特許第6823861号(P6823861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823861
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
   B65D1/02 232
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-186399(P2016-186399)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-52501(P2018-52501A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 隆
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−112415(JP,A)
【文献】 特開2013−184723(JP,A)
【文献】 特開2012−111546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D1/00−1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に、脚部と、脚部に囲まれた上げ底部とを有し、
内部の圧力が減少した際に、内圧の減少に応じて上げ底部が内方へ変形可能な合成樹脂製の容器であって、
脚部は、胴部から連なる外周壁と、径方向において内側から外周壁に対向する内周壁と、外周壁と内周壁との先端部間に形成された接地部とを有し、外周壁と内周壁とが接地部において折り返されているものであり、
外周壁に、脚部の上下方向の領域に収まるとともに脚部の外周面に開放された複数の凹部が形成されており、
これら複数の凹部は脚部の周方向において同一の円周上のみに間欠的に形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
凹部は脚部の周方向に長い溝であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の合成樹脂製の容器としては、図11に示すように、容器101の底部に、円環状の脚部102と、脚部102に囲まれた円形状の上げ底部103とを有するものがある。容器101を立てて置いた状態では、上げ底部103は脚部102の先端よりも上方に位置する。上げ底部103は、周縁部から中央部にわたって、下方に突出した円弧状に湾曲している。
【0003】
また、脚部102は、胴部104から連なる外周壁105と、径方向において内側から外周壁105に対向する内周壁106とを有している。
【0004】
これによると、温度が高い状態で内容液107を容器101内に充填して密封した後、内容液107の温度が低下して容器101内が減圧状態になったとき、図11の仮想線で示すように、上げ底部103が変形して容器101の内方にせり上がり、これにより、容器101の内圧変化に対応することができる。
【0005】
尚、上記のような容器は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−132489
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、内容液107が充填され密封された容器101を、誤って、床等に落下させ、脚部102が床等に当たった際、落下時の衝撃に対する脚部102の強度が弱く、脚部102を落下の衝撃から十分に保護することができないといった問題がある。
【0008】
本発明は、脚部を落下の衝撃から保護することができる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、底部に、脚部と、脚部に囲まれた上げ底部とを有し、
内部の圧力が減少した際に、内圧の減少に応じて上げ底部が内方へ変形可能な合成樹脂製の容器であって、
脚部は、胴部から連なる外周壁と、径方向において内側から外周壁に対向する内周壁と、外周壁と内周壁との先端部間に形成された接地部とを有し、外周壁と内周壁とが接地部において折り返されているものであり、
外周壁に、脚部の上下方向の領域に収まるとともに脚部の外周面に開放された複数の凹部が形成されており、
これら複数の凹部は脚部の周方向において同一の円周上のみに間欠的に形成されているものである。
【0010】
これによると、内容液を充填した容器を誤って床に落下させ、脚部が床に当たった際、凹部が弾性変形して落下の衝撃を分散し吸収するため、脚部が潰れるのを防止することができ、脚部を落下の衝撃から保護することができる。
【0011】
また、温度が高い状態で内容液を容器内に充填して密封した後、内容液の温度が低下して容器内が減圧状態になったとき、上げ底部が変形して容器の内方にせり上がることで、容器の内圧変化に対応することができる。
【0012】
また、容器をブロー成形する際、脚部が変形するのを防止することができる。
【0014】
また、内容液を充填した複数の容器を例えば段ボール箱等に収納し、このような段ボール箱を複数積み上げて保管した際、容器には上下方向(鉛直方向)の圧縮荷重が作用する。このような荷重に対して、間欠的に形成されている凹部と凹部との間における凹部を形成していない領域が脚部を補強するため、容器に上下方向の圧縮荷重が作用しても、脚部が凹部の形成箇所で座屈するのを防止することができる。
【0015】
本第発明における容器は、凹部は脚部の周方向に長い溝であるものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によると、内容液を充填した容器を誤って床に落下させ、脚部が床に当たった際、凹部が弾性変形して落下の衝撃を分散し吸収するため、脚部が潰れるのを防止することができ、脚部を落下の衝撃から保護することができる。
【0018】
また、容器に上下方向の圧縮荷重が作用しても、間欠的に形成されている凹部と凹部との間における凹部を形成していない領域が脚部を補強するため、脚部が凹部の形成箇所で座屈するのを防止することができる。また、容器をブロー成形する際、脚部が変形するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施の形態における容器の正面図である。
図2】同、容器の側面図である。
図3】同、容器を底部から見たときの斜視図である。
図4】同、容器の底面図である。
図5図1におけるX−X矢視図である。
図6図2におけるX−X矢視図である。
図7図5におけるX−X矢視図である。
図8】同、容器の脚部の拡大断面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態における容器を底部から見たときの斜視図である。
図10】同、容器の底面図である。
図11】従来の容器の底部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1図2に示すように、1は例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の容器である。この容器1は、円筒状の胴部2と、口部4と、口部4に取り付けられたキャップ3と、底部5とを有している。図3図8に示すように、底部5には、円環状の脚部7と、脚部7に囲まれた円形状の上げ底部8とが備えられている。
【0022】
脚部7は、胴部2から連なる外周壁10と、径方向Aにおいて内側から外周壁10に対向する内周壁11と、外周壁10と内周壁11との先端部間に設けられた接地部12とを有している。尚、外周壁10と内周壁11とが接地部12において折り返されている。
【0023】
容器1を床14に立てて置いた状態では、上げ底部8は脚部7の接地部12よりも上方に位置する。また、上げ底部8の外周縁と脚部7の内周壁11の上端部とは全周にわたって連設されている。図5図6の仮想線で示すように、上げ底部8は、容器1内の圧力が減少した際に、内圧の減少に追随して容器1の内方へ変形可能である。
【0024】
上げ底部8の中央部には、容器1の内側に没入した複数(図3図4では5つ)の窪み部16が形成されている。これら窪み部16は、底面側から見て扇状であり、周方向Bにおいて所定間隔おきに形成されている。
【0025】
脚部7の外周壁10には、外周面に開放された複数(図7では6本)の溝25(凹部の一例)が形成されている。これら溝25は、脚部7の周方向Bにおいて、所定間隔をあけて間欠的(非連続的)に形成されている。また、溝25は、凹形状の断面を有し、周方向Bにおいて長いものである。
【0026】
図7図8に示すように、溝25は、溝25の両側面を構成する傾斜した一対の側壁片26,27と、溝25の底面を構成する底壁片28と、周方向Bにおける端面を構成する一対の端壁片29とを有している。一対の側壁片26,27は、外周壁10から内側に屈曲して、容器1の軸心方向Cにおいて対向している。また、底壁片28は一対の側壁片26,27の内端部間に設けられている。
【0027】
溝25は、脚部7の接地部12よりも上方で、且つ、上げ底部8の外周縁と脚部7の内周壁11の上端部との境界部分31よりも下方に位置している。
【0028】
また、周方向Bにおいて隣同士となる溝25と溝25との間の領域30は、溝25が形成されておらず、脚部7の外周壁10で構成されている。
【0029】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0030】
内容液を充填した容器1を誤って床14に落下させ、脚部7が床14に当たった際、溝25が弾性変形して落下の衝撃を分散し吸収するため、脚部7が潰れるのを防止することができ、脚部7を落下の衝撃から保護することができる。尚、溝25は、弾性変形した後、元の形状に復元する。
【0031】
また、内容液を充填した複数の容器1を例えば段ボール箱等に収納し、このような段ボール箱を複数積み上げて保管した際、容器1には上下方向(鉛直方向)の圧縮荷重F1が作用する。このような荷重F1に対して、溝25が形成されていない領域30が脚部7を補強するため、容器1に上下方向の圧縮荷重F1が作用しても、脚部7が溝25の形成箇所で座屈するのを防止することができる。
【0032】
また、温度が高い状態で内容液を容器1内に充填して密封した後、内容液の温度が低下して容器1内が減圧状態になったとき、図5図6の仮想線で示すように、上げ底部8が変形して容器1の内方にせり上がることで、容器1の内圧変化に対応することができる。
【0033】
また、容器1をブロー成形する際、溝25の存在により、脚部7が変形するのを防止することができる。
【0034】
上記第1の実施の形態では、図7に示すように、脚部7の周方向Bにおいて、溝25を6本形成しているが、6本以外の複数本形成してもよい。
【0035】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、図9図10に示すように、上げ底部8には、容器1の内側に没入した複数の窪み部16と、ジグザグに屈曲した放射溝部41とが形成されている。放射溝部41は、窪み部16の周囲を取り囲むように放射状に形成されている。
【0036】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0037】
温度が高い状態で内容液を容器1内に充填して密封した後、内容液の温度が低下して容器1内が減圧状態になったとき、上げ底部8が変形して容器1の内方にせり上がることで、容器1の内圧変化に対応することができる。この際、上げ底部8に放射溝部41を形成しているため、上げ底部8が均一に変形し易くなり、容器1の内圧変化に迅速に対応することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 容器
2 胴部
5 底部
7 脚部
8 上げ底部
10 外周壁
11 内周壁
25 溝(凹部)
A 径方向
B 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11