特許第6824197号(P6824197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6824197エタノールの影響に対する耐性を有する医薬品組成物または栄養機能食品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824197
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】エタノールの影響に対する耐性を有する医薬品組成物または栄養機能食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/36 20060101AFI20210121BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20210121BHJP
   A61K 9/58 20060101ALI20210121BHJP
   A61K 9/62 20060101ALI20210121BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20210121BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20210121BHJP
【FI】
   A61K47/36
   A61K47/32
   A61K9/58
   A61K9/62
   A23L33/10
   A23L5/00 F
【請求項の数】11
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-563018(P2017-563018)
(86)(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公表番号】特表2018-518478(P2018-518478A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】EP2016061551
(87)【国際公開番号】WO2016193034
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】2843/CHE/2015
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュラッダ ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ グハ
(72)【発明者】
【氏名】サンジャイ ランケ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナイ ヤイン
(72)【発明者】
【氏名】フィロウズ アスガルザデー
(72)【発明者】
【氏名】ミトゥルクマール エム パテル
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/032741(WO,A1)
【文献】 特表2012−520831(JP,A)
【文献】 特表2009−513717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
A61K 47/36
A61K 47/32
A61K 9/58
A61K 9/62
A23L 5/00
A23L 33/10
・DB
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分および水不溶性ポリマーを含むコアa)と、
アルギン酸の塩を含む、コアa)上のコーティング層b)と、
(メタ)アクリレートモノマー混合物の全質量に対して、アニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマー5質量%〜75質量%を含む(メタ)アクリレートモノマー混合物から重合されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含む、コーティング層b)上のコーティング層c)と、
を含む医薬品組成物または栄養機能食品組成物であって、
コアa)中の水不溶性ポリマーの量は、コアa)の質量に対して2質量%〜50質量%であり、かつ
コーティング層b)中のアルギン酸の塩の量は、コアa)の質量に対して5質量%〜85質量%であり、かつ
コーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量は、コアa)およびコーティング層b)の質量に対して10質量%〜75質量%であり、
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して5質量%〜40質量%である場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも50%となるか、または
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して40質量%より多くて75質量%までである場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも60%となり、かつ、
コアa)中の水不溶性ポリマーは、エチルセルロースまたは(メタ)アクリレートコポリマーである、医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項2】
コアa)は、有効成分を含む内側コアa1)および水不溶性ポリマーを含むコーティング層a2)を含み、ここでコーティング層a2)は、内側コアa1)の上であり、かつコーティング層b)の下にある、請求項1に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項3】
水不溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸のC1〜C4−アルキルエステル88質量%〜98質量%およびアルキル基中に第四級アンモニウム基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー2質量%〜12質量%を含むモノマー混合物から重合される(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項1または2に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項4】
水不溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸のC1〜C4−アルキルエステル95質量%より多くて100質量%まで、およびアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマー0質量%から5質量%未満まで、を含むモノマー混合物から重合される(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項1または2に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項5】
コーティング層b)のために使用されるアルギン酸の塩は、30cP〜720cPの1%水溶液(質量/質量)中での粘度を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項6】
アルギン酸の塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウムもしくはアルギン酸アンモニウムまたはそれらの任意の混合物から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項7】
医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間にわたり40%(容量/容量)エタノールを添加した場合とエタノールを添加していない場合のUSPによる媒体中で、10%以下である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項8】
医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間に引き続き、残りの時間にわたってUSPによるpH6.8またはpH7.4の緩衝された媒体で、4時間後に60%未満であり、そして6時間〜10時間後に少なくとも60%である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項9】
コアa)、コーティング層b)および/またはコーティング層c)は、80質量%までの医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【請求項10】
有効成分を含むコアを、直接的な圧縮により、乾燥顆粒、湿潤顆粒もしくは焼結顆粒の圧縮により、押出に引き続いての丸み付けにより、湿式造粒もしくは乾式造粒により、直接的なペレット化により、または有効成分不含のビーズもしくは中性コアもしくは有効成分含有粒子上に粉末を結合させることにより成形し、そして内側コーティング層と外側コーティング層を水性分散液もしくは有機溶液の形で噴霧法もしくは流動床噴霧造粒法によって塗布することによって行われる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物の製造方法。
【請求項11】
エタノールの影響に対する耐性を有する持続放出性の胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物として用いられる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、アルコール耐性のpHが引き金となる持続放出性製剤である。
【0002】
技術背景
米国特許出願公開第2007/0104789号明細書(US2007/0104789A1)は、ヒドロモルホンを含む胃液耐性およびエタノール耐性の制御放出性製剤を記載している。前記胃液耐性およびエタノール耐性は、マトリックス中だけでなく、該製剤のコーティング中で使用することもできる。適切な胃液耐性およびエタノール耐性の物質についての例の中で、アルギン酸が挙げられる。ペレットコアまたは顆粒は、無水造粒によって調製でき、それは前記胃液耐性およびエタノール耐性の物質でコーティングされてよく、次いでカプセルもしくはバッグ中に充填されてよく、または医薬品もしくは栄養機能食品に許容可能な乾燥された補助物質を添加して錠剤へと圧縮されてもよい。
【0003】
国際公開第2012/022498号パンフレット(WO2012/022498A1)は、医薬品有効成分もしくは栄養機能食品有効成分を含むコアと、該コア上に胃液耐性コーティング層を含む、胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物であって、該医薬品有効成分もしくは栄養機能食品有効成分の放出は、インビトロ条件下で40%(容量/容量)エタノールを添加した場合と添加しない場合のUSPによる緩衝された媒体中でpH1.2で2時間の間に15%を上回らず、ここで前記胃液耐性コーティング層は、1%水溶液(質量/質量)の粘度が30cP〜720cPである50質量%〜100質量%の1種以上のアルギン酸の塩を含み、かつコーティング層のポリマー乾燥質量の増量が少なくとも4mg/cm2である組成物を記載している。
【0004】
国際公開第2014/032742号パンフレット(WO2014/032742A1)は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分を含むコアと、1種以上のアルギン酸の塩を含む内側コーティング層と、1種以上の水不溶性ポリマーもしくはコポリマーを含む外側コーティング層と、を含む医薬品組成物または栄養機能食品組成物であって、前記内側コーティング層中の1種以上のアルギン酸の塩の量と、前記外側コーティング層中の1種以上の水不溶性ポリマーもしくはコポリマーの量との質量比が、少なくとも2.5:1である組成物を記載している。
【0005】
国際公開第2014/032741号パンフレット(WO2014/032741A1)は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分を含むコアと、少なくとも30質量%の1種以上のアルギン酸の塩を含む内側コーティング層と、少なくとも30質量%の、アニオン性側基を含む1種以上のポリマーもしくはコポリマーを含む外側コーティング層と、を含む医薬品組成物または栄養機能食品組成物を記載している。
【0006】
本発明の目的
医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、有効成分を再現的な放出曲線の様式で放出するようにデザインされている。これは、最適な治療効果を提供すべき、望ましくかつ信頼できる血中レベルプロフィールをもたらすべきである。血中レベル濃度が低すぎると、該有効成分は十分な治療効果を引き起こさないこととなる。該血中レベル濃度が高すぎると、これは毒性効果を引き起こすことがある。両方の場合において、有効成分の非至適血中レベル濃度は患者にとって危険であり、したがって避けられるべきである。医薬品組成物または栄養機能食品組成物のデザインの間に有効成分の放出について採用された理想的な比率は、一般的な生活習慣、不注意または患者のエタノールもしくはエタノール含有飲料の使用に対する依存性挙動によって変わることがあるという問題がある。これらの場合に、実際はもっぱら水性媒体のためにデザインされた医薬品形または栄養機能食品形は、程度の違いはあっても何らかの強さのエタノール含有媒体にさらにさらされる。例えばアメリカ食品医薬品局(FDA)のような衛生当局はエタノール問題に対してますます注目しているので、エタノール耐性は、近い将来、一つの重要な登録基準となるかもしれない。
【0007】
全ての患者が、制御放出性の医薬品形もしくは栄養機能食品形とエタノール含有飲料とを同時に摂取することの危険性を認識していないか、または全ての患者が、適切な警告、助言もしくは推奨に従わないか、あるいは従うことができないので、制御放出性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物、特に胃液耐性の医薬品組成物もしくは栄養機能食品組成物については、それらの作用様式のエタノールの存在による影響ができるだけ少なくなるように求められている。
【0008】
従来の胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、コーティングがされていてもコーティングがされていなくても、通常は、アルコールに対して全く耐性がない。したがって、本発明の一つの課題は、エタノールの影響に対して耐性である胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物を提供することであった。
【0009】
特に、胃液耐性または腸溶性に製剤化された組成物に関しては問題がある。これらの種類の製剤は、通常、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の胃内における、それぞれpH1.2での2時間にわたるUSPによる放出が、10%を超えないものとし、好ましくは5%未満であるものとする機能を有するコア上に胃液耐性のコーティング層(腸溶性コーティング層)でコーティングされる。この機能は、酸感受性の医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分が不活性化に対して保護されることと、胃の粘膜を刺激し得る医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分が、多量に放出されすぎないことを保証する。その一方で、多くの場合に、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の腸内での、それぞれpH6.8での1時間以下にわたるUSP法による放出は、少なくとも70%、75%以上を超えるようにデザインされる。胃液中での濃度5%、10%、20%または40%(容量/容量)でのエタノールの存在は、通常は、胃内の放出速度に増大をもたらす。分配効果のため、摂取されたエタノールの効果は、腸内では胃内ほどは重要ではない。このように、エタノールの影響に対する効果的な保護は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分のそのような不所望な増加を、まず最初に胃内において防止すべきである。さらに、エタノールの影響に対する保護が、エタノールを含まない媒体中でのpH6.8における比較的速い放出速度には、少なくとも影響を及ぼすものではないことが望まれ得る。
【0010】
本発明の課題は、胃液耐性であるとともに、pH1.2でエタノールの影響に対して耐性でもある放出プロフィールを有する医薬品組成物または栄養機能食品組成物を提供することであった。胃液耐性の放出プロフィールは、その後に、有効成分が持続的に放出される放出段階に続くべきである。このように、本明細書に開示される医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、胃液耐性であり、エタノール耐性であり、かつ持続放出性である医薬品組成物または栄養機能食品組成物である。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、
有効成分および水不溶性ポリマーを含むコアa)と、
アルギン酸の塩を含む、コアa)上のコーティング層b)と、
(メタ)アクリレートモノマー混合物の全質量に対して5質量%〜75質量%のアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物から重合されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含む、コーティング層b)上のコーティング層c)と、
を含む医薬品組成物または栄養機能食品組成物であって、
コアa)中の水不溶性ポリマーの量は、コアa)の質量に対して2質量%〜50質量%、2質量%〜30質量%、2質量%〜20質量%であり、かつ
コーティング層b)中のアルギン酸の塩の量は、コアa)の質量に対して5質量%〜85質量%であり、かつ
コーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量は、コアa)およびコーティング層b)の質量に対して10質量%〜75質量%であり、ここで
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して5質量%〜40質量%である場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも50%となるか、または
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して40質量%より多くて75質量%までである場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも60%となる医薬品組成物または栄養機能食品組成物に関する。
【0012】
用語「重合されたモノマー」とは、重合過程で使用されるモノマーの量と解釈される。
【0013】
胃液耐性であり、エタノール耐性であり、かつ持続放出性である医薬品組成物または栄養機能食品組成物
本明細書に開示される医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、同時に胃液耐性であり、エタノール耐性であり、かつ持続放出性である医薬品組成物または栄養機能食品組成物である。
【0014】
胃液耐性とは、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間にわたりUSPによる媒体(例えばUSP32)中で10%以下、8%以下、5%以下であることを意味するものとする。
【0015】
エタノール耐性とは、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間にわたり40%(容量/容量)エタノールを添加したUSPによる媒体(例えばUSP32)中で10%以下、8%以下、5%以下であることを意味するものとする。
【0016】
持続放出とは、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間に引き続き、残りの時間にわたってUSPによるpH6.8またはpH7.4の緩衝された媒体(例えば、USP32)で、4時間後または5時間後に20%未満、30%未満、40%未満または50%未満であり、そして6時間〜10時間後または8時間〜10時間後に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%であることを意味するものとする。
【0017】
このように、医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間にわたり40%(容量/容量)エタノールを添加した場合とエタノールを添加していない場合のUSPによる媒体(例えば、USP32)中で、10%以下、8%以下、5%以下であることを示す。
【0018】
このように、開示される医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で最初の2時間に引き続き、残りの時間にわたってUSPによるpH6.8またはpH7.4の緩衝された媒体(任意に、最初にpH6.8で、その後にpH7.4の緩衝された媒体の経過を含む)で、4時間後または5時間後に20%未満、30%未満、40%未満、50%未満または60%未満であり、そして6時間〜10時間後または8時間〜10時間後に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%である組成物である。
【0019】
前記表現「6時間〜10時間後または8時間〜10時間後」とは、pH1.2での放出試験の開始からの全時間を指し、したがってpH1.2での最初の2時間が含まれる。
【0020】
前記表現「pH6.8またはpH7.4の緩衝された媒体」とは、時間間隔「6時間〜10時間後または8時間〜10時間後」から選択される特定の時点に存在する緩衝された媒体を指す。放出試験自体は、pH1.2の段階後に、pH6.8もしくはpH7.4の媒体の段階だけを含むか、または最初にpH6.8で、その後にpH7.4の媒体の経過を含む。
【0021】
例えば、実施例F28においては、有効成分放出は、8時間後に74.6%である。これらの8時間は、pH1.2での2時間およびpH6.8での6時間から構成されている。8時間後に、その緩衝された媒体は、pH6.8の媒体である。
【0022】
例えば、実施例F29においては、有効成分放出は、8時間後に73.2%である。これらの8時間は、pH1.2での2時間、pH6.8での1時間およびpH7.4での5時間から構成されている。8時間後に、その緩衝された媒体は、pH7.4の媒体である。
【0023】
コアa)
コアa)は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分および水不溶性ポリマーを含んでいる、それらを本質的に含んでいる、またはそれらからなっている。
【0024】
コアa)は、医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分、水不溶性ポリマーおよび医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、足し合わせて100%となり得る。
【0025】
コアa)は、持続放出性コアと呼ぶことができる。持続放出性コアは、水性媒体、例えばpH1.2の媒体またはpH6.8もしくはpH7.4のUSPによる緩衝された媒体(例えば、USP32)と接触した時に、含まれている有効成分をゆっくりとしか放出しないように、例えば4時間後または5時間後にその20%未満、30%未満、40%未満または50%未満を放出し、そして6時間〜10時間後または8時間〜10時間後に少なくともその60%を放出するように製剤化されているコアとして定義され得る。さらなるコーティングを有さない持続放出性コアa)単独は、先に定義されたような胃液耐性ではなく、かつエタノール耐性ではない。
【0026】
持続放出性コアとしてのコアa)の製剤化は、有効成分を、EUDRAGIT(登録商標)NE、EUDRAGIT(登録商標)NM、EUDRAGIT(登録商標)RLまたはEUDRAGIT(登録商標)RSのようなタイプの水不溶性ポリマーのマトリックス中に製剤化することによって達成され得る。マトリックスの場合に、コアa)は、好ましくは、5質量%〜80質量%の、10質量%〜50質量%の、または15質量%〜40質量%の水不溶性ポリマーを含み得る。
【0027】
あるいはコアa)は、有効成分を含む内側コアa1)および水不溶性ポリマーを含むコーティング層a2)を含んでよく、ここでコーティング層a2)は、内側コアa1)の上であり、かつコーティング層b)の下にある。この場合に、コーティング層a2)は、好ましくは、a1)およびa2)からなるコアa)全体の質量に対して2質量%〜30質量%の、2質量%〜20質量%の、10質量%〜25質量%の、5質量%〜20質量%の水不溶性ポリマーを含んでよい。コアa1)および/またはコーティング層a2)は、医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤をさらに含んで、足し合わせて100%となり得る。
【0028】
このように、持続放出性コアとしてのコアa)の製剤化は、その一方で、内側コアa1)の形における即放性コアまたは即崩壊性コアとしての有効成分およびEUDRAGIT(登録商標)NE、EUDRAGIT(登録商標)RLまたはEUDRAGIT(登録商標)RSのような水不溶性ポリマーを含むコーティング層a2)の製剤化によって達成され得る。即放性コアまたは即崩壊性コアa1)は、水性媒体と接触した時に、含まれている有効成分を10分以内に少なくとも80%または100%まで放出するコアである。
【0029】
コアa1)は、中性のキャリヤーペレット、例えば糖球体またはノンパレイユ(non−pareilles)を含んでよく、または含有してよく、その上には、前記有効成分がバインダー、例えばラクトース、セルロース類、例えば微結晶性セルロース(MCC)またはポリビニルピロリドン(PVP)中で結合されていてよい。この場合に、有効成分は、コアa1)の表面に(コアa)の一部として)結合されていてよく、または局所的に位置していてよい。有効成分のコアa1)の表面でのそのような結合層中での結合は、通常、放出制御機能に対して効果がないか、または影響がない。この場合に、コーティング層a2)は、コアa)に全体として持続放出特性を付与する。
【0030】
コアa1)は、その一方で、中に有効成分が結合されたポリマーマトリックスの形のペレットを含んでよい。該コアは、結晶化された有効成分からなるコーティングを有さないペレットまたは顆粒を含んでよい。該コアは、同様に、有効成分を含有するタブレット、ミニタブレットまたはカプセルであってよい。それらの場合において、有効成分は、全体的に見て該コア全体にわたって多かれ少なかれランダムに分布して位置していてよい。
【0031】
コーティング層a2)は、水不溶性ポリマーおよび、任意に滑沢剤、例えばタルク、シリカまたはグリセロールモノステアレート(GMS)、任意に可塑剤、例えばトリエチルシトレート(TEC)またはポリエチレングリコール(PEG)および、任意に孔形成剤(細孔形成剤)を含み得る。細孔形成剤には、セルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPMC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)または天然ゴム、例えばグアーガムまたはキサンタンガム、または親水性ポリマー材料、例えばポリビニルアセテート(PVA)が含まれ得る。水不溶性ポリマー、滑沢剤、可塑剤および/または孔形成剤は、足し合わせて100%となり得る。滑沢剤は、水不溶性ポリマーに対して約5質量%〜200質量%または40質量%〜60質量%であってよく、可塑剤は、水不溶性ポリマーに対して約5質量%〜25質量%であってよい。孔形成剤は、水不溶性ポリマーに対して約5質量%〜200質量%、40質量%〜60質量%、5質量%〜25質量%、2質量%〜80質量%、2質量%〜60質量%、または2質量%〜40質量%であってよい。水不溶性ポリマー、滑沢剤、可塑剤または細孔形成剤は、足し合わせて100%となり得る。
【0032】
コアa1)の質量に対するコーティング層a2)の質量は、2%から100%まで、5%から50%まで、または10%から30%までであってよい。
【0033】
コーティング層b)およびc)
前記医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、コアa)と、該コアa)に接したまたは該コアa)上のコーティング層b)と、該コーティング層b)に接したまたは該コーティング層b)上のコーティング層c)とを含んでいる、それらを本質的に含んでいる、またはそれらからなっている。
【0034】
コーティング層b)およびc)は、コアa)中に位置している有効成分の放出をさらに制御する機能を有する。コーティング層b)およびc)は、エタノールの存在に対する有効成分放出の耐性を与える機能も有する。
【0035】
好ましくは、前記医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、内側コアa1)およびコーティング層a2)を含み得るコアa)と、コーティング層b)と、外側コーティング層c)とを含んでおり、それらを本質的に含んでおり、またはそれらからなっており、かつ有効成分の放出をさらに制御することとなるさらなるコーティング層は存在しない。
【0036】
コーティング層b)およびc)は、コアa)からの有効成分の放出と相互作用し得るので、その系の放出速度は、通常は、コアa)単独とは異なっており、それは、本出願の開示前には予測することができるものではなかった。
【0037】
コーティング層b)およびc)は、医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含み得る。
【0038】
コーティング層b)
コーティング層b)は、直接的にまたは間接的にコアa)に接してまたはコアa)上に位置しており、アルギン酸の塩を含む。
【0039】
コーティング層b)中のアルギン酸の塩の量は、コアa)の質量に対して5質量%〜85質量%、5質量%〜75質量%、10質量%〜70質量%、15質量%〜55質量%、20質量%〜50質量%であってよい。
【0040】
コアa)とコーティング層b)との間にはサブコートが配置されていてもよい。サブコートは、コアの物質を、互いに非相容性であり得る制御層の物質から隔離する機能を有してもよい。該サブコートは、実質的に有効成分の放出特性に影響を及ぼさない。好ましくは、コアと内側コーティング層との間にはサブコートは存在しない。この場合に、該内側コーティング層は、コアと直接接触している。
【0041】
コーティング層b)中のアルギン酸の塩の絶対量は、50μm〜2000μm、200μm〜1000μmの範囲の平均粒度(平均直径、平均粒度の測定は、当業者に公知の適切な方法によって、好ましくは米国薬局方36(USP)チャプター<429>および欧州薬局方7.0(EP)チャプター2.9.31にしたがって実施され得る)を有するコアa)ペレットまたは顆粒がコーティングされる場合には、2mg/cm2〜60mg/cm2、好ましくは2mg/cm2〜40mg/cm2の範囲であってよい。
【0042】
コーティング層b)中のアルギン酸の塩の絶対量は、1mmより大きくて25mmまでの範囲(平均直径または長さ)のサイズを有する錠剤の場合には、0.5mg/cm2〜20mg/cm2の範囲、好ましくは5mg/cm2〜20mg/cm2の範囲であってよい。
【0043】
コーティング層b)は、少なくとも20質量%の、少なくとも30質量%の、少なくとも40質量%の、少なくとも50質量%の、少なくとも60質量%の、少なくとも70質量%の、少なくとも80質量%の、少なくとも85質量%の、少なくとも90質量%の、または100質量%までの、20質量%〜100質量%の、30質量%〜90質量%の、40質量%〜80質量%の、50質量%〜70質量%のアルギン酸の1種以上の塩を含む。
【0044】
該アルギン酸の塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウムもしくはアルギン酸アンモニウムまたはそれらの混合物から選択することができる。
【0045】
内側コーティング層のために使用されるアルギン酸の塩は、好ましくは30cP〜720cPの1%水溶液(質量/質量)の粘度を有してよい。
【0046】
コーティング層b)は、医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。アルギン酸の塩および医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、足し合わせて100%となり得る。
【0047】
コーティング層b)は、80質量%までの、70質量%までの、60質量%までの、50質量%までの、40質量%までの、30質量%までの、20質量%までの、15質量%までの、10質量%までの、10質量%〜70質量%の、30質量%〜60質量%の、または30質量%〜50質量%の医薬品もしくは栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含み得る。内側コーティング層b)中の前記医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、アルギン酸の塩とは異なる。コーティング層b)中の医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤およびアルギン酸の塩は、足し合わせて100%となり得る。
【0048】
好ましくは、コーティング層b)は、10質量%未満の、5質量%未満の、1質量%未満のアニオン性側基を含むポリマーもしくはコポリマーを含むか、またはそれらを一切含まない(0質量%)。
【0049】
典型的なコーティングb)は、例えば、40質量%〜60質量%の、または60質量%〜80質量%のアルギン酸の1種以上の塩、および15質量%〜95質量%の、40質量%〜60質量%の、または20質量%〜40質量%の滑沢剤、例えばタルクを含んでよく、またはそれらを含有してよい。
【0050】
コーティング層c)
コーティング層c)は、直接的にまたは間接的にコーティング層b)に接してまたはコーティング層b)上に位置している。コーティング層b)上のコーティング層c)は、(メタ)アクリレートモノマー混合物の全質量に対して、5質量%〜75質量%の、5質量%〜60質量%の、5質量%〜40質量%の、5質量%〜35質量%の、5質量%〜15質量%の、40質量%より多くて75質量%までの、41質量%〜59質量%の、45質量%〜55質量%の、35質量%〜60質量%の、または40質量%〜55質量%の(1種以上の)アニオン性(メタ)アクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物から重合された、好ましくはラジカル重合されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいる。
【0051】
アニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマー(1種以上のモノマー)は、好ましくは、メタクリル酸またはアクリル酸である。
【0052】
モノマー混合物は、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルであるモノマーをさらに含んでよく、該モノマーは、アニオン性(メタ)アクリレートモノマーと足し合わせて100%となり得る。
【0053】
こうして重合されるべき(メタ)アクリレートモノマー混合物は、25質量%〜95質量%の、40質量%〜95質量%の、60質量%〜95質量%の、65質量%〜95質量%の、85質量%〜95質量%の、40質量%より多くて65質量%までの、または45質量%〜60質量%の、25質量%から60質量%未満までの、41質量%〜59質量%の、40質量%〜65質量%の、45質量%〜60質量%のアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルである(メタ)アクリレートモノマーをさらに含み得る。アニオン性基を有する1種以上の(メタ)アクリレートモノマーおよびアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルであるモノマーは、足し合わせて100%となり得る。
【0054】
アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルである(メタ)アクリレートモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートまたはブチルメタクリレートである。
【0055】
好ましいアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、メタクリル酸と組み合わせてメチルアクリレート、エチルアクリレートおよび/またはメチルメタクリレートを含むモノマー混合物から重合される。
【0056】
特に記載がない限り、用語「アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー」は、「1種以上のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー」の意味において、または「アニオン性側基を含む1種以上の(メタ)アクリレートコポリマー」として解釈されるものとする。
【0057】
コーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量は、コアa)の質量およびコーティング層b)の質量に対して10質量%〜75質量%、15質量%〜60質量%、20質量%〜50質量%である。一例を挙げると、コアa)の質量およびコーティング層b)の質量が一緒になって、例えば210g(100%)であり、かつコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量が70gである場合には、その量は、33.3%である。
【0058】
コーティング層b)とコーティング層c)との間にはサブコートが配置されていてもよい。該サブコートは、実質的に有効成分の放出特性に影響を及ぼさない。好ましくは、コアとコーティング層b)との間にはサブコートは存在しない。この場合に、コーティング層c)は、コーティング層b)と直接接触している。
【0059】
前記コーティング層c)の上には、トップコートが配置されていてよい。該トップコートは、好ましくは、水溶性であってよく、実質的に水溶性または水分散性であってよい。トップコートは、医薬品形もしくは栄養機能食品形を着色する機能、または環境的影響から、例えば貯蔵の間の湿分から保護する機能を有してよい。該トップコートは、バインダー、例えば水溶性ポリマー、例えば多糖もしくはHPMCまたは糖化合物、例えばショ糖からなっていてよい。該トップコートは、医薬品用または栄養機能食品用の賦形剤、例えば顔料または滑沢剤を多量にさらに含有してよい。該トップコートは、実質的に放出特性に影響を及ぼさない。好ましくは、コーティング層c)上にはトップコートは存在しない。
【0060】
前記医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、任意のコーティング層a2)、コーティング層b)およびコーティング層c)を除いて、該医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出を制御するさらなる制御層が存在しないことを特徴とし得る。
【0061】
コーティング層c)は、少なくとも30質量%の、少なくとも40質量%の、少なくとも50質量%の、少なくとも60質量%の、少なくとも70質量%の、少なくとも80質量%の、少なくとも90質量%の、または10質量%〜80質量%の、40質量%〜70質量%の、アニオン性側基を含む1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいる。好ましくは、アニオン性側基は、カルボン酸側基である。
【0062】
コーティング層c)は、医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーおよび医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、足し合わせて100%となり得る。
【0063】
コーティング層c)は、70質量%までの、60質量%までの、50質量%までの、40質量%までの、または20質量%〜90質量%の、30質量%〜60質量%の医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含み得る。コーティング層c)中の医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーとは異なる。好ましくは、コーティング層c)は、10質量%未満の、5質量%未満の、1質量%未満のアルギン酸の塩を含むか、またはそれを一切含まない(0質量%)。
【0064】
典型的なコーティング層c)においては、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、可塑剤および滑沢剤は、足し合わせて100%となり得る。好ましい一実施形態においては、コーティング層c)は、例えば10質量%〜100質量%の、20質量%〜90質量%の、40質量%〜80質量%の、または50質量%〜70質量%のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、例えばEUDRAGIT(登録商標)L100−55またはEUDRAGIT(登録商標)FSを含み得る。可塑剤、例えばトリエチルシトレート(TEC)またはポリエチレングリコールおよび滑沢剤、例えばタルク、グリセロールモノステアレート(GMS)またはシリカを添加することで、100%とすることができる。好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを基準に計算して1質量%〜25質量%の、2質量%〜15質量%の、4質量%〜12質量%の可塑剤およびアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを基準に計算して2%〜200%の、40%〜70%の、または30%〜55%の、30%〜50%の滑沢剤が存在し得る。
【0065】
コーティング層c)中のポリマーまたはアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの絶対量は、50μm〜2000μm(平均直径)の範囲のサイズを有するペレットまたは顆粒の場合には、2mg/cm2〜60mg/cm2の範囲、好ましくは2mg/cm2〜40mg/cm2の範囲であってよい。
【0066】
コーティング層c)中のポリマーまたはアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの絶対量は、1mmより大きくて25mmまでの範囲(平均直径または長さ)のサイズを有する錠剤の場合には、0.5mg/cm2〜20mg/cm2の範囲、好ましくは5mg/cm2〜20mg/cm2の範囲であってよい。
【0067】
コアa)、コーティング層b)およびコーティング層c)の関係性
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して5質量%〜40質量%、20質量%〜40質量%、好ましくは5質量%〜15質量%、または好ましくは15質量%より多くて40質量%までである場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも50%、少なくとも55%となり得る。
【0068】
一例を挙げると、コーティング層c)中の(メタ)アクリレートコポリマーがEUDRAGIT(登録商標)FSまたはEUDRAGIT(登録商標)Sである場合に、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量は、重合されたモノマーの全質量に対して、それぞれ10質量%または30質量%である。この場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも50%か、または少なくとも55%となるべきである。
【0069】
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して40質量%より多くて75質量%まで、好ましくは45質量%〜55質量%である場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、好ましくは、足し合わせて少なくとも60%、少なくとも65%となるべきである。
【0070】
一例を挙げると、コーティング層c)中の(メタ)アクリレートコポリマーがEUDRAGIT(登録商標)L30DまたはEUDRAGIT(登録商標)L100−55である場合に、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量は、重合されたモノマーの全質量に対して50質量%である。この場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、好ましくは、足し合わせて少なくとも60%か、または少なくとも65%となるべきである。
【0071】
用語「アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量」は、重合されてアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーとなるモノマー混合物中に最初に含まれるアニオン性モノマーの量として解釈されるものとする。用語「重合されたモノマー」とは、重合過程で使用されるモノマーの量と解釈される。その用語は、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー中の重合された単位として含まれるべきアニオン性モノマーの見込み量に相当する。
【0072】
水不溶性ポリマー
コアa)は、水不溶性ポリマーを含んでいる。水不溶性ポリマーという用語は、1種以上の水不溶性ポリマーまたは1種以上の水不溶性コポリマーの意味において解釈されるものとする。
【0073】
本発明の範囲における水不溶性ポリマーは、pH1〜pH14の全範囲にわたって、水中に溶けないか、または水中に僅かに膨潤可能であるポリマーまたはコポリマーである。水不溶性ポリマーは、同時に、イオン性側基を有するモノマー残基を12%より多く含まない1種以上のポリマー、例えばEUDRAGIT(登録商標)NEポリマー、EUDRAGIT(登録商標)NMポリマー、EUDRAGIT(登録商標)RLポリマーまたはEUDRAGIT(登録商標)RSポリマーであってよい。
【0074】
水不溶性ポリマーは、ビニルポリマーもしくはビニルコポリマーの群から、または水不溶性セルロースの群から選択され得る。
【0075】
水不溶性ポリマーは、ポリビニルアセテートの誘導体を含むポリビニルアセテートのようなビニルコポリマーであってよい。ポリビニルアセテートは、水性分散液または有機溶液の形で存在してよい。一例は、Kollicoat(登録商標)SR 30 Dのタイプ、つまりポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムで安定化されたポリビニルアセテート分散液である。
【0076】
適切な水不溶性ポリマーは、水不溶性セルロースの群に属してよい。適切な水不溶性のセルロース系ポリマーは、エチルセルロース(EC)である。
【0077】
好ましくは、水不溶性ポリマーは、水不溶性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0078】
そのような水不溶性(メタ)アクリレートコポリマーは、95質量%より多くて100質量%までの(メタ)アクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルおよび0質量%から5質量%未満までのアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーから選択されるモノマー混合物から重合されたポリマーであってよい。
【0079】
そのような水不溶性(メタ)アクリレートコポリマーは、88質量%〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルおよび2質量%〜12質量%のアルキル基中に第四級アンモニウム基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーから選択されるモノマー混合物から重合されたポリマーであってよい。
【0080】
本発明の範囲における他の種類の水不溶性ポリマーは、ポリビニルアセテートおよびポリビニルアセテートの誘導体を含むポリビニルアセテートのようなビニルコポリマーであってよい。該ポリビニルアセテートは、分散液の形で存在してよい。一例は、Kollicoat(登録商標)SR 30 D(BASF)のタイプ、つまりポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムで安定化されたポリビニルアセテート分散液である。
【0081】
EUDRAGIT(登録商標)NE 30D/EUDRAGIT(登録商標)NM 30Dのタイプのポリマー
コアa)は、95質量%より多くの、特に少なくとも98質量%の程度で、好ましくは少なくとも99質量%の程度で、特に少なくとも99質量%の程度で、より好ましくは100質量%の程度で、中性基、特にC1〜C4−アルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマーの重合された単位から構成されるコポリマーである水不溶性コポリマーを含み得る。これらの種類のポリマーは、pH1〜pH14の全範囲にわたって、水中に溶けないか、または水中に僅かに膨潤可能である。
【0082】
中性基を有する適切な(メタ)アクリレートモノマーは、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートである。メチルメタクリレート、エチルアクリレートおよびメチルアクリレートが好ましい。
【0083】
アニオン性基、例えばアクリル酸および/またはメタクリル酸を有するメタクリレートモノマーは、5質量%未満の少量で、好ましくは2質量%以下まで、より好ましくは1質量%以下まで、もしくは0.05質量%〜1質量%まで、または0質量%〜0.5質量%まで存在してよい。
【0084】
適切な例は、20質量%〜40質量%のエチルアクリレート、60質量%〜80質量%のメチルメタクリレート、および0質量%から5質量%未満の、好ましくは0質量%〜2質量%もしくは0.05質量%〜1質量%もしくは0質量%〜0.5質量%のメタクリル酸から構成される、または任意のメタクリル酸から構成される中性のまたは事実上中性の(メタ)アクリレートコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)NE 30DまたはEUDRAGIT(登録商標)NM 30Dのタイプ)。
【0085】
EUDRAGIT(登録商標)NE 30DおよびEudragit(登録商標)NM 30Dは、30質量%のエチルアクリレートと70質量%のメチルメタクリレートのラジカル重合された単位から構成されるコポリマーを30質量%含有する分散液である。
【0086】
国際公開第01/68767号パンフレット(WO01/68767)にしたがって1質量%〜10質量%の、HLB値15.2〜17.3を有する非イオン性乳化剤を使用して分散液として調製されている中性のまたは実質的に中性のメチルアクリレートコポリマーが好ましい。前記コポリマーは、乳化剤により結晶構造を形成して相分離を起こさないという利点がある(Eudragit(登録商標)NM 30Dのタイプ)。
【0087】
しかしながら、欧州特許出願公開第1571164号明細書(EP1571164A2)によれば、0.05質量%〜1質量%の少ない割合のモノオレフィン性不飽和のC3〜C8−カルボン酸を有する、相応の事実上中性の(メタ)アクリレートコポリマーは、比較的少量の、例えば0.001質量%〜1質量%のアニオン性乳化剤の存在下で乳化重合によって製造することもできる。
【0088】
EUDRAGIT(登録商標)RL/RSのタイプのポリマー
コアa)は、85質量%〜98質量%のアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルおよび15質量%〜2質量%のアルキル基中に第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレートモノマーのモノマー混合物からラジカル重合された単位から構成されるコポリマーである水不溶性コポリマーを含み得る。これらの種類のポリマーは、pH1〜pH14の全範囲にわたって、水中に溶けないか、または水中に僅かに膨潤可能である。
【0089】
好ましいアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートである。
【0090】
特に好ましい第四級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドである。適切なコポリマーは、例えば50質量%〜75質量%のメチルメタクリレート、25質量%〜45質量%のエチルアクリレートおよび7質量%〜2質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから構成され得る。
【0091】
特に適切なコポリマーは、65質量%のメチルメタクリレート、30質量%のエチルアクリレートおよび5質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む(EUDRAGIT(登録商標)RS)。
【0092】
さらなる適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば、85質量%から93質量%未満のアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルおよび7質量%より多くて15質量%までのアルキル基中に第四級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーから構成され得る。そのような(メタ)アクリレートモノマーは市販されており、長い間、放出遅延性コーティングのために使用されている。
【0093】
適切なコポリマーは、例えば50質量%〜70質量%のメチルメタクリレート、25質量%〜45質量%のエチルアクリレートおよび7質量%より多くて15質量%までの2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドから構成され得る。
【0094】
特に適切なコポリマーは、例えば、60質量%のメチルメタクリレート、30質量%のエチルアクリレートおよび10質量%の2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドを含む(EUDRAGIT(登録商標)RL)。
【0095】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー
コーティング層c)は、モノマー混合物の全質量に対して5質量%〜75質量%のアニオン性基を有するモノマーの量を有する(メタ)アクリレートモノマー混合物から重合された(メタ)アクリレートコポリマー、したがってアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいる。アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーという用語は、1種以上のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの意味で解釈されるものとする。
【0096】
用語「モノマー混合物」は、100%となる(メタ)アクリレートモノマーの混合物を指す。モノマー混合物は、重合開始剤および任意に分子量調節剤の添加によって重合されて、当業者に良く知られた(メタ)アクリレートコポリマーを得ることができる。重合されるべき混合物中に最初に存在する(メタ)アクリレートモノマーの個々の量は、得られる(メタ)アクリレートコポリマー中に重合された単位として含まれると予想される。モノマー混合物中の(メタ)アクリレートモノマーの初期存在量および得られる(メタ)アクリレートコポリマー中の重合された単位の量の間の統計学的変動は、有意でないとみなされる。
【0097】
アニオン性側基を含む1種以上のポリマーまたはコポリマーは、25質量%〜95質量%の、好ましくは40質量%〜95質量%の、特に60質量%〜40質量%の、アクリル酸もしくはメタクリル酸のラジカル重合されたC1〜C18−アルキルエステル、好ましくはC1〜C8−もしくはC1〜C4−アルキルエステルと、75質量%〜5質量%の、好ましくは60質量%〜5質量%の、特に40質量%〜60質量%の、アニオン性側基またはカルボン酸側基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを含んでよい。
【0098】
上述の(メタ)アクリレートモノマーの割合は、通常は足し合わせて100質量%となる。しかしながら、追加的にまた、これが必須の特性の減損または変更に導かなければ、0質量%〜10質量%の、例えば1質量%〜5質量%の範囲の少量の、ビニル性共重合が可能なさらなるモノマー、例えばヒドロキシル化された(メタ)アクリレートモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレートのようなモノマーが存在することも可能である。しかしながら、ビニル性共重合が可能なそのようなさらなるモノマーが存在しないことが好ましい。
【0099】
アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルは、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートである。
【0100】
アニオン性基またはカルボン酸側基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えばアクリル酸であってよく、好ましくはメタクリル酸である。
【0101】
適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの例
適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
10質量%〜40質量%のアクリル酸またはメタクリル酸、
10質量%〜80質量%のアクリル酸またはメタクリル酸のC4〜C18−アルキルエステル、および任意に
0質量%〜60質量%の架橋性側鎖を有さない別のビニル性モノマー
の混合物から重合された単位を含んでも、該単位を本質的に含んでも、該単位を含有しても、または該単位からなっていてもよい。
【0102】
アクリル酸またはメタクリル酸のC4〜C18−アルキルエステルは、好ましくは、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートから選択される。
【0103】
別のビニル性モノマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸ではないビニル性モノマーまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸のC4〜C18−アルキルエステルである。別のビニル性モノマーは、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C3−アルキルエステルであってよく、それらは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートまたはプロピルメタクリレートである。別のビニル性モノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルメタクリレートまたはスチレンであってよい。
【0104】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
10質量%〜40質量%のアクリル酸またはメタクリル酸、
10質量%〜50質量%のエチルアクリレート、
10質量%〜80質量%のアクリル酸またはメタクリル酸のC4〜C18−アルキルエステル、および任意に
0質量%〜20質量%のメチルメタクリレート
のなかからの重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0105】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
20質量%〜40質量%のメタクリル酸、
20質量%〜40質量%のn−ブチルメタクリレート、および
30質量%〜50質量%のエチルアクリレート
のなかからの重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0106】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
20質量%〜40質量%のメタクリル酸、
30質量%〜50質量%の2−エチルヘキシルアクリレート、
15質量%〜40質量%のエチルアクリレート、および任意に
0質量%〜20質量%のメチルメタクリレート
のモノマー混合物から重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0107】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
10質量%〜40質量%のメタクリル酸、
20質量%〜70質量%の2−エチルヘキシルメタクリレート、および
10質量%〜50質量%のエチルアクリレート
のモノマー混合物から重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0108】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
20質量%〜40質量%のメタクリル酸、
20質量%〜50質量%の2−エチルヘキシルメタクリレート、および
20質量%〜50質量%のエチルアクリレート
のモノマー混合物から重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0109】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
10質量%〜35質量%のメタクリル酸、
40質量%〜70質量%の2−エチルヘキシルメタクリレート、および
10質量%〜30質量%のエチルアクリレート
のモノマー混合物から重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0110】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
20質量%〜40質量%のメタクリル酸、
20質量%〜40質量%のイソデシルメタクリレート、および
40質量%〜50質量%のエチルアクリレート
のモノマー混合物から重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0111】
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、
20質量%〜40質量%のメタクリル酸、
20質量%〜40質量%のラウリルメタクリレート、および
30質量%〜50質量%のエチルアクリレート
のモノマー混合物から重合された単位を含み、該単位を本質的に含み、または該単位を含有している。
【0112】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのさらなる特性
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、特に前記のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのさらなる特性は、以下のようにまとめることができる。
【0113】
好ましくは、(メタ)アクリレートコポリマーは、25℃から120℃までの、または40℃から80℃までの平均ガラス転移温度(DSCによってDIN EN ISO 11357にしたがって測定される)によって特徴付けることができる。好ましくは、(メタ)アクリレートコポリマーは、50℃以下の最低被膜形成温度(DSCによってDIN ISO 2115にしたがって測定される)によって特徴付けることができる。好ましくは、(メタ)アクリレートコポリマーは、80000以上の平均分子量Mw(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPCによって測定される)によって特徴付けることができる。
【0114】
さらなる適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー
適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、40質量%〜60質量%のメタクリル酸および60質量%〜40質量%のメチルメタクリレートまたは60質量%〜40質量%のエチルアクリレートから構成されるコポリマー、またはそれらのなかから構成されるコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)L100またはEUDRAGIT(登録商標)L100−55タイプ)。EUDRAGIT(登録商標)L 30D−55(以前はEUDRAGIT(登録商標)L 30Dと呼ばれた)は、50質量%のエチルアクリレートおよび50質量%のメタクリル酸から重合されたコポリマーの30質量%水性分散液である。腸液または擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH6.0であると示され得る。
【0115】
EUDRAGIT(登録商標)L100−55は、50質量%のエチルアクリレートおよび50質量%のメタクリル酸から重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L30 D−55は、30質量%のEUDRAGIT(登録商標)L100−55を含む分散液である。腸液または擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH5.5であると示され得る。
【0116】
同様に適切なものは、20質量%〜40質量%のメタクリル酸および80質量%〜60質量%のメチルメタクリレートから重合される、またはそれらのなかから重合されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)Sタイプ)。腸液または擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH7.0であると示され得る。
【0117】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、10質量%〜30質量%のメチルメタクリレート、50質量%〜70質量%のメチルアクリレート、および5質量%〜15質量%のメタクリル酸からなるコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。腸液または擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始時のpHは、pH7.0であると示され得る。
【0118】
EUDRAGIT(登録商標)FSは、25質量%のメチルメタクリレート、65質量%のメチルアクリレートおよび10質量%のメタクリル酸から重合される、またはそれらから構成される、もしくはそれらのなかから構成されるコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30質量%のEUDRAGIT(登録商標)FSを含む分散液である。
【0119】
さらに、適切なものは、
20質量%〜34質量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸、
20質量%〜69質量%のメチルアクリレート、および
0質量%〜40質量%のエチルアクリレートおよび/または、適宜、
0質量%〜10質量%の、ビニル性共重合が可能な架橋性側鎖を有さないさらなるモノマー
から構成されていてよいが、ただし、該コポリマーのISO 11357−2のサブセクション3.3.3(中点温度Tmg)によるガラス転移温度は、60℃以下であるものとする。この(メタ)アクリレートコポリマーは、その良好な破断点伸び特性のため、ペレットから錠剤へと圧縮するために特に適している。
【0120】
さらに、適切なものは、
20質量%〜33質量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸、
5質量%〜30質量%のメチルアクリレート、および
20質量%〜40質量%のエチルアクリレートおよび、
10質量%より多くて30質量%までのブチルメタクリレートおよび、適宜、
0質量%〜10質量%の、ビニル性共重合が可能な架橋性側鎖を有さないさらなるモノマー
から構成され、またはそれらのなかから構成されてよく、それらのモノマーの割合は、足し合わせて100質量%となるが、ただし、該コポリマーのISO 11357−2のサブセクション3.3.3(中点温度Tmg)によるガラス転移温度は、55℃〜70℃であるものとする。このタイプのコポリマーは、その良好な機械的特性のため、ペレットから錠剤へと圧縮するために特に適している。
【0121】
上述のコポリマーは、特に、
20質量%〜33質量%の、好ましくは25質量%〜32質量%の、特に好ましくは28質量%〜31質量%のメタクリル酸またはアクリル酸、好ましくはメタクリル酸、
5質量%〜30質量%の、好ましくは10質量%〜28質量%の、特に好ましくは15質量%〜25質量%のメチルアクリレート、
20質量%〜40質量%の、好ましくは25質量%〜35質量%の、特に好ましくは18質量%〜22質量%のエチルアクリレート、および
10質量%より多くて30質量%までの、好ましくは15質量%〜25質量%の、特に好ましくは18質量%〜22質量%のブチルメタクリレート
のラジカル重合された単位から構成されており、ここで、該モノマー組成物は、55℃から70℃までの、好ましくは59℃から66℃までの、特に好ましくは60℃から65℃までのガラス転移温度を有するように選択される。
【0122】
ガラス転移温度は、この関連においては、特にISO 11357−2のサブセクション3.3.3による中点温度Tmgを意味する。測定は、可塑剤を添加せずに、100ppm未満の残留モノマー含量(REMO)で10℃/分の加熱速度で、かつ窒素雰囲気下で行われる。該コポリマーは、好ましくは、本質的ないし排他的に、上述の量の範囲において、90質量%、95質量%、または99質量%〜100質量%のモノマーのメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルメタクリレートからなる。
【0123】
しかしながら、追加的にまた、これが必須の特性の減損に導くわけではなければ、0質量%〜10質量%の、例えば1質量%〜5質量%の範囲の少量の、ビニル性共重合が可能なさらなるモノマー、例えばメチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、ビニルアセテートおよび/またはそれらの誘導体が追加的に存在することも可能である。
【0124】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの製造
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、自体公知のようにしてモノマーのラジカル重合によって(例えば、欧州特許出願公開第0704207号明細書(EP0704207A2)および欧州特許出願公開第0704208号明細書(EP0704208A2)を参照)重合開始剤および任意に分子量調節剤の存在下でのモノマーのラジカル重合によって製造することができる。本発明によるコポリマーは、水相中で、好ましくはアニオン性乳化剤の存在下でラジカル乳化重合によって製造することができる。乳化重合の方法は、例えば独国特許第2135073号明細書(DE−C2135073)に記載されるように良く知られている。アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの平均分子量Mw(例えば、溶液粘度を測定することによって測定される質量平均)は、例えば80000g/molから1000000g/molまでの範囲であってよい。
【0125】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの製造方法
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、重合開始剤の存在下でのモノマーのラジカル重合によって製造され得る。分子量調節剤を添加してよい。好ましい重合法は、乳化重合である。
【0126】
医薬品組成物または栄養機能食品組成物の特性
医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間にわたり40%(容量/容量)エタノールを添加した場合とエタノールを添加していない場合のUSPによる緩衝された媒体中で、10%以下、好ましくは5%以下であることを特徴とし得る。
【0127】
医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間に引き続き、残りの時間にわたってUSPによるpH6.8またはpH7.4の緩衝された媒体で、4時間後に60%未満であり、そして6時間〜10時間後に少なくとも60%であることを特徴とし得る。
【0128】
アルギン酸の塩
アルギン酸の塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウムもしくはアルギン酸アンモニウムまたはそれらの任意の種類の混合物から選択することができる。
【0129】
粘度
アルギン酸の塩は、30センチポアズ(cp)〜720cpの、好ましくは40cp〜450cpの、好ましくは40cp〜400cpの、または好ましくは50cp〜300cpの1%水溶液(質量/質量)の粘度を有してよい([1cP=1mPa・s[mPas])。
【0130】
ポリマー溶液、例えばアルギン酸の塩の溶液の粘度の測定の方法論は、当業者によく知られている。粘度は、好ましくは、欧州薬局方(European Pharmacopeia) 第7版、総則(general chapter)2、分析法(methods of analysis)、2.2.8および2.2.10、第27頁以降にしたがって測定される。その試験は、スピンドル式粘度計を使用して実施される。
【0131】
1%アルギン酸塩溶液の粘度は、3gの生成物を、ビーカー中で250mlの蒸留水へと添加することによってオーバーヘッドスターラーを使用して800rpmで撹拌しながら測定することができる。次いで追加の47mlの水を加えて、ビーカーの壁をすすいだ。2時間にわたり撹拌して、完全な溶液になった後に、粘度は、LV型のブルックフィールド粘度計を使用して25℃(77゜F)で、100cPより大きい粘度を有する試料の場合は2番スピンドルを用いて60rpmで、そして100cPを下回る粘度を有する試料の場合は1番スピンドルを用いて60rpmで測定される。水の重さは25℃であってもほぼ正確に1g/mlであるので、本発明の範囲においては、「質量/質量」は、「質量/容量」と等しいまたは同一であるとみなされる。理論上可能な僅かな差は、微々たるものとみなされる。
【0132】
医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分
コアa)または内側コアa1)は、80質量%までの、60質量%までの、50質量%までの、30質量%までの、5質量%〜95質量%の、10質量%〜70質量%の、25質量%〜60質量%の、30質量%〜55質量%の、30質量%〜50質量%の、10質量%〜30質量%の、5質量%〜20質量%の有効成分(医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分)を含み得る。
【0133】
栄養機能食品
本発明は、好ましくは、栄養機能食品剤形のために有用である。栄養機能食品は、ヒトの健康に医療効果を及ぼすと言われる食品の抽出物として定義することができる。栄養機能食品は、通常は、所定の用量でカプセル剤、錠剤または散剤のような医用形態で含まれる。栄養機能食品のための例は、抗酸化剤としてのブドウ生成物由来のレスベラトロール、可溶性食物繊維生成物、例えば高コレステロール血症を軽減するためのオオバコ種殻、がん予防剤(cancer preservative)としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)である。他の栄養機能食品の例は、フルボノイド(flvonoid)、抗酸化剤、アマニ由来のα−リノレン酸、マリーゴールドの花弁由来のβ−カロテンまたはベリー類由来のアントシアニンである。時として、ノイトラシューティカルズ(neutraceuticals)という表現が、栄養機能食品(nutraceuticals)についての同義語として使用される。
【0134】
胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分を含むコアを含んでいる。該医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分は、pH1.2の胃液の影響下で不活性化され得る医薬品有効成分もしくは栄養機能食品有効成分、または胃内に放出されたときに胃の粘膜を刺激し得る医薬品有効成分もしくは栄養機能食品有効成分であってよい。
【0135】
医薬品有効成分
また本発明は、好ましくは、腸溶性コーティングされた医薬品剤形のために有用である。
【0136】
腸溶性コーティングされた医薬品剤形で使用される治療的クラスおよび化学的クラスの薬剤は、例えば、鎮痛薬、抗生物質もしくは抗感染薬、抗体、抗てんかん薬、植物由来の抗原、抗リウマチ薬、ベータ遮断薬、ベンゾイミダゾール誘導体、ベータ遮断薬、心臓血管薬、化学療法剤、CNS薬、ジギタリス配糖体、胃腸薬、例えばプロトンポンプ阻害薬、酵素、ホルモン、液体または固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、ペプチドホルモンタンパク質、治療用細菌、ペプチド、タンパク質、プロトンポンプ阻害剤、(金属)塩、例えばアスパラギン酸塩、塩化物、オロト酸塩(orthates)、泌尿器薬、ワクチンである。
【0137】
酸不安定性、刺激性であるか、または制御放出が必要な医薬の例は、アカンプロサート、アエシン、アミラーゼ、アセチルサリチル酸、アドレナリン、5−アミノサリチル酸、アウレオマイシン、バシトラシン、バルサラジン、ベータカロテン、ビカルタミド ビサコジル、ブロメライン、ブロメライン、ブデソニド、カルシトニン、カルバマシピン(carbamacipine)、カルボプラチン、セファロスポリン、セトロレリックス、クラリスロマイシン、クロロマイセチン、シメチジン、シサプリド、クラドリビン、クロラゼペート、クロマリン(cromalyn)、1−デアミノシステイン−8−D−アルギニン−バソプレッシン、デラムシクラン、デチレリックス、デクスランソプラゾール、ジクロフェナク、ジダノシン、ジギトキシンおよび他のジギタリス配糖体、ジヒドロストレプトマイシン、ジメチコン、ジバルプロエクス、ドロスピレノン、デュロキセチン、酵素、エリスロマイシン、エソメプラゾール、エストロゲン、エトポシド、ファモチジン、フッ化物、ニンニク油、グルカゴン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、ヒト成長ホルモン(hGH)、イブプロフェン、イラプラゾール、インスリン、インターフェロン、インターロイキン、イントロンA、ケトプロフェン、ランソプラゾール、酢酸ロイプロリド リパーゼ、リポ酸、リチウム、キニン、メマンチン、メサラジン、メトプロロール、コハク酸メトプロロール、メテナミン、ミラメリン、ミネラル類、ミノプラゾール、ナプロキセン、ナタマイシン、ニトロフランチオン(nitrofurantion)、ノボビオシン、オルサラジン、オメプラゾール、オロト酸塩、パンクレアチン、パントプラゾール、パラセタモール、副甲状腺ホルモン、パロキセチン、ペニシリン、ペルプラゾール、ピンドロール、ポリミキシン、カリウム、プラバスタチン、プレドニゾン、プレグルメタシン(preglumetacin) プロガビド、プロソマトスタチン、プロテアーゼ、キナプリル、ラベプラゾール、ラニチジン、ラノラジン、レボキセチン、ルトシド、ソマトスタチン ストレプトマイシン、サブチリン、スルファサラジン、スルファニルアミド、タムスロシン、テナトプラゾール、テオフィリン、トリプシン(thrypsine)、バルプロ酸、バソプレッシン、ビタミン類、亜鉛、それらの塩、誘導体、多形、同形を含み、またはそれらの任意の種類の混合物もしくはそれらの組み合わせであってよい。
【0138】
医薬品組成物または栄養機能食品組成物の特性
本明細書に開示される医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、被覆錠剤、被覆小型錠剤、被覆ペレット剤、被覆顆粒剤、サシェ剤、被覆ペレットもしくは粉末もしくは顆粒で充填されたカプセル剤、または被覆ペレットもしくは粉末もしくは顆粒で充填された被覆カプセル剤であってよい。
【0139】
被覆錠剤という用語は、ペレットを収容した錠剤または圧縮錠剤を含み、その用語は当業者によく知られている。そのような錠剤は、例えば約5mm〜25mmのサイズを有してよい。通常は、定義された複数個の小さい有効成分含有ペレットを、その中に結合用賦形剤と一緒に圧縮して、よく知られた錠剤形が得られる。経口摂取と体液との接触の後に、該錠剤形は崩壊し、それらのペレットが放出される。圧縮錠剤は、経口摂取用の単独投与形の利点と、複数の剤形の利点、例えば投与量精度とを兼ね備える。
【0140】
被覆小型錠剤という用語は、当業者によく知られている。小型錠剤は、古典的な錠剤よりも小さく、約1mm〜4mmのサイズを有してよい。小型錠剤は、ペレットのように、複数投与で使用されるべき単独投与形である。同じサイズであってよい複数のペレットと比較して、小型錠剤は、通常は、より正確かつより均一に被覆することができるより規則的な表面を有するという利点を有する。複数の小型錠剤を、カプセル中、例えばゼラチンカプセル中に封入して提供することができる。そのようなカプセルは、経口摂取と胃液または腸液と接触した後に崩壊し、それらの小型錠剤が放出される。小型錠剤のもう一つの応用例は、有効成分投与量の個々の微調整である。この場合に、患者は、治療する疾患の重症度に直接適合するが、その個々の体重にも適合する規定数の小型錠剤を経口摂取し得る。小型錠剤は、先に論じられたペレット含有圧縮錠剤とは異なる。
【0141】
サシェという用語は、当業者によく知られている。それは、有効成分を、しばしばペレット含有液体形で、または乾燥ペレット形もしくは粉末形で含有する小さい封止された包装を指す。サシェ自身は、経口摂取されることが意図されない包装形であるにすぎない。サシェの内容物は、水中に溶解されてよく、または有利な特徴としては、さらなる液体を直接的に用いずに吸い込むまたは経口摂取することができる。その特徴は、水が手に入らない状況で該投与形を経口摂取すべき場合に患者にとって有利な特徴である。サシェは、錠剤、小型錠剤またはカプセル剤に代わる投与形である。
【0142】
被覆ペレットは、カプセル中に、例えばゼラチンカプセルまたはHPMCカプセル中に充填されてよい。ペレットを収容するカプセルは、本発明により腸溶コーティング層でコーティングされていてもよい。
【0143】
胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、好ましくは水性コーティング溶液、懸濁液または分散液の形で存在する。該溶液、懸濁液または分散液の乾燥質量含有量は、10%〜50%の範囲、好ましくは15%〜35%の範囲であってよい。
【0144】
医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤
前記医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、酸化防止剤、増白剤、結合剤、フレーバリング剤、流動助剤、芳香剤、滑沢剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、アルギン酸の塩とは異なり、かつ水不溶性ポリマーもしくはセルロース性ポリマーとは異なるポリマー、孔形成剤もしくは安定化剤またはそれらの組合せ物を含んでよい。該医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、コア中に、および/または内側コーティング層中に、および/または外側コーティング層中に含まれていてよい。
【0145】
コアa)、コーティング層b)および/またはコーティング層c)は、該医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含んでよく、該賦形剤は、必須成分、例えば医薬品有効成分もしくは栄養機能食品有効成分、水不溶性ポリマー、アルギン酸の塩またはアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのそれぞれと足し合わせて100%となり得る。
【0146】
コアa)、コーティング層b)および/またはコーティング層c)は、90質量%までの、80質量%までの、70質量%までの、60質量%までの、50質量%までの、40質量%までの、30質量%までの医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含み得る。
【0147】
医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤は、酸化防止剤、増白剤、結合剤、フレーバリング剤、流動助剤、芳香剤、滑沢剤、浸透促進剤、ポリマー(アルギン酸の塩とは異なり、かつアニオン性側基を含むポリマーまたはコポリマーとは異なる;賦形剤ポリマーは、例えば架橋されたポリビニルピロリドンのような崩壊剤であってよい)、顔料、可塑剤、細孔形成剤もしくは安定化剤またはそれらの組合せ物の群から選択することができる。
【0148】
医薬品形または栄養機能食品形の製造方法
本明細書に開示される医薬品組成物または栄養機能食品組成物の適切な製造方法は、有効成分を含むコアを、直接的な圧縮により、乾燥顆粒、湿潤顆粒もしくは焼結顆粒の圧縮により、押出に引き続いての丸み付けにより、湿式造粒もしくは乾式造粒により、直接的なペレット化により、または有効成分不含のビーズもしくは中性コアもしくは有効成分含有粒子上に粉末を結合させることにより成形し、そして内側コーティング層と外側コーティング層を水性分散液もしくは有機溶液の形で噴霧法もしくは流動床噴霧造粒法によって塗布することによって行うことができる。
【0149】
トップコートおよびサブコート
本明細書に開示される医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、さらにサブコートもしくはトップコートまたはその両方でコーティングされていてよい。
【0150】
コアと内側コーティング層との間にはサブコートが配置されていてもよい。サブコートは、コアの物質を、互いに非相容性であり得る制御層の物質から隔離する機能を有してもよい。該サブコートは、実質的に有効成分の放出特性に影響を及ぼさない。サブコートは、好ましくは実質的に水溶性であり、例えばサブコートは、被膜形成剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような物質からなっていてよい。該サブコート層の平均厚さは、非常に薄く、例えば15μm以下、好ましくは10μm以下である。
【0151】
前記外側コーティング層の上には、トップコートが配置されていてよい。トップコートも、好ましくは実質的に水溶性である。トップコートは、医薬品形もしくは栄養機能食品形を着色する機能、または環境的影響から、例えば貯蔵の間の湿分から保護する機能を有してよい。該トップコートは、バインダー、例えば水溶性ポリマー、例えば多糖もしくはHPMCまたは糖化合物、例えばショ糖からなっていてよい。該トップコートは、さらに、医薬品用または栄養機能食品用の賦形剤、例えば顔料または滑沢剤を多量に含有してよい。該トップコートは、実質的に放出特性に影響を及ぼさない。
【0152】
サブコートおよびトップコートという表現は、当業者によく知られている。
【0153】
ペレット/顆粒/錠剤/小型錠剤/サシェ/カプセル剤
医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、被覆錠剤、被覆小型錠剤、被覆ペレット剤、被覆顆粒剤、サシェ、被覆ペレットもしくは粉末もしくは顆粒で充填されたカプセル剤、または被覆ペレットもしくは粉末もしくは顆粒で充填された被覆カプセル剤であってよい。
【0154】
ペレットまたは顆粒は、コアとして、または圧縮錠剤において使用することができる。おおざっぱな見積もりとして、ペレットは、50μm〜2000μmの範囲のサイズ(平均直径)を有し得るが、被覆錠剤は、2000μmを上回り25mmまでの範囲のサイズ(直径または長さ)を有し得る。通常は、ペレットコアのサイズが小さくなれば、ペレットのコーティングの増量がより高く必要とされると言うことができる。これは、ペレットの表面積が錠剤と比較して大きいためである。
【0155】
ペレット含有錠剤または圧縮錠剤という用語は、当業者によく知られている。そのような錠剤は、例えば約5mm〜25mmのサイズを有してよい。通常は、定義された複数個の小さい有効成分含有ペレットを、その中に結合用賦形剤と一緒に圧縮して、よく知られた錠剤形が得られる。経口摂取と体液との接触の後に、該錠剤形は崩壊し、それらのペレットが放出される。圧縮錠剤は、経口摂取用の単独投与形の利点と、複数の剤形の利点、例えば投与量精度とを兼ね備える。錠剤コーティングにおいては、ペレットとは異なり、比較的少量の賦形剤、好ましくはタルクが、しかしまた他の賦形剤も使用することができる。
【0156】
「小型錠剤」という用語は、当業者によく知られている。小型錠剤は、古典的な錠剤よりも小さく、約1mm〜4mmのサイズを有してよい。小型錠剤は、ペレットのように、複数投与で使用されるべき単独投与形である。同じサイズであってよい複数のペレットと比較して、小型錠剤は、通常は、より正確かつより均一に被覆することができるより規則的な表面を有するという利点を有する。複数の小型錠剤を、カプセル中、例えばゼラチンカプセル中に封入して提供することができる。そのようなカプセルは、経口摂取および胃液または腸液と接触した後に崩壊し、それらの小型錠剤が放出される。小型錠剤のもう一つの応用例は、有効成分投与量の個々の微調整である。この場合に、患者は、治療する疾患の重症度に直接適合するが、その個々の体重にも適合する規定数の小型錠剤を経口摂取し得る。小型錠剤は、先に論じられたペレット含有圧縮錠剤とは異なる。
【0157】
サシェという用語は、当業者によく知られている。それは、有効成分を、しばしばペレット含有液体形で、または乾燥ペレット形もしくは粉末形で含有する小さい封止された包装を指す。サシェ自身は、経口摂取されることが意図されない包装形であるにすぎない。サシェの内容物は、水中に溶解されてよく、または有利な特徴としては、さらなる液体を直接的に用いずに吸い込むまたは経口摂取することができる。その特徴は、水が手に入らない状況で該投与形を経口摂取すべき場合に患者にとって有利な特徴である。サシェは、錠剤、小型錠剤またはカプセル剤に代わる投与形である。
【0158】
「カプセル」という用語は、当業者によく知られている。カプセルは、サシェと同様に、ペレットを含有する液体のための、または乾燥ペレットもしくは粉末のための容器である。しかしながら、サシェとは異なって、カプセルは、医薬品に許容可能な賦形剤、例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースからなり、錠剤と同様に経口摂取されることが意図される。該カプセルは、経口摂取および胃液または腸液と接触した後に崩壊し、そして収容されている多数のユニットが放出される。医薬品目的のためのカプセルは、種々の標準的なサイズで市販されている。
【0159】
使用
本明細書に記載される医薬品組成物または栄養機能食品組成物は、エタノールの影響に対する耐性を有する胃液耐性の持続放出性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物として使用することができる。
【0160】
項目
本出願は、以下の項目に関する:
項目1:
有効成分および水不溶性ポリマーを含むコアa)と、
アルギン酸の塩を含む、コアa)上のコーティング層b)と、
(メタ)アクリレートモノマー混合物の全質量に対して5質量%〜75質量%のアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物から重合されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含む、コーティング層b)上のコーティング層c)と
を含む医薬品組成物または栄養機能食品組成物であって、
コアa)中の水不溶性ポリマーの量は、コアa)の質量に対して2質量%〜50質量%であり、かつ
コーティング層b)中のアルギン酸の塩の量は、コアa)の質量に対して5質量%〜85質量%であり、かつ
コーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量は、コアa)の質量およびコーティング層b)の質量に対して10質量%〜75質量%であり、
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して5質量%〜40質量%である場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも50%となるか、または
コーティング層c)中に含まれるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーのアニオン性基を有する重合されたモノマーの量が、重合されたモノマーの全質量に対して40質量%より多くて75質量%までである場合に、コアa)の質量に対するコーティング層b)中のアルギン酸の塩の量の百分率と、コアa)およびコーティング層b)の質量に対するコーティング層c)中のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの量の百分率は、足し合わせて少なくとも60%となる医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0161】
項目2:
コアa)は、有効成分を含む内側コアa1)および水不溶性ポリマーを含むコーティング層a2)を含み、ここでコーティング層a2)は、内側コアa1)の上であり、かつコーティング層b)の下にある、項目1に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0162】
項目3:
水不溶性ポリマーは、ビニルポリマーもしくはビニルコポリマーの群から、または水不溶性セルロースの群から選択される、項目1または2に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0163】
項目4:
水不溶性ポリマーは、(メタ)アクリレートコポリマーである、項目1から3までのいずれかに記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0164】
項目5:
水不溶性ポリマーは、88質量%〜98質量%の(メタ)アクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルおよび2質量%〜12質量%のアルキル基中に第四級アンモニウム基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物から重合される(メタ)アクリレートコポリマーである、項目4に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0165】
項目6:
水不溶性ポリマーは、95質量%より多く100質量%までの(メタ)アクリル酸のC1〜C4−アルキルエステルおよび0質量%から5質量%未満までのアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物から重合される(メタ)アクリレートコポリマーである、項目4に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0166】
項目7:
コーティング層b)のために使用されるアルギン酸の塩は、30cP〜720cPの1%水溶液(質量/質量)中での粘度を有する、項目1から6までのいずれかに記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0167】
項目8:
アルギン酸の塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸リチウムもしくはアルギン酸アンモニウムまたはそれらの任意の混合物から選択される、項目1から7までのいずれかに記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0168】
項目9:
医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間にわたり40%(容量/容量)エタノールを添加した場合とエタノールを添加していない場合のUSPによる媒体中で、10%以下である、項目1から8までのいずれかに記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0169】
項目10:
医薬品有効成分または栄養機能食品有効成分の放出が、pH1.2のインビトロ条件下で2時間に引き続き、残りの時間にわたってUSPによるpH6.8またはpH7.4の緩衝された媒体で、4時間後に60%未満であり、そして6時間〜10時間後に少なくとも60%である、項目1から9までのいずれかに記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0170】
項目11:
コアa)、コーティング層b)および/またはコーティング層c)は、80質量%までの医薬品または栄養機能食品に許容可能な賦形剤を含む、項目1から10までのいずれかに記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物。
【0171】
項目12:
有効成分を含むコアを、直接的な圧縮により、乾燥顆粒、湿潤顆粒もしくは焼結顆粒の圧縮により、押出に引き続いての丸み付けにより、湿式造粒もしくは乾式造粒により、直接的なペレット化により、または有効成分不含のビーズもしくは中性コアもしくは有効成分含有粒子上に粉末を結合させることにより成形し、そして内側コーティング層と外側コーティング層を水性分散液もしくは有機溶液の形で噴霧法もしくは流動床噴霧造粒法によって塗布することによって行われる、項目1から11までの1つ以上に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物の製造方法。
【0172】
項目13:
項目1から11までの1つ以上に記載の医薬品組成物または栄養機能食品組成物の、エタノールの影響に対する耐性を有する持続放出性の胃液耐性の医薬品組成物または栄養機能食品組成物としての使用。
【0173】
実施例
分析方法
溶出媒体の調製
0.1NのHCl、pH6.8のバッファーおよびpH7.4のバッファーの調製:USPによる
40%のアルコール性のHCl(アルコール性媒体)の調製
正確に測定した400mlのエタノールを、600mlの0.1NのHClに添加し、混合した。
【0174】
EUDRAGIT(登録商標)L30D55でコーティングされたペレットについての溶出パラメータ
【表1】
【0175】
EUDRAGIT(登録商標)FS30Dでコーティングされたペレットについての溶出パラメータ
【表2】
【0176】
コハク酸メトプロロール
アッセイ法: コハク酸メトプロロールのペレットのアッセイを、クロマトグラフィーによって検出した。
【0177】
クロマトグラフィー条件、バッファーおよび標準溶液の調製: USPによる
試料溶液の調製: 100mgのコハク酸メトプロロールに相当する粉末を正確に量り、100ml容量のフラスコ中に移した。5mlの水および30mlのエタノールを添加し、間に振り混ぜながら60分間にわたり超音波処理し、それに続いて25mLの0.1NのHClを添加し、再び30分間にわたり超音波処理し、室温に冷却し、そして容量は0.1NのHClで標線にまで補った。3mlのこの溶液を、移動相で50.0mlにまで希釈した。該試料溶液を、0.45μナイロンフィルタを通して濾過した。
【0178】
手順: 等容量のブランク調製物、標準調製物および試料調製物を別々に注入した。
【0179】
溶出法: コハク酸メトプロロールのペレットの溶出を、クロマトグラフィーによって検出した。
【0180】
EUDRAGIT(登録商標)L30D55でコーティングされたペレットについて
溶出パラメータおよび媒体の調製: 先に述べたのと同じ
クロマトグラフィー条件: USPによる
標準ストック溶液の調製: 47.5mgのコハク酸メトプロロールの作業標準を正確に量り、50ml容量のフラスコ中に移した。約25mlのメタノールを添加し、超音波処理にかけて溶解させた後に、水で標線にまで補った。
【0181】
酸段階の標準溶液の調製: 5mLの標準ストック溶液を、0.1NのHClまたは40%のアルコール性HClで25mlにまで希釈した。
【0182】
バッファー段階の標準溶液(pH6.8のバッファー)の調製: 10mLの標準ストック溶液を、pH6.8のバッファーで25mlにまで希釈した。
【0183】
試料溶液の調製: それぞれ190mg当量のコハク酸メトプロロールのペレットを量り、6つの溶出ジャーに移し、溶出試験を、前記方法に示されるパラメータにより実施した。この試料溶液を、0.45μmのナイロンメンブレンシリンジフィルタを通して、最初の2mLの濾液は破棄して濾過した。濾液を試料として使用した。
【0184】
手順: 溶出装置を、パラメータによって設定した。190mg当量のコハク酸メトプロロールを移し、溶出を実施した。
【0185】
EUDRAGIT(登録商標)FS30Dでコーティングされたペレットについて
溶出パラメータおよび媒体の調製: 先に述べたのと同じ
クロマトグラフィー条件: USPによる
標準ストック溶液の調製: 47.5mgのコハク酸メトプロロールの作業標準を正確に量り、50ml容量のフラスコ中に移した。約25mlのメタノールを添加し、超音波処理にかけて溶解させた後に、水で標線にまで補った。
【0186】
酸段階の標準溶液の調製: 5mLの標準ストック溶液を、0.1NのHClまたは40%のアルコール性HClで25mlにまで希釈した。
【0187】
バッファー段階1の標準溶液(pH6.8のバッファー)の調製: 10mLの標準ストック溶液を、pH6.8のバッファーで25mlにまで希釈した。
【0188】
バッファー段階2の標準溶液(pH7.4のバッファー)の調製: 10mLの標準ストック溶液を、pH7.4のバッファーで25mlにまで希釈した。
【0189】
試料溶液の調製: それぞれ190mg当量のコハク酸メトプロロールのペレットを量り、6つの溶出ジャーに移し、溶出試験を、前記方法に示されるパラメータにより実施した。この試料溶液を、0.45μmのナイロンメンブレンシリンジフィルタを通して、最初の2mLの濾液は破棄して濾過した。濾液を試料として使用した。
【0190】
手順: 溶出装置を、パラメータによって設定した。190mg当量のコハク酸メトプロロールを移し、溶出を実施した。
【0191】
アセトアミノフェン
アッセイ法: アセトアミノフェンのアッセイを、クロマトグラフィーによって検出した。
【0192】
クロマトグラフィー条件
カラム: Agilent Zorbax C18カラム、150×4.6mm、5μmまたは同等
カラム温度: 25℃
注入容量: 20μL
波長: 295nm
実行時間: 6.0分
保持時間: 約2.3分
流速: 1.0mL/分。
【0193】
移動相の調製: 水:メタノール:溶液Aの70:30:1の比率の混合物を調製した。
【0194】
溶液Aの調製: リン酸および水の1:9の比率の混合物を調製した。
【0195】
標準溶液の調製: 約30.0mgのアセトアミノフェンの作業標準を正確に量り、50ml容量のフラスコ中に移した。約25mlの水を添加し、超音波処理にかけて溶解させた後に、水で標線にまで補った。10mlのこの溶液を、移動相で25mlにまで希釈した。
【0196】
試料溶液の調製: 120mgのアセトアミノフェンに相当するペレットを正確に量り、200ml容量のフラスコ中に移した。100mlの希釈剤を添加し、60分間にわたり超音波処理した。室温に冷却させ、容量を希釈剤で標線にまで補った。10mlのこの溶液を、移動相で25mlにまで希釈した。該試料溶液を、0.45μmナイロンフィルタを通して濾過した。
【0197】
希釈剤: 水およびメタノールの70:30の比率の混合物を調製した。
【0198】
手順: 等容量のブランク調製物、標準調製物および試料調製物を別々に注入した。
【0199】
溶出法: アセトアミノフェンペレットの溶出を、クロマトグラフィーによって検出した。
【0200】
EUDRAGIT(登録商標)L30D55でコーティングされたペレットについて
溶出パラメータおよび媒体の調製: 先に述べたのと同じ
クロマトグラフィー条件: クロマトグラフィー条件は、アッセイにおいて述べたのと同じであった。
【0201】
標準ストック溶液の調製: 約30.0mgのアセトアミノフェンの作業標準を正確に量り、50ml容量のフラスコ中に移した。約25mlの水を添加し、超音波処理にかけて溶解させた後に、水で標線にまで補った。
【0202】
酸段階のための標準の調製: 5mlのストック溶液を溶出媒体で25mlにまで希釈した。
【0203】
バッファー段階のための標準の調製: 10mlのストック溶液を溶出媒体で25mlにまで希釈した。
【0204】
試料溶液の調製: 120mgのアセトアミノフェンに相当するペレットを正確に量り、6つの溶出ジャー中に移し、溶出試験を、前記方法に示されるパラメータにより実施した。この試料溶液を、0.45μmのナイロンメンブレンシリンジフィルタを通して、最初の2mLの濾液は破棄して濾過した。濾液を試料として使用した。
【0205】
手順: 溶出装置を、パラメータによって設定した。120mgのアセトアミノフェンに相当するペレットを、それぞれの溶出容器中に添加し、溶出試験を実施した。
【0206】
EUDRAGIT(登録商標)FS30Dでコーティングされたペレットについて
溶出パラメータおよび媒体の調製: 先に述べたのと同じ
クロマトグラフィー条件: クロマトグラフィー条件は、アッセイにおいて述べたのと同じであった。
【0207】
標準ストック溶液の調製: 約30.0mgのアセトアミノフェンの作業標準を正確に量り、50ml容量のフラスコ中に移した。約25mlの水を添加し、超音波処理にかけて溶解させた後に、水で標線にまで補った。
【0208】
酸段階のための標準の調製: 5mlのストック溶液を溶出媒体で25mlにまで希釈した。
【0209】
バッファー段階1のための標準溶液(pH6.8のバッファー)の調製: 10mLの標準ストック溶液を、pH6.8のバッファーで25mlにまで希釈した。
【0210】
バッファー段階2のための標準溶液(pH7.4のバッファー)の調製: 10mLの標準ストック溶液を、pH7.4のバッファーで25mlにまで希釈した。
【0211】
試料溶液の調製: 120mgのアセトアミノフェンに相当するペレットを正確に量り、6つの溶出ジャー中に移し、溶出試験を、前記方法に示されるパラメータにより実施した。この試料溶液を、0.45μmのナイロンメンブレンシリンジフィルタを通して、最初の2mLの濾液は破棄して濾過した。濾液を試料として使用した。
【0212】
手順: 溶出装置を、パラメータによって設定した。120mgのアセトアミノフェンに相当するペレットを、それぞれの溶出容器中に添加し、溶出試験を実施した。
【0213】
製剤化の詳細
成分の一覧
第1表: 成分の一覧
【表3】
【0214】
特に記載がない限り、配合表中の数値は、グラムに対するものである。
【0215】
【表4】
【0216】
【表5】
【0217】
ステップI: コーティング試験のためのコハク酸メトプロロールのペレット(16番/20番)の調製
手順:
1)コハク酸メトプロロール、Avicel PH 101および微結晶性セルロースCL611を、40番の篩いを通して篩いにかけ、RMG中で20分間にわたって低速で混合した。
2)水をステップ1にRMG中で低速で混合しながら添加したが、全ての水を3分で添加した。湿った材料をRMG中で低速で2分間にわたってチョッパーを低速で2分間にわたって始動させて混合した。
3)ステップ2からの湿った材料を、反時計回りのスクリュー回転および1mmのスクリーンを有する単軸スクリュー押出機を使用して押し出した。スクリュー速度は、50rpmであり、押出圧力は、2.1bar〜2.6barであった。
4)ステップ3の押出物を、1700rpm〜1800rpmで5.0分間にわたり球形化することで、ペレットを得た。
5)ペレットを50℃で、ペレットのLODが105℃で2%未満に至るまで乾燥させた。
【0218】
ステップII: メトプロロールのペレット上でのEUDRAGIT(登録商標)RS30Dのコーティング
手順:
1. タルクおよびTECを、水中で20分間にわたって均質化した。
2. 次いでタルク分散液を、EUDRAGIT RS30D分散液に撹拌しながら添加した。
3. 調製された分散液を、撹拌しながら15分間にわたって混合した。
4. 分散液を、60番の篩いを通じて濾過し、コーティング試験のために採取した。
5. コーティングされたペレットを、棚段乾燥機中で40℃で2時間にわたり硬化させた。
製造過程のパラメータおよび機械パラメータを、以下の表に示す。
【0219】
第4表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表6】
【0220】
ステップIII: 内側のEudragit RSコートおよび外側のEudragit FS/Lコートの間のアルギン酸ナトリウムコーティング
コア: EUDRAGIT(登録商標)RSでコートされたコハク酸メトプロロールのペレット
手順:
1. タルクを1/10量の水中で20分間にわたって均質化した。
2. アルギン酸ナトリウムを残留水中で30分間にわたって溶解させた。
3. 次いでタルク分散液を、アルギン酸ナトリウム分散液に撹拌しながら添加した。
4. 調製された分散液を、撹拌しながら15分間にわたって混合した。
5. 分散液を、60番の篩いを通じて濾過し、コーティング試験のために採取した。
製造過程のパラメータおよび機械パラメータを、以下の表に示す。
【0221】
第5表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表7】
【0222】
ステップIV A: Eudragit(登録商標)RSおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)FSのコーティング
手順:
1. タルクおよびTECを水中で20分間にわたって均質化した。
2. 次いでタルク分散液を、EUDRAGIT FS 30D分散液に撹拌しながら添加した。
3. 調製された分散液を、撹拌しながら15分間にわたって混合した。
4. 分散液を、60番の篩いを通じて濾過し、コーティング試験のために採取した。
製造過程のパラメータおよび機械パラメータを、以下の表に挙げる。
【0223】
第6表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表8】
【0224】
ステップIV B: Eudragit(登録商標)RSおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)Lのコーティング
手順:
1. タルクおよびTECを水中で20分間にわたって均質化した。
2. 次いでタルク分散液を、EUDRAGIT L30D−55分散液に撹拌しながら添加した。
3. 調製された分散液を、撹拌しながら15分間にわたって混合した。
4. 分散液を、60番の篩いを通じて濾過し、コーティング試験のために採取した。
5. ペレットを、Huttlinの容器に移し、コーティングを開始した。
製造過程のパラメータおよび機械パラメータを、以下の表に挙げる。
【0225】
第7表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【表11】
【0228】
ステップI: コーティング試験のためのコハク酸メトプロロールのペレット(16番/20番)の調製
手順は、先のセクションにおいてメトプロロールのペレットについて述べたのと同じである。
【0229】
ステップII: メトプロロールのペレット上でのEUDRAGIT(登録商標)NEのコーティング
手順:
1. タルクを1部の水中で20分間にわたり均質化し、そしてHPC−LMをさらなる1部中に溶解させた。
2. Eudragit NM 30DをHPC−LM溶液に撹拌しながら添加した。
3. タルク分散液をステップ2の分散液に添加し、撹拌を15分間にわたり継続した。
4. ステップ4の分散液を、60番の篩いを通じて濾過し、コーティング試験のために採取した。
5. コーティングされたペレットを、棚段乾燥機中で50℃で24時間にわたり硬化させた。
製造過程のパラメータおよび機械パラメータを、以下の表に示す。
【0230】
第11表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表12】
【0231】
ステップIII: 5%EUDRAGIT(登録商標)NEでコーティングされたメトプロロールのペレット上でのアルギン酸ナトリウムのコーティング
製剤の組成およびアルギン酸ナトリウム分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0232】
第12表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表13】
【0233】
ステップIIIa: EUDRAGIT(登録商標)NEおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)Lのコーティング
製剤の組成およびEudragit L分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0234】
第13表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表14】
【0235】
ステップIIIb: EUDRAGIT(登録商標)NEおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)FSのコーティング
Eudragit FS分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0236】
第14表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表15】
【0237】
ステップIIIc: EUDRAGIT(登録商標)NEおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)Sのコーティング
製剤の組成およびEudragit S分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0238】
第15表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表16】
【0239】
結果と考察:
第16表: 溶出プロフィール
【表17】
【0240】
III. コーティング層a2)中のエチルセルロースを有するバッチ
第17表: 例F28〜例F29、製剤の組成
【表18】
【0241】
ステップI: コーティング試験のためのコハク酸メトプロロールのペレット(16番/20番)の調製
手順は、先のセクションにおいてメトプロロールのペレットについて述べたのと同じである。
【0242】
ステップII: メトプロロールのペレット上でのエチルセルロースのコーティング
手順:
1. IPA:アセトン(70:30)を取り、そこにジブチルセバケートを撹拌しながら添加した。
2. HPC−LMに続き、エチルセルロースをステップ1の溶液中に撹拌しながら溶解した。
3. ステップ2の溶液を、コーティング試験のために採取した。
4. プロセス中に乾燥を50℃で30分間にわたって行った。
5. 製造過程のパラメータおよび機械パラメータを、以下の表に示す。
【0243】
第18表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表19】
【0244】
ステップIII: 10%エチルセルロースでコーティングされたメトプロロールのペレット上でのアルギン酸ナトリウムのコーティング
製剤の組成およびアルギン酸ナトリウム分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0245】
第19表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表20】
【0246】
ステップIIIa: エチルセルロースおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)Lのコーティング
製剤の組成およびEudragit L分散液の調製についての手順は、先のセクションと同じである。
【0247】
第20表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表21】
【0248】
ステップIIIb: エチルセルロースおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)FSのコーティング
EUDRAGIT(登録商標)FS分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0249】
第21表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表22】
【0250】
結果と考察:
第22表: 例F28および例F29、溶出プロフィール
製剤F28およびF29は、2時間の時間において40%アルコール性の0.1NのHCl中で10%未満の薬剤を放出し、したがってアルコール耐性が得られる。
【0251】
【表23】
【0252】
モデル薬剤としてアセトアミノフェンを有する製剤の例
第23表: 例F30〜F32、製剤の組成
【表24】
【0253】
ステップI: コーティング試験のためのアセトアミノフェンのペレット(16番/20番)の調製
手順および方法のパラメータ
先のセクションにおいてメトプロロールのペレットについて述べたのと同じである。
【0254】
ステップII: アセトアミノフェンペレット(16番/20番)上でのEUDRAGIT(登録商標)RSのコーティング
製剤の組成およびEudragit(登録商標)RS分散液についての手順は、先のメトプロロールのセクションで述べたのと同じである。
【0255】
第24表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表25】
【0256】
ステップIII: 15%EUDRAGIT(登録商標)RSでコーティングされたアセトアミノフェンペレット上での10%および30%のアルギン酸ナトリウムのコーティング
製剤の組成およびアルギン酸ナトリウム分散液についての手順は、メトプロロールの先のセクションで述べたのと同じである。
【0257】
第25表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表26】
【0258】
ステップIIIa: EUDRAGIT(登録商標)RSおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)Lのコーティング
製剤およびEudragit L分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0259】
第26表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表27】
【0260】
ステップIIIb: EUDRAGIT(登録商標)RSおよびアルギン酸ナトリウムでコーティングされたペレット上のEUDRAGIT(登録商標)FSのコーティング
製剤の組成およびEUDRAGIT(登録商標)FS分散液の調製についての手順は、先のセクションで述べたのと同じである。
【0261】
第27表: 製造過程のパラメータおよび機械パラメータ
【表28】
【0262】
結果と考察:
第28表: 溶出プロフィール
【表29】