(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スルホン酸基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークが、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−プロペン−1−スルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,3−プロパンスルホン、1,4ブタンスルホン、ビニルスルホン酸、アネトールスルホン酸、およびスチレンスルホン酸のうちの1つまたは複数を含む重合化モノマーを含む、請求項1記載のインプラント。
スルホン酸基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークが、第3のポリマーネットワークのモノマーの総数に対して約1%〜約100%のスルホン酸基を含む、請求項1又は2に記載のインプラント。
第2および第3のポリマーネットワークの一方が、インプラントの第1の部分からインプラントの第2の部分への組成および水和勾配を形成する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のインプラント。
キャップ、カップ、プラグ、キノコ形、円筒形、パッチ、およびステムからなる群から選択される形状を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のインプラント。
肩鎖関節、足関節、関節丘、肘関節、指関節、関節窩、股関節、椎間板、椎間関節、関節唇、半月板、中手関節、中足関節、膝蓋骨、脛骨プラトー、足指関節、顎関節、または手首関節およびそれらの任意の一部にフィットするように適合されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載のインプラント。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ある特定の医学的用途に望ましい機械的特性は、しばしば多くの親水性出発材料の可能性の範囲外にある。したがって、本開示の一態様は、他の所望の特性に加えて高い機械的強度の目標を達成するための有用な手法として、疎水性出発材料の高い機械的強度を利用し、それらの疎水性材料をある特定のイオン性ポリマーと組み合わせる。従来技術は、水膨潤性ポリマーを採用してそれをより強固にしようとしたが、本開示の一態様は、強固な材料を採用してそれをより水膨潤性にする。1つの目的は、材料のバルク全体およびその表面までの制御された様式での水の加圧および流動を可能にする、強固でありながらも透過性のネットワークを形成することである。疎水性出発材料から形成され得るIPN組成物が、本明細書において開示される。IPN組成物は、所望の物理的および化学的特性を達成するように処理され得る。用途の例は、軟骨置換として、および軸受け用の材料としての用途を含む。
【0020】
この用途の目的において、「相互貫入ポリマーネットワーク」または「IPN」は、分子スケールで少なくとも部分的に織り合わされているが互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り分離され得ない2つ以上のポリマーネットワークを含む材料である。「半相互貫入ポリマーネットワーク」または「半IPN」は、線状または分岐状高分子の少なくともいくつかによるネットワークのうちの少なくとも1つの分子スケールでの貫入を特徴とする、1つまたは複数のポリマーネットワークおよび1つまたは複数の線状または分岐状ポリマーを含む材料である。IPNとは区別されるように、半IPNは、成分ポリマーネットワークのうちの少なくとも1つが共有結合により化学的に架橋していないポリマーブレンドである。
【0021】
「ポリマー」は、ホモポリマー(1つの種のモノマーに由来するポリマー)およびコポリマー(2種以上のモノマーに由来するポリマー)を含む高分子を含む物質である。「疎水性ポリマー」は、(1)少なくとも45°の表面水接触角を有する、および(2)ASTM試験基準D570に従い、室温で24時間後に2.5%以下の吸水率を示す、という2つの特性のうちの少なくとも1つを有する予備形成ポリマーネットワークである。「親水性ポリマー」は、45°未満の表面水接触角を有するポリマーネットワークであり、ASTM試験基準D570に従い、室温で24時間後に2.5%超の吸水率を示す。「イオン性ポリマー」は、その性質および場所とは無関係に、少なくとも2質量%のイオン性またはイオン化可能なモノマー(またはその両方)を含有する高分子を含むポリマーとして定義される。「イオン化可能なモノマー」は、他のモノマーと化学結合してポリマーを形成し得、またカルボン酸および/またはスルホン酸等の酸官能基の存在に起因して負に帯電する能力を有する小分子である。「熱硬化性ポリマー」は、熱可塑性ポリマーとは異なり、加熱された場合に溶融しないポリマーである。熱硬化性ポリマーは、最初に作製された所与の形状に「硬化」し、その後流動または溶融しないが、むしろ加熱後に分解し、しばしば高度に架橋および/または共有結合的に架橋する。「熱可塑性ポリマー」は、熱硬化性ポリマーとは異なり、加熱された場合に溶融または流動するポリマーである。熱可塑性ポリマーは、通常、共有結合的に架橋しない。「ポリマー合金」は、IPNまたは半IPNである。「勾配ポリマー合金」は、勾配IPNまたは半IPN(例えば、組成勾配を有するIPNまたは半IPN)であり、材料の組成は、材料の一態様から別の態様まで変動する。例えば、そのような勾配は、材料の1つの側から別の側まで、または材料の内部から材料の外側表面まで存在し得る。そのような勾配は、材料の水和(含水量)の変化、材料の化学組成の変化、またはその両方を含んでもよい。「相分離」は、単相系から複数相系への変換として定義され、特にブロックコポリマーの2つの非混和性ブロックの2つの相への分離として定義され、わずかな混合が生じる小規模中間相の可能性を伴う。
本開示は、一般的な市販の疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマー、例えばポリウレタンまたはABSを改質して、新たな特性、例えば強度、潤滑性、電気伝導率、増加した耐薬品性、および耐摩耗性を提供するためのプロセスを含む。他の可能な疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーは、以下で説明される。本開示はまた、IPNおよび半IPN組成物、ならびにそのような組成物から作製される物品、ならびにそのような物品を使用する方法を含む。本開示のIPNおよび半IPN組成物は、高い引張および圧縮強度;低い摩擦係数;高い含水量および膨潤性;高い透過能力;生体適合性;ならびに生物学的安定性という特徴のうちの1つまたは複数を達成し得る。「透過能力」という用語は、水が材料の細孔を通って移動し易くする水透過能力を指す。高い接触応力下で潤滑特性を得るために、透過能力はある特定の範囲内にある必要がある。
【0022】
本明細書において、改善されたIPN組成物およびそれを作製する方法が提供される。本開示の一態様は、哺乳動物の体内のインプラントが遭遇する生理学的環境に対する改善された抵抗性を有するように、IPN組成物の特性を改善することである。インプラントが遭遇する生理学的環境の例は、血液、血漿、滑液、髄液、血清、および他の体液を含む。例えば、IPN組成物は、カルシウムイオン等の二価カチオンを有する環境、特に整形外科用途において体内に導入されたインプラントが経験する環境に曝露された場合でも、潤滑性を保持し、高い含水量を有し得る。いくつかのIPN実施形態は、低い含水量をもたらす二価イオン(カルシウムまたはマグネシウム等)に結合する傾向を有する。カルシウム抵抗性を達成するための1つの手法は、スルホン酸官能基を有する材料をIPN組成物に導入することである。スルホン酸は、カルシウムイオンに対する良好な抵抗性を提供するが、スルホン酸官能基の高い負電荷および低いpKa、ならびに、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーがスルホン酸官能基を含有するモノマーと共に膨潤することを困難にする、スルホン酸官能基と疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーとの間の他の不適合性に起因して、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマー中にスルホン酸を直接組み込むことは困難である。これによって、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーおよびスルホン酸ベースポリマーによる2ネットワークIPNを形成することが困難となる。
【0023】
本明細書において、IPN組成物中にスルホン酸官能基を組み込むための改善された方法が開示される。まず比較的
親水性であるが非イオン性/中性である第2のポリマーネットワークを疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマー中に形成することにより、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーの第1のポリマーネットワークにおいてスルホン酸の組み込みが改善され得ることが発見されている。第2のポリマーネットワークは、スルホン酸官能基を有するイオン性モノマーまたはマクロマーと、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーの第1のポリマーネットワークとの適合性を大幅に改善し得る。第2のポリマーネットワークの使用はまた、第2の中性/非イオン性ポリマーネットワークを有さない材料と対比して、IPN組成物中に組み込まれ得るスルホン酸基の量を増加させることができる。
【0024】
材料へのスルホン酸官能基の付加は、潤滑性、および二価または多価カチオンによる結合に対する抵抗性等の有益な特性を付与する。スルホン酸含有ポリマーが他のポリマーと非常に容易にまたは直接的に複合材料を形成しない場合がある。したがって、当技術分野において、スルホン酸ポリマーを他のポリマーとの複合材料にすることが必要とされている。好ましい実施形態において、非イオン性ポリマーは、第1のポリマーとスルホン酸含有ポリマーとの間の中間体として機能する。この非イオン性ポリマーは第1のポリマーとIPNを形成し、これによってIPNはスルホン酸ポリマーのモノマーと混和性となり、次いでスルホン酸モノマーが第1のIPNの存在下で重合して3ネットワークIPNを形成する。中間の非イオン性ポリマーを有さない疎水性の第1のネットワークの場合、第1のネットワークポリマーに対するスルホン酸ポリマーの量は比較的低くなる。
いくつかの実施形態において、水膨潤性の水透過性相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半IPN部材が提供される。水膨潤性IPNまたは半IPN部材は、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーを含む第1のポリマーネットワーク、非イオン性ポリマーを含む第2のポリマーネットワーク、およびスルホン酸官能基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークを含む。水膨潤性の水透過性IPNまたは半IPN部材は、水膨潤性の水透過性IPNまたは半IPN部材の第1の表面と第2の表面との間に組成勾配を含んでもよい。一例において、第1のポリマーネットワークは、ポリウレタンを含む。
【0025】
いくつかの場合において、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーは、ポリマーセグメントの複数のサブセットを含んでもよい。硬質および軟質セグメント等のセグメントの適合性は、第2のポリマーネットワークおよび第3のポリマーネットワークを作製するために使用されるイオン性モノマーおよび非イオン性/中性モノマーとの様々な適合性を有し得る。疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマー内のポリマーセグメントのサブセットとイオン性および非イオン性モノマーとの適合性に依存して、第2のポリマーネットワークおよび第3のポリマーネットワークは、ポリマーセグメントのサブセットの全て、またはポリマーセグメントのサブセットの一部のみにおいて形成し得る。例えば、第2のポリマーネットワークおよび第3のポリマーネットワークは、それぞれ疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーのポリマーセグメントの同じサブセット内に形成される。いくつかの実施形態において、第2のポリマーネットワークおよび第3のポリマーネットワークは、それぞれ、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーの硬質セグメントではなく軟質セグメント内にのみ形成される。
【0026】
非イオン性ポリマーを含む第2のネットワークは、ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数を含む重合化モノマーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、非イオン性ポリマーを含む第2のポリマーネットワークは、重合化ヒドロキシエチルメタクリレートを含んでもよい。
スルホン酸基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークは、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−プロペン−1−スルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、ビニルスルホン酸、1,3−プロパンスルホン、1,4ブタンスルホン、アネトールスルホン酸、およびスチレンスルホン酸のうちの1つまたは複数を含む重合化モノマーを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、スルホン酸基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークは、重合化2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を含む。いくつかの実施形態において、非イオン性ポリマーを含む第2のポリマーネットワークは、重合化ヒドロキシエチルメタクリレートを含み、スルホン酸基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークは、重合化2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を含む。
【0027】
第1のポリマーネットワーク、第2のポリマーネットワーク、および第3のポリマーネットワークのいずれも、コポリマー、または複数の異なるモノマーの組合せであってもよい。いくつかの実施形態において、第2のポリマーネットワークはまた、ポリ(アクリル酸)を含んでもよい。例えば、第2のポリマーネットワークは、コポリマー重合化アクリル酸(PAA)および重合化ヒドロキシエチルメタクリレートを含んでもよい。いくつかの実施形態において、第3のポリマーネットワークはまた、アクリル酸を含んでもよい。例えば、第3のポリマーネットワークは、コポリマー重合化2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびアクリル酸を含んでもよい。別の例において、第3のポリマーネットワークは、コポリマー重合化ビニルスルホン酸およびアクリル酸を含んでもよい。
スルホン酸基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークは、第3のポリマーネットワークの官能基の総数に対して約1%〜約100%のスルホン酸基を含んでもよい。イオン性ポリマーは、他の官能基に対して過半数のスルホン基を含んでもよい。第3のポリマーネットワークは、固定電荷を含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、第2のポリマーは、第1のポリマーのハンセン溶解度パラメータ(δ
d、δ
p、δ
h)にマッチするように調整されるイオン性および非イオン性モノマーの混合物を含み、潜在性の膨潤を可能にする。混合物は、単一のイオン性モノマーおよび非イオン性モノマーまたはそれらの任意の組合せを含んでもよい。例えば、混合物のイオン性部分は、アクリル酸およびビニルスルホン酸の組合せを含んでもよく、ヒドロキシエチルメタクリレートの非イオン性部分を含んでもよい。
第1のポリマーの膨潤ハンセン溶解度パラメータは、1種または複数種の溶媒およびイオン性モノマーの系を使用して適合される。例えば、混合物は、AMPS、ギ酸および水の混合物を含んでもよい。
第2のポリマーは、第1のコポリマーのただ1つのセグメントのハンセン溶解度パラメータにマッチするように調整されたイオン性モノマーおよび溶媒の混合物を含む。例えば、イオン性モノマーおよび溶媒の混合物は、ポリウレタンポリマーの軟式セグメントにのみ影響する。
【0029】
第1のポリマーの膨潤ハンセン溶解度パラメータ、または第1のポリマーの1つもしくは複数のセグメントの溶解度パラメータは、モノマーまたはモノマーおよび溶媒の混合物の溶解度パラメータと適合される。第2のポリマーの重合後、第1および第2のIPNの組み合わされた膨潤ハンセン溶解度パラメータは、第3のポリマーのモノマーまたはモノマーおよび溶媒の混合物と適合される。第4のネットワーク以降を追加するためには、同じ手順が繰り返され得る。例えば、ポリウレタンは、ポリウレタンを膨潤させるように調整されたハンセン溶解度パラメータを有するベンジルアルコールおよびヒドロキシエチルメタクリレートにより膨潤され、重合後、新たなIPNに対して新たなハンセン溶解度パラメータが推定され、第3のIPNネットワークのアクリル酸および2−メチルプロパンスルホン酸の溶液の溶解度パラメータと適合される。
いくつかの実施形態において、第2のポリマーは、他のイオン性分子と化学反応し得る反応基を有してもよい。例えば、第2のポリマーは、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートであってもよく、イオン性分子は、1,3プロパンスルホンであってもよい。
【0030】
IPN組成物は、第1のポリマーネットワーク、第2のポリマーネットワーク、および第3のポリマーネットワークのいずれかまたは全てにおいて、1つまたは複数の組成勾配を含んでもよい。一例において、組成勾配は、剛性勾配を形成する。別の例において、組成勾配は、骨セメント等の接着剤により形成される接着勾配であってもよい。別の例において、組成勾配は、水和勾配であってもよい。例えば、第2および第3のポリマーネットワークの一方は、インプラントの第1の部分からインプラントの第2の部分への水和勾配を有してもよい。さらに別の例において、第3のポリマーネットワークは、インプラントの第1の部分からインプラントの第2の部分への電荷勾配を形成してもよい。勾配は、表面からの距離の関数としての自由体積の制約に起因する必要性により、第3のネットワークが勾配として形成される第2のネットワークにより確立されてもよい(水和勾配)。代替として、勾配は、第1のネットワークと共に完全に(勾配なしで)形成される第2のネットワーク内への第3のネットワークモノマーの差別的膨潤により形成されてもよい。
本明細書に記載のIPN組成物は、二価金属カチオンとの結合に対する抵抗性を示すことにより、改善された水膨潤および摩擦特性を提供し得る。二価金属カチオンの例は、特にカルシウムおよびマグネシウムを含む。
本明細書に記載のIPN組成物は、整形外科用インプラントの一部として使用され得る。整形外科用インプラントは、骨接触表面を有する骨界面部材を含んでもよい。いくつかの実施形態において、軸受表面および取付ゾーンを有する水膨潤性の水透過性相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半IPN部材が提供される。取付ゾーンは、骨界面部材に取り付けられてもよい。水膨潤性の水透過性IPNまたは半IPN部材は、軸受表面と取付ゾーンとの間に組成勾配を含んでもよい。
【0031】
骨界面部材は、金属で作製されてもよい。いくつかの例において、金属は、多孔質金属である。いくつかの実施形態において、骨界面部材は、セラミックまたはポリマーで作製される。
いくつかの例において、整形外科用インプラントの少なくとも一部は、関節へのインプラント設置の間、形状を変化させるように構成される。いくつかの例において、インプラントの少なくとも一部は、関節へのインプラント設置の間、一時的に変形するように構成される。
インプラントは、キャップ、カップ、プラグ、キノコ形、円筒形、パッチ、およびステムからなる群から選択される形状を有してもよい。インプラントはまた、肩鎖関節、足関節、関節丘、肘関節、指関節、関節窩、股関節、椎間板、椎間関節、関節唇、半月板、中手関節、中足関節、膝蓋骨、脛骨プラトー、足指関節、顎関節、または手首関節およびそれらの任意の一部にフィットするように適合されていてもよい。
IPN組成物は、骨セメント等の接着剤を使用してインプラントに取り付けられてもよい。例えば、骨界面部材への取付ゾーンの取付けは、接着剤により形成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、IPN組成物は、潤滑表面または側面を含んでもよい。一例において、軸受表面が潤滑表面であってもよい。潤滑表面は、約0.1未満の摩擦係数を有してもよい。潤滑表面は、約0.010未満の摩擦係数を有してもよい。潤滑表面は、約0.005未満の摩擦係数を有してもよい。潤滑表面は、約0.003未満の摩擦係数を有してもよい。潤滑表面は、約0.001未満の摩擦係数を有してもよい。いくつかの実施形態において、潤滑表面は、約0.001から約0.1の摩擦係数を有してもよい。
IPNは、そのバルクまたはその表面内に化学的または物理的に組み込まれた、酸化防止剤(例えば、ビタミンC、ビタミンE、Irganox(登録商標)、またはサントホワイト(santowhite)粉末)、抗菌剤(例えば抗生物質)、抗炎症剤(ステロイド)等のある特定の添加剤を有してもよい。これらは、例えば、酸化防止剤と任意のビニル基含有モノマー、例えばメタクリレート、アクリレート、アクリルアミド、ビニル、またはアリルエーテルとのエステル化により、材料に化学結合されてもよい。
他の用途において、IPN組成物は、モーター、ポンプ、または可動部品を有する他の機械デバイスの一部としての軸受等の他の機械的用途で使用されてもよい。
【0033】
図1Aは、軟骨100の概略図である。軟骨は、強固なコラーゲンネットワーク102、負に帯電したプロテオグリカン104、および水106を有する。
図1Aの拡大部分は、負に帯電した分子108を有する負に帯電したプロテオグリカン104を示す。
図1Bは、いくつかの実施形態によるIPN組成物150の概略図である。例示されたIPN組成物150は、ポリマーAの第1のポリマーネットワーク152、負電荷を有するポリマーBの第2のネットワーク154、および水156を含む。
図1Bは、負に帯電した分子158を有するポリマーBの第2のネットワーク154を示す。
図2は、いくつかの実施形態による本明細書に記載のIPN組成物160の概略図である。IPN組成物160は、非イオン性である第1のポリマーネットワーク162、非イオン性または部分的にイオン性であってもよい第2のネットワーク164、およびイオン性であってもよくスルホン酸官能基を含有してもよい第3のポリマーネットワーク166を含む。
図6は、いくつかの実施形態によるIPN組成物の写真である。
図3A〜3Eは、いくつかの実施形態によるIPN組成物を形成するためのプロセスを示す。
図3A〜3Eは、硬質セグメント10(白抜きの矩形として示されている)および軟質セグメント12(線として示されている)のネットワークを含有する、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマー、例えば熱可塑性ポリウレタンベースポリマーに関するプロセスを示す。
図3Bにおいて、軟質セグメント12は、非イオン性モノマー14(丸として示されている)および任意選択の溶媒、ならびに開始剤および架橋剤(図示せず)で膨潤しているが、硬質セグメント材料10にはほとんど影響しない。この膨潤プロセスは、ポリマーの溶解ではなく、硬質セグメントは、軟質セグメントがモノマーおよび任意選択の溶媒を吸収したときに材料を互いに保持するための物理的架橋として機能する。モノマーの重合および架橋後、第2のネットワーク16(
図3Cおよび3Dにおいて濃い線として示されている)が第1のネットワークの存在下で形成されてIPNを生成し、第2のポリマー(すなわち重合化モノマー)は、主として第1のポリマーの軟質非晶質ドメイン内に隔離されている。ある程度の分子再配列およびさらなる相分離にもかかわらず、硬質セグメントは、規則性および結晶性をほぼ保持し、材料に構造および強度を提供する。
【0034】
次いで、スルホン酸官能基を含有するイオン性ポリマーを重合させることにより、第3のポリマーネットワークが形成され得る。第2のポリマーネットワーク16は、スルホン酸官能基を含有するイオン性ポリマーと、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーとの適合性を改善し得る。例えば、
図3Dにおいて、軟質セグメント12は、スルホン酸官能基を含むイオン性モノマー18(丸として示されている)および任意選択の溶媒、ならびに開始剤および架橋剤(図示せず)で膨潤しているが、硬質セグメント材料10にはほとんど影響しない。この膨潤プロセスは、ポリマーの溶解ではなく、硬質セグメント10は、軟質セグメント12がモノマーおよび任意選択の溶媒を吸収したときに材料を互いに保持するための物理的架橋として機能する。モノマーの重合および架橋後、スルホン酸官能基を含む第3のネットワーク20が第1のネットワークの存在下で形成されてIPNを生成し、第3のポリマーネットワーク(すなわち重合化イオン性モノマー)は、
図3Eに示されるように、主として第1のポリマーの軟質非晶質ドメイン内に隔離されている。ある程度の分子再配列およびさらなる相分離にもかかわらず、硬質セグメントは、規則性および結晶性をほぼ保持し、材料に構造および強度を提供する。
【0035】
図4は、いくつかの実施形態によるIPN組成物170の概略図である。IPN組成物170は、より堅い表面171aと潤滑表面171bとの間に水和勾配を有する三重ポリマーネットワークを含む。
図5は、組成の遷移に伴う滑らかな勾配としての水和勾配を示す。水和レベルは、潤滑表面171bからの距離の増加と共に減少する。水和レベルは、潤滑表面171bにおいて最大である。潤滑表面は、ポリマーA、ポリマーB、およびポリマーCを含み、ポリマーAに比べてポリマーBおよびCの量がより多い。より堅い表面171aと潤滑表面171bとの間の領域は、示された例において、ほぼ同じ量のポリマーA、B、およびCを含む。より堅い表面171aは、ポリマーBおよびCに比べてより多量のポリマーAを含む。ポリマーBおよびCの量は、より堅い表面171aの隣接部において比較的同じとなり得る。一例において、ポリマーAはポリウレタンであってもよく、ポリマーBはポリ−HEMAであってもよく、ポリマーCはポリ−AMPSであってもよい。
【0036】
図5は、いくつかの実施形態によるIPN組成物172の概略図である。IPN組成物172は、より堅い表面173aと潤滑表面173bとの間に水和勾配を有する三重ポリマーネットワークを含む。
図5は、組成の遷移に伴う滑らかな勾配としての水和勾配を示す。水和レベルは、潤滑表面173bからの距離の増加と共に減少する。水和レベルは、潤滑表面173bにおいて最大である。潤滑表面は、ポリマーA、ポリマーB、およびポリマーCを含み、ポリマーAに比べてポリマーBおよびCの量がより多い。より堅い表面173aと潤滑表面173bとの間の領域は、示された例において、ほぼ同じ量のポリマーA、B、およびCを含む。より堅い表面173aは、
図5において、ポリマーAのみを含む。一例において、ポリマーAはポリウレタンであってもよく、ポリマーBはポリ−HEMAであってもよく、ポリマーCはポリ−AMPSであってもよい。
図4〜5は、連続的な水和勾配および組成勾配を有するように示されている。他の実施形態において、水和勾配は、材料のコアが疎水性/純ポリマーAを含み、材料の外側表面が水和し、ポリマーA、BおよびCを含む、二方向勾配であってもよい。また、
図4および5に示されたIPN組成物において、追加の勾配が形成されてもよい。一例において、より堅い表面171a/173cに接着勾配が形成されてもよい。
【0037】
IPN組成物は、骨に類似した特性を有する反対側と共に、潤滑側で軟骨を模倣するように設計されてもよい。IPN組成物の特性は、軟骨様の側と骨様の側との間で徐々に遷移してもよい。
図7Aは、いくつかの実施形態による勾配を有するIPN組成物180の写真である。
図7Bは、いくつかの実施形態による勾配を有するIPN組成物180の概略図である。
図7Bに示されるように、軟骨様の側182は、水和、潤滑および柔軟軸受表面183を示す。骨様の側186は、より堅い係止表面187を示す。軟骨様表面と骨様表面との間には、界面領域を有さない(例えばグラフト領域のない)勾配遷移ゾーン184がある。
本明細書において開示されるIPN組成物を作製する方法もまた提供される。
図8は、いくつかの実施形態によるIPN組成物を形成するための方法200を示す。第1のステップ202は、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーの第1のポリマーネットワークを含むポリマー組成物を、非イオン性モノマー溶液と接触させることを含む。第2のステップ204は、非イオン性モノマーを重合させて、重合化非イオン性モノマーを含む第2のポリマーネットワークをポリマー組成物中に形成することを含む。第3のステップ206は、ポリマー組成物を、スルホン酸官能基を含有するイオン性モノマーの溶液と接触させることを含む。第4のステップ208は、イオン性モノマーを重合させて、重合化イオン性モノマーを含む第3のポリマーネットワークをポリマー組成物中に形成することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1のポリマーネットワークは、ポリウレタンを含む。非イオン性モノマーの例は、ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数を含むモノマーを含む。スルホン酸基を含有するイオン性モノマーの例は、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−プロペン−1−スルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,3−プロパンスルホン、1,4ブタンスルホン、ビニルスルホン酸、アネトールスルホン酸、およびスチレンスルホン酸のうちの1つまたは複数を含むモノマーを含む。
いくつかの実施形態において、非イオン性モノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートを含み、スルホン酸基を含有するイオン性モノマーは、重合化2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1のポリマーネットワーク、第2のポリマーネットワーク、および第3のポリマーネットワークのいずれも、複数のモノマーから形成されて、コポリマーを形成し得る。例えば、第3のポリマーネットワークは、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)およびアクリル酸を重合させてコポリマーを形成することにより形成され得る。
非イオン性モノマーは、水性溶媒による溶液中に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、非イオン性モノマー、例えばHEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)またはHEMAAm(2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド)の濃度は、約40質量%までであってもよい。いくつかの実施形態において、HEMAの濃度は、100%に達してもよい。アクリル酸等の追加的なイオン性モノマーが、非イオン性モノマー溶液に添加されてもよい。いくつかの実施形態において、アクリル酸は、約1質量%〜約50質量%の濃度で非イオン性モノマー溶液中に提供される。いくつかの実施形態において、アクリル酸は、約1質量%〜約75質量%の濃度で非イオン性モノマー溶液中に提供される。
方法は、架橋剤および/または開始剤(熱、化学もしくは光開始剤)を使用して架橋を形成するステップを含んでもよい。光開始剤に非イオン性モノマーを提供して、第2のポリマーネットワークを架橋することができる。光開始剤にイオン性モノマーを提供して、第3のポリマーネットワークを架橋することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、方法は、IPN組成物の第1の表面とIPN組成物の第2の表面との間に組成勾配を形成するステップを含んでもよい。組成勾配は、剛性勾配を形成してもよい。組成勾配は、接着勾配を含んでもよい。組成勾配は、水和勾配を形成してもよい。例えば、水和勾配は、第2または第3のポリマーネットワークのうちの1つにおいて形成されてもよい。
方法は、ポリマー組成物を所望の形状に成型、整形または成形するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態において、所望の形状は、キャップ、カップ、プラグ、キノコ形、円筒形、パッチ、およびステムからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、所望の形状は、肩鎖関節、足関節、関節丘、肘関節、指関節、関節窩、股関節、椎間板、椎間関節、関節唇、半月板、中手関節、中足関節、膝蓋骨、脛骨プラトー、足指関節、顎関節、または手首関節およびそれらの任意の一部にフィットするように適合されている。IPN組成物を人工器官、骨界面部材、または他の所望の取付表面に固定するために、骨セメントが使用されてもよい。
【0041】
一実施形態において、ポリウレタンは、非イオン性モノマーおよび架橋剤を含有するモノマー溶液中に含浸され、次いでポリウレタンネットワーク内に非イオン性ネットワークが形成されて、2ネットワークIPNが形成される。次いで、このIPNは、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および架橋剤のモノマー溶液中に含浸され、次いで既存のIPN内にポリ−AMPS(PAMPS)ネットワークが形成されて、ポリウレタン(第1のネットワーク)、非イオン性ポリマー(第2のネットワーク)、およびPAMPS(第3のネットワーク)の3ネットワークIPNが効果的に形成される。他の実施形態において、アクリル酸を含む他のモノマー、ならびに他のエチレン性不飽和モノマー(イオン性および非イオン性の両方)を組み込んだコポリマーが、第2または第3のポリマーネットワーク内に組み込まれてもよい。これらの組合せを使用して、四重またはより高次のネットワーク等の追加的なネットワークが形成されてもよい。別の実施形態において、スルホン化ポリウレタンネットワーク等、スルホン酸もまた第1のポリマーネットワークに組み込まれてもよい。任意の数の架橋剤および開始剤(例えば光開始剤および化学開始剤)が、ネットワークを重合させるために使用され得る。スルホン酸官能基を含有するAMPS以外のモノマー、例えば2−プロペン−1−スルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,3−プロパンスルホン、1,4ブタンスルホン、ビニルスルホン酸、アネトールスルホン酸、およびスチレンスルホン酸が、上述の3ネットワーク系の第3のポリマーネットワークを含むネットワークのいずれかにおいて使用されてもよい。
【0042】
使用され得るイオン化不可能な(電荷中性)モノマーは、限定されないが、ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミドならびにこれらのモノマーの任意の組合せおよび/または誘導体を含む。第2または第3のポリマーネットワークにおいて、様々な官能基を有するエチレン性不飽和モノマーまたはマクロモノマー(すなわち反応性二重結合またはビニル基を有する)の任意の数または組合せが、単独で、または様々な溶媒(例えば水もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物)と組み合わせて使用され得る。これらのエチレン性不飽和の態様は、アクリル、メタクリル、アクリルアミド、アリルエーテル、および他の同様のモノマーを含む。任意選択で、第2または第3のポリマーネットワークが、イオン化不可能およびイオン化可能なモノマーの混合物であってもよい。例えば、第2のネットワークは、2つ以上のイオン化不可能なモノマーの混合物であってもよく、または、1つもしくは複数のイオン化可能なモノマーおよび1つもしくは複数のイオン化不可能なモノマーの混合物であってもよい。第3のポリマーネットワークは、2つ以上のイオン化不可能なモノマーの混合物であってもよく、または、1つもしくは複数のイオン化可能なモノマーおよび1つもしくは複数のイオン化不可能なモノマーの混合物であってもよい。形成される追加的なネットワーク(第4、第5等の)ネットワークにも同様のことが適用され得る。これらの例において形成される三重またはより高次のIPNは、第2、第3またはより高次のネットワークの重合ステップの前またはその間に、第1のポリマーネットワーク内の前記第2および/または第3のポリマーネットワークモノマー溶液の相対量を改変することにより、勾配IPN(または勾配ポリマー合金)として合成されてもよい。
【0043】
任意の数の架橋剤および開始剤(例えば光開始剤および化学開始剤)が、本明細書に記載のネットワークを重合させるために使用され得る。第2および第3のネットワークを上述の第1のネットワークのいずれかの存在下で架橋するために、任意の種類の適合性架橋剤、例えばエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(もしくはジアクリレート)、トリエチレングリコールジメタクリレート(もしくはジアクリレート)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(もしくはジアクリレート)、ポリエチレングリコールジメタクリレートもしくはポリエチレングリコールジアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、それらの誘導体、または組合せ等が使用され得る。架橋剤の例は、トリエチレングリコールジメタクリレートまたはN,Nメチレンビスアクリルアミドを含む。また、前駆体溶液/材料とのその溶解度に依存して、任意の数の光開始剤が使用され得る。これらは、限定されないが、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンおよび2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンを含む。リボフラビン(ビタミンB2)、またはローズベンガル等の他の自然発生的な光開始剤が使用されてもよい。さらに、過酸化ベンゾイル、2−オキソグルタル酸、アゾビスイソブチロニトリル、または過硫酸カリウム(または過硫酸ナトリウム)等の他の開始剤が使用されてもよい。例えば、過酸化ベンゾイルは、温度開始重合に有用であり、アゾビスイソブチロニトリルおよび過硫酸ナトリウムは、ラジカル開始剤として有用である。
【0044】
スルホネート含有モノマーの例は、限定されないが、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−プロペン−1−スルホン酸、1,3−プロパンスルホン、1,4ブタンスルホン、アネトールスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、またはスルホン酸が共役した任意のモノマー(アリルエーテル、アクリレート、メタクリレート、ビニル基もしくはアクリルアミド)を含む。これらのモノマーおよびモノマーの組合せから得られるポリマー上のペンダント官能基は、その後の化学反応に供されて、最終IPNに他の官能性を生成し得る。例えば、官能基は、ビタミンCまたはビタミンE等の酸化防止剤への化学結合を形成するように改質され得る。他の実施形態において、ビタミンEまたはビタミンC等の酸化防止剤は、完全形成後の三重ネットワークIPNに、ドーププロセスにより付加されてもよい。特にビタミンEは、その疎水性を考慮して、固相(ポリウレタン硬質セグメント)内に隔離され、したがって、インプラント内、ひいては体内での長期滞留時間を有するビタミンEのデポまたは貯蔵部として供給され、酸化に対して保護される。ビタミンEまたはCはまた、完全形成後のIPN内で共有結合し得る。
別の実施形態において、カルボン酸イオン基を含有する米国特許出願公開第2013/0138210号に示されるような親水性−疎水性IPNは、アミン含有スルホン酸(またはアミノ酸)を使用したアミド化を用いてスルホン化され得る。この場合、IPNのカルボキシレートとスルホン酸中のアミンとの間にペプチド結合が形成される。
【0045】
本開示の用途は、限定されないが、整形外科用インプラント、例えば軟骨置換デバイス、関節置換デバイス、半月板置換、間置空間(interpositional space)、腱または靭帯置換または強化、軟骨スキャフォールド、軟骨置換プラグ、軟骨刺激プラグ、軟骨再生を刺激するための骨充填インプラント、および小関節面または脊椎板インプラントを含む。この技術により対処され得る関節は、限定されないが、膝、足、足首、股関節、肩、指、手、手首、椎間腔、小関節面、肘、および腰椎/胸椎/頸椎椎間板を含む。本開示から利益を得ることができる他の医療デバイスは、尿路カテーテル、ステント、カテーテル、脳シャントおよび脳コイル(cerebral coil)を含む心臓血管インプラント、左心補助循環デバイス(LVAD)軸受、ならびにコンドームを含む。
図9A〜9Cは、それぞれ、いくつかの実施形態による、膝における軟骨パッチとして、股関節軟骨全置換として、および膝軟骨部分置換手順において使用される本明細書に記載のIPN組成物の例を示す図である。IPN組成物は、標的となる用途のための所望の形状に成型または成形され、接着性骨セメントで貼り付けられてもよい。使用され得る接着性骨セメントの例は、共有の米国特許出願公開第2013−0103157号において開示されているものを含む。ポリメチルメタクリレート(PMMA)ベース骨セメントの使用は、米国特許出願公開第2013−0217829号に記載のように、本明細書に記載のIPN組成物と共に追加的な勾配(例えば接着勾配)を形成してもよい。
【0046】
図9Aは、本明細書に記載のIPN組成物で作製された軟骨パッチ212およびプラグ214を示す。軟骨パッチ212およびプラグ214は、若年患者における局所性病変を治療するために使用されてもよく、また関節鏡用途への可能性を有する。軟骨パッチ/プラグは、骨セメント216を使用して骨に貼り付けられてもよい。
図9Bは、股関節220の軟骨、具体的には大腿骨頭222、および寛骨臼カップ224を交換するための、本明細書に記載のIPN組成物を使用した股関節軟骨全置換手順を示す。IPN組成物は、接着性骨セメント226を使用して適所に固定され得るが、その組成は本明細書に記載される。
図9Cは、本明細書に記載のIPN組成物を使用した膝部分置換手順を示す。IPN組成物インプラント242、244は、内側、外側、および膝蓋大腿関節表面を修復するために関節鏡により設置され得る。インプラント242、244は、骨セメント246を使用して、所望の関節表面に固定保持され得る。
【0047】
スルホン化ネットワークを有さないIPNおよびスルホン化ネットワークを有するIPNを、カルシウムに富む環境への曝露により試験した。スルホン化IPNおよびスルホン化ネットワークを有さないIPNを、生理学的環境において典型的に存在するカルシウム[Ca++]の2.5倍の量を有する環境に、6カ月間曝露した。体内において典型的に存在するカルシウムの量は、約1.1〜1.4mMの範囲である。試験されたカルシウムの量は、約3.0mMであった。体内において典型的に存在するカルシウムの平均量は、約2.5mMと推定され得る。スルホン化IPNは、二価カチオンとの結合に対する抵抗性を示し、カルシウムを含有する環境に対する曝露後も高い含水量を維持し、潤滑性を保持した。
生理学的レベルの約50倍(約60mM)のカルシウムおよび生理学的レベルの約2.5倍(約3.0mM)のカルシウムを含む環境における、スルホン化IPNの湿潤質量変化を試験した。生理学的レベルのカルシウムの約50倍(約60mM)のカルシウム濃度を有する環境におけるインキュベーション後のスルホン化IPNは、生理学的イオン、pHおよび温度条件下で平衡化されたIPNの湿潤質量と比較して、3%未満の湿潤質量変化を示した。生理学的レベルのカルシウムの約2.5倍(約3.0mM)のカルシウム濃度を有する環境におけるインキュベーション後のスルホン化IPNは、生理学的イオン、pHおよび温度条件下で平衡化されたIPNの湿潤質量と比較して、2%未満の湿潤質量変化を示した。
【0048】
試験されたスルホン化IPNは、高[Ca
++]溶液への長期曝露により示されるように、低いCa
++またはMg
++親和性を示す。スルホン化IPNはまた、著しい滑りやすさを保持し、生理学的[Ca
++]溶液中で6カ月超にわたり0.003の摩擦係数を有していた。
本明細書において開示されるIPN組成物の他の実施形態は、工業的軸受用途、例えばポンプ軸受、船尾軸の軸受、アキシャルおよびラジアル軸受、水力タービン軸受、リニア軸受、リニアステージ等を含み得る。他の用途は、船舶用のコーティングまたは表面等の工業的用途を含む。
図10および11は、それぞれ、いくつかの実施形態よる、プロペラ軸における軸受として、およびハイドロタービンにおける軸受としての本明細書に記載のIPN組成物の使用を示す。
図10は、船尾管320プロペラ軸326と係合した船尾側軸受322および前方軸受324の2つの軸受としてのIPN組成物を示す。船尾側軸受322および前方軸受は、それらの間に海水封止を形成し得る。
図10に示される例において、IPN組成物軸受322、324は、別個の船尾側封止システムを必要とすることなく使用され得る。船尾管軸受は、いくつかの重要な目的を果たすことができる。軸受は、螺旋軸およびプロペラ質量の相当な割合を支持することができる。軸受はまた、機械空間への海水の浸入を防止するためのグランドとして機能し得る。本明細書に記載のIPN組成物は、従来の軸受に勝る改善された特性を有する船尾管軸受として機能して、船尾管プロペラ軸の一部を支持しながら、海水に対する封止を維持し、また低い摩擦係数を有する表面を提供し得る。
【0049】
図11は、船用エンジンの一部となり得るハイドロタービンエンジン332におけるジャーナル軸受330として使用されるIPN組成物を示す。ハイドロタービンエンジン332は、エンジン334の一部を通して水を移動させることができる。IPN組成物は、ジャーナル軸受330として使用された場合、従来のジャーナル軸受設計に勝る改善された特性およびより複雑でない設計により、潤滑表面を提供し得る。
図12は、軸受システムを水から分離するために複雑な水封止システム344および水湿潤チャンバ(water wetted chamber)346を必要とする、従来の軸受システム342を有する水ポンプ340を示す。水ポンプ340軸受システム342は、複雑な油湿潤チャンバ(oil wetted chamber)343を使用する。
図13は、いくつかの実施形態による軸受352、353として本明細書に記載のIPN組成物を使用する例示的水ポンプ350を示す。IPN組成物ベース軸受352、353は、湿潤水チャンバ354、356が従来の水ポンプにおける複雑な水封止システムおよび複雑な軸受システムに置き換わることができるよう、IPN組成物ベース軸受が水と直接接触して使用され得るように、より単純な水ポンプ設計で使用され得る。
【0050】
本明細書に記載のIPN組成物は、従来の軸受に勝る多くの異なる利益を提供し得る。一態様において、IPN組成物は、従来の軸受に勝る著しい耐腐食性を示し得る。別の態様において、IPN組成物は、海水、真水、および弱い化学物質に対する高い耐腐食性を示し得る。さらに別の態様において、IPN組成物は、低い摩擦係数および低い摩耗を示し得る。IPN組成物は表面コーティングではなく、したがって、バルク材料全体にわたり、潤滑性および低摩擦係数特性を示し得る。IPN組成物は、動的負荷下でも低い摩擦係数および低い摩耗を示し得る。例えば、水の非圧縮性は、動的負荷に対するIPN組成物の応答を改善し得る。特性は、準静的条件下であっても、低い摩擦によって速度から独立し得る。例えば、IPN組成物は、起動摩擦を示さないことが可能であり、ゼロ以上からのRPM値で動作し得る。IPN組成物は、潤滑剤として油を使用せず、または動作のために別の潤滑剤を必要としない。
柔軟性および剛性等のIPN組成物の特性は、軸受に望ましい応答に基づいて調整され得る。IPN組成物の柔軟性および剛性によって、軸受は、IPN組成物の粘弾性に基づいて、振動、および軸受が係合する軸の大きな不整合に対応することが可能となる。
【0051】
いくつかの実施形態において、IPN組成物は、約0.001未満の外側表面上の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態において、IPN組成物は、約10dB未満の騒音を伴って軸受として動作し得る。IPN組成物は、従来の軸受材料よりも静かな動作を提供し得、また従来の軸受よりもはるかに低い費用で製造され得る。
IPN組成物は、冷却が必要とされないように、低い熱負荷下で動作し得る。IPN組成物は、油または水を利用するポンプシステムまたは流体移送システムを使用せずに、軸受として機能し得る。したがって、軸受は、複雑な制御システムを必要とし得る流体移送システムのない、より単純な設計に組み込むことができる。水ベースの用途では、IPN組成物は、水、湖水、水道水、および海水との接触により追加的に潤滑されてもよい。IPN組成物はまた、水ベース用途のために封止を必要としない。
本明細書に記載のIPN組成物は、低圧においては境界層潤滑(極性)を、またより高圧においては間質液加圧を使用すると考えられる。また、本明細書に記載のIPN組成物は、低速度においては境界層潤滑(極性)を、またより高い速度においては間質液加圧を使用すると考えられる。また、IPN組成物により動圧潤滑も使用され得ると考えられる。
【0052】
図14は、本開示の一実施形態を示す。潤滑性の水和関節接合表面10および堅い取付側8を有する医療インプラント2は、骨30とインプラント2の取付表面6との間の中間部として機能する接着性ポリマー24を用いて、骨30に固定される。取付側8は骨30に固定されるように示されているが、取付側8は、本明細書に記載のインプラント表面のいずれかの一部に同様に取り付けられてもよい。示された実施形態において、接着性ポリマー混合物4は、インプラントとは別個であり、例えばシリンジ12を使用してインプラントの取付表面6または骨30に塗布されてもよい。インプラントおよび骨が一緒に合わせられ、接着性ポリマー混合物が硬化および固化されて接着性ポリマー24を形成した後、インプラント20は骨に固定される。接着性ポリマー24およびインプラント取付表面6または骨30の接着メカニズムは、化学的および/または物理的であり、化学的接着は、例えば、デバイス材料もしくは骨上に見られる反応性官能基と接着性ポリマー中の化学基との間に形成される共有結合、ならびに/または様々な非共有結合的相互作用、例えば吸収(例えば化学吸着、物理吸着)、疎水性相互作用、結晶子形成、水素結合、π結合の重なり、ファンデルワールス相互作用およびデバイスと硬化した接着性コポリマーとの間の(例えば分子レベルでの)物理的な絡まり、機械的連結を含む。いくつかの実施形態において、物理的接着は、突起部、陥凹部、溝、孔、粗面エリア、空間および/または他の表面フィーチャの埋積または咬合の結果であってもよい。いくつかの実施形態において、接着性コポリマーは、海綿骨と咬合している。取付表面のいくつかもしくは全てがフィーチャを有してもよく、またはいずれもフィーチャを有さなくてもよい。いくつかの実施形態において、取付表面は滑らかである。
【0053】
図15A〜15Bは、2つの異なる側に配置された潤滑および接着勾配を有し、勾配の間に熱硬化性ポリマー材料T 1005の領域を有する二重勾配の一実施形態を示す。熱硬化性ポリマー材料Tは、疎水性熱硬化性または熱可塑性ポリマーを含む第1のポリマーネットワーク、非イオン性ポリマーを含む第2のポリマーネットワーク、およびスルホン酸官能基を含有するイオン性ポリマーを含む第3のポリマーネットワークを有する、本明細書に記載の三重ネットワークIPN組成物を示し得る。
図15Aおよび15Bに示される熱硬化性ポリマー材料1000は、材料1000の2つの領域上に2つのIPNにより形成された2つの勾配を有する。潤滑性勾配は、領域1003に配置され、熱硬化性ポリマー材料T内の親水性ポリマーSネットワークから作製されたIPN/半IPNから形成される。潤滑性IPNエリア1003は、例えば関節領域に係合するための潤滑表面を提供する表面セクション1001を含む。材料の反対側には、熱硬化性ポリマー材料T内の非イオン性ポリマーPネットワークによるIPN/半IPNから形成された接着勾配1004が存在する。接着性IPNエリア1004は、セメント1006の使用により骨と係合するための接着表面を提供する表面セクション1002を含む。
図15Aに示されるように、勾配領域1003、1004および熱硬化性領域1005は、この実施形態においては明確な境界により分離されていない。むしろ、領域は、材料の厚さにわたって徐々に溶け合い、一方から他方に遷移している。例えば、領域1004における非イオン性ポリマーPネットワークの濃度は、熱硬化性領域1005から接着表面1002にわたり濃く太くなる斜線として示されている。これは、いくつかの実施形態において、非イオン性ポリマーPの濃度および接着勾配の相対的濃度が、熱硬化性材料の1つの領域から別の領域まで、セクション間に明確な境界を形成することなく徐々に増加することを示す。同様に、潤滑側では、親水性ポリマーSを示す斜線は、表面1001の近くではより太くおよびより濃く、斜線が熱硬化性領域1005に向かって移動するにつれて徐々に薄くなる。これもまた、いくつかの実施形態において、親水性ポリマーSの濃度が表面1001においてより高く、領域1005に向かって材料の厚さにわたり徐々に低下することを示す。さらに、
図15Bは、いくつかの実施形態において、セメントまたは係止化合物1006が接着表面に塗布されると、セメントおよび接着勾配が溶け合って、係止化合物と接着勾配1004との間の明確な境界なしに連続領域1007およびセメント化側1008を形成することを示す。さらなる実施形態において、セメント1006および接着性IPN内の非イオン性ポリマーPが同じ場合(セメント1006および領域1004における斜線の存在により示されるように)、IPN内およびセメント内の非イオン性ポリマーPは溶け合い融合して、連続組成物を形成する。
【0054】
いくつかの実施形態において、IPN組成物は、三重ネットワークまたは4つ以上のポリマーネットワークを潤滑または軸受側に含んでもよい。接着に使用される取付側/ゾーンまたはより硬い側もまた、三重ネットワークを含んでもよい。いくつかの実施形態において、取付側/ゾーンは、二重ポリマーネットワークを含んでもよい。いくつかの場合において、二重ポリマーネットワークは、接着側が、所望の物理的特性を有する骨またはインプラント表面との結合を形成するのに十分となり得る。
【0055】
接着勾配は、共有の米国特許出願公開第2013−0103157号および米国特許出願公開第2013−0217829号に記載の接着性コポリマー組成物により形成されてもよい。これらのコポリマーを形成するためにポリマーを組み合わせるためのキット、システム、および方法の例は、共有の米国特許出願公開第2013−0103157号および米国特許出願公開第2013−0217829号に見出すことができる。
【0056】
本開示のさらに別の態様は、それによりウレタンジメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマーを形成するようにメチルメタクリレートをベースとした複数の第2のポリマー領域と交互するウレタンジメタクリレートをベースとした複数の第1のポリマー領域を含む、ウレタンジメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマーを含むIPN組成物中に接着勾配を提供することを含む。いくつかの実施形態において、ウレタン領域(ウレタンジメタクリレート領域または改質ウレタンジメタクリレート領域)は、接着性コポリマーの約60%(w/w)〜約80%(w/w)、約60%(w/w)〜約90%(w/w)、約60%(w/w)〜約99%(w/w)、または約70%(w/w)〜約90%(w/w)を占める。いくつかの実施形態において、メチルメタクリレート領域は、約20%(w/w)〜約40%(w/w)、約1%〜約20%(w/w)、または約1%(w/w)〜約40%(w/w)を占める。いくつかの実施形態において、UDMA領域は、PTMOをベースとした軟質セグメントを含み、軟質セグメントは、約100Daから約5000Daの間の分子量を有する。いくつかの実施形態において、UDMA−MMAコポリマーは、約30MPaから約2000Mpaの間の圧縮弾性率を確定する。いくつかの実施形態において、UDMA−MMAコポリマーは、約30MPaから約2000Mpaの間の引張弾性率を確定する。いくつかの実施形態において、UDMA−MMAコポリマーは、約25%から200%の間の破壊歪みを確定する。優れた固定能力および機械的強度等の他の利点を提供するだけでなく、PMMAと組み合わされたUDMAは、さもなくば純PMMAにおいて見られる脆性を低減する。いくつかの実施形態において、リン酸のアクリル化またはメタクリル化エステルが接着剤に添加されてもよい。
【0057】
接着勾配は、骨セメント組成物をIPN組成物の取付ゾーンに提供し、骨セメント組成物を硬化させて、取付ゾーンを人体内の骨または骨の表面に係合した整形外科用インプラントの一部の表面に取り付けることにより、in−situでIPN組成物内に形成され得る。骨セメントは、光源を骨セメントに提供することにより硬化され得る。接着勾配は、取付ゾーンにおいて接着剤の最高濃度を有する。
ポリウレタンベースインプラントは、その接触界面において、ポリウレタンベース接着剤との分子の絡まり、ならびに物理結合および化学結合の両方を形成する。結合は、特に、両方の材料に共通するポリウレタン成分により促進される。例えば、勾配IPNまたは半IPNは、PUが優勢な片側を特徴とし、この側がUDMA−MMA複合接着剤と良好に結合する。本開示は、機械的要求が高い整形外科的、医学的、商業的、および工業的用途に十分な機械的特性を有する、ポリウレタンポリマー鎖およびUV硬化性接着剤中のMMAモノマーの独特の組合せを提供する。
【0058】
本明細書に記載のIPN組成物はいずれも、上記説明に記載されるインプラントと組み合わされ得る。例えば、IPN組成物はいずれも、本明細書に記載のポリマー金属合金において使用され得る。
図17は、骨界面部材と接合された
図16A〜16Bの勾配ポリマー金属合金(水和相401(軸受表面412を有する)、遷移相402、非水和相403、多孔質金属と咬合した取付ゾーン414からの非水和ポリマーを含む界面ゾーン407、および骨界面部材409からの多孔質金属を含む金属デバイス)を示す。勾配ポリマー合金は、多孔質金属と機械的に咬合し、強固で滑らかな界面領域を形成する。
【0059】
骨界面部材は、任意の材料であってもよいが、好ましくは、整形外科において有用な生体適合性の材料、例えば金属、セラミックまたはポリマーである。骨界面部材は、任意の金属、例えばアルミニウム、コバルト、モリブデン、ニッケル、ステンレススチール、チタン、タンタル、またはそれらの組合せもしくは合金、および/あるいは生物医学的インプラントにおいて使用される任意の他の金属であってもよい。骨界面部材は、十分に強固で生体適合性である任意のポリマー、例えばPEEK、ポリウレタン、またはUHMWPEであってもよい。単純化のために、骨界面部材は、金属と呼ばれるが、ポリマー勾配合金を骨に接続する任意の材料が使用され得ることが理解されるべきである。金属は、実質的に中実である、多孔質である、エッチングされている、コーティングされている、または別様に金属を骨に取り付ける、および/もしくは勾配ポリマー合金を金属に取り付けるのを補助するように処理されていてもよく、あるいは、これらの特徴または処理の組合せを有してもよい。多孔質金属は、限定されないが、多孔質「小柱状」金属、多孔質金属フォーム、焼結金属ビーズ(例えば多孔質構造を形成する)、プラズマ溶射多孔質金属、および/または化学エッチングされた多孔質金属を含む。金属の一部が中実である、多孔質である、粗い、エッチングされている、骨誘発性材料(例えばリン酸カルシウムもしくはヒドロキシアパタイト)でコーティングされている、または別様に処理されていてもよく、別の部分が中実でない、多孔質でない、エッチングされていない、コーティングされていない、または別様に処理されていなくてもよい。一例において、金属は、骨接触表面において多孔質である。別の例において、金属は、ポリマー合金に面する側において多孔質である。別の例において、金属は、骨接触表面およびポリマー合金に面する側の両方において多孔質である。水和勾配ポリマー合金は、合金の片側が親水性で水和しており、他方側が水和しておらず疎水性であるように、親水性ポリマーおよび疎水性ポリマーの組合せであってもよい。後者の側は、金属骨界面構造物と機械的に咬合していてもよく、または化学結合していてもよい。多孔質金属が使用される場合、多孔性は、勾配ポリマー合金への取付けまたは骨への取付けを可能にする、または補助するいかなるものであってもよい。金属の多孔性は、海綿骨の多孔性と同様であってもよい。
【0060】
勾配ポリマー合金は、任意の手法で金属に取り付けられる、接続される、または結合されてもよい。
一例において、勾配ポリマー合金は、ポリマー裏打ち材料の融点を超えて加熱された多孔質金属試験片に接触するように設置された。2つの材料は、例えば1メートルトンの負荷下で互いに圧縮され、次いで冷却された。その結果、勾配ポリマー合金は多孔質金属に融合した。使用された多孔質金属の例は、アルミニウムおよびチタンであった。
【0061】
勾配ポリマー合金と組み合わせた多孔質金属またはポリマーの使用によって、デバイスの金属またはポリマー性の骨に面する側への骨内部成長が可能となり、水和表面から強固な骨までの段階的遷移を有する、強固でありながらも潤滑性の関節置換が形成され得る。重複したポリマー/金属および金属/骨領域を、
図18および19に示す。
図18は、多孔質金属またはポリマーの対向表面(骨界面部材)を示すが、表面はまた、非多孔質であってもよい。
図18A〜Cおよび
図19A〜Dは、骨に取り付けられ内部成長したキャップ530(
図18A)およびカップ523(
図19A)の形状の整形外科用インプラントを示す。インプラントは、軸受表面526、528を提供して関節表面と連動するための水和ポリマー部分501、512を有する。勾配ポリマー合金の水和ポリマー部分および多孔質金属は、503’と501’(512’と517’)との間の領域内で咬合し503(518)、ポリマー/金属重複領域502、518を形成している。インプラントはまた、咬合したポリマー金属インプラント530、523を骨に取り付けるための骨取付ゾーン522(524)を有する多孔質金属部分501、517を有する。インプラント530、523が骨504、514の隣に設置される際、インプラントは骨上に新たな人工関節表面を形成する。手術後、骨は多孔質金属側の内部に成長し、元の骨表面界面504’と新たな界面504”(骨内部成長の限界点)との間に、インプラントを骨に強固に係止し得る金属−骨一体化領域506、520を形成する。咬合した金属−骨領域は、2つの材料の間の明確な界面よりも良好に応力を分散させ、強固な係止を提供する。界面ゾーン508の拡大図を
図18Dに示すが、骨514は金属インプラント517と接続され、一方金属インプラントは軟骨置換ポリマー512と接続されている。
図19Dは、強固で滑らかな関節置換を形成する、骨と金属との間の重複または咬合部520、ポリマー512と金属518との間の重複または咬合部518、および強固な金属から潤滑表面532までの遷移の、
図19Cに示される領域の拡大図を示す。
【0062】
図20Aは、一般的な関節の2つの側を示し、関節の両側が本開示による整形外科用インプラントで置換されている。凹状骨隆起部614は、凹状関節接合コンポーネント612を受容する骨表面617を有する。凸状骨隆起部613は、凸状関節接合コンポーネント611を受容する骨表面616を有する。凹状関節接合コンポーネント612は、関節接合界面615において凸状関節接合コンポーネント611と嵌合する。関節に設置された直後、すなわち任意の骨内部成長が生じる前の凹状関節接合コンポーネント612の断面618を
図20Bに示す。骨の隣には骨界面部材として機能する多孔質金属の層622があり、次いでポリマー−金属界面領域621、ポリマーの非水和側620、および関節接合表面に面してポリマーの水和側619がある。
一例において、勾配ポリマー合金は、非多孔質の滑らかな接触表面と、多孔質である、粗い、および/またはリン酸カルシウムもしくはヒドロキシアパタイト等の骨誘発性材料でコーティングされている骨に取り付けられるように構成された対向表面(骨接触表面)とを有する金属嵌合コンポーネント内に物理的にスナップフィットされてもよい。この場合、勾配ポリマー合金コンポーネントは、既存の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)寛骨臼カップが金属裏打ちコンポーネント内にフィットされる手法と同様にして使用され得る。
【0063】
別の例において、勾配ポリマー合金は、非多孔質の滑らかな接触表面(取付表面)と、骨への係止を意図した対向表面(骨接触表面)とを有する嵌合ポリマーコンポーネント内に物理的にスナップフィットされてもよい。対向表面は、多孔質または非多孔質であってもよい。対向表面は、リン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト等の骨誘発性材料でコーティングされていてもよい。勾配ポリマー合金の骨への係止は、1)多孔質対向表面(骨接触表面)内への骨内部成長、2)中実対向表面の表面全体または表面の一部を簡単に溶融し、材料を骨の細孔内に流入させ、材料を凝固させてグラウト様係止を形成すること、3)接着剤、セメント(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA))、エポキシ、糊、またはグラウトを使用または塗布して、対向表面を骨に結合(例えば化学的に)または機械的に保持することのうちの1つまたは複数を含む、任意の好適な手段により達成され得る。
【0064】
別の例において、勾配ポリマー合金は、金属部分またはインプラントに化学結合してもよい。金属のいずれか(または両方)の側が滑らか、多孔質、または粗くてもよい。任意の数または種類の化学結合が形成され得る。一実施形態において、ポリウレタンベース勾配ポリマー合金と、摩擦化学的改質金属表面との間に、ポリマー前駆体における末端イソシアネートと金属表面上の反応性−OH基との反応によりウレタン結合が形成される。金属表面は、酸化物で摩擦化学的に改質されてもよく、酸化物はその後ヒドロキシル基にさらに改質されてもよく、一方ヒドロキシル基は遊離イソシアネート基と化学反応してイソシアネート化学結合を形成してもよい(Myungら、米国特許出願公開第2008/0241214号を参照されたい)。代替として、骨セメント、例えば米国特許出願公開第2013−0217829号において開示されている骨セメント組成物は、骨セメントのフリーラジカル重合後、それがまた他方側でインプラントに融合する一方で表面にグラフトされるように、メタクリレート(または同様の)基を含有する表面上に形成されてもよい。勾配ポリマー合金はまた、接着剤、セメント(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA))、エポキシ、糊、またはグラウトを使用または塗布して骨界面部材に接合されてもよい。
【0065】
金属表面に結合した勾配ポリマーは、任意の厚さを有し得る。勾配ポリマーは、金属表面の上に薄いコーティングまたは層を形成し得る。コーティングまたは層は、最も厚い領域において30mm未満、25mm未満、20mm未満、15mm未満、または10mm未満であってもよい。1つの具体例において、金属上のコーティングは、最も厚い領域において5mm未満である。
勾配ポリマー合金は、ポリウレタンベースであってもよく、合金のポリウレタン側は、ポリウレタンの一部を溶融してそれを金属の細孔内に流入させ、次いで金属およびポリウレタンを冷却することにより、多孔質金属と物理的に融合されてもよい。勾配ポリマーのポリウレタン側は丈夫で疎水性となり得るため、極度の、および反復する機械的応力に対して極めて抵抗性の界面を伴って多孔質金属に堅牢に係止することができる。
インプラントまたはデバイスは、勾配材料および多孔質金属の別個の製造後に作製されてもよく、次いで材料および金属が融合される。それらは、金属を加熱し、材料および金属を並置し、材料および金属を互いに圧縮し、次いで金属を冷却することにより融合され得る。このようにして、勾配ポリマーの疎水性側は、多孔質金属の細孔内に「溶融」される。代替として、勾配ポリマーの前駆体が(事前に製造された)多孔質金属上に直接射出成型され、続いてポリマーが後処理されて、金属に融合される勾配ポリマーが生成されてもよい。「溶融」はまた、超音波溶接、レーザ溶接または熱溶接を用いて達成されてもよい。
本開示の別の態様において、合成関節包が移植されてもよい。合成関節包は、一方または両方のインプラントコンポーネントを取り囲んでもよい(またはその近くにあるが取り囲まなくてもよい)。包コンポーネントは、少なくとも部分的に包により形成された容積または空間に、またはそこから流体が移動し得ないように、流体を含有するように閉鎖または封止されてもよい。
【0066】
図21〜22は、本開示の一態様による、股関節における勾配ポリマーのキャップ対カップ式の合成関節包および関節唇インプラントの設置を示す。
図21は、軟骨全置換を示す単純化されたバージョンであり、凸状関節接合コンポーネントキャップ632が大腿骨頭631の上にあり、凹状関節接合コンポーネントカップ634が寛骨臼633に面しており、合成関節包または合成関節唇コンポーネントは設置されていない。コンポーネント(例えばキャップおよびカップ)は、金属コンポーネントを有さない勾配ポリマー合金で作製されている。
図22は、勾配ポリマー合金コンポーネントをベースとした軟骨全置換デバイスを示し、コンポーネントは
図21に示され、包コンポーネント635を有する股関節の封入は、上側断面636aおよび下側断面636bに示され、関節唇コンポーネントは上側断面635aおよび下側断面635bに示され、潤滑流体637が含有される。この実施形態において、包635は、上述のキャップ632およびカップ634を含む関節全体を包囲している。包635は、骨、関節インプラントまたはその両方と接触して、その関節包囲部を形成し得る。
【0067】
関節包は、勾配ポリマーおよび多孔質金属の組合せインプラントの一部であってもよく、または多孔質金属コンポーネントを有さない勾配ポリマーを有するインプラント内に存在してもよい。また、合成関節包コンポーネントと共に、またはそれを除いて、合成関節唇コンポーネントが大腿骨および寛骨臼コンポーネントと組み合わせて使用されてもよい。肩関節における上腕骨頭および関節窩に対しても同じことが言える。
包の幾何構造および形状は、自然関節包の全てまたは一部と同様であってもよく、これは通常関節に安定性を提供する。一例において、合成関節包は、リン酸緩衝生理食塩水または生理食塩水を含有し、これは勾配ポリマー軸受表面の潤滑流体として機能し得る。合成包は、1つもしくは複数の軸受コンポーネントの取り付けられた部分として製造されてもよく、または別個の部分であってもよい。これは、手術前または手術中に別の関節コンポーネントに組み立てられてもよい。別の例において、包は、潤滑剤、例えば潤滑ポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸またはポリアクリル酸ナトリウム)で充填されてもよい。
合成包の追加は、脱臼からの保護、摩耗デブリの閉込め、宿主細胞または骨もしくはセメント粒子からの関節接合界面の保護、および/あるいは、まさに間置スペーサデバイス等の単一ステップで移植され得る一体型デバイスの形成等の利点を提供し得る。
【0068】
ポリマーキャップ対カップ式表面を有する軟骨全置換金属デバイスが、関節に設置され得る。
図23は、股関節に設置された軟骨置換デバイスを示す。大腿骨コンポーネント650は、大腿骨頭631の上に設置されている。これは、多孔質金属裏打ち643を有する。寛骨臼コンポーネント645は、寛骨臼644に当接する。コンポーネント表面642、645は嵌合して、関節界面を提供する。一方または両方のコンポーネント表面645、642がポリマーであってもよい。
図23はまた、多孔質金属裏打ち646、643を示す。
本開示によるインプラントは、関節領域への挿入前に組み立てられてもよく、または、2つ以上の部分が、手術中に関節内にある間に組み立てられてもよい。
図24は、関節に別個に挿入され得る金属インプラントおよび勾配ポリマーライナーを示す。金属カップ804がまず関節に設置されてもよく、次いで勾配ポリマーライナー802が設置されてもよい。ポリマーライナー802は、任意の様式で金属カップ804に取付けまたは接着されてもよい。これは、化学結合または物理的手段により保持されてもよい。
図24は、ライナーを金属部分に取り付けるのを補助するための材料を保持または流動させるための溝806を示す。金属またはポリマーライナーは、取付けを補助するように形状を変化させるフィーチャ、例えばタブを有してもよい。金属カップおよびライナーは、接着剤、セメント(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA))、エポキシ、糊、またはグラウトを使用して接着されてもよい。
図24は、ライナーを金属に固定するための任意選択のリングを示す。リングは、ライナーを金属に連結または螺合し得る。一例において、金属部分を除去することなくライナーが除去され、新たなライナーと交換され得る。
【0069】
大腿骨デバイスの場合、勾配IPN「キャップ」は、金属大腿骨キャップの上にフィットするように設計され得る。モジュール構成によって、凸状関節表面と凹状関節表面との間のフィットに関してより幅広い範囲のサイズの互換性および許容度が可能となり得る。さらに、それによって、異なる病変に対する様々なカップ幾何構造が可能となり得る。例えば、状態が良くない骨の場合の追加的な固定のためのねじ穴を有する金属カップ/裏打ちが可能となる。また、それによって、異形成用カップおよびフィン付きカップが可能となり得る。モジュール構成は、患者のニーズ、および手術中に決定され得る外科医の好みに適合する柔軟性を提供する。モジュール方式は、機構により実現され得る。モジュール方式は、ロック機構、例えばテーパ、変形タブ、および「螺合」機構により実現され得る。典型的には、今日の市場におけるモジュールシステムでは、ライナー(ポリ、セラミック、金属)が最後のステップとして金属カップに組み付けられる。これによって、外科医は、最終的な移植前に最後の試行を行うことができる。また、それは、外科医が手術時に必要とみなした場合には、追加的な安定性のためのリップ付きライナーを使用する選択肢を外科医に提供する。また、これらの機構はいずれも、非モジュール式(例えば予め組み立てられた)デバイスと共に使用されてもよい。モジュール方式はまた、骨界面部材に干渉することなく、様々な理由で人工関節内の軸受材料のみを交換する選択肢を提供する。
【0070】
本開示の別の態様は、インプラントの形状を変化させるための方法およびインプラントを提供する。金属、特に多孔質金属は、変形する(例えば、屈曲する、縮む、拡張する、折り曲がる、伸長する、ねじれる)、または印加応力下で別様に形状を変化させるある程度の能力を有してもよい。形状変化は、一時的であってもよい。金属は、金属網目構造に沿った1つまたは複数の支柱または領域を屈曲することにより変形してもよい。
一例において、インプラントは、骨の180度超のエリアを被覆してもよい。例えば、大腿骨キャップ用の股関節インプラントは、
図23に示されるように、180度超を包含し得る。多孔質金属およびそれが取り付けられるポリマーの変形能によって、球状の大腿骨頭の上に設置されることが可能となるようにキャップ全体が変形する(例えばその空間的構成または空間的配置を開く、伸長する、または別様に変化させる)ことができる。デバイスを異なるまたは好ましい形状に戻すために、例えば大腿骨頭または大腿骨頸部表面のより多くに接触するように、ツールが使用されてもよい。良好な形状記憶特性を有する金属が、この具体的実施形態において有用である。
【0071】
多孔質金属表面および可撓性または変形可能なポリマーを有するインプラントは、形状を変化させることができる。形状を変化させ得る任意の金属が使用され得る。関節置換において有用な生体適合性表面を提供する任意のポリマーが、インプラントにおいて使用され得る。表面上のポリマーは、滑りやすい、軟質の、および/または滑らかな表面を形成し得る。ポリマーは、潤滑性ポリマーであってもよい。一例において、インプラントポリマーは、本明細書に記載のような勾配ポリマー合金である。
本開示の一態様は、整形外科用インプラントを関節内に挿入するための方法を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のIPN組成物は、従来の整形外科用インプラントの表面に追加され得る。
図30は、いくつかの実施形態によるIPN組成物を有する股関節インプラントを示す。大腿骨頭702は、IPN組成物704を含み、寛骨臼カップ706は、IPN組成物708を含む。IPN組成物704、708は、互いに対して関節接合し得る潤滑表面を提供する。
図31A〜31Bは、いくつかの実施形態によるIPN組成物を有する股関節インプラントのコンポーネントの展開図および組立図を示す。示されたインプラントシステムは、大腿骨頭722を有する大腿骨ピン720および寛骨臼カップ728を含む。大腿骨頭722は、大腿骨頭の関節接合表面の上に適用されるIPN組成物724を含んでもよい。寛骨臼カップ728は、IPN組成物726を含んでもよい。IPN組成物724、726は、互いに対して関節接合し得る潤滑表面を提供する。
【0072】
図32は、いくつかの実施形態によるIPN組成物を有する股関節インプラントのコンポーネントを示す。
図32に示されるインプラントシステムは、股関節骨折、阻血性壊死、および他の医学的問題を治療するための半関節形成手順に使用され得る。インプラントは、大腿骨ステップ740、および大腿骨頭の関節接合表面の上にIPN組成物744を有する大腿骨頭742を含んでもよい。IPN組成物744は、骨盤/股関節における自然軟骨745と関節接合するように使用され得る。
インプラントの形状は、任意の理由で変化され得る。形状の変化は、(例えば関節鏡または低侵襲性の手術のために)インプラント挿入を補助するように、より小さいサイズを有するインプラントを提供し得る。形状またはサイズの変化によって、インプラントは関節領域内にフィットすることが可能となり得る。例えば、形状は、インプラントが大腿骨頭の上にフィットし得るように変化され得る。インプラントの形状は、インプラントが関節の形状の少なくとも一部に適合するように変化され得る。例えば、関節の一部は不規則表面を有し得、インプラント形状は、表面の形状に当接またはフィットするように変化され得る。
【0073】
図25は、例えば関節への挿入を補助するために形状を変化させることができる、整形外科用インプラントの別の実施形態を示す。
図25は、金属部分812がポリマー818に取り付けられたインプラント(キャップ)810を示す。ポリマー818は、関節置換に有用な任意の可撓性または変形可能な生体適合性ポリマーであってもよい。一例において、それは、本明細書に記載のような勾配ポリマーである。金属部分または裏地812は、2つ以上の不連続セグメント(またはリーフ)814を有する。セグメントの間には、インプラントに形状を変化させるように分離線またはギャップ816があってもよい。分離線は、開口部(カラー)より数度から赤道を十分に超えるまでの範囲で縦方向に延在し得る。線によって、デバイスは、半径方向に(鉤爪または花の花弁のように)一時的に「開く」ことができる。個々のセグメントは、ポリマー上に堆積される、またはポリマーに取り付けられてもよい。金属がポリマー上に敷かれ、次いで一部が除去されて(例えばレーザエッチングにより)セグメントが残されてもよい。別の実施形態において、部分またはセグメントは北極点においてヒンジ結合される、接続される、または別様に取り付けられてもよく(二枚貝のように)、大腿骨頭の上から下げられている間にインプラントが広がるにつれて開くことができる。部分またはセグメントは、下げられてインプラントおよび大腿骨頭を取り囲んだ後に閉じることができる。金属は、十分に可撓性および弾力性を有するが、一時的変形後に反発して元の位置に戻るのに十分硬くてもよい。別の実施形態において、金属セグメントまたは部分はほぼ不連続であるが、可撓性接続要素によりある程度の連続性を維持する。この要素は、例えば、曲面、ジグザグ、またはばねであってもよい。
【0074】
図26は、形状を変化させることができる整形外科用インプラントの別の実施形態を示す。ギャップ840により分離された金属のセグメント836は、可撓性ポリマー846に埋設される、またはそれに別様に取り付けられる、もしくは接続される。セグメント(または要素)は、実質的に中実、多孔質であってもよい。金属要素は、不連続的に配設されてもよい。ギャップは、特定のサイズおよび配向で戦略的に配置されてもよく、または無作為に配置されてもよい。デバイス全体は、概して湾曲性であってもよく、ひいては個々の構造それぞれに印加される応力を最小限化し得る。勾配ポリマーは、伸長または変形されてもよく(例えばその空間的配置または空間的構成を変化させるために)、一方個々の金属コンポーネントは互いに相対的に移動する。厳密な動きは、どのようにしてポリマーが変形されるか、ならびに金属セグメントの配向および構造に依存し得る。金属を有さないギャップ(または空間)が、戦略的に配置されてもよい。ギャップは、金属が拡張または収縮される所定の場所および方向を許容するように選択され得る。ギャップおよび金属組成物は、異なる目的のために異なってもよい。伸長される(例えば手、熱、関節表面上への設置により)等の刺激に応じて、ポリマーは伸長して、新たな形状に対応する。関節への設置後、ポリマーはその元の、または好ましい形状およびサイズに戻ることができる。
【0075】
図27は、ポリマー部材に取り付けられた、またはそれで埋設された複数のセグメント872を有するセグメント化された金属裏打ちを有する寛骨臼コンポーネント870を示す。セグメントは、インプラントが収縮される、拡張される、または別様にその形状を変化させることを可能にする、セグメント間のスロットまたはギャップ874により不連続的である。図中のギャップは、どのようにしてポリマーが伸長し得るかを示すために誇張されている。インプラントは、金属セグメント間のギャップにより、金属コンポーネント自体に過度の応力または歪みを与えることなく湾曲および屈曲することができる。金属セグメントは、連続的であってもよく、または穴、細孔、もしくはスロットを有してもよい。インプラントまたは金属は、体内または関節内への設置中に一時的に屈曲し得る。金属は、骨に取り付けるための骨接触表面を提供してもよい。金属は、骨内部成長を可能にしてもよい。また、金属コンポーネントが全ての方向において連続的であり、代わりに内壁上の一連の溝および任意選択の中心ステムを有するように、不連続部、ギャップ、またはスロットがなく、したがって骨を金属コンポーネントの内側にフィットさせるために面取りおよび穿孔することにより大腿骨頭が用意されなければならない実施形態もまた存在し得る。
【0076】
一態様において、インプラントを体の関節内に挿入する方法は、ポリマー−金属インプラントを関節腔内に挿入するステップと、インプラントの形状を第1の形状から第2の形状に変化させ、関節を形成する骨の少なくとも一部の形状に適合させるステップとを含んでもよい。方法は、インプラントを第1の形状に戻すステップを含んでもよい。方法はまた、変化させるステップの前に、元の形状から第1の形状に変形させるステップを含んでもよい。これは、例えば、(例えば関節鏡または低侵襲性の手術により)インプラントを関節内に設置するために有用となり得る。股関節の大腿骨頭の上に設置されるように構成されたインプラントの場合、変形させるステップは、大腿骨頭の上にフィットするようにインプラントの少なくとも一部を拡張するステップを含んでもよい。
【0077】
本開示の様々な実施形態は、限定されないが、手、足、(手および足の)指、足首、椎間板(頸椎、胸椎、腰椎、または仙骨)、椎間小関節面、股関節、膝、肩、および顎関節を含む、体内のいかなる関節にも適用可能である。デバイスは、肩鎖関節、足関節、関節丘、肘関節、指関節、関節窩、股関節、椎間板、椎間関節、関節唇、半月板、中手関節、中足関節、膝蓋骨、脛骨プラトー、足指関節、顎関節、または手首関節と共に使用され得る。
本明細書に記載のデバイス、フィーチャ、材料または方法のいずれも、任意の別のデバイス、フィーチャ、材料または方法と組み合わされてもよい。
図28は、本開示の一態様による、勾配ポリマー金属合金キャップ対カップ式インプラントを有する股関節軟骨および関節全置換システムを示す。関節ならびに関節唇および包コンポーネントの両側が置き換えられている。システムは、大腿骨インプラント650および寛骨臼コンポーネント652を含み得る。関節の2つの側のポリマーの軸受表面は、嵌合して滑らかな潤滑人工関節界面を提供するように構成される。潤滑IPNポリマー642および潤滑IPNポリマー645は、それぞれ、一方で大腿骨631および寛骨臼644に取り付けられる多孔質金属裏打ちを有する金属骨界面部材646、643に取り付けられる。全置換システムは、潤滑剤649を包囲し得る、上側断面647aおよび下側断面647bに示される人工関節唇コンポーネントをさらに含んでもよい。システムはまた、上側断面648aおよび下側断面648bの包コンポーネントに示されるような人工包を含んでもよい。関節唇または包コンポーネントは、支持、安定性、および/または潤滑性を関節に提供するために、滑らかな表面を有する任意の強固な材料で作製されてもよい。関節唇または包コンポーネントは、本明細書において説明または言及されたIPNまたは半IPNのいずれかで作製されてもよい。
【0078】
図29は、
図29に記載のものと同様の寛骨臼インプラント、および統合関節唇/大腿骨デバイスを有する股関節軟骨全置換システムの別の実施形態を示す。大腿骨置換インプラント662は、大腿骨接触部分、ならびに大腿骨接触部分650と連続し、寛骨臼縁に向かって近位に延在する、上側断面648aおよび下側断面619bに示される関節唇置換部分を含む。システムは、寛骨臼コンポーネントを含んでもよい。大腿骨および寛骨臼側のポリマーの軸受表面は、嵌合して滑らかな潤滑人工関節界面を提供するように構成される。デバイスは、一方で大腿骨631および寛骨臼644に取り付けられる多孔質金属裏打ちを有する金属骨界面部材646、643に取り付けられてもよい。フィーチャ660は、インプラントが骨に取り付けられるのを補助し得る。フィーチャは、円錐、陥凹部、溝、ペグ、ピラー、ピン、およびピラミッド等、インプラントを関節に設置または取り付けるのを補助する任意の構造であってもよい。インプラントは、1つのフィーチャを有してもよく、または多く(2〜5、10まで、100まで、1000まで、もしくはそれ超)のフィーチャを有してもよい。フィーチャは、インプラント(例えば金属インプラント)を骨に取り付けるのを補助するために、金属または他の骨界面部材の骨接触表面上に存在してもよい。フィーチャは、IPNまたは半IPNの取付ゾーンに取り付けられる骨界面部材の表面またはゾーン上に存在してもよい。関節唇インプラントまたは関節唇インプラントの一部は、任意の手段(例えば、ねじ、骨係止具、縫合糸、および/または溶接ポリマーリベット)により骨に固定され得る。上側654aおよび下側654bのカラーセクションもまた、断面として示されている。カラーは、支持を提供する、または別様に関節唇部分を所望の位置に維持することができる。カラーは、関節唇部分の上から締め付けることができる。関節唇部分の端部もまた(または代わりに)寛骨臼部分と連続的であってもよい(この図には示されていない)。
本明細書に記載のインプラントはいずれも、大規模または小規模な軟骨欠陥を矯正するように構成され得る。
【実施例】
【0079】
以下は、本開示によるスルホン化IPNを合成するために使用されるプロセスのいくつかの例示的実施形態である。
(例1)
ポリエーテルウレタンシート(2mm厚)を、イオン化不可能な(電荷中性)モノマー溶液と混合された10%のアクリル酸(AA)、5000ppmのビスアクリルアミド架橋剤、および1000ppmの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン光開始剤の溶液中に、60℃で12時間含浸した。本明細書において開示されるイオン化不可能な(電荷中性)モノマーのいずれも使用され得る。次いで、試料を、UV炉内で10分間光硬化した。次いで、それらを、H2O中40%のAMPS、5000ppmのビスアクリルアミド架橋剤および1000ppmの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン光開始剤の溶液中に、37℃で12時間含浸した。次いで、試料を、UV炉内で10分間光硬化した。次いで、試料を、生理食塩水中で洗浄し、NaOH滴定装置を使用して中和した。
【0080】
(例2)
ポリエーテルウレタンシート(2mm厚)を、イオン化不可能な(電荷中性)モノマー溶液、5000ppmのビスアクリルアミド架橋剤および1000ppmの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン光開始剤と混合された溶液中に、60℃で12時間含浸した。次いで、試料を、UV炉内で10分間光硬化した。本明細書において開示されるイオン化不可能な(電荷中性)モノマーのいずれも使用され得る。次いで、それらを、H2O中40%のAMPS+5000ppmのビスアクリルアミド架橋剤および1000ppmの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン光開始剤の溶液中に、37℃で12時間含浸した。次いで、それらをガラスの間に設置し、UV炉内で10分間光硬化した。次いで、試料を、生理食塩水中で洗浄し、NaOH滴定装置を使用して中和した。
【0081】
(例3)
ポリエーテルウレタンシート(2mm厚)を、イオン化不可能な(電荷中性)モノマー溶液、5000ppmのビスアクリルアミド架橋剤および1000ppmの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン光開始剤の溶液中に、60℃で12時間含浸した。本明細書において開示されるイオン化不可能な(電荷中性)モノマーのいずれも使用され得る。次いで、それらを、UV炉内で10分間光硬化した。次いで、それらを、40%のAMPS、10%のAA、50%のH2O(w/w)+5000ppmのビスアクリルアミド架橋剤および1000ppmの2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン光開始剤の溶液中に、37℃で12時間含浸した。次いで、それらを、UV炉内で10分間光硬化した。次いで、試料を、生理食塩水中で洗浄し、NaOH滴定装置を使用して中和した。
【0082】
本明細書において、フィーチャまたは要素が別のフィーチャまたは要素「上」にあると言及されている場合、それは、他のフィーチャもしくは要素上に直接あってもよく、または、介在するフィーチャおよび/もしくは要素がまた存在してもよい。一方、フィーチャまたは要素が別のフィーチャまたは要素「上に直接」あると言及されている場合、介在するフィーチャまたは要素は存在しない。また、フィーチャまたは要素が別のフィーチャまたは要素に「接続される」、「取り付けられる」または「繋げられる」と言及される場合、それは、他のフィーチャもしくは要素に直接接続される、取り付けられるもしくは繋げられてもよく、または、介在するフィーチャもしくは要素が存在してもよいことが理解される。一方、フィーチャまたは要素が別のフィーチャまたは要素に「直接接続される」、「直接取り付けられる」または「直接繋げられる」と言及されている場合、介在するフィーチャまたは要素は存在しない。一実施形態に関して説明または示されているが、そのように説明または示されたフィーチャおよび要素は、他の実施形態にも適用され得る。また、別のフィーチャに「隣接して」配置されている構造またはフィーチャへの言及は、隣接するフィーチャに重複する、またはその下にある部分を有してもよいことが当業者に理解される。
【0083】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とし、本発明の限定を意図しない。例えば、本明細書において使用される場合、文脈上異なる意味が明示されていない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数形もまた含むことが意図される。さらに、本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、示されたフィーチャ、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他のフィーチャ、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことが理解される。本明細書において使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含み、「/」と省略され得る。
空間的に相対的な用語、例えば「〜の下」、「下方」、「下の」、「〜の上」、「上の」等は、本明細書において、図中に示されるような1つの要素またはフィーチャの別の要素またはフィーチャに対する関係を説明する上での説明の容易性のために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図中に示される配向に加えて、使用または動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図することが理解される。例えば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素またはフィーチャ「の下」または「下位」にあると説明される要素は、他の要素またはフィーチャ「の上」に配向することになる。したがって、例示的な用語「〜の下」は、〜の上および〜の下の配向の両方を包含し得る。デバイスは、別様に配向してもよく(90度回転または他の配向)、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子は、適宜解釈される。同様に、「上向きに」、「下向きに」、「垂直」、「水平」等の用語は、別段に具体的に指示されない限り、本明細書において説明のみを目的として使用される。
【0084】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書において、様々なフィーチャ/要素を説明するために使用され得るが、これらのフィーチャ/要素は、文脈により異なる意味が示されない限り、これらの用語により限定されるべきではない。これらの用語は、1つのフィーチャ/要素を別のフィーチャ/要素と区別するために使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で議論される第1のフィーチャ/要素は、第2のフィーチャ/要素と呼ばれてもよく、同様に、以下で議論される第2のフィーチャ/要素は、第1のフィーチャ/要素と呼ばれてもよい。
例における使用を含めて、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、ならびに別段に明示的に指定されない限り、全ての数は、「約」または「およそ」という言葉が明示的に示されていない場合であっても、それらの用語が前に置かれているように解釈され得る。「約」または「およそ」という語句は、説明される値および/または位置が値および/または位置の妥当な予測範囲内にあることを示すために、大きさおよび/または位置を説明する際に使用され得る。例えば、数値は、示された値(または値の範囲)の+/−0.1%、示された値(または値の範囲)の+/−1%、示された値(または値の範囲)の+/−2%、示された値(または値の範囲)の+/−5%、示された値(または値の範囲)の+/−10%等である値を有してもよい。本明細書において列挙されるいかなる数値範囲も、それに含まれる全ての部分範囲を含むことを意図する。
【0085】
様々な例示的実施形態が上で説明されたが、特許請求の範囲により説明されるような本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変更のいずれかが様々な実施形態に対して行われてもよい。例えば、様々な説明された方法ステップが行われる順序は、代替の実施形態においてしばしば変更されてもよく、他の代替の実施形態において1つまたは複数の方法ステップが完全に省略されてもよい。様々なデバイスおよびシステム実施形態の任意選択のフィーチャは、いくつかの実施形態においては含まれてもよく、他の実施形態においては含まれなくてもよい。したがって、上記説明は、主として例示を目的として提供され、特許請求の範囲において記載されるような本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0086】
本明細書に含まれる例および例示は、限定ではなく例示を目的として、主題が実践され得る特定の実施形態を示す。言及されたように、他の実施形態が利用され、またそこから派生し得るため、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更が行われ得る。本発明の主題のそのような実施形態は、本明細書において、単に便宜上、および、実際に2つ以上が開示されている場合には本出願の範囲をいかなる単一の発明または発明の概念にも自発的に限定することを意図せず、個々に、または集合的に「本発明」という用語により言及され得る。したがって、本明細書において特定の実施形態が例示および説明されているが、同じ目的を達成するように計算された任意の構成が、示された特定の実施形態と置換されてもよい。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適合または変形を包含することを意図する。上記実施形態、および本明細書において具体的に説明されていない他の実施形態の組合せは、上記説明を再検討すれば当業者に明らかである。
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.119に基づき、2015年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/202,921号、名称「Interpenetrating Polymer Networks」の優先権を主張し、その開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
参照による援用
本明細書において言及される全ての出版物および特許出願は、個々の出版物または特許出願がそれぞれ参照により組み込まれるように具体的および個々に示されているのと同等に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。