(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂、マレイミド化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群のうち、いずれか1種以上を含有する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、本実施形態において、「樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、充填材及び溶剤を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における充填材及び溶剤を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
【0015】
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)と、シアン酸エステル化合物(B)と、を含有する。
【化4】
(式中、R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、R
3〜R
6は、各々独立して、水素原子、メチル基、塩素原子、又は臭素原子を示し、Xは、各々独立して、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、又は炭素原子数2〜15のアルキレン基を示し、nは、n>0である。)
【0016】
〔エポキシ樹脂(A)〕
エポキシ樹脂(A)は、上記式(1)で表される化合物であり、分子中に、1個以上のビスフェノールA型構造単位と、1個以上の炭化水素系構造単位を有する。このようなビスフェノールA型構造単位と炭化水素系構造単位からなるエポキシ樹脂(A)を用いることにより、得られる硬化物の銅箔ピール強度、メッキピール強度が向上する傾向にある。
【0017】
ここで、式(1)中、R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、又はメチル基を示す。このなかでも、メチル基が好ましい。
【0018】
R
3〜R
6は、各々独立して、水素原子、メチル基、塩素原子、又は臭素原子を示す。このなかでも、水素原子が好ましい。
【0019】
Xは、エチレン基、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、又は炭素原子数3〜15のアルキレン基を示す。このなかでも、エチレン基が好ましい。
【0020】
nは、自然数を表し、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜7であり、さらに好ましくは1〜5である。
【0021】
その他、エポキシ樹脂(A)は、市販のものを用いることもできる。市販されているものとしては、特に限定されないが、例えば、EPICLON EXA−4850−150(DIC(株)製)、EPICLON EXA−4816(DIC(株)製)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
エポキシ樹脂(A)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1〜90質量部であり、好ましくは10〜80質量部であり、より好ましくは20〜70質量部であり、さらに好ましくは30〜60質量部である。エポキシ樹脂(A)の含有量が上記範囲内であることにより、得られる硬化物の銅箔ピール強度、メッキピール強度がより向上する傾向にある。
【0023】
また、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、好ましくは250〜800g/eq.であり、より好ましくは250〜550g/eq.であり、さらに好ましくは350〜550g/eq.であり、よりさらに好ましくは、410〜550g/eq.である。エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が上記範囲内であることにより、得られる硬化物の銅箔ピール強度、メッキピール強度がより向上する傾向にある。特に、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が410〜550g/eq.であることにより、吸水率もより低下する傾向にある。
【0024】
〔シアン酸エステル化合物(B)〕
シアン酸エステル化合物(B)としては、特に限定されないが、例えば、下記式(2)で示されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記式(3)で示されるビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビス(3,5−ジメチル4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、及び2、2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン;これらシアン酸エステルのプレポリマー等が挙げられる。このなかでも、下記式(2)で示されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記式(3)で示されるビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物からなる群のうち、いずれか1種以上を含有することが好ましい。このようなシアン酸エステル化合物を用いることにより、得られる硬化物の銅箔ピール強度、メッキピール強度がより向上する傾向にある。シアン酸エステル化合物(B)は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【化5】
(式中、R
7は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、n
1は1〜50の整数を示す。)
【化6】
(式中、R
8は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、n
3は1〜50の整数を示す。)
【0025】
式(2)中、R
7は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、このなかでも水素原子が好ましい。また、式(2)中、n
1は、1〜50の整数を表し、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。
【0026】
式(3)中、R
8は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、このなかでも水素原子が好ましい。また、式(3)中、n
3は、1〜50の整数を表し、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜7である。
【0027】
これらのシアン酸エステル化合物(B)の製造方法としては、特に限定されず、シアン酸エステル化合物の合成方法として公知の方法を用いることができる。公知の方法としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを不活性有機溶媒中で、塩基性化合物存在下反応させる方法、フェノール樹脂と塩基性化合物との塩を、水を含有する溶液中にて形成させ、その後、得られた塩とハロゲン化シアンとを2相系界面反応させる方法が挙げられる。
【0028】
これらのシアン酸エステル化合物(B)の原料となるフェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、下記式(4)で示されるナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂が挙げられる。
【0029】
【化7】
(式中、R
9は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、n
4は1〜50の整数を示す。)
【0030】
式(4)中、R
9は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、このなかでも水素原子が好ましい。また、式(4)中、n
4は、1〜50の整数を表し、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。
【0031】
式(4)で示されるナフトールアラルキル型フェノール樹脂は、ナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得ることができる。ここで、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、α−ナフトール及びβ−ナフトール等のナフトール類と、p−キシリレングリコール、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、及び1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等のベンゼン類と、の反応により得られるものが挙げられる。ナフトールアラルキル型シアン酸エステルは、上記のようにして得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものから選択することができる。
【0032】
ここで、シアン酸エステル化合物(B)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1〜90質量部であり、好ましくは10〜80質量部であり、より好ましくは20〜70質量部であり、さらに好ましくは30〜60質量部である。シアン酸エステル化合物の含有量が上記範囲内であることにより、得られる硬化物の銅箔ピール強度、メッキピール強度がより向上する傾向にある。
【0033】
〔充填材(C)〕
本実施形態の樹脂組成物は、充填材(C)を更に含んでもよい。充填材(C)としては、特に限定されないが、例えば、無機充填材及び有機充填材が挙げられる。充填材(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0034】
無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類;ホワイトカーボン等のケイ素化合物;チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;硫酸バリウム等の金属硫酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物;酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛等の亜鉛化合物;アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E−ガラス、A−ガラス、NE−ガラス、C−ガラス、L−ガラス、D−ガラス、S−ガラス、M−ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラス等が挙げられる。
【0035】
また、有機充填材としては、特に限定されないが、例えば、スチレン型パウダー、ブタジエン型パウダー、アクリル型パウダーなどのゴムパウダー;コアシェル型ゴムパウダー;シリコーンレジンパウダー;シリコーンゴムパウダー;シリコーン複合パウダーなどがあげられる。
【0036】
このなかでも、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。このような充填材(C)を用いることにより、得られる硬化物の熱伝導率がより向上し、銅箔ピール強度、メッキピール強度がより向上する傾向にある。
【0037】
ここで、充填材(C)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは50〜1600質量部であり、より好ましくは50〜1000質量部であり、さらに好ましくは50〜500質量部である。充填材(C)の含有量が上記範囲内であることにより、得られる硬化物の熱伝導率がより一層向上する傾向にある。
【0038】
〔シランカップリング剤及び湿潤分散剤〕
本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤や湿潤分散剤をさらに含んでもよい。
【0039】
シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系化合物;γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系化合物;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のカチオニックシラン系化合物;フェニルシラン系化合物等が挙げられる。シランカップリング剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されないが、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK−110、111、118、180、161、BYK−W996、W9010、W903等が挙げられる。
【0041】
〔その他の成分〕
本実施形態の樹脂組成物は、上記成分の他、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂、マレイミド化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、及び重合可能な不飽和基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0042】
〔その他のエポキシ樹脂〕
その他のエポキシ樹脂としては、上記式(1)で表されるエポキシ樹脂以外であって1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。その具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエンなどの二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、或いはこれらのハロゲン化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
このなかでも、エポキシ樹脂が、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選択される一種以上であることが好ましい。
【0044】
〔マレイミド化合物〕
マレイミド化合物としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーが挙げられる。
【0045】
このなかでも、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ノボラック型マレイミド化合物、及びビフェニルアラルキル型ビスマレイミドが好ましい。
【0046】
〔フェノール樹脂〕
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用でき、その種類は特に限定されない。その具体例としては、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
〔オキセタン樹脂〕
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを使用でき、その種類は特に限定されない。その具体例としては、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3’−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製商品名)、OXT−121(東亞合成製商品名)等が挙げられる。これらのオキセタン樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
〔ベンゾオキサジン化合物〕
ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。その具体例としては、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ(小西化学製商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ(小西化学製商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(小西化学製商品名)等が挙げられる。これらのベンゾオキサジン化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0049】
〔重合可能な不飽和基を有する化合物〕
重合可能な不飽和基を有する化合物としては、一般に公知のものを使用でき、その種類は特に限定されない。その具体例としては、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等のビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価又は多価アルコールの(メタ)アクリレート類;ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類;ベンゾシクロブテン樹脂;(ビス)マレイミド樹脂等が挙げられる。これらの不飽和基を有する化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0050】
〔硬化促進剤〕
本実施形態の樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含んでもよい。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルイミダゾール等のイミダゾール類;過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレートなどの有機過酸化物;アゾビスニトリルなどのアゾ化合物;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチルピリジン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物などが挙げられる。これらのなかでも、トリフェニルイミダゾールが硬化反応を促進し、ガラス転移温度、熱膨張率が優れる傾向にあるため、特に好ましい。
【0051】
〔溶剤〕
本実施形態の樹脂組成物は、溶剤をさらに含んでもよい。溶剤を含むことにより、樹脂組成物の調製時における粘度が下がり、ハンドリング性がより向上するとともに後述する基材への含浸性がより向上する傾向にある。
【0052】
溶剤としては、樹脂組成物中の樹脂成分の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートなどが挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。この際、各成分を均一に溶解或いは分散させるため、攪拌、混合、混練処理などの公知の処理を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことで、樹脂組成物に対する充填材(C)の分散性を向上させることができる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の樹脂組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例は、上述したとおりである。
【0055】
〔用途〕
本実施形態の樹脂組成物は、プリプレグ、金属箔張積層板、積層樹脂シート、樹脂シート、又はプリント配線板として好適に用いることができる。以下、プリプレグ、金属箔張積層板、積層樹脂シート、樹脂シート、又はプリント配線板について説明する。
【0056】
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された、上記樹脂組成物と、を有する。プリプレグの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、本実施形態における樹脂成分を基材に含浸又は塗布させた後、100〜200℃の乾燥機中で1〜30分加熱するなどして半硬化(Bステ−ジ化)させることで、本実施形態のプリプレグを作製することができる。
【0057】
樹脂組成物(充填材(C)を含む。)の含有量は、プリプレグの総量に対して、好ましくは30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。樹脂組成物の含有量が上記範囲内であることにより、成形性がより向上する傾向にある。
【0058】
基材としては、特に限定されず、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを、目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。基材を構成する繊維の具体例としては、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス、球状ガラス、NEガラス、Lガラス、Tガラスなどのガラス繊維;クォーツなどのガラス以外の無機繊維;ポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン(株)製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ(株)製)などの全芳香族ポリアミド;2,6−ヒドロキシナフトエ酸・パラヒドロキシ安息香酸(ベクトラン(登録商標)、(株)クラレ製)、ゼクシオン(登録商標、KBセーレン製)などのポリエステル;ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(ザイロン(登録商標)、東洋紡績(株)製)、ポリイミドなどの有機繊維が挙げられる。これらのなかでも低熱膨張率の観点から、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、及び有機繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これら基材は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0059】
基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマットなどが挙げられる。織布の織り方としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、これらを開繊処理したものやシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さや質量は、特に限定されないが、通常は0.01〜0.3mm程度のものが好適に用いられる。とりわけ、強度と吸水性との観点から、基材は、厚み200μm以下、質量250g/m
2以下のガラス織布が好ましく、Eガラス、Sガラス、及びTガラスのガラス繊維からなるガラス織布がより好ましい。
【0060】
〔積層樹脂シート〕
本実施形態の積層樹脂シートは、支持体と、該支持体上に配された、上記樹脂組成物と、を有する。積層樹脂シートとは、薄葉化の1つの手段として用いられるもので、例えば、金属箔やフィルムなどの支持体に、直接、樹脂組成物を塗布及び乾燥して製造することができる。
【0061】
支持体としては、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知の物を使用することができる。例えばポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム等の有機系のフィルム基材、アルミニウム箔、銅箔、金箔などの導体箔、ガラス板、SUS板、FPR等の板状の無機系フィルムが挙げられる。その中でも電解銅箔、PETフィルムが好ましい。
【0062】
塗布方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
【0063】
積層樹脂シートは、上記樹脂組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。具体的には、例えば、上記樹脂組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法などにより半硬化させ、積層樹脂シートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する樹脂組成物の付着量は、積層樹脂シートの樹脂厚で1〜300μmの範囲が好ましい。
【0064】
〔樹脂シート〕
本実施形態の樹脂シートは、樹脂組成物含む。樹脂シートは、樹脂組成物をシート状に成形してなるものである。樹脂シートの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、上記積層樹脂シートから、支持体を剥離又はエッチングすることにより得ることができる。なお、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、シート基材を用いることなく樹脂シート(単層樹脂シート)を得ることもできる。
【0065】
〔金属箔張積層板〕
本実施形態の金属箔張積層板は、少なくとも1枚以上積層された上記プリプレグと、該プリプレグの片面または両面に配された金属箔とを有する。すなわち、本実施形態の金属箔張積層板は、上記プリプレグと、金属箔とを積層して硬化して得られるものである。
【0066】
導体層は、銅やアルミニウムなどの金属箔とすることができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。また、導体層の厚みは、特に限定されないが、1〜70μmが好ましく、より好ましくは1.5〜35μmである。
【0067】
金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件は、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができる。また、金属箔張積層板の成形において、温度は100〜350℃、圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150〜350℃の温度で後硬化を行うこともできる。また、上述のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0068】
〔プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導体層とを含み、前記絶縁層が、上記樹脂組成物を含む。上記の金属箔張積層板は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。そして、上記の金属箔張積層板は、低い熱膨張率、良好な成形性及び耐薬品性を有し、そのような性能が要求される半導体パッケージ用プリント配線板として、殊に有効に用いることができる。
【0069】
本実施形態のプリント配線板は、具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、上述の金属箔張積層板(銅張積層板等)を用意する。金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作製する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を施し、次いでその内層回路表面に上述のプリプレグを所要枚数重ね、更にその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアを除去するためデスミア処理が行われる。その後この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、更に外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成し、プリント配線板が製造される。
【0070】
上記の製造例で得られるプリント配線板は、絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された導体層とを有し、絶縁層が上述した本実施形態の樹脂組成物を含む構成となる、すなわち、上述のプリプレグ(基材及びこれに添着された上述の樹脂組成物)、金属箔張積層板の樹脂組成物層(上述の樹脂組成物からなる層)が、上述の樹脂組成物を含む絶縁層を構成することになる。
【0071】
また、金属箔張積層板を用いない場合には、上記プリプレグ、上記積層樹脂シート、又は上記樹脂組成物からなるものに、回路となる導体層を形成しプリント配線板を作製してもよい。この際、導体層の形成に無電解めっきの手法を用いることもできる。
【0072】
本実施形態のプリント配線板は、上述の絶縁層が銅箔ピール強度、めっきピール強度、曲げ強度、吸水率、誘電率、熱膨張係数、熱重量減少率に優れた特性を有することから、半導体パッケージ用プリント配線板として、殊に有効に用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0074】
〔合成例1〕1−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂(SNCN)の合成
反応器内で、α−ナフトールアラルキル樹脂(SN495V、OH基当量:236g/eq.、新日鐵化学(株)製)300g(OH基換算1.28mol)及びトリエチルアミン194.6g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
【0075】
塩化シアン125.9g(2.05mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.6mol)、ジクロロメタン293.8g、36%塩酸194.5g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)、水1205.9gを、撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液1を30分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン65g(0.64mol)(ヒドロキシ基1molに対して0.5mol)をジクロロメタン65gに溶解させた溶液(溶液2)を10分かけて注下した。溶液2注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
【0076】
その後反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄し、水洗5回目の廃水の電気伝導度は5μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられてことを確認した。
【0077】
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて目的とするナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SNCN)(橙色粘性物)331gを得た。得られたSNCNの質量平均分子量Mwは600であった。また、SNCNの赤外吸収スペクトルは2250cm
-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、且つ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。
【0078】
〔実施例1〕
合成例1により得られたSNCN50質量部、式(1)を満たすエポキシ樹脂(大日本インキ(株)製、EPICLON EXA−4816、エポキシ当量408g/eq.)50質量部、溶融シリカ(SC2050MB、(株)アドマテックス製,平均粒子径5μm)100質量部、オクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製)0.10質量部を混合してワニスを得た。
【0079】
〔実施例2〕
EPICLON EXA−4816に代えて、式(1)を満たすエポキシ樹脂(大日本インキ(株)製、EPICLON EXA−4850−150、エポキシ当量435g/eq.)を50質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ワニスを得た。
【0080】
〔比較例1〕
上記式(1)で表されるエポキシ樹脂に代えて、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC3000FH、エポキシ当量320g/eq.)を50質量部用い、オクチル酸亜鉛(日本化学産業(株)製)の使用量を0.12質量部としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ワニスを得た。
【0081】
〔銅張積層板の製造方法〕
以上のようにして得られたワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、乾燥機(耐圧防爆型スチーム乾燥機、(株)高杉製作所製))を用いて150℃、5分間加熱乾燥し、樹脂組成物50質量%のプリプレグを得た。このプリプレグ2枚又は8枚を重ね、両面に12μm厚の電解銅箔(3EC−M3−VLP、三井金属鉱業(株)製)を配置し、圧力30kg/cm
2、温度220℃で150分間真空プレスを行い、絶縁層厚さ0.2mm、0.8mmの銅張積層板を得た。得られた銅張積層板を用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
〔銅箔ピール強度〕
上記のようにして得られた絶縁層厚さ0.8mmの銅張積層板の試験片(30mm×150mm×厚さ0.8mm)を用い、JIS C6481のプリント配線板用銅張積層板試験方法(5.7 引き剥がし強さ参照。)に準じて、銅箔の引き剥がし強度を3回測定し、下限値の平均値を測定値とした。
【0083】
上記で得られた絶縁層厚さ0.8mmの銅張り積層板の表層にある銅箔をエッチングにより除去し、得られた絶縁層を40℃のアルカリ水溶液(1N−水酸化ナトリウム水溶液)に5分間浸漬した(デスミア処理)。アルカリ水溶液から取り出した絶縁層を水洗した後、上村工業社製の無電解銅めっきプロセス(使用薬液名:MCD−PL、MDP−2、MAT−SP、MAB−4−C、MEL−3−APEA ver.2)にて、約0.5μmの無電解銅めっきをその絶縁層に施し、130℃で1時間の乾燥を行った。続いて、電解銅めっきをめっき銅の厚みが20μmになるように施し、180℃で1時間の乾燥を行った。こうして、厚さ0.1mmの絶縁層上に厚さ20μmの導体層(めっき銅)が形成されたプリント配線板の試験片を作製し、無電解めっきピール(デスミア処理有)の評価に供した。また、上記工程からアルカリ水溶液による処理を除いた工程によって導体層を形成したプリント配線板の試験片を作製し、無電解めっきピール(デスミア処理無)の評価に供した。
【0084】
〔めっきピール強度〕
上記のようにして得られた試験片を用い、JIS C6481に準じて、めっきピール強度(接着力)を3回測定し、平均値を求めた。電解銅めっき後の乾燥で膨れた試験片に関しては、膨れていない部分を用いて評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
〔吸水率〕
上記のようにして得られた絶縁層厚さ0.8mmの銅張積層板の試験片を用い、JIS C 6481に準拠して、プレッシャークッカー試験機(平山製作所製、PC−3型)により、121℃、2気圧で5時間処理後の吸水率を測定した。
【0086】
【表1】