(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823930
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】流動状物冷熱装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20210121BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
F25D11/00 102G
F25D11/00 102C
A23L3/36 Z
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-28015(P2016-28015)
(22)【出願日】2016年2月17日
(65)【公開番号】特開2017-146018(P2017-146018A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】506075791
【氏名又は名称】日本デリカフーズ協同組合
(73)【特許権者】
【識別番号】516049755
【氏名又は名称】タマムラデリカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593012310
【氏名又は名称】菱熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】杉西 茂
(72)【発明者】
【氏名】小島 尚之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直光
(72)【発明者】
【氏名】野江 泰介
(72)【発明者】
【氏名】西川 一馬
(72)【発明者】
【氏名】浦上 孝
【審査官】
田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−203875(JP,A)
【文献】
実公昭35−015880(JP,Y1)
【文献】
特開平07−300197(JP,A)
【文献】
特開2005−321156(JP,A)
【文献】
特開平07−243775(JP,A)
【文献】
実開昭48−109547(JP,U)
【文献】
特開2003−035493(JP,A)
【文献】
特開平04−292768(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0149422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
A23L 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された流動状物を冷却または加熱する流動状物冷熱装置であって、
内部に流動状物との間で熱交換を行う熱交換媒体が流れる導管が所定形状の表面に沿うように曲げられることにより形成され、前記流動状物に没入されて該導管の外周に前記流動状物が接することにより前記流動状物を冷却または加熱する少なくとも2つの冷熱部と、
前記導管へ前記熱交換媒体を導入する導入管と、
前記導管から前記熱交換媒体を導出する導出管と、
を備え、
前記少なくとも2つの冷熱部のうち、一方の冷熱部の径が、他方の冷熱部の径より小さく、
前記一方の冷熱部は、前記他方の冷熱部が形成する円筒の中空内に挿入されて前記流動状物に接した状態において、上下左右方向への移動または回転の少なくともいずれかを行うことにより前記流動状物を冷却または加熱すると共に攪拌する
ことを特徴とする流動状物冷熱装置。
【請求項2】
前記所定形状は円筒形状であり、
前記冷熱部は、前記導管が該円筒形状の表面に沿って螺旋状に巻回することにより形成されることを特徴とする請求項1記載の流動状物冷熱装置。
【請求項3】
前記所定形状は円筒形状であり、
前記冷熱部は、前記導管が該円筒形状の表面に沿うように上下方向に蛇行しながら一周して配設されることにより形成されることを特徴とする請求項1記載の流動状物冷熱装置。
【請求項4】
前記導管は、その外側表面に複数の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の流動状物冷熱装置。
【請求項5】
前記導管は、屈曲可能な蛇腹形状をなしていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の流動状物冷熱装置。
【請求項6】
複数の前記導管を備え、
前記他方の冷熱部は、前記複数の導管が所定の間隔を空けて並列し、並列状態を維持して共に所定形状の表面に沿うように曲げられることにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の流動状物冷熱装置。
【請求項7】
前記他方の冷熱部は、所定形状の表面に沿うように連続して曲げられた前記導管からなる導管部が、上下方向に複数配置されることにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の流動状物冷熱装置。
【請求項8】
前記他方の冷熱部は前記容器の内周に沿って着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の流動状物冷熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容された流動状物を冷却または加熱する流動状物冷熱装置に関するものである。なお、この明細書において、流動状物とは、冷却開始時の高温から冷却終了時の低温までの温度領域の少なくとも一部で流動性を有する物を指し、冷却終了時には、粘度が低いスープ状となっているものから粘度の高いゲル状となっているものをも含む。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品工場や給食センター等で製造されるスープ、麺つゆ、カレー、ミートソース、八宝菜、飲料といった流動状の調理済み食品は、菌の繁殖を抑えるために、製造後に迅速に冷却される必要がある。そのための冷却装置としては、従来、真空冷却装置や差圧冷却装置などが用いられている。しかしながら、これらの装置はいずれも高価であり、真空冷却装置では、食品成分の蒸発により、目減りが生じ、味も変化するという問題があり、差圧冷却装置では冷却時間が長いという問題がある。一方、安価に構成することができるものとして、容器の外側に冷水等の冷却流体を流して、容器を介して、内部の流動状物と熱交換するジャケット式冷却装置がある。
【0003】
このようなジャケット式冷却装置としては、例えば、ホッパー部材のホッパーとカバー体とを二重に組み合わせて密閉状の円筒空間を形成し、ホッパーの外壁面又はカバー体の内壁面の少なくとも何れかに、迷路状態の逃がし路を形成する複数枚の遮蔽羽を円筒空間の周方向に位置するように設け、ホッパー部材に設けた導入路を介して円筒空間へと冷却水を流し込み、該円筒空間内に流れ込んだ冷却水を前記遮蔽羽で拡散させながらかつ逃がし路を通してホッパー部材の出口部へと導くことにより、ホッパー内のスープ類、果実飲料、流動物等の食する物を均等かつ全体的に冷却する流体循環装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−029276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなホッパーの外側のみに冷却媒体を導く冷却方法では、流動状物がホッパーの内壁のみと接し、その内壁を介して流動状物と冷却媒体との熱交換がなされる形であるため、その内壁の表面積分の冷却能力しか有しておらず、伝熱効率が悪いという問題があった。また、このような問題は、冷却媒体の代わりに高温の液体やガスといった加熱媒体を用いた場合においても当然同様である。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高い伝熱効率を有する流動状物冷熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、容器に収容された流動状物を冷却または加熱する流動状物冷熱装置であって、内部に流動状物との間で熱交換を行う熱交換媒体が流れる導管が所定形状の表面に沿うように曲げられることにより形成され、該導管の外周に前記流動状物が接することにより前記流動状物を冷却または加熱する冷熱部と、前記導管へ前記熱交換媒体を導入する導入管と、前記導管から前記熱交換媒体を導出する導出管と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い伝熱効率を有する流動状物冷熱装置を実現できる。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る流動状物冷却装置を示す横断面図である。
【
図2】流動状物冷却装置を模式的に示す斜視図である。
【
図3】(a)は冷却管、導入管、導出管として用いられる導管の拡大図であり、(b)は(a)のA−A断面図であり、(c)は別形態の導管の拡大図である。
【
図5】冷却器を更に備えた流動状物冷却装置を模式的に示す斜視図である。
【
図6】流動状物冷却装置の他の形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
本実施の形態においては、流動状物冷熱装置として、導管内に冷却媒体を流し、当該導管を介して流動状物と冷却媒体(熱交換媒体)との間で熱交換を行う流動状物冷却装置を例にとり説明を行う。以下、本実施の形態に係る流動状物冷却装置について、図を用いてその詳細を説明する。先ず、
図1〜
図4を用いて、本実施の形態に係る流動状物冷却装置の構成を説明する。
図1及び
図2に示されるように、流動状物冷却装置1は、流動状物が収容される少なくとも2つの取っ手102が設けられた容器(寸胴)10と、容器10の内周に沿って配置された、流動状物を冷却するための冷却管202を有する冷却部20と、当該冷却部20内へ水や不凍液といった冷却媒体を導入するための冷却媒体供給管22と、冷却部20に導入された冷却媒体を排出する冷却媒体排出管24と、冷却媒体供給管22および冷却媒体排出管24を支持する容器10に着脱自在な鍔部26と、を備えて構成される。なお、
図2においては、理解を容易にするために容器10、取っ手102、冷却管202のみが示されている。
【0012】
冷却部20は、容器10内に満たされた流動状物に没入する形で配設された円筒形状部材であり、
図1に示されるように、内部に冷却媒体が流れる4つの屈曲自在な冷却管202a〜202d(以後、これらを個別に区別しない場合は冷却管202と称する)により、その周壁が形成される。この冷却管202は、例えばステンレス、チタン、銅、アルミニウムといった金属や合金等の伝熱部材により構成される断面が円形の導管であり、所定形状の表面、本実施の形態では円筒形状の表面に沿うように曲げられている。換言すると、冷却管202が曲げられることにより、冷却部20の円筒形状を構築している。より具体的には、複数の冷却管202が、略平面上に所定の間隔(例えば5mm)空けるよう並列した状態において、この並列状態を維持しながら共に螺旋状に巻回して配設されている。したがって、上下方向に隣接する冷却管202は自己とは異なる冷却管202となっており、例えば冷却管202aは、
図1及び
図2に示されるように、間に冷却管202b〜202dを介して上下方向に等間隔で配設されることとなる。これは他の冷却管202b〜202dにおいても同様である。
【0013】
なお、前述した冷却管202間の間隔は、冷却管202の巻き方により適宜設定可能であり、流動状物や冷却媒体の種類、必要な冷却能力等により調節するようにしてもよい。また、冷却効率の観点から、冷却部20が容器10の内壁から所定の間隔を空けて配設されることが好ましい。
【0014】
冷却管202には、冷却媒体を導入するための導入管204が設けられている。より具体的には、冷却管202aには導入管204aが、冷却管202bには導入管204bが、冷却管202cには導入管204cが、冷却管202dには導入管204dがそれぞれ設けられている。同様に、冷却管202には、冷却媒体を導出するための導出管206が設けられている。より具体的には、冷却管202aには導出管206aが、冷却管202bには導出管206bが、冷却管202cには導出管206cが、冷却管202dには導出管206dがそれぞれ設けられている。
【0015】
導入管204は、冷却管202よりも冷却部20の径内方向内側に配設され、その一端が冷却媒体供給管22に接続されると共に、他端が冷却部20の下端に位置するそれぞれの冷却管202に接続されている。導出管206は、冷却管202よりも冷却部20の径内方向内側に配設され、その一端が冷却媒体排出管24に接続されると共に、他端が冷却部20の上端に位置するそれぞれの冷却管202に接続されている。したがって、冷却媒体供給管22に供給された冷却媒体は、各導入管204により分流されて冷却部20の下端に位置する各々の冷却管202に供給され、下方から上方にかけて冷却媒体が螺旋状に流動することとなる。また、上方に流動した冷却媒体は、各々の冷却管202から導出管206に供給されて冷却媒体排出管24内で合流し、外部へ排出されることとなる。これら導入管204、導出管206は、冷却管202と同一部材で構成することが好ましい。
【0016】
このような冷却部20によれば、冷却管202の全周に亘って流動状物と接するため、例えば流動状物を収容する容器外周に冷却媒体を配して冷却した場合と比較して、流動状物と接する冷却部20の表面積は極めて大きく、冷却効率を格段に向上させることが可能となる。
【0017】
また、本実施の形態においては、冷却管202、導入管204及び導出管206には同一の導管が用いられている。これらの導管は、
図3(a),(b)に示されるように、谷部208aと谷部208aより径外方向に突出した山部208bとが連続して形成された、所謂蛇腹形状をなしている。これにより、冷却管202、導入管204及び排出管206は、屈曲性を有すると共に、その表面積を拡大することができ、延いては冷却効率をより高めることを実現している。なお、これら導管の形状は、これに限定されるものではない。例えば
図3(c)に示されるような谷部208aおよび山部208bが形成されていない表面がフラットな導管を用いてもよいが、その外側表面に半円形や矩形の凸部を設ける等、各導管の表面積を拡大できる形状の導管を用いることが好ましい。また、冷却管202、導入管204及び導出管206にそれぞれ異なる種類の導管を用いてもよい。なお、
図3(b)に示される符号Bは、導管内の空洞、つまり冷却媒体が流れる流路を示している。
【0018】
冷却媒体供給管22および冷却媒体排出管24は、共に一端部が上方に突出したL字形状の導管であり、冷却媒体供給管22の上方に突出した端部222は、冷却媒体を供給する図示しない供給装置と接続され、冷却媒体排出管24の上方に突出した端部242は排出された冷却媒体を再度冷却、貯蔵、または破棄するための各種装置や容器等と接続される。これらにより、冷却部20の冷却媒体の循環が実現される。
【0019】
容器10の上端縁部には、
図1及び
図4に示されるように、冷却媒体供給管22および冷却媒体排出管24を支持し、その外周が容器10より径外方向に突出したリング状の平板部材である鍔部26が着脱自在に設けられている。したがって、上述した冷却媒体供給管22の端部222および冷却媒体排出管24の端部242の接続を解除し、鍔部26を容器10から取り外すことにより、各導管を介して冷却部20を容器10から簡便に取り外すことが可能となる。容器10に鍔部26を固定する方法としては、一方に凹部、他方に凸部を設けてこれらを嵌着する方法や、ネジにより締結する方法等適宜であり、容器10に鍔部26を固定可能な方法であればよい。なお、
図4に示される符号Cは、流動状物が収容される収容空間を示している。
【0020】
なお、冷却管202が成す円筒形状が崩れないよう、容器10に冷却部20を固定することが好ましい。本実施の形態においては、容器10との間に冷却部20を挟むように押さえ板30を互いに対向させて容器10内の4個所に設け、容器10に冷却部20を押さえつける形で固定している。押さえ板30は、
図1に示されるように、上下方向に延びる長方形の板状部材であり、その上端部がボルトとナットからなる固定具302により容器10に固定され、下端部が冷却部20の下端に位置する冷却管202aと容器10の底壁との間に差し込まれ挟持されている。このように、簡便な固定具302により固定される押さえ板30で冷却部20を容器10に押さえるようにすれば、容器10からの冷却部20の着脱を簡便に行うことができる。
【0021】
流動状物冷却装置1を実際に使用する場合は、容器10内を流動状物で満たした後、冷却媒体供給管22へ冷却媒体を流すのみで流動状物を冷却することができる。ここで、
図5に示されるように、流動状物冷却装置1が容器10内に収容可能な筒状に構成された冷却器40を更に備え、これを流動状物内に投入して上下左右方向への移動および回転を行うようにしてもよい。これにより、冷却と共に攪拌を行うことができ、その冷却効率はより高いものとなる。冷却器40は、流動状物内に没入される中空円筒状の本体402と、本体402に冷却媒体を注入する導入管404と、本体402から冷却媒体を排出する排出管406と、本体402を変位させる図示しない駆動装置に本体402を連結するための連結部408と、を備えて構成される。なお、この冷却器40の具体的な構成や、動作については、本発明の特許出願人である菱熱工業株式会社が先に出願した「特願2013−273368号」に記載の技術と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0022】
本実施の形態によれば、冷却管202を円筒状に曲げて冷却部20を形成するため、冷却管202の表面が一様に流動状物に接することにより、非常に高い冷却効率、即ち高い伝熱効率を実現することが可能となり、延いては冷却時間の短縮を実現できる。また、冷却部20を蛇腹状の冷却管202を用いて形成することにより、その表面積を拡大でき、より高い冷却効率を実現することが可能となる。また、複数の冷却管202により冷却部20を形成するため、冷却部20が1つの冷却管202により形成される場合と比較して、冷却媒体と流動状物との間に生じる熱交換の時間を短縮することができ、冷却効率をより高めることができる。更に、冷却管202間には隙間が形成されているため、流動状物の流動性が高まり、流動状物の温度むらが生じにくいという特有の効果を奏する。また更に、折り曲げられた冷却管202のみで冷却部20が形成されているため、極めて低コストである。
【0023】
なお、本実施の形態では、その断面が円状の冷却管202を用いるとして説明したがこれに限定されるものではなく、楕円や多角形状の導管であってもよい。これは、導入管204や導出管206においても同様である。
【0024】
また、本実施の形態では、冷却部20の冷却管202は、並列状態を維持しながら共に螺旋を描くように巻かれて配設されていると説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図6に示されるように、冷却管202aを連続して巻いた上に、これと同心円になるよう冷却管202bを連続して巻き、これを冷却管202c、202dにおいても同様にすることで冷却部20aを形成するようにしてもよい。このような形態としても、冷却部20と同様の冷却能力を有することができる。
【0025】
その他、冷却部20を形成する手法としては、略平面上に所定の間隔空けるよう並列した状態における複数の冷却管202が、例えば円筒の表面に沿うように上下方向に蛇行しながら一周して配設されることで冷却部20を形成してもよい。また、例えば円の四方に導入管204と接続された下端部が配された状態の4つの冷却管202を共に一方向に捩じることにより中空円筒を形成してもよい。
【0026】
また、
図7に示されるように、冷却管202eにより径の小さい冷却部を形成してこれを本体502とし、当該本体502を備える冷却器50を実現して、冷却部20と共に使用するようにしてもよい。即ち、2つの冷却部20を用意し、一方の冷却部20の径を、他方の冷却部20の径より小さくして、この一方の冷却部20を冷却器50とし、他方の冷却部20が容器10の内周に沿って設けられている状態において、他方の冷却部20が形成する筒の中空内に冷却器50を挿入して流動状物を冷却する。これによれば、流動状物の撹拌動作時に流動状物が冷却管202e間の隙間を通り抜けることができるため、
図5に示されるような冷却器40と比較して、より温度むらを抑制でき、冷却効率を高めることができる。なお、
図7に示される本体502は、1本の冷却管202eにより形成されているが、
図1に示される冷却部20と同様に複数の冷却管202により形成してもよいことは言うまでもない。
【0027】
また、本実施の形態においては、冷却部20,20a、冷却器50をそれぞれ中空円筒形状として説明したが、これに限定されるものではなく、多角形、円錐形としてもよく、その形状は適宜である。また、冷却部20、20a及び冷却器50は、それぞれ径が異なる小径の冷却部20、20a、冷却器50を中空内に配して、所謂多重構造を構築してもよい。多重構造にすることにより、その冷却効率を格段に向上させることができる。
【0028】
また、本実施の形態においては、流動状物冷熱装置として、冷却管202内に熱交換媒体として冷却媒体が流れる流動状物冷却装置1を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。冷却管202内に高温の液体、ガスといった流体である加熱媒体を流し、即ち冷却管202を加熱管とすることにより、流動状物を加熱する流動状物加熱装置として流動状物冷却装置1を構築することも可能である。この場合も流動状物冷却装置1と同様に、加熱管の流動状物に接する面積は極めて広いため、高い加熱効率、換言すると高い伝熱効率を実現でき、流動状物の加熱を短時間で行うことができる。
【0029】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0030】
1 流動状物冷却装置(流動状物冷熱装置)
10 容器
20 冷却部(他方の冷熱部)
20a 冷却部(一方の冷熱部)
202,202a,202b,202c,202d,202e 冷却管(導管)
204,204a,204b,204c,204d 導入管
206,206a,206b,206c,206d 導出管
208a 谷部
208b 山部(凸部)