記表面温度の傾き情報、および重さ情報を用いて
前記設定時間での前記被調理物の内部入熱量を算出し、この内部入熱量を評価する処理部とを備える。
この調理機器において、さらに、前記処理部は、
前記設定時間での前記被調理物の全放熱量を算出する処理と、
前記設定時間での前記被調理物の外部放熱量を算出する処理と、前記全放熱量から前記外部放熱量を減算して前記内部入熱量を算出する処理とを実行してよい。
この調理機器において、さらに、前記被調理物を搬送する搬送機構を備え、前記処理部は、前記内部入熱量の評価結果を取得して前記被調理物を再加熱するための指示情報を生成し、この指示情報を取得して前記被調理物を
前記待機部から前記加熱部側に前記搬送機構で搬送させてよい。
この調理機器において、さらに、前記処理部は、前記表面温度と、前記内部入熱量またはその累積値を二次元座標上にプロットし、前記表面温度および前記内部入熱量に設けた閾値で前記表面温度の高低領域と前記内部入熱量の増減領域に区分する処理と、前記二次元座標上に前記内部入熱量の評価情報を提示する処理とを実行してよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 焼き鳥など、加熱中および/または加熱後の被調理物に非接触で内部への入熱量の状態を評価でき、被調理物の加熱状態を管理できる。
(2) 被調理物に非接触で評価できるので、接触による被調理物の劣化を防止できる。
(3) 加熱中および/または加熱後の被調理物の入熱量を迅速に評価でき、被調理物の加熱直後の状態を損なうことがなく、調理品質の低下を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る調理判定工程を示している。
図1に示す工程は一例であり、斯かる工程に本発明が限定されるものではない。この調理判定工程において、Sは処理の単位、番号は順番の一例を示している。
この調理判定工程には、被調理物Fの選択(S101)、被調理物Fの加熱(S102)、被調理物Fの撮像(S103)、被調理物Fの表面温度Tsの計測(S104)、重さmの計測(S105)、表面温度Tsの傾きΔTs、面積情報および重さ情報の取得(S106)、全放熱量Jallの算出(S107)、外部放熱量Joutの算出(S108)、内部入熱量Jinの算出(S109)、内部入熱量Jinの判定(S110)、被調理物Fの再加熱(S111)、被調理物Fの提供(S112)などが含まれる。
【0016】
被調理物Fの選択(S101): 加熱対象である焼き鳥など被調理物Fを選択する。この選択に基づき、被調理物Fの識別情報、加熱情報などを取得する。被調理物Fはたとえば、焼き鳥、つくね、ねぎまなど、加熱調理される食材である。
被調理物Fの加熱(S102): 被調理物Fは加熱部4から熱を受け、加熱を行う。この熱には輻射熱、対流熱などが含まれる。
被調理物Fの撮像(S103): 被調理物Fを撮像し、画像を取得する。取得した画像から被調理物Fの外部放熱量Joutの算出に用いる表面積Sを取得する。この表面積Sは被調理物Fの面積情報の一例である。
【0017】
被調理物Fの表面温度Tsの計測(S104): 加熱中または加熱後何れか一方または双方における被調理物Fを加熱部4から遠ざけ、被調理物Fの表面温度Tsを計測する。この表面温度Tsの計測では、時点t0の表面温度Ts0、時点t0から所定時間としてたとえば、3秒後の時点t1の表面温度Ts1を計測する。各計測値は管理サーバ8に提供する。
重さの計測(S105): 被調理物Fの撮像、表面温度Tsの計測とともに被調理物Fの重さmを計測し、その計測値を管理サーバ8に提供する。
【0018】
表面温度Tsの傾きΔTs、面積情報および重さ情報の取得(S106): 管理サーバ8は、表面温度Ts0、Ts1より被調理物Fの表面温度Tsの傾きΔTs(=Ts0−Ts1)、画像より面積情報、重さの計測値から重さ情報を取得する。
表面温度Tsの傾きΔTsは、表面温度Tsに対して内部温度Tiが低い場合には、被調理物Fの表面側から内部に向かって熱移動、つまり、内部への入熱が生じ、この熱量が内部入熱量Jinである。
【0019】
全放熱量Jallの算出(S107): 被調理物Fが加熱によって取得している全放熱量Jallを被調理物Fの表面温度Tsの傾きΔTs、比熱c、重さmを用いて算出する(後述)。
外部放熱量Joutの算出(S108): 全放熱量Jallから外気など被調理物Fの外部に向かう放熱量である外部放熱量Joutを算出する(後述)。
内部入熱量Jinの算出(S109): 内部入熱量Jinは、全放熱量Jallから外部放熱量Joutを減算して求めることができる(後述)。
【0020】
内部入熱量Jinの判定(S110): 被調理物Fの内部入熱量Jinは内部加熱状態に依存する。したがって、加熱状態は被調理物Fの内部入熱量Jinの多少により評価できる。内部入熱量Jinに閾値Jinthを設定し、その多少により内部入熱量Jinを判定する。
被調理物Fの再加熱(S111): 閾値Jinthより内部入熱量Jinが多ければ、被調理物Fは加熱不良と判定でき、被調理物Fの再加熱を行う。
被調理物Fの提供(S112): 内部入熱量Jinが閾値Jinthより少なければ、被調理物Fは加熱良と判定できる。この良判定に基づき、調理品として被調理物Fを提供すればよい。
【0021】
図2は、第1の実施の形態に係る調理判定システム2を示している。
図2に示すシステムは一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
たとえば、焼き鳥などの被調理物Fは加熱部4に搬送されて加熱される。
加熱中または加熱後の被調理物Fは、加熱部4から被調理物待機部6に移動させ、管理サーバ8の制御により温度計測部10で被調理物Fの表面温度Tsの検出、撮像部12で撮像、重さ計測部14で重さ計測を行う。
これら撮像または計測時、被調理物Fは加熱部4から遠ざけ、加熱部4からの加熱を受けない状態に被調理物Fを維持する。温度計測は計測時点t0と数秒後の計測時点t1の各表面温度Ts0、Ts1を計測する。同様に、被調理物Fの撮像および重さ計測を行う。
【0022】
管理サーバ8は、各表面温度Ts0、Ts1から表面温度Tsの傾きΔTsを取得し、表面温度Tsの傾きΔTs、表面積S、重さmを用いて全放熱量Jall、外部放熱量Jout、内部入熱量Jinを算出する。この内部入熱量Jinを評価し、その評価結果を含む提示情報を情報提示部16に出力する。
この内部入熱量Jinの評価を受け、加熱良であれば、被調理物Fを被調理物待機部6から被調理物提供部18に移動させて調理品として提供する。加熱不良であれば、被調理物Fを被調理物待機部6から加熱部4に戻して再加熱の後、調理品として提供する。
この内部入熱量Jinの評価について、管理サーバ8では内部入熱量Jinの評価プロセスが実行され、情報提示が行われる。
【0023】
<内部入熱量Jinの評価プロセス>
この評価プロセスには、
a)被調理物Fの表面温度Ts(=Ts0、Ts1)、表面積S、重さmの取得
b)表面温度Tsの傾きΔTs(時間推移)の算出
c)全放熱量Jallの算出
d)外部放熱量Joutの算出
e)内部入熱量Jinの算出
f)内部入熱量Jinの評価
g)内部加熱状態の推定
が含まれる。
【0024】
(1) 被調理物Fの表面温度Ts(=Ts0、Ts1)、表面積S、重さmの取得
被調理物Fの表面温度Ts(=Ts0、Ts1)は温度計測値から取得し、その表面積Sは被調理物Fの画像情報から算出する。また、被調理物Fの重さmは、重さ計測部14の計測値である。
(2) 表面温度Tsの傾きΔTs
時点t0の表面温度:Ts0、時点t0からたとえば、3秒後の計測時点t1の表面温
度:Ts1であれば、表面温度Tsの傾きΔTsは式(1)で算出できる。
【0025】
【数1】
この演算は、管理サーバ8で実行される。
図3のAは、横軸に経過時間、縦軸に表面温度Tsを取り、表面温度Tsの傾きΔTsを示している。この実験値では、表面温度Tsが時間とともに低下し、時間経過が進むとその変化が緩慢になっている。
【0026】
(3) 被調理物Fの全放熱量Jall
表面温度の傾きΔTs、比熱c[J/g ・K]、重さm[g]とすれば、全放熱量Jall[J]は、式(2)から算出できる。
【0027】
【数2】
ただし、被調理物Fの体積:V[m
3]、被調理物Fから切り取った一部分の体積:u[m
3]、(u=0.0768V)、その1個の重さ:M[g]、その密度:ρ[g/m
3]とすれば、mは式(3)で求めることができる。
【0029】
【数4】
は、一定時間たとえば、3秒間で失われた温度(=3秒間で生じた温度差)を表している。
【0030】
(4) 外部放熱量Jout
外部放熱量Joutは、表面温度Tsの傾きΔTsを求めるために用いた経過時間における被調理物Fから外部に放出される放熱量率を表す外部放熱量率Qout[W]を用いて式(4)から求めることができる。
【0031】
【数5】
外部放熱量率Qout[W]は、放射による熱量率(=放射による熱損失):G[W]、対流による熱量率:H[W]とすれば、式(5)から算出できる。
【0032】
【数6】
G[W]は式(6)から、H[W]は式(6)および(7)から求めることができる。
【0034】
【数8】
ただし、Ts1−Ts0(=ΔTs):表面温度Tsの傾き
X:放射率
S:被調理物Fの表面積[m
2]
σ:ステファン・ボルツマン係数[W/m
2・K
4]
h:外気への対流熱伝導率[W/m
2・K]
式(6)および(7)において、表面積S、表面温度Ts0、Ts1は計測値である。
【0035】
図3のBは、横軸に経過時間、縦軸に外部放熱量率Qoutを取り、外部放熱量率Qoutの時間推移を示している。この実験値では、外部放熱量率Qoutが表面温度Tsの
時間推移に従って減少し、外部放熱量Joutと等価である。
【0036】
(5) 内部入熱量Jin
全放熱量Jallは外部放熱量Joutと内部入熱量Jinの総和である。よって、内部入熱量Jinは式(8)から求めることができる。
【0038】
(6) 内部加熱の推定
被調理物Fの内部加熱は内部入熱量Jinから推定できる。つまり、内部入熱量Jinが大であれば内部加熱が低く、内部入熱量Jinが小であれば内部加熱は充分であると推定できる。
【0039】
(7) 内部入熱量Jinの評価および情報提示
内部入熱量Jinに適正な内部加熱以上を表す閾値Jinthを設定し、Jin≦Jinth:加熱良、Jin>Jinth:加熱不良と評価し、Jin>Jinthであれば、被調理物Fの再加熱を指示する。
図4は、内部入熱量Jinの判定ロジックの一例を示し、二次元座標の横軸に計測時点t0の表面温度Ts、縦軸に内部入熱量Jinの累積値を取り、被調理物Fから測定した表面温度Ts、算定した内部入熱量Jinをプロットする。
【0040】
そして、横軸上に表面温度Tsの閾値Tsth、縦軸上に内部入熱量Jinの閾値Jinthを設定すれば、二次元座標上に表面温度Tsの増減領域、内部入熱量Jinの増減領域が閾値Tsth、Jinthで4区分からなる領域A、領域B、領域C、領域Dが生成される。これら領域A、B、C、Dの内部入熱量Jinの評価は以下の通りである。
領域A=内部入熱量Jinが多く、表面温度Tsが低い領域=加熱不良
領域B=内部入熱量Jinが少なく、表面温度Tsが低い領域=加熱不良
領域C=内部入熱量Jinが多く、表面温度Tsが高い領域=加熱不良
領域D=内部入熱量Jinが少なく、表面温度Tsが高い領域=加熱良
【0041】
表面温度Tsの閾値Tsthは、TsthLまたはTsthHに増減すれば、領域A、Bと領域C、Dの範囲が変化して内部入熱量Jinの判定精度を変更させることが可能である。
そして、被調理物Fの加熱状態を表す内部入熱量Jinの評価結果やその精度は情報提示部16に提示することができる。
【0042】
<内部入熱量Jinの判定ロジック>
図5は、横軸に表面温度Ts、縦軸に内部入熱量Jinを取り、被調理物Fの内部入熱量Jinの状態を示している。
領域A(=加熱不良)は、内部入熱量Jinが多く、表面温度Tsが低い。
内部加熱の判定: 外観上、生焼けの状態である。
領域B(=加熱不良)は、内部入熱量Jinが少なく、表面温度Tsが低い。
内部加熱の判定: 領域Aより加熱が進んでいるが、生焼けの状態である。
領域C(=加熱不良)は、 内部入熱量Jinが多く、表面温度Tsが高い。
内部加熱の判定: 外観上、生焼け状態ではないが、被調理物Fの内部は生焼け状態である。
領域D(=加熱良)は、 内部入熱量Jinが少なく、表面温度Tsが高い。
内部加熱の判定: 外観および内部がよく焼けている。
【0043】
そして、表面温度Tsの閾値TsthをTsthLにシフトすると、領域Dは表面温度Tsの低い範囲まで拡大される。この拡大領域は、内部加熱のグレーゾーンであり、被調理物Fは美味であるが、生焼けの危険ゾーンである。
【0044】
<第1の実施の形態の効果>
この第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 加熱部4で加熱中または加熱後、被調理物Fを加熱部4から被調理物待機部6に待機させ、撮像、温度計測および重さ計測を行い、待機後の3秒程度の時間内で内部加熱の判定を行うことができる。
(2) 被調理物Fは非接触で内部の加熱状態を判定でき、接触による汚染などの不都合を防止できるとともに、生焼けなどの判定のために冷めるといった不都合を防止でき、焼き立て状態で被調理物Fの安全性を検証することができる。
(3) 焼き鳥など、被調理物Fの焼き立て直後に安全性の高い調理品を提供できる。
(4) 生焼けから焼き過ぎに至る調理状態において、被調理物Fの最適な焼き状態で被調理物Fを提供することができる。
(5) 生焼け判定の際、再加熱から調理品提供までの時間を短縮でき、再加熱のために被調理物Fの加熱状態が損なわれることを防止できる。
【0045】
〔第2の実施の形態〕
図6は、第2の実施の形態に係る調理判定工程を示している。
図6に示す工程は一例であり、本発明が斯かる工程に限定されるものではない。この調理判定工程において、Sは処理の単位、番号は順番の一例を示している。
この調理判定工程には、被調理物Fの加熱(S201)、被調理物Fの検出(S202)、被調理物Fの撮像(S203)、被調理物Fの表面温度Tsの計測(S204)、重さmの計測(S205)、表面温度Tsの傾きΔTs、面積情報および重さ情報の取得(S206)、全放熱量Jall、外部放熱量Jout、内部入熱量Jinの算出(S207)、内部入熱量Jinの判定(S208)、被調理物Fの再加熱(S209)、被調理物Fの提供(S210)などが含まれる。
【0046】
被調理物Fの加熱(S201): 第1の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。
被調理物Fの検出(S202): 加熱部4から被調理物待機部6に被調理物Fを移動させると、被調理物Fが被調理物センサ36で検出され、その検出信号が管理サーバ8に入力される。管理サーバ8は被調理物Fの搬入情報を取得する。この搬入情報に基づき、温度計測、撮像および重さ計測を実行する。
被調理物Fの撮像(S203)、被調理物Fの表面温度Tsの計測(S204)、重さmの計測(S205)、表面温度Tsの傾きΔTs、面積情報および重さ情報の取得(S206)、全放熱量Jall、外部放熱量Jout、内部入熱量Jinの算出(S207)、内部入熱量Jinの判定(S208)、被調理物Fの再加熱(S209)、被調理物Fの提供(S210): 第1の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。なお、全放熱量Jall、外部放熱量Jout、内部入熱量Jinの算出(S207)は既述のS107、S108、S109に該当する。
【0047】
<調理判定システム2>
図7は、第2の実施の形態に係る調理判定システム2を示している。
図7において
図2と同一部分には同一符号を付し、その説明を割愛する。
この第2の実施の形態に係る調理判定システム2は被調理物検出部20、搬送機構22および情報入力部24を備えている。
被調理物検出部20は加熱部4に対する被調理物Fの投入、加熱部4から被調理物待機部6への被調理物Fの移動、被調理物待機部6から被調理物Fの移動などを検出する。この検出信号は管理サーバ8に取り込まれ、被調理物Fの計測の契機、被調理物Fの再加熱の制御などに利用される。
【0048】
搬送機構22は、管理サーバ8の制御により加熱部4から被調理物待機部6への被調理物Fの搬送、被調理物待機部6から加熱部4への被調理物Fの搬送、被調理物待機部6から被調理物提供部18への被調理物Fの搬送などを行う。
情報入力部24は管理サーバ8の制御により被調理物Fの識別情報や加熱制御の情報入力などの取得に用いられる。
【0049】
<調理判定システム2の機能部>
図8は、調理判定システム2の機能部を示している。
図8に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。
図8において、
図7と同一部分には同一符号を付してある。
搬送機構22は、コンベア26−1、26−2、26−3を備える。コンベア26−1は加熱部4に設置され、コンベア駆動部28−1で駆動する。コンベア26−2は被調理物待機部6に設置され、コンベア駆動部28−2で駆動する。コンベア26−3は被調理物提供部18に設置され、コンベア駆動部28−3で駆動する。各コンベア駆動部28−1、28−2、28−3は管理サーバ8によって制御し、被調理物Fの搬送タイミング、搬送開始時点、搬送停止時点および搬送位置などを制御する。
【0050】
加熱部4にはコンベア26−1の他、防護筐体30、熱源32、加熱台34、被調理物センサ36などが設置されている。防護筐体30は加熱空間を包囲する。熱源32は熱源駆動部38で駆動し、この熱源駆動部38は管理サーバ8で加熱温度などを制御する。熱源32は被調理物Fを加熱する手段であり、たとえば、ガス調理機、電熱調理機の何れでもよい。各熱源32は被調理物Fの上面側に設置してもよく、上下両面側に設置してもよい。
加熱台34は熱源32の加熱域に被調理物Fを維持する手段の一例である。被調理物センサ36は、被調理物Fの加熱部4への搬出入などを検出する。この被調理物センサ36にはたとえば、カメラを用いればよい。
【0051】
被調理物待機部6は、加熱中または加熱後の被調理物Fを待機させる領域であり、この被調理物待機部6に待機させれば、熱源32から被調理物Fを離し、被調理物Fの加熱状態の解除が可能である。
温度計測部10は温度センサ40および温度取得部42を備える。温度センサ40はたとえば、放射温度計で構成し、被調理物待機部6上に待機させた加熱中または加熱後の被調理物Fの表面温度Tsを検出する。この検出値は管理サーバ8の制御により温度取得部42で取得し、管理サーバ8に取り込まれる。
管理サーバ8は、温度センサ40から被調理物待機部6上に待機直後、時点t0の表面温度Ts0、時点t0から3秒後の表面温度Ts1を温度取得部42で取得し、表面温度Ts0、Ts1を用いて表面温度Tsの傾きΔTsを取得する。
【0052】
撮像部12は、カメラ44および画像取得部46を備える。カメラ44は被調理物待機部6上に待機させた加熱中または加熱後の被調理物Fを管理サーバ8の制御により撮像する。この画像信号は管理サーバ8の制御により画像取得部46に取得し、管理サーバ8に取り込まれる。管理サーバ8は取得画像から被調理物Fの表面積Sなどの面積情報を取得する。
重さ計測部14は、重さセンサ48および重さ取得部50を備える。重さセンサ48は被調理物待機部6上に待機させた加熱中または加熱後の被調理物Fの重さmを管理サーバ8の制御により計測する。この重さ信号は管理サーバ8の制御により重さ取得部50で取得し、管理サーバ8に取り込まれる。管理サーバ8は加熱直後の被調理物Fの重さmを取得する。
【0053】
<調理判定システム2のハードウェア>
図9は、調理判定システム2のハードウェアを示している。
図9に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図9において、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
管理サーバ8にはプロセッサ52、記憶部54、入出力部(I/O)56、通信部58、タイマー60が含まれる。
プロセッサ52は調理判定処理などの情報処理を実行するための処理部の一例であって、記憶部54にあるOS(Operating System)を実行し、調理判定プログラムなど、各種のプログラムを実行するとともに、機能部の制御情報や情報提示のための提示情報を生成する。
【0054】
記憶部54はOSや調理判定プログラムなどを記録する記録媒体であって、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備え、被調理物Fの内部入熱量Jinなどの算出、その判定、各種情報提示などに用いられる調理管理データベース(DB)62(
図10)などを格納している。
I/O56は、プロセッサ52の制御により温度取得部42、画像取得部46、重さ取得部50などからの計測信号の取込み、情報提示部16への提示情報の出力などを行う。
通信部58は無線通信が可能な機能部との通信や、ビッグデータなどを提供する情報源や、従事者が所有する情報端末との通信を行う。
タイマー60はプロセッサ52の制御により被調理物Fの加熱時間、表面温度Tsの計測タイミングなどの時間情報を提供する。
【0055】
そして、情報提示部16はたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、管理サーバ8が生成する提示情報を画像により提示する。また、情報入力部24は管理サーバ8の制御により、被調理物Fの属性情報の他、各種制御情報の入力に用いられる。情報入力部24には情報入力に用いられるキーボード、バーコード読取り部、マウス、I/O56に接続された情報端末の他、タッチパネルが含まれる。タッチパネルは情報提示部16の表示画面に設置すればよい。
【0056】
<管理サーバ8の情報処理>
管理サーバ8が実行する処理には
a)被調理物Fの調理情報の取得
b)被調理物Fなどの加熱制御
c)温度検出制御
d)被調理物Fの撮像制御および画像情報の取得
e)被調理物Fの重さ計測制御
f)被調理物Fの表面温度Ts(=Ts0、Ts1)、表面積S、重さmの取得
g)表面温度Tsの傾きΔTsの算出
h)全放熱量Jall、外部放熱量Jout、内部入熱量Jinの算出
i)内部入熱量Jinの評価
j)内部加熱状態の推定
などの機能や情報処理が含まれる。記憶部54に格納されているプログラムは、これらの機能を実現する。
【0057】
<情報提示部16の情報提示>
情報提示部16の情報提示には
a)被調理物Fの調理情報
b)被調理物Fなどの加熱制御情報
c)計測情報や判定情報
などが含まれる。
【0058】
<調理管理DB62>
図10は、調理管理DB62を示している。この調理管理DB62には調理管理ファイル64が含まれ、調理情報や内部入熱量Jinの評価に用いられる各種情報が格納される。
この調理管理ファイル64には被調理物情報部66、加熱情報部68、表面温度部70、表面積部72、重さ部74、全放熱量部76、外部放熱量部78、内部入熱量部80、評価情報部82、履歴情報部84が設置されている。
被調理物情報部66には調理対象である被調理物Fの識別情報、種別など、被調理物Fを特定するための情報が格納される。
【0059】
加熱情報部68には被調理物Fに適した加熱温度Tや加熱時間tなど、調理に必要な情報が格納される。
表面温度部70には温度計測部10で計測された時点t0での被調理物Fの表面温度Ts0、時点t1で計測された表面温度Ts1、その他、表面温度Tsなどの温度情報が格納される。
表面積部72には撮像部12で得た画像情報から取得した面積情報から算出した表面積Sなどの面積情報が格納される。
重さ部74には重さ計測部14で計測した被調理物Fの重さmなどの重さ情報が格納される。
【0060】
全放熱量部76には被調理物Fの全放熱量Jallを表す放熱量情報が格納される。
外部放熱量部78には被調理物Fの外部放熱量Joutを表す放熱量情報が格納される。
内部入熱量部80には被調理物Fの内部入熱量Jinを表す熱量情報が格納される。
評価情報部82には被調理物Fの調理状態を表す内部入熱量Jinの評価情報が格納される。
履歴情報部84には被調理物Fの調理評価などの評価結果に関する履歴情報が格納される。
【0061】
<加熱、計測および再加熱の工程>
図11は、被調理物Fの加熱工程(
図11のA)、被調理物Fの計測工程(
図11のB)および被調理物Fの再加熱工程(
図11のC)を示している。
被調理物Fは、
図11のAに示すように、加熱部4に投入されて熱源32からの熱を受け加熱される。
加熱中または加熱後、
図11のBに示すように、被調理物Fは計測のため、被調理物待機部6に搬送する。
被調理物Fの移動が被調理物検出部20の被調理物センサ36に検出される。この検出信号を受けた管理サーバ8は温度計測部10、撮像部12および重さ計測部14にそれぞれの計測指示を出力する。これにより、表面温度Tsの計測、撮像および重さmの計測が行われる。
【0062】
計測後、管理サーバ8は被調理物Fの内部入熱量Jinを評価し、被調理物Fの調理状態を判定する。加熱が良好であれば、被調理物Fは被調理物待機部6から被調理物提供部18にコンベア26−2、26−3により搬送される。
被調理物Fの加熱が不良であれば、被調理物Fは被調理物待機部6から加熱部4にコンベア26−2、26−1により搬送され、被調理物Fに対して再加熱を行う。
【0063】
<加熱工程>
図12は、加熱工程および計測工程を示している。
図12のAに示すように、被調理物Fがたとえば、焼き鳥であれば、被調理物Fの一面側A1に熱源32から熱を受けて加熱する。被調理物Fの一面側A1は串86の位置で上下二分状態であり、他面側A2より強く加熱される。
この加熱後、
図12のBに示すように、被調理物Fは反転させ、被調理物Fの他面側A2に熱源32から熱を受けて加熱する。被調理物Fの他面側A2の加熱時間はA1側より短くなる。
そして、
図12のCに示すように、被調理物Fは熱源32から遠ざけられ、カメラ44で撮像、温度センサ40で温度計測、重さセンサ48で重さ計測を行い、既述の内部入熱量Jinを算出してその評価を行う。
【0064】
<被調理物Fの調理情報の提示>
この第2の実施の形態においても、管理サーバ8では
図4に示すように、被調理物Fの内部入熱量Jinの判定ロジックを実行する。
そして、管理サーバ8では、領域Aないし領域Dの判定結果を表す提示情報を生成し、情報提示部16に情報提示を行う。
この情報提示には加熱不良提示画面88(
図13のA)、加熱不良提示画面90(
図13のB)、加熱不良提示画面92(
図14のA)、適正加熱提示画面94(
図14のB)が含まれる。
【0065】
各提示画面88、90、92、94には加熱状態表示部96、被調理物表示部98、加熱情報提示部100が含まれる。
加熱不良提示画面88では
図13のAに示すように、既述の領域Aに該当する加熱状態に対応しており、加熱状態表示部96に「加熱不良」が表示される。被調理物表示部98には被調理物Fを表示して串86の周囲部に生焼け部102の存在を示している。そして、加熱情報提示部100には生焼けの状態として「入熱量が多く、表面温度が低い」と加熱情報の詳細が明示される。
【0066】
加熱不良提示画面90では
図13のBに示すように、既述の領域Bに該当する加熱状態に対応しており、加熱状態表示部96に「加熱不良」が表示される。被調理物表示部98には被調理物Fを表示して串86の周囲部に生焼け部102は解消しているが、依然として生焼けであることを示している。そして、加熱情報提示部100には生焼けの状態として「入熱量が少なく表面温度が低い」ことを示すとともに、具体的な状況例として「解凍は充分であるが、加熱時間が足りない」などの調理情報を提示している。
【0067】
加熱不良提示画面92では
図14のAに示すように、既述の領域Cに該当する加熱状態に対応しており、加熱状態表示部96に「加熱不良」が表示される。被調理物表示部98には被調理物Fを表示して串86の周囲部に生焼け部102が存在し、生焼けであることを示している。そして、加熱情報提示部100には生焼けの状態として「入熱量が多く表面温度が高い」ことを示すとともに、具体的な状況例として「加熱時間は充分であるが解凍が足りていない、」などの調理情報を提示している。
【0068】
適正加熱提示画面94では
図14のBに示すように、既述の領域Dに該当する加熱状態に対応しており、加熱状態表示部96に「加熱良」が表示される。被調理物表示部98には被調理物Fを表示して串86の周囲部に生焼け部102の存在はなく、良好な加熱状態を示している。そして、加熱情報提示部100には良好な加熱状態として「入熱量が少なく表面温度が高い」ことを示すとともに、具体的な状況例として「芯までよく焼けている」などの判定結果を提示している。
【0069】
<第2の実施の形態の効果>
この第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この第2の実施の形態によれば、既述の第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) 被調理物Fの調理状態に応じて被調理物Fの調理品提供または再加熱を自動化でき、安全性を高めることができるとともに従事者の作業負担を軽減できる。
(3) 焼き鳥などの調理の自動化システムを構築でき、厨房の自動化に寄与できる。
【実施例】
【0070】
図15は、実施例に係る調理機器104を示している。
図15において、
図7、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
この調理機器104には機器筐体106を備え、この機器筐体106に既述の加熱部4、被調理物待機部6、管理サーバ8、温度計測部10、撮像部12、重さ計測部14、情報提示部16、被調理物提供部18、被調理物検出部20、搬送機構22などを設置し、既述の調理判定システム2を搭載している。
この調理機器104において、これらの機能部は第1の実施の形態または第2の実施の形態で機能を説明しているので、その説明を割愛する。
【0071】
機器筐体106には前面側に被調理物搬入口108、操作窓部110が形成されるとともに、情報提示部16の画面部、情報入力部24が設置されている。被調理物Fは、被調理物搬入口108から加熱部4に搬入されて加熱される。この操作窓部110は被調理物Fの操作が行えるとともに計測状態を確認できる。
そして、加熱状態の判定を終了し、良好判定を得た被調理物Fは、被調理物取出し口112から被調理物提供部18を備えた搬送台114に搬出することができる。
【0072】
<実施例の効果>
この実施例によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この調理機器104によれば、第1および第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(2) この調理機器104では、調理中の被調理物Fを情報提示部16の情報提示により容易に確認することができる。
(3) この調理機器104によれば、加熱中または加熱後の被調理物Fの加熱状態を機器筐体106内で迅速に推定し、焼き立て状態で提供できるとともに、調理中および/または調理後の被調理物Fの放熱を抑制できる。
【0073】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、被調理物Fの調理判定システム2を構成しているが、被調理物Fの調理シミュレーションシステムないし装置に利用してよい。
(2) 上記実施の形態では、焼き鳥などの被調理物Fを例示したが、焼き鳥以外の被調理物Fたとえば、グラタンなど、固形物以外の調理品であってもよい。
(3) 表面温度Tsの計測には放射温度計の他、サーモカメラを用いてもよい。温度情報を得るためにカメラ映像を解析して取得してもよい。
(4) 上記実施の形態では、加熱中または加熱後、被調理物Fの表面温度を計測しているが、加熱中および加熱後の双方で表面温度の計測を行ってもよい。
(5) 上記実施の形態において、画像認識技術を使って被調理物を特定し、その被調理物に合致する判定ロジックを選択して生焼け判定を行ってもよい。
【0074】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【解決手段】被調理物を加熱する工程と、加熱中および/または加熱後、前記被調理物の表面温度を計測する工程と、前記表面温度の傾き情報、前記被調理物の面積情報および重さ情報を用いて前記被調理物の内部への入熱量(=内部入熱量)を算出する工程と、前記内部入熱量を評価する工程とを含み、前記内部入熱量の算出には前記被調理物の全放熱量を算出する工程と、前記被調理物の外部への放熱量(=外部放熱量)を算出する工程と、前記全放熱量から前記外部放熱量を減算して前記内部入熱量を算出する工程とを含む。