(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧部は、その先端から前記折曲部にかけて、対向する前記位置決め部とは反対側に凸に屈曲されるとともに、前記押圧部の幅方向に延びる屈曲線を有する、請求項4に記載の管継手の継手方法。
前記押圧部は、その先端から前記折曲部にかけて、対向する前記位置決め部とは反対側に凸に屈曲されるとともに、前記押圧部の幅方向に延びる屈曲線を有する請求項10に記載の管継手。
前記押圧部材は、前記位置決め部及び前記押圧部の各切り欠きのU字状の底が前記第2管部材に近接又は当接した状態で、前記位置決め部及び前記押圧部の各先端の少なくとも一方が前記第4開口から突出した形状を有する、請求項13に記載の管継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の継手では、そのままでは上記のミニマルファブの半導体製造装置・製造ラインへの適用が難しい。
ミニマルファブの半導体製造装置・製造ラインにおいては、その個々の製造装置は幅294 mm×奥行き450 mm×高さ1440 mmというコンパクトな外形寸法に外観デザインを含めて規格統一が目指されており、操作画面などのユーザーインターフェース部も規格化され全装置で統一が図られている。そのため、ミニマルファブの半導体製造装置内の機器設置空間は極めて狭く、設置される機器は可能な限りのコンパクト化が要求され、且つ継手装着作業スペースは、十分確保できないという制約がある。そのため、確実なシール性を確保して小型化と狭い作業空間での作業性の更なる改良が望まれる。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的とするところは、確実なシ−ル性を確保できる上に、従来に比べ、小型化・狭い作業空間での作業性が飛躍的に改善された管継手用の部品を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、施工性及びシール性の双方に優れ、ミニマルファブ用の製造装置への適用に優れた管継手用の部品を提供することである。
本発明の更に別の目的は、上記菅継手部品を備えた流体制御器、流体制御装置、及び半導体製造装置を提供することにある。
本発明のもう一つ別な目的は、上記継手を使用して流体用機器を装置本体に付設する流体用機器の付設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の管継手の製造方法は、
第1フランジ部を有する中空の第1管部材と、
第2フランジ部を有する中空の第2管部材と、
前記第1管部材と前記第2管部材とを前記第1、2のフランジ部によりシール部を形成して接続するための筐体と、
を備えた管継手の継手方法において、
前記第2フランジ部を前記第1フランジ部に向けて押圧するための板状の押圧部材と、
第1開口を有する第1端壁、該第1端壁と対向するとともに第2開口を有する第2端壁、及び前記第1端壁と前記第2端壁の間にあり第3開口を有する第1側壁を有し、内部に前記第1開口と前記第2開口とに連通するフランジ収容空間(1)と該フランジ収容空間
(1)に連通し前記押圧部材を収容する収容空間(2)とを備え、前記第1管部材が前記第2開口から前記第1開口に向けて挿通することで前記第1フランジ部を前記フランジ
収容空間
(1)に係止されている筐体と、
を用意し、
前記第2管部材を前記第2フランジ部から前記第2開口に挿通することで前記第2フランジ部を前記第1フランジ部に当接させた状態を形成し、
前記押圧部材を前記第3開口から挿入して前記
収容空間(2)に収容することで前記第2フランジ部を前記第1フランジ部に向けて押圧して前記第1フランジ部と前記第2フランジ部をシールするシール部を形成する継手方法で形成される。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明の管継
手は、
一端に第1フランジ部を有する第1管部材と、
一端に第2フランジ部を有する第2管部材と、
前記第1管部材と前記第2管部材とを前記第1、2のフランジ部によりシール部を形成して接続するための筐体と押圧部材と、
を備えた管継手に使用される管継
手であって、
前記筐体が、第1開口を有する第1端壁、該第1端壁と対向するとともに第2開口を有する第2端壁、及び前記第1端壁と前記第2端壁の間にあり第3開口を有する第1側壁を有し、内部に前記第1開口と前記第2開口とに連通するフランジ収容空間(1)と該フランジ収容空間
(1)に連通し前記押圧部材を収容する収容空間(2)とを備えており、
前記押圧部材が板状で弾性を備えており、
前記第1管部材は、前記第2開口から前記第1開口に向けて挿通されると前記第1フランジ部を前記フランジ収容空間
(1)に係止され、
前記第2管部材は、前記第2フランジ部から前記第2開口に挿通されると前記第2フランジ部を前記第1フランジ部に当接させた状態が形成されるとともに、前記押圧部材が前記第3開口から挿入されて前記
収容空間(2)に収容されると、前記第2フランジ部は前記第1フランジ部に向けて押圧されて前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間をシールするシール部が形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、確実なシ−ル性を確保できる上に、従来に比べ、小型化・狭い作業空間での作業性が飛躍的に改善された管継手用の部品を提供することができる。
また、施工性及びシール性の双方に優れ、ミニマルファブ用の製造装置への適用に優れた管継手用の部品を提供することができる。
また、上記菅継手部品を備えた流体制御器、流体制御装置、及び半導体製造装置を提供することができる。
【0011】
また、上記継手を使用して流体用機器を装置本体に付設する流体用機器の付設方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態に係る管継手について説明する。
図1に示すように、管継手1は、流体通路2を形成する第1管部材4及び第2管部材6と、第1及び第2管部材4、6を収容して結合するための筐体8とを有している。第1及び第2管部材4、6、及び筐体8は何れも金属製である。第1及び第2管部材4、6は、それぞれ管継手1における外端(他端)4a、6aを形成している。
【0014】
図2は、管継手1が使用される流体制御器100、流体制御器100を備える流体制御装置102、流体制御装置102を備える半導体製造装置104の概略図である。半導体製造装置104は、例えばCVD装置であり、ガス供給手段である流体制御装置102、真空チャンバ106、排気手段108などを有し、後述するウエハ120上に不動態膜(酸化膜)を形成する。
【0015】
本実施形態においては、以後、流体制御器100は、圧力計112、開閉弁114、116、118、130、MFC(マスフローコントローラ)1〜4等、半導体制御装置104を構成する機器であり流体の制御に関連する機器の総称、或いは個々の機器の上位の意味で使用されることがある。
流体制御装置102は、ガス供給源110から供給されたガスを、流量等を調整して真空チャンバ106へ供給する装置であり、圧力計112、開閉弁114、116、MFC1〜4などを備えている。流体制御装置102と真空チャンバ106との間には開閉弁118が設けられている。真空チャンバ106は、ウエハ120が載置される載置台122、ウエハ120上に薄膜を形成する電極124を備えている。真空チャンバ106には商用電源126が電気的に接続されている。排気手段108は、排気配管128、開閉弁130、集塵機132、真空ポンプ109を備えている。
【0016】
ウエハ120上に薄膜を形成するときには、開閉弁114、116の開閉、MFC1〜4、及び開閉弁118の開閉により、真空チャンバ106へのガスの供給が制御される。また、ウエハ120上に薄膜を形成した際に発生する副生成物である粉粒体を除去するときには、開閉弁130が開状態とされ、粉粒体は排気配管128を介して集塵機132に流入して除去される。
【0017】
各流体制御機器100には、その入口と出口に第1管部材4又は第2管部材6が構成される。例えば、ある流体制御機器100の構成要素である第1管部材4と他の流体制御機器100の構成要素である第2管部材6が接続することで、管継手1が構成される。
また、各流体制御機器100間に、配管が介在する場合には該配管の各端部に、第1管部材4又は第2管部材6が構成される。
【0018】
流体制御機器100に第1管部材4又は第2管部材6を構成するには、流体制御機器100の入口又は出口に、第1管部材4の外端4a又は第2管部材6の外端6aが溶接される場合や、ねじ込みされる場合、他の継手構造を使用して接続される場合等がある。
配管の各端部に第1管部材4又は第2管部材6を構成するには、配管の各端部に第1管部材4の外端4a又は第2管部材6の外端6aが溶接される場合や、他の継手構造を使用して接続される場合等がある。
【0019】
流体制御装置102や半導体制御装置104の流体制御機器100を交換する場合や、新たに流体制御機器100を設置する場合、既に流体制御装置102や半導体制御装置104内に構成されている第1管部材4又は第2管部材6に、設置する流体制御機器100の第1管部材4又は第2管部材6を接続することで、管継手1が構成される。
管継手1及び開閉弁114、116、118、130は小型化が図られているため、各流体制御器100や配管が、管継手1を構成して接続されることにより、流体制御装置102の小型化を実現することができる。
【0020】
この小型化された流体制御装置102は、小型化が要求される半導体製造装置104において使用するのに好適であり、小径ウエハを試験・研究用に試作するための小型の半導体製造装置である、いわゆるミニマルファブ装置を実現することができる。このようなミニマルファブ装置を使用することにより、クリーンルーム内の装置の設置面積が小さくなり、クリーンルームのランニングコストを低減することができるとともに、種々の半導体を製造するための試作ウエハを安価に得ることができる。
【0021】
図3に示すように、管継手1は、筐体8内に収容された板状で弾性を備えた押圧部材10及び座金12と、筐体8に取り付けられたブッシュ14とを更に有している。押圧部材10、座金12、及びブッシュ14は何れも金属製である。
図4に示すように、第1管部材4には、管継手1における内端(一端)4bに第1フランジ部16が形成されている。第1フランジ部16には流体通路2の開口縁に凹テーパ面16aが凹設されている。
【0022】
図5に示すように、第2管部材6には、管継手1における内端(一端)6bに第1フランジ部16と同径若しくは実質的に同径か略同径の第2フランジ部18が形成されている。
第2フランジ部18には流体通路2の開口縁に凸テーパ面18aが凸設されている。
図6に示すように、筐体8は、第1端壁8a、第1端壁8aと対向する第2端壁8b、第1側壁8c、第1側壁8cと対向する第2側壁8dを備えた直方体状の小型の外形(例えば、
図6で見たときの管径方向Yの長さ:約12mm、管長方向Xの長さ:約15mm、幅方向Zの長さ:約10mm)を有し、筐体8内には円柱状の空洞が形成されている。
【0023】
第1端壁8aには、第1管部材4の外端4aが突出する第1開口22が形成されている。第1開口22は、第1及び第2フランジ部16、18よりも小径の円形をなしている。一方、筐体8の第2端壁8bには、第2管部材6の外端6aが突出する第2開口24が形成されている。
【0024】
第2開口24は、第1及び第2フランジ部16、18の径よりも若干大径の円形をなし、第1及び第2フランジ部16、18が挿通可能である。
また、筐体8の第1側壁8cには、押圧部材10が挿入される第3開口26が形成されており、第1フランジ部16が第1端壁8aに係止され且つ第2フランジ部18の凸テーパ面18aが第1フランジ部16の凹テーパ面16aに突き当てられて当接した状態で、押圧部材10が筐体8内に挿入されることで、押圧部材10が第2フランジ部18を押圧する。
【0025】
図7に示すように、筐体8における押圧部材10の収容空間(2)28は、第1内端面28a、第2内端面28b、及び一対の内側面28c、28dで囲まれた空間である。第1内端面28aは、第3開口26から筐体8内の管径方向(管長方向の直交方向)Yに延び、第2開口24が開口されている。また、第2内端面28bは、第3開口26から筐体8内の管径方向Yに延び、第1内端面28aに対向している。また、一対の内側面28c、28dは第1及び第2内端面28a、28bから連なって形成されている。また、
図7に示すように、筐体8の第2側壁8dには、第3開口26の対向位置に、収容空間(2)28に連通する第4開口30が形成されている。
【0026】
また、
図8に示すように、一対の内側面28c、28dには、第1内端面28a側と第2内端面28b側とで管長方向Xにそれぞれ段差部28eが形成されている。各段差部28eにより、第1内端面28aの方が第2内端面28bよりも幅方向Zの幅が小さくなる。また、筐体8内の押圧部材10の収容空間(2)28の第1開口22側には、第1及び第2フランジ部16、18のフランジ収容空間(1)32が確保されている。フランジ収容空間(1)32は第1及び第2フランジ部16、18よりも若干大きな内径を有する。また、収容空間(2)28の第2開口24側にはブッシュ14の収容空間34が確保されている。収容空間34はフランジ収容空間(1)32と略同内径を有する。
【0027】
図9に示すように、押圧部材10は、位置決め部10a、押圧部10b、及び折曲部10cを有している。押圧部材10は、収容空間(2)28に収容され、第2フランジ部18を第1フランジ部16に向けて押圧し、第1及び第2管部材4、6の間に後述するシール部36を形成する。詳しくは、位置決め部10aは、第1内端面28aに当接され、押圧部材10を収容空間(2)28内で位置決めする。押圧部10bは、第2内端面28b側で第2フランジ部18を押圧する。また、折曲部10cは、位置決め部10a及び押圧部10bから連なり、押圧部材10は、折曲部10cの撓みによって押圧部10bに所定の押圧力を付与する。
【0028】
位置決め部10a及び押圧部10bには、これらの対向する先端10a1、10b1を管径方向Yに第2管部材6の管径よりも大となる範囲でU字状に切り欠いた切り欠き10a2、10b2がそれぞれ形成されている。
押圧部10bは、その先端10b1から折曲部10cにかけて、対向する位置決め部10aとは反対側に凸に屈曲され、押圧部10bの幅方向に延びる屈曲線10b3が形成されている。
【0029】
また、押圧部材10は、本実施形態では、位置決め部10aが押圧部10bよりも管径方向Yに長く形成されている。
図10に示すように、押圧部材10は、収容空間(2)28に収容されたとき、位置決め部10a及び押圧部10bの幅方向Zの幅が各段差部28eを補完する形状を有する。即ち、第1内端面28aに当接する位置決め部10aの方が第2内端面28b側に位置する押圧部10bよりも幅方向Zの幅が小さくなる。
【0030】
図11に示すように、座金12は、環状の平板形状をなし、押圧部材10と第2フランジ部18との間に設けられるとともに第2管部材6に外嵌される。また、座金12は、各収容空間32、34の内径よりも若干小さな外径(例えば約7mm)を有している。また、座金12は、焼き入れ等の硬化処理が施されており、これにより、押圧部材10の装着時、押圧部材10が第2管部材6に傷を付けるのを防止することができる。
【0031】
図12に示すように、ブッシュ14は、段付きの円筒形状をなし、一端14aが第2開口24に係合されるとともに第2管部材6に外嵌される。また、ブッシュ14は、各収容空間32、34の内径よりも若干小さな外径(例えば約7mm)を有している。
【0032】
以下、
図13から
図18を参照して管継手1の組み立て手順について詳しく説明する。
先ず、
図13に示すように、管継手1の各構成部品を並べて配置する。このとき例えば、流体制御装置102内に、既に第1管部材4と筐体8が施工されている場合は、第2管部材6、座金12、ブッシュ14、押圧部材10を用意すれば良く、流体制御装置102内に、第2管部材6、座金12、ブッシュ14が既に施工されている場合は、第1管部材4、筐体8、押圧部材10を用意すれば良い。
【0033】
次に、
図14に示すように第1管部材4を筐体8に挿入する。このとき、筐体8では、第1管部材4を外端4aから第2開口24を経て第1開口22に挿通することで、第1フランジ部16が第1端壁8aのフランジ収容空間(1)32側に係止される。
次に、
図15に示すように、座金12を第2管部材6に外嵌し、第2フランジ部18に当接させる。次に、
図16に示すように、ブッシュ14を第2管部材6に外嵌する。
【0034】
次に、
図17に示すように、第2管部材6を第2フランジ部18から第2開口24に挿通し、筐体8のフランジ収容空間(1)32内で第2フランジ部18が第1フランジ部16に突き当てられる。このとき、座金12は収容空間(2)28の第2内端面28b側に位置付けられるとともに、ブッシュ14の一端14aは第2開口24に係合、装着される。
【0035】
最後に、
図18に示すように、押圧部10bを位置決め部10aに近接させるべくプライヤー又は専用治具等で押し込むことで、押圧部材10を第3開口26から収容空間(2)28に収容して筐体8に装着する。これより第2フランジ部18が第1フランジ部16に押圧部材10で押圧されてシール部36が形成される。即ち、第3開口26は、第1フランジ部16が第1端壁8aに係止され且つ第2フランジ部18が第1フランジ部16に当接した状態で、押圧部材10を筐体8内に収容可能な大きさを有している。こうして、管継手1の組み立てが終了する。
【0036】
押圧部材10の収容空間(2)28への押し込みを確実で容易とするために、押圧部材10の先端10a1や他の先端10b1に、丸みや角度を付けて、第3開口26へ挿入し易くしても良い。
図19に示すように、上述の手順で組み立てて完成した管継手1では、位置決め部10a及び押圧部10bの各切り欠き10a2、10b2のU字状の底が第2管部材6に近接又は当接した状態で、位置決め部10aの先端10a1が第4開口30から突出している。
本実施形態では、押圧部材10を第3開口26から収容空間(2)28に収容したが、第4開口30から収容しても良い。この場合、位置決め部10aの先端10a1は、第3開口26から突出することになる。
【0037】
また、座金12が収容空間(2)28の第2内端面28b側に位置付けられるため、押圧部材10の押圧部10bは第1内端面28aではなく座金12、ひいては第2フランジ部18を確実に押圧する。
また、
図20に示すように、第2フランジ部18の凸テーパ面18aの管径方向Yを基準としたときの鋭角側の傾斜角αは、第1フランジ部16の凹テーパ面16aの管径方向Yを基準としたときの鋭角側の傾斜角βよりも大となっている。
【0038】
例えば、傾斜角αは約60〜80°の範囲に設定する場合、傾斜角βは傾斜角αよりも小さい50〜70°の範囲に設定される。そして、凹テーパ面16aに対し凸テーパ面18aの角が線接触することにより、第1及び第2管部材4、6間のシール部36は環状のシール線38により形成される。
尚、ここで言う線接触とは、純粋な幾何学的な線接触のみならず、弾性変形や塑性変形に伴うやや幅を持った接触も含む。
【0039】
また、
図21及び
図22に示すように、押圧部材10の押圧部10bに屈曲線10b3が形成されることにより、座金12は押圧部材10により2箇所の直線状の押圧線40により押圧される。
以上のように本実施形態によれば、施工性及びシール性の双方に優れ、ミニマルファブ装置への使用に好適であり、生産性及び信頼性の高い管継手1、この管継手1を用いた流体制御器、この流体制御器を用いた流体制御装置、及びこの流体制御装置を用いた半導体製造装置を提供することができる。
【0040】
具体的には、筐体8の第1側壁8cは、第1フランジ部16が第1端壁8aに係止され且つ第2フランジ部18が第1フランジ部16に突き当てられた状態で、押圧部材10を筐体8内に収容可能な第3開口26を有している。これにより、ミニマルファブ装置等の小型装置内の施工スペースが狭い場合、スパナ等の回転工具を用いなくとも、第1及び第2フランジ部16、18、座金12、ブッシュ14を筐体8に収容した状態で、押圧部材10を第1側壁8cの第3開口26から筐体8に収容、装着するだけの簡単な作業で、管継手1における第1及び第2管部材4、6間のシール部36を形成することができ、管継手1の結合に係る施工性を大幅に高めることができる。
【0041】
しかも、シール部材が不要となるため、管継手1の部品点数を削減することができるとともに、極小のシール部材の管継手1に取り付ける作業や、作業時におけるシール部材の紛失の懸念が排除され、生産性及び信頼性の高い管継手1が実現可能となる。
また、シール部36は、凹テーパ面16aに対し凸テーパ面18aが線接触した環状のシール線38により形成される。
【0042】
従って、凹凸テーパ面16a、18aを面接触させてシールする場合に比して、押圧部材10による押圧力がさほど大きくない場合であっても、シール部36におけるシール力を高めることができ、管継手1におけるシール性を効果的に高めることができる。また、図示しない薄板材を位置決め部10aと第1内端面28aとの間に挿入することで、押圧部材10の押圧力を高め、管継手1におけるシール性を更に高めることも可能である。
【0043】
また、押圧部材10の押圧部10bに屈曲線10b3が形成されることにより、座金12は押圧部材10により2箇所の直線状の押圧線40により押圧される。これにより、押圧部材10により座金12の中央部分を確実に押圧可能となるため、押圧部材10による押圧力によってシール部36におけるシール力、ひいては管継手1におけるシール性を更に効果的に高めることができる。
【0044】
また、筐体8には、第1側壁8cの第3開口26の対向位置に、収容空間(2)28に連通する第4開口30が第2側壁8dに形成され、位置決め部10a及び押圧部10bの各切り欠き10a2、10b2のU字状の底が第2管部材6に近接又は当接した状態で、位置決め部10aの先端10a1が第4開口30から突出している。これにより、第4開口30から突出した位置決め部10aの先端10a1を押すことで、押圧部材10を筐体8から容易に取り外すことができる。従って、押圧部材10の交換や管継手1の分解等を容易に行うことができ、管継手1のメンテナンス性を高めることができる。
【0045】
また、筐体8における押圧部材10の収容空間(2)28の内側面28c、28dに段差部28eが形成され、押圧部材10は、収容空間(2)28に収容されたとき、位置決め部10a及び押圧部10bの幅方向Zの幅が各段差部28eを補完する形状を有する。これにより、第1内端面28aに押圧部10bを当接させて装着するといった筐体8の収容空間(2)28に対する押圧部材10の誤組み付けを防止することができる。従って、押圧部材10による座金12の押圧を確実に線接触で行うことができ、管継手1における生産性及びシール性を更に高めることができる。
【0046】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記実施形態では、第1フランジ部16に凹テーパ面16aを形成し、第2フランジ部18に凸テーパ面18aを形成している。しかし、これに限らず、シール線38が形成されれば良く、例えば、第1フランジ部16に凸テーパ面を形成し、第2フランジ部18に凹テーパ面を形成しても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、位置決め部10aの先端10a1は第2側壁8dの第4開口30から突出している。しかし、これに限らず、押圧部10bの先端10b1を第4開口30から突出させても良いし、先端10a1、10b1の双方を第4開口30から突出させても良い。
また、筐体8は上記実施形態の形状に限られない。例えば、
図23に示すように、筐体8の第3側壁8eと第4側壁8fに収容空間(2)28に連通する切り欠き8e1及び8f1をそれぞれ設けることで、収容空間(2)28に収容された押圧部材10を専用治具等を使用してつかむことが可能であり、押圧部材10を挿入した面と同一の面から押圧部材10の取り外し作業ができ、作業性が向上する。
【0048】
また、押圧部材10は、好ましくは板ばねであるが、上記実施形態の形状に限られない。
また、座金12やブッシュ14を備えない管継手1にも適用可能である。
また、
図2では、半導体製造装置104がCVD装置である場合について説明したが、半導体製造装置104はスパッタリング装置又はエッチング装置であっても良い。エッチング装置(ドライエッチング装置)は、処理室、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、反応性の気体による腐食作用によって材料表面などを加工する装置である。
【0049】
また、スパッタリング装置は、ターゲット、真空チャンバ、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、材料表面を成膜する装置である。このように、エッチング装置及びスパッタリング装置も、ガス供給手段としての流体制御装置を備えているため、小型化された管継手1ひいては流体制御器100を用いることにより、これら装置を小型化することができる。
【0050】
また、管継手1を開閉弁114、116、118、130などに接続した流体制御器100は、種々の流体回路を構成する流体制御装置102に限らない流体制御装置に適用可能であり、流体制御器100を用いた流体制御装置102は、半導体製造装置104に限らない種々の製造装置に適用可能である。