【実施例】
【0107】
以下の実施例は本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に制限されない。
【0108】
特に明言しない限り、以下の試験および実施例中の百分率は、重量百分率であり、部は重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度データは各場合において体積に基づく。
【0109】
実験
略語および頭字語:
MS:質量分析からの質量
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
DMF:ジメチルホルムアミド
トルエン中Red−Al溶液:トルエン中ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムジヒドリド
THF:テトラヒドロフラン
Aqu.HCl:塩酸水溶液
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
【0110】
実施例
実施例1
メチル4−ブロモ−2−メトキシベンゾエート(XV)
【化59】
炭酸カリウム3.06kg(22.12mol)を最初にアセトン3.6lに装入し、加熱還流した。この懸濁液に4−ブロモ−2−ヒドロキシ安息香酸(5.53mol)1.2kgを添加し、アセトン7.8lに懸濁し、アセトン0.6lですすぎ入れた。懸濁液を還流下で1時間加熱した(ガスの激しい発生)。次いで、沸騰させながら、硫酸ジメチル2.65kg(21.01mol)を4時間にわたって添加した。その後、混合物を還流下で2.5時間撹拌した。溶媒を十分に留去し(撹拌可能な点まで)、トルエン12lを添加し、次いで、残留アセトンを110℃で留去した。蒸留物約3lを留去し、これにトルエンさらに3lを添加して補充した。混合物を20℃に冷却させ、水10.8lを添加し、激しく撹拌した。有機相を分離し、水相をトルエン6.1lでもう一度抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液3lで洗浄し、トルエン相を約4lに濃縮した。一部の蒸発による含量の測定の結果、1.306kgの変換収率(理論値の96.4%)が得られた。この溶液をその後の段階に直接使用した。
HPLC方法A:RT約11.9分。
MS(EIpos):m/z=245[M+H]
+
1H NMR(400 MHz, CD
2Cl
2):δ=3.84(s, 3H), 3.90(s, 3H), 7.12−7.20(m, 2H), 7.62(d, 1H).
【0111】
実施例2
4−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(XIX)
【化60】
トルエン中65%Red−Al溶液1.936kg(6.22mol)に、−5℃でトルエン1.25lを装入した。この溶液に1−メチルピペラジン0.66kg(6.59mol)を添加し、これをトルエン150mlですすぎ入れ、温度を−7℃と−5℃の間に保った。次いで、混合物を0℃で30分間撹拌したままにした。次いで、この溶液を、トルエン4lに溶解したメチル4−ブロモ−2−メトキシベンゾエート(XV)1.261kg(5.147mol)の溶液に添加し、温度を−8〜0℃に保った。トルエン0.7lで2回すすぎ入れた後、次いで、混合物を0℃で1.5時間撹拌した。後処理のために、溶液を0℃の冷硫酸水溶液(水12.5l+濃硫酸1.4kg)に添加した。温度は最大で10℃まで上昇するはずである(遅い添加)。必要に応じてさらなる硫酸を添加してpHをpH1に調整した。有機相を分離し、水相をトルエン7.6lで抽出した。合わせた有機相を水5.1lで洗浄し、次いで、実質的に濃縮し、残渣をDMF 10lに溶解した。溶液を再度約5lの体積まで濃縮した。一部の蒸発による含量の測定の結果、1.041kgの変換収率(理論値の94.1%)が得られた。この溶液をその後の段階に直接使用した。
HPLC方法A:RT約12.1分。
MS(EIpos):m/z=162[M+H]
+
1H NMR(CDCl
3, 400MHz):δ=3.93(3H, s), 7.17(2H, m), 7.68(1H, d), 10.40(1H, s)
【0112】
実施例3
4−ホルミル−3−メトキシベンゾニトリル(VI)
【化61】
DMF 4.5l中溶液としての4−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(XVI)719g(3.34mol)に、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム(K
4[Fe(CN)
6])313g(0.74mol)および炭酸ナトリウム354g(3.34mol)を装入し、さらにDMF 1.2lおよび酢酸パラジウム3.8g(0.017mol)を添加した。混合物を120℃で3時間撹拌した。混合物を20℃に冷却しておき、水5.7lを混合物に添加した。混合物を酢酸エチル17lで抽出し、水相を酢酸エチル17lでもう一度洗浄した。有機相を合わせ、実質的に濃縮し、イソプロパノール5lに溶解し、約2lに濃縮した。混合物を加熱して沸騰させ、水2lを滴加した。混合物を50℃に冷却させ、水さらに2lを添加した。混合物を3℃に冷却し、この温度で1時間撹拌した。生成物を濾別し、水(2×1.2L)で洗浄した。生成物を真空下40℃で乾燥させた。
収量:ベージュ色固体469g(理論値の87%)。
HPLC方法A:RT約8.3分。
MS(EIpos):m/z=162[M+H]+
1H NMR(300 MHz, DMSO−d6):δ=3.98(s, 3H), 7.53(d, 1H), 7.80(s, 1H), 7.81(d, 1H), 10.37(s, 1H).
【0113】
実施例4
(2E/2Z)−2−(4−シアノ−2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタンアミド(XVIa、b)
【化62】
4−ホルミル−3−メトキシベンゾニトリル(VI)1000g(6204.95mmol)、3−オキソブタンアミド(XVII)721.5g(7135.7mmol)、ピペリジン53g(620mmol)および氷酢酸37.3g(620mmol)を水分離器上で4時間ジクロロメタン15l中還流下で加熱した。その後、ジクロロメタン約10lを留去し、混合物を室温まで放冷した。混合物を0℃に冷却し、4時間撹拌させておき、生成物を濾別し、それぞれ冷ジクロロメタン1000mlで2回洗浄した。生成物を巻込みガス下真空下40℃で乾燥させた。
収量:黄色固体1439.8g(理論値の95.0%)。
HPLC方法A:RT約3.55分。
MS(EIpos):m/z=245[M+H]
+
1H NMR(500 MHz, DMSO−d
6):δ=2.35(s, 3H), 3.30(s, 2H), 3.90(s, 3H), 7.45(d, 1H), 7, 7(m, 3H), 7.75(d, 1H), 8.85(d, 1H)
【0114】
実施例5
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−2,8−ジメチル−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(XVIII)
【化63】
(2E/2Z)−2−(4−シアノ−2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタンアミド(XVIa、b)2.128kg(8.712mol)を2−ブタノール29lで溶解し、4−アミノ−5−メチルピリドン1.277kg(7.92mol)を添加し、次いで、混合物を高圧下、内部温度120℃で密閉撹拌タンク内で12時間加熱した。次いで、混合物を5時間にわたって勾配によって0℃に冷却し、次いで、0℃で3時間撹拌した。次いで、生成物を濾別し、冷イソプロパノール2.1lで洗浄した。生成物を真空下60℃で乾燥させた。
収量:淡黄色固体2.081kg(この成分を準化学量論的に使用するので、4−アミノ−5−メチルピリドンに基づく理論値の75%)。
HPLC方法A:RT約3.64分。
MS(EIpos):m/z=351[M+H]
+
1H NMR(500 MHz, DMSO−d
6):δ=2.00(s, 3H), 2.10(s, 3H), 3.78(s, 3H), 5.22(s, 1H), 6.65(s(broad), 1H), 6.85(s(broad), 1H), 6.91(s, 1H), 7.11(d, 1H), 7.28(d, 1H), 7.35(s, 1H), 7.52(s, 1H), 10, 61(s, 1H)
【0115】
実施例5
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(XIII)
【化64】
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−2,8−ジメチル−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(XVIII)1.857kg(5.3mol)およびトリエチルオルトアセテート4.70kg(29mol)をジメチルアセトアミド12.15lに溶解し、濃硫酸157.5gを添加した。混合物を115℃で1.5時間加熱し、次いで、50℃に冷却した。50℃で、水12.15lを30分間にわたって滴加した。添加終了後、混合物に標記化合物(XI)10gをまき、水さらに12.15lを50℃で30分間にわたって滴加した。混合物を0℃(勾配、2時間)に冷却し、次いで、0℃で2時間撹拌した。生成物を濾別し、それぞれ水7.7lで2回洗浄し、真空下50℃で乾燥させた。
収量:淡黄色固体1.845kg(理論値の92.0%)。
HPLC方法B:RT約10.2分。
MS(EIpos):m/z=433[M+H]
+
1H NMR(300 MHz, DMSO−d
6):δ=1.11(t, 3H), 2.16(s, 3H), 2.42(s, 3H), 2.78(m, 2H), 3.77(s, 3H), 4.01−4.13(m, 4H), 5.37(s, 1H), 7.25(d, 1H), 7.28−7.33(m, 2H), 7.60(s, 1H), 8.35(s, 1H).
【0116】
実施例6
40:60アセトニトリル/メタノール中溶液としての(4S)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(I)
【化65】
SMBシステムでのエナンチオマー分離
供給溶液は、60:40メタノール/アセトニトリルの混合物1lに溶解したラセミ体の4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(XIII)50gからなる濃度に相当する溶液であった。
この溶液を、固定相:Chiralpak AS−V、20μm上SMBシステムによってクロマトグラフィーにかけた。圧力は30barであり、メタノール/アセトニトリル60:40の混合物を溶離液として使用した。
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(XIII)9.00kgをメタノール/アセトニトリル60:40からなる混合物180lに溶解し、SMBによってクロマトグラフィーにかけた。生成物含有分画を濃縮した後、6.2%溶液69.68l((4S)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(I)4.32kgに相当)をアセトニトリル/メタノール40:60中溶液として得た。
収量:アセトニトリル/メタノール40:60 69.68lに溶解した無色の画分として4.32kg(理論値の48%)。
エナンチオマー純度:>98.5%e.e。(HPLC、方法D)
試料を真空下で濃縮すると、以下が得られる:
MS(EIpos):m/z=379[M+H]
+
1H NMR(300 MHz, DMSO−d
6):δ=1.05(t, 3H), 2.12(s, 3H), 2.18(s, 3H), 3.82(s, 3H), 3.99−4.07(m, 2H), 5.37(s, 1H), 6.60−6.84(m, 2H), 7.14(d, 1H), 7.28(dd, 1H), 7.37(d, 1H), 7.55(s, 1H), 7.69(s, 1H).
【0117】
実施例7
(4S)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(I)
【化66】
【0118】
結晶化および多形調整
アセトニトリル/メタノール40:60の混合物中の実施例6の6.2%溶液64.52l(化合物1 4.00kgに相当)をフィルターカートリッジ(1.2um)を通して濾過し、その後、溶液がまだ撹拌可能なように250mbarで十分に濃縮した。トルエンで変性したエタノール48lを添加し、撹拌性の限界まで250mbarで再度蒸留した(エタノール中再蒸留)。トルエンで変性したエタノールさらに48lを添加し、次いで、大気圧で約14lの総体積(ジャケット温度98℃)まで留去した。混合物を勾配(4時間)により0℃に冷却し、0℃で2時間撹拌し、生成物を濾別した。生成物をそれぞれ冷エタノール4lで2回洗浄し、次いで、真空下50℃で乾燥させた。
収量:無色結晶性粉末3.64kg(理論値の91%)。
エナンチオマー純度:>>99%e.e.(HPLC方法D);保持時間/RRT:(4S)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(I)約11分。RRT:1.00;(4R)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(I)約9分。RRT:0.82
純度:>99.8%(HPLC方法B)、RT:約6.7分。
含量:99.9%(外部標準に対して)
比旋光度(クロロホルム、589nm、19.7℃、c=0.38600g/100ml):−148.8°。
MS(EIpos):m/z=379[M+H]
+
1H NMR(300 MHz, DMSO−d
6):δ=1.05(t, 3H), 2.12(s, 3H), 2.18(s, 3H), 3.82(s, 3H), 3.99−4.07(m, 2H), 5.37(s, 1H), 6.60−6.84(m, 2H), 7.14(d, 1H), 7.28(dd, 1H), 7.37(d, 1H), 7.55(s, 1H), 7.69(s, 1H).
融点:252℃(多形Iの結晶形の式(I)の化合物)
【0119】
多形Iの結晶形の式(I)の化合物の物理化学的特徴付け
多形Iの結晶形の式(I)の化合物は、252℃、ΔH=95〜113Jg
−1(加熱速度20K分
−1)で融解する。
加熱速度に応じて融点の低下が観察された。
分解が起こるので、融点はより低い加熱速度(例えば2K分
−1)で低下する。
他の相転移は観察されなかった。最大175℃の温度まで、約0.1%の質量損失が観察された。
【0120】
安定性および吸湿
多形Iの結晶形の式(I)の化合物の試料を相対湿度85%および97%(25℃)で貯蔵した。試料を、DSC、TGAおよびXRPDにより12ヶ月後に評価した。12ヶ月後、両方の場合で0.1%未満の質量変化が観察された。これは、多形Iの結晶形の式(I)の化合物が、これらの貯蔵条件下で水の有意な吸収を示さないことを意味する。DSC、TGAおよびXRPDによると、多形Iの結晶形の式(I)の化合物には差が存在しない。
【0121】
HPLC条件/方法
方法A
YMC Hydrosphere C18
150*4.6mm、3.0μm
25℃、1ml/分、270nm、4nm
0’:70%TFA0.1%*;30%アセトニトリル
17’:20%TFA0.1%*;80%アセトニトリル
18’:70%TFA0.1%*;30%アセトニトリル
*:水中TFA
【0122】
方法B
YMC Hydrosphere C18
150*4.6mm、3.0μm
25℃、1ml/分、255nm、6nm
0’:90%TFA0.1%*;10%アセトニトリル
20’:10%TFA0.1%*;90%アセトニトリル
18’:10%TFA0.1%*;90%アセトニトリル
【0123】
方法C:
Nucleodur Gravity C18
150*2mm、3.0μm
35℃、0.22ml/分、255nm、6nm
溶液A:水1l中リン酸水素アンモニウム0.58gおよびリン酸二水素アンモニウム0.66g(リン酸アンモニウム緩衝液pH7.2)
溶液B:アセトニトリル
0’:30%B;70%A
15’:80%B;20%A
25’:80%B;20%A
【0124】
方法D
カラム長:25cm
内径:4.6mm
充填:Chiralpak IA、5μm
試薬:1.アセトニトリルHPLCグレード
2.メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、p.a.
試験溶液 試料をアセトニトリルに1.0mg/mlの濃度で溶解する。
(例えば、試料約25mgを正確に秤量し、アセトニトリル中25.0mlに溶解)。
溶離液A.アセトニトリル
B.メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、p.a.
流量0.8ml/分
カラムオーブン温度25℃
検出測定波長:255nm
帯域幅:6nm
注入体積5μl
溶離剤AおよびBの混合組成90:10の体積比
クロマトグラム実行時間30分
保持時間/RRT:
(4S)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(1)約11分。RRT:1.00
(4R)−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド(1)約9分。RRT:0.82
【0125】
多形Iの結晶形の式(I)の化合物を分析するためのX線回折の測定パラメータ
データセット名 2429−08a r2
スキャン軸 2θ−ω
開始位置[2θ°] 2.0000
終了位置[2θ°] 37.9900
発散スリットのタイプ 一定
発散スリットのサイズ[°] 1.0000
測定温度[℃] 25
アノード材料 Cu
K−α1[Å] 1.54060
発電機設定 35mA、45kV
回折計の種類 透過型回折計
ゴニオメータ半径[mm] 240.00
Focus−div.スリットギャップ[mm] 91.00
一次ビームモノクロメータ あり
サンプル回転 あり
【0126】
【表1A】
【表1B】
【0127】
多形Iの結晶形の式(I)の化合物を測定するためのIRおよびラマン分光法のための測定条件:
IR:
機器 Perkin Elmer Spectrum One
スキャン回数 32
分解能 4cm
−1
Technique Diamond ATRユニット
ラマン:
機器 Bruker Raman RFS 100/S
スキャン回数 64
分解能 2〜4cm
−1
レーザーパワー 350mW
レーザー波長 1064nm
【0128】
【表2A】
【表2B】