(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所在人数予測手段は、前記変動モデルから得られる予測当日の予測時点以降における前記エリアの所在人数の予測値及び前記スケジュール情報から得られる予測当日の予測時点以降における前記エリアの所在人数の予測値に対して前記寄与度に応じた重み付けを行って前記エリアの所在人数の予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載の所在人数予測装置。
前記寄与度決定手段は、前記スケジュール情報取得手段により取得されたスケジュール情報に基づき寄与度を決定することを特徴とする請求項1に記載の所在人数予測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、各利用者のスケジュール情報は、各利用者が予定を登録することで作成される。つまり、スケジュール情報に基づき所在人数を予測する従来技術においては、スケジュール情報の登録漏れや登録ミスによって所在人数に予測誤差が発生しうる。そして、スケジュール情報は、利用者によって設定される情報であることから、所在人数の予測誤差を抑制するために変更できるような情報ではない。
【0006】
これに対し、変動モデルに基づき所在人数を予測する従来技術では、所在人数の実績情報に基づき作成されるので、精度上、優れているようにも考えられる。
【0007】
しかしながら、例外的な人数変動が生じるようなイベントが予定されている日においては、予測誤差が大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、変動モデルに基づく所在人数の予測とスケジュール情報に基づく所在人数の予測とを有機的に結合することで、例外的な人数変動が生じるような日における所在人数の予測誤差を抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る所在人数予測装置は、建物内の所定のエリアの所在人数を取得する所在人数取得手段と、前記エリアを利用する利用者のスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得手段と、予測当日の前記エリアの所在人数の予測におけるスケジュール情報の寄与度を決定する寄与度決定手段と、
前記所在人数取得手段により取得された予測当日における前記エリアの所在人
数と、前記寄与度決定手段により決定された寄与度と、スケジュール情報
と、前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデ
ルと、に基づいて予測当日の予測時点以降における前記エリアの所在人数の予測値を算出する所在人数予測手段と、を有するものである。
【0010】
また、前記所在人数予測手段は、前記変動モデルから得られる予測当日の予測時点以降における前記エリアの所在人数の予測値及び前記スケジュール情報から得られる予測当日の予測時点以降における前記エリアの所在人数の予測値に対して前記寄与度に応じた重み付けを行って前記エリアの所在人数の予測値を算出するものである。
【0011】
また、前記寄与度決定手段は、前記スケジュール情報取得手段により取得されたスケジュール情報に基づき寄与度を決定するものである。
【0012】
また、前記寄与度決定手段は、前記変動モデルの作
成期間に
対応する期間のスケジュール情報に基づき当該期間において基準となるスケジュール情報を作成し、予測当日のスケジュール情報と前記基準となるスケジュール情報との差異に基づき寄与度を決定するものである。
【0013】
また、前記寄与度決定手段は、予測当日における前記エリアの所在人
数及び前記変動モデルから得られる予測当日の予測時点までの予測値との差異に基づき寄与度を決定するものである。
【0014】
また、前記寄与度決定手段により決定された寄与度が所定値を超えた
日を除く前記エリアの所在人
数を用いて前記変動モデルを作成する変動モデル作成手段を有するものである。
【0015】
本発明に係る設備管理システムは、上記記載の所在人数予測装置と、前記所在人数予測装置により予測された前記エリアの所在人数に基づき前記建物内に設置された設備の管理を行う設備管理装置と、を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、変動モデルに基づく所在人数の予測とスケジュール情報に基づく所在人数の予測とを有機的に結合することで、例外的な人数変動が生じるような日における所在人数の予測誤差を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る設備管理システムの一実施の形態を示した全体構成図である。本実施の形態における設備管理システムは、ビル1内に構築される。本実施の形態では、建物として複数階建てのビル1を想定して説明する。ビル1の各階が本発明におけるエリアに相当する。各ビル1は、説明の便宜上、一企業が独占して使用しているものとする。ビル1には、当該企業で従事する従業員や訪問者が出入りすることになるが、本実施の形態では、各階にいる人の人数を当該階の「所在人数」と称している。
【0020】
ビル1には、本実施の形態における所在人数予測装置10と設備管理装置2とスケジュール管理サーバ3とがネットワーク4に接続された構成が設置される。設備管理装置2は、所在人数予測装置10により予測されたエリアの所在人数に基づき建物内に設置された設備の管理を行う。スケジュール管理サーバ3は、ビル1で従事する各従業員のスケジュール情報を一括して管理する。スケジュール情報は、汎用的なスケジュール管理アプリケーションを利用してよい。ただ、そのアプリケーションは、スケジュール管理対象の会議等のイベントの開始及び終了時刻や開催される階を特定しうる機能を有している必要がある。
【0021】
図2は、本実施の形態における所在人数予測装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において所在人数予測装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、所在人数予測装置10は、
図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示手段として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。設備管理装置2も同様にコンピュータで実現することから、そのハードウェア構成は
図2と同様に図示できる。
【0022】
図3は、本実施の形態における所在人数予測装置10のブロック構成図である。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については
図3から省略している。本実施の形態における所在人数予測装置10は、所在人数取得部11、スケジュール情報取得部12、寄与度決定部13、所在人数予測部14、所在人数情報記憶部15、スケジュール情報記憶部16及び変動モデル情報記憶部17を有している。所在人数取得部11は、ビル1内の階毎に、現時点における所在人数を周期的に取得し、所在人数情報記憶部15に保存する。スケジュール情報取得部12は、ビル1の各階を利用する利用者、つまり従業員のスケジュール情報をスケジュール管理サーバ3から取得し、スケジュール情報記憶部16に保存する。寄与度決定部13は、所在人数予測部14による予測当日の各階の所在人数の予測におけるスケジュール情報の寄与度を決定する。所在人数予測部14は、予測当日の予測時点以降における各階の所在人数の予測値を算出することによって所在人数を予測する。具体的には、予測当日における各階の所在人数の履歴と、寄与度決定部13により決定された寄与度と、スケジュール情報又は変動モデルの少なくとも1つと、に基づき各階の所在人数を予測するが、予測処理の詳細については後述する。
【0023】
所在人数情報記憶部15に蓄積される所在人数情報は、所在人数取得部11より取得された各階の所在人数、所在人数が取得された階、取得日時が少なくとも対応付けして階毎に形成される。
【0024】
図4は、本実施の形態におけるスケジュール情報記憶部16に蓄積されるスケジュール情報のデータ構成例をテーブル形式にて示す図である。スケジュール情報は、ユーザ(従業員)毎イベント(スケジュール)毎に生成され、各レコードによって一ユーザの一スケジュール(予定)が表されている。
図4において、ユーザIDは、ユーザ、すなわち従業員の識別情報である。開始日及び開始時刻は、当該スケジュール(予定)の始期を示す情報である。終了日及び終了時刻は、当該スケジュール(予定)の終期を示す情報である。予定種別は、予定の種類を示す情報であり、ユーザがスケジュールを登録する際に予め指定されている項目の中から選択することで設定される。予定内容は、当該予定種別において具体的な内容を示す情報である。場所は、当該予定の実施場所を示す情報である。本実施の形態では、階毎に所在人数を予測するので、所在する階が特定できる情報が含まれている必要がある。
図4に示す情報の設定例によると、ユーザu001,u002,u003は共に同じ日時・場所で開催される「部会議」に参加する予定であるのがわかる。そして、スケジュール情報では、同じ会議でもユーザ毎に別のスケジュールとして設定登録される。
【0025】
図5は、本実施の形態における変動モデル情報記憶部17に記憶される変動モデル情報をグラフ形式で示す図である。前述したように、変動モデルは、各階の所在人数の時間変動を表すモデルであるが、
図5には、ある階の変動モデルを代表させて示している。横軸は時刻で、縦軸は所在人数を示す。変動モデルは、所定期間毎、例えば1日(1営業日)単位で設定され、作成される。変動モデルのグラフの形状は、各階の従業員数、部屋の構成、勤務形態等によって異なってくる。勤務形態に依存すると考えられるが、1営業日における変動モデルは、典型的には午前中の出勤時間に所在人数が大きく増加し、夕方の退勤時間に所在人数が大きく減少する。そして、ランチタイムでは多くの人がビル1の外に移動して昼食を取るため、
図5に示したように所在人数はランチタイム開始時点で減少した後、ランチタイム終了前に増加することを表す形状で作成される。
【0026】
所在人数予測装置10における各構成要素11〜14は、所在人数予測装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部15〜17は、所在人数予測装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0027】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0028】
本実施の形態における所在人数予測装置10は、予測当日の予測時点以降における各階の所在人数を予測するが、そのためにスケジュール情報を参照して各階の所在人数を予測する機能及び変動モデルを参照して各階の所在人数を予測する機能の双方を有している。ただ、予測精度という観点から過去の所在人数の実績に基づき作成された変動モデルを用いることを基本として所在人数を予測するようにしている。スケジュール情報は、利用者が自ら登録することから登録漏れや登録ミスによって所在人数が精度よく予測できる保証がないからである。
【0029】
一方、変動モデルは、過去の実績に基づき作成されることから多数の参加者による会議の開催等例外的な人数変動が生じるようなイベントに適応できているとは限らない。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、過去の実績に基づく変動モデルを基本としつつも、変動モデルとは異なり例外的なイベントに関するスケジュールが反映されているスケジュール情報も参照して変動モデルに基づく所在人数の予測を補正することによって所在人数の予測誤差を抑制できるようにしたことを特徴としている。ただ、前述したように、登録漏れや登録ミス、あるいは正しい登録をした後の予定変更が反映されていないなどが起こり得ることからスケジュール情報が常に正しいとは限らない。本実施の形態では、このようにスケジュール情報自体に含まれている実際のスケジュールとの誤差にも着目している。従って、変動モデルからスケジュール情報に切り替えて所在人数を予測するということではなく、スケジュール情報に設定されている情報をどれだけ信用して所在人数の予測に反映されるかを示す指標として、本実施の形態では、所在人数の予測におけるスケジュール情報の寄与度を求めるようにした。寄与度は、変動モデルのみを用いた場合の予測誤差を抑制するための貢献度と言い表すこともできる。もちろん、寄与度を算出した結果、スケジュール情報の寄与度が100%となる場合も論理的にはあり得る。従って、変動モデルを参照せずにスケジュール情報のみを参照して所在人数を予測する場合も起こり得る。
【0031】
次に、本実施の形態における所在人数予測処理について
図6に示したフローチャートを用いて説明する。本実施の形態における所在人数予測処理は、定周期的、例えば所定時間毎(1時間毎)に起動される。なお、各階とも同じ処理を実行すればよいので、ここでは1つの階に着目して説明する。
【0032】
所在人数取得部11は、現時点における所在人数を取得すると、取得した日時、取得した階及び当該階の所在人数を組にして所在人数情報記憶部15に書き込み保存する(ステップ101)。所在人数は、例えばエレベーターの乗降者人数から算出して推定するようにしてもよいし、人数カウントセンサなどを用いるなど、従前からある手法を用いて求めればよい。所在人数取得部11が取得する所在人数は、エレベーターの乗降者人数に基づく推定値であるかもしれないが、本実施の形態では実績値としても用いる。
【0033】
続いて、スケジュール情報取得部12は、各階の利用者のスケジュール情報をスケジュール管理サーバ3から取得してスケジュール情報記憶部16に書き込み保存する(ステップ102)。スケジュール情報取得部12は、予測当日以前(過去)のスケジュール情報を既に取得して所在人数情報記憶部15に保存しているので、ここで取得するスケジュール情報は、予測当日に関わるスケジュール情報のみでよい。予測当日の関わるスケジュール情報というのは、予測当日のスケジュール情報を含むスケジュール情報を意味する。例えば、長期出張のように予測当日のみに設定されているスケジュール情報に限定しないことを意味する。また、厳密には、予測当日において予測時点以降のスケジュールがユーザにより変更される場合があるので(予測当日の10時に16時の予定を追加したなど)、所在人数予測処理が実行される度に、予測当日のスケジュール情報を取得するようにしてもよい。ただ、所在人数の予測に大きな誤差を生じさせるようなイベント(所在人数に大幅な変動が見込まれる例外的なイベント)は、通常、事前にスケジュールされるので、ステップ102における処理は、膨大な数の従業員が従事している場合の処理負荷等を考慮して予測当日の初回のみに実施するようにしてもよい。
【0034】
なお、本実施の形態では、スケジュール情報をスケジュール管理サーバ3から取得するようにしたが、スケジュール管理サーバ3が存在しない場合、例えばビル1又は各階のユーザが共通して利用するグループウェアやスケジューラなどから直接取得するようにしてもよいし、個々のユーザが利用する携帯端末にインストールされたスケジューラなどから取得するようにしてもよい。
【0035】
続いて、寄与度決定部13は、予測当日のスケジュール情報に基づいて予測当日の各階の所在人数の予測におけるスケジュール情報の寄与度を決定する(ステップ103)。ここで、本実施の形態におけるスケジュール情報の参照方法について説明する。
【0036】
スケジュール情報のデータ構成例については、
図4を用いて説明しているが、
図4において登録されているスケジュールの件数(具体的なデータが示されている件数)は7件(ユーザu001が2件、ユーザu002が2件、ユーザu003が3件)とカウントする。また、予定種別を参照することによって会議のスケジュールの件数は6件とカウントする。すなわち、複数の利用者が同じ会議に出席するなどのスケジュールがある場合でもスケジュール件数は別々にカウントすることにしている。
【0037】
寄与度決定部13は、寄与度を決定する際、基準となるスケジュール情報を作成する。「基準となるスケジュール情報」というのは、
図4に示す具体的なスケジュール情報で表すのではなく、スケジュール件数などのスケジュール情報の特徴を示す指標値で表す。例えば、2月1日のスケジュール情報が
図4に例示した7件のみである場合、この日の指標値を、会議のスケジュール件数は6件、外出のスケジュール件数は1件、休暇のスケジュール件数は0件、のように求める。「基準となるスケジュール情報」を示す指標値は、例えば、変動モデルの作成に用いた所在人数の履歴の期間における1日毎の指標値の平均値とする。例えば、当該期間が12月1日〜12月31日(休日を除く)の場合、この期間中の1日毎の指標値(上記例示した予定種別毎のスケジュール件数)を求めたうえで、期間全体での平均を算出して求める。当該期間中における各日の指標値の平均を算出することで、基準となるスケジュール情報(指標値)は、仮に当該期間に例外的イベントが実施された日が含まれていたとしても平準化された値を示すことになる。換言すると、基準となるスケジュール情報は、平均的な1日のスケジュールを示す情報となる。例えば、当該期間中のある1日に実施される会議のスケジュール件数は○件、外出のスケジュール件数は○件、休暇のスケジュール件数は○件、のように表せる。なお、前述した「基準となるスケジュール情報」の算出方法は一例であって、この算出方法に限定するものではない。例えば、予測当日以前のスケジュール情報を参照せずに各指標値を経験等により設定してもよい。
【0038】
このように、寄与度決定部13は、スケジュール情報記憶部16に記憶されているスケジュール情報に基づき求めた基準となるスケジュール情報(指標値)と、予測当日のスケジュール情報から求めた指標値との差異に基づき0〜1の範囲の値として寄与度を決定する。例えば、予測当日の会議のスケジュールの件数が通常(基準となるスケジュール情報)を基準とした所定の範囲より多い又は少ない場合は、統計的分析により作成される変動モデルに基づく所在人数の予測では誤差が大きくなりやすいことに着目し、スケジュール情報の寄与度を大きくする。例えば、基準となるスケジュール情報が示す指標値をA、予測当日のスケジュール情報から求めた指標値をBとすると、α×|A−B|/Aのような計算式にて寄与度を算出する。但し、αは、寄与度が0以上1以下の適正な範囲に収まるように調整するための係数である。
【0039】
続いて、所在人数予測部14は、予測当日の予測時点以降における所在人数の予測値を算出することによって各階の所在人数を予測する(ステップ104)。そのために、所在人数予測部14は、変動モデルに基づき予測した場合の所在人数の予測値X1と、スケジュール情報に基づき予測した場合の所在人数の予測値X2と、をそれぞれ求め、次式で表せるように寄与度cに応じた重み付けをすることで所在人数の予測値Xを算出する。
【0041】
予測値X1は、変動モデルを参照することで求められる。例えば、予測時点が15時だとすると、
図5に例示した変動モデルから100人と予測される。
【0042】
予測値X2は、当該階のユーザ(従業員)数から、スケジュール情報に基づき増減することで算出する。例えば、4階を利用する従業員数が100人であり、予測当日のスケジュールが
図4に例示した7件のみであるとし、15:00の所在人数を予測する場合、ユーザu001は6階で会議、ユーザu002は外出、ユーザu003は5階で会議、の予定があるため、この3人は15時時点において4階に不在であると推定できる。よって、100−3=97人を15時時点における所在人数の予測値X2として算出する。
【0043】
上記例では、15時を予測時点として説明したが、所在人数予測部14は、予測時点以降についても同様にして所在人数を予測する。そして、予測した結果を出力する(ステップ105)。出力先は、設備管理装置2を想定しているが、これに限らず所在人数予測装置10のディスプレイ27やHDD24にファイルとして保存してもよい。また、出力する情報は、所在人数の予測値Xではなく、予測値Xの前後数%等範囲を持たせて出力してもよい。
【0044】
なお、本実施の形態においては、基準となるスケジュール情報を作成する所定期間として月を例にし、その所定期間毎に基準となるスケジュール情報を作成するようにしたが、所定期間を、例えば月の上中下旬、曜日毎などのように細分化して形成した期間毎に基準となるスケジュール情報を作成するようにしてもよい。これにより、細分化した期間において典型的なスケジュールを示す情報が得られる。
【0045】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、予測当日の各階の所在人数の予測におけるスケジュール情報の寄与度を、予測当日のスケジュール情報と基準となるスケジュール情報との差異に基づいて決定する場合について説明した。本実施の形態は、寄与度を、当日の当該階の所在人数の履歴と当該階の変動モデルとの差異に基づいて決定するようにしたことを特徴としている。
【0046】
本実施の形態におけるシステム構成、所在人数予測装置10のハードウェア構成及びブロック構成は、実施の形態1と同じでよい。また、所在人数予測処理の手順も実施の形態1と同じでよいが、ステップ103における寄与度を決定する処理(寄与度決定部13が実施する処理)の内容が異なっている。以下、本実施の形態における寄与度を決定する処理について説明する。
【0047】
寄与度決定部13は、所在人数予測処理を実行する時点、すなわち予測時点において、当日の所在人数の履歴と変動モデルとの間の変動モデル設定期間(1日又は1営業日)の開始時点から予測時点までの各時点(例えば5分毎)の所在人数の相関係数(類似度)を求める。そして、相関係数が大きい場合、変動モデルを参照することにより得られた予測値がある程度正確な値を示していると判断できるのでスケジュール情報の寄与度を小さくする。この逆に、相関係数が小さい場合、変動モデルにおける予測値と予測当日における現時点(予測時点)までの実績とに差異があると判断できるので、スケジュール情報の寄与度を大きくする。例えば、算出された相関係数をAとすると、β×(1−A)を寄与度と決定してもよい。但し、βは、寄与度を調整するための係数である。
【0048】
本実施の形態によれば、このように寄与度を決定することにより、当日の予測時点までの人数変動が変動モデルと類似している場合は、スケジュール情報より変動モデルを重視した予測結果を得ることができ、その一方、予測時点までの人数変動が変動モデルと類似していない場合は、変動モデルよりスケジュール情報を重視した予測結果を得ることができる。
【0049】
なお、寄与度を決定するために用いる指標は、前述した相関係数に限定されず、データ間の距離(非類似度)など他の指標を用いてもよい。
【0050】
実施の形態3.
図7は、本実施の形態における所在人数予測装置10のブロック構成図である。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については
図3から省略している。本実施の形態における所在人数予測装置10は、実施の形態1における構成に、変動モデル作成部18及び寄与度履歴情報記憶部19を追加した構成を有している。寄与度履歴情報記憶部19には、寄与度決定部13により決定された寄与度が、当該寄与度を決定した予測時点を示す時間情報を対応付けして記録される。寄与度履歴情報記憶部19は、他の記憶部15〜17と同様にHDD24で形成してよい。
【0051】
変動モデル作成部18は、CPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現され、所定期間(例えば、1月間)における所在人数の履歴に基づいて変動モデルを作成する。ただ、変動モデルは、所在人数の予測の基準となるモデルである。従って、所定期間内に例外的な人数変動が生じるようなイベントが開催された日が含まれている場合、その日の所在人数の変動の影響を受けることによって基準となるモデルとして適切でない変動モデルが作成されてしまう可能性が生じてくる。
【0052】
そこで、本実施の形態における変動モデル作成部18は、寄与度が所定の閾値を超えた日を、前述した例外的なイベントが開催された日と推定して、所定期間のうち、その日の履歴を除く各階の所在人数の履歴を用いて変動モデルを作成する。例えば、12月になったことで、所定期間(例えば、11月(12月の直前の1月間))の所在人数の履歴に基づいて新たな変動モデルを作成して更新するが、変動モデル作成部18は、寄与度履歴情報記憶部19に含まれている11月の寄与度を参照して、11月に開催された例外的なイベントの開催日を除く日の履歴に基づいて変動モデルを作成することになる。
【0053】
本実施の形態によれば、上記のようにして変動モデルを作成することにより、予測の基準として用いるのにより適した変動モデルを作成することができる
【0054】
なお、上記各実施の形態においては、1つのビル1に着目して説明した。企業が複数の事業所(ビル1)を有している場合、スケジュール管理サーバ3を各ビル1に設置せず、当該企業における管理センタ(図示せず)に設置して当該企業の各従業員のスケジュール情報を一括管理するようにしてもよい。あるいは、スケジュール情報取得部12は、各ビル1に設置のスケジュール管理サーバ3からスケジュール情報を取得するように構成してもよい。
【0055】
また、上記各実施の形態においては、各階にいる人は、当該ビル1の従業員を前提にして説明した。ただ、スケジュール情報から会議等のイベントへの参加者(外部からの訪問者)の人数が把握できるのであれば、その訪問者の人数を考慮して所在人数を予測するようにしてもよい。あるいは、ビル1の入退館システムと連携して訪問者に人数を把握してもよい。
【0056】
また、上記各実施の形態においては、変動モデルに基づく所在人数の予測を基本としたため、予測誤差の抑制のためのスケジュール情報に基づく所在人数の予測の貢献度を、「スケジュール情報の寄与度」という表現にて説明した。ただ、基本的には、変動モデルに基づく所在人数の予測とスケジュール情報に基づく所在人数の予測とを同列に扱うことは可能であるため、スケジュール情報に基づく所在人数の予測を基本とした場合、変動モデルに基づく所在人数の予測の貢献度を、「変動モデルの寄与度」と表現してもよい。