特許第6824149号(P6824149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824149
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】自動走行システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20210121BHJP
   A01D 41/127 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   A01B69/00 303F
   A01B69/00 303H
   A01D41/127
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-242047(P2017-242047)
(22)【出願日】2017年12月18日
(65)【公開番号】特開2019-106926(P2019-106926A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】阪口 和央
(72)【発明者】
【氏名】佐野 友彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 脩
(72)【発明者】
【氏名】中林 隆志
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−170223(JP,A)
【文献】 特開平10−66406(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/159615(WO,A1)
【文献】 特公平4−41985(JP,B2)
【文献】 特開2009−245001(JP,A)
【文献】 特許第3498495(JP,B2)
【文献】 特開2017−127292(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1915894(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 41/00 − 41/16
A01D 69/00 − 69/12
G05D 1/00 − 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場における外周部分での収穫走行を含む第1収穫走行と、前記第1収穫走行の後に行われる第2収穫走行と、によって圃場の農作物を収穫する収穫機の自動走行を管理する自動走行システムであって、
前記第1収穫走行により収穫済みとなった領域である第1領域の内側を第2領域として設定する領域設定部と、
前記領域設定部により設定された前記第2領域における走行経路である内周走行経路を算出する内周走行経路算出部と、
前記内周走行経路に基づいた自動走行によって前記第2収穫走行が行われるように前記収穫機の走行を制御する走行制御部と、
圃場の外形を示すデータである圃場外形データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された前記圃場外形データに基づいて、前記第1収穫走行のための走行経路または走行位置を示す情報である第1走行情報を生成する第1走行情報生成部と、を備え、
前記第1走行情報生成部により生成される前記第1走行情報に、中割走行のための走行経路または走行位置を示す情報である中割走行情報が含まれている自動走行システム。
【請求項2】
前記走行制御部は、前記第1収穫走行において、自動走行によって前記中割走行が行われるように、前記中割走行情報に基づいて前記収穫機の走行を制御する請求項1に記載の自動走行システム。
【請求項3】
前記中割走行情報に基づいて、前記中割走行のための走行経路または走行位置を表示する表示装置を備える請求項1または2に記載の自動走行システム。
【請求項4】
前記データ取得部は、前記収穫機とは別の作業車から前記圃場外形データを取得する請求項1から3の何れか一項に記載の自動走行システム。
【請求項5】
前記圃場外形データを格納する管理サーバを備え、
前記データ取得部は、前記管理サーバから前記圃場外形データを取得する請求項1から4の何れか一項に記載の自動走行システム。
【請求項6】
前記データ取得部により取得された前記圃場外形データに基づいて、圃場の外形が、圃場の外周側から内周側に向かって凹入する凹入部を有する形状であるか否かを判定する外形判定部を備え、
前記外形判定部により圃場の外形が前記凹入部を有する形状であると判定された場合、前記第1走行情報生成部は、前記中割走行のための走行経路または走行位置に前記凹入部の頂点部分が含まれるように前記第1走行情報を生成する請求項1から5の何れか一項に記載の自動走行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の農作物を収穫する収穫機の自動走行を管理する自動走行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような自動走行システムとして、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この自動走行システムを利用した収穫作業において、作業者は、収穫作業の最初に収穫機(特許文献1では「コンバイン」)を手動で操作し、圃場内の外周部分を一周するように収穫走行を行う。
【0003】
この外周部分での走行において、収穫機の走行すべき方位が記録される。そして、記録された方位に基づく自動走行によって、圃場における未刈領域での収穫走行が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−107911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の自動走行システムにおいて、圃場内の外周部分を周回走行することにより収穫済みとなった領域を第1領域として設定し、圃場内の内周部分を第2領域として設定することが考えられる。この場合、第2領域は、第1領域の内側に位置することとなる。
【0006】
この構成においては、第2領域の外形を、圃場内の外周部分を周回走行する間の収穫機の走行軌跡に基づいて算出することが考えられる。そして、算出された第2領域の外形に基づいて第2領域における走行経路を算出すると共に、算出された走行経路に基づいて収穫機を自動走行させれば、第2領域における収穫走行を自動走行によって行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、圃場の外形が比較的複雑である場合、圃場内の外周部分を周回走行する間の収穫機の走行軌跡が複雑になりがちである。そして、圃場内の外周部分を周回走行する間の収穫機の走行軌跡が複雑であると、第2領域の外形の算出精度が低くなりがちである。
【0008】
第2領域の外形の算出精度が低い場合、第2領域における自動走行のための走行経路を適切に算出することが困難となる。これにより、第2領域における収穫走行が非効率的となることや、刈り残しが生じること等が想定される。
【0009】
本発明の目的は、圃場内の内周部分における自動走行を適切に行いやすい自動走行システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、
圃場における外周部分での収穫走行を含む第1収穫走行と、前記第1収穫走行の後に行われる第2収穫走行と、によって圃場の農作物を収穫する収穫機の自動走行を管理する自動走行システムであって、
前記第1収穫走行により収穫済みとなった領域である第1領域の内側を第2領域として設定する領域設定部と、
前記領域設定部により設定された前記第2領域における走行経路である内周走行経路を算出する内周走行経路算出部と、
前記内周走行経路に基づいた自動走行によって前記第2収穫走行が行われるように前記収穫機の走行を制御する走行制御部と、
圃場の外形を示すデータである圃場外形データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により取得された前記圃場外形データに基づいて、前記第1収穫走行のための走行経路または走行位置を示す情報である第1走行情報を生成する第1走行情報生成部と、を備え、
前記第1走行情報生成部により生成される前記第1走行情報に、中割走行のための走行経路または走行位置を示す情報である中割走行情報が含まれていることにある。
【0011】
本発明であれば、データ取得部により取得された圃場外形データに基づいて、第1走行情報が生成される。そして、第1走行情報には、中割走行のための走行経路または走行位置を示す情報である中割走行情報が含まれている。
【0012】
即ち、本発明であれば、圃場の外形に応じて中割走行情報が生成されることとなる。従って、圃場の外形が比較的複雑であっても、第1収穫走行における収穫機の走行軌跡が単純になるように、中割走行のための走行経路または走行位置が算出される構成を実現できる。これにより、第2領域の外形を精度良く算出すると共に、内周走行経路を適切に算出することができる。そして、算出された内周走行経路に基づいて、圃場内の内周部分における自動走行を適切に行うことができる。
【0013】
従って、本発明であれば、圃場内の内周部分における自動走行を適切に行いやすい。
【0014】
さらに、本発明において、
前記走行制御部は、前記第1収穫走行において、自動走行によって前記中割走行が行われるように、前記中割走行情報に基づいて前記収穫機の走行を制御すると好適である。
【0015】
手動走行によって中割走行が行われる場合、中割走行情報により示される中割走行のための走行経路または走行位置と、実際の走行経路または走行位置と、がずれてしまう可能性がある。
【0016】
ここで、上記の構成によれば、自動走行によって中割走行が行われる。従って、中割走行情報により示される中割走行のための走行経路または走行位置と、実際の走行経路または走行位置と、がずれてしまう事態を回避しやすい。
【0017】
さらに、本発明において、
前記中割走行情報に基づいて、前記中割走行のための走行経路または走行位置を表示する表示装置を備えると好適である。
【0018】
この構成によれば、自動走行によって中割走行が行われる場合、作業者は、中割走行の行われる予定の走行経路または走行位置を把握することができる。そのため、自動走行によって中割走行が行われているときに、中割走行が予定通り適切に行われているか否かを確認することが可能となる。
【0019】
また、手動走行によって中割走行が行われる場合、作業者は、表示装置の表示に従って中割走行を行うことにより、適切な中割走行を行うことができる。
【0020】
さらに、本発明において、
前記データ取得部は、前記収穫機とは別の作業車から前記圃場外形データを取得すると好適である。
【0021】
収穫機とは別の作業車に、圃場の外形を算出する機能が備えられている場合、その作業車は、圃場外形データを生成することができる。
【0022】
ここで、上記の構成によれば、データ取得部は、収穫機とは別の作業車によって生成された圃場外形データを取得することができる。これにより、収穫機とは別の作業車によって生成された圃場外形データを有効利用することが可能となる。
【0023】
さらに、本発明において、
前記圃場外形データを格納する管理サーバを備え、
前記データ取得部は、前記管理サーバから前記圃場外形データを取得すると好適である。
【0024】
この構成によれば、圃場外形データが管理サーバに格納される。従って、圃場の外形を一度だけ算出し、その算出結果を圃場外形データとして管理サーバに格納しておけば、その圃場外形データを繰り返し利用することが可能となる。即ち、収穫作業の度に圃場の外形を算出する必要が生じることを回避できる。
【0025】
さらに、本発明において、
前記データ取得部により取得された前記圃場外形データに基づいて、圃場の外形が、圃場の外周側から内周側に向かって凹入する凹入部を有する形状であるか否かを判定する外形判定部を備え、
前記外形判定部により圃場の外形が前記凹入部を有する形状であると判定された場合、前記第1走行情報生成部は、前記中割走行のための走行経路または走行位置に前記凹入部の頂点部分が含まれるように前記第1走行情報を生成すると好適である。
【0026】
圃場の外形が凹入部を有する形状である場合、収穫機が圃場内の外周部分を周回走行する際に、凹入部の全長に亘って圃場の境界線に沿って走行すると、収穫機の走行軌跡が複雑になりがちである。
【0027】
ここで、上記の構成によれば、圃場の外形が凹入部を有する形状である場合、中割走行のための走行経路または走行位置に凹入部の頂点部分が含まれる。従って、上記の構成において生成された第1走行情報に基づいて収穫機が走行すれば、収穫機が圃場内の外周部分を、圃場の境界線に沿って収穫走行し、凹入部の頂点部分に到達すると、その地点から中割走行が行われることとなる。
【0028】
これにより、収穫機が圃場内の外周部分を周回走行する際に、凹入部の全長に亘って圃場の境界線に沿って走行することにより収穫機の走行軌跡が複雑になる事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】自動走行システムの全体図である。
図2】コンバインの左側面図である。
図3】自動走行システムの構成を示すブロック図である。
図4】第1穀物圃場における1回目の第1収穫走行を示す図である。
図5】1回目の第1収穫走行後の第1穀物圃場を示す図である。
図6】第1穀物圃場における1回目の第2収穫走行を示す図である。
図7】第1穀物圃場における2回目の第1収穫走行を示す図である。
図8】2回目の第1収穫走行後の第1穀物圃場を示す図である。
図9】第1穀物圃場における2回目の第2収穫走行を示す図である。
図10】第1穀物圃場での収穫作業における通信端末の表示内容を示す図である。
図11】第2穀物圃場における第1収穫走行を示す図である。
図12】第1収穫走行後の第2穀物圃場を示す図である。
図13】第2穀物圃場での収穫作業における通信端末の表示内容を示す図である。
図14】第1別実施形態における第1穀物圃場での収穫作業における通信端末の表示内容を示す図である。
図15】第1別実施形態における第2穀物圃場での収穫作業における通信端末の表示内容を示す図である。
図16】第2別実施形態における第1穀物圃場での収穫作業における通信端末の表示内容を示す図である。
図17】第2別実施形態における第2穀物圃場での収穫作業における通信端末の表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図2に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図2に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0031】
〔自動走行システムの全体構成〕
図1に示すように、自動走行システムAは、種々の作業車Wと、管理サーバ2と、を備えている。種々の作業車Wと管理サーバ2とは、互いに通信可能に構成されている。
【0032】
図1に示すように、種々の作業車Wには、普通型のコンバイン1(本発明に係る「収穫機」に相当)、トラクタ5、田植機6が含まれている。
【0033】
〔コンバインの全体構成〕
図2に示すように、コンバイン1は、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、収穫装置H、搬送装置16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。
【0034】
図2に示すように、走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
【0035】
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視する作業者が搭乗可能である。尚、作業者は、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
【0036】
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
【0037】
収穫装置Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送装置16は、収穫装置Hの後側に設けられている。また、収穫装置Hは、刈取部15及びリール17を有している。
【0038】
刈取部15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。この構成により、収穫装置Hは、圃場の穀物(本発明に係る「農作物」に相当)を収穫する。そして、コンバイン1は、収穫装置Hによって圃場の穀物を収穫しながら走行装置11によって走行する収穫走行が可能である。
【0039】
刈取部15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
【0040】
また、図2に示すように、運転部12には、通信端末4(本発明に係る「表示装置」に相当)が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
【0041】
〔制御部に関する構成〕
図3に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。そして、制御部20は、データ取得部21、外形判定部22、自車位置算出部23、領域設定部24、内周走行経路算出部25、走行制御部26、第1走行情報生成部27を有している。
【0042】
コンバイン1は、図4に示すような第1収穫走行と、図6に示すような第2収穫走行と、によって圃場の穀物を収穫するように構成されている。第1収穫走行は、圃場における外周部分Qでの収穫走行を含んでいる。また、第2収穫走行は、第1収穫走行の後に行われる。尚、図4では、第1穀物圃場G1(本発明に係る「圃場」に相当)の外周部分Qが示されている。
【0043】
本実施形態において、走行制御部26は、自動走行によって第1収穫走行及び第2収穫走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。そして、自動走行システムAは、コンバイン1の自動走行を管理する。
【0044】
このように、自動走行システムAは、圃場における外周部分Qでの収穫走行を含む第1収穫走行と、第1収穫走行の後に行われる第2収穫走行と、によって圃場の農作物を収穫するコンバイン1の自動走行を管理する。
【0045】
図3に示すように、データ取得部21は、管理サーバ2、トラクタ5、田植機6と互いに通信可能に構成されている。管理サーバ2には、圃場外形データが格納されている。圃場外形データとは、圃場の外形を示すデータである。また、トラクタ5及び田植機6は、圃場外形データを生成可能に構成されている。
【0046】
そして、データ取得部21は、管理サーバ2、トラクタ5、田植機6から圃場外形データを取得するように構成されている。
【0047】
このように、自動走行システムAは、圃場の外形を示すデータである圃場外形データを取得するデータ取得部21を備えている。また、自動走行システムAは、圃場外形データを格納する管理サーバ2を備えている。そして、データ取得部21は、コンバイン1とは別の作業車Wから圃場外形データを取得する。また、データ取得部21は、管理サーバ2から圃場外形データを取得する。
【0048】
データ取得部21により取得された圃場外形データは、外形判定部22及び第1走行情報生成部27へ送られる。
【0049】
外形判定部22は、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、圃場の外形が、凹入部Pを有する形状であるか否かを判定する。尚、凹入部Pとは、圃場の外形において、圃場の外周側から内周側に向かって凹入する部分である。例えば、図4に示す第1穀物圃場G1の外形は、凹入部Pを有する形状である。
【0050】
外形判定部22による判定結果は、第1走行情報生成部27へ送られる。
【0051】
このように、自動走行システムAは、データ取得部21により取得された圃場外形データに基づいて、圃場の外形が、圃場の外周側から内周側に向かって凹入する凹入部Pを有する形状であるか否かを判定する外形判定部22を備えている。
【0052】
また、図2に示すように、衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号を受信する。そして、図3に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、測位データを自車位置算出部23へ送る。
【0053】
自車位置算出部23は、衛星測位モジュール80から受け取った測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。図3に示すように、経時的に算出されたコンバイン1の位置座標は、領域設定部24、走行制御部26、第1走行情報生成部27へ送られる。
【0054】
領域設定部24は、自車位置算出部23から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、第1領域R1の内側を第2領域R2として設定するように構成されている。第1領域R1とは、第1収穫走行により収穫済みとなった領域である。
【0055】
より具体的には、領域設定部24は、自車位置算出部23から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、第1収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡を算出する。さらに、領域設定部24は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、第1領域R1を算出する。そして、領域設定部24は、算出された第1領域R1に基づいて、第2領域R2を算出する。この方法により、領域設定部24は、第2領域R2を設定する。
【0056】
例えば、図4においては、第1穀物圃場G1での第1収穫走行のためのコンバイン1の走行経路である第1走行経路FLが矢印で示されている。この第1走行経路FLに沿った第1収穫走行が完了すると、第1穀物圃場G1は、図5に示す状態となる。即ち、第1収穫走行によって収穫済みとなった領域が第1領域R1となる。そして、領域設定部24によって、第1領域R1の内側が第2領域R2として設定される。
【0057】
このように、自動走行システムAは、第1収穫走行により収穫済みとなった領域である第1領域R1の内側を第2領域R2として設定する領域設定部24を備えている。
【0058】
領域設定部24による設定内容は、内周走行経路算出部25へ送られる。
【0059】
内周走行経路算出部25は、領域設定部24から受け取った設定内容に基づいて、内周走行経路LIを算出する。内周走行経路LIとは、第2領域R2における走行経路である。
【0060】
より具体的には、領域設定部24は、第1収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡に基づいて、第2領域R2の外形を算出する。即ち、領域設定部24による設定内容には、第2領域R2の外形が含まれている。そして、内周走行経路算出部25は、第2領域R2の外形に基づいて、内周走行経路LIを算出する。
【0061】
例えば、図5に示すように第2領域R2が設定された場合、内周走行経路算出部25は、図6に示すように、内周走行経路LIを算出する。尚、図6に示すように、本実施形態においては、内周走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線である。
【0062】
内周走行経路算出部25により算出された内周走行経路LIは、走行制御部26へ送られる。
【0063】
このように、自動走行システムAは、領域設定部24により設定された第2領域R2における走行経路である内周走行経路LIを算出する内周走行経路算出部25を備えている。
【0064】
コンバイン1が第2収穫走行を行う際、走行制御部26は、自車位置算出部23から受け取ったコンバイン1の位置座標と、内周走行経路算出部25から受け取った内周走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部26は、内周走行経路LIに沿ってコンバイン1が自動走行するように、コンバイン1の走行を制御する。
【0065】
このように、自動走行システムAは、内周走行経路LIに基づいた自動走行によって第2収穫走行が行われるようにコンバイン1の走行を制御する走行制御部26を備えている。
【0066】
第1走行情報生成部27は、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、第1走行情報を生成する。第1走行情報とは、第1収穫走行のための走行経路または走行位置を示す情報である。
【0067】
そして、第1走行情報生成部27により生成される第1走行情報には、中割走行情報が含まれている。中割走行情報とは、中割走行のための走行経路または走行位置を示す情報である。中割走行とは、圃場における未刈領域を分割するように行われる収穫走行である。
【0068】
例えば、図4においては、第1穀物圃場G1での第1収穫走行のためのコンバイン1の走行経路である第1走行経路FLが矢印で示されている。第1穀物圃場G1での収穫作業において、第1走行情報生成部27は、第1走行経路FLを示す情報を生成する。図4に示すように、第1走行経路FLは、図4において右下に位置する地点から反時計周りに3周する走行経路である。即ち、本実施形態においては、第1走行情報生成部27は、第1収穫走行のための走行経路である第1走行経路FLを示す情報を生成する。
【0069】
そして、図4に示すように、第1走行経路FLには、中割走行のための走行経路である3本の中割経路LMが含まれている。即ち、第1穀物圃場G1での収穫作業において第1走行情報生成部27により生成される第1走行情報には、中割経路LMを示す情報が含まれている。コンバイン1が中割経路LMに沿って収穫走行することにより、第1穀物圃場G1における未刈領域は2つに分割されることとなる。
【0070】
このように、自動走行システムAは、データ取得部21により取得された圃場外形データに基づいて、第1収穫走行のための走行経路または走行位置を示す情報である第1走行情報を生成する第1走行情報生成部27を備えている。また、第1走行情報生成部27により生成される第1走行情報に、中割走行のための走行経路または走行位置を示す情報である中割走行情報が含まれている。
【0071】
また、外形判定部22により圃場の外形が凹入部Pを有する形状であると判定された場合、第1走行情報生成部27は、中割走行のための走行経路または走行位置に凹入部Pの頂点部分Ptが含まれるように第1走行情報を生成する。
【0072】
例えば、上述の通り、図4に示す第1穀物圃場G1の外形は、凹入部Pを有する形状である。そのため、第1穀物圃場G1での収穫作業においては、外形判定部22により、第1穀物圃場G1の外形が凹入部Pを有する形状であると判定される。そして、外形判定部22による判定結果は、第1走行情報生成部27へ送られる。
【0073】
この判定結果を受け取った第1走行情報生成部27は、中割走行のための走行経路または走行位置に凹入部Pの頂点部分Ptが含まれるように第1走行情報を生成する。実際に、図4に示す中割経路LMには、凹入部Pの頂点部分Ptが含まれている。
【0074】
第1走行情報生成部27により生成された第1走行情報は、走行制御部26及び通信端末4へ送られる。
【0075】
コンバイン1が第1収穫走行を行う際、走行制御部26は、自車位置算出部23から受け取ったコンバイン1の位置座標と、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報と、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部26は、第1走行情報により示される走行経路または走行位置を通ってコンバイン1が自動走行するように、コンバイン1の走行を制御する。
【0076】
このとき、特に、走行制御部26は、第1収穫走行において、自動走行によって中割走行が行われるように、中割走行情報に基づいてコンバイン1の走行を制御する。
【0077】
例えば、コンバイン1が図4に示す第1穀物圃場G1において第1収穫走行を行う際、走行制御部26は、第1走行経路FLに沿ってコンバイン1が自動走行するように、コンバイン1の走行を制御する。
【0078】
このとき、特に、走行制御部26は、中割経路LMに沿った収穫走行が自動走行によって行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
【0079】
通信端末4は、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報に基づいて、第1収穫走行のための走行経路または走行位置を表示するように構成されている。このとき、特に、通信端末4は、第1走行情報に含まれている中割走行情報に基づいて、中割走行のための走行経路または走行位置を表示する。
【0080】
例えば、コンバイン1が図4に示す第1穀物圃場G1において第1収穫走行を行う際、通信端末4は、図10に示すように、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される第1走行経路FLを表示する。このとき、特に、通信端末4は、第1走行情報に含まれている中割走行情報に基づいて、中割経路LMを表示する。
【0081】
このように、自動走行システムAは、中割走行情報に基づいて、中割走行のための走行経路または走行位置を表示する通信端末4を備える。
【0082】
〔圃場の外形が凹入部を有する形状である場合の収穫作業の流れ〕
以下では、自動走行システムAを利用した収穫作業の例として、コンバイン1が、図4に示す第1穀物圃場G1で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
【0083】
最初に、データ取得部21が、管理サーバ2、トラクタ5、田植機6の何れかから圃場外形データを取得する。データ取得部21により取得された圃場外形データは、外形判定部22及び第1走行情報生成部27へ送られる。
【0084】
次に、外形判定部22が、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、第1穀物圃場G1の外形が凹入部Pを有する形状であるか否かを判定する。図4に示すように、第1穀物圃場G1の外形は、凹入部Pを有する形状である。そのため、外形判定部22により、第1穀物圃場G1の外形が凹入部Pを有する形状であると判定される。この判定結果は、第1走行情報生成部27へ送られる。
【0085】
この判定結果を受け取った第1走行情報生成部27は、図4に示すように、第1走行経路FLを示す第1走行情報を生成する。第1走行経路FLは、図4において右下に位置する地点から反時計周りに3周する走行経路である。また、図4に示すように、第1走行経路FLには、中割走行のための走行経路である3本の中割経路LMが含まれている。そして、第1穀物圃場G1の外形が凹入部Pを有する形状であるため、中割経路LMには、凹入部Pの頂点部分Ptが含まれている。
【0086】
尚、図4に示すように、このとき生成される第1走行情報により示される第1走行経路FLにおいて、中割経路LM以外の部分は、第1穀物圃場G1における外周部分Qを通っている。
【0087】
次に、第1走行情報生成部27により生成された第1走行情報が、走行制御部26及び通信端末4へ送られる。そして、通信端末4は、図10に示すように、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される第1走行経路FLを表示する。
【0088】
また、走行制御部26が第1走行情報を受け取ると、コンバイン1の自動走行が開始される。コンバイン1は、第1走行経路FLに沿って自動走行するように、走行制御部26によって制御される。この自動走行により、第1収穫走行が行われる。
【0089】
第1収穫走行が完了すると、図5に示すように、第1収穫走行が行われた部分が収穫済みとなる。また、この収穫済みの領域の内側の領域は、未刈のまま残されている。また、図4及び図5に示すように、コンバイン1が中割経路LMに沿って収穫走行することにより、第1穀物圃場G1における未刈領域は2つに分割されている。
【0090】
領域設定部24は、第1収穫走行におけるコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、第1収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡を算出する。さらに、領域設定部24は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、第1収穫走行により収穫済みとなった領域を、第1領域R1として算出する。そして、領域設定部24は、算出された第1領域R1の内側を、第2領域R2として算出する。この方法により、領域設定部24は、第2領域R2を設定する。
【0091】
そして、領域設定部24による設定内容は、内周走行経路算出部25へ送られる。領域設定部24による設定内容には、第2領域R2の外形が含まれている。そして、内周走行経路算出部25は、第2領域R2の外形に基づいて、図6に示すように、内周走行経路LIを算出する。このとき算出される内周走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線である。
【0092】
内周走行経路算出部25により算出された内周走行経路LIは、走行制御部26へ送られる。走行制御部26が内周走行経路LIを受け取ると、コンバイン1は、図6に示す内周走行経路LIに沿って自動走行するように、走行制御部26によって制御される。この自動走行により、第2収穫走行が行われる。そして、この第2収穫走行が完了すると、第1穀物圃場G1は、図7に示す状態となる。
【0093】
第1走行情報生成部27は、図4から図6において示した第1収穫走行及び第2収穫走行におけるコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図4から図6において示した第1収穫走行及び第2収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡を算出する。さらに、第1走行情報生成部27は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、図7の時点で収穫済みである領域を算出する。
【0094】
そして、このように算出された収穫済みである領域と、圃場外形データと、に基づいて、第1走行情報生成部27は、図7の時点での未刈領域を算出する。さらに、第1走行情報生成部27は、算出された未刈領域に基づいて、図7に矢印で示す第1走行経路FLを示す第1走行情報を生成する。このとき生成される第1走行経路FLは、図7に示すように、未刈領域において、図7の右上に位置する地点から反時計周りに3周する走行経路である。
【0095】
尚、図7に示すように、このとき生成される第1走行情報により示される第1走行経路FLにおいて、収穫済みの領域に接する部分以外は、第1穀物圃場G1における外周部分Qを通っている。
【0096】
そして、この第1走行情報は、走行制御部26及び通信端末4へ送られる。そして、通信端末4は、再び、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される第1走行経路FLを表示する(図示せず)。
【0097】
また、コンバイン1は、図7に示す第1走行経路FLに沿って自動走行するように、走行制御部26によって制御される。この自動走行により、2回目の第1収穫走行が行われる。
【0098】
2回目の第1収穫走行が完了すると、図8に示すように、2回目の第1収穫走行が行われた部分が収穫済みとなる。また、この収穫済みの領域の内側の領域は、未刈のまま残されている。
【0099】
1回目の第1収穫走行と同様に、領域設定部24は、図8に示すように、第1領域R1及び第2領域R2を設定する。そして、内周走行経路算出部25は、図8に示す第2領域R2の外形に基づいて、図9に示すように、内周走行経路LIを算出する。このとき算出される内周走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線である。
【0100】
そして、1回目の第2収穫走行と同様に、コンバイン1は、図9に示す内周走行経路LIに沿って自動走行するように、走行制御部26によって制御される。この自動走行により、2回目の第2収穫走行が行われる。そして、この第2収穫走行が完了すると、第1穀物圃場G1の全体が収穫済みとなる。
【0101】
〔圃場の外形が凹入部を有する形状でない場合の収穫作業の流れ〕
以下では、自動走行システムAを利用した収穫作業の例として、コンバイン1が、図11に示す第2穀物圃場G2(本発明に係る「圃場」に相当)で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
【0102】
最初に、データ取得部21が、管理サーバ2、トラクタ5、田植機6の何れかから圃場外形データを取得する。データ取得部21により取得された圃場外形データは、外形判定部22及び第1走行情報生成部27へ送られる。
【0103】
次に、外形判定部22が、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、第2穀物圃場G2の外形が凹入部Pを有する形状であるか否かを判定する。図11に示すように、第2穀物圃場G2の外形は、凹入部Pを有する形状でない。そのため、外形判定部22により、第2穀物圃場G2の外形が凹入部Pを有する形状でないと判定される。この判定結果は、第1走行情報生成部27へ送られる。
【0104】
この判定結果を受け取った第1走行情報生成部27は、図11に矢印で示す第1走行経路FLを示す第1走行情報を生成する。図11に示すように、第1走行経路FLは、図11おいて右下に位置する地点から第2穀物圃場G2の外形に沿って反時計周りに3周する走行経路と、中割経路LMと、を含んでいる。図11に示すように、中割経路LMは、第2穀物圃場G2の中央部分において、図11における上下方向に延びている。
【0105】
尚、図11に示すように、このとき生成される第1走行情報により示される第1走行経路FLにおいて、中割経路LM以外の部分は、第2穀物圃場G2における外周部分Qを通っている。
【0106】
次に、第1走行情報生成部27により生成された第1走行情報が、走行制御部26及び通信端末4へ送られる。そして、通信端末4は、図13に示すように、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される第1走行経路FLを表示する。
【0107】
また、走行制御部26が第1走行情報を受け取ると、コンバイン1の自動走行が開始される。コンバイン1は、図11に示す第1走行経路FLに沿って自動走行するように、走行制御部26によって制御される。この自動走行により、第1収穫走行が行われる。
【0108】
第1収穫走行が完了すると、図12に示すように、第1収穫走行が行われた部分が収穫済みとなる。また、この収穫済みの領域の内側の領域は、未刈のまま残されている。また、図11及び図12に示すように、コンバイン1が中割経路LMに沿って収穫走行することにより、第2穀物圃場G2における未刈領域は2つに分割されている。
【0109】
領域設定部24は、第1収穫走行におけるコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、第1収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡を算出する。さらに、領域設定部24は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、第1収穫走行により収穫済みとなった領域を、第1領域R1として算出する。そして、領域設定部24は、算出された第1領域R1の内側を、第2領域R2として算出する。この方法により、領域設定部24は、第2領域R2を設定する。
【0110】
尚、図12に示すように、この例においては、第1領域R1により囲まれる領域が2つ存在する。そのため、領域設定部24は、2つの第2領域R2を設定する。
【0111】
その後、2つの第2領域R2のそれぞれにおいて、図6及び図9に基づいて説明したように、内周走行経路LIが算出されると共に、自動走行により第2収穫走行が行われる。そして、第2収穫走行が完了すると、第2穀物圃場G2の全体が収穫済みとなる。
【0112】
内周走行経路LIの算出、及び、自動走行による第2収穫走行については、図6及び図9に基づいて既に説明しているため、ここでは説明を割愛する。
【0113】
尚、図10及び図13においては、外周部分Qが示されている。実際の通信端末4においては、このように外周部分Qが表示されていても良いし、表示されていなくても良い。
【0114】
以上で説明した構成であれば、データ取得部21により取得された圃場外形データに基づいて、第1走行情報が生成される。そして、第1走行情報には、中割走行のための走行経路または走行位置を示す情報である中割走行情報が含まれている。
【0115】
即ち、以上で説明した構成であれば、圃場の外形に応じて中割走行情報が生成されることとなる。従って、圃場の外形が比較的複雑であっても、第1収穫走行におけるコンバイン1の走行軌跡が単純になるように、中割走行のための走行経路または走行位置が算出される構成を実現できる。これにより、第2領域R2の外形を精度良く算出すると共に、内周走行経路LIを適切に算出することができる。そして、算出された内周走行経路LIに基づいて、圃場内の内周部分における自動走行を適切に行うことができる。
【0116】
従って、以上で説明した構成であれば、圃場内の内周部分における自動走行を適切に行いやすい。
【0117】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、第1走行情報生成部27は、第1走行情報として、第1収穫走行のための走行経路である第1走行経路FLを示す情報を生成する。そして、第1走行経路FLには、中割経路LMが含まれている。即ち、第1走行情報生成部27により生成される第1走行情報には、中割経路LMを示す情報が含まれている。
【0118】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0119】
図14及び図15は、本発明に係る第1別実施形態における通信端末4を示す図である。この第1別実施形態において、第1走行情報生成部27は、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、中割箇所PMを示す情報を生成する。
【0120】
中割箇所PMは、中割走行のための走行位置である。即ち、中割箇所PMを示す情報は、本発明に係る「中割走行情報」に相当する。
【0121】
また、この第1別実施形態においては、第1走行情報として、中割箇所PMを示す情報のみが生成される。即ち、この第1別実施形態においては、第1走行情報と中割走行情報とが同一である。このように、本発明に係る「第1走行情報」は、「中割走行情報」と同一であっても良い。
【0122】
そして、図14及び図15に示すように、通信端末4は、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される走行位置を表示する。より具体的には、通信端末4は、中割箇所PMを三角形のシンボルにより表示する。
【0123】
尚、図14に示されている圃場は、上述の第1穀物圃場G1である。また、図15に示されている圃場は、上述の第2穀物圃場G2である。
【0124】
図14に示すように、圃場の外形が凹入部Pを有する形状である場合、第1走行情報生成部27は、中割箇所PMが凹入部Pの頂点部分Ptに位置するように、第1走行情報を生成する。また、図15に示すように、圃場の外形が凹入部Pを有する形状でない場合、第1走行情報生成部27は、中割箇所PMが圃場の中央部分に位置するように、第1走行情報を生成する。
【0125】
この第1別実施形態において、作業者が、通信端末4に表示される中割箇所PMに従って手動走行により中割走行を行うと共に、圃場における外周部分Qでの収穫走行を手動走行により行えば、上記実施形態と同様に、第1収穫走行が完了する。そして、上記実施形態において説明したように、内周走行経路LIが算出されると共に、自動走行により第2収穫走行が行われる。そして、第1収穫走行及び第2収穫走行を、必要な回数だけ行うことにより、圃場の全体が収穫済みとなる。
【0126】
尚、中割走行及び圃場における外周部分Qでの収穫走行は、自動走行により行われても良い。
【0127】
また、図14及び図15においては、外周部分Qが示されている。実際の通信端末4においては、このように外周部分Qが表示されていても良いし、表示されていなくても良い。
【0128】
〔第2別実施形態〕
上記実施形態においては、第1走行情報生成部27は、第1走行情報として、第1収穫走行のための走行経路を示す情報を生成する。そして、第1走行情報生成部27により生成される第1走行情報には、中割経路LMを示す情報が含まれている。
【0129】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第2別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0130】
図16及び図17は、本発明に係る第2別実施形態における通信端末4を示す図である。この第2別実施形態において、第1走行情報生成部27は、データ取得部21から受け取った圃場外形データに基づいて、帯状の第1走行領域FRを示す情報を生成する。
【0131】
尚、図16に示されている圃場は、上述の第1穀物圃場G1である。また、図17に示されている圃場は、上述の第2穀物圃場G2である。
【0132】
図16及び図17において、第1走行領域FRは、斜線のハッチングにより示されている。
【0133】
第1走行領域FRは、第1収穫走行のための走行位置である。即ち、第1走行領域FRを示す情報は、本発明に係る「第1走行情報」に相当する。図16に示すように、第1走行領域FRは、第1穀物圃場G1における外周部分Qと重複している。また、図17に示すように、第1走行領域FRは、第2穀物圃場G2における外周部分Qと重複している。
【0134】
また、図16及び図17に示すように、第1走行領域FRには、中割走行のための走行位置である中割領域RMが含まれている。即ち、この第2別実施形態において、第1走行情報生成部27により生成される第1走行情報には、中割領域RMを示す情報が含まれている。また、中割領域RMは、本発明に係る「中割走行情報」に相当する。
【0135】
そして、図16及び図17に示すように、通信端末4は、第1走行情報生成部27から受け取った第1走行情報により示される走行位置を表示する。より具体的には、通信端末4は、中割領域RMを含む第1走行領域FRを、帯状の図形により表示する。
【0136】
図16に示すように、圃場の外形が凹入部Pを有する形状である場合、第1走行情報生成部27は、中割領域RMに凹入部Pの頂点部分Ptが含まれるように、第1走行情報を生成する。また、図17に示すように、圃場の外形が凹入部Pを有する形状でない場合、第1走行情報生成部27は、中割領域RMが圃場の中央部分に位置するように、第1走行情報を生成する。
【0137】
この第2別実施形態において、作業者が、通信端末4に表示される第1走行領域FRに従って手動走行により収穫作業を行えば、上記実施形態と同様に、圃場における外周部分Qでの収穫走行を含む第1収穫走行が完了する。そして、上記実施形態において説明したように、内周走行経路LIが算出されると共に、自動走行により第2収穫走行が行われる。そして、第1収穫走行及び第2収穫走行を、必要な回数だけ行うことにより、圃場の全体が収穫済みとなる。
【0138】
尚、第1走行領域FRでの収穫走行は、自動走行により行われても良い。
【0139】
また、図16及び図17においては、外周部分Qが示されている。実際の通信端末4においては、このように外周部分Qが表示されていても良いし、表示されていなくても良い。
【0140】
尚、以上に記載した各実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0141】
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
【0142】
(2)圃場外形データがコンバイン1の内部で生成されるように構成されていても良い。この場合、データ取得部21は、コンバイン1の内部で生成された圃場外形データを取得するように構成されていても良い。
【0143】
(3)コンバイン1による第1収穫走行は、手動走行によって行われても良い。
【0144】
(4)上記実施形態においては、内周走行経路算出部25により算出される内周走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線であるが、本発明はこれに限定されず、内周走行経路算出部25により算出される内周走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線でなくても良い。例えば、内周走行経路算出部25により算出される内周走行経路LIは、渦巻き状の走行経路であっても良い。
【0145】
(5)外形判定部22は設けられていなくても良い。
【0146】
(6)外形判定部22により圃場の外形が凹入部Pを有する形状であると判定された場合、第1走行情報生成部27は、中割走行のための走行経路または走行位置に凹入部Pの頂点部分Ptが含まれないように第1走行情報を生成しても良い。
【0147】
(7)自動走行システムAは、管理サーバ2を備えていなくても良い。
【0148】
(8)通信端末4は設けられていなくても良い。
【0149】
(9)データ取得部21、外形判定部22、自車位置算出部23、領域設定部24、内周走行経路算出部25、走行制御部26、第1走行情報生成部27のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、管理サーバ2に備えられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも利用可能である。また、トウモロコシ収穫機、ジャガイモ収穫機、ニンジン収穫機、サトウキビ収穫機等の種々の収穫機にも利用できる。
【符号の説明】
【0151】
1 コンバイン(収穫機)
2 管理サーバ
4 通信端末(表示装置)
21 データ取得部
22 外形判定部
24 領域設定部
25 内周走行経路算出部
26 走行制御部
27 第1走行情報生成部
A 自動走行システム
G1 第1穀物圃場(圃場)
G2 第2穀物圃場(圃場)
LI 内周走行経路
P 凹入部
Pt 頂点部分
Q 外周部分
R1 第1領域
R2 第2領域
W 作業車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17