(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分岐部の所定方向に第1のケーブル及び第2のケーブルが接続され、前記所定方向とは反対方向に少なくとも第3のケーブルが接続されるケーブルの被覆処理を行う被覆処理具であって、
引き抜き可能な管状中空の第1のコア部材と、
引き抜き可能な管状中空の第2のコア部材と、
前記第1のコア部材及び前記第2のコア部材の外周側に拡径された状態で保持される電界緩和部材と、を備え、
前記電界緩和部材は、
前記第1のコア部材及び前記第2のコア部材の外周側に拡径された状態で保持され、常温収縮性の導電性材料を含んで構成されるストレスコーンと、
前記ストレスコーンに対して、軸方向に隣り合うように前記第1のコア部材及び前記第2のコア部材の外周側に拡径された状態で保持され、常温収縮性の絶縁性材料によって構成される絶縁部材と、を備える、被覆処理具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る被覆処理具を用いて被覆処理されたケーブルの分岐構造を示す断面図である。
図2は、
図1に示すケーブルの分岐構造のうち、第1の分岐ケーブル及び第2の分岐ケーブルに対する電界緩和部材付近の構造を示す拡大断面図である。本実施形態に係る分岐構造1は分岐部の所定方向に第1の分岐ケーブル(第1のケーブル)2B及び第2の分岐グループ(第2のケーブル)が接続され、所定方向とは反対方向に幹線ケーブル(第3のケーブル)が接続される。本実施形態では、分岐構造1は、幹線ケーブル2Aに複数の分岐ケーブルが接続されたケーブル2の分岐構造である。複数の分岐ケーブルのうち第1の分岐ケーブル2B及び第2の分岐ケーブル2Cは、幹線ケーブル2Aの延在方向(
図1における紙面左側)とは反対側へ延在する。ケーブル2A,2B,2Cは、電力ケーブルである。なお、本実施形態では、分岐ケーブルは2本であるが、3本であってもよい。すなわち、第3の分岐ケーブルが幹線ケーブル2Aから分岐していてよい。この場合、第3の分岐ケーブルは、幹線ケーブル2Aの延在方向へ延在してよい。また、所定方向及び所定方向の反対側に幹線ケーブルが延び、所定方向に分岐ケーブルが延びていていもよい。なお、以降の説明においては、ケーブル2が延びる方向を「軸方向」と称する。このうち、幹線ケーブル2Aの延在方向(所定方向とは反対方向)を「第1の方向D1」と称し、幹線ケーブル2Aの延在方向と反対側の方向(所定方向)を「第2の方向D2」と称する。
【0015】
ケーブル2A,2B,2Cは、導体部2aと、絶縁層2bと、半導電層2cと、ケーブル遮蔽層2dと、ケーブルシース2eと、を備えている。導体部2a、絶縁層2b、半導電層2c、ケーブル遮蔽層2d、及びケーブルシース2eは、この順で内周から外周へ向かって配置されている。また、導体部2a、絶縁層2b、半導電層2c、ケーブル遮蔽層2d、及びケーブルシース2eは、先端側からこの順で露出している。絶縁層2bは、絶縁性の樹脂等により構成される部分であり、導体部2aの外周面を覆っている。なお、ケーブル2A,2B,2Cのうち、ケーブルシース2eから露出している部分、すなわち、導体部2a、絶縁層2b、半導電層2c及びケーブル遮蔽層2dの部分を被覆除去部2fと称する場合がある。幹線ケーブル2Aは、第2の方向D2側に被覆除去部2fの先端、すなわち露出した導体部2aが位置するように、配置される。分岐ケーブル2B,2Cは、第1の方向D1側に被覆除去部2fの先端、すなわち露出した導体部2aが位置するように、配置される。そして、幹線ケーブル2Aの露出した導体部2aと、分岐ケーブル2B,2Cの露出した導体部2aとが、互いに対向するように配置されて、後述の接続金具8で接続される。本実施形態では、各導体部2aが互いに接続される箇所、すなわち接続金具8の箇所が、分岐部に該当する。
【0016】
導体部2aは、複数の導電性の線材を束ねることによって構成されている。絶縁層2bは、導体部2aを覆うように設けられる絶縁材料によって構成される管状部材である。絶縁層2bは、導体部2aの外周における絶縁性を確保する機能を有している。
【0017】
半導電層2cは、半導電性を有する層であり、例えば布又は紙にカーボン等の導電物質を含浸させたものにより構成されている。半導電層2cは、ケーブル遮蔽層2dの内周側に配置されて、ケーブル遮蔽層2d間の重なり等で生じる局所的な高電界部分を均一にしてケーブル2A,2B,2Cの絶縁性を高める効果を有する。
【0018】
ケーブル遮蔽層2dは、感電を防止すると共にケーブル2A,2B,2Cの漏洩電流を流すために設けられる導電性の層である。ケーブル遮蔽層2dの材料は例えば銅テープであり、この場合ケーブル遮蔽層2dは遮蔽銅テープとも称される。ケーブル遮蔽層2dは、半導電層2cの外周を覆っている。ケーブルシース2eは、例えば塩化ビニル又はポリエチレンにより構成されている。ケーブルシース2eは、ケーブル遮蔽層2dの外周を覆っている。
【0019】
なお、幹線ケーブル2Aのケーブル遮蔽層2dには接地用スプリング5Aが設けられている。分岐ケーブル2B,2Cのケーブル遮蔽層2dには、接地用スプリング5Bが設けられている。接地用スプリング5Bは、第1の分岐ケーブル2Bのケーブル遮蔽層2dと、第2の分岐ケーブル2Cのケーブル遮蔽層2dと、を互いに平行に並べた状態で連結している。また、第1の分岐ケーブル2Bのケーブルシース2e、及び第2の分岐ケーブル2Cのケーブルシース2eには、互いに平行に並んだ状態で、防水テープ10が巻き付けられている。なお、第1の分岐ケーブル2Bのケーブルシース2eと、第2の分岐ケーブル2Cのケーブルシース2eとの間には、分岐用スペーサ(不図示)が設けられている。
【0020】
次に、
図1及び
図2を参照して、分岐構造1について説明する。分岐構造1は、電界緩和部材3A,3Bと、絶縁筒4と、遮蔽メッシュ6と、防水チューブ7A,7Bと、接続金具8と、を備える。
【0021】
電界緩和部材3Bは、分岐ケーブル2B,2Cの被覆除去部2fの絶縁層2b及び半導電層2cの一部を覆う部材である。電界緩和部材3Bは、ストレスコーン21と、絶縁部材22と、を備えている。ストレスコーン21は、分岐ケーブル2B,2Cのそれぞれの半導電層2cと絶縁層2bとの境界部分を覆う管状の部材である。ストレスコーン21は、第1の分岐ケーブル2Bの被覆除去部2fの絶縁層2b及び半導電層2cの一部を覆う管状の第1のストレスコーン21Aと、第2の分岐ケーブル2Cの被覆除去部2fの絶縁層2b及び半導電層2cの一部を覆う管状の第2のストレスコーン21Bと、を備える。本実施形態では、ストレスコーン21の第2の方向D2側の端部は、半導電層2cの軸方向における中途位置に配置される。ストレスコーン21の第1の方向D1側の端部は、絶縁層2bの軸方向における中途位置(第2の方向D2側の端部付近)に配置される。ただし、ストレスコーン21の軸方向の長さは限定されず、少なくとも半導電層2cと絶縁層2bとの境界部分を覆い、十分に電界緩和を行うことができればよい。ストレスコーン21A,21Bの第1の方向D1側の端部は、外周側へ向かって内径が広がるように湾曲した形状を有している。これによって、電界はストレスコーン21A,21Bの湾曲した端部に沿って外周側へ広がってゆく。ストレスコーン21は、常温収縮性の導電性材料を含んで構成される。具体的に、常温収縮性の導電性材料として、導電性シリコーンゴム、導電性EPDMゴム等または、絶縁性シリコーンゴムや絶縁性EPDMゴムに導電塗装が施されたものが等が採用される。なお、
図1〜
図3において、ストレスコーン21A,21B間は、互いに離間しており、隙間に絶縁部材22が介在している。ただし、ストレスコーン21A,21B同士は互いに接触していてもよい。
【0022】
絶縁部材22は、ストレスコーン21に対して、軸方向における分岐部側、すなわち第1の絶縁部材22は、軸方向における一部において、ストレスコーン21の外周面を覆っている。本実施形態では、絶縁部材22は、ストレスコーン21の第1の方向D1側において隣接しており、第2の方向D2側へ延びる一部分である外周部23がストレスコーン21を外周側から覆っている。なお、特に
図3(b)に示すように、絶縁部材22は、一つの管状部材としてそれぞれ独立しているストレスコーン21A,21Bをまとめて覆うように一体的に形成されている。軸方向から見た場合、絶縁部材22は、互いに並列に配置されたストレスコーン21A,21Bを含むような略円形、または楕円状に形成されている。従って、絶縁部材22は、第1のストレスコーン21Aの貫通孔21aと、第2のストレスコーン21Bの貫通孔21aとそれぞれ連通する2つの貫通孔22a,22bをそれぞれ有している。本実施形態では、絶縁部材22の外周部23の第2の方向D2側の端部は、ストレスコーン21A,21Bの第2の方向D2側の端部と同位置に配置される。絶縁部材22の第1の方向D1側の端部は、絶縁層2bの軸方向における中途位置(第1の方向D1側の端部付近)に配置される。ただし、絶縁部材22の軸方向の長さは限定されず、十分に絶縁性能を確保することができればよい。絶縁部材22は、常温収縮性の絶縁性材料によって構成される。具体的に、常温収縮性の絶縁性材料として、絶縁性シリコーンゴム、絶縁性EPDMゴム等が採用される。
【0023】
なお、電界緩和部材3Bは、
図3(a),(b)に示すように、第1のストレスコーン21Aと第2のストレスコーン21Bとが同じ径を有していてもよい。このような電界緩和部材3Bは、分岐ケーブル2B,2Cの径が略同じである場合に適用できる。または、
図3(c),(d)に示すように、第1のストレスコーン21Aと第2のストレスコーン21Bとが異なる径を有していてもよい。ここでは、第2のストレスコーン21Bの方が第1のストレスコーン21Aよりも径が小さい。このような電界緩和部材3Bは、分岐ケーブル2B,2Cの径が異なる場合に適用できる。
図1及び
図2に示す例では、ストレスコーン21A,21Bの径が互いに異なる電界緩和部材3Bが用いられる。
【0024】
ここで、電界緩和部材3Bは、被覆前においては、
図4に示すような被覆処理具100として構成される。
図4(a),(b)に示すように、被覆処理具100は、引き抜き可能な管状中空の第1のコア部材101Aと、引き抜き可能な管状中空の第2のコア部材101Bと、第1のコア部材101A及び第2のコア部材101Bの外周側に拡径された状態で保持される電界緩和部材3Bと、を備える。ストレスコーン21は、第1のコア部材101A及び第2のコア部材101Bの外周側に拡径された状態で保持される。すなわち、第1のストレスコーン21Aは、第1のコア部材101Aに拡径された状態で保持される。第2のストレスコーン21Bは、第2のコア部材101Bに拡径された状態で保持される。絶縁部材22は、ストレスコーン21に対して、軸方向に隣り合うように第1のコア部材101A及び第2のコア部材101Bの外周側に拡径された状態で保持される。
【0025】
第1のコア部材101Aは、全長に亘って壁面上に形成された解体線を有する円筒形の管状中空の部材である。解体線は、第1のコア部材101Aの軸線の回りを周回、又は、周回及び反転をしながら、軸線方向に漸進していくように設けられている。なお、本実施形態では、解体線として、第1のコア部材101Aの軸線回りを周回しながら、軸線方向(拡径保持部材の軸方向)に漸進していくように設けられる連続螺旋溝101aが設けられている。以下では、「解体線」を連続螺旋溝101aであるものとして説明する。第1のコア部材101Aの材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン、ABS等の樹脂が用いられる。また、必要に応じてこれらの樹脂で多層構造とすることもできる。第1のコア部材101Aは、連続螺旋溝101aに沿って、紐状体であるコアリボン101bとして引き抜くことが可能となっている。連続螺旋溝101aが形成された部分は連続螺旋溝101aの周囲よりも厚みが小さく、破断しやすい部分となっている。また、解体線は、連続螺旋溝101aのような螺旋状に形成される態様に限られず、例えばSZ状に形成されていてもよく、引き抜き可能であれば如何なる形状とすることも可能である。
【0026】
従って、コアリボン101bを引っ張ると、第1のコア部材101は、連続螺旋溝101aの部分で順次破断し、新たなコアリボン101bとして連続的に引き抜かれる。連続螺旋溝101aは一定のピッチで形成されているため、引き抜かれるコアリボン101bの幅も一定となる。ただし、一定でなくてもよい。連続螺旋溝101aは、第1のコア部材101の内周面のみに形成されていてもよく、外周面のみに形成されていてもよく、内周面と外周面の両方に形成されていてもよい。また、連続螺旋溝101aを有する第1のコア部材101の製造は、例えばコアリボン101bを螺旋状に旋回させると共に隣接するコアリボン101b同士を接着、溶着、係合、又はこれらの組み合わせ等によって固定することにより行われてもよく、円筒状の部材に連続螺旋溝101aを直接形成することによって行われてもよい。また、引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材としては、上記のように拡径保持部材がリボン状でありリボンを解くことにより第1のストレスコーン21A及び絶縁部材22が順次縮径していく態様もあれば、拡径保持部材が電界緩和部材3Bに対して摺動し電界緩和部材3Bから引き抜かれることによって離脱する態様もある。
【0027】
第1のコア部材101Aは、コアリボン101bとして引き抜かれる始端側となる第1の端部101cと、コアリボン101bとして引き抜かれる終端側となる第2の端部101dとを有している。第1の端部101c付近には、電界緩和部材3Bが巻かれず第1のコア部材101Aの外周面が露出する露出部が形成され、第2の端部101d付近にも、電界緩和部材3Bが巻かれず第1のコア部材101Aの外周面が露出する露出部が形成される。
【0028】
第1の端部101cから解体したコアリボン101bは、第1のコア部材101Aの内側に通されると共に第2の端部101d側から引き抜かれる。第2の端部101d側でコアリボン101bが引き抜かれることにより、第1のコア部材101は第1の端部101cから第2の端部101dに向かって順次解体されていく。なお、本実施形態では、連続螺旋溝101aが第1のコア部材101の全長に亘って形成されているので、第1の端部101cから第2の端部101dに至るまで完全に第1のコア部材101を解体することが可能である。ただし、第1のコア部材101Aのうち、少なくとも電界緩和部材3Bを拡径して保持している部分に連続螺旋溝が形成されていればよく、例えば、第2の端部101d側の所定の範囲において連続螺旋溝が形成されていない部分があってもよい。なお、第2のコア部材101Bは、第1のコア部材101Aと同様の構成を備えているため、説明を省略する。
【0029】
図1に戻り、電界緩和部材3Aは、幹線ケーブル2Aの被覆除去部2fの絶縁層2b及び半導電層2cの一部を覆う部材である。電界緩和部材3Aは、ストレスコーン11と、絶縁部材12と、を備えている。ストレスコーン11は、幹線ケーブル2Aの半導電層2cと絶縁層2bとの境界部分を覆う管状の部材である。本実施形態では、ストレスコーン11の第1の方向D1側の端部は、半導電層2cの軸方向における中途位置に配置される。ストレスコーン11の第2の方向D2側の端部は、絶縁層2bの軸方向における中途位置(第1の方向D1側の端部付近)に配置される。ストレスコーン11の第2の方向D2側の端部は、外周側へ向かって内径が広がるように湾曲した形状を有し、ストレスコーン21と同様の機能を有している。ただし、ストレスコーン11の軸方向の長さは限定されず、少なくとも半導電層2cと絶縁層2bとの境界部分を覆い、十分に電界緩和を行うことができればよい。ストレスコーン11は、ストレスコーン21と同様な常温収縮性の導電性材料を含んで構成される。
【0030】
絶縁部材12は、ストレスコーン11に対して、軸方向における分岐部側、すなわち第2の方向D2側の位置に隣り合うように、幹線ケーブル2Aを覆う管状の部材である。絶縁部材12は、ストレスコーン11に沿って広がる電界が軸方向へ向かわないようにするための部材である。絶縁部材12は、軸方向における一部において、ストレスコーン11の外周面を覆っている。本実施形態では、絶縁部材12は、ストレスコーン11の第2の方向D2側において隣接しており、第1の方向D1側へ延びる一部分である外周部13がストレスコーン11を外周側から覆っている。絶縁部材12は、ストレスコーン11の貫通孔と連通する貫通孔を有している。本実施形態では、絶縁部材12の外周部13の第1の方向D1側の端部は、ストレスコーン11の第1の方向D1側の端部と同位置に配置される。絶縁部材12の第2の方向D2側の端部は、絶縁層2bの軸方向における中途位置(第2の方向D2側の端部付近)に配置される。ただし、絶縁部材12の軸方向の長さは限定されず、十分に絶縁性能を確保することができればよい。絶縁部材12は、絶縁部材22と同様な常温収縮性の絶縁性材料によって構成される。
【0031】
なお、電界緩和部材3Aは、被覆前においては、
図17に示すような被覆処理具110として構成される。被覆処理具110は、前述の被覆処理具100と同趣旨のコア部材と、当該コア部材の外周側に拡径された状態で保持される電界緩和部材3Aと、を備える。
【0032】
図1に戻り、絶縁筒4は、幹線ケーブル2Aの被覆除去部2f及び分岐ケーブル2B,2Cの被覆除去部2f全体を覆う部材である。本実施形態においては、絶縁筒4は、内部導電層4A、補強絶縁体4B、及び外部導電層4Cを備えている。絶縁筒4は、絶縁性が高く、また成形加工性に優れたエチレンプロピレンゴムやシリコーンゴム等がベースゴムとして使用され、内部導電層4A、補強絶縁体4B、及び外部導電層4Cとが、例えば、紡錘形状となるように一体にモールド成形された部品、または内部導電層4A、補強絶縁体4Bが一体にモールド成型されたものに外部導電層4Cとして導電塗装が施された部品として構成される。ただし、電圧によっては、絶縁筒4は紡錘形状ではなく、単なる円筒形状であってもよい。内部導電層4Aは、被覆状態において、接続金具8及び電界緩和部材3A、3Bの先端付近を覆うように設けられている。補強絶縁体4Bは、内部導電層4Aの外周側に配置されて、当該内部導電層4Aよりも軸方向において広範囲に設けられている。外部導電層4Cは、補強絶縁体4Bの外周側に配置されている。本実施形態では、外部導電層4Cの長さは、補強絶縁体4Bと略同じに設定されている。
【0033】
なお、絶縁筒4は、被覆前においては、
図17に示すような被覆処理具120として構成される。被覆処理具120は、前述の被覆処理具100と同趣旨のコア部材と、当該コア部材の外周側に拡径された状態で保持される絶縁筒4と、を備える。
【0034】
図1に戻り、遮蔽メッシュ6は、絶縁筒4の外周を覆う部材である。遮蔽メッシュ6は、ケーブル2A,2B,2Cの被覆除去部2fからの電磁波を遮蔽するための部材である。遮蔽メッシュ6の第1の方向D1側の端部は接地用スプリング5Aで保持され、遮蔽メッシュ6の第2の方向D2側の端部は接地用スプリング5Bで保持される。遮蔽メッシュ6は、例えば、銅、もしくは表面をすずメッキした銅線等の材料によって構成されている。
【0035】
防水チューブ7Aは、分岐構造1全体を覆うことによって、当該分岐構造1の防水性を確保するための部材である。防水チューブ7は、遮蔽メッシュ6で覆われた部分全体を覆うと共に、ケーブル2A,2B,2Cのケーブルシース2eの端部付近を覆う。防水チューブ7の第1の方向D1側の端部は、幹線ケーブル2Aのケーブルシース2eの端部付近を覆う。防水チューブ7の第2の方向D2側の端部は、分岐ケーブル2B,2Cのケーブルシース2eの端部付近に設けられた防水テープ10の位置まで覆う。防水チューブ7Bは、防水チューブ7Aの第1の方向D1側の端部付近を更に覆う部材である。防水チューブ7Bは、幹線ケーブル2Aのケーブルシース2eの端部付近、及び接地用スプリング5A付近を覆う。防水チューブ7A,7Bは、例えば、絶縁性シリコーンゴム、絶縁性EPDMゴム等の材料によって構成される。
【0036】
なお、防水チューブ7A,7Bは、被覆前においては、
図17に示すような被覆処理具130A,130Bとして構成される。被覆処理具130A,130Bは、前述の被覆処理具100と同趣旨のコア部材と、当該コア部材の外周側に拡径された状態で保持される防水チューブ7A,7Bと、を備える。
【0037】
図1に戻り、接続金具8は、幹線ケーブル2A、第1の分岐ケーブル2B、及び第2の分岐ケーブル2Cを互いに接続するための金具である。接続金具8は、第1の分岐ケーブル2Bを保持する第1の保持部31と、第2の分岐ケーブル2Cを保持する第2の保持部32と、幹線ケーブル2Aを保持する第3の保持部33と、ボルト34(
図12参照)と、ボルト34の頭部34aを収容する収容部材36と、を備えている。
【0038】
図5〜
図14を参照して、接続金具8の構成について詳細に説明する。本実施形態においては、幹線ケーブル2Aの導体部2aが、第1の分岐ケーブル2Bの導体部2aと第2の分岐ケーブル2Cの半導電層2cとの間に挟まれるようにして、当該分岐ケーブル2B,2Cに接続されている。従って、第3の保持部33は、第1の保持部31及び第2の保持部32に挟まれるようにして重ね合わせられる。各保持部33は、軸方向と直交する方向へ互いに重ね合わせられる。以降の説明においては、当該方向を「重ね合わせ方向」と称する。なお、各ケーブル2A,2B,2Cの重ね合わせの順序、すなわち各保持部31,32,33の重ね合わせの順序は特に限定されず、適宜変更してよい。ボルト34は、互いに重ね合わせられた各保持部31,32,33に対し、重ね合わせ方向へ挿入される。ボルト34は、第2の保持部32側に頭部34aが配置される方向から挿入される。従って、本実施形態では、収容部材36は、第2の保持部32の外側に配置されている。ただし、ボルト34の挿入の方向は特に限定されない。すなわち、第1の保持部31の外側に収容部材36が配置されてもよい。なお、各ケーブル2A,2B,2C同士の回転を防止するため、軸方向に複数本のボルト34が並ぶように、当該ボルト34が各保持部へ挿入される。本実施形態では2本のボルト34が挿入されるが、1本、または3本以上のボルト34が挿入されてもよい。
【0039】
第1の保持部31は、第1の分岐ケーブル2Bの導体部2aと接続される接続部41と、ボルト34を挿通させる挿通部42と、を備える。接続部41は、第2の方向D2に配置され、挿通部42は、第1の方向D1に配置される。接続部41は、第1の分岐ケーブル2Bの導体部2aを受容するための内部空間41aを有するような、軸方向に延びる円筒状をなしている。接続部41の内部空間41aは、導体部2aを受容するために第2の方向D2側の端部で開口しており、第1の方向D1側の端部で封止されている。挿通部42は、接続部41の第1の方向D1における端部から、第1の方向D1へ向かって延びるように形成されている。挿通部42には、ボルト34を挿通させるため、重ね合わせ方向へ貫通する貫通孔42aが形成されている(特に
図12を参照)。貫通孔42aは、軸方向に二つ並ぶように形成されている。また、挿通部42のうち、重ね合わせ方向における内側には、第3の保持部33と面接触するための座面42bが形成されている。座面42bは、重ね合わせ方向と直交する方向へ広がる平面である。挿通部42のうち、重ね合わせ方向における外側の外周面42cは、接続部41の外周面と連続するような円弧状の湾曲面となる。貫通孔42aは、外周面42c側においてザグリ加工等により内径が拡大された大径部42dを有する。当該大径部42dには、ボルト34と連結するナット35を収容することができる。
【0040】
第2の保持部32は、第2の分岐ケーブル2Cの導体部2aと接続される接続部43と、ボルト34を挿通させる挿通部44と、を備える。接続部43は、第2の方向D2に配置され、挿通部44は、第1の方向D1に配置される。接続部43は、第2の分岐ケーブル2Cの導体部2aを受容するための内部空間43aを有するような、軸方向に延びる円筒状をなしている。接続部43の内部空間43aは、導体部2aを受容するために第2の方向D2側の端部で開口しており、第1の方向D1側の端部で封止されている。挿通部44は、接続部43の第1の方向D1における端部から、第1の方向D1へ向かって延びるように形成されている。挿通部44には、ボルト34を挿通させるため、重ね合わせ方向へ貫通する貫通孔44aが形成されている(特に
図12を参照)。貫通孔44aは、軸方向に二つ並ぶように形成されている。また、挿通部44のうち、重ね合わせ方向における内側には、第3の保持部33と面接触するための座面44bが形成されている。また、挿通部44のうち、重ね合わせ方向における外側には、収容部材36と面接触するための座面44cが形成されている。座面44b,44cは、重ね合わせ方向と直交する方向へ広がる平面である。
【0041】
第3の保持部33は、幹線ケーブル2Aの導体部2aと接続される接続部45と、ボルト34を挿通させる挿通部46と、を備える。接続部45は、第1の方向D1に配置され、挿通部46は、第2の方向D2に配置される。接続部45は、幹線ケーブル2Aの導体部2aを受容するための内部空間45aを有するような、軸方向に延びる円筒状をなしている。接続部45の内部空間45aは、導体部2aを受容するために第1の方向D1側の端部で開口しており、第2の方向D2側の端部で封止されている。挿通部46は、接続部45の第2の方向D2における端部から、第2の方向D2へ向かって延びるように形成されている。挿通部46には、ボルト34を挿通させるため、重ね合わせ方向へ貫通する貫通孔46aが形成されている(特に
図12を参照)。貫通孔46aは、軸方向に二つ並ぶように形成されている。また、挿通部46のうち、重ね合わせ方向における一方側には、第1の保持部31と面接触するための座面46bが形成されている。また、挿通部46のうち、重ね合わせ方向における他方には、第2の保持部32と面接触するための座面46cが形成されている。座面46b,46cは、重ね合わせ方向と直交する方向へ広がる平面である。
【0042】
収容部材36は、ボルト34を挿通させると共に、第1の保持部31、第2の保持部32、及び第3の保持部33に挿入されたボルト34の頭部34aを収容する部材である。収容部材36は、軸方向に延びる半円柱状の部材である。
図12〜
図14に示すように、収容部材36には、ボルト34を挿通させるため、重ね合わせ方向へ貫通する貫通部47が形成されている。貫通部47は、軸方向に二つ並ぶように形成されている。また、収容部材36のうち、重ね合わせ方向における内側には、第2の保持部32と面接触するための座面36aが形成されている。座面36aは、重ね合わせ方向と直交する方向へ広がる平面である。収容部材36のうち、重ね合わせ方向における外側の外周面36bは、円弧状の湾曲面となる。
【0043】
次に、
図13〜
図15を参照して、収容部材36の貫通部47について説明する。貫通部47は、外周面36b側から座面36a側へ向かって順に、ボルト34の頭部34aを収容する収容部48と、ボルト34の軸部34bを挿通させる貫通孔49と、を有している。貫通孔49は、貫通方向から見て円形をなしている。貫通孔49の直径は、頭部34aの第1の寸法W1(
図15参照)よりも小さく、軸部34bの直径よりも大きい。なお、説明のため、
図15(a)に示すように、ボルト34の頭部34aの六角形状うち、互いに対向する一対の辺同士の間の寸法を「第1の寸法W1」と称し、互いに対向する一対の頂点同士の間の寸法を「第2の寸法W2」と称する。
【0044】
収容部48は、貫通方向から見て略矩形状をなしている。収容部48は、軸方向(収容部材36が延びる方向)に互いに対向する一対の内壁面48a,48aと、軸方向に直交する方向に互いに対向する一対の内壁面48b,48bと、を有している。ここで、収容部48は、ボルト34の頭部34aを収容して他の部材等との接触を防止する機能を有する。また、収容部48は、ボルト34の頭部34aの収容を許容するが、収容された頭部34aの回り止め、すなわち回転を規制する機能を有する。具体的には、
図14に示すように、収容部48の深さ寸法H2は、頭部34aの高さ寸法H1よりも大きい。なお、収容部48の深さ寸法H2は、収容部48の開口部の外周面36bにおける縁部のうち、最も低い位置に配置される部分(ここでは、内壁面48bの上端)と、収容部48の底面48cと、の間の寸法である。内壁面48b,48b間の幅寸法L1は、頭部34aの第1の寸法W1よりも大きく、第2の寸法W2よりも小さい。また、内壁面48a,48a間の幅寸法L2は、頭部34aの第2の寸法W2よりも大きい。ただし、内壁面48a,48a間の幅寸法L2が、頭部34aの第1の寸法W1よりも大きく、第2の寸法W2よりも小さく、内壁面48b,48b間の幅寸法L1が、頭部34aの第2の寸法W2よりも大きくてよい。また、収容部48の形状及び寸法関係は、ボルト34の頭部34aの収容を許容すると共に、収容された頭部34aの回り止めできるものであれば特に限定されない。
【0045】
次に、
図16〜
図21を参照して、本実施形態に係るケーブル2の分岐構造1の組み立て方法について説明する。
図16(a)に示すように、各ケーブル2A,2B,2Cのケーブルシース2eを除去して、導体部2a、絶縁層2b、半導電層2c、及びケーブル遮蔽層2dを露出させて、被覆除去部2fを形成する。次に、
図16(b)に示すように、保持部31,32,33の接続部41,43,45に各ケーブル2B,2C,2Aの導体部2aを接続する。当該接続は圧縮によってなされる。また、分岐ケーブル2B,2Cに防水スペーサを取り付け、防水テープ10を巻き付ける。
【0046】
次に、
図17に示すように、各ケーブル2A,2B,2Cに対して、予め必要な被覆処理具100,110,120,130A,130Bを取り付けておく。具体的には、幹線ケーブル2Aには、電界緩和部材3Aの被覆処理具110と、絶縁筒4の被覆処理具120と、防水チューブ7Bの被覆処理具130Bと、を取り付けておく。また、分岐ケーブル2B,2Cには、電界緩和部材3Bの被覆処理具100と、防水チューブ7Aの被覆処理具130Aと、を取り付けておく。なお、分岐ケーブル2B,2Cには、折り畳まれた遮蔽メッシュ6を取り付けておく。
【0047】
次に、
図18(a)に示すように、各保持部31,32,33及び収容部材36を重ね合わせると共にボルト34を挿入して各部材を締結する。これによって、接続金具8によって各ケーブル2A,2B,2Cを接続する。また、被覆処理具100と分岐ケーブル2B,2Cとの位置合わせを行い、コア部材を解体することで、
図18(b)に示すように、分岐ケーブル2B,2Cを電界緩和部材3Bで被覆する。また、幹線ケーブル2Aを電界緩和部材3Aで被覆する。このとき、各電界緩和部材3A,3Bが各半導電層2c側から収縮するように、コア部材の解体を行う。
【0048】
次に、
図19(a)に示すように、各ケーブル2A,2B,2Cの分岐部と被覆処理具120との位置合わせ(絶縁筒4の両端部が各電界緩和部材3A,3Bの端部と合うように位置合わせする)を行い、コア部材を解体することで、当該分岐部を絶縁筒4で被覆する。次に、
図19(b)に示すように、絶縁筒4を遮蔽メッシュ6で覆う。このとき、遮蔽メッシュ6の両端をそれぞれ接地用スプリング5A,5Bで固定する。
【0049】
次に、
図20(a),(b)に示すように、遮蔽メッシュ6に対して被覆処理具130Aを位置合わせし、コア部材を解体することで、当該部分を防水チューブ7Aで被覆する。このとき、防水チューブ7Aの分岐ケーブル2B,2C側の端部を防水テープ10に合わせる。次に、
図21(a),(b)に示すように、防水チューブ7Aの幹線ケーブル2A側の端部に被覆処理具130Bを位置合わせし、コア部材を解体して防水チューブ7Bで被覆する。以上によって、ケーブル2の分岐構造1が完成する。
【0050】
次に、本実施形態に係るケーブル2の分岐構造1の作用・効果について説明する。
【0051】
本実施形態に係るケーブル2の分岐構造1によれば、電界を緩和するための電界緩和部材3Bは、第1の分岐ケーブル2B及び第2の分岐ケーブル2Cのそれぞれの半導電層2cと絶縁層2bとの境界部分を覆うストレスコーン21と、ストレスコーン21に対して、軸方向における分岐部側の位置に隣り合うように第1の分岐ケーブル2B及び第2の分岐ケーブル2Cを覆う絶縁部材22と、を備えている。また、ストレスコーン21は、常温収縮性の導電性材料によって構成され、絶縁部材22は、常温収縮性の絶縁性材料によって構成される。このように、電界緩和部材3Bとして、常温収縮性のストレスコーン21及び絶縁部材22を備えたものを用いることにより、分岐ケーブル2B,2Cの被覆除去部2fを被覆する際は、対象位置に電界緩和部材3Bを位置合わせし、電界緩和部材3Bを収縮させることで、被覆除去部2fの絶縁層2b及び半導電層2cの一部を被覆することが可能となる。
【0052】
例えば、差込み型のストレスコーンを用いて分岐ケーブル2B,2Cを被覆する場合、ストレスコーンを分岐ケーブル2B,2Cに差し込むために作業者は力を付与しなくてはならず、作業に手間及び時間がかかっていた。一方、取り付け易さを考慮して、ストレスコーンによる締付力を緩くした場合は、十分な電界緩和性を確保できない場合がある。これに対して、本実施形態の構造を採用することで、差込み型のストレスコーンを用いる場合に比して、容易に、且つ短時間で電界緩和部材3Bによる被覆を行うことができる。更に、電界緩和部材3Bは分岐ケーブル2B,2Cに十分な力で締め付けられることで、十分な電界緩和性を確保できる。また、導電性材料のストレスコーン21を電界緩和部材3Bとして用いることで、例えば高誘電率方式による電界緩和に比して、製品ごとの電界緩和性能のばらつきを少なくすることができる。例えば、高誘電率方式では、材料や成型のばらつきに起因して、製品ごとの電界緩和性能にばらつきが大きくなる。一方、導電性材料のストレスコーン21を電界緩和部材3Bとすることで、高誘電率方式に比して、材料や成型のばらつきによる電界緩和性能のばらつきを低減することができる。なお、ストレスコーンの電界緩和性能は導電性材料の形状に依存するため、形状設計を正しく行うことで、製品ごとの電界緩和性能のばらつきを低減できる。以上より、本実施形態によれば、分岐ケーブルを容易、且つ短時間で電界緩和部材3Bで被覆すると共に、電界緩和性能のばらつきを低減できる。なお、被覆処理具100も、同様の当該作用・効果を有する。
【0053】
ケーブル2の分岐構造1において、絶縁部材22は、軸方向における一部において、ストレスコーン21の外周面を覆っている。この場合、絶縁筒にストレスコーンを設ける必要がなくなるため、部品点数の低減を図ることができる。
【0054】
ケーブル2の分岐構造1は、幹線ケーブル2A、第1の分岐ケーブル2B、及び第2の分岐ケーブル2Cを互いに接続する接続金具8を更に備える。接続金具8は、第1の分岐ケーブル2Bを保持する第1の保持部31と、第2の分岐ケーブル2Cを保持する第2の保持部32と、幹線ケーブル2Aを保持する第3の保持部33と、軸方向と直交する方向へ互いに重ね合わせられた第1の保持部31、第2の保持部32、及び第3の保持部33に挿入されるボルト34と、ボルト34を挿通させると共に、第1の保持部31、第2の保持部32、及び第3の保持部33に挿入されたボルト34の頭部34aを収容する収容部材36と、を備える。この場合、各保持部を重ね合わせて固定したボルト34の頭部34aは収容部材36に収容される。これにより、ボルト34の頭部34aが他の部材等と接触することを防止できる。また、収容部材36に頭部34aを収容することで、当該頭部34aを回り止めすることができるので、ボルト34の締付作業の負担を低減することができる。
【0055】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。例えば、
図22及び
図23に示す形態を採用してもよい。すなわち、ストレスコーン21の外周面は、絶縁部材22から露出しており、絶縁筒用ストレスコーン4Dと接触していてよい。絶縁筒用ストレスコーン4Dは、ストレスコーン21の第1の方向D1側の端部よりも更に第1の方向D1側へ延びており、端部が外周側へ広がっている。このような構成を採用した場合、絶縁筒4側の絶縁筒用ストレスコーン4Dと電界緩和部材3Bを含んで電界緩和を行うため、電界緩和部材3B自体の厚さを少なくすることができる。
【0056】
また、ケーブルの分岐構造は上述の実施形態に限定されず、各種部材の位置関係等は、適宜変更してもよい。また、組み立ての順序等も特に限定されない。
【0057】
[実施例]
次に、
図24を参照して実施例及び比較例の比較を行う。実施例として、幹線ケーブル、第1の分岐ケーブル及び第2の分岐ケーブルをそれぞれ導体断面積150mm
2とし、幹線ケーブルに対する電界緩和部材及び分岐ケーブルに対する電界緩和部材の絶縁性材料をシリコーンゴムとし、導電性材料をシリコーンゴムとしたケーブルの分岐構造を準備した。比較例として、幹線ケーブル、第1の分岐ケーブル及び第2の分岐ケーブルをそれぞれ導体断面積150mm
2とし、幹線ケーブルに対する電界緩和部材及び分岐ケーブルに対する電界緩和部材の絶縁性材料をシリコーンゴムとし、高誘電性材料をシリコーンゴムとしたケーブルの分岐構造を準備した。
【0058】
実施例及び比較例について、「一般社団法人 日本電力ケーブル接続技術協会」の「22kV・33kV架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル用直線接続部性能規格の33kVの部(JCAA A503)」の雷インパルス耐電圧試験(305kV(負極性)、3回)に準拠した試験を行った。−305kV、3回という条件での試験をクリアした場合、分岐構造の接続もしくは端末が破壊するまで試験電圧を−10kVずつ昇圧して試験を実施した。複数の成型ロットに係る実施例及び比較例について試験を行った。この試験による結果を
図24に示す。
【0059】
図24に示すように、実施例では、成型ロットによらず同様な結果が得られた。一方、比較例では、成型ロットによって結果にばらつきが確認された。これにより、実施例では、成型ロットのばらつきに依存せず、安定した電界緩和性能を得られることが理解される。