(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端側を開口端とした分注プローブと、前記開口端からの液体の吸引および吐出を自在とするポンプとを有し、前記開口端から前記分注プローブに吸引した液体および前記分注プローブ内のプローブ内部液を分注容器に分注する分注装置と、
測定項目に対応した各プローブ内部液が貯留された複数の液体タンクと、前記複数の液体タンクのそれぞれを前記分注プローブの他端側に連通させる供給管と、前記供給管に設けられ前記分注プローブに対する前記液体タンクの連通状態を切り替える切替弁とを有し、前記液体タンクのうちの一つから前記分注プローブ内にプローブ内部液を供給する内部液供給装置と、
前記分注装置の駆動に関する設定を入力するための入力部と
前記入力部からの入力に基づいて、前記分注装置の駆動を制御する駆動制御部と、
前記各液体タンク内の前記プローブ内部液と、測定項目毎に前記分注プローブから前記分注容器に分注させる前記プローブ内部液とを記憶する記憶部とを備え、
前記分注プローブに対する前記液体タンクの連通状態を切り替えることにより、異なる測定項目の測定を行う自動分析装置であって、
前記切替弁は、前記駆動制御部での制御によって前記分注プローブに対する前記液体タンクの連通状態を切り替える自動弁であり、
前記駆動制御部は、
前記分注プローブに対して連通状態にある前記液体タンク内のプローブ内部液が、前記入力部から依頼された測定項目に対応して前記記憶部に記憶されたプローブ内部液と一致するか否かを判断し、
一致しないと判断した場合で、かつ前記依頼された測定項目の測定をキャンセルするための入力がなされた場合に、前記依頼された測定項目の測定を実施せずにスキップさせ、前記入力部からの次の依頼を受け付ける
自動分析装置。
一端側を開口端とした分注プローブと、前記開口端からの液体の吸引および吐出を自在とするポンプとを有し、前記開口端から前記分注プローブに吸引した液体および前記分注プローブ内のプローブ内部液を分注容器に分注する分注装置と、
測定項目に対応した各プローブ内部液が貯留された複数の液体タンクと、前記複数の液体タンクのそれぞれを前記分注プローブの他端側に連通させる供給管と、前記供給管に設けられ前記分注プローブに対する前記液体タンクの連通状態を切り替える切替弁とを有し、前記液体タンクのうちの一つから前記分注プローブ内にプローブ内部液を供給する内部液供給装置と、
前記分注装置の駆動に関する設定を入力するための入力部と
前記入力部からの入力に基づいて、前記分注装置の駆動を制御する駆動制御部と、
前記各液体タンク内の前記プローブ内部液と、測定項目毎に前記分注プローブから前記分注容器に分注させる前記プローブ内部液とを記憶する記憶部とを備え、
前記分注プローブに対する前記液体タンクの連通状態を切り替えることにより、異なる測定項目の測定を行う自動分析装置による自動分析方法であって、
前記駆動制御部は、
電動弁からなる前記切替弁を駆動させることにより、前記分注プローブに対する前記液体タンクの連通状態を切り替え、
前記分注プローブに対して連通状態にある前記液体タンク内のプローブ内部液が、前記入力部から依頼された測定項目に対応して前記記憶部に記憶されたプローブ内部液と一致するか否かを判断し、
一致しないと判断した場合で、かつ前記依頼された測定項目の測定をキャンセルするための入力がなされた場合に、前記依頼された測定項目の測定を実施せずにスキップさせ、前記入力部からの次の依頼を受け付ける
自動分析方法。
前記複数の液体タンクのうちの全ての液体タンク内のプローブ内部液が、前記依頼された測定項目に対応して前記記憶部に記憶されたプローブ内部液と異なる場合に、前記警報出力部が警報を出力する
請求項11に記載の自動分析方法。
前記分注プローブに対して連通状態にある前記液体タンク内のプローブ内部液が、前記依頼された測定項目に対応して前記記憶部に記憶されたプローブ内部液と一致しておらず、かつ前記複数の液体タンクのうちの何れか1つのプローブ内部液が、前記依頼された測定項目に対応して前記記憶部に記憶されたプローブ内部液と一致する場合に、前記切替弁を駆動させることにより、前記分注プローブに連通する前記液体タンク内のプローブ内部液を、前記依頼された測定項目に対応して前記記憶部に記憶されたプローブ内部液と一致させる
請求項11または12に記載の自動分析方法。
前記切替弁の駆動によって前記複数の液体タンクと前記分注プローブとの連通状態を切り替えた後、前記ポンプを駆動させることにより、前記分注プローブに連通する液体タンクのプローブ内部液を前記分注プローブに供給する
請求項10〜13の何れか1項に記載の自動分析方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の自動分析装置および自動分析方法の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
≪自動分析装置≫
図1は、実施形態に係る自動分析装置を示す概略構成図であり、一例として血液や尿などの検体に含まれる生体成分を分析する生化学分析装置に本発明を適用した自動分析装置1の概略構成図である。
図1に示すように、自動分析装置1は、測定部1aと制御部1bとを備えている。
【0011】
このうち測定部1aは、例えば検体保持部2、希釈検体保持部3、第1試薬保持部4、第2試薬保持部5、および反応容器保持部6を備えている。また測定部1aは、希釈撹拌装置11、希釈洗浄装置12、第1反応撹拌装置13、第2反応撹拌装置14、多波長光度計15、および反応容器洗浄装置16を備えている。
【0012】
また測定部1aは、複数の分注装置20、および内部液供給装置30を備えている。各分注装置20は、ここでは例えば検体分注装置20a、希釈検体分注装置20b、第1試薬分注装置20c、および第2試薬分注装置20dの4つである。各分注装置20は、それぞれが分注プローブ21を備えている。
【0013】
図2は、実施形態に係る自動分析装置のブロック図である。この図に示すように、制御部1bは、表示部50を備えたものであって、さらに入力部60、記憶部70、および入出力制御部80を備えている。以下、
図1および
図2に基づいて、これらの構成要素の詳細を、測定部1aおよび制御部1bの順に説明する。
【0014】
<測定部1a>
[検体保持部2]
検体保持部2は、分注液が貯留された複数の貯留容器を保持する貯留容器保持部の一つである。このような検体保持部2は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の検体容器P2(すなわち貯留容器)を複数列で保持し、保持した検体容器P2を円周の双方向に搬送する構成である。この検体保持部2は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。検体保持部2に保持される各検体容器P2は、分注液として、測定対象となる検体や精度管理用のコントロール検体が貯留されたものである。検体保持部2には、これらの各種の検体が、所定の位置に保持される構成となっている。
【0015】
なお、検体保持部2には、検体容器P2の他にも、希釈液が貯留された希釈液容器や、洗浄液が貯留された洗浄容器が、貯留容器として保持されてもよい。また以上のような検体保持部2は、保持した検体容器P2や他の容器を冷却する機能を有していてもよい。
【0016】
[希釈検体保持部3]
希釈検体保持部3は、分注液の分注先となる分注容器を保持する分注容器保持部の一つであり、かつ分注液が貯留された複数の貯留容器を保持する貯留容器保持部の一つでもある。このような希釈検体保持部は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の希釈容器P3(すなわち分注容器であり貯留容器)を保持し、保持した希釈容器P3を円周の双方向に搬送する構成である。この希釈検体保持部3は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。
【0017】
希釈検体保持部3に保持される希釈容器P3は、検体保持部2に配置された検体容器P2から吸引されて希釈された検体(以下、「希釈検体」という)が、分注液として注入されるものである。また各検体容器P2は、分注液として、希釈検体が貯留されるものでもある。なお、自動分析装置1は、希釈検体保持部3を備えていないものであってもよい。
【0018】
[第1試薬保持部4および第2試薬保持部5]
第1試薬保持部4および第2試薬保持部5は、分注液が貯留された複数の貯留容器を保持する貯留容器保持部の一つである。第1試薬保持部4は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の第1試薬容器P4(すなわち貯留容器)を保持する。また、第2試薬保持部5は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の第2試薬容器P5(すなわち貯留容器)を保持する。そして、それぞれ保持した第1試薬容器P4および第2試薬容器P5を円周の双方向に搬送する構成である。これらの第1試薬保持部4および第2試薬保持部5は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。
【0019】
[反応容器保持部6]
反応容器保持部6は、分注液の分注先となる分注容器を保持する分注容器保持部の一つである。このような反応容器保持部6は、希釈検体保持部3と、第1試薬保持部4と、第2試薬保持部5との間に配置される。この反応容器保持部6は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の反応容器P6(すなわち分注容器)を保持し、保持した反応容器P6を円周の双方向に搬送する構成である。この反応容器保持部6は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。
【0020】
反応容器保持部6に保持される反応容器P6は、希釈検体保持部3の希釈容器P3から採取した希釈検体、第1試薬保持部4の第1試薬容器P4から採取した第1試薬、さらに第2試薬保持部5の第2試薬容器P5から採取した第2試薬が、それぞれ所定量で分注されるものである。そして、この反応容器P6内において、希釈検体と第1試薬および第2試薬とが撹拌されてこれらの反応が行われるか、または希釈検体と第1試薬とが撹拌されてこれらの反応が行われる。
【0021】
以上のような反応容器保持部6は、不図示の恒温槽により、反応容器P6の温度を常時一定に保持するように構成されている。なお、自動分析装置1が希釈検体保持部3を備えていないものである場合、反応容器保持部6に保持される反応容器P6には、検体保持部2の検体容器P2から採取した検体が分注される。
【0022】
[希釈撹拌装置11]
希釈撹拌装置11は、希釈検体保持部3の周囲に配置されている。希釈撹拌装置11は、撹拌機構、および撹拌機構を駆動するための駆動機構を有し、不図示の撹拌子を希釈検体保持部3に保持された希釈容器P3内に挿入し、検体と希釈液を撹拌する。
【0023】
[希釈洗浄装置12]
希釈洗浄装置12は、希釈検体保持部3の周囲に配置されている。希釈洗浄装置12は、以降に説明する希釈検体分注装置20bによって希釈検体が吸引された後の希釈容器P3を洗浄する装置である。
【0024】
[第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14]
第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14は、反応容器保持部6の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14は、反応容器保持部6に保持された反応容器P6内において、希釈検体と、第1試薬または第2試薬とを撹拌する。このような第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14は、撹拌機構、および撹拌機構を駆動するための駆動機構を有し、不図示の撹拌子を反応容器保持部6の所定位置に保持された反応容器P6内に挿入し、希釈検体(または検体)と第1試薬または第2試薬とを撹拌する。これにより、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬との反応を進める。
【0025】
[多波長光度計15]
多波長光度計15は、計測部であり、反応容器保持部6の周囲において反応容器保持部6の外壁と対向するように配置されている。多波長光度計15は、反応容器P6内において第1試薬および第2試薬と反応した希釈検体に対して光学的測定を行ない、検体中の様々な成分の量を吸光度として出力し、希釈検体の反応状態を検出するものである。
【0026】
[反応容器洗浄装置16]
反応容器洗浄装置16は、反応容器保持部6の周囲に配置されている。反応容器洗浄装置16は、検査が終了した反応容器P6内を洗浄する装置である。
【0027】
[検体分注装置20a]
検体分注装置20aは、分注装置20のうちの1つであって、細管状の分注プローブ21として検体プローブ21aを備え、検体保持部2と希釈検体保持部3の周囲に配置されている。検体プローブ21aは、一端側の開口端から液体の吐出と吸引を行い、他端側において液体供給管22に連通されている。液体供給管22には、検体プローブ21aの一端側の開口端からの液体の吐出と吸引を自在とするポンプ23が設けられている。
【0028】
このような検体分注装置20aは、予め設定された測定プログラムにしたがって、不図示の駆動機構により、軸方向を垂直に保った検体プローブ21aの開口端を検体保持部2に保持された検体容器P2内の検体中に挿入し、所定量の検体を検体プローブ21a内に吸引する。この際、検体保持部2は、予め設定された測定プログラムにしたがって、検体保持部2の所定位置に保持された検体容器P2を、所定の検体採取位置に移動させておく。
【0029】
また、検体分注装置20aは、希釈検体保持部3の希釈容器P3内に検体プローブ21aの開口端を挿入し、検体プローブ21a内に吸引した検体と、液体供給管22から供給されたプローブ内部液とを、希釈容器P3内に吐出する。プローブ内部液は、以降に説明する内部液供給装置30から供給される液体であり、生理食塩水、純水、さらにはその他の液体である。これらの液体は、測定項目や処理内容に応じて、希釈液、溶血作用を有する前処理液、または洗浄液として適宜に用いられる。また、検体分注装置20aは、検体プローブ21aの内壁の洗浄を実施する。
【0030】
なお、自動分析装置1が希釈検体保持部3を備えていないものである場合、検体分注装置20aは、反応容器保持部6の反応容器P6内に検体プローブ21aの開口端を挿入する。そして、検体プローブ21a内に吸引した検体とプローブ内部液とを、反応容器P6内に吐出する。
【0031】
[希釈検体分注装置20b]
希釈検体分注装置20bは、分注装置20のうちの1つであって、細管状の分注プローブ21として希釈検体プローブ21bを備え、希釈検体保持部3と反応容器保持部6の間に配置されている。希釈検体分注装置20bは、予め設定された測定プログラムにしたがって、不図示の駆動機構により、軸方向を垂直に保った希釈検体プローブ21bの開口端を、希釈検体保持部3の希釈容器P3内に挿入し、システム水が充填された希釈検体プローブ21bの開口端から、所定量の希釈検体を吸引する。また希釈検体分注装置20bは、反応容器保持部6の反応容器P6内に希釈検体プローブ21bの開口端を挿入し、希釈検体プローブ21b内に吸引した希釈検体を、反応容器P6内に吐出する。さらに、希釈検体分注装置20bは、希釈検体プローブ21bの内壁の洗浄を実施する。なお、自動分析装置1が希釈検体保持部3を備えていないものである場合、その自動分析装置1は希釈検体分注装置20bを備えている必要はない。
【0032】
[第1試薬分注装置20c]
第1試薬分注装置20cは、分注装置20のうちの1つであって、細管状の分注プローブ21として第1試薬プローブ21cを備え、反応容器保持部6と第1試薬保持部4の間に配置されている。第1試薬分注装置20cは、予め設定された測定プログラムにしたがって、不図示の駆動機構により、軸方向を垂直に保った第1試薬プローブ21cの開口端を、第1試薬保持部4の第1試薬容器P4内に挿入し、システム水が充填された第1試薬プローブ21cの開口端から、所定量の第1試薬を吸引する。また第1試薬分注装置20cは、反応容器保持部6の反応容器P6内に第1試薬プローブ21cの開口端を挿入し、第1試薬プローブ21c内に吸引した第1試薬を反応容器P6内に吐出する。さらに、第1試薬分注装置20cは、第1試薬プローブ21cの内壁の洗浄を実施する。
【0033】
[第2試薬分注装置20d]
第2試薬分注装置20dは、分注装置20のうちの1つであって、細管状の分注プローブ21として第2試薬プローブ21dを備え、反応容器保持部6と第2試薬保持部5の間に配置されている。第2試薬分注装置20dは、予め設定された測定プログラムにしたがって、不図示の駆動機構により、軸方向を垂直に保った第2試薬プローブ21dの開口端を、第2試薬保持部5の第2試薬容器P5内を挿入し、システム水が充填された第2試薬プローブ21dの開口端から、所定量の第2試薬を吸引する。また第2試薬分注装置20dは、反応容器保持部6の反応容器P6内に第2試薬プローブ21dの開口端を挿入し、第2試薬プローブ21d内に吸引した第2試薬を反応容器P6内に吐出する。さらに、第2試薬分注装置20dは、第2試薬プローブ21dの内壁の洗浄を実施する。
【0034】
[内部液供給装置30]
内部液供給装置30は、検体プローブ21aにプローブ内部液を供給するためのものである。この内部液供給装置30は、プローブ内部液Lが貯留された液体タンク31として、第1タンク31aおよび第2タンク31bを備えている。これらの第1タンク31aおよび第2タンク31bには、測定項目に対応した異なるプローブ内部液L1,L2が貯留されていることとする。また、内部液供給装置30は、これらの第1タンク31aおよび第2タンク31bのそれぞれに挿入された供給管32a,32bを備えている。これらの供給管32a,32bは、検体プローブ21aの液体供給管22に対してそれぞれ接続され、各液体タンク31を検体プローブ21aの他端側に連通させる。
【0035】
また供給管32a,32bには、液体供給管22に対する連通状態の切り替えが自在な切替弁33が設けられている。この切替弁33は、2つの供給管32a,32bのうちの一方と液体供給管22とを連通状態とし、2つの供給管32a,32bのうちの他方と液体供給管22との連通状態を遮断とし、その状態を自在に切り替え可能なものである。これにより、液体供給管22に連通する検体プローブ21aを、2つの供給管32a,32bのうちの一方が挿入された第1タンク31aまたは第2タンク31bと接続させ、その接続状態を自在に切り替えるものである。またこのような切替弁33による液体タンク31の切り替えにより、液体供給管22および検体プローブ21a内のプローブ内部液を、第1タンク31aに貯留されたプローブ内部液L1,L2とで切り替えることができる。このような切替弁33として、例えば三方弁が用いられる。
【0036】
またこの切替弁33は、次に説明する制御部1bからの指示によって、上述した連通状態の切り替えが自在な電動弁であって、例えば電磁弁や電動弁である。
【0037】
なお、切替弁33は、上述した連通状態の切り替えが可能な構成であれば、三方弁に限定されることはなく、必要に応じて追加したポンプと組み合わせることにより、液体供給管22および2つの供給管32a,32bに設けた複数の二方弁を用いた構成であってもよい。
【0038】
<制御部1b>
制御部1bは、上述した測定部1aを構成する各構成要素の駆動機構、および多波長光度計15に接続されている。このような制御部1bは、表示部50、入力部60、記憶部70、および入出力制御部80を備える。これらの構成要素の詳細は、次のようである。
【0039】
[表示部50]
表示部50は、多波長光度計15による測定結果を表示する他、自動分析装置1を操作するための操作画面、および測定に関する各種の設定情報や各種の履歴情報を表示する。また、また表示部50は、自動分析装置1による測定動作に異常が発生した場合や、自動分析装置の現在の状態では依頼された測定項目の測定ができない場合に、警報を出力する警報出力部を兼ねていることとする。なお、警報出力部は、表示部50であることに限定されることはなく、ここでの図示を省略したスピーカーであってもよく、表示部50とスピーカーの両方であってもよい。
【0040】
次に、表示部50に表示される画面の一例を、
図1および
図2と共に
図3〜
図6のうちの必要図を用いて説明する。
【0041】
図3は、表示部50に表示される確認画面51の一例を示す図である。
図3に示すように、表示部50には、自動分析装置1の現在状態を確認するための確認画面51が表示される。この確認画面51には、装置状態51a、測定不可項目51b、および測定進捗状況51cなどが表示される。
【0042】
このうち装置状態51aとしては、例えば検体プローブ21aのプローブ内部液、第1試薬保持部4および第2試薬保持部5の貯留容器に貯留されている試薬などが表示される。検体プローブ21aのプローブ内部液は、検体プローブ21aが現在接続されている液体タンク31の情報と関連付けられた情報であって、検体プローブ21aに対する液体タンク31の連通状態を示す情報となっている。
【0043】
また測定不可項目51bとしては、現在の装置状態では測定することができない測定項目が表示される。例えば、現在の検体プローブ21aのプローブ内部液では測定を実施することができない測定項目が表示される。なお、測定不可項目51bに替えて測定可能項目を表示する構成であってもよい。
【0044】
また測定進捗状況51cとしては、依頼された測定項目の測定についての進捗の状況の他、依頼された測定項目の測定が不可能な場合の警報が、通常測定動作の進捗に沿って順次に表示される。
【0045】
図4は、表示部50に表示される操作画面52の一例を示す図である。
図4に示すように、表示部50には、自動分析装置1の操作画面52が表示される。この操作画面52には、例えば検体プローブ21aに接続されたプローブ内部液の液体タンク31を切り替えるタンク切替操作部52a、タンク表示部52b、およびプライム実行操作部52cが表示される。
【0046】
この表示部50が、タッチパネルを備えたものであれば、タンク切替操作部52aをタッチすることにより、検体プローブ21aに接続された液体タンク31の切り替えが入力される。タンク表示部52bには、現在検体プローブ21a接続されている液体タンク31が第1タンク31aであるか、第2タンク31bであるかが表示され、さらには液体タンク31に貯留されているプローブ内部液Lが表示されるようにしてもよい。またプライム実行操作部52cをタッチすることにより、液体供給管22および検体プローブ21a内のプローブ内部液を置換するプライム処理の実行が入力される。このような入力操作は、ここでの図示を省略したカーソル操作を入力部60によって実施する構成であってもよい。
【0047】
図5は、表示部50に表示される測定項目の設定画面53の一例を示す図である。
図5に示すように、表示部50には、測定項目の設定画面53が表示される。測定項目の設定画面53には、例えば、自動分析装置1によって測定が実施される測定項目と、その測定項目の測定を実施するための検体プローブ21aのプローブ内部液の情報である。このような設定は、例えば入力部60から入力され、記憶部70に保存された情報であることとする。
【0048】
図6は、表示部50に表示される液体タンクの設定画面54の一例を示す図である。
図6に示すように、表示部50には、液体タンクの設定画面54が表示される。液体タンクの設定画面54には、例えば自動分析装置1に設けられた第1タンク31aおよび第2タンク31bのそれぞれに貯留されるプローブ内部液Lが表示される。図示した例では、第1タンク31aに生理食塩水が貯留され、第2タンク31bに純水が貯留される設定である。このような設定は、例えば入力部60から入力されて記憶部70に保存された情報であることとする。
【0049】
さらに
図3〜
図6の各図に示すように、表示部50には、選択画面50sが常時表示される。この選択画面50sには、複数の選択部51s〜54sが表示され、何れかをタッチすることにより各選択部51s〜54sで選択された画面、すなわち確認画面51、操作画面52、測定項目の設定画面53、液体タンクの設定画面54、さらにはその他の画面が、表示部50に表示される構成となっている。
【0050】
[入力部60]
入力部60は、自動分析装置1のオペレーターによって行われる各種の設定に関する入力、各駆動機構の駆動の設定に関する入力、およびその他の入力を受け付け、入力信号を入出力制御部80に出力する。この入力部60には、例えば、マウス、キーボード、表示部50における表示面に設けられたタッチパネル等が用いられる。また、この自動分析装置1が、パーソナルコンピューターや他の外部装置に接続されている場合、これらの外部装置が入力部60となる場合もある。
【0051】
[記憶部70]
記憶部70は、例えば、HDD(Hard disk drive)や半導体メモリなどの大容量の記録装置によって構成される。この記憶部70には、次に説明する入出力制御部80が実行する各種のプログラム、上述した自動分析装置1の現在状態、各種の設定情報、および各種の履歴情報が保存される。
【0052】
このうち設定情報は、例えば測定項目に関する情報であって、測定項目の測定を実施するための検体プローブ21aのプローブ内部液の情報であり、
図5に示した測定項目の設定画面53で設定された情報である。また設定情報は、例えば検体プローブ21aに連通される液体タンク31に関する情報であって、第1タンク31aと第2タンク31bに貯留されたプローブ内部液Lの情報であり、
図6に示した液体タンクの設定画面54で設定された情報である。これらの設定情報は、入力部60からの入力によって記憶部70に保存された情報である。
【0053】
また履歴情報は、測定履歴や警告の履歴に関する情報であり、例えば
図3に示した測定進捗状況51cに表示される情報である。これらの履歴情報は、入出力制御部80からの信号に基づいて記憶部70に保存された情報である。
【0054】
[入出力制御部80]
入出力制御部80は、マイクロコンピューターなどの計算機によって構成されている。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部を備え、自動分析装置1の各部の動作を制御する。このような入出力制御部80は、表示制御部81、および駆動制御部82を備える。ROMおよびRAMなどの記憶部は、記憶部70であってもよい。
【0055】
−表示制御部81−
表示制御部81は、入力部60からの入力信号、記憶部70に保存された情報、駆動制御部82および測定部1aからの信号に基づいて、表示画面を作成し、作成した表示画面を表示部50に表示させる。表示制御部81によって実施される表示部50の制御の詳細は、次の自動分析方法において詳細に説明する。
【0056】
−駆動制御部82−
駆動制御部82は、測定部1aを構成する各駆動機構の動作タイミングを制御すると共に、多波長光度計15での光度の測定タイミングを制御する。この際、駆動制御部82は、検体プローブ21aにより、検体保持部2に保持された所定の検体容器P2から検体を吸引し、希釈検体保持部3に保持された希釈容器P3中に、検体と共に所定のプローブ内部液を吐出するように、検体分注装置20aおよび内部液供給装置30の駆動機構を制御する。
【0057】
さらに駆動制御部82は、希釈容器P3中の希釈検体と、第1試薬容器P4中の第1試薬と第2試薬容器P5中の第2試薬とを反応容器P6中で混合して反応させ、反応させた反応液の吸光度を多波長光度計15で測定するように、各駆動機構を制御する。駆動制御部82によって実施される測定制御の詳細は、次の自動分析方法において詳細に説明する。
【0058】
また駆動制御部82は、入力部60からの入力信号に基づいて、液体供給管22に対する液体タンク31の接続の切り替えを実施する。駆動制御部82によって実施される液体供給管22に対する液体タンク31の接続の切り替えの詳細は、次の自動分析方法において詳細に説明する。
【0059】
≪自動分析方法の第1例≫
図7は、実施形態の自動分析装置1を用いた自動分析方法の第1例を示すフローチャートである。この図を用いて説明する自動分析方法は、通常測定動作を実施するのに際し、自動分析装置1が測定を依頼された測定項目についての測定処理を開始させる前処理の一連の手順である。
【0060】
この手順は、
図2を用いて説明した入出力制御部80を構成するCPUが、記憶部に保存されたプログラムを実行することにより実現される。以下、
図7のフローチャートに示す順に、
図1および
図2、さらには必要に応じて
図3〜
図6を参照しつつ、自動分析装置1における入出力制御部80によって実施される自動分析方法の第1例を説明する。
【0061】
<ステップS1>
先ず、ステップS1において、駆動制御部82は、入力部60から測定の依頼があるか否かを判断し、測定の依頼がある(YES)と判断されるまで、この判断を繰り返す。測定の依頼がある(YES)と判断された場合にステップS2に進む。
【0062】
<ステップS2>
ステップS2において、駆動制御部82は、依頼された測定項目について、自動分析装置1での測定可能であるか否かを判断する。この際、駆動制御部82は、記憶部70に記憶されている測定項目に関する設定情報(
図5参照)と自動分析装置1の現在状態(
図3参照)とに基づいて判断を実施する例えば、依頼された測定項目がヘモグロビンA1c(HbA1c)であった場合、現在検体プローブ21aに連通されている液体タンクL31のプローブ内部液Lが純水であれば、測定可能である(YES)と判断してステップS3に進む。一方、現在検体プローブ21aに連通されている液体タンクL31のプローブ内部液Lが純水ではない場合は、測定可能ではない(NO)と判断して、ステップS101に進む。
【0063】
なお、複数の測定項目について測定の依頼があった場合には、依頼された複数の測定項目のうち、先ずは最初に測定を開始させる測定項目についてこの判断を実施する。
【0064】
<ステップS3>
ステップS3において、駆動制御部82は、依頼された測定項目の測定を開始する。この際、駆動制御部82は、同一の測定項目について複数の測定が依頼されている場合には、複数の測定を連続して開始する。その後、ステップS4に進む。
【0065】
<ステップS4>
ステップS4において、駆動制御部82は、通常測定処理の全てが終了であるか否かを判断する。この際、例えば入力部60から自動分析装置1による測定処理を終了させる入力があった場合、または自動分析装置1の電源がオフとなった場合に、駆動制御部82は、終了(YES)と判断する。一方、それ以外の場合には、終了ではない(NO)と判断してステップS1に戻る。そして、別の測定項目の依頼があるか否かを判断して以降のステップを繰り返し実施する。
【0066】
<ステップS101>
一方、ステップS2で測定可能ではない(NO)と判断して進んだステップS101において、駆動制御部82は、表示制御部81に対して表示部50への警報の表示出力を指示する。これにより、表示部50は、例えば確認画面51の測定進捗状況51cの表示(
図3参照)に、測定不可の警報を出力する。またこの自動分析装置1が、警報出力部としてスピーカーや警告灯などを備えている場合であれば、駆動制御部82は、これらの警報出力部に対して、警報を出力させる。
【0067】
これにより、自動分析装置1のオペレーターは、依頼された測定項目が測定不可であることを認識することができる。そして表示部50の表示により、検体プローブ21aのプローブ内部液が適切ではないことを確認し、例えば操作画面52のタンク切替操作部52a(
図4参照)を入力部60によって操作することにより、液体タンク31の切り替え処理を入力することができる。
【0068】
<ステップS102>
ステップS102において、駆動制御部82は、液体タンク31の切り替えの入力がなされたか否かの判断を行う。ここで駆動制御部82は、操作画面52のタンク切替操作部52a(
図4参照)の操作がなされた場合に、液体タンク31の切り替えの入力がなされた(YES)と判断して次のステップS103に進む。一方、駆動制御部82は、操作画面52において、タンク切替操作部52aの操作がなされず、例えば依頼された測定項目の測定をキャンセルするための入力がなされた場合には、ステップS4に進む。これにより、依頼された測定項目の測定を実施せずにスキップさせる。
【0069】
<ステップS103>
ステップS103において、駆動制御部82は、液体タンク31の切り替え処理を実施する。この際、駆動制御部82は、内部液供給装置30の切替弁33を駆動させ、検体プローブ21aに接続された液体タンク31を切り替える。
【0070】
<ステップS104>
ステップS104において、駆動制御部82はプライム処理を実施する。この際、駆動制御部82は、検体プローブ21aの液体供給管22に設けられたポンプ23の駆動を制御し、液体供給管22および検体プローブ21a内のプローブ内部液を、検体プローブ21aに接続された液体タンク31のプローブ内部液Lで置換する。そして、このプローブ内部液Lを、新たなプローブ内部液とする。その後、ステップS3に進み、駆動制御部82に対して依頼された測定項目の測定を開始させる。
【0071】
≪第1例の効果≫
以上説明した実施形態の第1例によれば、検体プローブ21aに対する液体タンク31の連通状態を切り替えるための切替弁33を自動弁としたことにより、入力部60からの入力によって駆動制御部82が切替弁33を駆動させることが可能である。このため、依頼された測定項目によって液体タンク31を切り替える場合に、オペレーターが手動で液体タンク31の接続の切り替えを行う手間を省くことが可能になる。この結果、測定に使用される検体プローブ21aのプローブ内部液の種類が異なる複数の測定項目の測定を実施するにあたり、液体タンク31の接続の切り替えを手動で実施することによる人為的なミスの発生を防止することが可能である。これにより、検体プローブ21aに対する液体タンク31の接続ミスを防止することができ、測定項目に不適切なプローブ内部液を用いた無駄な測定が実施されることを防止できる。この結果、自動分析装置1を用いた測定の効率化を図ることが可能になる。
【0072】
≪自動分析方法の第2例≫
図8は、実施形態の自動分析装置1を用いた自動分析方法の第2例を示すフローチャートである。この図を用いて説明する自動分析方法は、通常測定動作を実施するのに際し、自動分析装置1が測定を依頼された測定項目についての測定処理を開始させる前処理の一連の手順である。この第2例の手順が、
図7に示した第1例の手順と異なるところは、液体タンク31の切り替えの判断を自動で実施するところにある。
【0073】
この手順は、
図2を用いて説明した入出力制御部80を構成するCPUが、記憶部に保存されたプログラムを実行することにより実現される。以下、
図8のフローチャートに示す順に、
図1および
図2、さらには必要に応じて
図3〜
図6を参照しつつ、自動分析装置1における入出力制御部80によって実施される自動分析方法の第2例を説明する。
【0074】
<ステップS1〜ステップS4>
ステップS1〜ステップS4は、第1例と同様に実施する。ただし、ステップS2において、駆動制御部82は、依頼された測定項目について、自動分析装置1での測定可能ではない(NO)と判断した場合には、ステップS2aに進む。
【0075】
<ステップS2a>
ステップS2aにおいて、駆動制御部82は、第1タンク31aまたは第2タンク31bのプローブ内部液Lの中に、依頼された測定項目の測定を実施するための検体プローブ21aのプローブ内部液と一致するものが有るか否かを判断する。この際、駆動制御部82は、依頼された測定項目と、記憶部70に記憶されている測定項目に関する設定情報(
図5参照)と、検体プローブ21aに接続された液体タンク31に関する情報(
図6)とに基づいて判断を実施する。
【0076】
そして、検体プローブ21aのプローブ内部液と一致するものが有る(YES)と判断した場合には、ステップS103に進む。一方、検体プローブ21aのプローブ内部液と一致するものは無い(NO)と判断した場合には、ステップS105aに進む。
【0077】
<ステップS103〜ステップS104>
ステップS103〜ステップS104は、第1例と同様に実施し、その後はステップS3に進む。
【0078】
<ステップS105a>
一方、ステップS105aにおいて、駆動制御部82は、表示制御部81に対して表示部50への警報の表示出力を指示する。これにより、表示部50は、例えば確認画面51の測定進捗状況51cの表示(
図3参照)に、測定不可の警報を出力する。またこの自動分析装置1が、警報出力部としてスピーカーや警告灯などを備えている場合であれば、駆動制御部82は、これらの警報出力部に対して、警報を出力させる。その後はステップS106aに進む。
【0079】
このステップS105aを実施することにより、自動分析装置1のオペレーターは、依頼された測定項目が測定不可であることを認識することができる。そして第1タンク31aおよび第2タンク31bの両方に、依頼された測定項目の測定が可能なプローブ内部液が貯留されていないことを確認し、液体タンクLを、依頼された測定項目に対応する他の液体タンクに交換することができる。またステップS2aで判断した測定項目の測定は実施せずにそのままとすることもできる。
【0080】
<ステップS106a>
ステップS106aにおいて、駆動制御部82は、液体タンク31の交換が実施されたか否かの判断を行う。ここで駆動制御部82は、入力部60から液体タンク31の交換処理が実施されたことを示す入力がなされた場合には、交換が実施された(YES)と判断してステップS2aに戻り、以降のステップを繰り返す。一方、駆動制御部82は、入力部60において、液体タンク31の交換処理が実施されたことを示す入力がなされず、例えば依頼された測定項目の測定をキャンセルするための入力がなされた場合には、ステップS4に進み、以降のステップを実施する。これにより、依頼された測定項目の測定を実施せずにスキップさせる。
【0081】
≪第2例の効果≫
以上説明した実施形態の第2例によれば、検体プローブ21aに対する液体タンク31の連通状態を切り替えることで、依頼された測定項目の測定が可能な場合には、駆動制御部82によって自動的に切替弁33の切り替えが行われる。これにより、検体プローブ21aに対する液体タンク31の人為的な切り替えの手間を省くことが可能である。またこれと共に、検体プローブ21aに対する液体タンク31の接続ミスを防止することができ、測定項目に不適切なプローブ内部液を用いた無駄な測定が実施されることを防止できる。この結果、自動分析装置1を用いた測定の効率化を図ることが可能になる。
【0082】
以上の第1例および第2例を含む実施の形態においては、検体分注プローブ21aに内部液供給装置30を設けた構成を説明した。しかしながら、分注プローブ21に吸引した液体をプローブ内部液と共に分注容器に吐出させる構成で、処理内容によってプローブ内部液を交換するものであれば、検体分注プローブ21aに限定されることなく本発明を適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。