(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部電源装置によって電圧が印加されていると共に光が照射及び走査されている半導体試料の電気特性を測定し、当該電気特性に基づいて前記半導体試料の欠陥箇所を検出するための半導体試料の検査装置であって、
前記半導体試料と電気的に並列に、外部電源装置に接続されていると共に、前記外部電源装置の出力に応じた参照信号を出力する参照信号出力部と、
前記外部電源装置による電圧の印加によって前記半導体試料から出力された被検信号に対して前記外部電源装置の出力によるノイズ成分の除去処理を前記参照信号に基づいて行い、前記除去処理が行われた前記被検信号を処理信号として出力する除去処理部と、
前記処理信号の強度に基づいて、前記外部電源装置の出力に応じて前記参照信号を出力する前記参照信号出力部のゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲイン設定部によって前記ゲインが設定された前記参照信号出力部からの前記参照信号に基づき前記除去処理が行われた前記処理信号に基づいて、前記半導体試料の電気特性を測定する電気特性測定部と、を備える、半導体試料の検査装置。
前記ゲイン設定部は、互いに異なる複数の値に前記ゲインを設定したそれぞれの場合における前記処理信号の強度を取得し、前記処理信号の強度が最小になると判断された値に前記ゲインを設定する、請求項1に記載の検査装置。
前記ゲイン設定部は、前記ゲインの値に対応するビット列について、二分探索法によって前記ビット列の各ビットの値を最上位ビット側から決定することで、前記処理信号の強度が最小になると判断された値に前記ゲインを設定する、請求項2に記載の検査装置。
前記ゲイン設定部は、前記増幅器の周波数帯域における最大周波数の周期よりも短いサンプリング周期によって前記処理信号の強度をサンプリングする、請求項4に記載の検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る半導体試料の検査装置の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体試料の検査装置の概略ブロック図である。
【0020】
半導体試料の検査装置1(以下、単に「検査装置」という。)は、OBIRCH法を用いて、被検体である半導体試料Sの欠陥箇所を検査する装置である。半導体試料Sは、たとえば、半導体集積回路などの半導体部材である。検査装置1では、外部電源装置2によって半導体試料Sに電圧が印加され、この電圧の印加及び光の照射に応じて半導体試料Sから出力される電流信号に基づいて、半導体試料Sの欠陥箇所が検査される。この電流信号は、半導体試料Sに電圧を印加することで出力される。この電流信号の値は、半導体試料Sに光を照射することで変動する。外部電源装置2は、たとえば、スイッチング電源である。検査装置1は、光照射ユニット10、電気特性測定ユニット20、制御ユニット30を備えている。
【0021】
光照射ユニット10は、外部電源装置2によって電圧が印加されている半導体試料Sに光を照射し走査する。本実施形態では半導体試料Sに照射する光としてレーザビームLを用いている例について説明する。半導体試料Sに照射する光は、必ずしもコヒーレント光を用いる必要はなく、例えばインコヒーレント光でもよい。
【0022】
電気特性測定ユニット20は、外部電源装置2によって電圧が印加され、かつ、光が照射されている半導体試料Sから出力された電流信号に基づいて、半導体試料Sの電気特性を測定する。制御ユニット30は、光照射ユニット10及び電気特性測定ユニット20を制御する。制御ユニット30は、測定された電気特性に基づいて、半導体試料Sの検査結果を出力する。制御ユニット30は、光の照射及び走査に伴う半導体試料Sの電気特性変化に応じて、半導体試料Sの欠陥箇所を示す検査結果を出力する。これによって、検査装置1は、半導体試料Sの欠陥箇所の検査を実現する。
【0023】
光照射ユニット10は、レーザ発生源11、レーザ走査部12、及び顕微鏡13を備える。レーザ発生源11は、たとえば半導体レーザや固体レーザである。半導体試料Sにインコヒーレント光を照射する場合には、レーザ発生源11としてSLD(Super Luminescent diode)又はASE光源を用いてもよい。レーザ発生源11は、レーザ光を発生させ、出射する。レーザ走査部12は、レーザ発生源11から出射されたレーザ光の光路上に配置されている。レーザ走査部12には、レーザ発生源11から出射されたレーザ光が入射する。レーザ走査部12は、顕微鏡13を介して入射したレーザ光をレーザビームLとして所定の方向に出射すると共に走査する。レーザ走査部12は、たとえば、入射方向に直交する二次元方向にラスタスキャン(raster scan)を行う。顕微鏡13は、レーザビームLを微小スポット径に集束させる。顕微鏡13は、レーザビームLを被検体に照射し、レーザビームLの反射光によって被検体の像を取得する。
【0024】
電気特性測定ユニット20は、試料台21,22、被検信号出力部23、参照信号出力部24、除去処理部25、ゲイン設定部26、アイソレート部27、及び電気特性測定部28を備える。試料台21には、上述した被検体として、半導体試料Sが載置される。試料台21に載置された半導体試料Sは、顕微鏡13の焦点位置に位置決めされる。試料台22には、参照部材RSが載置される。参照部材RSは、たとえば、半導体集積回路などの半導体部材である。参照部材RSは、半導体試料Sと同様の電気特性を有している。たとえば、参照部材RSは、半導体試料Sのインピーダンスに対して±30%のインピーダンスを有している。参照部材RSは、異なる電気特性を有している参照部材に交換可能である。
【0025】
試料台21及び試料台22は、それぞれ入力端子および出力端子を有している。試料台21及び試料台22のそれぞれの入力端子は、互いに電気的に並列に外部電源装置2の出力端子に接続されている。
図2に示されているように、試料台21に載置された半導体試料Sは、試料台21を通して外部電源装置2の出力端子に電気的に接続される。半導体試料Sには、光照射ユニット10によってレーザビームLの照射及び走査が行われる。半導体試料Sは、レーザビームLの照射及び走査に伴う半導体試料Sの電気特性変化と外部電源装置2の出力とに起因した電流信号を出力する。
【0026】
図2に示されているように、試料台22に載置された参照部材RSは、試料台22を介して外部電源装置2の出力端子に接続される。すなわち、参照部材RSは、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2に接続される。参照部材RSには、レーザビームが照射されておらず、レーザビームの照射及び走査に伴う電気特性変化が生じない。参照部材RSは、外部電源装置2の出力に起因した電流信号を出力する。
【0027】
被検信号出力部23は、試料台21の出力端子と電気的に直列に接続されている。すなわち、被検信号出力部23は、試料台21及び半導体試料Sを通して、外部電源装置2に直列に接続されている。被検信号出力部23は、外部電源装置2による電圧の印加によって半導体試料Sから出力された電流信号に基づく被検信号を出力する。このため、被検信号出力部23には、外部電源装置2によるノイズ成分が入力される。被検信号出力部23から出力される被検信号は、ノーマルノイズを含む。半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態では、被検信号は、ノーマルノイズを示す信号である。以下、「半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態」とは、光照射ユニット10による光の照射及び走査が、半導体試料Sの測定領域に対して行われていない状態をいう。被検信号出力部23は、電流電圧変換部43を有している。被検信号出力部23に入力された電流信号は、電流電圧変換部43によって電圧信号に変換される。したがって、被検信号は、電圧信号である。
【0028】
参照信号出力部24は、試料台22の出力端子と電気的に直列に接続されている。すなわち、参照信号出力部24は、参照部材RS及び外部電源装置2に電気的に直列に接続されている。参照信号出力部24は、半導体試料S及び試料台22と電気的に並列に外部電源装置2に接続されている。参照信号出力部24は、外部電源装置2による電圧の印加によって参照部材RSから出力された電流信号に基づく参照信号を出力する。このため、参照信号出力部24には、外部電源装置2によるノイズ成分が入力される。参照信号出力部24から出力される参照信号は、ノーマルノイズを示す信号である。参照部材RSには、レーザビームが照射されず、レーザビームの照射及び走査に伴う電気特性変化が生じない。このため、参照信号は、外部電源装置2の出力に応じた信号である。参照信号出力部24は、電流電圧変換部44を有している。電流電圧変換部44は、参照信号出力部24に入力された電流信号を電圧信号に変換する。したがって、参照信号は、電圧信号である。
【0029】
図2に示されているように、本実施形態における被検信号出力部23は、オペアンプ51、抵抗52、及び回路53を有する負帰還回路を含む。すなわち、被検信号出力部23は、被検信号を出力する増幅器を含む。本実施形態における参照信号出力部24は、オペアンプ51、抵抗52、回路53、及び可変増幅器55を有する負帰還回路を含む。すなわち、被検信号出力部23は、参照信号を出力する増幅器を含む。可変増幅器55は、抵抗と増幅器で構成されており、入力信号に応じてゲインが制御される。本実施形態では、可変増幅器55は、デジタル制御ゲイン増幅器であり、ゲイン設定部26から出力されたデジタル信号に応じて抵抗値が制御される。
【0030】
回路53は、外部電源装置2のグラウンドGと接続されている。被検信号出力部23及び参照信号出力部24のオペアンプ51は、回路53から供給される電力によって動作する。本実施形態では、被検信号出力部23のオペアンプ51の入力端子には、外部電源装置2のグラウンドGと半導体試料Sとが接続されている。これによって、被検信号出力部23は、電流電圧変換回路を構成している。参照信号出力部24のオペアンプ51の入力端子には、外部電源装置2のグラウンドGと参照部材RSとが接続されている。これによって、参照信号出力部24は、電流電圧変換回路を構成している。
【0031】
除去処理部25は、被検信号出力部23及び参照信号出力部24に電気的に接続されている。被検信号及び参照信号は、除去処理部25に入力される。除去処理部25は、半導体試料Sから出力された電流信号に対して外部電源装置2の出力によるノイズ成分の除去処理を参照信号に基づいて行う。除去処理部25は、除去処理が行われた被検信号を処理信号として出力する。除去処理部25は、差動検出部45を有し、差動検出部45によって除去処理が行われる。差動検出部45は、除去処理部25に入力された被検信号と参照信号の差分からなる差分信号を出力する。除去処理部25は、被検信号と参照信号との差分からなる差分信号を増幅して処理信号として出力する。
【0032】
図2に示されているように、差動検出部45は、比較器56、及び回路57を含んでいる。比較器56は、差動増幅器である。回路57は、外部電源装置2のグラウンドGと接続されており、電源を構成する。比較器56は、回路57から供給される電力によって動作する。比較器56の入力端子には、被検信号出力部23と参照信号出力部24とが接続されている。これによって、被検信号と参照信号との差分が比較器56から出力される。
【0033】
ゲイン設定部26は、外部電源装置2の出力に応じて参照信号を出力する参照信号出力部24のゲインを設定する。換言すれば、ゲイン設定部26は、参照信号出力部24から出力される参照信号の強度を設定する。本実施形態では、ゲイン設定部26は、可変増幅器55の抵抗値を設定することで、参照信号出力部24のゲインを設定する。
【0034】
ゲイン設定部26は、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態において取得された処理信号の強度に基づくフィードバック制御によって、参照信号出力部24のゲインを設定する。以下、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態において取得された処理信号を「第一処理信号」という。第一処理信号は、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態において被検信号出力部23から出力された被検信号に対して、参照信号に基づいて除去処理部25によって上述した除去処理を行った処理信号である。このため、第一処理信号の強度は、参照信号出力部24のゲインに応じて変化する。ゲイン設定部26において、第一処理信号の強度は、0以上の整数で表される値として取得される。
【0035】
アイソレート部27は、除去処理部25と電気特性測定部28とを電気的に絶縁した状態で接続する。除去処理部25と電気特性測定部28は、アイソレート部27を介して接続されている。本実施形態では、アイソレート部27は、信号経路において除去処理部25及び電気特性測定部28に直列に接続されたコンデンサを含む。アイソレート部27は、たとえば、トランス、又はフォトカプラを含んでいてもよい。アイソレート部27が、たとえば、トランスを含む場合、アイソレート部27は、除去処理部25と電気特性測定部28とを磁気的に接続する。アイソレート部27が、たとえば、フォトカプラを含む場合、アイソレート部27は、除去処理部25と電気特性測定部28とを光学的に接続する。また、アイソレート部27は、除去処理部25と電気特性測定部28とのそれぞれのグラウンドを別系統としている。
【0036】
電気特性測定部28は、アイソレート部27を通して除去処理部25から伝達された処理信号に基づいて、レーザビームLの照射及び走査に伴って変化する半導体試料Sの電気特性を測定する。電気特性測定部28は、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において取得された処理信号に基づいて、半導体試料Sの電気特性を測定する。以下、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において取得された処理信号を「第二処理信号」という。第二処理信号は、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において被検信号出力部23から出力された被検信号に対して、参照信号に基づいて除去処理部25によって上述した除去処理を行った処理信号である。
【0037】
電気特性測定部28による電気特性の測定では、ゲイン設定部26によってゲインが設定された参照信号出力部24が用いられる。したがって、電気特性測定部28による電気特性の測定に用いられる第二処理信号は、ゲイン設定部26によってゲインが設定された参照信号出力部24からの参照信号に基づいて除去処理が行われた処理信号である。すなわち、電気特性測定部28は、ゲイン設定部26によってゲインが設定された参照信号出力部24からの参照信号に基づいて除去処理を行った第二処理信号を取得し、取得された第二処理信号に基づいて半導体試料Sの電気特性を測定する。
【0038】
本実施形態では、電気特性測定部28は、処理信号から、半導体試料Sの電気特性として半導体試料Sのインピーダンスを示す値を所定時間ごとに演算する。電気特性測定部28は、演算された電気特性(測定結果)を制御ユニット30に逐次送信する。
【0039】
制御ユニット30は、システム制御部31と、表示部32とを備える。システム制御部31は、レーザ走査部12、顕微鏡13、電気特性測定部28、及び表示部32に接続されている。システム制御部31は、レーザ走査部12によるレーザビームLの走査、顕微鏡13による半導体試料Sの像の取得、電気特性測定部28の動作、及び表示部32による測定結果の表示を制御する。システム制御部31は、電気特性測定部28から出力された測定結果に基づいて、半導体試料Sの状態を表示部32に表示する。表示部32は、たとえば、液晶モニタなどのディスプレイである。システム制御部31は、物理的には、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)と、記録媒体であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)と、通信モジュールとを含んだコンピュータ、及びマウス、キーボード等の入出力デバイスとを含む。システム制御部31は、複数のコンピュータを含んでいてもよい。
【0040】
次に、検査装置1の動作について詳細に説明する。検査装置1は、ゲイン設定部26によって参照信号出力部24のゲインを設定し、その後、半導体試料Sに対する光の照射及び走査を行いながら、電気特性測定部28によって処理信号に基づいて半導体試料Sの電気特性を測定する。本実施形態では、電気特性測定部28によって半導体試料Sの電気特性が測定される間、ゲイン設定部26によって設定された上記ゲインは維持される。半導体試料Sに対する光の照射及び走査は、システム制御部31によって制御される。システム制御部31は、光照射ユニット10によってレーザビームLを半導体試料Sの表面の微細部分に照射し、半導体試料Sの表面上でレーザビームLを走査する。
【0041】
半導体試料Sには、外部電源装置2から所定の電圧が印加されており、半導体試料Sの回路内には所定の電流が流れている。半導体試料SにおけるレーザビームLが照射されている箇所では、レーザビームLのエネルギーの吸収によって当該箇所の温度が上昇し、インピーダンスが変化する。このため、半導体試料Sを流れる電流値が変化する。ボイドなどの欠陥がある箇所では、熱伝導が悪く、熱が周囲に逃げ難い。したがって、このような欠陥箇所では、レーザビームLが照射された場合に温度上昇が大きい。これにより、所定の電圧が印加された半導体試料Sの欠陥箇所では、温度上昇に伴ってインピーダンス変化が増加し、電流値の変化も大きい。
【0042】
半導体試料Sから出力された電流信号は、被検信号出力部23で電流信号から電圧信号に変換されると共に増幅され、被検信号として除去処理部25に入力される。参照部材RSから出力された電流信号は、参照信号出力部24で電流信号から電圧信号に変換されると共に増幅され、参照信号として除去処理部25に入力される。
【0043】
除去処理部25は、差動検出部45によって入力された被検信号と参照信号との差分からなる差分信号を取得し、取得された差分信号を増幅して処理信号として出力する。除去処理部25から出力された処理信号は、アイソレート部27を介して、電気特性測定部28に入力される。
【0044】
電気特性測定部28は、入力された処理信号に基づいて半導体試料Sの電気特性を所定時間ごとに測定し、測定結果をシステム制御部31に逐次送信する。システム制御部31は、電気特性測定部28から送信された測定結果に基づいて、半導体試料Sの電気特性の測定結果を輝度情報に変換する。システム制御部31は、レーザビームLの照射位置と、この照射位置に対応する輝度情報とを関連付ける。システム制御部31は、レーザビームLの照射位置と輝度情報とに基づいて半導体試料Sの欠陥箇所を示す画像を生成し、この画像を表示部32に表示する。すなわち、システム制御部31は、電気特性測定部28から送信された測定結果に基づいて、半導体試料Sの欠陥箇所を出力する。これにより、画像による半導体試料Sの欠陥箇所の確認が実現される。本実施形態では、システム制御部31は、半導体試料Sの表面における測定領域の全てにレーザビームLを照射及び走査する間に取得された電気特性の測定結果に基づいて画像を生成し、この画像を表示部32に表示する。
【0045】
次に、ゲイン設定部26の動作について詳細に説明する。ゲイン設定部26は、互いに異なる複数の値に参照信号出力部24のゲインを設定したそれぞれの場合において、第一処理信号の強度を取得する。換言すれば、ゲイン設定部26は、一つの値に参照信号出力部24のゲインを設定し、この状態において第一処理信号の強度を少なくとも一回取得する。第一処理信号の強度が小さいほど、外部電源装置2に起因して電気特性の測定に影響をあたえるノイズが低減されている。ゲイン設定部26は、上記ノイズが低減されるゲインを設定するために、複数回の取得による複数の第一処理信号の強度に基づくフィードバック制御によって、第一処理信号の強度が最小になると判断された値に参照信号出力部24のゲインを設定する。換言すれば、ゲイン設定部26は、参照信号出力部24のゲインを変化させ、当該ゲインの変化に応じた第一処理信号の強度の変化に基づくフィードバック制御によって、第一処理信号の強度が最小となるように参照信号出力部24のゲインを設定する。
【0046】
本実施形態では、参照信号出力部24のゲインは、可変増幅器55の抵抗値に対応して変化する。ゲイン設定部26は、第一処理信号の強度に基づくフィードバック制御によって可変増幅器55の抵抗値を設定することで、参照信号出力部24のゲインを設定する。ゲイン設定部26によって設定された可変増幅器55の抵抗値は、電気特性測定部28によって半導体試料Sの電気特性が測定されている間には変更されない。
【0047】
本実施形態では、ゲイン設定部26は、参照信号出力部24のゲインの値をビット列として管理する。たとえば、ゲイン設定部26は、可変増幅器55の抵抗値をビット列として管理する。ゲイン設定部26は、二分探索法によって上記ビット列の各ビットの値を最上位ビット側から決定することで、第一処理信号の強度が最小になると判断された値に参照信号出力部24のゲインを設定する。ゲイン設定部26は、たとえば、1024段階に分けられた抵抗値の中から、第一処理信号の強度が最小になると判断された値に参照信号出力部24のゲインを設定する。この場合、抵抗値は、10ビットのビット列で表される。
【0048】
本実施形態では、ゲイン設定部26は、各ビットの値を決定する処理において、可変増幅器55の抵抗値が互いに異なる一対の第一抵抗値と第二抵抗値とにそれぞれ設定されたときの第一処理信号の強度を取得する。取得される第一処理信号の強度は、0以上の整数で表される値である。最上位ビットからnビット目のビットの値を決定する処理において、第一抵抗値と第二抵抗値とは、最上位ビットからnビット目に位置するビットの値が異なる。nは、0以上の整数である。0ビット目は、最上位ビットである。ゲイン設定部26は、可変増幅器55の抵抗値が第一抵抗値である場合の第一処理信号の強度と、可変増幅器55の抵抗値が第二抵抗値である場合の第一処理信号の強度とを比較する。ゲイン設定部26は、第一抵抗値と第二抵抗値とのうち、第一処理信号の強度が小さい方の抵抗値におけるnビット目のビットの値に、電気特性の測定時に設定する抵抗値におけるnビット目のビットの値を決定する。ゲイン設定部26は、nビット目のビットの値が決定されると、nをインクリメントする。
【0049】
図3に示されるように、たとえば、4ビット目のビットの値を決定する処理では、第一抵抗値における4ビット目のビットの値は1であり、第二抵抗値における4ビット目のビットの値は0である。第一抵抗値及び第二抵抗値の0〜3ビット目は既に決定されており、第一抵抗値と第二抵抗値で同じ値である。4ビット目のビットの値を決定する処理において、たとえば、第一抵抗値を表すビット列は“0110110000”であり、第二抵抗値を表すビット列は“0110010000”である。たとえば、4ビット目のビットの値を決定する処理では、第一抵抗値と第二抵抗値の双方において、5ビット目のビットの値は1であり、それ以降のビットの値は0である。
【0050】
第一抵抗値の方が第二抵抗値よりも第一処理信号の強度が小さくなると判断されると、4ビット目のビットの値は1に決定され、5ビット目のビットの値を決定する処理に進む。第二抵抗値の方が第一抵抗値よりも第一処理信号の強度が小さくなると判断されると、4ビット目は0に決定され、5ビット目のビットの値を決定する処理に進む。5ビット目のビットの値を決定する処理では、第一抵抗値における5ビット目のビットの値は1であり、第二抵抗値における5ビット目のビットの値は0である。4ビット目のビットの値が1に決定された場合、5ビット目のビットの値を決定する処理において、たとえば、第一抵抗値を表すビット列は“0110111000”であり、第二抵抗値を表すビット列は“0110101000”である。たとえば、5ビット目のビットの値を決定する処理では、第一抵抗値と第二抵抗値の双方において、6ビット目のビットの値は1であり、それ以降のビットの値は0である。
【0051】
ゲイン設定部26は、以上のようなnビット目のビットの値を決定する処理を、nが0である最上位ビットから最下位ビットまで繰り返す。このように、電気特性の測定に用いられる参照信号出力部24の可変増幅器55の抵抗値が、二分探索法を用いたフィードバック制御によって設定される。すなわち、参照信号出力部24のゲインは、二分探索法を用いたフィードバック制御によって設定される。
【0052】
ゲイン設定部26は、第一処理信号をサンプリングし、サンプリングの結果から第一処理信号の強度を複数回取得する。たとえば、ゲイン設定部26は、
図4に示されるように、サンプリング周期TSによって期間T1の間、サンプリングを行うことで、1回分の第一処理信号の強度の取得を行う。次に、ゲイン設定部26は、サンプリング周期TSによって期間T2の間、サンプリングを行うことで、1回分の第一処理信号の強度の取得を行う。各回の第一処理信号の強度の取得において、ゲイン設定部26によってサンプリングが行われる期間T1,T2は、参照信号出力部24に含まれる増幅器の周波数帯域における最小周波数の周期よりも長い。サンプリング周期TSは、参照信号出力部24に含まれる増幅器の周波数帯域における最大周波数の周期よりも短い。本実施形態では、各回の第一処理信号の強度の取得においてサンプリングが行われる期間T1,T2の長さは、互いに同一である。
【0053】
本実施形態では、被検信号出力部23に含まれる増幅器の周波数帯域、参照信号出力部24に含まれる増幅器の周波数帯域、及び除去処理部25に含まれる比較器56の周波数帯域は、同一である。以下、被検信号出力部23に含まれる増幅器の周波数帯域、参照信号出力部24に含まれる増幅器の周波数帯域、及び除去処理部25に含まれる比較器56の周波数帯域を「電気特性測定ユニット20の周波数帯域」という。外部電源装置2に起因して第一処理信号に混入するノイズ成分の周波数は、電気特性測定ユニット20の周波数帯域に依存する。
【0054】
外部電源装置2に起因して第一処理信号に混入するノイズ成分の最大周波数は、電気特性測定ユニット20の周波数帯域の最大周波数以下である。外部電源装置2に起因して第一処理信号に混入するノイズ成分の最小周波数は、電気特性測定ユニット20の周波数帯域の最小周波数以上である。したがって、
図4に示されているように、各回の第一処理信号の強度の取得において、ゲイン設定部26によってサンプリングが行われる期間T1,T2は、外部電源装置2に起因して第一処理信号に混入するノイズ成分の最小周波数(低周波ノイズ)の周期T3よりも長い。サンプリング周期TSは、外部電源装置2に起因して第一処理信号に混入するノイズ成分の最大周波数(高周波ノイズ)の周期T4よりも短い。
【0055】
本実施形態では、ゲイン設定部26は、サンプリングによって第一処理信号の強度のピーク値を取得し、取得されたピーク値に基づいて参照信号出力部24のゲインを設定する。すなわち、ゲイン設定部26は、取得されたピーク値が最小となるように、参照信号出力部24のゲインを設定する。ピーク値は、各期間T1,T2において取得されたサンプリング値のうち、極大値の平均である。本実施形態の変形例として、ゲイン設定部26は、ピーク値でなく第一処理信号の強度の実効値に基づいて参照信号出力部24のゲインを設定してもよい。ピーク値は、各期間T1,T2において取得されたサンプリング値のうちの最大値であってもよい。
【0056】
次に、
図5及び
図6を参照して、本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置1Aについて説明する。
図5は、本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置の概略ブロック図である。
図6は、半導体試料の検査装置の一部を示す概略図である。
図6及び
図7に示されている変形例は、試料台22及び参照部材RSの代わりにDC成分カット部が設けられている点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0057】
検査装置1Aの電気特性測定ユニット20は、試料台21、被検信号出力部23、参照信号出力部24、除去処理部25、アイソレート部27、電気特性測定部28、及びDC成分カット部29を備える。DC成分カット部29の入力は、試料台21と電気的に並列に外部電源装置2の出力端子に接続されている。DC成分カット部29の出力は、参照信号出力部24と接続されている。すなわち、参照信号出力部24は、DC成分カット部29を挟んで、外部電源装置2に直列に接続されている。
【0058】
DC成分カット部29は、外部電源装置2から出力された電圧から直流成分を除去した電圧変動量を出力する。参照信号出力部24は、DC成分カット部29から出力された電圧変動量に基づく参照信号を出力する。参照信号出力部24は、外部電源装置2から出力された電圧から直流成分が除去された電圧変動量を参照信号として出力する。参照信号出力部24に入力された信号は、増幅部46によって電圧が増幅される。したがって、参照信号は、電圧信号である。
【0059】
図6に示されているように、本実施形態におけるDC成分カット部29は、コンデンサ58を有している。コンデンサ58は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2の出力端子に接続されている。コンデンサ58は、参照信号出力部24と電気的に直列に接続されている。本変形例における参照信号出力部24は、オペアンプ51、抵抗52、回路53、及び可変増幅器55に加えて抵抗59を有し、これらによって構成される反転増幅回路を含む。
【0060】
検査装置1Aでは、DC成分カット部29によって外部電源装置2から出力された電圧から直流成分が除去された電圧変動量が、参照信号出力部24に入力される。換言すれば、参照信号出力部24には、外部電源装置2から出力された電圧のうちの交流成分、すなわち、ノイズ成分が入力される。このため、検査装置1Aは参照部材RSを有さない構成であるが、当該検査装置1Aの参照信号出力部24から出力される参照信号もノーマルノイズを示す信号である。
【0061】
半導体試料Sから出力された電流信号は、被検信号出力部23で電流信号から電圧信号に変換されると共に増幅され、被検信号として除去処理部25に入力される。DC成分カット部29から出力された電圧変動量は、参照信号出力部24で増幅され、参照信号として除去処理部25に入力される。除去処理部25は、入力された被検信号と参照信号との差分からなる差分信号を増幅して処理信号として出力する。
【0062】
次に、
図7及び
図8を参照して、本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置1Bについて説明する。
図7は、本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置の概略ブロック図である。
図8は、半導体試料の検査装置の一部を示す概略図である。
図7及び
図8に示されている変形例は、除去処理部の前段に電流電圧変換部を有していない点、除去処理部が差動検出部を有さずに参照信号と検出信号の加算を行う点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
【0063】
検査装置1Bでは、被検信号出力部23は、試料台21の出力端子と除去処理部25とを電気的に直列に接続する配線のみを含んでいる。すなわち、被検信号出力部23は、半導体試料Sから出力された電流信号を被検信号として除去処理部25に入力する。したがって、被検信号は、電流信号である。
【0064】
参照信号出力部24は、反転ゲイン調整部47を有している。反転ゲイン調整部47は、参照信号出力部24に入力された電流信号、すなわち、外部電源装置の出力に応じた電流信号を逆相に変換し、被検信号の強度に応じてゲインが調整された参照信号を出力する。したがって、参照信号は、参照部材RSから出力された電流信号に対して逆相の電流信号である。
【0065】
図8に示されているように、本変形例における参照信号出力部24は、オペアンプ51、抵抗52、回路53、及び可変増幅器55を有する参照信号を出力する増幅器を含む。回路53は、外部電源装置2のグラウンドGと接続されており、電源を構成する。参照信号出力部24のオペアンプ51は、回路53から供給される電力によって動作する。
【0066】
参照信号出力部24のオペアンプ51の入力端子には、外部電源装置2のグラウンドGと参照部材RSとが接続されている。これによって、参照信号出力部24には、電流電圧変換回路が構成されている。
【0067】
除去処理部25は、加算部48及び電流電圧変換部49(増幅部)を有している。加算部48は、被検信号と参照信号とを加算して電流電圧変換部49に出力する。本変形例では、加算部48は、
図8に示されているように、試料台21の出力端子に接続された配線である被検信号出力部23と参照信号出力部24に接続されている配線と電流電圧変換部49とを接続するコネクタである。すなわち、加算部48は、被検信号の電流値と参照信号の電流値とを加算した電流値を有する電流信号を出力する。電流電圧変換部49は、加算部48から出力された電流信号を電圧信号に変換すると共に増幅する。したがって、除去処理部25から出力される処理信号は、電圧信号である。
【0068】
図8に示されているように、本変形例における電流電圧変換部49は、オペアンプ61、抵抗62、及び回路63を有する負帰還回路である。回路63は、外部電源装置2のグラウンドGと接続されており、電源を構成する。オペアンプ61は、回路63から供給される電力によって動作する。オペアンプ61の入力端子には、外部電源装置2のグラウンドGと加算部48とが接続されている。これによって、電流電圧変換部49には、反転増幅回路が構成されている。
【0069】
検査装置1Bでは、半導体試料Sから出力された電流信号は、被検信号として除去処理部25に入力される。参照部材RSから出力された電流信号は、参照信号出力部24で逆相の電流信号に変換され、参照信号として除去処理部25に入力される。除去処理部25では、加算部48によって被検信号と参照信号とを加算し、加算された信号を電流電圧変換部49によって電圧信号に変換すると共に増幅して処理信号として出力する。
【0070】
次に、
図9及び
図10を参照して、本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置1Cについて説明する。
図9は、本実施形態の変形例に係る半導体試料の検査装置の概略ブロック図である。
図10は、半導体試料の検査装置の一部を示す概略図である。
図9及び
図10に示されている変形例は、試料台22及び参照部材RSの代わりにDC成分カット部29が設けられている点に関して、
図7及び
図8に示されている変形例と相違する。以下、
図7及び
図8に示した変形例との相違点を主として説明する。
【0071】
検査装置1Cにおいて電気特性測定ユニット20は、試料台21、被検信号出力部23、参照信号出力部24、除去処理部25、アイソレート部27、電気特性測定部28、及びDC成分カット部29を備える。DC成分カット部29の入力は、試料台21と電気的に並列に外部電源装置2の出力端子に接続されている。DC成分カット部29の出力は、参照信号出力部24と接続されている。すなわち、参照信号出力部24は、DC成分カット部29を介して、外部電源装置2に直列に接続されている。
【0072】
DC成分カット部29は、外部電源装置2から出力された電圧から直流成分を除去した電圧変動量を出力する。参照信号出力部24は、DC成分カット部29から出力された電圧変動量に基づく参照信号を出力する。参照信号出力部24に入力された信号は、増幅部46によって増幅される。したがって、参照信号は、電圧信号である。
【0073】
図10に示されているように、本実施形態におけるDC成分カット部29は、コンデンサ58を有している。コンデンサ58は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2の出力端子に接続されている。コンデンサ58は、参照信号出力部24と電気的に直列に接続されている。本変形例における参照信号出力部24は、オペアンプ51、抵抗52、回路53、及び可変増幅器55に加えて抵抗59を有し、これらによって構成された反転増幅回路を含む。
【0074】
検査装置1Cでは、DC成分カット部29によって外部電源装置2から出力された電圧から直流成分が除去された電圧変動量が、参照信号出力部24に入力される。換言すれば、参照信号出力部24には、外部電源装置2から出力された電圧のうちの交流成分が入力される。交流成分は、ノイズ成分に相当する。このため、参照信号出力部24から出力される参照信号は、ノーマルノイズを示す信号である。
【0075】
検査装置1Cでは、半導体試料Sから出力された電流信号は、被検信号として除去処理部25に入力される。DC成分カット部29から出力された電流信号は、参照信号出力部24で逆相の電流信号に変換され、参照信号として除去処理部25に入力される。除去処理部25は、加算部48によって被検信号と参照信号とを加算し、加算された信号を電流電圧変換部49によって電圧信号に変換すると共に増幅して処理信号として出力する。
【0076】
次に、
図11から
図13を参照して、本実施形態及び変形例に係る検査装置1,1A,1B,1Cを用いた半導体試料Sの検査方法について説明する。
図11は、半導体試料の検査方法を示すフローチャートである。
図12は、
図11に示した処理のうち、ゲインの設定処理について詳細に示すフローチャートである。
図13は、
図11に示した処理のうち、電気特性の測定処理について詳細に示すフローチャートである。
【0077】
まず、半導体試料S、及び、参照部材RS又はコンデンサ58の準備が行われる(処理S1)。半導体試料Sは、試料台21に載置され、外部電源装置2に接続される。検査装置1,1Bを用いる場合には、参照部材RSが、試料台22に載置され、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2に接続されると共に、電気的に直列に参照信号出力部24に接続される。検査装置1A,1Cを用いる場合には、コンデンサ58が、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2に接続されると共に、電気的に直列に参照信号出力部24に接続される。コンデンサ58は、予め参照信号出力部24に接続されていてもよい。コンデンサ58が予め参照信号出力部24に接続されている場合には、処理S1で示される処理は省略される。
【0078】
続いて、外部電源装置2による半導体試料Sへの電圧の印加が開始される(処理S2)。この際、検査装置1,1Bを用いる場合には、外部電源装置2による参照部材RSへの電圧の印加も開始される。本実施形態では、外部電源装置2による電圧の印加は、全ての処理が終了するまで継続される。
【0079】
続いて、ゲイン設定部26によって参照信号出力部24のゲインの設定処理が行われる(処理S3)。本実施形態では、全ての処理が終了するまで、処理S3において設定されたゲインが維持される。ゲインの設定処理では、除去処理部25において被検信号及び参照信号が取得され、除去処理部25から第一処理信号が出力される。第一処理信号は、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態において除去処理部25から出力される処理信号である。ゲインの設定処理では、第一処理信号の強度に基づくフィードバック制御によって、参照信号出力部24のゲインが設定される。
【0080】
被検信号は、外部電源装置2からの電圧の印加に応じて半導体試料Sから出力された電流信号に基づく信号である。検査装置1,1Aを用いる場合には、被検信号は、外部電源装置2からの電圧の印加に応じて半導体試料Sから出力された電流信号を電圧信号に変換した信号である。検査装置1B,1Cを用いる場合には、被検信号は、外部電源装置2からの電圧の印加に応じて半導体試料Sから出力された電流信号そのものである。
【0081】
参照信号は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2に接続された参照信号出力部24から、外部電源装置2の出力に応じて出力された信号である。検査装置1,1Bを用いる場合には、参照信号は、外部電源装置2の出力に起因して参照部材RSから出力された電流信号に基づく信号である。検査装置1A,1Cを用いる場合には、参照信号は、外部電源装置2から出力された電圧から直流成分を除去した電圧変動量に基づいて参照信号出力部24から出力された信号である。外部電源装置2から出力された電圧から直流成分を除去した信号は、たとえば、コンデンサ58によって生成される。検査装置1,1Aを用いる場合には、参照信号は、外部電源装置2の出力に応じた電圧信号である。検査装置1B,1Cを用いる場合には、参照信号は、外部電源装置2の出力に応じて参照部材RS又はDC成分カット部29から出力された電流信号を逆相にした信号である。
【0082】
続いて、光照射ユニット10による半導体試料SへのレーザビームLの照射及び走査が開始される(処理S4)。本実施形態では、光照射ユニット10による半導体試料SへのレーザビームLの照射及び走査は、半導体試料Sの測定領域の全てにレーザビームLを照射及び走査するまで継続される。
【0083】
続いて、電気特性の測定処理が行われる(処理S5)。本実施形態では、電気特性測定ユニット20によって測定された電気特性の測定結果は、システム制御部31に逐次送信される。電気特性の設定処理では、除去処理部25において被検信号及び参照信号が取得され、除去処理部25から第二処理信号が出力される。第二処理信号は、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において除去処理部25から出力される処理信号である。電気特性の設定処理では、第二処理信号の強度に基づいて半導体試料Sの電気特性が測定される。
【0084】
続いて、システム制御部31によって電気特性の測定結果が表示部32に表示される(処理S6)。本実施形態では、システム制御部31が、電気特性測定部28から送信された測定結果及びレーザビームLの照射位置に基づいて、レーザビームLの照射位置に対応した半導体試料Sの電気特性の測定結果を輝度情報に変換する。続いて、システム制御部31は、レーザビームLの照射位置と、この照射位置に対応する輝度情報とを関連付ける。続いて、システム制御部31は、レーザビームLの照射位置と輝度情報とに基づいて、半導体試料Sの欠陥箇所を示す画像を生成し、この画像を表示部32に表示する。すなわち、システム制御部31は、電気特性測定部28から送信された測定結果に基づいて、半導体試料Sの欠陥箇所を出力する。
【0085】
続いて、システム制御部31によって全ての処理を終了するかの判断が行われる(処理S7)。終了しないと判断された場合(処理S7でNO)には、処理S4で示される処理に戻ってレーザビームLの照射及び走査が開始される。終了すると判断された場合(処理S7でYES)には、全ての処理が終了される。
【0086】
次に、処理S3におけるゲインの設定処理について更に詳細に説明する。
【0087】
ゲインの設定処理では、参照信号出力部24の可変増幅器55の抵抗値を表すビット列を決定することで、参照信号出力部24のゲインが設定される。ゲインの設定処理では、最上位ビットからnビット目のビットの値を決定する処理が繰り返される。ゲインの設定処理では、まず、nの値が決定される(処理S31)。nは、0以上の整数である。本実施形態では、可変増幅器55の抵抗値は、10桁のビット列で表される。このため、nは、0〜9の値になり得る。2回目以降の処理S31の実行では、処理S31を実行するたびにnがインクリメントされる。最初に処理S31が実行される際には、処理S31においてnが0に決定され、処理S32が実行される。
【0088】
続いて、最上位ビットからnビット目の決定に用いられる第一抵抗値が決定される(処理S32)。0ビット目は、最上位ビットである。本実施形態において第一抵抗値では、最上位ビットからnビット目のビットの値が1であり、最上位ビットからn+1ビット目のビットの値が1であり、以降のビットの値が0である。
図3には、n=4ある場合とn=5ある場合との第一抵抗値の一例が示されている。
【0089】
続いて、最上位ビットからnビット目の決定に用いられる第一抵抗値が可変増幅器55の抵抗値に設定された場合における第一処理信号の強度が取得される(処理S33)。本実施形態では、サンプリングによって第一処理信号の強度のピーク値が取得される。ピーク値は0以上の整数である。
【0090】
続いて、最上位ビットからnビット目の決定に用いられる第二抵抗値が決定される(処理S34)。本実施形態において第二抵抗値では、最上位ビットからnビット目のビットの値が0であり、最上位ビットからn+1ビット目のビットの値が1であり、以降のビットの値が0である。
図3には、n=4ある場合とn=5ある場合との第二抵抗値の一例が示されている。
【0091】
続いて、最上位ビットからnビット目の決定に用いられる第二抵抗値が可変増幅器55の抵抗値に設定された場合における第一処理信号の強度が取得される(処理S35)。本実施形態では、サンプリングによって第一処理信号の強度のピーク値が取得される。ピーク値は0以上の整数である。
【0092】
続いて、第一抵抗値が設定された場合における第一処理信号の強度と、第二抵抗値が設定された場合における第一処理信号の強度とが比較される(処理S36)。本実施形態では、第一抵抗値が設定された場合における第一処理信号の強度のピーク値と、第二抵抗値が設定された場合における第一処理信号の強度のピーク値とのいずれが小さいかを判断する。
【0093】
続いて、nビット目のビットの値が決定される(処理S37)。処理S36において、第一抵抗値が設定された場合の方が第二抵抗値が設定した場合よりもピーク値が小さいと判断されると、nビット目のビットの値は1に決定される。処理S36において、第二抵抗値が設定した場合の方が第一抵抗値が設定した場合よりもピーク値が小さいと判断されると、nビット目のビットの値は0に決定される。
【0094】
続いて、参照信号出力部24の可変増幅器55の抵抗値を表すビット列における全てのビットの値が決定されたか否かを判断する(処理S38)。本実施形態では、可変増幅器55の抵抗値が10桁のビット列であるため、n=9であるか否かが判断される。全てのビットの値が決定されていないと判断された場合(処理S38でNO)には、処理S31で示される処理に戻る。全てのビットの値が決定されたと判断された場合(処理S38でYES)には、ゲインの設定処理は終了する。
【0095】
次に、処理S5における電気特性の測定処理について更に詳細に説明する。
【0096】
電気特性の測定処理では、除去処理部25において参照信号及び被検信号が取得される(処理S51)。電気特性の測定処理では、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において被検信号出力部23から出力された被検信号が取得される。
【0097】
続いて、除去処理部25によって、外部電源装置2の出力によるノイズ成分の除去処理が参照信号に基づいて被検信号に対して行われた処理信号が生成される(処理S52)。電気特性の測定処理では、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において取得された第二処理信号が生成される。検査装置1,1Aを用いる場合には、除去処理部25は、参照信号と被検信号との差分に基づいて第二処理信号を生成する。検査装置1B,1Cを用いる場合には、除去処理部25は、参照信号と被検信号とを加算して増幅することで第二処理信号を生成する。
【0098】
続いて、電気特性測定部28によって、半導体試料Sの電気特性の測定が行われる(処理S53)。電気特性測定部28は、除去処理部25で生成された第二処理信号に基づいて、半導体試料Sの電気特性の測定を行う。本実施形態では、電気特性測定部28は、システム制御部31に測定結果を逐次送信する。
【0099】
続いて、電気特性の測定処理を終了するか判断が行われる(処理S54)。終了しないと判断された場合(処理S54でNO)には、処理S51で示される処理に戻って、除去処理部25において参照信号及び被検信号が取得される。終了すると判断された場合(処理S54でYES)には、電気特性の測定処理が終了され、処理S6で示される処理に進む。
【0100】
以上説明したように、本実施形態及び変形例に係る検査装置1,1A,1B,1Cは、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2と接続されていると共に、外部電源装置2の出力に応じた参照信号を出力する参照信号出力部24を備えている。除去処理部25は、外部電源装置2の出力によるノイズ成分の除去処理を参照信号に基づいて被検信号に対して行った処理信号を出力する。電気特性測定部28は、処理信号に基づいて、半導体試料Sの電気特性を測定する。このため、上記検査装置1,1A,1B,1Cでは、外部電源装置2を用いて半導体試料Sに供給する電力を向上することと、半導体試料Sの電気特性の測定結果に及ぶノイズの影響を低減することとを両立することができる。この結果、半導体試料Sの欠陥箇所の検査精度が向上され得る。
【0101】
被検信号の強度に対して参照信号の強度が合っていない場合には、除去処理部25によるノイズ成分の除去効果が低減する。しかしながら、被検信号の強度に合った参照信号が出力されるように参照信号出力部24を設計することは困難である。たとえば、参照部材RSにも製造バラツキ又は故障不良があり、半導体試料Sに合ったインピーダンスを有する参照部材RSを選択することは困難である。
【0102】
検査装置1,1A,1B,1Cは、ゲイン設定部26を備える。ゲイン設定部26は、第一処理信号の強度に基づくフィードバック制御によって、参照信号出力部24のゲインを設定する。電気特性測定部28は、ゲイン設定部26によってゲインが設定された参照信号出力部24からの参照信号に基づき除去処理が行われた第二処理信号に基づいて、半導体試料の電気特性を測定する。このため、参照信号出力部24のゲインが自動で適切に設定される。この結果、第二処理信号におけるノイズ成分が高度に除去され得る。したがって、半導体試料Sの電気特性の測定結果に及ぶノイズの影響が高度に低減され得る。
【0103】
検査装置1,1Bでは、ゲイン設定部26によって参照信号出力部24のゲインが設定されるため、半導体試料Sの抵抗値と参照部材RSの抵抗値が異なっても、半導体試料Sの電気特性の測定結果に及ぶノイズの影響が高度に低減され得る。たとえば、半導体試料Sの抵抗値と参照部材RSの抵抗値が100倍程度異なっても、ノイズの影響が高度に低減され得る。したがって、検査装置1,1Bにおいて参照部材RSの選択が容易である。
【0104】
検査装置1,1A,1B,1Cでは、ゲイン設定部26は、互いに異なる複数の値にゲインを設定したそれぞれの場合における第一処理信号の強度を取得し、第一処理信号の強度が最小になると判断された値にゲインを設定する。このため、処理信号におけるノイズ成分がより簡単かつ高度に除去され得る。
【0105】
検査装置1,1A,1B,1Cでは、ゲイン設定部26は、ゲインの値に対応するビット列について、二分探索法によってビット列の各ビットの値を最上位ビット側から決定することで、第一処理信号の強度が最小になると判断された値にゲインを設定する。このため、ゲイン設定部26における処理負担が低減されると共に、処理信号におけるノイズ成分を除去する参照信号のゲインの値がより高速に設定され得る。
【0106】
検査装置1,1A,1B,1Cでは、参照信号出力部24は、参照信号を出力する増幅器を含んでいる。ゲイン設定部26は、増幅器の周波数帯域における最小周波数の周期よりも長い期間T1,T2で第一処理信号の強度をサンプリングする。ゲイン設定部26は、このサンプリングによって第一処理信号の強度を取得する。このため、ノイズ成分の周波数が低くともノイズ成分の一周期の期間にサンプリングが行われる。したがって、ゲイン設定部26によってゲインの値が適切に設定され得る。たとえば、ノイズ成分の周波数が低くとも第一処理信号のピーク値が適切に取得され得る。
【0107】
検査装置1,1A,1B,1Cでは、ゲイン設定部26は、増幅器の周波数帯域における最大周波数の周期よりも短いサンプリング周期TSによって処理信号の強度をサンプリングする。このため、ノイズ成分の周波数が高くともノイズ成分の一周期の間にサンプリング値が取得されるため、ゲイン設定部26によってゲインの値が適切に設定され得る。たとえば、ノイズ成分の周波数が高くとも、第一処理信号のピーク値が適切に取得され得る。
【0108】
検査装置1,1A,1B,1Cでは、ゲイン設定部26は、処理信号の強度のピーク値を取得し、当該ピーク値に基づいてゲインを設定する。ピーク値は、たとえば、第一処理信号の強度の実効値よりも簡易な処理で取得できる。したがって、ゲイン設定部26における処理負担が低減される。
【0109】
検査装置1,1Bでは、参照信号出力部24は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2に接続された参照部材RSに電気的に直列に接続されている。参照信号出力部24は、外部電源装置2による電圧の印加によって参照部材RSから出力された電流信号に基づく信号を参照信号として出力する。この場合、参照信号出力部24が出力する参照信号は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2と接続された参照部材RSからの電流信号に基づく。このため、半導体試料Sから出力された電流信号に合わせて、参照信号のゲインを調整することが容易である。
【0110】
検査装置1A,1Cでは、参照信号出力部24は、外部電源装置2から出力された電流信号から直流電流成分が除去された信号を参照信号として出力する。この場合、参照信号出力部24が出力する参照信号は、外部電源装置2から出力された電流信号から直流電流成分を除去した信号に基づく。直流電流成分が除去された信号は、外部電源装置2の出力のノイズ成分を示す。このため、外部電源装置2の出力のノイズ成分を含む参照信号の生成が容易である。
【0111】
検査装置1A,1Cでは、コンデンサ58は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2と接続されている。このため、外部電源装置2から出力された電流信号の直流成分が全て半導体試料Sを通して、被検信号出力部23に入力される。すなわち、外部電源装置2から出力される電流値が半導体試料Sから出力される電流値である。この結果、電気特性測定の容易性が向上する。
【0112】
検査装置1,1Bでは、被検信号出力部23が半導体試料Sから出力された電流信号を電圧信号に変換した被検信号を出力する。参照信号出力部24は、外部電源装置2からの電流信号を電圧信号に変換した信号を参照信号として出力する。除去処理部25は、被検信号と参照信号との差分からなる差分信号を処理信号として出力する。この場合、被検信号と参照信号との差分からなる処理信号では、電磁波等の外来ノイズ成分も除去されている。
【0113】
検査装置1B,1Cでは、参照信号出力部24は、外部電源装置2の出力に応じた電流信号を逆相にした信号を参照信号として出力する。加算部48は、半導体試料Sから出力された電流信号に参照信号を加算する。電流電圧変換部49は、加算部48によって加算された信号を増幅する。この場合、半導体試料Sから出力された電流信号に参照信号を加算した後に増幅が行われる。すなわち、外部電源装置2の出力によるノイズ成分の除去処理が行われた後に増幅が行われる。このため、外部電源装置2の出力のノイズが大きい場合でも、ノイズ成分によって除去処理部25が飽和することを防止できる。したがって、除去処理部25の増幅率を高くすることができる。
【0114】
検査装置1,1A,1B,1Cでは、除去処理部25と電気特性測定部28とは、アイソレート部27によって、電気的に絶縁されている。アイソレート部27は、たとえば、トランス、又はフォトカプラを介して、除去処理部25と電気特性測定部28とを接続する。検査装置1,1A,1B,1Cでは、参照信号出力部24及び除去処理部25の少なくとも一つは、外部電源装置2のグラウンドGと接続された回路63から供給される電力によって動作する。この場合、外部電源側と測定部側との間で生じるコモンモードノイズが発生することを防止できる。
【0115】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0116】
たとえば、参照信号出力部24は、可変増幅器55の代わりに可変抵抗を含んでいてもよい。この場合、可変抵抗は、デジタル制御可変抵抗器であり、ゲイン設定部26から出力されたデジタル信号に応じて抵抗値が制御される。
【0117】
ゲイン設定部26は、可変増幅器55の抵抗値を表すビット列の代わりにデジタル制御ゲイン可変増幅器のゲインの値に対応するビット列を決定することで、参照信号出力部24のゲインを設定してもよい。この場合も、ゲイン設定部26は、二分探索法によって上記ビット列の各ビットの値を最上位ビット側から決定することで、第一処理信号の強度が最小になると判断された値に参照信号出力部24のゲインを設定してもよい。また、二分探索法以外の探索方法でビットを決定してもよい。
【0118】
本実施形態及び変形例では、電気特性の測定処理では、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われている状態において取得される第二処理信号の強度に基づいて半導体試料Sの電気特性が測定されることを説明した。しかし、電気特性の測定処理には、半導体試料Sに対して光の照射及び走査が行われていない状態において取得される第一処理信号の強度に基づいて半導体試料Sの電気特性が測定される期間が含まれていてもよい。
【0119】
本実施形態及び変形例では、電気特性測定部28とシステム制御部31とを分けて説明したが、電気特性測定部28はシステム制御部31に含まれていてもよい。
【0120】
システム制御部31は、半導体試料Sの測定領域の全て又は所定部分にレーザビームLを照射及び走査した後に、表示部32に画像を表示してもよいし、電気特性測定部28から測定結果を受信に応じて表示部32に画像を逐次表示してもよい。
【0121】
本実施形態及び変形例では、電気特性測定部28は、システム制御部31に測定結果を逐次送信したが、半導体試料Sの測定領域の全て又は所定部分にレーザビームLを照射及び走査した後に、システム制御部31に測定結果をまとめて送信してもよい。
【0122】
本実施形態で説明した処理フローは例示的な処理順序を説明しており、本検査方法は説明した特定の処理順序に限定されない。処理順序は、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。たとえば、外部電源装置2による半導体試料Sへの電圧の印加の開始と、光照射ユニット10による半導体試料SへのレーザビームLの照射及び走査の開始とは、順序が逆であってもよい。
【解決手段】検査装置1は、参照信号出力部24と、除去処理部25と、ゲイン設定部26と、電気特性測定部28と、を備える。参照信号出力部24は、半導体試料Sと電気的に並列に外部電源装置2に接続されると共に、外部電源装置2の出力に応じた参照信号を出力する。除去処理部25は、半導体試料Sから出力された電流信号から外部電源装置2の出力によるノイズ成分の除去処理を参照信号に基づいて行い、処理信号を出力する。ゲイン設定部26は、処理信号に基づいて、参照信号出力部のゲインの値を設定する。電気特性測定部28は、ゲイン設定部によってゲインの値が設定された参照信号出力部からの参照信号に基づき除去処理が行われた処理信号に基づいて、半導体試料Sの電気特性を測定する。