特許第6823858号(P6823858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6823858ブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置並びに洗浄液の製造方法
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  • 特許6823858-ブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置並びに洗浄液の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6823858
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】ブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置並びに洗浄液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28G 9/00 20060101AFI20210121BHJP
   F25D 17/02 20060101ALI20210121BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20210121BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20210121BHJP
   F25D 13/00 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   F28G9/00
   F25D17/02 305
   B08B9/032 321
   F25D9/00 B
   F25D13/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-72629(P2020-72629)
(22)【出願日】2020年4月15日
【審査請求日】2020年5月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520132078
【氏名又は名称】有限会社五洋工営
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】五反 義次
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−514834(JP,A)
【文献】 特表2009−513339(JP,A)
【文献】 特表平6−505331(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1258564(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 9/00
B08B 9/032
F25D 9/00
F25D 13/00
F25D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンク内の前記洗浄液を、ブラインクーラーと該貯留タンクとの間で循環させ
る洗浄液ポンプと、
前記貯留タンク内に配置されて、前記洗浄液を40〜50℃に加熱するヒーターと、を備え
前記洗浄液が、濃度が20質量%〜40質量%のタンパク質溶解用水溶液であり、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むブラインクーラーの洗浄装置。
【請求項2】
洗浄液を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンク内の前記洗浄液を、ブラインクーラーと該貯留タンクとの間で循環させる洗浄液ポンプと、前記貯留タンク内に配置されて、前記洗浄液を加熱するヒーターと、を備えたブラインクーラーの洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記ブラインクーラーの洗浄装置を前記ブラインクーラーに接続するステップと、
前記洗浄液ポンプが、前記洗浄液を前記ブラインクーラーと前記貯留タンクとの間で循環させるステップと、
前記ヒーターが、前記洗浄液を40〜50℃に加熱するステップと、み、
前記洗浄液が、濃度が20質量%〜40質量%のタンパク質溶解用水溶液であり、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むタンパク質溶解用水溶液である洗浄方法。
【請求項3】
洗浄液としてのタンパク質溶解用水溶液を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンク内の前記洗浄液を、ブラインクーラーと該貯留タンクとの間で循環させる洗浄液ポンプと、前記貯留タンク内に配置されて、前記洗浄液を40〜50℃に加熱するヒーターと、を備えたブラインクーラーの洗浄装置に使用される洗浄液の製造方法であって、
炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを調
製し、前記タンパク質溶解用水溶液を生成するステップと、
前記タンパク質溶解用水溶液の濃度を20質量%〜40質量%とするステップと、を含
む洗浄液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁船のブライン冷凍装置用のブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【0002】
また、本発明は、漁船のブライン冷凍装置用のブラインクーラーの洗浄に利用する洗浄液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、漁船では、獲れた鰹などの魚の鮮度を保つため、ブライン液を利用したブライン冷凍装置を備えており、このブライン冷凍装置にて、漁獲後、直ぐに、例えば−18度〜−20度位の温度で急速冷凍している。特許文献1及び2には、遠洋漁船等に搭載されたブライン冷凍装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−31870号公報
【特許文献2】特開2006−162096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ブライン液により魚は冷凍されるものの、ブライン液自体は不凍液なので、凍らずに、ブラインクーラーと、魚を浸漬する冷凍用ブライン液水槽との間を循環する。このため、魚の冷凍中に、うろこ、背びれ、胸びれ及び尾びれ等が取れると、ブライン液によりブラインクーラー内まで運ばれ、ブラインクーラー内に溜り、さらにはブラインクーラー内の通路壁面に付着したり、チューブが詰まったりする。このようなひれ等のスケール類の付着量が増えると、流路面積が狭くなり、伝熱壁が厚くなり、ブライン液の流れが妨げられると共に、熱交換効率が低下する。最後には、ブラインクーラーの流路が詰まり、ブラインクーラー自体が使用できなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、ブラインクーラー内に溜まり、あるいは付着した、うろこや各ひれ等のタンパク質からなるスケールを、溶解することにより、簡単に除去することができるブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置を提供することにある。
【0007】
さらに、上述した漁船のブライン冷凍装置用のブラインクーラーの洗浄に利用する洗浄液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、洗浄液を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンク内の前記洗浄液を、ブラインクーラーと該貯留タンクとの間で循環させる洗浄液ポンプと、前記貯留タンク内に配置されて、前記洗浄液を40〜50℃に加熱するヒーターと、を備え、前記洗浄液が、濃度が20質量%〜40質量%のタンパク質溶解用水溶液であり、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むブラインクーラーの洗浄装置である。
【0009】
【0010】
請求項に記載の発明は、洗浄液を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンク内の前記洗浄液を、ブラインクーラーと該貯留タンクとの間で循環させる洗浄液ポンプと、前記貯留タンク内に配置されて、前記洗浄液を加熱するヒーターと、を備えたブラインクーラーの洗浄装置を用いた洗浄方法であって、前記ブラインクーラーの洗浄装置を前記ブラインクーラーに接続するステップと、前記洗浄液ポンプが、前記洗浄液を前記ブラインクーラーと前記貯留タンクとの間で循環させるステップと、前記ヒーターが、前記洗浄液を40〜50℃に加熱するステップと、み、前記洗浄液が、濃度が20質量%〜40質量%のタンパク質溶解用水溶液であり、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むタンパク質溶解用水溶液である洗浄方法である。
【0011】
【0012】
請求項に記載の発明は、洗浄液としてのタンパク質溶解用水溶液を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンク内の前記洗浄液を、ブラインクーラーと該貯留タンクとの間で循環させる洗浄液ポンプと、前記貯留タンク内に配置されて、前記洗浄液を40〜50℃に加熱するヒーターと、を備えたブラインクーラーの洗浄装置に使用される洗浄液の製造方法であって、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを調製し、前記タンパク質溶解用水溶液を生成するステップと、前記タンパク質溶解用水溶液の濃度を20質量%〜40質量%とするステップと、を含む洗浄液の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置によれば、ブラインクーラーに溜まり、あるいは付着した、うろこや各ひれ等のスケールを溶解することにより、簡単にそれらを除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るブラインクーラーの洗浄装置が接続されたブライン冷凍装置の全体構成略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るブラインクーラーの洗浄方法及び洗浄装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
〔実施形態1〕
図1は、ブラインクーラー11の洗浄装置30が接続されたブライン冷凍装置1の全体構成図であり、この図1により、まず、ブライン冷凍装置1の概要を説明する。ブライン冷凍装置1は、遠洋航海等で獲得した魚を浸漬するブライン液水槽10と、このブライン液水槽10に、−19℃〜−20℃のブライン液を供給するブライン液ポンプ(図示せず)及びブライン液貯留槽(図示せず)と、ブライン液水槽10内で冷凍に利用された後のブライン液を冷却するブラインクーラー11と、このブラインクーラー11内にブライン液冷却用のアンモニア等の冷媒を供給する冷媒供給装置(凝縮機や圧縮機等)12と、を備えて構成されている。
【0017】
ブラインクーラー11の上壁には、複数のエア抜き15が設けられ、ブラインクーラー11の下壁には、ブラインクーラー11内に連通する排液弁16が設けられている。
【0018】
ブラインクーラー11の長手方向の両端部の上下には、ブライン液戻り口21と、ブライン液吐出口22が設けられている。ブライン液戻り口21は、第1切り換え弁23及びブライン液戻り管24を介して、ブライン液水槽10のブライン液排出口25に接続されている。ブラインクーラー11のブライン液吐出口22は、第2切り換え弁26を介してブライン液水槽10のブライン液取入口27に接続されている。
【0019】
魚を冷凍するためのブライン液としては、塩分重量濃度が、23〜24%程度の濃い塩水が用いられる。23〜24%程度の濃い塩水は、不凍液であり、略−20℃までは凍結することがなく、液状に維持される。
【0020】
ブライン冷凍装置1による魚の冷凍作業について簡単に説明する。
作業前の段取りとして、第1切り換え弁23は、ブライン液水槽10のブライン液排出口25とブラインクーラー11のブライン液戻り口21とを接続する状態に切り換え、第2切り換え弁26は、ブライン液水槽10のブライン液取入口27とブラインクーラー11のブライン液吐出口22とを接続する状態に切り換える。
【0021】
ブライン液は、ブラインクーラー11内で、冷媒供給装置12からのアンモニア等の冷媒と熱交換されることにより、−19℃〜−20℃程度まで冷却され、ブライン液吐出口22から第2切り換え弁26及びブライン液取入口27を通ってブライン液水槽10内に供給される。
【0022】
ブライン液水槽10内では、獲得された直後の魚がブライン液に浸漬され、−19℃〜−20℃程度に冷凍される。
【0023】
ブライン液水槽10内で魚の冷凍に利用された後のブライン液は、ブライン液排出口25から、ブライン液戻り管24、第1切り換え弁23及びブライン液戻り口21を通ってブラインクーラー11内に戻される。ブラインクーラー11内では、ブライン液は、再度、アンモニア等の冷媒と熱交換され、−19℃〜−20℃に冷却され、ブライン液水槽10に供給される。
【0024】
次に、ブライン冷凍装置1に接続される洗浄装置30の構成を説明する。洗浄装置30は、洗浄液ポンプ31と、電気ヒーター32を内蔵し、洗浄液を貯留する貯留タンク33と、フィルター34を内蔵する中間タンク35と、外部フィルター38と、を備え、洗浄が必要となった際にブライン冷凍装置1に接続される。
【0025】
貯留タンク33は、外部フィルター38、洗浄液回収管(洗浄液回収路)40及び第1切り換え弁23を介して、ブラインクーラー11のブライン液戻り口21に、着脱可能に接続されている。すなわち、ブラインクーラー11のブライン液戻り口21は、第1切り換え弁23により、ブライン液水槽10のブライン液排出口25と、洗浄装置30の洗浄液回収管40とに、切り換え自在に接続される。
なお、外部フィルター38は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0026】
電気ヒーター32は、貯留タンク33内に配置され、貯留タンク33内の洗浄液を任意の温度に加熱できる。本実施形態では、40℃〜50℃に温めることができるように設定されている。
【0027】
貯留タンク33の出口は、開閉弁36を介して、内蔵フィルター34を有する中間タンク35の入口に接続され、中間タンク35の出口は、洗浄液ポンプ31の吸い込み口31aに接続されている。
なお、中間タンク35(内蔵フィルター34)は必ずしも設けられていなくてもよく、貯留タンク33の出口が、開閉弁36を介して、洗浄液ポンプ31の吸い込み口31aに接続されていてもよい。
【0028】
洗浄液ポンプ31は、洗浄液をブラインクーラー11と貯留タンク33との間で循環させることができる。
洗浄液ポンプ31の吐出口31bは、開閉弁37、洗浄液供給管39及び前述の第2切り換え弁26を介して、ブラインクーラー11のブライン液吐出口22に接続されている。すなわち、ブラインクーラー11のブライン液吐出口22は、第2切り換えバルブ26により、ブライン液水槽10のブライン液取入口27と、洗浄液吐出管39とに、切り換え自在に接続される。
【0029】
洗浄液としては、例えば、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むタンパク質溶解用水溶液が用いられる。タンパク質溶解用水溶液は、例えば、水35質量%以上、炭酸ナトリウム3質量%以上、ヘキサメタリン酸ナトリウム3質量%以上、苛性ソーダ48%液40質量%以上及びグルコン酸ソーダ10質量%以上を混合して調製した水溶液を300リットル生成後、該水溶液を600リットルの水と混合して生成した900リットルの洗浄液である。
【0030】
タンパク質溶解用水溶液は、水に対する濃度を20質量%〜40質量%とするのが好ましく、25質量%〜35質量%とするのがより好ましい。ちなみに、濃度が質量20%以下である場合には、殆どたんぱく質除去機能を発揮しないが、濃度が40質量%を超えても効果は変わらない。
【0031】
タンパク質溶解用水溶液は強アルカリ性であり、そのpHは8〜14が好ましい。
【0032】
本実施形態1に係る洗浄装置30によれば、船体からブラインクーラーを取り外すことなく、タンパク質溶解用水溶液により、ブラインクーラー内に付着した魚のうろこや各ひれ等のタンパク質を除去できる。
すなわち、ブラインクーラー内に溜まり、あるいは付着するうろこや各ひれ等のスケールが増加しても、従来のように、新しいブラインクーラーに取り換えることはなく、既存のブラインクーラーを良好な状態に戻すことができる。
【0033】
次に、ブラインクーラー11の洗浄作業(ブラインクーラー11の洗浄方法)について説明する。
【0034】
まず、洗浄装置30を船内に搬入する。
次に、第1切り換え弁23を、洗浄装置30の洗浄液回収管40とブラインクーラー11のブライン液戻り口21とを接続する状態に切り換え、第2切り換え弁26を、洗浄装置30の洗浄液吐出管39とブラインクーラー11のブライン液吐出口22とを接続する状態に切り換える。すなわち、洗浄装置30をブラインクーラー11に接続する。また、ブラインクーラー11内の残留液は、排液弁16により、予め、排出しておく。
【0035】
洗浄液として、前述のように、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むタンパク質溶解用水溶液を貯留タンク33に投入し、電気ヒーター32で加熱することにより、洗浄液の温度を40〜50℃まで上昇させる。
【0036】
加熱後の洗浄液は、洗浄液ポンプ31により、貯留タンク33から開閉弁36、フィルター34を有する中間タンク35を介して、吸い込み口31aに吸い込まれ、吐出口31bから、洗浄液供給管39及び第2切り換え弁26を介して、ブラインクーラー11内に供給される。
【0037】
ブラインクーラー11内では、ブラインクーラー11内に溜まったり、付着した魚のうろこやひれ等のタンパク質のスケールを溶解し、ブライン液戻り口21から排出する。ブライン液戻り口21からは、第1切り換え弁23、洗浄液回収管40及び外部フィルター38を介して、貯留ランク33に回収される。外部フィルター38では、うろこやひれ等が完全に溶解されなかった場合に、そのうろこやひれ等が除去される。
かかる作業を、例えば40時間繰り返し、ブラインクーラー11内に溜まったうろこやひれ等を除去する。循環させる洗浄液は、例えば900リットルである。
【0038】
貯留タンク33としては、例えば、容量が200リットル程度の一般的なドラム缶が利用でき、洗浄液供給管39やブラインクーラー11の分量600リットルを含めて、上述のように合計900リットル程度を使用するため、当初に貯留タンク(ドラム缶)33に200リットル投入後、洗浄液ポンプ31で洗浄液吐出管39等に吐出し、順次、合計900リットルの洗浄液を洗浄液ポンプ31にて供給し、40時間循環させる。
洗浄液としてのタンパク質溶解用水溶液は、当初白く透き通っているが、汚物たるタンパク質を溶解すると透明感が無くなることで、付着したうろこや各ひれが除去されたことが判断できる。
【0039】
洗浄液を製造する場合には、例えば、水分35質量%以上、炭酸ナトリウム3質量%以上、ヘキサメタリン酸ナトリウム3質量%以上、苛性ソーダ48%液40質量%以上及びグルコン酸ソーダ10質量%を混合して調製した水溶液を300リットル生成後、該水溶液を600リットルの水と混合し、強アルカリ性の洗浄液を900リットル生成する。本実施形態1では、実質的に40時間、洗浄液を循環させており、これにより、40時間の循環でもブラインクーラー11内に溜まったり、付着したりしたうろこや各ひれ等を除去することができる。
【0040】
本実施形態1に係るブラインクーラーの洗浄方法によれば、タンパク質溶解用水溶液により、ブラインクーラー内に溜まり、あるいは付着した魚のうろこやひれ等のタンパク質を除去し、ブラインクーラーを取り換えることなく、再度、効率良く利用することができる。特に、洗浄液を加熱しておくことにより、効率良くうろこや各ひれ等のスケールを除去できる。
【0041】
〔実施形態2〕
洗浄液として、実施形態1と同様の成分のタンパク質溶解用水溶液を調整し、300リットル生成後、該水溶液を600リットルの水と混合、900リットルの洗浄液を生成する。
【0042】
実施形態1と同様に、電気ヒーター32を設置した貯留タンク33と、洗浄液ポンプ31とを備えた洗浄装置30を利用し、洗浄液900リットルを、貯留タンク33内で電気ヒーター32により40〜50℃に加熱後、洗浄液ポンプ31でブラインクーラー11内に供給し、45時間循環させる。
【0043】
これにより、45時間の循環でもブラインクーラー11内に溜まったうろこや各ひれ等を除去することができた。前述の40時間の循環の場合と顕著な相違はないが、若干、多くのスケールを除去できる。
【0044】
〔実施形態3〕
洗浄液として、上述した実施形態1と同様の成分のタンパク質溶解用水溶液を調整し、300リットル生成後、該水溶液を600リットルの水と混合し、900リットルの洗浄液を生成する。
【0045】
実施形態1と同様に、電気ヒーター32を設置した貯留タンク33と、洗浄液ポンプ31とを有する洗浄装置30を利用し、洗浄液900リットルを貯留タンク33内で電気ヒーター32により40〜50℃に加熱後、洗浄液ポンプ31でブラインクーラー11内に供給し、50時間循環させた。
【0046】
これにより、50時間の循環でもブラインクーラー内に溜まった背ビレ等を除去することができた。前述の40時間及び45時間の循環の場合と顕著な相違はないが、それらより若干、多くのスケールを除去できる。
【0047】
〔第1比較形態〕
洗浄液として、実施形態1と同様の成分のタンパク質溶解用水溶液を調整し、300リットル生成後、該水溶液を600リットルの水と混合し、900リットルの洗浄液を生成する。
【0048】
加熱しない状態で、実施形態1と同様に、貯留タンク33と、洗浄液ポンプ31を有する洗浄装置30を利用し、洗浄液900リットルをブラインクーラー11内に供給し、40時間循環させた。
【0049】
該洗浄液は加熱されていないことから、ブラインクーラー11内に溜まったうろこや各ひれ等を効果的に除去することはできなかった。
【0050】
〔第2比較形態〕
洗浄液として、実施形態1と同様の成分のタンパク質溶解用水溶液を調整し、300リットル生成後、該水溶液を600リットルの水と混合し、900リットルの洗浄液を生成する。
【0051】
洗浄液の温度は30℃とし、実施形態1と同様に、電気ヒーター32を有する貯留タンク33と、洗浄液ポンプ31とを有する洗浄装置30を利用し、洗浄液900リットルをブラインクーラー11内に供給し、50時間循環させた。
【0052】
該洗浄液は、加熱されているものの30℃と低温のため、ブラインクーラー11内に溜まったうろこや各ひれ等を効果的に除去することはできなかった。
【0053】
〔第3比較形態〕
洗浄液として、実施形態1と同様の成分のタンパク質溶解用水溶液を調整し、150リットル生成後、該水溶液を750リットルの水と混合し、900リットルの洗浄液を生成する。
【0054】
洗浄液の温度は50℃とし、実施形態1と同様に、電気ヒーター32を有する貯留タンク33と、洗浄液ポンプ31とを有する洗浄装置30を利用し、洗浄液900リットルをブラインクーラー11内に供給し、50時間循環させた。
【0055】
該洗浄液は、加熱されているものの、濃度が15質量%と薄く、好適な濃度20質量%から40質量%の範囲を外れていたため、ブラインクーラー11内に溜まったうろこや各ひれ等を除去することは困難であった。
【0056】
上記各実施形態及び比較形態の結果により、洗浄液として、濃度が20質量%から40%質量の範囲内で、40℃〜50℃に加熱されたタンパク質溶解用水溶液を用いることにより、ブラインクーラー11内に残留し、あるいは付着しているうろこやひれ等を、効果的に溶解し、除去できることが確認できた。
【0057】
〔他の実施形態〕
上述した実施形態では、洗浄液として、炭酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、苛性ソーダ及びグルコン酸ソーダを含むタンパク質溶解用水溶液を用い、この水溶液を加熱することにより均一的に溶解させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、タンパク質溶解用水溶液が均一的に溶解されるのであれば、加熱以外の他の方法であってもよい。この場合においても、本実施形態と同様の効果を有する。
【0058】
図1の洗浄装置では、洗浄液ポンプ31の吐出口31bを、ブラインクーラー11のブライン液吐出口22に接続し、貯留タンク33の洗浄液回収管40を、ブラインクーラー11のブライン液戻り口21に接続しているが、互いに反対側に接続することも可能である。すなわち、洗浄液ポンプ31の吐出口31bを、ブラインクーラー11のブライン液戻り口21に接続し、貯留タンク32の洗浄液回収管40を、ブラインクーラー11のブライン液吐出口22に接続することもできる。
【0059】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 ブライン冷凍装置
10 ブライン液水槽
11 ブラインクーラー
30 ブラインクーラーの洗浄装置
31 洗浄液ポンプ
32 電気ヒーター
33 洗浄液の貯留タンク
40 洗浄液回収管(洗浄液回収路)
【要約】
【課題】ブラインクーラーの管を詰まらせていた背ビレや胸ビレ等の各ひれを溶解することにより簡単に除去することができるブラインクーラーの洗浄方法を提供する。
【解決手段】ブラインクーラー(11)の洗浄装置は、洗浄液としてのタンパク質溶解用水溶液を貯留する貯留タンク(33)と、貯留タンク(33)内の洗浄液を、ブラインクーラー(11)と貯留タンク(33)との間で循環させる洗浄液ポンプ(31)と、貯留タンク(33)内に配置されて、洗浄液を加熱するヒーター(32)と、を備えており、ヒータ(32)が、洗浄液を40〜50℃に加熱する。
【選択図】 図1
図1