特許第6824401号(P6824401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824401
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】ケイ素含有固体を粉砕する方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/021 20060101AFI20210121BHJP
   B02C 19/06 20060101ALI20210121BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   C01B33/021
   B02C19/06 B
   H01M4/38 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-522320(P2019-522320)
(86)(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公表番号】特表2020-500807(P2020-500807A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2016076853
(87)【国際公開番号】WO2018082794
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2019年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハネルト,エックハルト
(72)【発明者】
【氏名】フリッケ,ミヒャエル
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−206535(JP,A)
【文献】 特開昭57−135710(JP,A)
【文献】 特開2011−065796(JP,A)
【文献】 特開2001−148248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/021
B02C 19/06
H01M 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
≧0.3barの分圧を有する反応性ガスを含む1つ以上のガスを用いて、ジェットミル中の元素ケイ素の相を含むケイ素含有固体をミル粉砕することによって、ケイ素粒子を製造する方法であって、
反応性ガスが酸素であり
反応性ガスが、≧50℃の温度を有する、方法。
【請求項2】
ガスが、0.4〜100barの分圧を有する反応性ガスを含むことを特徴とする、請求項1に記載のケイ素粒子の製造方法。
【請求項3】
反応性ガスが、80〜800℃の温度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のケイ素粒子の製造方法。
【請求項4】
反応性ガスを含むガスが、1〜200barの圧力を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のケイ素粒子の製造方法。
【請求項5】
反応性ガスを含む1つ以上のガスが、≧1.5barの圧力を有する空気であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のケイ素粒子の製造方法。
【請求項6】
1barの圧力下の反応性ガスが、≦300℃の沸点を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のケイ素粒子の製造方法。
【請求項7】
揮発性有機化合物が、有機過酸化物、エポキシド、アルケン、アルキン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、ハロゲン化アルキル、又は脂肪族炭化水素であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のケイ素粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケイ素含有固体をミル粉砕(milling)する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、例えば、ケイ素粒子がリチウムイオン電池の負極において活物質として使用される場合のように、ミクロン範囲の粒子直径を有するケイ素粒子が必要とされている。そのような粒子を製造する1つの方法は、例えば、ミル粉砕による、より大きなケイ素粒子の粉砕によるものである。例えば、0.02〜10μmの平均粒径を有するケイ素粉末を製造するために、EP3027690から知られているように、湿式ミル粉砕方法がしばしば使用される。湿式ミル粉砕方法では、ミル粉砕されている材料はミル粉砕液に懸濁される。アルコールなどのミル粉砕液は、水素を遊離しながらケイ素表面と反応する可能性がある。湿式ミル粉砕後、乾燥粉末を製造するために、乾燥、ひいては追加の工程が必要である。問題点としては、ミル粉砕懸濁液の乾燥がケイ素粒子のアグロメレーションを伴う可能性があることである。特に均質で狭い粒度分布が重要であるようなリチウムイオン電池用の電極インク中にケイ素粒子を使用する場合、後続のデアグロメレーションは、さらに別の工程を必要とする。
【0003】
EP1102340は、表面に極めて薄い酸化物層を有するケイ素粒子を得る目的で、10Pa〜20000Paの低酸素分圧でケイ素粒子を竪型ローラミル中でミル粉砕することを記載している。標準条件下での空気中の酸素分圧は21230パスカル又は0.212barの範囲にある。
【0004】
小さいケイ素粒子で構成される乾燥粉末の製造及び取扱いに伴う主な危険源は粉塵爆発の場合である。これは、ケイ素粒子がその表面で酸素、例えば、空気、又は発熱反応中の他の反応性ガスによって急速に酸化され、小さいケイ素粒子の場合にはこれが粉塵爆発を容易にもたらす可能性があるためである。ミル粉砕操作の過程で、ケイ素粒子はますます小さくなり、同時に粒子の比表面積はますます大きくなるので、ケイ素粒子の表面上の酸化のための空間は増大し、粉塵爆発の危険性が高まる。粒子が高温又は高圧にさらされる場合、これはなおさら当てはまる。
【0005】
したがって、EP1102340では、ケイ素のミル粉砕のために低酸素分圧が推奨されている。さらに、EP1102340は、室温及び周囲圧力などの穏やかなミル粉砕条件を含意している。
【0006】
US2008/0054106は、ミル粉砕ガスとして窒素を使用してケイ素のミル粉砕を行うことを勧めている。US2008/0054106は、ミル粉砕ガスは乾燥していなければならず、ケイ素と反応してはならないことを強調している。これに関連して、US2008/0054106は、ミル粉砕ガスからの、例えば、酸素、水、水素、一酸化炭素又は二酸化炭素の排除に最大限の価値を置いている。US2008/0054106は、ミル粉砕温度として室温を含意している。EP1754539は、ミル粉砕によって平均直径50〜1000μmのケイ素粒子を製造する。しかしながら、リチウムイオン電池については、一般に10μm未満の平均粒径を有するケイ素粒子が必要とされる。EP1754539のミル粉砕は、流動層ジェットミルで行われ、窒素、アルゴン又はとりわけ精製空気をミル粉砕ガスの流れとして使用し得る。精製された空気の酸素分圧は言及されていない。
【0007】
リチウムイオン電池用のアノードコーティングを製造するためのアノードインク中のミル粉砕されたケイ素粒子の加工処理によって、さらなる課題が提起されている。アノードインクでは、アノード材料の個々の構成要素は溶媒中に分散している。工業的規模では、経済的及び環境的な理由から、水が好ましい溶媒である。しかしながら、ケイ素の表面は水に対して非常に反応性であり、水と接触するとそれは酸化され、酸化ケイ素及び水素の形成を伴う。水素の遊離は、アノードインクの加工処理において相当な困難をもたらす。例えば、気泡含有物の結果として、そのようなインクは不均一な電極コーティングを生成し得る。さらに、水素の形成は、保護のために高コストで煩わしい安全対策を必要とする。ケイ素のいかなる望ましくない酸化も、最終的にはアノード中の元素ケイ素の割合の減少をもたらし、それはリチウムイオン電池の容量を減少させる。したがって、さらなる目的は、水性アノードインク中でのそれらの安定性を高めるように、ミル粉砕の過程でケイ素粒子を不動態化することでもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第3027690号明細書
【特許文献2】欧州特許第1102340号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0054106号明細書
【特許文献4】欧州特許第1754539号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、前述の不利益を可能な限り回避することを可能にし、小さい平均粒径を有するケイ素粒子へのアクセスも提供する、ケイ素含有固体をミル粉砕する方法を提供することであった。特に、その意図はケイ素のミル粉砕中の粉塵爆発を防ぐことであった。可能な限り、リチウムイオン電池用の水性アノードインク中のケイ素粒子の安定性も改善されるべきであることも意図されていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、この目的は、≧0.3barの分圧を有する反応性ガスを含む1つ以上のガス(ミル粉砕ガス)を用いてケイ素含有固体をミル粉砕することによって達成され、反応性ガスは酸素、オゾン、無機過酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素酸化物、シアン化水素、硫化水素、二酸化硫黄及び揮発性有機化合物、例えば、有機過酸化物、エポキシド、アルケン、アルキン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、脂肪族又は芳香族炭化水素を含む群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
高温又は高圧を含む、空気中での無機固体のミル粉砕は、例えば、WO2007/131502から知られている。しかしながら、WO2007/131502に記載されているミル粉砕用の唯一の材料は、シリカ、シリカゲル又はシリケートなどの非晶質SiOであるが、ケイ素は記載されていない。
【0012】
ケイ素含有固体のミル粉砕に関連する特定の態様は、反応性ガスに対して非常に反応性である、開いた(open)化学結合を有する新しい活性ケイ素表面が継続的に形成されることである。そのような反応は発熱性であり、爆発的な経過をたどる可能性がある。このため、これまでのケイ素含有固体のミル粉砕では、酸素、一酸化炭素若しくは二酸化炭素のような反応性ガスが完全に排除されるか若しくはミル粉砕中にせいぜいわずかしか存在しないこと、又は、例えば、EP1754539又はEP3027690に記載されているように、穏やかな条件下でミル粉砕を行ったことを確実にするように注意が払われてきた。このような背景に対して、本発明によるケイ素含有固体のミル粉砕は非常に激しく進行し得るため、粉塵爆発が起こり得るか、又はケイ素が反応性ガスとの反応により、得られたケイ素粒子が、リチウムイオン電池などの対応する用途にはもはや適さなくなる程度まで消費され得ることが懸念された。驚くべきことに、本発明の方法では、これらの問題は起こらず、又は少なくとも障害となるような方法では起こらない。
【0013】
ケイ素のコーティングに多く使用されているのは、例えば、WO2014/081817にあるようなCVD方法(化学蒸着)である。EP0538611にも、エチレンを用いたCVD方法による炭化ケイ素でのケイ素ウェハのコーティングが記載されている。この目的のために一般的に使用されているのは、活性金属表面を含まないケイ素粒子である。有機分子をケイ素粒子に付着させるために、WO00/33976は、最初にケイ素粒子をハロゲン化し、次いでそれらを求核剤と反応させることを推奨している。有利には、本発明によれば、ミル粉砕手順自体の間にケイ素粒子の表面を反応性ガスによってコーティングすることができる。
【0014】
本発明の主題は、≧0.3barの分圧を有する反応性ガスを含む1つ以上のガス(ミル粉砕ガス)を用いて、ケイ素含有固体をミル粉砕することによって、ケイ素粒子を製造する方法であり、
反応性ガスは酸素、オゾン、無機過酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素酸化物、シアン化水素、硫化水素、二酸化硫黄及び揮発性有機化合物を含む群から選択される。
【0015】
本発明の方法において使用されるケイ素含有固体はまた、以下において反応物Siと称する。本発明に従って製造されたケイ素粒子はまた、略して生成物Si粒子と称する。
【0016】
ミル粉砕ガスは、好ましくは0.3〜200bar、より好ましくは0.4〜100bar、非常に好ましくは0.4〜20bar、さらにより好ましくは0.5〜10bar、最も好ましくは0.6〜4barの分圧を有する反応性ガスを含む。
【0017】
反応性ガスは、好ましくは≧50℃、より好ましくは80〜800℃、さらにより好ましくは100〜600℃、最も好ましくは150〜400℃の温度を有する。
【0018】
ミル粉砕ガスは、好ましくは1〜200bar、より好ましくは1.1〜40bar、さらにより好ましくは1.5〜20bar、最も好ましくは2〜10barの圧力を有する。
【0019】
本発明による方法の好ましい実施態様においては、有利には、1回のみのコンプレッサ段階で反応性ガスを圧縮することによって圧力及び/又は温度を調節し、このようにして本発明の方法において冷却せずに圧縮した反応性ガスを使用することもできる。これは、例えば、通常2回のコンプレッサ段階を必要とし、さらにミル粉砕ガスの冷却を必要とする従来のジェットミル方法と比較して、より大きな方法効率をもたらす。
【0020】
ミル粉砕ガスは、好ましくは1〜100体積%、より好ましくは5〜80体積%、さらにより好ましくは10〜50体積%の反応性ガスを含有する。ミル粉砕ガスは、窒素、希ガス又は他の不活性ガスを、好ましくは≦99体積%、より好ましくは20〜95体積%、最も好ましくは50〜90体積%で含む。水、より具体的には蒸気の形態の水は、好ましくは≦10体積%、より好ましくは≦5体積%、最も好ましくは≦1体積%でミル粉砕ガス中に存在する。他の不純物又は他のガス成分は、好ましくは≦10体積%、より好ましくは≦5体積%、最も好ましくは≦1体積%でミル粉砕ガス中に存在する。体積%の数字は、いずれの場合もミル粉砕ガスの全体積に基づいている。前述の成分及び様々な成分についての体積%での数字は、それぞれ互いに独立して及び組み合わせての両方で開示されている。
【0021】
酸素含有ミル粉砕ガスは、最も好ましくは、例えば、≧1.5barの圧力の反応性ガスとしての空気、より具体的には周囲空気を含む。周囲空気を精製せずに使用するのが好ましい。それにもかかわらず、使用される周囲空気は、代替的に、例えば、粒子濾過システムによって、例えば、粒子が除去されていてもよい。
【0022】
反応性ガスは、酸素、オゾン、無機過酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素酸化物、シアン化水素、硫化水素、二酸化硫黄及び揮発性有機化合物を含む群から選択される。
【0023】
反応性ガスは、1barの圧力で、好ましくは≦300℃、より好ましくは≦200℃、非常に好ましくは≦100℃の沸点を有する。このような沸点を有する化合物はまた揮発性化合物と称する。
【0024】
無機過酸化物は、例えば、過酸化水素である。窒素酸化物の例は、一酸化二窒素、一酸化窒素、二酸化窒素及び四酸化二窒素である。
【0025】
揮発性有機化合物は、好ましくは1〜16個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。揮発性有機化合物は、分枝状若しくは非分枝状、直鎖状若しくは環状であってもよく、又は置換若しくは非置換であってもよい。
【0026】
揮発性有機化合物は、例えば、有機過酸化物、エポキシド、アルケン、アルキン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、脂肪族又は芳香族炭化水素であり得る。
【0027】
有機過酸化物の例は、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキソピバレート及びクメンヒドロペルオキシドである。エポキシドの例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。アルケンの例は、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン、ペンタジエン、メチルブタジエン、ヘキサジエン、ヘプタトリエン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、シクロヘプタトリエン、ノルボルネン及びノルボルナジエンである。アルキンの例は、エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ヘプチン及びオクチンである。アルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロプロパノール、プロペノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、ジヒドロキシベンゼン及びエチレングリコールである。エーテルの例は、ジエチルエーテル、エチルペンチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びアニソールである。アルデヒドの例は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、グリオキサール、フルフラール、ベンズアルデヒドである。ケトンの例は、アセトン、エチルメチルケトン、ピナコロン、シクロペンタノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンである。カルボン酸の例は、メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、クロトン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、マレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、フタル酸及びテレフタル酸である。エステルの例は、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルである。アミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピロール、ピラゾール、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピコリン、ピリミジン、アニリンである。アミドの例は、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド及びアセトアミドである。ニトリルの例は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル及びベンゾニトリルである。ハロゲン化アルキルの例は、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、ブロモメタン、ブロモエタン、ブロモプロパン、ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素及び塩化ベンジルである。ハロゲン化アリールの例は、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼンである。脂肪族炭化水素の例は、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサンである。芳香族炭化水素の例は、ベンゼン、トルエン、スチレン、エチルベンゼン及びジフェニルメタンであり;さらなる芳香族炭化水素は、ニトロベンゼン、ピリジンである。
【0028】
最も好ましい反応性ガスは酸素であり、より具体的には空気の構成要素としての酸素である。
【0029】
ミル粉砕は、例えば、ジェットミル、ボールミル又はハンマーミルなどの一般的なミルで行われてもよい。ジェットミルが好ましい。
【0030】
ミルは一般に、特にノズルの形態のミル粉砕ガス用の1つ以上の入口開口部(ミル粉砕ガス入口)を有するミル粉砕チャンバ及び任意に1つ以上のさらなるデバイス、例えば、1つ以上の分級器を包含する。
【0031】
分級器はミルの下流に別のユニットとして設置されてもよい。分級器は、好ましくは一般的にミル粉砕チャンバの空間的に下流に位置してミルに一体化される。分級器は、細かい粒子又は狭い粒度分布を有する粒子を得るのに有用である。
【0032】
好ましいジェットミルは、対向ジェットミル又はスパイラルジェットミルである。特に好ましいのは、濃厚層ジェットミル、スパイラルジェットミル及び本質的に流動層対向ジェットミルである。
【0033】
流動層対向ジェットミルは、好ましくはミル粉砕チャンバの下3分の1に、ミル粉砕ガスのための2つ以上の入口を、好ましくはノズルの形態で含み、それらは好ましくは水平面に位置する。ミル粉砕ジェットの入口は、ミル粉砕ジェットの全てがミル粉砕チャンバの内部の一点で交わるように、好ましくは丸いミル粉砕チャンバの周囲に配置されることが特に好ましい。ミル粉砕ジェット入口は、特に好ましくはミル粉砕チャンバの周囲に均一に分配される。3つのミル粉砕ジェット入口の場合には、間隔は好ましくはそれぞれ120°である。
【0034】
ミルは、この目的のために慣習的な材料から従来の方法で構築することができる。ミル又はミルの一部、特にミル粉砕空間は、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素又は炭化ケイ素などのケイ素又は耐摩耗性セラミックで作製されるか、又はそれらで裏打ちされることが好ましい。そのようなセラミックは特に耐摩耗性である。これらの対策は、ミルの壁との接触の結果として異物によるミル粉砕されている材料の汚染を回避するか又は少なくとも減少させるのに適している。
【0035】
反応性ガスと接触するミルの個々の部分、特にミル粉砕空間は、反応性ガスが少なくとも非常に大部分、好ましくは完全に凝縮が生じない温度又は圧力のような条件下に好ましくは維持される。
【0036】
特に明記しない限り、ミル粉砕は本質的に従来の方法で実施され得る。したがって、ケイ素含有固体は通常通りミルのミル粉砕チャンバに導入され得る。反応性ガスは、一般に1つ以上のミル粉砕ガス入口を通して、好ましくはノズルの形態で、ミル粉砕チャンバに供給される。ミルのミル粉砕空間には、一般に、反応性ガス又はミル粉砕ガスがある。
【0037】
ジェットミルの場合、反応性ガスは一般にノズルを通してミル粉砕チャンバに供給される。ミル粉砕チャンバ内には、一般に1つ以上のミル粉砕ガス流(ミル粉砕ジェット)がある。ジェットミルでは、ミル粉砕のためのケイ素含有固体は一般にミル粉砕チャンバ内でミル粉砕ジェットによって運ばれ、通常は高速に加速される。ここでの固体のミル粉砕は、一般に、異なる粒状固体の衝突によって、又は粒状固体がミル粉砕チャンバの壁に衝突し、その過程で粉砕されることによって行われる。
【0038】
本発明の方法は一般に乾式ミル粉砕法である。したがって、ミル粉砕は溶媒の非存在下で、より具体的には液体の非存在下で行われてもよい。したがって、一般に、ミル粉砕は、ケイ素の湿式ミル粉砕方法に典型的であるように、分散状態では行われない。
【0039】
爆発から保護するための操作条件又は予防措置は、本開示から当業者によって採用され得る。その他の対策は当業者によく知られている。
【0040】
反応性ガス又はミル粉砕ガスに関する上記の詳細又はパラメータは、好ましくは反応性ガス又はミル粉砕ガスがミルに、より具体的にはミルのミル粉砕チャンバに導入されるとき、又はそれらがミル粉砕チャンバ内に、より具体的にはボールミル又はハンマーミルのミル粉砕チャンバ内に存在するときの、反応性ガス又はミル粉砕ガスに基づく。好ましくは、ミル粉砕ガス入口を通る流路の間、より具体的にはジェットミルのノズルの形態のミル粉砕ガス入口を通る流路の間、又はミル粉砕チャンバへの入口で、上述の詳細は反応性ガスによって、又はミル粉砕ガスによって対応可能である。反応性ガス又はミル粉砕ガスは、方法の実施を通して又は時には本発明のパラメータ又は条件を満たし得る。例えば、ミルの始動中又は停止中に、異なる条件を選択してもよい。方法の実施中に、本発明のパラメータ又は条件から時には逸脱することも可能である。しかしながら、好ましくは、本発明のパラメータ又は条件は、反応物Si粒子の本質的部分又は全体部分がミル粉砕されている間に観察される。
【0041】
本発明に従って製造されたケイ素粒子及び同様にケイ素含有固体(出発材料)の粒度分布は、本発明に従ってISO 13320により、Horiba LA 950装置を用いた静的レーザ散乱により測定される。サンプルをイソプロパノール中で湿潤状態で測定する。サンプルの調製中、アグロメレートではなく個々の粒子のサイズを測定するために、測定溶液中に粒子を分散させることに特に注意が払われる。この目的のために、イソプロパノール中のケイ素粒子の高希釈懸濁液(0.2〜2重量%固形分含有量)を調製し、測定の前に30分間超音波で処理した(例えば、LS24d5ソノトロードを有するHielscher UIS250v実験室用超音波装置において、120W出力、50%パルシング)。
【0042】
粒度分布は、値d10、d50又はd90によって特徴付けられ、それらはそれぞれ粒子の体積加重直径粒度分布の10%、50%及び90%パーセンタイル値を表す。
【0043】
反応物Siは、好ましくは≦10mmのd90、特に好ましくはd90≦5mm、非常に特に好ましくはd90≦2mmを有する体積加重粒度分布を有する。
【0044】
生成物Si粒子の体積加重直径粒度分布の中央値d50は、好ましくは0.3μm〜1mm、特に好ましくは0.5μm〜200μm、さらにより好ましくは1μm〜100μm、最も好ましくは2μm〜50μmの範囲である。
【0045】
生成物Si粒子のd10は、好ましくは0.1μm〜200μm、特に好ましくは0.2μm〜50μm、最も好ましくは0.4μm〜10μmの範囲である。
【0046】
生成物Si粒子のd90は、好ましくは1μm〜2mm、特に好ましくは2μm〜500μm、最も好ましくは4μm〜100μmの範囲である。
【0047】
生成物Si粒子の体積加重粒度分布(d90−d10)/d50の相対幅は、好ましくは≦3、特に好ましくは≦2である。
【0048】
生成物Si粒子は鋭いエッジを有することができる破断面を有する。それらは典型的には破片形状である。
【0049】
粒子形状を特徴付けるための1つの可能性は球形度である。Wadellの定義によれば、球形度ψは、物体の実際の表面積に対する同じ体積の球形の表面積の比である。球の場合、ψは1の値を有する。この定義によれば、生成物Si粒子は、好ましくは0.3<ψ<0.9、特に好ましくは0.5<ψ<0.9の球形度を有する。
【0050】
別の定義によれば、球形度Sは、平面上への粒子の投影面積Aの円相当直径と、この投影の円周Uからの対応する直径との比である:
【0051】
【数1】
。理想的な円の場合、Sは1の値を有する。生成物Si粒子の場合、球形度Sは好ましくは0.5〜0.9の範囲である。球形度Sの測定は、個々の粒子の光学顕微鏡写真のグラフィック評価、又は10μm未満の粒子の場合には走査型電子顕微鏡写真によって行われる。
【0052】
「Federation Europeenne de la Manutention」の国際標準は、FEM 2.581において、バルク材料が検査されるべき態様の概要を示す。標準FEM 2.582は、分類に関して一般的及び具体的なバルク材料特性を定義する。材料の一貫性及び状態を記載する特性値は、例えば、粒子形状及び粒度分布である(FEM 2.581/FEM 2.582:General characteristics of bulk products with regard to their classification and their symbolization)。DIN ISO 3435によれば、バルク材料は、粒子エッジの性質に応じて6つの異なる粒子形状に細分することができる:
I:三次元においてほぼ等しい広がりを有する鋭いエッジ(例えば、立方体)。
【0053】
II:鋭いエッジであって、そのうちの1つが他の2つよりも著しく長い鋭いエッジ(例えば、角柱、ブレード)。
【0054】
III:鋭いエッジであって、そのうちの1つが他の2つよりも著しく小さい鋭いエッジ(例えば、板、フレーク)。
【0055】
IV:三次元においてほぼ等しい広がりを有する丸いエッジ(例えば、球)。
【0056】
V:丸いエッジであって、他の2つの方向よりも1つの方向の方がかなり長い形状(例えば、円柱、棒)。
【0057】
VI:繊維状、糸状、房状、絡み合っている。
【0058】
バルク材料のこの分類によれば、生成物Si粒子は、好ましくは粒子形状I、II又はIIIの粒子である。
【0059】
物理的組成に関する以下の情報は、他に示さない限り、本発明に従って製造された生成物Si粒子及び反応物Siの両方に関する。
【0060】
本発明の趣旨上、ケイ素は一般に元素ケイ素の相を含む固体である。
【0061】
元素ケイ素が好ましい。これは、元素ケイ素が、リチウムイオン電池用のケイ素粒子を含有するアノード材料を製造する方法にとって特に有利だからである。そのようなケイ素はリチウムイオンに対して最大の貯蔵容量を有する。
【0062】
元素ケイ素は、少量の異種原子(例えば、B、P、As)を有する高純度ポリケイ素、故意にドープされたケイ素、又は特定量の元素不純物(例えば、Fe、Al、Ca)を有することができる冶金ケイ素として理解されるべきである。
【0063】
ケイ素はまた、酸化ケイ素又は二元、三元又は多元のケイ素−金属合金(例えば、Sn、Ca、Co、Ni、Cu、Cr、Ti、Al、Feを含む)を含むこともできる。
【0064】
ケイ素中の金属又は元素不純物は、好ましくは≦5重量%、特に好ましくは≦2重量%、非常に特に好ましくは≦1重量%になる。
【0065】
生成物Si粒子の表面は、酸化物層によって、又は他の無機若しくは有機基、例えば、Si−OH若しくはSi−H基又はSi−C、Si−O、Si−N又はSi−S結合を介して共有結合した基によって隠されている可能性がある。特に、Si−C、Si−O、Si−N又はSi−S結合を介して生成物Si粒子の表面に結合した反応性ガスが存在し得る。ミル粉砕中に、揮発性有機化合物も炭化され得る。したがって、本発明に従って得ることができるのはまた、炭素コーティング生成物Si粒子である。
【0066】
本発明の方法により、好ましくは≧3nm、より好ましくは3〜100nm、非常に好ましくは4〜40nm、最も好ましくは5〜20nm(測定方法:実施例の記載を参照)の層厚さを有する1つ以上の反応性ガスに基づくコーティングを表面上に有する生成物Si粒子が得られる。
【0067】
生成物Si粒子は、生成物Si粒子の総重量に基づいて、好ましくは≧0.001重量%、より好ましくは0.01〜20重量%、さらにより好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%の炭素、窒素、硫黄又は特に酸素を含有する。
【0068】
生成物Si粒子が酸化ケイ素を含有する場合、酸化物SiOxの化学量論は、0<x<1.3の範囲内であることが好ましい。
【0069】
反応性ガスが酸素を含む場合、1m粒子表面積に基づいて、生成物Si粒子は、好ましくは5〜50mg、より好ましくは6〜40mg、最も好ましくは8〜30mgの酸素含有量を有する(測定方法:単位粒子表面積当たりの酸素含有量(mg/m)は、Leco TCH 600酸素分析計を使用して測定されるケイ素の単位質量当たりの比酸素含有量と、球形粒子を仮定して測定された粒度分布から計算される粒子表面積(m/g)との比である。この粒子表面積は、Horiba LA950を用いて測定する場合には直接得られる)。
【0070】
本発明のさらなる主題は、生成物Si粒子及び1つ以上のバインダを水と混合することを特徴とする、水性インク製剤の製造方法である。
【0071】
本発明に従って製造された生成物Si粒子は、リチウムイオン電池用のアノードコーティングを製造するためのアノードインクに直接使用され得る。アノードインクの製造及びそれらのアノードコーティングへの、及び最終的にはリチウムイオン電池へのさらなる加工処理は、例えば、DE−A−102015215415.7に記載されているようにそれ自体従来の方法で行われてもよい。
【0072】
本発明のさらなる主題は、リチウムイオン電池用のアノードを製造するための、本発明に従って製造された生成物Si粒子の使用である。
【0073】
本発明によるミル粉砕条件下では、驚くべきことに、粉塵爆発はなかった。本発明の反応性ガスの使用によるケイ素のミル粉砕は、確かに、ケイ素粒子の表面上でのケイ素の反応を伴う。しかしながら、驚くべきことに、この反応は限られた範囲でしか生じず、そのため薄層が粒子の表面上にのみ形成され、さらなる反応に関して有利にはケイ素を不動態化し、このようにして最終的に粉塵爆発から防ぐ。
【0074】
不動態化の結果として、本発明に従って製造されたケイ素粒子は、標準条件下での貯蔵中及び水性アノードインク製剤中でも、従来製造されたケイ素粒子よりも安定である。
【0075】
反応性ガスを使用する本発明によるミル粉砕を通して、湿式ミル粉砕方法の不利益を克服することが可能である。したがって、本発明によれば、ケイ素粒子の乾燥又はデアグロメレーションのための追加の処理工程を必要とせずに、ケイ素粒子を粉末の形態で直接得ることができる。さらに、非常に小さい平均粒子直径を有するケイ素粒子を得ることができる。
【0076】
本発明に従って製造されたケイ素粒子は、ミル粉砕されたケイ素生成物を処理するためのさらなる工程を全く必要とせずに、リチウムイオン電池のアノード活物質用の出発材料として有利に直接使用することができる。
【0077】
本発明を以下の実施例によって説明する。
【0078】
酸化物層の平均厚さdSiO2の測定:
ミル粉砕されたケイ素粒子の表面上の酸化物層の厚さは以下の式を用いて測定される:
SiO2=0.3・ψ・m・d50
(d50:Si粒子の粒度分布の中央値;ψ:Si粒子の球形度;m:Si粒子中の酸素の重量分率)。
【0079】
比較例3の場合、窒素雰囲気中でミル粉砕し、続いて空気中で貯蔵した後、d50=4.8μm、m=0.27%及びψ=0.5でこの式に従って、2nmの平均酸化物層厚さが得られる。これは、標準条件下で空気中に貯蔵したときのケイ素表面の自然酸化についての文献から知られている形態である。
【0080】
実施例1a、1b及び2では、上記の式に従って、それぞれ3nm及び4nmの厚さを有する酸化物層が得られ、比較例3におけるよりも著しく良好な不動態化をもたらした。
[実施例1a]
ソーラーケイ素からの5kgの超高純度多結晶ケイ素粉末(Wacker BGF(sg)型PCL−NCS−F、d10=100μm、d50=240μm、d90=440μm)を流動層ジェットミルCGS16(製造元:Netzsch Trockenmahltechnik GmbH)のリザーバに導入した。ミルは20℃及び7barゲージ圧(酸素分圧:1.7bar)で48m/hの空気で操作した。分級器ホイールの速度は3000rpmであった。
150分後、ミルを停止し、粒子フィルタ上の収集容器を開けた。それは、d10=2.5μm、d50=4.5μm及びd90=7.3μmの2.1kgのケイ素粉末を含有していた(Horiba LA950での測定)。球形粒子を仮定して粒度分布から計算した表面積は0.67m/gであった。粒子を周囲圧力下、室温で空気中に貯蔵した。その後Leco TCH 600酸素分析計で測定された酸素含有量は、計算された粒子表面積に基づいて0.43重量%又は6.5mg/mであった。
【0081】
[実施例1b]
実施例1aにおけるようなミル粉砕方法において、分級器ホイールの速度を8000rpmに上げた。190分後、ミルを停止し、粒子フィルタ上の収集容器を開けた。それは、d10=1.1μm、d50=2.7μm及びd90=4.9μmの450gのケイ素粉末を含有していた(Horiba LA950での測定)。球形粒子を仮定して粒度分布から計算した表面積は1.38m/gであった。粒子を周囲圧力下、室温で空気中に貯蔵した。その後Leco TCH 600酸素分析計で測定された酸素含有量は、計算された粒子表面積に基づいて1.02重量%又は7.4mg/mであった。
【0082】
[実施例2]
ソーラーケイ素からの5kgの超高純度多結晶ケイ素粉末(Wacker BGF(sg)型PCL−NCS−F、d10=100μm、d50=240μm、d90=440μm)を流動層ジェットミルCGS16(製造元:Netzsch Trockenmahltechnik GmbH)のリザーバに導入した。ミルは203℃及び3.2barゲージ圧(酸素分圧:0.9bar)で97m/hの空気で操作した。分級器ホイールの速度は8000rpmであった。60分後、ミルを停止し、粒子フィルタ上の収集容器を開けた。それは、d10=1.3μm、d50=2.9μm及びd90=5.0μmの270gのケイ素粉末を含有していた(Horiba LA950での測定)。球形粒子を仮定して粒度分布から計算した表面積は1.2m/gであった。粒子を周囲圧力下、室温で空気中に貯蔵した。その後Leco TCH 600酸素分析計で測定された酸素含有量は、計算された粒子表面積に基づいて1.03重量%又は8.6mg/mであった。
【0083】
[比較例3]
ソーラーケイ素からの5kgの超高純度多結晶ケイ素粉末(Wacker BGF(sg)型PCL−NCS−F、d10=100μm、d50=240μm、d90=440μm)を流動層ジェットミルCGS16(製造元:Netzsch Trockenmahltechnik GmbH)のリザーバに導入した。ミルは20℃及び7barゲージ圧で93m/hの窒素で操作した。分級器ホイールの速度は6000rpmであった。60分後、ミルを停止し、粒子フィルタ上の収集容器を開けた。それは、d10=3.1μm、d50=4.8μm及びd90=7.1μmの3.4kgのケイ素粉末を含有していた(Horiba LA950での測定)。球形粒子を仮定して粒度分布から計算した表面積は0.57m/gであった。粒子を周囲圧力下、室温で空気中に貯蔵した。その後Leco TCH 600酸素分析計で測定された酸素含有量は、計算された粒子表面積に基づいて0.27重量%又は4.7mg/mであった。