(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823770
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】環状部を有する糸、及びそれを用いた編成方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/14 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
D04B1/14
【請求項の数】2
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2019-540506(P2019-540506)
(86)(22)【出願日】2017年8月17日
(65)【公表番号】特表2019-535925(P2019-535925A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】TR2017000096
(87)【国際公開番号】WO2018182545
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】2017/04579
(32)【優先日】2017年3月27日
(33)【優先権主張国】TR
(73)【特許権者】
【識別番号】519125818
【氏名又は名称】ユンテクス テクスティル サナイ ヴェ ティジャレット リミテッド シルケティ
【氏名又は名称原語表記】YUNTEKS TEKSTIL SANAYI VE TICARET LIMITED SIRKETI
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】センコプア, メフメト, アブドラ
【審査官】
小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−110945(JP,A)
【文献】
特開2004−060103(JP,A)
【文献】
実開昭51−088641(JP,U)
【文献】
実公昭49−036113(JP,Y1)
【文献】
特表平07−502792(JP,A)
【文献】
国際公開第93/014254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の環状部(2)を備える糸であって、前記環状部が前記環状部同士の間に距離を置いて設けられている糸(1)を用いることによって、かぎ針、編み針のような編み具を用いることなく、編成面を得るための方法(100)において、
前記糸(1)が2列に整列されることを確保するステップと、
後側の列にある前記糸の前記環状部(2)を、前側の列にある前記糸の前記環状部(2)に通してループを作るステップと、
前記二つのステップを、所望の寸法の編み物が得られるまで繰り返すステップと、
所望の寸法に達した後、前記糸(1)に設けられた前記環状部(2)の寸法が、形成されるべき編み物のループの寸法に適合するように、前記糸を封じるステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法により得られた編成面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かぎ針や編み針等の編み具を用いることなく、大きな面(「編成面」ともいう)を有する編み物(ニット)を得るために用いることができる、環状部を有する糸、及び、この環状部を有する糸を用いて編み物を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、糸(ヤーン)で編成を行う場合には、かぎ針や編み針のような編み具が使用されている。かかる編み具は使用方法を習得する必要があるので、編成をしたい人すべてが通常の糸を使用して編むことができるわけではない。その上、その人が編み方を知っていても、大きな編み物を短時間で編むことはできない。
【0003】
編成を容易にする複数の角部を有する編み針が、先行技術文献のTR200502097(U)明細書に記載されている。この文献に記載の編み針は、丸みを帯びた表面を有しておらず、複数の角部を有する。その編み針は複数の角部を有するので、丸みを帯びた表面を有する編み針によって引き起こされる、編み針と糸とが過剰に接触するという問題を解決する。その文献に記載の発明は、複数の角部を有するように形成されるものとすることができる。すなわち、それは六角形又は七角形とすることができる。編成プロセスがより容易となることを確実にするために、編み具に関して種々改善がなされてきている。
【0004】
しかしながら、これらの改善が糸について行われる場合、編み具への依存性が除去され、誰もが編み物をすることができるようになるであろう。
なお、インターネット[URL:http://www.redheart.de/files/Red_Heart_Yarns_Catalog_2012.pdf]から入手できる2012年12月31日付けのHeart Read社による「Red Heart and You.(商標)Two Hearts One Passion」というタイトルのカタログ2012/2013年版(XP055479279)には、大きな編み物面を得るための糸が開示されている。
また、米国特許第3458988号明細書には、ループ又はブークレ型のヤーン又はラップ処理されたヤーンが開示されており、2本以上の編み物のより糸が空気力学的なラップ処理プロセス(一つのより糸の、他のより糸の回りでのねじりを含まない)において第3のより糸の回りにラップされることが開示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、かぎ針や編み針等の編み具を用いることなく大きな面の編み物を得るために用いられ得る、環状部を有する糸を提供することであり、また、前記環状部を有する糸を用いて編み物を得るための方法を提供することである。
【0006】
環状部を有する糸と、本発明の目的を達成するために前記環状部を有する糸が用いられる編成方法とは、添付図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明による環状部を有する糸を示す図である。
【
図2】本発明による環状部を有する糸を用いることによって編成を実施する方法のステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による糸(1)は、かぎ針や編み針等の編み具を用いることなく大きな面の編み物を得るために使用され、それは、編み物のループの寸法に適した距離と寸法を有する複数の環状部(2)を備えている。
【0009】
本発明による糸(1)は、編み方を知らない如何なる者をも、その糸にデザインされた環状部(2)によって編み物を編むことができるようにする。
【0010】
さらに、環状部(2)によって大きな面の編み物を得ることは容易となる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、糸(1)は、そこに形成された環状部(2)と共に、飾り糸マシン(fancy yarn machine)によって製造することができる。糸(1)に形成された環状部(2)は、一定の高さ(x)、環状部間の一定の距離(y)、及び底部の幅(z)を有する。糸(1)の前記高さ(x)、距離(y、z)及び太さは、編成される編み物のループの寸法に適合するように設計されると共に、それらが糸(1)全体にわたって固定されるように設計されている(
図2のA)。
【0012】
所望の面を得るために前記糸が使用される編成方法(100)は、以下のステップを含む。すなわち、
糸(1)が2列に整列されることを確保するステップと(
図2のB)、
後側にある糸(1)の環状部(2)を、前側にある糸(1)の環状部(2)に通してループを作るステップと(
図2のC)、
上記二つのステップを、所望の寸法の編み物が得られるまで繰り返すステップと(
図2のD)、
所望の寸法に達した後、糸を封じるステップと(
図2のE)
を含む。
【0013】
本発明による方法(100)によって編成プロセスが完了し、所望の寸法のものが得られる(
図2のF)。
【符号の説明】
【0014】
図中の部分にはそれぞれ符号が付されており、各符号は以下に示されるものを指す。
1…糸、2…環状部、100…方法。