特許第6824508号(P6824508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 千住金属工業株式会社の特許一覧

特許6824508結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法
<>
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000002
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000003
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000004
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000005
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000006
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000007
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000008
  • 特許6824508-結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824508
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/08 20060101AFI20210121BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20210121BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20210121BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   B23K3/08
   H05K3/34
   F28B1/02
   F28F1/32 A
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-72420(P2019-72420)
(22)【出願日】2019年4月5日
(65)【公開番号】特開2020-168653(P2020-168653A)
(43)【公開日】2020年10月15日
【審査請求日】2019年6月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】檜山 勉
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−010904(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/064143(WO,A1)
【文献】 特開2006−284004(JP,A)
【文献】 特開平06−190897(JP,A)
【文献】 特開平09−323022(JP,A)
【文献】 特開2009−148816(JP,A)
【文献】 特開2011−060856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/08
B23K 1/015
F28B 1/02
F28F 1/32
H05K 3/34
B01D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックス成分を含む混合気体からフラックスを回収するフラックス回収装置であって、
水を用いて前記混合気体からフラックスを分離し、水蒸気を含んだ気体とフラックスを含んだ水とを排出する、分離部と、
前記分離部が排出する気体から水蒸気を除去するための結露装置であって、2以上の内管と、前記2以上の内管の外側に位置する外管と、前記2以上の内管と前記外管との間に、第1冷却媒体が通過する第1流路と、を有する、外側冷却部、を備え、前記2以上の内管の形状は円筒である、結露装置と、
を備える、
フラックス回収装置(但し、前記内管から排出された気体から、水、油等のドレンを分離するための円錐形陣傘を有する分離器を備えるフラックス回収装置を除く。)
【請求項2】
請求項1に記載のフラックス回収装置において、
前記結露装置は、
水蒸気を含む気体を前記内管に導入するための気体流入口と、
水蒸気が除去された気体を前記内管から排出するための気体流出口と、
を備え、
前記外管の形状は円筒であ
前記気体流入口が前記気体流出口よりも重力方向下側に位置している、
フラックス回収装置
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフラックス回収装置において、
前記外側冷却部は、第1冷却媒体入口と、第1冷却媒体出口とを有し、
前記第1冷却媒体入口は、前記第1冷却媒体出口よりも重力方向下側に位置し、
前記第1冷却媒体が、前記第1冷却媒体入口から前記第1流路へと供給され、前記第1冷却媒体出口から排出されるように構成されている、
フラックス回収装置
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のフラックス回収装置において、
前記結露装置は、前記2以上の内管のうち少なくとも1つの内管の内側に位置し、前記外側冷却部と接触する、吸熱部材、をさらに備える、
フラックス回収装置
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のフラックス回収装置において、
前記結露装置は、前記2以上の内管の内側に位置し且つ第2冷却媒体が通過する第2流路を有する内側冷却部、をさらに備える、
フラックス回収装置
【請求項6】
請求項5に記載のフラックス回収装置において、
前記結露装置は、前記2以上の内管の内側であり且つ前記内側冷却部の外側に位置し、前記内側冷却部と接触する、吸熱部材、をさらに備える、
フラックス回収装置
【請求項7】
請求項6に記載のフラックス回収装置において、
前記吸熱部材は、複数のフィンを有する、
フラックス回収装置
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のフラックス回収装置において、
前記内側冷却部は、直管形状を有し、
前記外側冷却部の前記内管は、前記内側冷却部の前記直管形状の軸線方向に延び、
前記吸熱部材は、前記軸線と交わる方向に延びる薄板形状からなる第1フィンを有する、
フラックス回収装置
【請求項9】
請求項8に記載のフラックス回収装置において、
前記第1フィンは、薄板円盤形状に対して、弓型形状の切欠きが形成された形状を有し、
前記吸熱部材は、前記第1フィンと同一の形状を有し、前記第1フィンと間隔を空けて隣接し、前記第1フィンよりも下流側に位置する、第2フィンを、さらに備え、
前記第1フィンの前記切欠きの前記弓型形状を形成する弦の延びる方向と、前記第2フィンの切欠きの弓型形状を形成する弦の延びる方向と、が異なる、
フラックス回収装置
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のフラックス回収装置において、
前記分離部が排出した前記フラックスを含んだ水が供給され、前記フラックスを含んだ水から、フラックスを分離し、フラックスを回収する、浄化装置と、
前記浄化装置でフラックスが分離されて浄化された水を前記浄化装置から前記結露装置へと供給する配管と、をさらに備える、
フラックス回収装置。
【請求項11】
請求項5に従属する請求項10に記載のフラックス回収装置において、
前記第1冷却媒体及び前記第2冷却媒体の少なくとも一方は、前記浄化装置から供給された水である、
フラックス回収装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載のフラックス回収装置において、
前記浄化装置で浄化された水を前記分離部へ供給するポンプと、
前記浄化装置で浄化された水を冷却するチラーユニットと、
前記結露装置において水蒸気が除去された前記気体を、前記結露装置から送風する送風機と、
をさらに備える、
フラックス回収装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のフラックス回収装置において、
互いに接続されている複数の前記結露装置を、備える、
フラックス回収装置。
【請求項14】
はんだ処理部と、
前記はんだ処理部で発生するフラックスを含む混合気体からフラックスを回収する、請求項1から13のいずれか1項に記載のフラックス回収装置と、
を備える、
はんだ付け装置。
【請求項15】
2以上の内管と、前記2以上の内管の外側に位置する外管と、を有する外側冷却部の、前記2以上の内管と前記外管との間の第1流路を、第1冷却媒体が通過する工程と、
前記2以上の内管の内部で、前記2以上の内管の内部を流れる気体に含まれる水蒸気が結露することで、当該気体に含まれる水蒸気が除去される工程と、
を有し、
前記2以上の内管の形状は円筒である、
水蒸気除去方法。(但し、前記気体が、円錐形陣傘に当たり、水、油等のドレンが分離される工程を有する水蒸気除去方法を除く。)
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
水蒸気を含む気体が気体流入口により前記内管に導入され、その後水蒸気が除去された当該気体が気体流出口により前記内管から排出される工程を有し、
前記外管の形状は円筒である、
前記気体流入口が前記気体流出口よりも重力方向下側に位置している、
水蒸気除去方法。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の方法において、
前記外側冷却部は、第1冷却媒体入口と、第1冷却媒体出口とを有し、
前記第1冷却媒体入口は、前記第1冷却媒体出口よりも重力方向下側に位置し、
前記第1冷却媒体が、前記第1冷却媒体入口から第1流路へと供給される工程と、
前記第1冷却媒体が、前記第1冷却媒体出口から排出される工程と、をさらに有する、
水蒸気除去方法。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載の方法において、
前記2以上の内管の内側に位置する、内側冷却部が、有する第2流路を、第2冷却媒体が通過する工程と、
前記外側冷却部の前記2以上の内管の内側であり且つ前記内側冷却部の外側に位置し、前記外側冷却部及び前記内側冷却部の少なくとも一方と接触する、吸熱部材が、前記内管の内部を流れる気体を冷却する工程と、
をさらに有する、
水蒸気除去方法。
【請求項19】
水を用いてフラックスを含む混合気体からフラックスを分離し、水蒸気を含んだ気体とフラックスを含んだ水とを生成する工程と、
前記フラックスを含んだ水から、フラックスを分離し、フラックスを回収する工程と、
生成された前記水蒸気を含んだ気体から、請求項15から18のいずれか1項に記載の水蒸気除去方法により、水蒸気を除去する工程と、
を有する、
フラックス回収方法。
【請求項20】
はんだ処理部において、はんだ処理をする工程と、
前記はんだ処理により生成されたフラックスを含む混合気体から、請求項19に記載のフラックス回収方法により、フラックスを回収する工程と、
前記フラックス回収方法により生成された前記水蒸気が除去された気体を前記はんだ処理部に供給する工程と、
を有する、
はんだ処理方法。
【請求項21】
1又は2以上の内管と、前記1又は2以上の内管の外側に位置する外管と、前記1又は2以上の内管と前記外管との間に第1冷却媒体が通過する第1流路と、を有する、外側冷却部と、
前記1又は2以上の内管の内側に位置し且つ第2冷却媒体が通過する第2流路を有する内側冷却部と、を備える、
結露装置。
【請求項22】
1又は2以上の内管と、前記1又は2以上の内管の外側に位置する外管と、を有する外側冷却部の、前記1又は2以上の内管と前記外管との間の第1流路を、第1冷却媒体が通過する工程と、
前記1又は2以上の内管の内部で、前記1又は2以上の内管の内部を流れる気体に含まれる水蒸気が結露することで、当該気体に含まれる水蒸気が除去される工程と、
前記1又は2以上の内管の内側に位置する、内側冷却部が、有する第2流路を、第2冷却媒体が通過する工程と、
を有する、
水蒸気除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板への電子部品のはんだ付けをする場合には、リフロー炉や噴流はんだ付け装置等のはんだ付け装置が使用されている。はんだ付けを行う際には回路基板のはんだ付け箇所にフラックスが塗布される。フラックスは、はんだ付けされる金属表面の酸化膜を除去し、またはんだ付け工程における加熱処理時に金属表面が再酸化するのを防止する。フラックスは主に、ロジン、チキソ剤、活性剤等の固形成分が溶剤で溶解されてなる。フラックスを回路基板に塗布する場合、例えばリフロー炉を用いる場合は、フラックスとはんだ粉末を混合してペースト状にしたソルダペーストが用いられ、噴流はんだ付け装置を用いる場合は、フラクサーにより基板に直接フラックスが塗布される。
【0003】
ソルダペーストとして、又はフラクサーによって塗布されたフラックスは、はんだ付け前の予備加熱部において、フラックス成分中の特に溶剤が気化してフラックスヒュームとなる。またはんだ付けを行う本加熱部においては、フラックス成分中の特にロジン等の固形成分が気化してフラックスヒュームとなり、装置内に浮遊する。これらフラックスヒュームは、装置内の比較的温度の低い部分、例えば回路基板を搬送するチェーンコンベア等に接すると冷やされて結露し、さらに温度が下がると粘着性のある固形物となる。この固形物が、装置内の各部に付着や堆積することで、はんだ付け装置は不具合を生じ得る。例えばチェーンコンベアに大量に付着した場合は、回路基板がコンベアから離れずコンベアのスプロケットに巻き込まれて回路基板が破損する。また、搬送中の回路基板上に付着すると、回路基板が汚損する。そのため、はんだ付け装置内の大気雰囲気や窒素等の不活性雰囲気と、フラックス成分との混合気体から、フラックス成分を分離し除去するフラックス回収装置が用いられる。
【0004】
ここで、フラックス回収装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたフラックス回収装置は、混合気体に水を散水する第1の散水部と、混合気体からフラックス成分を分離する分離部と、を備える。また、分離部は、上側部に混合気体を導入する導入部と、上部に開口部を有し、下部に円錐部を有したフラックス成分の分離用の筒状体と、筒状体の開口部に係合された蓋部と、を備える。そして、蓋部は円盤状の本体部を有し、所定の長さを有した排気用の円筒部が本体部を貫く形態で設けられている。
【0005】
このフラックス回収装置によれば、筒状体の接線方向から導入部へ混合気体が取り込まれると、混合気体は、水と混合された状態で旋回流となる。そして、混合気体に含まれるフラックスは、分離部内に供給された水によって冷却される。これにより、フラックスの殆どが液化、固形化を始めるとともに、フラックスは、散水された水分で被覆される。すなわち、フラックスは、水と混ざり、フラックスを含む水となり、混合気体から除去される。その後、円筒部から、フラックスが除去された気体が吸出される。このため、このフラックス回収装置は、混合気体からフラックスを分離することができる。
また、フラックスの分離に水が用いられるため、フラックスが除去された気体には、多く水蒸気が含まれる。分離の過程で発生した水蒸気が、はんだ処理部に流れこむと、はんだ処理部内の低温部で水蒸気が結露し水滴となる。この水滴が炉内に付着すると、錆が発生する原因となる。また、水滴が回路基板に付着すると、回路基板が吸湿する。吸湿した回路基板は、はんだ処理時の加熱によって吸湿した水分が蒸発する。この水分の蒸発に伴ってはんだ付け部位のはんだが飛散する現象が生じる場合がある。はんだ飛散が生じると、飛散したはんだにより端子間が電気的なショート状態を引き起こす、いわゆるはんだブリッジというはんだ付け不良の原因となる。さらに、吸湿した回路基板が経年変化によりはんだ付け部位の劣化や、マイグレーションを引き起こす要因ともなる。このように炉内に侵入した水蒸気によって回路基板の信頼性に係わる不具合が生じる場合がある。さらに、再利用できる水が減少してしまう。このため、このフラックス回収装置は、フラックスが除去された気体から水蒸気を除去する結露手段をさらに備える。特許文献1では、結露手段として、水冷コイル型結露手段と空冷多管型の結露手段とが開示されている。
【0006】
水冷コイル型結露手段は、箱体であり、当該箱体の内部に熱伝導性が良好なコイル状のパイプを備えている。そして、水冷コイル型結露手段では、コイル状のパイプ内に水などの液体が流されることで、当該パイプの表面が冷却される。これにより、水蒸気を含む気体が、この結露手段の箱体内部を通過する際に、箱体内部のコイル状のパイプにより冷却されて結露する。そして、結露により、水蒸気を含む気体から水蒸気が除去されている。
また、空冷多管型の結露手段は、箱体であり、当該箱体の内部に1つ以上のパイプからなるパイプ群を備えている。そして、冷たい空気がパイプ群の内部を流れることで、当該パイプ群の表面が冷却される。これにより、水蒸気を含む気体が、この結露手段の箱体内部を通過する際に、箱体内部のパイプ群により冷却されて結露する。そして、結露により、水蒸気を含む気体から水蒸気が除去されている。
したがって、特許文献1に記載されたフラックス回収装置は、水冷コイル型結露手段又は空冷多管型の結露手段を用いることで、水蒸気を含む気体から乾燥した気体を生成することができる。このため、このフラックス回収装置は、はんだ処理部で生成されたフラックス成分を含む混合気体から、フラックスを回収し、乾燥した気体を再びはんだ処理部へと供給できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5761467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1に記載されたフラックス回収装置は結露手段を備えることで、フラックスの回収時に生成される水蒸気を含む気体から水蒸気を除去している。結露手段が処理できる水蒸気を含む気体の量は、フラックス回収装置が処理できる混合気体の量と関係するため重要である。
しかし、上述した2つの結露手段では、箱体の内部のコイル状のパイプやパイプ群が主として水蒸気を含む気体を冷却している。このため、結露手段が単位時間当たりに処理できる水蒸気を含む気体の量を増加させるためには、コイル状のパイプの長さを延ばすことや、パイプ群を構成するパイプの数を増加させることが必要である。そのような場合には、結露手段自体が大型化してしまい、この結露手段を備えるフラックス回収装置やはんだ付け装置も大型化してしまうおそれがある。
そこで、本発明の目的は、上述した課題に鑑み、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる結露装置、フラックス回収装置、はんだ付け装置、水蒸気除去方法、フラックス回収方法及びはんだ処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(形態1)
形態1に係る結露装置は、1又は2以上の内管と、前記1又は2以上の内管の外側に位置する外管と、前記1又は2以上の内管と前記外管との間に第1冷却媒体が通過する第1流路と、を有する、外側冷却部、を備える。
形態1に係る結露装置では、外側冷却部の内管の内側に、水蒸気を含む気体を流通させる場合、水蒸気を含む気体は、外側冷却部の内管と接触する。これにより、水蒸気を含む気体は、外側冷却部の内管により冷却される。したがって、この結露装置は、水蒸気を結露させることができ、水蒸気を含む気体から水蒸気を除去することができる。特に、形態1に係る結露装置が、多くの内管を備える場合、水蒸気を含む気体をより速く冷却でき、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0010】
(形態2)
形態2に係る結露装置は、形態1記載の結露装置において、前記1又は2以上の内管のうち少なくとも1つの内管の内側に位置し、前記外側冷却部と接触する、吸熱部材、をさらに備える。
形態2に係る結露装置では、水蒸気を含む気体は、外側冷却部及び吸熱部材により冷却される。このため、形態2に係る結露装置は、特許文献1の結露手段と比較して、水蒸気を含む気体を冷却する部分の表面積が増加する。したがって、この結露装置は、気体との接触面積の増加に伴い、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0011】
(形態3)
形態3に係る結露装置は、形態1又は形態2に記載の結露装置において、前記1又は2以上の内管の内側に位置し且つ第2冷却媒体が通過する第2流路を有する内側冷却部、をさらに備える。
形態3に係る結露装置では、水蒸気を含む気体は、外側冷却部の内管及び内側冷却部により冷却される。このため、形態3に係る結露装置は、特許文献1の結露手段と比較して、水蒸気を含む気体を冷却する部分の表面積が増加する。したがって、この結露装置は、気体との接触面積の増加に伴い、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0012】
(形態4)
形態4に係る結露装置は、形態3に記載の結露装置において、前記1又は2以上の内管の内側であり且つ前記内側冷却部の外側に位置し、前記内側冷却部と接触する、吸熱部材、をさらに備える。
形態4に係る結露装置では、水蒸気を含む気体は、外側冷却部の内管、内側冷却部及び吸熱部材により冷却される。すなわち、この結露装置は、形態3に係る結露装置よりも、水蒸気を含む気体を冷却する部分の表面積が増加する。したがって、この結露装置は、気体との接触面積の増加に伴い、より速く水蒸気を含む気体を冷却することができる。
【0013】
(形態5)
形態5に係る結露装置は、形態4に記載の結露装置において、前記吸熱部材は、複数のフィンを有する。
形態5に係る結露装置は、複数のフィンにより、フィンが1つのときよりも、水蒸気を含む気体と接触するフィンの接触面積を増加することができる。すなわち、この結露装置は、接触面積の増加に伴い、より速く水蒸気を含む気体を冷却することができる。
【0014】
(形態6)
形態6に係る結露装置は、形態4又は形態5に記載の結露装置において、前記内側冷却部は、直管形状を有し、前記外側冷却部の前記内管は、前記内側冷却部の前記直管形状の軸線方向に延び、前記吸熱部材は、前記軸線と交わる方向に延びる薄板形状からなる第1フィンを有する。
流れる気体のうち、外側冷却部の内管、内側冷却部及び吸熱部材の近傍を流れる気体は、外側冷却部の内管、内側冷却部及び吸熱部材から離れた位置を流れる気体よりも、冷却される。このため、水蒸気を含む気体が外側冷却部の内管の内部で対流しない場合、水蒸気を含む気体の流れる位置によって、排出される気体に温度の差ができてしまう場合がある。この場合、冷却されていない気体は、水蒸気を多く含んだまま、結露装置を通過するおそれがある。
しかし、形態6に係る結露装置によれば、第1フィンが、軸線と交わる方向に延びる方向に配置されている。すなわち、第1フィンは、水蒸気を含む気体の流れを遮る方向に配置されている。このため、水蒸気を含む気体が第1フィンに衝突することで、外側冷却部の内管の内部に気体の対流が生じる。これにより、この結露装置は、水蒸気を含む気体を均一に冷却することができる。すなわち、この結露装置は、気体が水蒸気を多く含んだまま結露装置を通過することを抑止できる。
【0015】
(形態7)
形態7に係る結露装置は、形態6に記載の結露装置において前記第1フィンは、薄板円盤形状に対して、弓型形状の切欠きが形成された形状を有し、前記吸熱部材は、前記第1フィンと同一の形状を有し、前記第1フィンと間隔を空けて隣接し、前記第1フィンよりも下流側に位置する、第2フィンを、さらに備え、前記第1フィンの前記切欠きの前記弓型形状を形成する弦の延びる方向と、前記第2フィンの切欠きの弓型形状を形成する弦の延びる方向と、が異なる。
2つの同一形状を有するフィンが間を空けて平行に配置され、フィンの板面に対向する方向から気体が送風される場合、2つのフィンの間には、風が流れにくく、2枚のフィンの間の気体が停滞し得る。このため、結露装置において、2つのフィンが、平行に配置される場合、2つのフィンの間において、気体が停滞し、当該気体ばかりが冷却されてしまい、他の気体が冷却されにくい場合がある。しかし、形態7に係る結露装置によれば、第1フィン及び第2フィンには、それぞれ弓型形状の切欠きが形成され、第1フィンの弓型形状を形成する弦の延びる方向と、第2フィンの弓型形状を形成する弦の延びる方向と、が異なる。このため、第1フィンの切欠きの形成された部分を通過した気体が直進した場合、この気体の少なくとも一部が、第2フィンと衝突することとなる。これにより、第1フィンと第2フィンとの間に気体の対流が生じる。すなわち、第1フィンと第2フィンとの間の気体の停滞が抑止される。したがって、この結露装置は、第1フィン及び第2フィンの近傍の気体の温度を均等にすることができる。
【0016】
(形態8)
形態8に係るフラックス回収装置は、フラックス成分を含む混合気体からフラックスを回収するフラックス回収装置であって、水を用いて前記混合気体からフラックスを分離し、水蒸気を含んだ気体とフラックスを含んだ水とを排出する、分離部と、前記分離部が排出する前記気体から水蒸気を除去する、形態1から7のいずれか1つに記載の結露装置と、を備える。
形態8に係るフラックス回収装置は、形態1から7のいずれか1つに記載の結露装置を備えるため、形態1と同様に、この結露装置は、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。このため、このフラックス回収装置は、結露装置の気体の処理量の増加により、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0017】
(形態9)
形態9に係るフラックス回収装置は、形態8に記載のフラックス回収装置において、前記分離部が排出した前記フラックスを含んだ水が供給され、前記フラックスを含んだ水から、フラックスを分離し、フラックスを回収する、浄化装置と、前記浄化装置でフラックスが分離されて浄化された水を前記浄化装置から前記結露装置へと供給する配管と、をさらに備え、前記第1冷却媒体及び前記第2冷却媒体の少なくとも一方は、前記浄化装置から供給された水である。
形態9に係るフラックス回収装置は、浄化装置で浄化された水を、第1冷却媒体及び第2冷却媒体の少なくとも一方として用いる。このため、フラックス回収装置は、浄化装置に加えて、第1冷却媒体及び第2冷却媒体に用いる冷却媒体を供給するための、別の設備を備える必要がない。
【0018】
(形態10)
形態10に係るフラックス回収装置は、形態9に記載のフラックス回収装置において、前記浄化装置で浄化された水を前記分離部へ供給するポンプと、前記浄化装置で浄化された水を冷却するチラーユニットと、前記結露装置において水蒸気が除去された前記気体を、前記結露装置から送風する送風機と、をさらに備える。
形態10に係るフラックス回収装置は、浄化装置で浄化された水を、分離部が混合気体からフラックスの分離に用いる水として使用することできる。また、チラーユニットが、フラックスの分離に用いられる水や、第1冷却媒体及び第2冷却媒体に用いられる水を冷却することができる。
【0019】
(形態11)
形態11に係るフラックス回収装置は、形態8から10のいずれか1つに記載のフラックス回収装置において、互いに接続されている複数の前記結露装置を、備える。
形態11に係るフラックス回収装置は、互いに接続されている複数の結露装置を備えるため、フラックス回収装置が1つの結露装置を備える場合と比較して、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0020】
(形態12)
形態12に係るはんだ付け装置は、はんだ処理部と、前記はんだ処理部で発生するフラックスを含む混合気体からフラックスを回収する、形態8から11のいずれか1つに記載のフラックス回収装置と、を備える。
形態12に係るはんだ付け装置は、形態8から11のいずれか1つに記載のフラックス回収装置を備えるために、このはんだ付け装置が備えるフラックス回収装置は、形態8と同様に、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。このため、このはんだ付け装置も、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0021】
(形態13)
形態13に係る水蒸気除去方法は、1又は2以上の内管と、前記1又は2以上の内管の外側に位置する外管と、を有する外側冷却部の、前記1又は2以上の内管と前記外管との間の第1流路を、第1冷却媒体が通過する工程と、前記1又は2以上の内管の内部で、前記1又は2以上の内管の内部を流れる気体に含まれる水蒸気が結露することで、当該気体に含まれる水蒸気が除去される工程と、を有する。
形態13に係る水蒸気除去方法によれば、水蒸気を含む気体が、外側冷却部の内管と接触することで、外側冷却部の内管は、水蒸気を含む気体を冷却できる。したがって、この水蒸気除去方法は、水蒸気を結露させることができ、水蒸気を含む気体から水蒸気を除去することができる。特に、形態13に係る外側冷却部が、多くの内管を備える場合、水蒸気を含む気体をより速く冷却でき、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0022】
(形態14)
形態14に係る水蒸気除去方法は、形態13に記載の方法において、前記1又は2以上の内管の内側に位置する、内側冷却部が、有する第2流路を、第2冷却媒体が通過する工程と、前記外側冷却部の前記1又は2以上の内管の内側であり且つ前記内側冷却部の外側に位置し、前記外側冷却部及び前記内側冷却部の少なくとも一方と接触する、吸熱部材が、前記内管の内部を流れる気体を冷却する工程と、をさらに有する。
形態14に係る水蒸気除去方法によれば、外側冷却部の内管、内側冷却部及び吸熱部材は、それぞれ水蒸気を含む気体を冷却できる。すなわち、この水蒸気除去方法は、形態13に係る水蒸気除去方法よりも、水蒸気を含む気体を冷却している部分の表面積が増加する。したがって、この結露装置は、接触面積の増加に伴い、より速く水蒸気を含む気体を冷却することができる。
【0023】
(形態15)
形態15に係るフラックス回収方法は、水を用いてフラックスを含む混合気体からフラックスを分離し、水蒸気を含んだ気体とフラックスを含んだ水とを生成する工程と、前記フラックスを含んだ水から、フラックスを分離し、フラックスを回収する工程と、生成された前記水蒸気を含んだ気体から、形態13又は形態14に記載の水蒸気除去方法により、水蒸気を除去する工程と、を有する。
形態15に係るフラックス回収方法は、形態13に記載の水蒸気除去方法により、水蒸気を除去する工程を有する。このため、形態15に係るフラックス回収方法に用いる装置を従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0024】
(形態16)
形態16に係るはんだ処理方法は、はんだ処理部において、はんだ処理をする工程と、前記はんだ処理により生成されたフラックスを含む混合気体から、形態15に記載のフラックス回収方法により、フラックスを回収する工程と、前記フラックス回収方法により生成された前記水蒸気が除去された気体を前記はんだ処理部に供給する工程と、を有する。
形態16に係るはんだ処理方法は、形態15に記載のフラックス回収方法により、フラックスを回収する工程を有する。このため、形態16に係るはんだ処理方法に用いる装置を従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来よりも大型化することなく、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る結露装置を備えるはんだ付け装置の構造図である。
図2図1に示した結露装置の構成を示す正面図である。
図3図2に示した結露装置の平面図である。
図4図3に示した結露装置のA−O−B断面図である。
図5図2に示した結露装置のC−C断面図である。
図6図2に示した結露装置のD−D断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る結露装置の構造図である。
図8図7に示した結露装置のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0028】
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る結露装置を備えるはんだ付け装置の構造図である。図1を参照すると、はんだ付け装置100は、はんだ処理部120及びフラックス回収装置200を備える。はんだ付け装置100は、一例として、基板に電子部品をはんだ付けする装置である。
以下、はんだ付け装置100の各構成要素について分説する。
はんだ処理部120は、一例として、回路基板に電子部品をはんだ付けする処理や、回路基板を予熱する処理等の、はんだ付けに関する処理を行う。はんだ処理部120では、はんだ付けを円滑に行うために、フラックスが塗布された回路基板が用いられている。このため、はんだ付け処理や回路基板の予熱により、フラックスが気化して、はんだ処理部120の内部を浮遊する。すなわち、はんだ処理部120の内部は、フラックス成分を含む混合気体によって満たされる。なお、本明細書において、混合気体とは、はんだ処理時に発生する気体状となったフラックスと、はんだ処理部120内に最初から存在した気体とが混在した気体をいう。
フラックス回収装置200は、フラックス成分を含む混合気体からフラックスを回収する装置である。フラックス回収装置200は、はんだ処理部120と接続されている。そして、フラックス回収装置200は、はんだ処理部120の内部の混合気体から、フラックスを回収し、フラックスが回収された気体をはんだ処理部120に供給することができる。フラックス回収装置200は、一例として、分離部400、浄化装置600、ポンプ220、給水タンク280、チラーユニット300、3つの結露装置700a,700b,700c、送風機340及び配管360を備える。なお、図1では、図面の簡略化のため、液体が流通する配管は、点線として示され、気体が流通する配管は、一点鎖線として示されている。
【0029】
分離部400は、はんだ処理部120と流体連通しており、はんだ処理部120から混合気体を吸入することができる。また、分離部400は、既知の方法により、吸入した混合気体からフラックスを分離する機能を有する。より具体的には、分離部400は、混合気体に水を混合する。これにより、混合気体に含まれるフラックスは水によって冷却される。冷却されたフラックスは、液化又は固形化する。これにより、混合気体に含まれていたフラックスが分離され、混合気体からフラックスが除去される。また、液化又は固形化したフラックスは、フラックスの分離に用いられた水に被覆され、分離部400から排出される。
【0030】
結露装置700a、結露装置700b及び結露装置700cは、一例として、同一の構成を有する。結露装置700aは分離部400と流体連通されており、結露装置700bは結露装置700aと流体連通されており、結露装置700cは結露装置700bと流体連通されている。すなわち、3つの結露装置700a,700b,700cは、互いに接続されている。分離部400でフラックスが除去された気体が結露装置700aに供給されると、フラックスが除去された気体は、3つの結露装置700a,700b,700cを順に通り、結露装置700cから排出される。結露装置700cは、送風機340と流体連通されており、結露装置700cから排出された気体は、送風機340へと供給される。
【0031】
分離部400は、上述したように水を用いて混合気体からフラックスを分離する。このため、分離部400でフラックスが除去された気体には、水蒸気が多く含まれる。結露装置700a,700b,700cは、水蒸気を含む気体から水蒸気を除去する機能を有する。また、3つの結露装置700a,700b,700cは、一例として、重力方向に延びて配置されている。すなわち、後述する内側冷却部740の軸線Lは、重力方向に延びる(図4参照)。なお、結露装置700a,700b,700cの詳細な構成については後述する。
送風機340は、水蒸気が除去された気体を結露装置700cから吸引し、この水蒸気が除去された気体をはんだ処理部120に送風する機能を有する。
【0032】
浄化装置600は、分離部400に流体連通している。このため、浄化装置600には、分離部400が排出したフラックスを含む水が供給される。また、浄化装置600は、一例として、浄化槽620及びオゾン発生器640を有する。浄化装置600は、供給されたフラックスを含む水を、浄化槽620に収容する。また、浄化槽620には、オゾン発生器640がオゾンの気泡を供給している。これにより、浄化装置600は、オゾンを用いて、フラックスを分解する。その後、浄化装置600は、フラックスの分解物を含む水に、フィルターを通過させる。これにより、分解物はフィルターに吸着されるので、浄化装置600は、フラックスを含む水からフラックスを分離し、浄化することができる。
【0033】
また、浄化装置600は、ポンプ220を介して、分離部400と流体連通している。これにより、ポンプ220は、浄化装置600で浄化された水を分離部400に供給できる。
配管360は、浄化装置600を、3つの結露装置700a,700b,700cと接続する。これにより、配管360は、浄化装置600でフラックスが分離されて浄化された水を、浄化装置600から結露装置700a,700b,700cへと供給できる。
チラーユニット300は、浄化装置600に取り付けられている。チラーユニット300は、浄化装置600で浄化された水を冷却して、再び浄化装置600に戻すことができる。このため、浄化装置600に収容されている浄化された水の温度は、一例として、5度程度となる。
給水タンク280は、水の循環において不足した水を浄化槽620に供給する。
【0034】
(結露装置)
次に、図2から図6を参照して、結露装置700a,700b,700cのより詳細な構成について説明する。結露装置700a,700b,700cは同一の構成を有するため、結露装置700a,700b,700cを結露装置700として表して説明する。図2は、図1に示した結露装置700の構成を示す正面図である。図3は、図2に示した結露装置700の平面図である。図4は、図3に示した結露装置700のA−O−B断面図である。図5は、図2に示した結露装置700のC−C断面図である。また、図6は、図2に示した結露装置700のD−D断面図である。
図2を参照すると、結露装置700は、外側冷却部720、内側冷却部740、吸熱部材760、気体流入口702及び気体流出口704を有する。結露装置700は、図2及び図3からわかるように、一例として、筒形状を有している。
【0035】
図4を参照すると、外側冷却部720は、内管722と、内管722の外側に位置する外管724と、内管722と外管724との間に第1冷却媒体が通過する第1流路726と、第1冷却媒体入口728と、第1冷却媒体出口730と、を有する。一例として、第1冷却媒体入口728は、第1冷却媒体出口730よりも重力方向下側に位置している。なお、浄化装置600から供給された水は、第1冷却媒体入口728から第1流路726へと供給され、第1冷却媒体出口730から排出される。その後、排出された水は、浄化装置600へと戻される。したがって、浄化装置600から供給された水は、第1冷却媒体として用いられる。また、外側冷却部720の内管722は、一例として、軸線Lの延びる方向に延びる。
内側冷却部740は、外側冷却部720の内管722の内側に位置し、第2冷却媒体が通過する第2流路742と、第2冷却媒体入口744と、第2冷却媒体出口746と、を有する。また、内側冷却部740は、一例として、軸線Lを中心軸とする直管形状を有する。また、一例として、第2冷却媒体入口744は、第2冷却媒体出口746よりも重力方向下側に位置している。なお、浄化装置600から供給された水は、第2冷却媒体入口744から第2流路742へと供給され、第2冷却媒体出口746から排出される。その後、排出された水は、浄化装置600へと戻される。したがって、浄化装置600から供給された水は、第2冷却媒体として用いられる。
【0036】
吸熱部材760は、外側冷却部720の内管722の内側であり且つ内側冷却部740の外側に位置し、内側冷却部740と接触する。吸熱部材760は、一例として、第1フィン762及び第2フィン768を有する。第1フィン762は、内側冷却部740の軸線Lと交わる方向に延びる薄板形状からなる。また、第1フィン762は、薄板円盤形状764に対して、中心に関して対称となる2つの弓型形状の切欠き766が形成された形状を有する(図5参照)。第1フィン762の薄板円盤形状764の外形は、一例として、外側冷却部720の内管722の値に0.9を乗じて得た値よりも大きい。なお、第1フィン762の切欠き766の弓型形状を形成する2つの弦767a,767bは、2つの切欠き766が中心に関して対称に形成されているため、同じ方向に延びる。他方、第2フィン768は、第1フィン762と間隔を空けて隣接し、第1フィン762よりも下流側に位置する(図4参照)。また、第2フィン768は、第1フィン762と同一の形状を有する(図6参照)。すなわち、第2フィン768は、薄板円盤形状770に対して、中心に関して対称となる2つの弓型形状の切欠き772が形成された形状を有する。
また、結露装置700では、一例として、第1フィン762の弦767の延びる方向と、第2フィン768の切欠き772の弓型形状を形成する弦774の延びる方向とが異なる(図2図5及び図6参照)。より詳細には、弦767の延びる方向と、弦774の延びる方向とは90度異なる。
【0037】
また、吸熱部材760は、一例として、複数のフィン780を有している(図4参照)。第1フィン762及び第2フィン768は、フィン780の一例である。なお、第1フィン762は、一例として、フィン780の中で最も上流側に位置している。さらに、吸熱部材760が有するフィン780は、一例として、全て同じ形状を有する。すなわち、フィン780は、薄板円盤形状に対して、中心に関して対称となる2つの弓型形状の切欠きが形成された形状を有する。そして、上流側から数えて奇数番目に位置するフィン780の切欠きを形成する弦の延びる方向は、第1フィン762の弦767が延びる方向と等しい。すなわち、上流側から数えて奇数番目に位置するフィン780は、全て同じ方向を向いている。他方、上流側から数えて偶数番目に位置するフィン780の切欠きを形成する弦の延びる方向は、第2フィン768の弦774が延びる方向と等しい。すなわち、上流側から数えて偶数番目に位置するフィン780は、全て同じ方向を向いている。なお、フィン780は、一例として、アルミ、銅、鉄、その他熱伝導性の高い金属等から形成される。また、本明細書では、第1地点を流れた気体が、第1地点を流れた後に第2地点を流れる場合において、第1地点は第2地点の上流側と定義され、第2地点は第1地点の下流側と定義される。
【0038】
気体流入口702は、水蒸気を含む気体を外側冷却部720の内管722に導入する。
気体流出口704は、水蒸気が除去された気体を外側冷却部720の内管722から排出する。気体流入口702は、一例として、気体流出口704よりも重力方向上側に位置しているが、気体流入口702が気体流出口704よりも重力方向下側に位置してもよい。
【0039】
<動作>
次にはんだ付け装置100の動作について説明する。
まず、はんだ付け装置100は、はんだ処理部120において、はんだ処理をする(図1参照)。この際、フラックスが塗布された回路基板が用いられるため、フラックスが気化して、はんだ処理部120の内部は、フラックス成分を含む混合気体によって満たされる。
次に、分離部400は、はんだ処理部120から混合気体を吸入する。そして、分離部400は、水を用いてフラックスを含む混合気体からフラックスを分離し、水蒸気を含んだ気体とフラックスを含んだ水とを生成する。その後、フラックスを含んだ水は、分離部400から浄化装置600へと運ばれ、浄化装置600が、フラックスを分離し、フラックスを回収する。他方、水蒸気を含んだ気体は、結露装置700aへと運ばれ、気体流入口702から外側冷却部720の内管722の内部へと侵入する(図4参照)。
【0040】
このとき、結露装置700aでは、第1冷却媒体である水が、外側冷却部720の第1流路726を通過しており、第2冷却媒体である水が、内側冷却部740の第2流路742を通過している。このため、外側冷却部720及び内側冷却部740の表面温度は、水蒸気を含んだ気体から水を結露させることができる温度まで低下している。また、吸熱部材760は、内側冷却部740と接触するため、吸熱部材760の表面温度も、水蒸気を含んだ気体から水を結露させることができる温度まで低下している。このため、外側冷却部720、内側冷却部740及び吸熱部材760は、外側冷却部720の内管722の内部を流れる気体を冷却する。そして、内管722の内部において、気体に含まれる水蒸気が結露する。これにより、気体に含まれる水蒸気が除去される。
【0041】
その後、結露装置700aで水蒸気を除去された気体は、結露装置700b及び結露装置700cを通過する。このとき、結露装置700aで水蒸気を除去された気体は、結露装置700aを通過したときと同様に、結露装置700b及び結露装置700cにより、さらに水蒸気が除去される。そして、結露装置700cを通過して水蒸気が除去された気体は、送風機340に吸引される。その後、送風機340は、水蒸気が除去された気体をはんだ処理部120に送風する。
【0042】
<作用・効果>
次に、本実施形態に係る結露装置700、はんだ付け装置100及びフラックス回収装置200の作用・効果について、以下に説明する。
【0043】
(第1の効果)
結露装置700は、上述したように、外側冷却部720、内側冷却部740、及び吸熱部材760により、外側冷却部720の内管722の内部を流れる気体を冷却することができる。これにより、結露装置700は、特許文献1に記載の結露装置と比較して、水蒸気を含む気体を冷却する部分の表面積が増加している。したがって、結露装置700は、特許文献1に記載の結露装置と同じ流量の気体から水蒸気を除去する場合に、特許文献1に記載の結露装置よりも小型にできる。また、結露装置700は、特許文献1に記載の結露装置と同じ大きさにした場合、より多くの気体から水蒸気を除去できる。
【0044】
(第2の効果)
結露装置700では、吸熱部材760は、複数のフィン780を有する。このため、結露装置700は、吸熱部材760の接触面積をフィン780が1枚のときよりも増加させることができる。したがって、結露装置700は、接触面積の増加に伴い、より速く水蒸気を含む気体を冷却することができる。
【0045】
(第3の効果)
外側冷却部720の内管722、内側冷却部740及び吸熱部材760の近傍を流れる気体は、外側冷却部720の内管722、内側冷却部740及び吸熱部材760から離れた位置を流れる気体よりも、冷却される。このため、仮に、水蒸気を含む気体が外側冷却部720の内管722の内部で対流しないと考えた場合、水蒸気を含む気体の流れる位置によって、排出される気体に温度の差ができてしまう場合がある。この場合、冷却されていない気体は、水蒸気を多く含んだまま、結露装置700を通過するおそれがある。
しかし、結露装置700では、第1フィン762は、内側冷却部740の軸線Lと交わる方向に延びて配置されている。すなわち、第1フィン762は、水蒸気を含む気体の流れを遮る方向に配置されている。このため、水蒸気を含む気体が第1フィン762に衝突することで、外側冷却部720の内管722の内部に気体の対流が生じる。これにより、結露装置700は、水蒸気を含む気体を均一に冷却することができる。すなわち、結露装置700は、気体が水蒸気を多く含んだまま結露装置700を通過することを抑止できる。
【0046】
(第4の効果)
結露装置700において、仮に、第1フィン762の弦767が延びる方向と第2フィン768の弦774が延びる方向とを等しくして、第1フィン762及び第2フィン768が配置されたとする。この場合、第1フィン762の切欠き766が形成された部分を通過した気体が直進すると、第2フィン768の切欠き772が形成された部分を通過してしまう。このため、第1フィン762と第2フィン768との間には、風が流れにくく、第1フィン762と第2フィン768との間の気体が停滞し得る。このため、第1フィン762と第2フィン768との間において、気体が停滞し、当該気体ばかりが冷却されてしまい、他の気体が冷却されにくい場合がある。
しかし、結露装置700によれば、第1フィン762の弦767の延びる方向と、第2フィン768の弦774の延びる方向とが異なる(図2図5及び図6参照)。このため、第1フィン762の切欠き766の形成された部分を通過した気体が直進した場合、この気体が、第2フィン768と衝突することとなる。これにより、第1フィン762と第2フィン768との間に気体の対流が生じる。すなわち、第1フィン762と第2フィン768との間の気体の停滞が抑止される。したがって、結露装置700は、第1フィン762及び第2フィン768の近傍の気体の温度を均等にすることができる。
【0047】
<変形例>
次に、本実施形態に係る結露装置700及びフラックス回収装置200の変形例について、以下に説明する。
【0048】
(第1の変形例)
結露装置700では、吸熱部材760は、内側冷却部740と接触していた。しかし、吸熱部材760は、外側冷却部720及び内側冷却部740の少なくとも一方と接触すればよい。吸熱部材760が外側冷却部720又は内側冷却部740によって冷却されることができれば、吸熱部材760は、外側冷却部720の内管722を通過する気体を冷却することができるからである。
【0049】
(第2の変形例)
また、結露装置700では、内側冷却部740は、直管形状を有していた。しかし、内側冷却部740は、球形状、立方体形状等の形状を有していてもよい。内側冷却部740が如何なる形状を有していても、内側冷却部740は、外側冷却部720の内管722を通過する気体や、吸熱部材760を冷却することができるからである。
【0050】
(第3の変形例)
また、結露装置700では、吸熱部材760は複数のフィン780を有したが、吸熱部材760は1つのフィン780のみを有してよい。さらに、吸熱部材760は、薄板円盤形状に対して、1つ又は3つ以上の弓型形状の切欠きが形成されたフィン780を有してもよく、その他のあらゆる形状を有するフィン780を備えてもよい。吸熱部材760は、有するフィン780の形状や枚数に関わらず、外側冷却部720の内管722を通過する気体と接触することさえできれば、通過する気体を冷却することができるからである。
【0051】
(第4の変形例)
第1冷却媒体及び第2冷却媒体として、浄化装置600から供給された水が用いられた。しかし、結露装置700は、第1冷却媒体又は第2冷却媒体として、外側冷却部720の内管722を通過する気体を冷却して、内管722の内部で結露を発生させることができれば、如何なる低温の液体を使用してもよい。
【0052】
[第2実施形態]
(結露装置)
図7は、本発明の第2実施形態に係る結露装置の構造図である。図8は、図7に示した結露装置のE−E断面図である。
図7を参照すると、結露装置800は、外側冷却部820、気体流入口802、気体流出口804、分流チャンバ806及び合流チャンバ808を有する。結露装置800は、図7及び図8からわかるように、一例として、筒形状を有している。なお、本実施形態に係る結露装置800は、一例として、第1実施形態に係る結露装置700と置き換えて、フラックス回収装置200及びはんだ付け装置100で用いられている。
図7を参照すると、外側冷却部820は、複数の内管822と、内管822の外側に位置する外管824と、内管822と外管824との間に第1冷却媒体が通過する第1流路826と、第1冷却媒体入口828と、第1冷却媒体出口830と、を有する。一例として、第1冷却媒体入口828は、第1冷却媒体出口830よりも重力方向下側に位置している。なお、浄化装置600から供給された水は、第1冷却媒体入口828から第1流路826へと供給され、第1冷却媒体出口830から排出される。その後、排出された水は、浄化装置600へと戻される。したがって、浄化装置600から供給された水は、第1冷却媒体として用いられる。
【0053】
気体流入口802は、分流チャンバ806を介して、各内管入口810と流体連通している。このため、気体流入口802に供給された水蒸気を含む気体は、分流チャンバ806で枝分かれして、各内管入口810を介して、各内管822へと供給される。
気体流出口804は、合流チャンバ808を介して、各内管出口812と流体連通している。このため、各気体流出口804から排出された水蒸気が除去された気体は、合流チャンバ808で合流して、気体流出口804から排出される。
【0054】
<作用・効果>
次に、本実施形態に係る結露装置800の作用・効果について、以下に説明する。
(第1の効果)
結露装置800は、外側冷却部820により、複数の内管822の内部を流れる気体を冷却することができる。特に、結露装置800は、複数の内管822を有するため、内管822が1本のときよりも、水蒸気を含む気体をより速く冷却できる。
【0055】
<変形例>
次に、本実施形態に係る結露装置800の変形例について、以下に説明する。
【0056】
(第1の変形例)
結露装置800は、複数の内管822を備えていた。しかし、結露装置800は、複数の内管822の代わりに、1つの内管822を備えてもよい。この場合でも、結露装置800は、外側冷却部820の1つの内管822により、1つの内管822の内部を流れる気体を冷却することができるからである。すなわち、結露装置800は、1又は2以上の内管822を備えているならば、気体から水蒸気を除去できる。
【0057】
(第2の変形例)
結露装置800は、第1実施形態の結露装置700のように、複数の内管822のうち少なくとも1つの内側に位置する内側冷却部を備えてもよい。この場合には、結露装置800は、外側冷却部820及び内側冷却部により、この内管822の内部を流れる気体を冷却することができるからである。
【0058】
(第3の変形例)
結露装置800は、複数の内管822のうち少なくとも1つの内側に、この内管822と接触する吸熱部材を備えてもよい。この場合には、結露装置800は、外側冷却部820及び吸熱部材により、この内管822の内部を流れる気体を冷却することができるからである。
【0059】
以上、本発明の実施形態とそれに係る各変形例について説明したが、上述した各例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、改良することができ、本発明にその等価物は含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【符号の説明】
【0060】
100:はんだ付け装置
120:はんだ処理部
200:フラックス回収装置
220:ポンプ
280:給水タンク
300:チラーユニット
340:送風機
360:配管
400:分離部
600:浄化装置
620:浄化槽
640:オゾン発生器
700,700a,700b,700c,800:結露装置
702,802:気体流入口
704,804:気体流出口
806:分流チャンバ
808:合流チャンバ
720,820:外側冷却部
722,822:内管
724,824:外管
726,826:第1流路
740:内側冷却部
742:第2流路
760:吸熱部材
762:第1フィン
768:第2フィン
780:フィン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8