(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、実施形態に係るタッチセンサ内蔵表示装置(以下、単に表示装置ともいう)の平面図である。
図2は、
図1に示す一点鎖線の枠内を拡大した図である。表示装置の例として、有機EL表示装置を挙げる。表示装置1は、例えば赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせてフルカラーの画素を形成し、フルカラーの画像を表示するようになっている。
【0010】
表示装置1は、表示パネル10と、表示パネル10の表示領域15上に形成されたタッチセンサ20とを有している。表示パネル10の表示領域15の外側には周辺領域(額縁領域)11が形成されており、周辺領域11には画素を駆動するための集積回路チップ12が搭載され、外部との電気的接続のためのFPC(フレキシブルプリント基板)13が接続されている。以下の説明においては、周辺領域11のFPC13が接続される辺に沿った方向をX方向とし、それと直交する方向をY方向とする。
【0011】
表示パネル10の表示領域15の外側には、水分の侵入を抑制するための水分遮断領域17が設けられている。
図1と
図2では、水分遮断領域17にハッチングを付している。水分遮断領域17は、表示領域15を囲むように枠状に形成されている。水分遮断領域17は、途中で途切れていてもよい。水分遮断領域17を囲む1以上の水分遮断領域がさらに設けられてもよい。水分遮断領域17では、表示パネル10に含まれる有機絶縁膜が分断されており、有機材料を含まない。水分遮断領域17の詳細は後述する。
【0012】
図3は、
図1に示すIII−III線で切断したときの断面図である。
図4は、
図3における水分遮断領域17及びその周辺を拡大した図である。これらの図では、断面構造を見易くするため、基板30、平坦化膜51及び画素分離膜55などの一部の層のハッチングを省略している。以下の説明では、積層方向を上方向とする。
【0013】
基板30は、例えばガラス、又はポリイミド等の可撓性がある樹脂からなる。基板30はアンダーコート層31によって覆われている。アンダーコート層31上には半導体層41が形成されており、半導体層41はゲート絶縁膜33によって覆われている。ゲート絶縁膜33上にはゲート電極43が形成されており、ゲート電極43はパシベーション膜35によって覆われている。ドレイン電極45及びソース電極47は、ゲート絶縁膜33とパシベーション膜35とを貫通して半導体層41に接続されている。半導体層41、ゲート電極43、ドレイン電極45及びソース電極47により薄膜トランジスタ40が構成される。薄膜トランジスタ40は、複数の単位画素のそれぞれに対応するように設けられている。アンダーコート層31、ゲート絶縁膜33及びパシベーション膜35は、例えばSiO
2又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。
【0014】
パシベーション膜35上には、ドレイン電極45及びソース電極47に加えて、周辺領域11に引き出し配線49が形成されている。図示の引き出し配線49は、タッチセンサ20とFPC13とを電気的に接続するための配線である。ドレイン電極45、ソース電極47及び引き出し配線49は平坦化膜51によって覆われており、平坦化膜51は層間絶縁膜53によって覆われている。ドレイン電極45、ソース電極47及び引き出し配線49は、例えばAl、Ag、Cu、Ni、Ti、Mo等を含む導電性材料で形成されている。平坦化膜51は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成され、平坦な上面を有している。層間絶縁膜53は、例えばSiO
2又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。
【0015】
平坦化膜51は、下地絶縁膜の一例であり、表示領域15と周辺領域11とを覆っている。平坦化膜51は、水分遮断領域17において分断されている。すなわち、水分遮断領域17には、平坦化膜51が分断された分断溝51dが形成されている。層間絶縁膜53は、平坦化膜51の分断溝51d内を覆っている。
【0016】
層間絶縁膜53上には画素電極61(例えば陽極)が形成されている。画素電極61は、平坦化膜51と層間絶縁膜53とを貫通してソース電極47に接続されている。画素電極61は、複数の単位画素のそれぞれに対応するように個別に設けられている。本実施形態では、表示パネル10はトップエミッション型であり、画素電極61は反射電極として形成されている。また、周辺領域11には端子67,68が形成されており、平坦化膜51と層間絶縁膜53とを貫通して引き出し配線49の両方の端部にそれぞれ接続されている。画素電極61及び端子67,68は、例えばAl、Ag、Cu、Ni、Ti、Mo等を含む導電性材料で形成されている。
【0017】
画素電極61は画素分離膜55によって覆われている。画素分離膜55はリブ又はバンクとも呼ばれる。画素分離膜55には、画素電極61が底に露出する開口55aが形成されている。開口55aを形成する画素分離膜55の内縁部分は画素電極61の周縁部分に載っており、画素分離膜55は、断面視で底部から上方に向かうに従って幅が細くなる順テーパー形状を有している。なお、画素分離膜55は、周辺領域11のうちの表示領域15との境界近傍に形成されるが、その他の部分には形成されない。画素分離膜55は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成されている。
【0018】
画素分離膜55は、水分遮断領域17において分断されている。すなわち、水分遮断領域17には、画素分離膜55が分断された分断溝55dが形成されている。画素分離膜55の分断溝55dは、平坦化膜51の分断溝51dと平面視で重なるように形成されている。
【0019】
画素分離膜55の開口55aの底に露出した画素電極61上には、発光層63が互いに離れて個別に形成されている。発光層63は、複数の単位画素のそれぞれに対応して例えば赤、緑及び青からなる複数色で発光する。発光層63とともに、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子輸送層の少なくとも一層が形成されてもよい。発光層63はマスクを用いて個別に蒸着形成される。発光層63は、表示領域15の全体に広がる一様な膜(いわゆるベタ膜)として蒸着形成されてもよく、その場合、発光層63は単色で発光し、カラーフィルタや色変換層によって例えば赤、緑及び青からなる複数色のそれぞれの成分が取り出される。なお、発光層63は蒸着形成に限らず、塗布形成されてもよい。
【0020】
発光層63及び画素分離膜55は対向電極65(例えば陰極)によって覆われている。対向電極65は、表示領域15の全体に広がる一様な膜(いわゆるベタ膜)として形成されている。発光層63並びに発光層63を挟む画素電極61及び対向電極65によって発光素子60が構成され、発光層63は画素電極61と対向電極65との間を流れる電流によって発光する。対向電極65は、例えばITO,IZO等の透明導電材料又はMgAg等の金属薄膜で形成される。
【0021】
画素分離膜55及び対向電極65は、封止膜(パシベーション膜)70によって覆われることで封止され、水分から遮断される。封止膜70は、例えば無機膜71、有機膜73及び無機膜75を下からこの順に含む三層積層構造を有している。無機膜71,75は、例えばSiO
2又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。有機膜73は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成されており、封止膜70の上面を平坦化させる。
【0022】
封止膜70の有機膜73の外縁は、水分遮断領域17よりも内側に位置している。無機膜71,75の外縁は、水分遮断領域17よりも外側、さらには画素分離膜55の外縁よりも外側に位置しており、層間絶縁膜53に接している。
【0023】
無機膜71,75は、平坦化膜51及び画素分離膜55の分断溝51d,55d内を覆っている。具体的には、無機膜71,75は、平坦化膜51の分断溝51d内を覆う層間絶縁膜53を覆うとともに、画素分離膜55の分断溝55d内を覆う。これにより、封止膜70下においては、有機材料を含む膜は水分遮断領域17を跨いでいない、言い換えると、水分遮断領域17を跨ぐ膜は有機材料を含んでいない。
【0024】
表示装置1は、封止膜70上にタッチセンサ20を有している。封止膜70上には、2次元的に配列された複数の第1電極21と複数の第2電極22とが形成されている。第1電極21と第2電極22とは、静電容量方式タッチセンサの駆動電極と検出電極とを構成する。本実施形態では、第1電極21及び第2電極22は層間絶縁膜83によって覆われている。層間絶縁膜83は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料、又はSiO
2又はSiN等の無機絶縁材料で形成されている。ただし、詳しくは後述するが、当該層間絶縁膜83により水分遮断領域17に形成された分断溝51dを埋め、平坦化する必要があるため、それに好適な材料が選択されるのが好ましい。
【0025】
図1及び
図2に示されるように、第1電極21と第2電極22のそれぞれは、X方向(第1方向)とこれに交差(例えば直交)するY方向(第2方向)とを対角方向とする矩形状、いわゆる菱形状(ダイヤモンド形状)で形成されている。また、第1電極21と第2電極22のそれぞれは、例えばITO等の透明導電材料で形成されている。これに限られず、第1電極21と第2電極22とは、金属等の導電性材料からなる網目状配線(メッシュ配線)で、導電性材料が平面的に見て発光素子60の発光領域と重ならないように形成されてもよい。
【0026】
複数の第1電極21はX方向とY方向とにそれぞれ並んで2次元的に配列されている。これらの第1電極21のうち、X方向に隣り合う第1電極21は第1接続線23を介して接続されており、Y方向に隣り合う第1電極21は接続されていない。すなわち、複数の第1電極21は、X方向に隣り合う第1電極21が第1接続線23を介して接続されることでX方向に延びる複数の電極列をそれぞれ形成しており、それぞれの電極列はY方向には電気的に分離されている。
【0027】
複数の第2電極22もX方向とY方向とにそれぞれ並んで2次元的に配列されている。これらの第2電極22のうち、Y方向に隣り合う第2電極22は第1接続線23と平面視で交差する第2接続線24を介して接続されており、X方向に隣り合う第2電極22は接続されていない。すなわち、複数の第2電極22は、Y方向に隣り合う第2電極22が第2接続線24を介して接続されることでY方向に延びる複数の電極列を形成しており、それぞれの電極列はX方向には電気的に分離されている。
【0028】
それぞれの第2電極22は、平面視で第1電極21に囲まれるよう配置されている。例えば、それぞれの第2電極22は、X方向とY方向の両方に交差する方向(例えば45度又は−45度の方向)に隣り合う第1電極21の間に配置されており、4つの第1電極21に囲まれている。第1電極21と第2電極22とは、互いに接触しないように間隔を空けることで電気的に分離されている。
【0029】
本実施形態では、複数の第1電極21と複数の第2電極22とは、封止膜70と層間絶縁膜83との間の同層に配置されているが、これに限られず、互いに異なる層に配置されてもよい。すなわち、第1電極21と第2電極22との一方が層間絶縁膜83下に配置され、他方が層間絶縁膜83上に配置されてもよい。また、第1電極21と第2電極22との両方が層間絶縁膜83上に配置されてもよい。
【0030】
第1接続線23と第2接続線24とは平面視で交差している。平面視で交差する第1接続線23と第2接続線24との間には層間絶縁膜83が介在しており、両者は電気的に分離されている。以下、層間絶縁膜83のうち、第1接続線23と第2接続線24との間に介在する部分を「介在部831」という。
【0031】
本実施形態では、第1接続線23が、層間絶縁膜83上に配置されたいわゆるブリッジ配線である。第1接続線23は、層間絶縁膜83に形成されたスルーホールを通じて第1電極21に接続されている。第1接続線23は、例えばAl、Ag、Cu、Ni、Ti、Mo等を含む導電性材料で形成されている。一方、第2接続線24は、層間絶縁膜83下で第2電極22と連続的に形成されている。
【0032】
これに限られず、第2接続線24が層間絶縁膜83上にブリッジ配線として配置され、第1接続線23が層間絶縁膜83下で第1電極21と連続的に形成されてもよい。また、第1接続線23がブリッジ配線として第2接続線24と交差する交差部と、第2接続線24がブリッジ配線として第1接続線23と交差する交差部とが混在していてもよい。
【0033】
本実施形態では、層間絶縁膜83は、封止膜70の無機膜71,75に覆われた分断溝51d,55dを埋めている。以下、層間絶縁膜83のうち、分断溝51d,55dを埋める部分を「溝埋部833」という。このように溝埋部833が分断溝51d,55dを埋めることにより、溝埋部833の上面は、無機膜71,75に覆われた分断溝51d,55dの上面よりも平坦化される。
【0034】
また、本実施形態では、層間絶縁膜83は、表示領域15の全体に広がる一様な膜(いわゆるベタ膜)として形成されており、第1接続線23と第2接続線24との間に介在する介在部831と、分断溝51d,55dを埋める溝埋部833とが連続して形成されている。層間絶縁膜83の上面は、溝埋部833が設けられた周縁部においてなだらかに傾斜している。
【0035】
溝埋部833は、水分遮断領域17の全体を含むように形成されている。層間絶縁膜83の外縁は、水分遮断領域17の外縁と揃えられてもよいし、水分遮断領域17よりも外側かつ画素分離膜55の外縁よりも内側に位置してもよい。また、溝埋部833は、画素分離膜55の外縁よりも外側に位置してもよい。
【0036】
タッチセンサ20は、表示領域15の周縁部から周辺領域11に引き出された複数の引き出し配線25を有している。引き出し配線25は、層間絶縁膜83上の第1接続線23と同時期に同材料で形成される。それぞれの引き出し配線25は、層間絶縁膜83に形成された開口83aを通じて第1電極21又は第2電極22に接続されており、層間絶縁膜83の周縁部に設けられた溝埋部833上を通る。
【0037】
図2に示すように、第2電極22に接続される引き出し配線25は、水分遮断領域17を横切るようにY方向に延びる。第1電極21に接続される一部の引き出し配線25は、水分遮断領域17を横切るようにX方向に延びた後、X方向からY方向に折れ曲がってY方向に延びる。また、第1電極21に接続される他の一部の引き出し配線25は、水分遮断領域17でX方向からY方向に折れ曲がってY方向に延びる。
【0038】
溝埋部833上を通った引き出し配線25は、溝埋部833上から封止膜70の無機膜71,75上に移り、さらに、無機膜71,75上からその外側に無機膜71,75の外縁を跨いで延びる。無機膜71,75の外側に延びた引き出し配線25は、周辺領域11に埋め込まれた引き出し配線49に接続された2つの端子67,68のうち、表示領域15に近い端子67(第1端子)に接続されている。
【0039】
一方、表示領域15から離れた端子68(第2端子)には、異方導電部材139を介してFPC13が接続されている。また、周辺領域11には発光素子60に電気的に接続された不図示の端子(第3端子)も設けられており、この不図示の端子にも異方導電部材139を介してFPC13が接続されている。この不図示の端子は、例えば薄膜トランジスタ40及び集積回路チップ12等を介して発光素子60に電気的に接続されている。
【0040】
以上に説明した実施形態では、無機膜71,75に覆われた分断溝51d,55dを層間絶縁膜83の一部(溝埋部833)で埋めて、その上に引き出し配線25を形成している。このため、分断溝51d,55dを溝埋部833で埋めない場合と比べて、引き出し配線25のためのプロセスマージンを確保することが可能である。
【0041】
すなわち、分断溝51d,55dを溝埋部833で埋めない場合、分断溝51d,55d内を通るように引き出し配線25を形成する必要があるが、分断溝51d,55d内に引き出し配線25を形成すると、膜残りが発生して良好に形成できないおそれがある。これに対し、本実施形態では、分断溝51d,55dを溝埋部833で埋めることで、溝埋部833の上面を分断溝51d,55dよりも平坦化しているので、引き出し配線25のためのプロセスマージンを確保し、プロセス尤度を向上させることが可能である。
【0042】
また、本実施形態では、層間絶縁膜83の一部(溝埋部833)を利用して無機膜71,75に覆われた分断溝51d,55dを埋めている。このため、例えば第1及び第2電極21,22下に平坦化のための絶縁膜を別途形成する場合と比べて、低コスト化を実現することが可能であり、さらには外部量子効率を向上させることが可能である。
【0043】
すなわち、平坦化のための絶縁膜を別途形成する場合、工程数の増加を避けられず高コスト化を招くおそれがある上、絶縁膜によって透過率が低下するため外部量子効率が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態では、層間絶縁膜83を利用して分断溝51d,55dを埋めており、平坦化のための絶縁膜を別途形成していないので、低コスト化を実現するとともに、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0044】
さらに、本実施形態では、FPC13は、タッチセンサ20に電気的に接続された端子68(第2端子)と、発光素子60に電気的に接続された不図示の端子(第3端子)との両方に接続されている。このため、1枚のFPC13によってタッチセンサ20と発光素子60との両方に外部から信号を供給することが可能である。
【0045】
なお、本実施形態では、水分遮断領域17において平坦化膜51と画素分離膜55との両方に分断溝51d,55dが形成されていたが、これに限らず、
図5に示すように画素分離膜55を水分遮断領域17より内側に形成することで、分断溝55dの形成を省略してもよい。この場合、水分遮断領域17において平坦化膜51のみに分断溝51dが形成され、画素分離膜55の外縁は平坦化膜51の分断溝51dより内側に位置する。
【0046】
図6は、他の実施形態に係るタッチセンサ内蔵表示装置の断面図である。
図7は、
図6における水分遮断領域17及びその周辺を拡大した図である。本実施形態では、層間絶縁膜83は、第1接続線23と第2接続線24とが平面視で交差するそれぞれの位置に分離して形成されており、第1電極21及び第2電極22を覆っていない。すなわち、第1接続線23と第2接続線24とが平面視で交差するそれぞれの位置に介在部831が分離して形成されている。また、介在部831と溝埋部833とも分離して形成されている。
【0047】
溝埋部833が分断溝51d,55dを埋めることにより、溝埋部833の上面は、分断溝51d,55dの周囲の無機膜71,75の上面に近づき、全体として平坦化される。溝埋部833の上面は、分断溝51d,55dの周囲の無機膜71,75の上面と揃えられてもよいし、それより低くても高くてもよい。また、溝埋部833は、分断溝51d,55dの内側のみに形成されてもよいし、分断溝51d,55dの外側に食み出るように形成されてもよい。
【0048】
引き出し配線25は、主に無機膜71,75上に形成されており、水分遮断領域17では溝埋部833上を通る。具体的には、引き出し配線25は、第1電極21又は第2電極22上から無機膜71,75上に移り、無機膜71,75上から溝埋部833上に移り、溝埋部833上から再び無機膜71,75上に移る。そして、引き出し配線25は、無機膜71,75上からその外側に無機膜71,75の外縁を跨いで延びて、端子67(第1端子)に接続されている。
【0049】
以上に説明した実施形態においても、引き出し配線25のためのプロセスマージンを確保することが可能であり、低コスト化を実現することが可能である。特に、層間絶縁膜83の介在部831と溝埋部833とを分離して、溝埋部833を分断溝51d,55d内に限定的に形成することで、水分遮断領域17及びその周辺の平坦度をより高めることが可能である。また、層間絶縁膜83が1電極21及び第2電極22を覆わないことで、外部量子効率をより向上させることも可能である。
【0050】
図8〜
図11は、実施形態に係るタッチセンサ内蔵表示装置の製造工程例を示す図である。
【0051】
図8は、発光素子60が完成した状態を示している。水分遮断領域17には分断溝51d,55dが形成されている。具体的には、平坦化膜51に分断溝51dが形成されており、この分断溝51d内は層間絶縁膜53に覆われている。画素分離膜55には、平坦化膜51の分断溝51dと重なるように分断溝55dが形成されており、これにより、平坦化膜51と画素分離膜55との2層にわたる分断溝51d,55dが形成されている。
【0052】
図9は、封止膜70を形成する工程を示している。封止膜70の有機膜73は、水分遮断領域17よりも内側に形成されている。封止膜70の無機膜71,75は、水分遮断領域17よりも外側、さらには画素分離膜55の外縁よりも外側まで広がり、層間絶縁膜53に接している。無機膜71,75は、水分遮断領域17に形成された分断溝51d,55dを覆っている。
【0053】
無機膜71,75は、例えばマスクを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition))により選択的に成長される。若しくは、無機膜71,75は、例えばCVDによりを全面に形成された後、選択的に除去されてもよい。
【0054】
図10は、タッチセンサ20を形成する工程を示している。詳しくは、封止膜70上に第1電極21、第2電極22及び第2接続線24が形成され、その上に層間絶縁膜83が形成され、その上に第1接続線23及び引き出し配線25が形成される。水分遮断領域17に形成された分断溝51d,55dは層間絶縁膜83の一部である溝埋部833によって埋められ、引き出し配線25は溝埋部833上を通るように形成される。
【0055】
図11は、タッチセンサ20を覆う保護膜85等を形成する工程を示している。ここでは、タッチセンサ20の全部、さらには引き出し配線25及び端子67を覆うように保護膜85が形成される。保護膜85は、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成されている。保護膜85上には円偏光フィルム87が配置され、円偏光フィルム87上にはカバーフィルム89が配置される。また、保護膜85に覆われない端子68には、異方導電部材139を介してFPC13が接続される。
【0056】
以上に説明した実施形態においては、タッチセンサ20は、静電容量方式タッチセンサの駆動電極と検出電極とを構成する第1電極21と第2電極22とを備える場合を例示したが、タッチセンサ20は、これらの電極に加えて、感圧機能を実現するための電極をさらに備えてもよい。
【0057】
本実施形態においては、開示例として有機EL表示装置の場合を例示したが、その他の適用例として、液晶表示装置、その他の自発光型表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。
【0058】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。