(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824384
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】フレキシブル表示基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20210121BHJP
B32B 3/16 20060101ALI20210121BHJP
B32B 3/22 20060101ALI20210121BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
G09F9/30 339Z
B32B3/16
B32B3/22
B32B15/04 Z
G09F9/30 308Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-503725(P2019-503725)
(86)(22)【出願日】2017年8月11日
(65)【公表番号】特表2019-528467(P2019-528467A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】CN2017097007
(87)【国際公開番号】WO2018036391
(87)【国際公開日】20180301
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】201610715972.8
(32)【優先日】2016年8月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179314
【氏名又は名称】昆山工研院新型平板顕示技術中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN NEW FLAT PANEL DISPLAY TECHNOLOGY CENTER CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】袁波
(72)【発明者】
【氏名】劉玉成
(72)【発明者】
【氏名】高勝
(72)【発明者】
【氏名】徐琳
【審査官】
川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−143846(JP,A)
【文献】
特開2011−023521(JP,A)
【文献】
特表2004−531753(JP,A)
【文献】
特表2016−503515(JP,A)
【文献】
特開平05−150263(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0179229(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0211210(US,A1)
【文献】
特開2006−339186(JP,A)
【文献】
特開2016−031499(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0217397(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0263308(US,A1)
【文献】
特開2014−232300(JP,A)
【文献】
特開2015−062059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
G02F1/133−1/1334
1/1339−1/135
G09F9/00−9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00−33/28
H05K1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基材を含むフレキシブル表示基板であって、前記フレキシブル基材上には少なくとも1つの導電複合層が設けられ、
前記導電複合層は、下から設けられる第1金属層、第2金属層及び第3金属層と、前記第1金属層及び前記第2金属層の間に位置する第2絶縁層と、前記第2金属層及び前記第3金属層の間に位置する第3絶縁層と、を含み、
前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第3金属層はそれぞれ、離間して配置された複数の金属線セグメントを含み、その中、前記第2金属層における複数の金属線セグメントは交替で配置された第1金属線セグメントと第3金属線セグメントとを含み、
前記第2絶縁層及び前記第3絶縁層にはそれぞれ接触孔が開設され、
前記第1金属層の金属線セグメント及び前記第2金属層の前記第1金属線セグメントは、前記第2絶縁層における接触孔内の金属を介して接続されて、連続的な第1金属導線を形成し、
前記第3金属層の金属線セグメント及び前記第2金属層の前記第3金属線セグメントは、前記第3絶縁層における接触孔内の金属を介して接続されて、連続的な第2金属導線を形成する、ことを特徴とするフレキシブル表示基板。
【請求項2】
前記第1金属層、前記第2金属層及び前記第3金属層の前記金属線セグメントは、同一又は類似の延在方向を有し、且つ離間して配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル表示基板。
【請求項3】
前記導電複合層における第1金属層の金属線セグメント及び第2金属層の第1金属線セグメントは互いにずらして設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル表示基板。
【請求項4】
前記第2絶縁層における接触孔内の金属の一端は、前記第1金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、前記第2金属層の前記第1金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、及び/又は、
前記第3絶縁層における接触孔内の金属の一端は、前記第3金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、前記第2金属層の前記第3金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレキシブル表示基板。
【請求項5】
フレキシブル表示基板の製造方法であって、
フレキシブル基材を製造するステップと、
前記フレキシブル基材上に第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層上に第1金属層を形成し、前記第1金属層において、同一又は類似の延在方向を有する複数の金属線セグメントを離間して配置するステップと、
前記第1金属層上に第2絶縁層を形成し、前記第2絶縁層上に接触孔を設け、接触孔内に金属を充填するステップと、
前記第2絶縁層上に第2金属層を形成し、前記第2金属層において、同一又は類似の延在方向を有する複数の金属線セグメントを離間して配置するステップと、
前記第2金属層上に第3絶縁層を形成し、前記第3絶縁層上に接触孔を設け、接触孔内に金属を充填するステップと、
前記第3絶縁層上に第3金属層を形成し、前記第3金属層において、同一又は類似の延在方向を有する複数の金属線セグメントを離間して配置するステップと、を含み、
ここで、前記第2金属層における複数の金属線セグメントは交替で配置される第1金属線セグメントと第3金属線セグメントとを含み、
前記第2絶縁層における接触孔内の金属は、一端が前記第1金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、他端が前記第2金属層の前記第1金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、
前記第3絶縁層における接触孔内の金属は、一端が前記第3金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、他端が前記第2金属層の前記第3金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続される、ことを特徴とするフレキシブル表示基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願人により2016年8月24日に出願された、「フレキシブル表示基板及びその製造方法」を発明の名称とする中国特許出願第CN201610715972.8号の優先権を主張する。上記出願の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は表示技術の分野に関し、特にフレキシブル表示基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
新世代のディスプレイ製品として、フレキシブルディスプレイは、超軽量、超薄型、高精細、高速応答、フレキシブルで持ち運びが容易という長所があるため、ますます注目されている。
【0004】
フレキシブルディスプレイは、使用中に巻き上げたり曲げたり、さらに頻繁に折り曲げたりする必要があり、変形によって生じる応力が蓄積されて表示基板内の金属線や絶縁層に重なると、金属線が破断する。同時に、複数回の曲げは、絶縁層が破断の危険に直面する原因となり、正常に表示することができなくなり、フレキシブルディスプレイの寿命に重大な影響を及ぼす。
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、産業界は主に金属線に穴を開けたり、金属線のパターン(矩形や波形など)を変更したりすることによって、応力を解放する。これらの方法は、金属線の使用回数を増加させ、ディスプレイの寿命を延長させることができるが、金属線に穴を開け又は金属線のパターンを変更することは、リソグラフィ装置に対する要求が高いため、プロセスの難易度が高まる。
【0006】
従来技術では、よりフレキシブルな曲がりやすい材料(例えば、グラフェン又はナノ銀など)で金属層のモリブデン、チタン又は銅を置き換えて表示基板の金属線を形成する方法も開示されている。この方法は、金属線の使用回数を増加させ、ディスプレイの信頼性を向上させることができるが、材料の制約からコストが高く、代替材料を使用すると、フレキシブル基板の構造及び製造プロセスに大きな変化が生じ、既存の装置とプロセスによっては実現することができない。
【0007】
また、上記方法は、金属線の破断に対する改善策である。これらの改善策を採用した後、絶縁層は依然として連続的であるため、上記方法は、絶縁層に蓄積された応力を効果的に解放して絶縁層が破断しやすいという技術的課題を解決することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑みて、本発明は、フレキシブル表示基板に蓄積された応力を効果的に低減して、フレキシブル画面本体を曲げるときに金属線及び絶縁層が破断する可能性を低減することができるフレキシブル表示基板を提供する。本発明は、フレキシブル表示画面の劣化を防止し、その寿命を延長することができるフレキシブル表示基板の製造方法を更に提供する。
【0009】
本発明の実施例は、フレキシブル表示基板を提供する。このフレキシブル表示基板は、フレキシブル基材を含み、このフレキシブル基材上には少なくとも1つの導電複合層が設けられ、導電複合層は、
第1金属層と、第2金属層と
、第1金属層及び第2金属層の間に位置する絶縁層とを含み、
第1金属層からフレキシブル基材までの距離は第2金属層からフレキシブル基材までの距離より小さく、第1金属層及び第2金属層は
それぞれ、離間して配置された
複数の金属線セグメントを含み、絶縁層には接触孔が開設され、
第1金属層の金属線セグメント
及び第2金属層の金属線セグメントは、接触孔内の金属を介して接続されて、連続的な金属導線を形成する。
【0010】
本発明の一実施例では、
第1金属層及び第2金属層は
それぞれ、同一又は類似の延在方向を有し、且つ離間して配置された金属線セグメントを含む。
【0011】
本発明の一実施例では、少なくとも1つの導電複合層の各導電複合層における
第1金属層の金属線セグメント及び第2金属層の金属線セグメントは互いにずらして設けられる。
【0012】
本発明の一実施例では、少なくとも1つの導電複合層は、下層の導電複合層とその隣接する上層の導電複合層とを含み、下層の導電複合層と上層の導電複合層とは金属層を共用する。
【0013】
本発明の一実施例では、異なる金属層における金属線セグメントの
数が異なる。
【0014】
本発明の一実施例では
、接触孔内の金属の一端は、第1金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、第2金属層の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、第1金属層の金属線セグメントの
数は、第2金属層の金属線セグメントの
数より
多い。
【0015】
本発明の一実施例では、導電複合層は
、第3金属層を
更に含み、第2金属層における金属線セグメントは、離間して配置された第1金属線セグメントと第3金属線セグメントとを含み、第1金属層と第2金属層との間の接触孔内の金属の一端は、第1金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、第2金属層の第1金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、第1金属層の金属線セグメントの
数は、第2金属層の第1金属線セグメントの
数より
多く、及び/又は、第3金属層と第2金属層との間の接触孔内の金属の一端は、第3金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、第2金属層の第3金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、第3金属層の金属線セグメントの
数は、第2金属層の第3金属線セグメントの
数より
多い。
【0016】
本発明の一実施例では、導電複合層は
、第3金属層を
更に含み、第1金属層と第2金属層との間の接触孔内の金属の一端は、第1金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、第2金属層の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、第2金属層と第3金属層との間の接触孔内の金属の一端は、第2金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔内の金属の他端は、第3金属層の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、接触孔内の金属の他端は、第3金属層の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続される。
【0017】
第1金属層の金属線セグメントの
数は、第2金属層の金属線セグメントの
数より
多く、第3金属層の金属線セグメントの
数は、第2金属層の金属線セグメントの
数より
多く、第1金属層の金属線セグメントの
数は、第3金属層の金属線セグメントの
数より
少ない。
【0018】
本発明の一実施例では、連続的な金属導線は、データ線又はゲート線として使用される。
【0019】
本発明の一実施例では、金属線は、アルミニウム、チタン、モリブデン又はアルミニウム合金、チタン合金、モリブデン合金の中の1つの材料からなる。
【0020】
本発明の一実施例では、絶縁層は、窒化ケイ素又はシリコン酸化物からなる。
【0021】
本発明の一実施例では、フレキシブル基材の材料は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン又はポリエチレンテレフタレートの中の一つである。
【0022】
本発明の実施例は、フレキシブル表示基板の製造方法を提供する。この方法は、フレキシブル基材を製造するステップと、フレキシブル基材上に絶縁層と金属層とを交互に配置するステップと、を含み、複数の絶縁層と複数の金属層とを配置するプロセスにおいて、隣接する金属層間の絶縁層上に接触孔を設け、接触孔内に金属を充填するステップと、金属層において、同一又は類似の延在方向を有する金属線セグメントを離間して配置するステップと、接触孔内の金属により、隣接する金属層の金属線セグメントを交互に接続して連続的な金属導線を形成するステップとを更に行う。
【0023】
本発明の一実施例では、フレキシブル表示基板の製造方法は、フレキシブル基材を製造するステップと、フレキシブル基材上に第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層上に第1金属層を形成し、第1金属層において、同一又は類似の延在方向を有する
複数の金属線セグメントを離間して配置するステップと、第1金属層上に第2絶縁層を形成し、第2絶縁層上に接触孔を設け、接触孔内に金属を充填するステップと、第2絶縁層上に第2金属層を形成し、第2金属層において、同一又は類似の延在方向を有する
複数の金属線セグメントを離間して配置し、接触孔内の金属の一端を第1金属層の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続し、接触孔内の金属の他端を第2金属層の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続するステップとを含む。
【0024】
本発明の実施例によるフレキシブル表示基板は、異なる金属層における金属線セグメントが交互に接続されて、複数の金属層に配置された、折れ線構造を有する連続的な金属導線及び相対的に独立した複数の絶縁層ブロックを形成することによって、フレキシブル表示基板に蓄積された応力を効果的に解放して、フレキシブル画面本体を曲げるときに金属線及び絶縁層が破断する可能性を低減する。本発明の実施例によるフレキシブル表示基板の製造方法は、接触孔を用いて複数の金属層における金属線セグメントを交互に接続して、複数の金属層に配置された、折れ線構造を有する連続的な金属導線及び相対的に独立した複数の絶縁層ブロックを形成することによって、フレキシブル表示画面の劣化を防止し、その寿命を延長する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例によるフレキシブル表示基板の構造模式図を示す。
【
図2】本発明の別の実施例によるフレキシブル表示基板の構造模式図を示す。
【
図3】本発明の他の実施例によるフレキシブル表示基板の構造模式図を示す。
【
図4】本発明の一実施例によるフレキシブル表示基板の製造方法の流れの模式図を示す。
【
図5】本発明の別の実施例によるフレキシブル表示基板の製造方法の流れの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。当然のことながら、ここで説明する実施例は本発明の実施例の全てではなく一部にすぎない。当業者が創造的な作業なしに本発明の実施例に基づいて得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0027】
図1は、本発明の一実施例によるフレキシブル表示基板の構造模式図を示す。
図2は、本発明の別の実施例によるフレキシブル表示基板の構造模式図を示す。
図3は、本発明の他の実施例によるフレキシブル表示基板の構造模式図を示す。
【0028】
本発明の実施例によるフレキシブル表示基板はフレキシブル基材1を含み、このフレキシブル基材1上には絶縁層と金属層が交互に配置される。金属層は、同一又は類似の延在方向を有し且つ離間して配置された金属線セグメントを含み、隣接する金属層の間の絶縁層には接触孔6が開設され、隣接する金属層の金属線セグメントは、接触孔6内の金属を介して交互に接続されて、連続的な金属導線を形成する。
【0029】
図1に示される実施例では、フレキシブル表示基板はフレキシブル基材1を含み、フレキシブル基材1上には第1絶縁層2、第1金属層3、第2絶縁層4及び第2金属層5が順に配置される。第1金属層3と第2金属層5は、同一又は類似の延在方向を有し且つ離間して配置された金属線セグメント7
と金属線セグメント10をそれぞれ含む。接触孔6内の金属の一端は、第1金属層3の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔6内の金属の他端は、第2金属層5の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続される。
【0030】
また、第1金属層3内の金属線セグメント7と第2金属層5内の金属線セグメント10との密度は異なってもよい。例えば、本実施例のフレキシブル表示基板において、第1金属層3は、ゲート及び部分配線として使用されてもよい。第2金属層5における金属線セグメント10は、コンデンサーの下電極板として使用することができるため、第1金属層3における金属線セグメント7の数は、第2金属層5における金属線セグメント10の数より多い。1つの具体的な実施例では、第1金属層3における金属線セグメント7の数と第2金属層5における金属線セグメント10の数との比は約3:2である。
【0031】
本実施例のフレキシブル表示基板において、隣接する金属層の金属線セグメントは互いにずらして分布し且つ接触孔内の金属を介して接続されることによって、絶縁層を往復して折れ線構造を有する連続的な金属導線(例えば、金属導線8)が形成される。また、完全な絶縁層(第2絶縁層4)は、金属層3と5を接続するための複数の接触孔6によって、相対的に独立した複数の絶縁層ブロック9に分割されているので、フレキシブル表示基板に蓄積された応力をさらに効果的に解放して、フレキシブル画面本体を曲げるときに金属線及び絶縁層が破断する可能性を低減することができる。
【0032】
図2に示される実施例では、フレキシブル表示基板は、フレキシブル基材1上に第1絶縁層2、第1金属層3、第2絶縁層4、第2金属層5、第3絶縁層
17及び第3金属層
18を順に配置する構造を有する。第1金属層3、第2金属層5及び第3金属層
18はいずれも、同一又は類似の延在方向を有し且つ離間して配置された金属線セグメント7を含む。例えば、第1金属層3には、離間して配置された第1金属線セグメント11及び第3金属線セグメント12がある。第2金属層5には、離間して配置された第1金属線セグメント
19及び第3金属線セグメント
20がある。第2絶縁層4には、複数の接触孔61、62、63、64があり、各接触孔には金属が充填されている。第2絶縁層4の接触孔61内の金属の下端は、第1金属層3の第3金属線セグメント12のヘッド部に接続され、第2絶縁層4の接触孔61内の金属の上端は、第2金属層5の第1金属線セグメント
19のテール部に接続される。第2絶縁層4における残りの接触孔内の金属も同様に接続され、残りの絶縁層とその隣接する金属層とも同様に接続されるので、ここでは詳細に説明しない。
【0033】
第1金属層3における金属線セグメント、第2金属層5における金属線セグメント及び第3金属層
18における金属線セグメントの密度は異なってもよい。例えば、本実施例のフレキシブル表示基板において、第1金属層3は、ゲート及び部分配線として使用することができるため、第1金属層3における金属線セグメントの数はより多くなる。第2金属層5における金属線セグメントは、コンデンサーの下電極板として使用することができるため、第2金属層5における金属線セグメントの数はより少なくなる。第3金属層18における金属線セグメントは、配線として使用することができるため、第3金属層
18における金属線セグメントの数はより多くなる。1つの具体的な実施例では、第1金属層3、第2金属層5、及び第3金属層
18における金属線セグメントの密度は異なり、密度の比は約3:2:4である。
【0034】
本実施例のフレキシブル表示基板において、隣接する金属層(例えば、第1金属層3と第2金属層5)の金属線セグメントは、互いにずらして分布し且つ接触孔内の金属を介して接続されることによって、絶縁層を往復して折れ線構造を有する連続的な金属導線(例えば、金属導線13)が形成され、隣接する金属層(例えば、第2金属層5と第3金属層
18)の金属線セグメントは、互いにずらして分布し且つ接触孔内の金属を介して接続されることによって、絶縁層を往復して折れ線構造を有する連続的な金属導線(例えば、金属導線14)が形成される。また、第2絶縁層4及び第3絶縁層
17も相対的に独立した複数の絶縁層ブロック15と16に分割されるので、フレキシブル画面本体を曲げるときに金属線及び絶縁層が破断する可能性が低減される。
【0035】
図3に示される実施例では、フレキシブル表示基板は、フレキシブル基材1上に第1絶縁層2、第1金属層3、第2絶縁層4、第2金属層5、第3絶縁層
17及び第3金属層
18を順に配置する構造を有する。第1金属層3、第2金属層5及び第3金属層
18はいずれも、同一又は類似の延在方向を有し且つ離間して配置された金属線セグメント7を含む。上記の実施例との相違点は、金属線セグメントの接続モードである。本実施例では、第1金属層3及び第3金属層
18における金属線セグメントも、第2金属層5における金属線セグメントを介して接続される。即ち、第2絶縁層4の接触孔6内の金属の一端は、第1金属層3の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔6内の金属の他端は、第2金属層5の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続され、第3絶縁層
17の接触孔6内の金属の一端は、第2金属層5の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続され、接触孔6内の金属の他端は、第3金属層
18の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続される。それにより、全体的には、上層、中層及び下層の3つの金属層に分布され、折れ線構造を有する連続的な金属導線及び相対的に独立した複数の絶縁層ブロックが形成される。
【0036】
第1金属層3における金属線セグメント、第2金属層5における金属線セグメント及び第3金属層
18における金属線セグメントの密度は異なってもよい。例えば、本実施例のフレキシブル表示基板において、第1金属層3は、ゲート及び部分配線として使用することができるため、第1金属層3における金属線セグメントの数はより多くなる。第2金属層5における金属線セグメントは、コンデンサーの下電極板として使用することができるため、第2金属層5における金属線セグメントの数はより少なくなる。第3金属層
18における金属線セグメントは、配線として使用することができるため、第3金属層
18における金属線セグメントの数はより多くなる。1つの具体的な実施例では、第1金属層3、第2金属層5、及び第3金属層
18における金属線セグメントの密度は異なり、密度の比は約3:2:4である。
【0037】
当業者が容易に理解するように、上記の実施例は本発明の一例に過ぎず、当業者は、実際の解像度やその他の要件に応じて、異なる数の絶縁層、金属層、及び金属線セグメントを設計することができ、異なる金属線セグメントの接続モードを選択することもできる。これは、本発明において特に限定されない。
【0038】
本発明の一実施例では、連続的な金属導線は、データ線又はゲート線として使用されてもよい。当然のことながら、金属線は、他の情報を運ぶ信号線としても使用することもできる。金属導線の材料は、アルミニウム、チタン、モリブデン金属の中の1つであってもよく、アルミニウム合金、チタン合金、モリブデン合金などの合金の中の1つであってもよく、本発明において特に限定されない。
【0039】
本発明の一実施例では、絶縁層は、例えば、Si
xN
y又はSi
xO
yなどの窒化ケイ素又はシリコン酸化物の中の1つであってもよく、本発明において特に限定されない。
【0040】
本発明の一実施例では、フレキシブル基材1の材料は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン又はポリエチレンテレフタレートの中の1つであってもよく、本発明において特に限定されない。
【0041】
本 発明の実施例は、フレキシブル表示基板の製造方法をさらに提供する。
図4は、本発明の実施例によるフレキシブル表示基板の製造方法の流れの模式図を示す。
図4に示されるように、この方法は、以下のステップ101〜ステップ105を含む。
【0042】
ステップ101では、フレキシブル基材1を製造する。
【0043】
フレキシブル基材1の材料は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン又はポリエチレンテレフタレートの中の1つであってもよく、本発明において特に限定されない。
【0044】
ステップ102では、フレキシブル基材1上に絶縁層と金属層を交互に配置する。絶縁層と金属層を配置するプロセスにおいて、以下のステップ103〜ステップ105が更に行われる。
【0045】
ステップ103では、隣接する金属層の間の絶縁層上に接触孔6を開設し、接触孔6に金属を充填する。
【0046】
ステップ104では、金属層において、同一又は類似の延在方向を有する金属線セグメントを離間して配置する。
【0047】
ステップ105では、接触孔6内の金属により、隣接する金属層の金属線セグメントを交互に接続して連続的な金属導線を形成する。
【0048】
上述の方法では、絶縁層とその隣接する金属層とは導電複合層を形成する。
【0049】
図5は、本発明の別の実施例によるフレキシブル表示基板の製造方法の流れの模式図を示す。
図5に示されるように、この方法は、以下のステップ201〜ステップ205を含む。
【0050】
ステップ201では、フレキシブル基材1を製造する。
【0051】
ステップ202では、フレキシブル基材1上に第1絶縁層2を形成する。
【0052】
ステップ203では、第1絶縁層2上に第1金属層3を形成し、第1金属層3において、同一又は類似の延在方向を有する金属線セグメントを離間して配置する。
【0053】
ステップ204では、第1金属層3上に第2絶縁層4を形成し、第2絶縁層4上に接触孔6を開設し、接触孔6内に金属を充填する。
【0054】
ステップ205では、第2絶縁層4上に第2金属層5を形成し、第2金属層
5において、同一又は類似の延在方向を有する金属線セグメントを離間して配置し、接触孔6内の金属の一端を第1金属層3の金属線セグメントのヘッド部又はテール部に接続し、接触孔6内の金属の他端を第2金属層5の金属線セグメントのテール部又はヘッド部に接続する。
【0055】
上述の方法では、絶縁層とその隣接する金属層(又は金属線セグメント)とは導電複合層を形成する。
【0056】
本発明の一実施例では、金属層はフォトリソグラフィ・エッチングプロセスによって形成される。別の実施例では、金属層は、印刷、インクジェット、物理的気相成長法などのプロセスによって形成されてもよく、本発明において特に限定されない。
【0057】
明らかに、当業者であれば、上述のフレキシブル表示基板の実施例を参照しながらこの製造方法に基づいて、より多くの金属層を使用し、異なる接続モードを選択する場合の製造方法を推測することができるので、本発明ではこれを詳細に説明しない。
【0058】
本発明の実施例によるフレキシブル表示基板は、異なる金属層における金属線セグメントが交互に接続されて、複数の金属層に配置された、折れ線構造を有する連続的な金属導線及び複数の相対的に独立した絶縁層ブロックを形成することによって、フレキシブル表示基板に蓄積された応力を効果的に解放して、フレキシブル画面本体を曲げるときに金属線及び絶縁層が破断する可能性を低減することができる。本発明の実施例によるフレキシブル表示基板の製造方法は、接触孔を用いて複数の金属層における金属線セグメントを交互に接続して、複数の金属層に配置された、折れ線構造を有する連続的な金属導線及び相対的に独立した複数の絶縁層ブロックを形成することによって、フレキシブル表示画面の劣化を防止し、その寿命を延長する。
【0059】
上記は本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の思想および原則内に属する限り、行われるすべての修正、同等の置き換えなどは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【0060】
本発明は、表示技術の分野に関する。本発明のフレキシブル表示基板は、フレキシブル表示基板に蓄積された応力を効果的に解放して、フレキシブル画面本体を曲げるときに金属線及び絶縁層が破断する可能性を低減することができる。本発明のフレキシブル表示基板の製造方法は、フレキシブル表示画面の劣化を防止し、その寿命を延長することができる。