(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824280
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】エネルギー誘導伝送方法、誘導ユニット、及び、誘導充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20210121BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20210121BHJP
H02J 50/60 20160101ALI20210121BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H02J50/60
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-545309(P2018-545309)
(86)(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公表番号】特表2019-506836(P2019-506836A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2017054775
(87)【国際公開番号】WO2017153224
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2018年8月28日
(31)【優先権主張番号】102016203937.7
(32)【優先日】2016年3月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マック,ユルゲン
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−060721(JP,A)
【文献】
特表2015−517794(JP,A)
【文献】
特表2007−537688(JP,A)
【文献】
特開2012−135127(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02953271(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導ユニット(12)が少なくとも1つの同期信号(14)を受信ユニット(24)に送信する、負荷作動電圧源(18)に結合された該誘導ユニット(12)から該受信ユニット(24)にエネルギーを誘導伝送するための方法において、
少なくとも1つの同期ステップで、
前記同期信号(14)の少なくとも1つの信号特性量が調整され、
前記少なくとも1つの同期信号(14)を送信するために、前記誘導ユニット(12)が、少なくとも実質的に前記負荷作動電圧源(18)とは独立に構成されている定電圧源(16)と結合される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの他の同期ステップで、少なくとも1つの他の同期信号(20)が発生され、該少なくとも1つの他の同期信号は、前記同期信号(14)と少なくとも実質的に同じ最大電圧(22)を前記受信ユニット(24)において発生させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの同期ステップで、前記同期信号(14,20)の送信周波数(26)が調整される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記送信周波数(26)が、前記負荷作動電圧源(18)の電圧(28)に依存して調整される
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記送信周波数(26)が、前記受信ユニット(24)の反応に依存して反復的に変化させられる
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの同期ステップで、前記同期信号(14,20)の送信時間(30)が調整される
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記送信時間(30)が、前記負荷作動電圧源(18)の電圧(28)に依存して調整される
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの同期ステップで、前記信号特性量が、前記受信ユニット(24)のタイプに依存して調整される
ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
誘導ユニット(12)が少なくとも1つの同期信号(14)を受信ユニット(24)に送信する、負荷作動電圧源(18)に結合された該誘導ユニット(12)から該受信ユニット(24)にエネルギーを誘導伝送するための方法において、
少なくとも1つの同期ステップで、
前記同期信号(14)の少なくとも1つの信号特性量が調整され、
前記同期信号(14,20)の送信周波数(26)が、前記負荷作動電圧源(18)の電圧(28)に依存して調整される
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
エネルギー蓄積器(10)を充電するための方法である、
請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法を実施するための誘導ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の誘導ユニット(12)を備えた、
誘導充電装置。
【請求項13】
前記受信ユニット(24)を備えた
ことを特徴とする、請求項12に記載の誘導充電装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導ユニットが少なくとも1つの同期信号を送信する、エネルギーを誘導伝送するための方法、特にエネルギー蓄積器を充電するための方法は、すでに提案されている。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、誘導ユニットが少なくとも1つの同期信号を送信する、エネルギーを誘導伝送するための方法、特にエネルギー蓄積器を充電するための方法から出発する。
【0003】
少なくとも1つの同期ステップで、同期信号の少なくとも1つの信号特性量を調整することが提案される。
【0004】
好ましくは、手持ち工作機械用の少なくとも1つのエネルギー蓄積器、特に手持ち工作機械用の複数のエネルギー蓄積器を充電するための方法が設けられている。「設けられている」とは、特に、特別にプログラミング、設計および/または備え付けられているということである。対象物が特定の機能のために設けられているとは、特に、対象物がこの特定の機能を少なくとも1つの使用状態および/または作動状態で充足および/または実施するということである。これに関連して、「手持ち工作機械」とは、特に、工作物を加工する機械、しかし有利には穿孔機、ハンマードリルおよび/またはスライドハンマー、鋸、かんな、ドライバー、フライス、グラインダ、アングルグラインダ、園芸用具、および/または、多機能工具のことである。好ましくは、充電されるエネルギー蓄積器は少なくとも1つのバッテリーパックを有している。好ましくは、エネルギー蓄積器は50V以下の、有利には40V以下の、特に有利には20V以下の定格電圧を有する。充電されるエネルギー蓄積器は10.0Ah以下の、有利には5.0Ah以下の、特に有利には4.0Ah(時間)以下の蓄積容量を有する。これに関連して、「誘導ユニット」とは、とりわけ、特にエネルギー源から、特にエネルギー供給網から提供される電気エネルギーを変換して誘導送信するために特に設けられた電子送信ユニット、および/または、誘導伝送される電気エネルギーを受け取り、および/または少なくとも一時的に蓄積するために特に設けられた電子受信ユニットのことである。特に、誘導ユニットは少なくとも1つの発振回路を有しており、該発振回路は、とりわけ、特に交流磁場を発生させるために設けられた少なくとも1つのコイルと、少なくとも1つの共振コンデンサとを含んでいる。
【0005】
これに関連して、「同期信号」とは、とりわけ、電気信号、デジタル信号またはアナログ信号、特に少なくとも1つの電圧信号および/または電流信号のことである。特に、同期信号は、エネルギー誘導伝送の開始前または開始時に受信ユニットをスリープモードおよび/または省電力から覚醒させるため、受信ユニットを受信状態へもたらすため、および/または、受信ユニットを送信ユニットと同期させるために設けられている。好ましくは、同期信号は、エネルギー誘導伝送を中断した後に、特に異物検知を目的として中断した後に、受信ユニットをスリープモードおよび/または省電力から覚醒させるため、受信状態へもたらすため、および/または、受信ユニットを送信ユニットと同期させるために設けられている。好ましくは、同期信号は、特に1msと20msとの間のパルス幅を備えたパルスの形態で形成されている。好ましくは、同期信号は、少なくとも実質的に矩形パルスとして形成されている出力推移を有している。特に、同期信号の出力推移は矩形パルスから20%以下で、好ましくは10%以下で、特に有利には5%以下でずれている。これに関連して、「信号特性量」とは、特に、たとえば信号電力、信号電圧、信号電流、信号継続時間および/または信号周波数によって形成されている同期信号の特性量のことである。特に、同期信号の信号特性量は、誘導ユニットの少なくとも1つの作動パラメータに依存して調整され、たとえばネットワーク入力電圧、充電されるエネルギー蓄積器の電圧階級、送信ユニットと受信ユニットとの間の距離、および/または、送信ユニットと受信ユニットとの間の指向方向に依存して調整される。特に、誘導ユニットは、同期信号の信号特性量を調整するために設けられた制御ユニットおよび/または調整ユニットを有している。「制御ユニットおよび/または調整ユニット」とは、特に、少なくとも1つの電子制御機構を備えたユニットのことである。「電子制御機構」とは、特に、プロセッサユニットおよびメモリユニット並びにメモリユニットに保存されている作動プログラムを備えたユニットのことである。
【0006】
この種の構成により、誘導ユニットの同期に関して、特に送信ユニットと受信ユニットとの間の同期に関して有利な特性を備えたこの種のエネルギー誘導伝送方法を、特にエネルギー伝送の開始時に提供することができる。特に同期信号の信号特性量を調整することにより、作動パラメータの交替時でも確実なおよび/または信頼性のある同期を達成させることができる。
【0007】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、少なくとも1つの同期信号を送信するために、誘導ユニットを、少なくとも実質的に負荷作動電圧源とは独立に構成されている定電圧源と結合させることが提案される。「負荷作動電圧源」とは、特に、エネルギー誘導伝送の間に誘導ユニットに電気エネルギーを供給するために設けられた電圧源のことである。特に、負荷作動電圧源とはエネルギー供給網である。これに関連して、「定電圧源」とは、特に、時間的に少なくとも実質的に一定の電圧を提供する電圧源のことである。特に、定電圧源から提供される電圧は、少なくとも実質的に、接続された消費装置によって消費される。特に、誘導ユニットは、前記方法ステップの前にまたはその間に、少なくとも1つの同期信号を送信するために、特に定電圧源との結合の前に負荷作動電圧源から切り離される。これによって、同期信号を送信するためにほぼ一定の電圧を、特に負荷作動電圧源の出力電圧が変動した場合でも提供できるので有利である。
【0008】
さらに、少なくとも1つの他の同期ステップで、少なくとも1つの他の同期信号を発生させ、該少なくとも1つの他の同期信号は、前記同期信号と少なくとも実質的に同じ最大電圧を受信ユニットにおいて発生させることが提案される。特に、他の同期信号の最大電圧は、前記同期信号の最大電圧から最大で10%、好ましくは最大で5%、特に有利には最大で2%ずれている。これによって、有利な信頼性のある、特に周期的な同期を達成することができる。
【0009】
さらに、少なくとも1つの方法ステップで、同期信号の送信周波数を調整することが提案される。好ましくは、送信周波数を共振周波数の値よりも小さい値または大きい値に調整する。特に、同期信号の励起周波数を調整する。特に、送信周波数を誘導ユニットの少なくとも1つの作動パラメータに依存して調整する。同期信号の送信周波数を調整することにより、同期信号の有利な簡単な整合を可能にさせることができる。
【0010】
加えて、送信周波数を、誘導ユニットの負荷作動電圧源の電圧に依存して調整することが提案される。特に、送信周波数を調整するために、同期信号の送信中に負荷作動電圧源の出力電圧を連続的に測定する。特に、負荷作動電圧源の電圧が減少するにつれて送信周波数が共振周波数の方向へシフトするように送信周波数を調整する。負荷作動電圧源の電圧が増大する場合には、送信周波数が共振周波数から離れる方向へシフトするように送信周波数を特に調整する。負荷作動電圧源の電圧に依存して送信周波数を調整することにより、負荷作動電圧源の電圧が変動しても、受信器に少なくとも実質的に一定の電圧が生じることを達成できる。
【0011】
さらに、送信周波数を、少なくとも1つの方法ステップで、受信ユニットの反応に依存して反復的に変化させることが提案される。好ましくは、それぞれの送信周波数を反復的に共振周波数に接近させる。特に、送信周波数を、受信器側での低共振電圧値に相当しているスタート値から出発して、受信ユニットの応答信号が受信されるまで歩進的に共振周波数に接近させる。これとは択一的に、それぞれの送信周波数を共振周波数に調整し、その後反復的に共振周波数から離間させることができる。特に、送信周波数を、少なくとも実質的に共振周波数に相当するスタート値から出発して、受信ユニットの応答が辛うじて受信される間は、共振から歩進的にシフトさせる。これによって、送信ユニットと受信器ユニットとの間の有利な確実な同期を達成できる。
【0012】
さらに、同期信号の送信時間を調整することが提案される。好ましくは、送信時間を、誘導ユニットの負荷作動電圧源の電圧に依存して調整する。これによって、特に負荷作動電圧源の電圧が変動した時に、有利な確実な同期を行うことができる。
【0013】
さらに、信号特性量を、受信ユニットのタイプに依存して調整することが提案される。特に、誘導ユニットは受信ユニットのタイプをコード化を用いて特に自動的に認識することができる。これとは択一的に、または、これに加えて、受信ユニットのタイプを操作者が直接誘導ユニットで調整することができる。これによって、種々の作動パラメータを備えた受信器ユニットでの信号特性量の有利な調整を可能にすることができる。
【0014】
さらに、本発明による方法を実施するための誘導ユニットを備えた誘導充電装置が提案される。好ましくは、誘導充電装置は、手持ち工作機械用の少なくとも1つのエネルギー蓄積器の充電のために、特に手持ち工作機械用の複数のエネルギー蓄積器の充電のために設けられている。好ましくは、誘導充電装置は、同期信号を受信するために設けられた少なくとも1つの受信ユニットを有している。この種の構成により、受信ユニットとの同期に関し有利な特性を備えた誘導充電装置を提供することができる。
【0015】
さらに、誘導充電装置が、誘導ユニットを負荷作動電圧源または定電圧源と選択的に結合させるために設けられた切換えユニットを有することが提案される。定電圧源は、特に、少なくとも実質的に負荷作動電圧源とは独立である。特に、切換えユニットは、同期信号の送信中に誘導ユニットを定電圧源と結合させるために設けられている。さらに、切換えユニットは、特に、誘導ユニットを同期信号の送信前および/または送信中に負荷作動電圧源から切り離すために設けられている。これによって、特に負荷作動電圧源の出力電圧が変動する場合でも、同期信号を送信するためにほぼ一定の電圧を提供できるので有利である。
【0016】
なお、本発明による方法は、上述した適用例および実施形態に限定されているわけではない。特に、本発明による方法は、ここで述べられている機能を充足させるため、ここで取り上げた数量の個々の要素、構成部材およびユニットとは異なる数量のものを有していてよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
他の利点は、以下の図面を用いた説明から明らかである。図面には、本発明の実施形態が図示されている。図面と、本明細書と、請求の範囲とは、多くの構成要件を組合わせで含んでいる。当業者であれば、これらの構成要件を目的に応じて個別に考察することも、更なる有意義な組み合わせのために統合させることも行うであろう。
【
図1】誘導ユニットと受信ユニットとを備えた誘導充電装置の斜視図である。
【
図3】負荷作動電圧源と定電圧源との間で切換えを行うための切換えユニットの概略図である。
【
図4】共振電圧と複数の励起電圧に対する周波数との関係を示すグラフである。
【
図5】励起電圧の種々の電圧値で一定の共振電圧を得るために必要な、励起電圧の周波数の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、誘導ユニット12と受信ユニット24とを備えた誘導充電装置32の斜視図である。受信ユニット24は、エネルギー蓄積ユニット10内に組み込まれている。誘導充電装置32は、エネルギー蓄積ユニット10を誘導充電するために設けられている。エネルギー蓄積ユニット10は、手持ち工作機械のバッテリーとして形成されている。誘導ユニット12は、充電過程の間に電気エネルギーを受信ユニット24へ伝送するために設けられている。このため、エネルギー蓄積ユニット10は誘導充電装置32の誘導ユニット12の上に載置される。
【0019】
エネルギー蓄積ユニット10を充電している間、誘導ユニット12と受信ユニット24との間でのエネルギー伝送は周期的に中断される。特に、誘導ユニット12と受信ユニット24との間でのエネルギー伝送は、異物検知を行うために周期的に中断される。充電過程の間にエネルギー伝送を中断するのが必要なのは、誘導ユニット12と受信ユニット24との間でエネルギー伝送を行っている間に、異物が、特に充電過程の間に存在する交番磁界のために加熱され得る異物が、誘導ユニット12と受信ユニット24との間に到達するのを阻止できないからである。
図2は、充電過程の時間的推移を示している。充電過程の第1の段階38で、誘導ユニット12と受信ユニット24との間でエネルギー伝送が行われる。第2の段階40で、異物検知を行うためにエネルギー伝送が中断される。第3の段階42で、同期信号14が誘導ユニット12から受信ユニット24へ送られる。同期信号14,20はパルス44の形態で形成されている。パルス44は、特に1msと20msとの間のパルス幅を有している。同期信号14は、少なくとも実質的に矩形パルスとして形成されている出力推移および/または電圧推移を有している。同期信号14は、異物検知の目的でエネルギー伝送を中断した後に受信ユニット24をスリープモードおよび/または省電力から覚醒させ、受信状態へもたらし、および/または、受信ユニット24を誘導ユニット12と同期させるために設けられている。同期信号14の後に通信段階46が続く。通信段階46は、たとえば、誘導ユニット12と受信ユニット24との間での伝送効率を確立させるために用いられる。通信段階46に続いて、誘導ユニット12と受信ユニット24との間でのエネルギー伝送が再び開始される。以上説明した経緯は1回の充電過程の間に周期的に繰り返される。誘導ユニット12によって生じた更なる同期信号20は、最初に生じた同期信号14と少なくとも実質的に同じ最大電圧22を受信ユニット24内に生じさせる。
【0020】
同期ステップでは、同期信号14の少なくとも1つの信号特性量が調整される。特に同期信号14,20を受信ユニット24内へ伝送している間に配電電圧が変動した場合および/または他の妨害が生じた場合にも一定の電圧を達成させるために、特に同期信号14の信号特性量が調整される。同期信号14,20を伝送している間の受信ユニット24内での一定の電圧は、受信ユニット24の確実な覚醒および/または同期を保証するために必要である。同期信号14,20を伝送している間の受信ユニット24内での一定の電圧を達成するため、誘導ユニット12を、同期信号14,20を送信するための方法ステップにおいて定電圧源16と結合させる。定電圧源16は、好ましくは安定化電圧源である。定電圧源16は、少なくとも実質的に、エネルギー伝送中に誘導ユニット12と結合される負荷作動電圧源18とは独立に形成されている。誘導充電装置32は切換えユニット34を有し、該切換えユニットは、誘導ユニット12を負荷作動電圧源18または定電圧源16と選択的に結合させるために設けられている。
図3は切換えユニット34の概略図である。切換えユニット34は3つの切換え位置48,50,52を有している。第1の切換え位置48では、パルスユニットは、誘導ユニット12と受信ユニット24との間でのエネルギー伝送のための電圧28を提供するために設けられた負荷作動電圧源18と結合されている。第2の切換え位置50では、誘導ユニット12は、同期信号14,20を送信するための電圧を提供するために設けられた定電圧源16と結合されている。第3の切換え位置52では、誘導ユニット12は、通信段階46のための電圧を提供するために設けられた他の定電圧源54と結合されている。
【0021】
負荷作動電圧源18と定電圧源16との間での切換えの代わりに、またはこれに加えて、少なくとも1つの方法ステップで同期信号14,20の送信周波数26を調整することができる。送信周波数26は、誘導ユニット12の負荷作動電圧源18の電圧28に依存して調整することができる。
図4には、共振電圧56と複数の励起電圧60,62,64のための周波数58との関係がグラフで図示されている。誘導ユニット12と受信ユニット24との間でのエネルギー伝送は、通常どおり共振周波数68付近の周波数範囲66で行われる。なお、原理的に言えば、最大共振電圧付近の共振電圧56が形成される。同期信号14,20の伝送の際に、高すぎる電圧および/または電力を受信ユニット24へ印加させないために、誘導ユニット12は、特に誘導ユニット12の振動回路は、同期信号14,20を送信している間に、共振周波数68から離れた周波数範囲70,72にある送信周波数26で励起される。
図5は、同期信号14,20の固定設定された電圧値74に対し、励起電圧60,62,64を設定した時の同期信号14,20の最大電圧22の変化を補償するには、励起電圧60,62,64の送信周波数26をいかに変化させねばならないかを明示したものである。これとは択一的に、送信周波数26を受信ユニット24の反応に依存して反復的に変化させてよい。好ましくは、送信周波数26を反復的に共振周波数68に接近させる。特に、受信器側で低共振電圧値に相当するスタート値から出発して、受信ユニット24の応答信号が受信されるまで送信周波数26を歩進的に共振周波数68に接近させる。これとは択一的に、それぞれの送信周波数26を共振周波数68に調整し、その後に反復的に共振周波数68から離れるようにしてよい。特に、少なくとも実質的に共振周波数68に相当するスタート値から出発して、受信ユニット24の応答が辛うじて受信される間は、送信周波数26を歩進的に共振からシフトさせてよい。
【0022】
すでに述べたこととは択一的に、またはこれに加えて、少なくとも1つの方法ステップで、同期信号14,20の送信時間30を調整してよい。送信時間30は、誘導ユニット12の負荷作動電圧源18の電圧28に依存して調整される。さらに、これとは択一的にまたはこれに加えて、信号特性量を受信ユニット24のタイプに依存して調整することが考えられる。特に、誘導ユニット12は受信ユニット24のタイプを特に自動的にコード化により認知することができる。これとは択一的にまたはこれに加えて、受信ユニット24のタイプを操作者が直接誘導ユニット12で調整してよい。
【符号の説明】
【0023】
10 エネルギー蓄積ユニット(エネルギー蓄積器)
12 誘導ユニット
14 同期信号
16 定電圧源
18 負荷作動電圧源
20 同期信号
22 最大電圧
24 受信ユニット
26 同期信号の送信周波数
28 負荷作動電圧源の電圧
30 送信時間
34 切換えユニット