(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物は、表皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor,EGFR)に結合して細胞の増殖又は成長を促進させることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
前記組成物は、表皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor,EGFR)に結合して細胞の増殖又は成長を促進させることを特徴とする、請求項7に記載の健康機能食品組成物。
前記組成物は、表皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor,EGFR)に結合して細胞の増殖又は成長を促進させることを特徴とする、請求項14に記載の化粧料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解すべきである。本発明を説明するに際して、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0028】
本発明者らは、天然由来の小分子物質であるピペロニル酸(piperonylic acid)が表皮成長因子(epidermal growth factor,EGF)と類似の機能を有しながらも、安定でありかつサイズが小さくて、皮膚障壁を容易に通過することができることを実験的に確認することによって、本発明を完成した。
【0029】
したがって、本発明は、ピペロニル酸を有効成分として含む抗老化又は皮膚再生用薬学的組成物を提供する。本願でピペロニル酸は、下記化学式1で表されるものであり得、前記薬学的組成物は、ピペロニル酸又はその薬剤学的に許容可能塩を有効成分として含むことができる。
【化1】
【0030】
前記ピペロニル酸は、多様な植物の種の抽出物から獲得され得るものであって、細胞内で細胞の生存(survival)、成長(growth)、及び増殖(proliferation)に関連したシグナルを活性化させる細胞成長因子(EGF)と類似した機能をすることによって、外部刺激から皮膚細胞の抵抗力及び生存力を増加させ、外部刺激又は老化によって損傷を受けた皮膚の再生力を増進させることができる。
【0031】
本明細書において「抗老化」とは、皮膚老化を防止したり抑制することを意味する。前記皮膚老化は、時間の流れに伴う内因性老化及び外部環境による外因性老化を含む。前記皮膚老化は、皮膚シワ、くすみ、しみなどを含むことができる。前記皮膚シワは、皮膚が衰えてできた小さい筋であり得、前記皮膚シワは、光老化、年齢、顔表情、水分不足、又はこれらの組合せによるものでありうる。前記光老化は、紫外線(UVA、UVB、及びUVCを含む)の露出による皮膚老化でありうる。前記皮膚シワ改善は、皮膚にシワが生成されることを抑制又は阻害したり、すでに生成されたシワを緩和させるものでありうる。
【0032】
本明細書において「皮膚再生」とは、皮膚細胞の成長を促進させ、生存力を強化して外部及び/又は内部の刺激から細胞の損傷を防止し、皮膚のシワ改善及び弾力を増進させるものであり得、外部環境から誘発される皮膚損傷を予防、改善又は治療する意味を含む。
【0033】
本明細書において「皮膚損傷」は、皮膚に発生した損傷又は傷害などの皮膚傷を含む意味である。前記皮膚傷は、擦過傷、打撲傷、裂傷、切創、挫傷、刺傷、床擦れ、火傷、凍傷、皮膚潰瘍及び化学的創傷よりなる群から選択され得、好ましくは火傷でありうる。
【0034】
具体的に、本発明の一実施例では、細胞膜のEGF受容体である細胞成長因子受容体(epidermal growth factor receptor,EGFR)が活性化するときに内包化されるEGFRを測定することができるバイオセンサーシステムを作製して、本発明のピペロニル酸がEGFRを活性化させることを確認した(実施例1及び2参照)。
【0035】
したがって、本発明の一様態によれば、前記組成物は、EGFRに結合して細胞の増殖又は成長を促進させることによって、抗老化又は皮膚の再生を活性化することができる。本発明の組成物により増殖又は成長する細胞は、表皮細胞であり得、好ましくはケラチン生成細胞であるケラチノサイトであり得るが、これに制限されない。
【0036】
ケラチン(keratin)は、動物の様々な組織で主な構成を成すタンパク質であって、毛髪がツヤあり、弾力あるようにし、皮膚に活気及び弾力を付与する。また、皮膚角質層のケラチンタンパク質は、化学物質に対する強い抵抗性を有していて、皮膚に化学的刺激に対する保護機能を行うことができる。
【0037】
また、本発明の一様態として、本発明は、ピペロニル酸又はその薬剤学的に許容可能な塩を含む火傷の傷の改善又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0038】
具体的に、本発明の一実施例では、細胞をウェルプレート(well plate)に一杯になるように培養した後、一定面積の細胞をかきとって創傷部(wound area)を形成した後、その面積がさらに満たされる程度を観察して、細胞増殖(proliferation)及び成長(growth)を測定する方法である創傷治癒アッセイ(wound healing assay)を通じてピペロニル酸に細胞増殖及び成長促進効能があることを確認した(実施例8参照)。
【0039】
したがって、本発明の一様態によれば、前記組成物は、外部刺激による細胞損傷への抵抗性を増進させることによって、抗老化又は皮膚の再生を活性化することができ、前記外部刺激は、化粧品その他外用剤による化学的刺激、物理的刺激、又は紫外線であり得、好ましくは紫外線でありうるが、これに制限されない。
【0040】
具体的に、本発明の一実施例では、本発明のピペロニル酸の紫外線(UVB)による細胞損傷への抵抗性向上効果を確認するために、ピペロニル酸を処理したケラチノサイトにUVBを照らして細胞生存率を確認した。その結果、ピペロニル酸は、統計学的に有意な数値で細胞生存力を向上させることを確認した(実施例9参照)。
【0041】
本発明の組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。また、通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して使用され得る。
【0042】
本発明によるピペロニル酸又はその薬剤学的に許容される塩を含む薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの外用剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して使用され得、好ましくはクリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟こう剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤又はカタプラズマ剤の剤形を有することができる。前記ピペロニル酸を含む組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。製剤化する場合には、普通使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、頻繁に使用される単純希釈剤である水、流動パラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤制、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
【0043】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素及びその他医学分野によく知られた要素によって決定され得る。本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次に又は同時に投与され得、単一又は多重投与され得る。上記した要素を全部考慮して副作用なしに最小の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、本発明の属する技術分野における通常の技術者によって容易に決定され得る。
【0044】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与され得る。投与のすべての方式は、予想され得るが、例えば、皮下、静脈、筋肉、子宮内硬膜又は脳血管内注射により投与され得る。本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0045】
本発明のさらに他の様態として、本発明は、薬学的に有効な量の前記薬学的組成物を個体に投与する段階を含む、抗老化又は皮膚再生方法を提供する。
【0046】
本発明のさらに他の様態として、本発明は、薬学的に有効な量の前記薬学的組成物を個体に投与する段階を含む、火傷の傷の改善又は治療方法を提供する。
【0047】
本発明において、「個体」とは、疾病の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒト又は非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、犬、猫、馬及び牛などの哺乳類を意味する。
【0048】
また、本発明は、ピペロニル酸又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む組成物の抗老化又は皮膚再生の使用を提供する。
【0049】
本発明のさらに他の様態として、本発明は、ピペロニル酸を有効成分として含む抗老化又は皮膚再生用健康機能食品組成物を提供する。また、ピペロニル酸は、抗老化、皮膚弾力の増進又は皮膚シワの改善などの皮膚再生を目的として食品に添加され得る。本発明のピペロニル酸を食品添加物として使用する場合、前記ピペロニル酸をそのまま添加したり他の食品又は食品成分と共に使用することができ、通常の方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)によって適切に決定され得る。一般的に、本発明のピペロニル酸は、食品又は飲料の製造時においては原料に対して15重量%以下、好ましくは10重量%以下の量で添加される。しかしながら、健康及び衛生を目的とする場合や又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は、前記範囲以下であり得、また安全性の面において何らの問題もないので、有効成分は、前記範囲以上の量でも使用され得る。
【0050】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲み物、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味における健康機能食品を全部含む。
【0051】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを更なる成分として含有することができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖及び果糖のようなモノサッカライド、マルトース及びスクロースのようなジサッカライド、デキストリン及びシクロデキストリンのようなポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール及びエリスリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01〜0.20g、好ましくは約0.04〜0.10gである。
【0052】
上記以外に本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。その他、本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立して、又は組み合わせて使用することができる。このような添加剤の比率は、大きく重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01〜0.20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0053】
また、前記ピペロニル酸は、細胞の成長、増殖、生存を促進させる効果を示すところ、抗老化、皮膚弾力の増進、又は皮膚シワの改善などの皮膚再生を目的として化粧料組成物の形態で提供され得る。本発明による化粧料組成物の剤形は、スキンローション、スキンソフトナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション又はボディークレンザーの形態でありうる。
【0054】
本発明の化粧料組成物は、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、及びスフィンゴ脂質よりなる群から選択された組成物をさらに含むことができる。
【0055】
水溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれでもよいが、好ましくは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ピリドキシン、塩酸ピリドキシン、ビタミンB12、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、葉酸、ビタミンC、ビタミンHなどが挙げられ、それらの塩(チアミン塩酸塩、アスコルビン酸ナトリウム塩など)や誘導体(アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩など)も本発明で使用できる水溶性ビタミンに含まれる。水溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素法又は化学合成法などの通常の方法により得ることができる。
【0056】
油溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれもよいが、好ましくはビタミンA、カロチン、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE(d1−αトコフェロール、d−αトコフェロール、d−αトコフェロール)等が挙げられ、それらの誘導体(パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、 ジパルミチン酸アスコルビル、酢酸dl−αトコフェロール、ニコチン酸dl−αトコフェロールビタミンE、DL−パントテニルアルコール、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルなど)等も、本発明で使用される油溶性ビタミンに含まれる。油溶性ビタミンは、微生物変換法、微生物の培養物からの精製法、酵素又は化学合成法などの通常の方法により得ることができる。
【0057】
高分子ペプチドとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれもよいが、好ましくはコラーゲン、加水分解コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン、ケラチンなどが挙げられる。高分子ペプチドは、微生物の培養液からの精製法、酵素法又は化学合成法などの通常の方法により精製取得することができ、又は通常豚や牛などの真皮、蚕の絹繊維などの天然物から精製して使用することができる。
【0058】
高分子多糖としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれもよいが、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸又はその塩(ナトリウム塩など)等が挙げられる。例えば、コンドロイチン硫酸又はその塩などは、通常哺乳動物や魚類から精製して使用することができる。
【0059】
スフィンゴ脂質としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれもよいが、好ましくはセラミド、フィトスフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質などが挙げられる。スフィンゴ脂質は、通常、哺乳類、魚類、貝類、酵母又は植物などから通常の方法による精製や、化学合成法によって得ることができる。
【0060】
本発明の化粧料組成物には、前記必須成分と共に、必要に応じて通常化粧品に配合される他の成分を配合してもよい。
【0061】
その他に添加され得る配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0062】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂、植物油脂などが挙げられる。
【0063】
エステル系油脂としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸デヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルなどのエステル系などが挙げられる。
【0064】
炭化水素系油脂としては、スクアレン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどの炭化水素系油脂などが挙げられる。
【0065】
シリコン系油脂としては、ポリメチルシリコン、メチルフェニルシリコン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油などが挙げられる。
【0066】
フッ素系油脂としては、ペルフルオロポリエーテルなどが挙げられる。
【0067】
動物又は植物油脂としては、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、油菜油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ひまし油、ひまわり油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ココナッツ油、小麦胚芽油、こめ胚芽油、シアバター、月見草油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、卵黄油、牛脂、麻油、ミンク油、オレンジラフィー油、ホホバ油、キャンデリラワックス、カルナバワックス、液状ラノリン、硬化ひまし油などの動物又は植物油脂が挙げられる。
【0068】
保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性分子保湿剤、水溶性高分子、脂溶性高分子などが挙げられる。
【0069】
水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン−カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポルリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸、乳酸塩などが挙げられる。
【0070】
脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステロールエステルなどが挙げられる。
【0071】
水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、デキストリンなどが挙げられる。
【0072】
脂溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、高分子シリコンなどが挙げられる。
【0073】
エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステルなどが挙げられる。
【0074】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、陽性界面活性剤などが挙げられる。
【0075】
非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ひまし油、POEひまし油、POE・POP(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質などが挙げられる。
【0076】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルファ−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリリン塩、N−アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、ペルフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0077】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ブロム化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ブロム化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0078】
陽性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボキシル酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型などの陽性界面活性剤などが挙げられる。
【0079】
有機及び無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びこれらの複合体などの無機顔料;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジなどの有機顔料及びこれらの無機顔料と有機顔料の複合顔料などが挙げられる。
【0080】
有機粉体としては、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウムなどのアルキルリン酸金属塩;N−ラウロイル−ベタ−アラニンカルシウム、N−ラウロイル−ベタ−アラニン亜鉛、N−ラウロイルグリシンカルシウムなどのアシルアミノ酸多価金属塩;N−ラウロイル−タウリンカルシウム、N−パルミトイル−タウリンカルシウムなどのアミドスルホン酸多価金属塩;N−イプシロン−ラウロイル−L−リジン、N−イプシロン−パルミトイルリジン、N−アルファ−パルミトイルオルニチン、N−アルファ−ラウロイルアギニン、N−アルファ−硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニンなどのN−アシル塩基性アミノ酸;N−ラウロイルグリシルグリシンなどのN−アシルポリペプチド;アルファ−アミノカプリル酸、アルファ−アミノラウリン酸などのアルファ−アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレンなどが挙げられる。
【0081】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、ケイヒ酸ベンジル、パラメトキシケイヒ酸−2−エトキシエチル、パラメトキシケイヒ酸オクチル、ジパラメトキシケイヒ酸モノ−2−エチルヘキサングリセリル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイヒ酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0082】
殺菌剤としては、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロロヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム、ウンデシレン酸などが挙げられる。
【0083】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸などが挙げられる。
【0084】
pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0085】
アルコールとしては、セチルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
【0086】
また、配合成分は、これらに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的及び効果を損傷させない範囲内で配合が可能であるが、総重量に対して好ましくは0.01〜5%重量百分率、より好ましくは0.01〜3%重量百分率で配合される。
【0087】
本発明の剤形がローション、ペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛などが用いられ得る。
【0088】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート又はポリアミドパウダーが用いられ、特にスプレーである場合には、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。
【0089】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶媒化剤又は乳濁化剤が用いられ、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタン脂肪酸エステルがある。
【0090】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガ又はトラガントなどが用いられ得る。
【0091】
本発明の剤形が界面−活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオン酸、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられ得る。
【実施例】
【0092】
本発明は、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解すべきである。本発明を説明するに際して、関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0093】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【0094】
[実施例1.EGFR活性を測定するバイオセンサーシステムの製作]
EGFRは、活性化するときに細胞質部分のチロシン残基にリン酸化が起こることになり、この部分に様々なタンパク質が連結されることによってシグナルを伝達することになる。代表的な連結タンパク質としては、Grb2があり、Grb2のSH2ドメイン部分がリン酸化したチロシン残基に結合する役割をもつ。EGFRの活性が継続して維持される場合、EGFRは、細胞の内側に内包化されて分解されるフィードバック機序に従うことになる。このような特徴を利用してEGFRの活性により内包化されるEGFRを蛍光タンパク質を通じて測定することができるようにバイオセンサーシステムを製作した。具体的に、緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescent protein,EGFP)にGrb2のSH2ドメインだけを取り外して遺伝子組換え技術を利用してEGFP−SH2ベクターを作製し、これをA549細胞に注入して発現させた。
【0095】
その結果、
図1aに示すように、作成した前記EGFP−SH2バイオセンサータンパク質が予想されたサイズに発現されることを確認した。
【0096】
次に、バイオセンサーシステムにEGFPを注入した細胞を、24時間の間無血清培地で培養した後、EGF(100ng/ml)を処理して、EGFRの活性が測定されるかを確認した。
【0097】
その結果、
図1bに示されたように、バイオセンサーを注入した細胞のみ、EGF処理後30分経過すると内包化したEGFRに密集したバイオセンサーが、小さい点形態の蛍光シグナルとして現れることを確認した。
【0098】
このような現象が他の成長因子によっても誘導されるかを確認するために、線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor,FGF)であるFGF1、FGF2、FGF7について同じ処理をして蛍光シグナルを探知した。
【0099】
その結果、
図1cに示されたように、他の成長因子によっては、バイオセンサーのシグナルが現れないことを確認した。製作したバイオセンサーシステムのEGF選択性が検証されたことため、バイオセンサーの発現が安定的に維持される安定細胞株(stable cell line)を選別した。
【0100】
[実施例2.バイオセンサーシステムでEGFR活性を誘導したピペロニル酸]
前記実施例1で製作したバイオセンサーシステム細胞に100μMのピペロニル酸((株)シグマアルドリッチで購入)を処理した後、蛍光シグナルの変化を観察した。ピペロニル酸は、24時間の間の無血清培地培養後に処理した。
【0101】
その結果、
図2に示すように、溶媒であるDMSOだけを処理した対照群に比べて、100μMのピペロニル酸を処理した細胞において、EGFRが活性化されることを確認することができた。
【0102】
[実施例3.ピペロニル酸とEGFRの相互作用]
前記実施例2で確認したピペロニル酸によるEGFR活性の機序を解明するために、本実施例では、ピペロニル酸がEGFRと相互作用できるかを確認した。そのために、(株)シグマアルドリッチで購入したCyanogen bromide-activated-Sepharose 4Bビーズにピペロニル酸を結合させて、ピペロニル酸−4Bビーズを製作した。ピペロニル酸−4Bビーズと対照群として使用したcontrol-4BにHaCaT細胞ライセートを同量入れ、ビーズに付いたタンパク質をウェスタンブロット法で分析した。沈殿されるタンパク質のうちEGFRを測定するために、抗EGFR抗体を使用し、ピペロニル酸との結合が選択的であることを裏付けるために、ハウスキーピング遺伝子として多量存在するアクチンとGAPDHタンパク質に対する、抗アクチン抗体と抗GAPDH抗体を利用した。
【0103】
その結果、
図3aに示されたように、ピペロニル酸が結合されたピペロニル酸−4BビーズにEGFRが結合することを確認し、細胞ライセートと共に100μMのピペロニル酸を入れてビーズとの競合的に相互作用させた場合、結合するEGFRの量が減少することを確認した。
【0104】
このような相互作用がEGFRのどの部位で起こるかを調べるために、結合部位を予測できるPatchDockプログラムを利用したin silico解析を進めた。
【0105】
その結果、
図3b及び
図3cに示すように、EGFRの細胞外ドメインの3次元構造データベース(1MOX)を基に予測した結果、ピペロニル酸が結合できる位置が多数発見された。また、予測された上位10個のスコア位置のうち最も高いスコアの結合可能位置を分析した結果、EGFが結合する位置とは若干差異があったが、ピペロニル酸の結合が、不完全にでもEGFRの3次元構造の変化を誘導すると、活性化が起こり得るものと予想した。
【0106】
[実施例4.ピペロニル酸によるEGFRの活性化]
ピペロニル酸のEGFR結合がEGFRの活性を直接的に誘導するかを確認するために、無血清培地で培養したHaCaT細胞にピペロニル酸を100μMの濃度で10分間処理した後、増加するEGFRのチロシンリン酸化の分析を通じて活性を測定した。具体的に、500μgの細胞ライセートを抗EGFR抗体とプロテインGアガロースビーズを利用した免疫沈降法でEGFRだけを沈降させた後、チロシンリン酸化の程度をウェスタンブロット法で分析した。
【0107】
その結果、
図4に示されたように、陰性対照群である溶媒DMSOに比べてピペロニル酸によるチロシンリン酸化が1.8倍増加した。
【0108】
[実施例5.ピペロニル酸の濃度別細胞毒性測定]
ピペロニル酸の細胞毒性をケラチノサイトであるHaCaT細胞を利用して測定した。細胞に黄色の水溶性基質であるMTTテトラゾリウムを処理すると、この基質がミトコンドリアの酵素によりMTTホルマザンに還元され、色が青紫色に変わることになる。生きている細胞が多いほど青紫色の色が濃く現れるので、540nmでの青紫色吸光度は、生きている細胞の濃度を反映する。具体的に、96−ウェルプレートの各ウェルに細胞を一杯になるように培養した後、ピペロニル酸を0、25、50、100、250、500μMの濃度で処理し、37℃、5%CO
2インキュベーターで24時間と48時間の間培養した後、MTT試薬を通じて細胞の生存率を測定した。ピペロニル酸を処理しない対照群(0μM)は、同量の溶媒であるDMSOを処理した。
【0109】
その結果、
図5に示されたように、500μMの濃度で48時間培養した条件で統計学的に有意な差異を示したが(#p<0.0001)、その差異が10%程度と微弱であるので、ケラチノサイトへの細胞毒性は、非常に少ないことが確認された。前記実験結果は、実験群と対照群のt−検定を実施して、その有意性を検証した。
【0110】
[実施例6.ピペロニル酸によるERK、AKTの活性]
ERK(Extracellular signal-regulated kinase)とAKT(Protein kinase B)の活性は、EGFRの活性により誘導され、細胞成長と生存に必要なシグナルを伝達するものであることがよく知られている。したがって、前記実施例2及び3においてピペロニル酸によるEGFRの活性化が検証されたことから、ピペロニル酸によりEGFRの下位にあるERKとAKTの活性も誘導されるかを測定した。具体的に、HaCaT細胞を無血清培地で培養した後、0、25、100μMのピペロニル酸を10分間処理した後、リン酸化して活性化するERKとAKTをウェスタンブロット法によって分析した。抗体は、活性化したERKとAKTの標識因子であるリン酸化抗体とこれらの全体を測定する一般抗体を全部利用し、各レーン間のトータルタンパク質量の補正のためには、ハウスキーピング遺伝子から発現するGAPDHを測定した。
【0111】
その結果、
図6aに示されたように、100μMのピペロニル酸が、10分間ERKとAKTの活性を十分に誘導することを確認した。3回反復測定を通じて100μMのピペロニル酸は、対照群に比べてERKを3.3倍、AKTを2.1倍有意に(t−検定、
**p<0.01、
*p<0.05)活性化させることを確認した。
【0112】
次に、ピペロニル酸によるERKとAKT活性の時間別様相を確認するために、無血清培地で培養したHaCaT細胞にピペロニル酸を処理した後、時間ごとの活性変化を分析した。
【0113】
その結果、
図6bに示されたように、5〜10分間にERKとAKTの活性化が早く誘導され、直ちにダウンレギュレートされた後、1〜2時間が経過するに伴って、さらに活性化する様相を示した。
【0114】
このようなピペロニル酸によるERKとAKTの活性がEGFRにより誘導されることを検証するために、EGFRアンタゴニストである、Tyrphostin AG1478を細胞に処理してEGFR活性を抑制した後、ピペロニル酸によるERKとAKT活性を分析した。
【0115】
その結果、
図6cに示されたように、無血清培地で培養したHaCaT細胞に200nMのAG1478を10分間先に処理し、ピペロニル酸を処理した場合には、ERKとAKTの活性が誘導されないことを確認した。これは、ピペロニル酸によるEGFRの活性が、ERKとAKT活性に必要であることを反映する。
【0116】
[実施例7.ピペロニル酸による遺伝子発現の変化]
EGFRによるシグナル伝達は、ERKとAKTという重要なシグナル伝達媒介タンパク質を経て、細胞成長と生存に重要な遺伝子発現を誘導することになる。c−myc、c−jun、c−fos、egr−1遺伝子は、EGFRにより調節され、細胞成長と生存を促進する遺伝子であることがよく知られている。前記実施例5においてERKとAKTの活性を十分に誘導した100μMの濃度のピペロニル酸を無血清培地で培養したHaCaT細胞に処理し、0、1、2、6時間後に各遺伝子の発現変化を分析した。具体的に、mRNA抽出は、Tri−reagentを利用し、ポリAプライマーと逆転写酵素を利用した逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)でcDNAを調製し、リアルタイム定量PCRを用いて、各mRNAの量を測定した。各mRNA量は、ハウスキーピング遺伝子であるβ−アクチンの量で補正した。
【0117】
その結果、
図7aに示されたように、c−fos、egr−1、及びc−mycは、2時間と6時間目に統計学的に有意な差異を示し(t−検定、
*p<0.05、
**p<0.01)、c−junもやはり増加する様相を示した。前記mRNAの発現増加様相は、Egr−1とc−Fosタンパク質発現の増加につながることを確認した。
【0118】
ピペロニル酸処理後2時間目に最も著しい増加様相を示したc−fosとegr−1がEGFR拮抗剤であるAG1478でEGFR活性を抑制する場合、影響を受けることを検証するために、AG1478を処理した後、ピペロニル酸を処理したものとAG1478の他にピペロニル酸マンを処理した細胞の遺伝子発現を比較し、ウェスタンブロット方法を利用してタンパク質発現を比較した。
【0119】
その結果、
図7bに示されたように、100μMのピペロニル酸により増加したc−fosとegr−1の遺伝子発現がAG1478により完全に抑制されることを確認した(t−検定、
**p<0.01、
***p<0.001)。また、前記遺伝子発現の抑制は、タンパク質発現の変化につながることを確認した。
【0120】
[実施例8.ピペロニル酸によるケラチノサイト成長及び増殖促進]
Cell counting kit−8(CCK−8)は、WST−8という水溶性のテトラゾリウム塩(tetrazolium salt)試薬であって、生きている細胞のミトコンドリアにある脱水素酵素(dehydrogenase)によりオレンジ色の水溶性ホルマザン(formazan)を形成することになる。CCK−8により現れるオレンジ色の波長450nmの吸光度は、細胞の数を反映するので、細胞成長及び増殖を測定するのに利用した。CCK−8分析法を通じて細胞毒性のない50μMと100μM濃度のピペロニル酸を利用してケラチノサイトであるHaCaT細胞の成長促進効能を測定した。具体的に、96−ウェルプレートに1×10
4個のHaCaT細胞を24時間培養した後、無血清培地に変えて、培地に含まれた成長因子を除去した後、ピペロニル酸を処理した。陰性対照群としては、同量の溶媒であるDMSOを使用し、陽性対照群としては、1ng/ml濃度のEGFを使用した。24時間培養した後、CCK8を処理し、450nmの吸光度を測定して、細胞成長を分析した。
【0121】
その結果、
図8aに示されたように、ピペロニル酸が処理された場合、陰性対照群に比べて細胞成長及び増殖が有意に増加することを確認した(
**p<0.01、
****p<0.0001)。
【0122】
また、ピペロニル酸による細胞成長促進効能を、創傷治癒アッセイを通じて確認した。具体的に、12−ウェルプレートにHaCaT細胞を一杯になるように培養した後、イエローチップを利用して創傷部を形成し、無血清培地に変えて50μMと100μMのピペロニル酸を処理した。陰性対照群は、溶媒であるDMSO、陽性対照群は、1ng/mlのEGFを使用した。
【0123】
その結果、
図8b及び
図8cに示されたように、3日間の培養で陰性対照群に比べてピペロニル酸を処理したとき、創傷部が早く満たされることを確認することができ、3日目には、陰性対照群に備えて有意な差異を示した(Two−way ANOVA、
**p<0.01、
****p<0.0001)。
【0124】
[実施例9.ピペロニル酸の紫外線(UVB)刺激抵抗性効能]
紫外線波長のうち280〜315nmに該当するUVB波長は、ケラチノサイトが多数存在する表皮層を透過して細胞損傷を起こす。UVBにより引き起こされた細胞損傷は、細胞死滅につながることもあるが、ピペロニル酸がケラチノサイトの成長と生存シグナル伝達を促進することによって、UVBにより誘導される細胞損傷に抵抗性を示すかを確認した。具体的に、1×10
4個の細胞が培養された96−ウェルプレートに25mJ/cm
2のUVBを照射した後、ピペロニル酸又はEGFが存在する無血清培地で培養した。陰性対照群としては、溶媒であるDMSOを使用し、細胞生存力の測定は、前記実施例7で使用したCCK−8法を利用した。
【0125】
その結果、
図9に示されたように、陰性対照群としては、25mJ/cm
2のUVBにより細胞死滅が起こり、84%の細胞だけが生存した反面、100μMのピペロニル酸によっては、89%の細胞が生存したことを確認し、これは、統計学的に有意な数値を示した(t−検定、
*p<0.05、
****p<0.0001)。
【0126】
前記結果からピペロニル酸は、ケラチノサイトの成長及び増殖を促進することによって皮膚再生周期を減らすことができ、外部及び/又は内部環境のストレスに対する抵抗性を付与して、皮膚老化の予防、皮膚弾力の増進、皮膚シワの改善などの皮膚再生に効果がありえることが分かる。
【0127】
以上、本発明内容の特定の部分を詳細に記述したところ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は、ただ好ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるものではない点は明白だろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物により定義されると言える。