(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通電部材がバスバーによって構成され、前記バスバーの長手方向両端部に二つの前記接続部が設けられており、前記バスバーの板厚方向に屈曲されたクランク状屈曲部が設けられている請求項1または請求項2に記載の端子間接続構造。
前記通電部品の前記ケースには前記ボルトが収容されており、前記ケースの上面には絶縁被覆された前記ボルトの頭部を露出する上面開口部が設けられ、前記ケースの下面には、前記ボルトのねじ部と前記接続部側中継部を露出する下面開口部が設けられている請求項4に記載の端子間接続構造。
前記ガイド壁が、前記接続部の近傍に設けられており、前記ガイド壁が、前記端子部側に設けられた部材に当接することにより前記通電部品の変位が抑制されるようになっている請求項8に記載の端子間接続構造。
前記端子部開口窓の周縁部が撓み変形可能であり、前記接続部側中継部により前記周縁部が押圧されて前記端子部開口窓が拡開されることにより、前記接続部側中継部の前記端子部開口窓への挿通が許容されている請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の端子間接続構造。
前記複数の端子部の一つが前記端子部カバーに覆われ、該端子部カバーに覆われた前記端子部に締結される前記複数の接続部の一つに、前記接続部側中継部が設けられており、
前記絶縁性カバーが、前記端子部カバーと、前記複数の接続部の他の一つを覆う絶縁性の接続部カバーを含み、
前記開口窓が、前記端子部開口窓と、前記接続部カバーに設けられて前記他の一つの接続部を部分的に露出させる接続部開口窓を含み、
前記中継部が、前記接続部側中継部と、前記接続部カバーに覆われた前記他の一つの接続部に締結される前記複数の端子部の他の一つに設けられる端子部側中継部を含み、該端子部側中継部が前記接続部開口窓を挿通して前記他の一つの接続部に接続される請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の端子間接続構造。
前記通電部品の前記ケースには、前記接続部と前記端子部の接続を阻止する接続阻止部が設けられており、該接続阻止部が前記接続部と前記端子部の接続を許容する許容位置へ変位可能とされている請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の端子間接続構造。
前記通電部品の前記ケースには、前記接続部を前記端子部に締結するためのボルトが収容されており、前記ケースの上面には絶縁被覆された前記ボルトの頭部を露出する上面開口部が設けられ、前記ケースの下面には、前記ボルトのねじ部と前記接続部側中継部を露出する下面開口部が設けられており、
前記接続阻止部が、前記下面開口部を蓋覆して、前記ボルトの前記ねじ部と前記接続部側中継部を覆う阻止位置と、前記下面開口部を開口して前記ボルトの前記ねじ部と前記接続部側中継部の前記端子部への接続を許容する前記許容位置とに変位可能である請求項24から請求項26のいずれか1項に記載の端子間接続構造。
前記通電部品の前記ケースが、前記通電部材の長手方向中間部分を被覆する絶縁被覆と、前記通電部材の長手方向両端部に設けられて前記絶縁被覆から露出する二つの前記接続部の少なくとも一方を覆う端部ケースを含んで構成されており、
前記端部ケースが前記通電部材に対して前記長手方向に変位可能に組み付けられており、
前記接続部と前記端子部がボルトとナットを用いて締結されるようになっており、前記接続部に貫設されたボルト挿通孔が前記長手方向での前記通電部材に対する前記端部ケースの変位を許容する変位許容隙間を有して設けられている請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の端子間接続構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の端子間接続構造は、
(1)複数の端子部を通電部品を介して電気的に接続する端子間接続構造であって、前記通電部品が、複数の前記端子部にそれぞれ接続状態で締結される複数の接続部を有する通電部材と、前記通電部材を収容する絶縁性のケースとを含み、複数の前記端子部と複数の前記接続部のうちの少なくとも一つを覆う絶縁性カバーと、前記絶縁性カバーに設けられて前記端子部と前記接続部の前記少なくとも一つを露出させる開口窓と、前記絶縁性カバーにより覆われた前記端子部と前記接続部の前記少なくとも一つに締結される前記接続部または前記端子部に設けられており、前記開口窓を挿通して前記端子部と前記接続部の前記少なくとも一つに接続される中継部と、を含む端子間接続構造である。
【0011】
本開示の端子間接続構造によれば、複数の端子部と接続部のうちの少なくとも一つが絶縁性カバーで覆われており、絶縁性カバーに設けられた開口窓を通じて端子部と接続部の少なくとも一つが露出されるようになっている。それゆえ、端子部または接続部が活電部となり得る場合等、感電対策が要求される端子部と接続部の少なくとも一つを絶縁性カバーで覆うことにより、作業者等の端子部または接続部との接触が抑制できる。また、絶縁性カバーにより覆われた端子部または接続部に締結される接続部または端子部には、絶縁性カバーに設けられた開口窓を挿通して端子部または接続部に接続される中継部が設けられている。それゆえ、たとえ端子部または接続部を絶縁性カバーで覆っても、端子部と接続部との電気的接続を実現することができる。
【0012】
なお、本開示の端子間接続構造においては、感電対策が望まれる端子部または接続部とそれに締結される接続部または端子部に対して、それぞれ絶縁性カバーと中継部を設ければよいことから、設計自由度の向上が図られ得る。例えば、活電部となり得る接続部または端子部が一つの接続部のみの場合は、一つの接続部とそれに締結される端子部に対して絶縁性カバーと中継部を設ければよく、コストを抑えつつ感電防止対策を図ることができる。また、例えば、活電部となり得る端子部が二つの端子部の場合には、二つの端子部に絶縁性カバーを設けると共に二つの接続部に中継部を設けることで、優れた感電防止対策を実現することができる。また、開口窓は、中継部の挿通を許容しつつ作業者の指の挿通が阻止される大きさで設けられることが好ましい。
通電部品は、通電部材がバスバーによって構成されるものや、両端に接続部が設けられたワイヤハーネスによって構成されるものが含まれる。通電部品がワイヤハーネスの場合には、絶縁性カバーによって感電防止対策がされた端子部に接続されるワイヤハーネスの一端側に設けられた接続部が、絶縁性のケースによって覆われて、接続部に設けられた中継部がケースから外部に突出した構成のものが含まれる。
【0013】
(2)前記絶縁性カバーが、少なくとも一つの前記端子部を覆う端子部カバーを含み、前記開口窓が、前記端子部カバーに設けられて前記端子部を部分的に露出させる端子部開口窓を含み、前記中継部が、前記端子部カバーにより覆われた前記端子部に締結される前記接続部に設けられており、前記ケースの外部に突出して、前記端子部開口窓を挿通して前記端子部に接続される接続部側中継部を含むことが好ましい。
複数の端子部の少なくとも一つが絶縁性の端子部カバーで覆われており、絶縁性の端子部カバーに設けられた端子部開口窓を通じて端子部が露出されるようになっている。それゆえ、端子部が活電部となり得る場合等、感電対策が要求される複数の端子部の少なくとも一つを端子部カバーで覆うことにより、作業者等の端子部との接触が抑制できる。また、端子部カバーにより覆われた端子部に締結される通電部材の接続部には、端子部カバーに設けられた端子部開口窓を挿通して端子部に接続される接続部側中継部が設けられている。それゆえ、たとえ端子部を端子部カバーで覆っても、端子部と接続部との電気的接続を実現することができる。
【0014】
(3)上記(2)において、前記接続部側中継部が設けられた前記接続部において、前記接続部が前記ケース内に収容されて前記ケースで囲われていることが好ましい。
接続部側中継部が設けられた通電部材の接続部においては、少なくとも接続部側中継部がケースの外部に突出していれば、端子部と接続部との接続を実現できる。それゆえ、接続部がケースで囲われてケースの外部に露出していないようにすれば、接続部の下面の全面がケースから露出していた従来構造に比して、作業者等の接続部への接触も有利に抑制することができる。
【0015】
(4)上記(2)または(3)において、前記通電部材がバスバーによって構成され、前記バスバーの長手方向両端部に二つの前記接続部が設けられており、前記バスバーの板厚方向に屈曲されたクランク状屈曲部が設けられていることが好ましい。
これにより、二つの接続部の間に設けられたクランク状屈曲部により、各接続部が接続される二つの端子部の間に生じるバスバーの板厚方向での公差を有利に吸収できる。なお、クランク状屈曲部は少なくとも1つ設けられていればよいが、二つの接続部をバスバーの板厚方向で同じ位置に設ける必要がある場合には、屈曲方向が逆向きとなる一対のクランク状屈曲部を設けることで、二つの接続部を同じ位置に設定することができる。また、複数のクランク状屈曲部や逆向きとなる一対のクランク状屈曲部を複数組設けることもできる。
【0016】
(5)上記(2)から(4)のいずれかにおいて、前記端子部と前記接続部がボルトを用いて締結されるようになっており、前記接続部と前記接続部側中継部に設けられたボルト挿通孔が、所定方向への前記ボルトの変位を許容する第一スペースを有し、前記通電部品の前記ケースは、前記所定方向への前記ボルトと前記接続部側中継部の変位を許容する第二スペースを有することが好ましい。
これにより、端子部と接続部をボルト締結するに際して、一方の端子部と他方の端子部との離隔距離の公差が積み重なる所定方向において、第一スペースと第二スペースにより公差を吸収することができる。なお、第一スペースおよび第二スペースを設ける部位は、公差吸収が必要となる所定方向に設定すればよく、端子間接続構造が適用される部位に応じて任意に設定することができる。
【0017】
(6)上記(5)において、前記通電部品の前記ケースには前記ボルトが収容されており、前記ケースの上面には絶縁被覆された前記ボルトの頭部を露出する上面開口部が設けられ、前記ケースの下面には、前記ボルトのねじ部と前記接続部側中継部を露出する下面開口部が設けられていることが好ましい。
通電部品のケース内にボルト締結用のボルトが収容されていることから、端子部と接続部の締め付け工程における部品をユニット化することができ、作業性の向上を図ることができる。さらに、ケースに設けられた上面開口部から露出されるボルトの頭部は絶縁被覆されていることから、ケース上面側における感電防止対策も両立して達成されている。また、ケースに設けられた下面開口部からは、ボルトのねじ部と接続部側中継部が露出しているに過ぎないことから、ケース下面側における作業者と接続部との接触が有利に抑制されている。
【0018】
(7)上記(5)において、前記通電部品の前記ケースには前記ボルトが収容されており、前記ケースの上面には前記ボルトの頭部を露出する上面開口部が設けられており、前記ボルトの前記頭部の上面には、締結工具の先端部が嵌合する工具嵌合穴が開口して形成されており、平面視において、前記上面開口部を介して前記工具嵌合穴が外部に露出され、前記頭部の外周部分は前記ケースの前記上面によって覆われていることが好ましい。
ボルトの頭部の上面に工具嵌合穴が開口されたタイプのボルトを採用することにより、ケースの上面開口部の開口面積を、締結工具の先端部が挿通可能な程度の大きさに低減して、頭部の外周部分はケースの上面で覆うことができるからである。これにより、ボルトの頭部に絶縁処理を施さなくとも、活電部となるボルトへの接触を有利に抑制乃至は防止することができる。なお、工具嵌合穴の断面形状は、円形断面の他、非円形断面である、六角等の多角形や星形、+や−等の任意の形状が採用可能である。
【0019】
(8)上記(7)において、前記ケースの前記上面において、前記ボルトの前記頭部の前記外周部分を覆う部位が、前記頭部から上方に離隔していることが好ましい。
ボルトの頭部の外周部分を覆うケース上面の部位が、頭部よりも上方に離隔して、ケースの上面開口部とボルトの頭部との離隔距離を稼ぐことにより、上面開口部を介したボルトへの接触の可能性を一層低減できる。その結果、作業性を考慮して上面開口部のある程度の大きさを確保することも可能となる。
【0020】
(9)上記(2)から(8)のいずれかにおいて、前記端子部と前記接続部がボルトを用いて締結されるようになっており、前記通電部品の前記ケースには、前記接続部側中継部と前記ボルトのねじ部の周囲にガイド壁が設けられており、前記ガイド壁は前記接続部側中継部より高い壁であることが好ましい。
ガイド壁が接続部側中継部より高い壁であることから、接続部側中継部および接続部に対する作業者の接触が一層有利に抑制される。さらに、通電部品のケースに収容されたボルトのねじ部が端子部に螺着される際には、ガイド壁によって作業者のボルトへの接触も有利に抑制され、ボルト締結作業時の安全性の向上を図ることができる。なお、より好ましくは、ガイド壁は、ボルトのねじ部の先端部と同程度やそれを越える突出寸法で突出される。
【0021】
(10)上記(9)において、前記ガイド壁が、前記接続部の近傍に設けられており、前記ガイド壁が、前記端子部側に設けられた部材に当接することにより前記通電部品の変位が抑制されるようになっていることが好ましい。
ガイド壁に変位抑制機能を併せ持たせることが可能となり、少ない部品点数で、ボルト締結作業時の安全性と作業性の向上を両立して達成することができる。
【0022】
(11)上記(2)から(10)のいずれかにおいて、前記接続部側中継部と前記通電部材が一体的に形成されていることが好ましい。
接続部側中継部と通電部材が一体化されることにより、比較的小型となる接続部側中継部の取り扱いが容易となり、組み立て作業性の向上等を図ることができるからである。なお、接続部側中継部を通電部材に一体的に形成する方法に限定はなく、任意の方法が採用可能である。例えば、通電部材が金属平板で形成される場合には、接続部にバーリング加工を施すことで接続部側中継部を突出させることができる。また、別体で形成された通電部材と接続部側中継部を溶接等により一体化してもよい。アルミ等のダイキャスト品として通電部材と接続部側中継部を一体的に設けてもよい。
【0023】
(12)上記(2)から(10)のいずれかにおいて、前記接続部側中継部と前記通電部材が別体に形成されており、前記ケースに前記接続部側中継部が保持されていることが好ましい。
通電部材と接続部側中継部を別体とすることで、それらの材料の選択自由度を向上させることができる。しかも、接続部側中継部はケースに保持されることから、比較的小型となる接続部側中継部の取り扱いが容易となる。なお、ケースに接続部側中継部を保持させる構造としては、凹凸嵌合やフランジを用いた支持構造等の任意の構造が採用可能である。接続部側中継部をケースにインサート成形することにより保持させてもよい。
【0024】
(13)上記(12)において、前記接続部側中継部が、前記ケースの外部に突出する筒部と、前記筒部の一端部から外周側に突出するフランジ部とを有し、前記ケースに貫設された開口穴に、前記接続部側中継部の前記筒部が挿通配置され、前記開口穴の周縁に前記接続部側中継部の前記フランジ部が前記ケースの内側から係合することにより、前記接続部側中継部が前記ケースに保持されていることが好ましい。
接続部側中継部の筒部をケース外に突出させフランジ部側をケース内に収容して保持させることができ、簡単な構造で、接続部側中継部のケース外への突出とケースへの保持を実現することができるからである。
【0025】
(14)上記(12)において、前記接続部側中継部が、前記ケースに貫設された開口穴に圧入されることにより、前記ケースに保持されていることが好ましい。
ケースに設けられた開口穴に接続部側中継部を圧入するだけで、接続部側中継部のケース外への突出とケースへの保持を実現することができ、ケースや接続部側中継部の構造の容易化を図ることができるからである。
【0026】
(15)上記(2)から(14)のいずれかにおいて、前記接続部に、複数の前記接続部側中継部が相互に離隔して突設されていることが好ましい。
接続部側中継部を複数箇所に分離して配置することができ、接続部側中継部の配置や材料選択等の自由度の向上が図られるからである。なお、複数の接続部側中継部は通電部材と一体に設けられてもよく、別体に設けられてもよい。
【0027】
(16)上記(2)から(15)のいずれかにおいて、前記端子部と前記接続部がボルトを用いて締結されるようになっており、前記端子部カバーが、前記端子部に設けられたボルト挿通孔の内周面を覆う内周部を含んでいることが好ましい。
端子部カバーの内周部により端子部のボルト挿通孔の内周面が覆われていることから、端子部のボルト挿通孔の内周面への作業者等の接触を有利に抑制できるからである。なお、端子部カバーの内周部は、端子部カバーの他の部位と一体化されていてもよいし、別体に設けられて、端子部のボルト挿通孔に保持された状態で端子部カバーを構成するようにしてもよい。
【0028】
(17)上記(16)において、前記端子部カバーの内周部が、前記端子部カバーの他の部位と一体化されていることが好ましい。
比較的小型となる端子部カバーの内周部の取り扱い性が容易となるからである。
【0029】
(18)上記(2)から(17)のいずれかにおいて、前記端子部と前記接続部がボルトを用いて締結されるようになっており、前記端子部のボルト挿通孔の周囲に前記端子部開口窓が環状に形成されており、前記接続部のボルト挿通孔の周囲に環状の前記接続部側中継部が配置されていることが好ましい。
端子部と接続部がボルトを用いて安定して締結されて固定される。さらにボルト締結に必要なボルト挿通孔を流用して、コンパクトに端子部開口窓と接続部側中継部を設けることができ、端子間接続構造の小型化を図ることができる。また、接続部側中継部を環状に構成することができ、接続部側中継部の強度を確保することができる。
【0030】
(19)上記(18)において、前記環状の前記端子部開口窓が、前記端子部カバーの内周部と、該内周部から径方向外方に離隔して設けられた前記端子部カバーの外周部との間に区画されており、前記内周部によって前記端子部の前記ボルト挿通孔の内周面が覆われており、前記外周部によって前記ボルト挿通孔の周囲において前記端子部の表面が覆われていることが好ましい。
環状の端子部開口窓を区画する端子部カバーの内周部により端子部のボルト挿通孔の内周面が覆われていることから、端子部のボルト挿通孔の内周面への作業者等の接触も有利に抑制できる。
【0031】
(20)上記(2)から(17)のいずれかにおいて、前記端子部と前記接続部がボルトを用いて締結されるようになっており、前記端子部開口窓が、前記端子部のボルト挿通孔とその周辺部を露出させる大きさで開口しており、前記端子部開口窓の周縁部に、前記接続部側中継部に向かって突出する突部が設けられていることが好ましい。
端子部開口窓が端子部のボルト挿通孔とその周辺部を含む大きさで開口した場合でも、端子部開口窓の周縁部に接続部側中継部に向かって突出する突部が設けられていることから、突部の高さにより、作業者等の端子部開口窓の内部、例えばボルト挿通孔の内周面への接触の可能性を有利に低減できるからである。それゆえ、突部の高さを調整することで、第十五の態様や第十八の態様に規定された端子部カバーの内周部を用いなくとも、作業者等のボルト挿通孔の内周面への接触を抑制乃至は防止でき、部品点数の削減も図ることができる。
【0032】
(21)上記(20)において、前記端子部と前記接続部が前記ボルトを用いて締結された状態で、前記突部が前記通電部品から離隔していることが好ましい。
端子部と接続部がボルト締結された際に、突部が通電部品のいずれかの部品に当接することで、ボルト締結による軸力が突部を介して端子部カバーに分散されることが回避される。それゆえ、突部による端子部への接触防止機能を確保しつつ、端子部と接続部の強固な接続が安定して実現される。
【0033】
(22)上記(2)から(21)のいずれかにおいて、前記端子部開口窓の周縁部が撓み変形可能であり、前記接続部側中継部により前記周縁部が押圧されて前記端子部開口窓が拡開されることにより、前記接続部側中継部の前記端子部開口窓への挿通が許容されていることが好ましい。
接続部側中継部により端子部開口窓の周縁部が押し広げられることにより、接続部側中継部の端子部開口窓への挿通が許容されていることから、通電部品の接続部との接続前において、端子部を外部に露出する端子部開口窓の開口面積を小さくすることができる。そのため、端子部に対する作業者等の接触の可能性を一層有利に低減できる。
【0034】
(23)上記(2)から(22)のいずれかにおいて、前記複数の端子部の一つが前記端子部カバーに覆われ、該端子部カバーに覆われた前記端子部に締結される前記複数の接続部の一つに、前記接続部側中継部が設けられており、前記絶縁性カバーが、前記端子部カバーと、前記複数の接続部の他の一つを覆う絶縁性の接続部カバーを含み、前記開口窓が、前記端子部開口窓と、前記接続部カバーに設けられて前記他の一つの接続部を部分的に露出させる接続部開口窓を含み、前記中継部が、前記接続部側中継部と、前記接続部カバーに覆われた前記他の一つの接続部に締結される前記複数の端子部の他の一つに設けられる端子部側中継部を含み、該端子部側中継部が前記接続部開口窓を挿通して前記他の一つの接続部に接続されることが好ましい。
複数の端子部の一つは、端子部カバーで覆われていることから、例えば活電部となる電池モジュールの端子部に適用することで、作業者等の端子部との接触が抑制でき、要求される感電対策を満たすことができる。また、通電部材の一つの接続部を活電部となる端子部に締結した後は、通電部材の他の一つの接続部が活電部となるが、本態様では、他の一つの接続部が接続部カバーで覆われていることから、活電部となる他の一つの接続部への作業者等の接触を抑制できる。これにより、通電部材による複数の端子部の締結作業を優れた感電対策のもと行うことが可能となる。
なお、接続部カバーに設けられる接続部開口窓は、端子部側中継部の挿通を許容しつつ作業者の指の挿通が阻止される大きさで設けられることが好ましい。
【0035】
(24)上記(23)において、前記他の一つの端子部と前記他の一つの接続部がボルトとナットを用いて締結されるようになっており、前記通電部品の前記他の一つの接続部側では、前記ケースに前記ナットが収容され、前記ケースの上面に設けられた上面開口部に、前記ナットと該ナットに締結された前記ボルトの先端部が絶縁被覆された状態で位置しており、前記ケースの底壁により前記接続部カバーが構成され、前記底壁を貫設して前記接続部開口窓が設けられており、前記他の一つの端子部に、前記ボルトと前記端子部側中継部が配置されていることが好ましい。
通電部品の他の一つの接続部側において、ケース内に締結用のナットが収容されており、他の一つの端子部では、締結用のボルトと端子部側中継部がいずれも配置されている。これにより、他の一つの端子部と他の一つの接続部を締結用の部品を含めてユニット化することができ、部品の取扱性や作業性の向上を一層有利に図ることができる。さらに、ケースの上面開口部に位置するナットとナットに締結されたボルトの先端部は、絶縁被覆されていることから、ケース上面側における感電防止対策も両立して達成されている。加えて、他の一つの端子部に、ボルトと端子部側中継部が、配置されている。そのため、電池モジュールに接続される電気接続箱の端子部等、活電部とならない端子部に適用することで、感電の問題は生じ得ない。
なお、ケースの上面開口部に位置するナットと該ナットに締結されたボルトの先端部を絶縁被覆する構成は、任意の構成が採用可能であり、例えば、袋状のナットカバー等が採用可能である。
【0036】
(25)上記(2)から(24)のいずれかにおいて、前記通電部品の前記ケースには、前記接続部と前記端子部の接続を阻止する接続阻止部が設けられており、該接続阻止部が前記接続部と前記端子部の接続を許容する許容位置へ変位可能とされていることが好ましい。
通電部品のケースに接続部と端子部の接続を阻止する接続阻止部が設けられていることから、例えば、端子部間の接続作業中に、誤操作により通電部品の一方の接続部と端子部が接続されて、通電部品の他の一つの接続部が意図せず活電部となる不具合を未然に防止できる。しかも、接続阻止部は、接続部と端子部の接続を許容する許容位置へ変位可能とされていることから、1つの部品で接続部と端子部の接続を制御することができる。加えて、接続作業に際して、接続阻止部を許容位置へ変位させるという作業を伴うことにより、作業者が接続部と端子部の接続を確実に意識して実行することができ、通電部品の他方の接続部が意図せず活電部となる不具合を確実に防止できる。
【0037】
(26)上記(25)において、前記接続阻止部が、前記許容位置へ変位された際に、前記端子部側の被嵌合部に嵌合する嵌合部を有していることが好ましい。
接続阻止部が嵌合部を有し、接続阻止部が許容位置に変位された際に嵌合部が端子部側の被嵌合部に嵌合することから、接続阻止部が端子部と接続部の固定構造も併せて担うことができ、少ない部品点数で端子部と接続部の優れた接続安定性も併せて担保することができる。
【0038】
(27)上記(26)において、前記嵌合部と前記被嵌合部が、前記端子部と前記接続部の正規嵌合位置において嵌合するようになっていることが好ましい。
嵌合部と被嵌合部の嵌合により、作業者が端子部と接続部の正規嵌合を検知することができるからである。
【0039】
(28)上記(25)から(27)のいずれかにおいて、前記通電部品の前記ケースには、前記接続部を前記端子部に締結するためのボルトが収容されており、前記ケースの上面には絶縁被覆された前記ボルトの頭部を露出する上面開口部が設けられ、前記ケースの下面には、前記ボルトのねじ部と前記接続部側中継部を露出する下面開口部が設けられており、前記接続阻止部が、前記下面開口部を蓋覆して、前記ボルトの前記ねじ部と前記接続部側中継部を覆う阻止位置と、前記下面開口部を開口して前記ボルトの前記ねじ部と前記接続部側中継部の前記端子部への接続を許容する前記許容位置とに変位可能であることが好ましい。
接続阻止部が、阻止位置において下面開口部を覆蓋してボルトのねじ部と接続部側中継部の露出を確実に防止でき、より優れた感電対策を施すことができるからである。
【0040】
(29)上記(2)から(28)のいずれかにおいて、前記通電部品の前記ケースが、前記通電部材の長手方向中間部分を被覆する絶縁被覆と、前記通電部材の長手方向両端部に設けられて前記絶縁被覆から露出する二つの前記接続部の少なくとも一方を覆う端部ケースを含んで構成されており、前記端部ケースが前記通電部材に対して前記長手方向に変位可能に組み付けられており、前記接続部と前記端子部がボルトとナットを用いて締結されるようになっており、前記接続部に貫設されたボルト挿通孔が前記長手方向での前記通電部材に対する前記端部ケースの変位を許容する変位許容隙間を有して設けられていることが好ましい。
通電部材を収容する絶縁性のケースが、通電部材の長手方向中間部分を被覆する絶縁被覆と少なくとも一方を覆う端部ケースを含んで構成されていることから、よりコンパクト且つ低コストでケースを提供することができる。しかも、端部ケースは、通電部材に対して長手方向に変位可能に組み付けられており、端子部に貫設されたボルト挿通孔も長手方向での通電部材に対する端部ケースの変位を許容する変位許容隙間を有して設けられている。これにより、接続部と端子部をボルトとナットを用いて締結する際に、二つの端子部間距離の公差を、通電部品側の通電部材に対する端部ケースの変位により吸収することができる。
【0041】
(30)上記(1)において、前記絶縁性カバーが、少なくとも一つの前記接続部を覆う接続部カバーを含み、前記開口窓が、前記接続部カバーに設けられて前記接続部を部分的に露出させる接続部開口窓を含み、前記中継部が、前記接続部カバーにより覆われた前記接続部に締結される前記端子部に設けられており、前記接続部開口窓を挿通して前記接続部に接続される端子部側中継部を含むことが好ましい。
少なくとも一つの接続部が接続部カバーで覆われており、接続部カバーに設けられた接続部開口窓を通じて接続部が部分的に露出されるようになっている。それゆえ、接続部が活電部となり得る場合等、感電対策が要求される接続部の少なくとも一つを接続部カバーで覆うことにより、作業者等と感電対策が要求される接続部との接触が抑制できる。また、接続部カバーにより覆われた接続部に締結される端子部には、接続部カバーに設けられた接続部開口窓を挿通して接続部に接続される端子部側中継部が設けられている。それゆえ、たとえ接続部を接続部カバーで覆っても、接続部と端子部との電気的接続を実現することができる。
【0042】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の端子間接続構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、
図1から
図7を参照しつつ説明する。
図1から
図7に、本開示の実施形態1に従う端子間接続構造10を電池モジュール12に適用した例を示す。電池モジュール12は、電気自動車やハイブリッド車等の車両用の駆動源として利用される。
図1に示されるように、電池モジュール12は、第一電池モジュール12Aと第二電池モジュール12Bとを含んでおり、本開示の端子間接続構造10を介して互いに接続されている。
図1において左側に第一電池モジュール12Aが示されており、右側に第二電池モジュール12Bが示されている。なお、以下では、Z方向を上方、Y方向を前方、X方向を右方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0044】
<第一電池モジュール12Aおよび第二電池モジュール12B>
第一電池モジュール12Aおよび第二電池モジュール12Bはそれぞれ、
図1から
図3に示すように、筐体14A,14B内に充電可能な複数の単電池16を収容している。電池モジュール12A,12Bは、これら複数の単電池16を図示しないバスバー等を用いて直列に接続しており、出力電圧は例えば100V〜400Vとなる。また、電池モジュール12A,12Bは、複数の単電池16を並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。このような単電池16には、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、ニッケル水素電池などが使用できる。単電池16に代えて、あるいはこれに加えて、電気二重層キャパシタ(EDLC)等のキャパシタを利用することもできる。本明細書においてはキャパシタも含む。
【0045】
筐体14A,14Bは、合成樹脂等の絶縁性を有する部材によって構成されている。筐体14A,14Bは、上方に開口する略矩形箱体形状とされており、底壁と底壁の周囲を囲む周壁18を有している。筐体14A,14Bの前方側の周壁18は、厚肉とされている。前方側の周壁18の上端部が全体に亘って切り欠かれることにより、前方側の周壁18の上端部20は、単電池16の上端部22よりも下方に位置している。
【0046】
<端子間接続構造10>
第一電池モジュール12Aおよび第二電池モジュール12Bはそれぞれ、単電池16が図示しないバスバー等の部材によって直列に接続されている。さらに、このように単電池16が直列接続された第一電池モジュール12Aと第二電池モジュール12B同士が、第一端子部側ユニット24の端子部32と第二端子部側ユニット26の端子部32を通電部品54を介して電気的に接続する端子間接続構造10を用いて直列に接続されている。
【0047】
<第一端子部側ユニット24>
二つの端子部の一方を有する第一端子部側ユニット24は、
図4に示すように、外部の端子と接続可能な接続端子28と、接続端子28を保持するハウジング30とを備える。接続端子28は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板状の金属からなり、長手方向の中間部が逆U字状に屈曲されかつ両端部がL字状に曲げられた形状を有している。長手方向の一方の端部である前端部が後述する通電部品54の第一接続部側ユニット86の接続部60に接続される端子部32とされており、長手方向の他方の端部である後端部が第一電池モジュール12Aの単電池16の端子に接続される端子締結部34とされている。
図2に示すように、端子部32は、端子締結部34よりも第一電池モジュール12A側に設けられている。また、端子部32は、端子締結部34よりも下方側に設けられている。端子締結部34には、第一電池モジュール12Aの単電池16の端子と接続するための貫通孔36が形成されている。
【0048】
端子部32には、後述する通電部品54のボルト84のねじ部84Aを挿通可能なボルト挿通孔38が貫通形成されている。ボルト挿通孔38は、ボルト84のねじ部84Aとボルト挿通孔38の内壁との間に所定の隙間(後述する内周部48Bが配される隙間)が形成される大きさの円形状とされている。
【0049】
ハウジング30は、絶縁性の合成樹脂製であって、
図7に示すように、接続端子28を内部に収容状態で保持している。ハウジング30は、接続端子28を保持する端子保持部40と、端子部32をカバーする絶縁性カバーとしての端子部カバー48と、を含んでいる。端子保持部40は、
図4に示すように、略矩形ブロック形状を有しており、中央部分にナット44を収容する収容部42が開口形成されている。ナット44の中央には、後述する通電部品54のボルト84のねじ部84Aが螺合されるねじ穴46が貫通形成されている。
【0050】
絶縁性の端子部カバー48は、
図4に示すように、全体として略矩形箱体形状を有しており、端子部カバー48の外周部を構成する外周部48Aと、端子部カバー48の内周部を構成する内周部48Bと、を含んでいる。外周部48Aは、
図7に示すように、端子部32の上面を覆っており、絶縁性の合成樹脂により端子部32に対する感電を抑制乃至は防止できる厚みで形成されている。外周部48Aの中央には、貫通孔49が形成されている。そして、貫通孔49の中央部分には、内周部48Bが同軸状に配置されており、貫通孔49の周縁部と内周部48Bの径方向対向面間に、接続端子28の端子部32を部分的に露出させる開口窓としての端子部開口窓50が設けられている。端子部開口窓50は、
図7に示すように、貫通孔49の周りの円環状の領域に設けられており、絶縁性の端子部カバー48のうち、端子部開口窓50の内側が内周部48Bとされ、端子部開口窓50の外側が外周部48Aとされている。
【0051】
また、内周部48Bは、
図6に示すように、端子部32を貫通するボルト挿通孔38の内壁を覆うように形成されている。このように、内周部48Bは、ボルト挿通孔38の内壁に円筒形状に設けられており、ボルト挿通孔38の内壁に対する感電を抑制乃至は防止できる厚みで形成されている。内周部48Bの内面は、後述するボルト84のねじ部84Aが挿通される挿通孔51の内面とされている。なお、内周部48Bの下端部には、
図6および
図7に示すように、外方斜め下方に突出する円環状の突部52が設けられている。ボルト挿通孔38の内周縁部の下端部には斜め下方に向かって延びるテーパ面53が設けられており、内周部48Bが、端子部32のボルト挿通孔38に挿通され端子部32に押圧された状態で固定されている。
【0052】
<第二端子部側ユニット26>
二つの端子部の他方を有する第二端子部側ユニット26は、
図2に示すように、第一端子部側ユニット24と略同じ構造とされていることから、本実施形態では、その説明を省略する。
【0053】
<通電部品54>
通電部品54は、
図5に示すように、通電部材を構成するバスバー56および中継部としての接続部側中継部66と、通電部材を収容する絶縁性のケース70と、を含んでいる。
【0054】
<バスバー56>
通電部材を構成するバスバー56は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板状の金属からなり、長手方向中間部分の任意の部位にバスバー56の板厚方向に屈曲された一対のクランク状屈曲部58,58が設けられている。バスバー56の長手方向両端部には、同形状とされた接続部60,60が形成され、中央に長手方向が長軸となる略楕円形状のボルト挿通孔62が貫設されかつ幅方向の両側に位置決め凹部64が形成されている。接続部60,60は、後述する第一接続部側ユニット86および第二接続部側ユニット88を構成している。ここで、長手方向中間部分とは、バスバー56の長手方向における接続部60,60の間である長手方向両端部間の部分を指す。
【0055】
<接続部側中継部66>
接続部側中継部66は、
図5に示すように、環状の金属部材から構成されており、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄等の金属からなる。接続部側中継部66は、円筒形状の筒部66Aと、筒部66Aの上端部から外周側にフランジ状に突出するフランジ部66Bとを備え、接続部側中継部66の内側は、ボルト84のねじ部84Aが挿通されるボルト挿通孔68とされている。ボルト挿通孔68は、バスバー56のボルト挿通孔62と同様、バスバー56の長手方向が長軸となる略楕円形状を有している。フランジ部66Bは、ボルト挿通孔68の軸方向における上方側において、接続部側中継部66の外壁の全周に亘って一定の寸法で段差状に突出している。
【0056】
<ケース70>
バスバー56を収容する絶縁性のケース70は、
図5に示すように、ケース本体70Aと蓋体70Bを含んでいる。ケース本体70Aと蓋体70Bはいずれも絶縁性の合成樹脂製とされ、別体で形成されている。なお、ケース本体70Aと蓋体70Bは一体形成されていてもよい。
【0057】
ケース本体70Aは、長手方向に延びる略矩形箱体形状とされており、内部に収容されるバスバー56の形状に応じて、長手方向中間部分が浅底とされている。ケース70の下面を構成する底壁72の長手方向両端部分には、接続部側中継部66の筒部66Aを挿通し周縁部において接続部側中継部66のフランジ部66Bを保持する下面開口穴74が設けられている。すなわち、ケース本体70Aに貫設された下面開口穴74に、接続部側中継部66の筒部66Aが挿通配置され、下面開口穴74の周縁に接続部側中継部66のフランジ部66Bがケース本体70Aの内側から係合することにより、接続部側中継部66がケース70に保持されている。底壁72の幅方向両側にはバスバー56の位置決め凹部64に係合する位置決め突起76が内側に向かって形成されている。また、底壁72の長手方向の両端部には、幅方向の全長にわたって下方に向かってガイド壁78が延び出している。
【0058】
ケース70の上面を構成する蓋体70Bは、
図5に示すように、全体として長手方向に延びる略矩形平板形状とされている。蓋体70Bの長手方向の両端部には、絶縁塗装が施されたボルト84の頭部を露出する上面開口部80が形成されている。なお、絶縁塗装は、例えば、フッ素樹脂をコーティング加工したり、ナイロン粉体加工すること等により行われる。
【0059】
図7に示すように、このように構成されたケース本体70Aの下面開口穴74に接続部側中継部66の筒部66Aが保持されている。接続部側中継部66のフランジ部66Bの上方には、バスバー56が載置されている。バスバー56は、バスバー56の位置決め凹部64がケース本体70Aの位置決め突起76に嵌合することにより位置決めされている。バスバー56の接続部60のボルト挿通孔62に対して、絶縁塗装が施されたボルト84のねじ部84Aが挿通された状態で、ボルト84がバスバー56の接続部60に保持されている。このように接続部側中継部66とバスバー56とボルト84が収容されたケース本体70Aが、蓋体70Bによって覆蓋されて、通電部品54が構成されている。
【0060】
通電部品54は、
図2に示すように、長手方向の第一電池モジュール12A側の端部に第一接続部側ユニット86が設けられており、長手方向の第二電池モジュール12B側の端部に第二接続部側ユニット88が設けられている。第一接続部側ユニット86および第二接続部側ユニット88はいずれも、絶縁性のケース70内に収容された接続部側中継部66とバスバー56の接続部60,60とボルト84を有している。
【0061】
このように構成された通電部品54において、
図7に示すように、接続部側中継部66の筒部66Aが、ケース70の下面を構成するケース本体70Aの底壁72の下面開口穴74を貫通して外部に突出している。また、ボルト84のねじ部84Aが、下面開口穴74を貫通して外部に突出している。加えて、接続部側中継部66の筒部66Aおよびボルト84のねじ部84Aは、
図6および
図7に示すように、ガイド壁78に囲まれている。すなわち、第一接続部側ユニット86および第二接続部側ユニット88を構成する接続部側中継部66の筒部66A以外の部分と、接続部60,60を含むバスバー56はいずれも絶縁性のケース70内に収容されており、ケース70の外部に露出しておらず、ケース70で囲われている。また、接続部側中継部66の筒部66Aとボルト84のねじ部84Aの周囲には、ガイド壁78が、接続部側中継部66の先端部を越え、ねじ部84Aの先端部とほぼ同じ寸法で形成されている。すなわち、ガイド壁78は接続部側中継部66より高い壁である。さらに、ガイド壁78は、接続部60の近傍に設けられており、一対のガイド壁78,78が、
図6等に示すように、各端子部側ユニット24,26側に設けられた接続端子28にそれぞれ当接することにより通電部品54の各端子部側ユニット24,26に対する変位が抑制されている。
【0062】
第一接続部側ユニット86および第二接続部側ユニット88を構成する、バスバー56の接続部60,60に設けられたボルト挿通孔62と接続部側中継部66に設けられたボルト挿通孔68を含んで、各接続部側ユニット86,88のボルト挿通孔が構成されている。これらのボルト挿通孔62,68は、バスバー56の長手方向が長軸となる略楕円形状を有している。それゆえ、
図7に示す第一接続部側ユニット86を例に説明をすると、ボルト挿通孔62,68にボルト84のねじ部84Aが同軸状に配置された状態では、バスバー56の長手方向となるねじ部84Aの一径方向の両側に、バスバー56の長手方向へのボルト84の変位を許容する第一スペース:a1,a2が設けられている。一方、通電部品54を構成するケース本体70Aと蓋体70Bには、
図7に示すように、バスバー56の長手方向へのボルト84と接続部側中継部66の変位を許容する第二スペース:b1,b2,b3が設けられている。
【0063】
<通電部品と端子部の接続>
このような構成とされた通電部品54を、
図1および
図2に示すように、第一端子部側ユニット24および第二端子部側ユニット26に対して組み付ける。これにより、第一接続部側ユニット86の接続部60が第一端子部側ユニット24の端子部32に対して接続状態にボルト締結され、第二接続部側ユニット88の接続部60が第二端子部側ユニット26の端子部32に対してそれぞれ接続部側中継部66を介して接続状態にボルト締結される。ボルト締結は、ボルト84とナット44を用いて締め付けることにより実行される。第一端子部側ユニット24に対する第一接続部側ユニット86の組み付け工程は、第二端子部側ユニット26に対する第二接続部側ユニット88の組み付け工程とほぼ同じ工程で組み付けることができる。このため、ここでは第一端子部側ユニット24に対する第一接続部側ユニット86の組み付け工程についてのみ説明する。
【0064】
はじめに、
図2に示す第一端子部側ユニット24および第二端子部側ユニット26の接続端子28の端子締結部34が、第一電池モジュール12Aおよび第二電池モジュール12Bの最も前方側の単電池16の端子に、図示しない締結部材を用いて締結されている。また、その状態で、単電池16の上部が略全面に亘って図示しないアッパケースによって覆蓋されている。
【0065】
この状態で、
図7に示すように、第一端子部側ユニット24(第二端子部側ユニット26)の接続端子28の端子部32(端子部32)はいずれも、絶縁性の端子部カバー48を構成する外周部48Aおよび内周部48Bによってカバーされている。接続端子28の端子部32が部分的に露出されている端子部開口窓50はあるが、作業者の指先等に対して小さいため、端子部開口窓50を通した作業者や異物の接続端子28の端子部32への接触は抑制されている。なお、接続端子28は高電圧であるために、特に高い安全要求事項が設定されている。例えば、German Verband der Elektrotechnik(VDE)(ドイツ電子技術協会)の規格、例えば、VDE0470等、および欧州規格、例えば、IEC/EN61032等は、人間の指の接触からの保護を提示している。対応する試験のために、
図7に示すいわゆる試験指Fが提供されている。本実施形態では、試験指Fが挿通不能な大きさで、端子部開口窓50が開口している。
【0066】
次に、
図7に示すように、第一端子部側ユニット24に対して通電部品54の第一接続部側ユニット86が上方から重ね合される。この状態で、ボルト84のねじ部84Aや接続部側中継部66の筒部66A、さらには端子部開口窓50を介して露出される端子部32へのアクセスが、ガイド壁78によって制限されており、作業者の安全が図られている。ボルト84のねじ部84Aを、第一端子部側ユニット24の内周部48Bの挿通孔51を挿通して、ナット44のねじ穴46に螺合する。この時、通電部品54の蓋体70Bの上面開口部80から図示しない工具を挿し込んで、ボルト84をナット44に締結することができる。その結果、
図6に示すように、接続部側中継部66の筒部66Aが第一端子部側ユニット24の端子部開口窓50を挿通して、接続部側中継部66の筒部66Aが第一端子部側ユニット24の端子部32に接触した状態となる。そして、ボルト84の頭部とナット44の間に、接続端子28の端子部32と接続部側中継部66とバスバー56の接続部60を挟んだ状態でボルト締結される。
【0067】
これにより、第一端子部側ユニット24の端子部32と通電部品54の第一接続部側ユニット86の接続部60との間が接続部側中継部66を介して電気的に接続された状態となる。同様にして、第二端子部側ユニット26の端子部32と通電部品54の第二接続部側ユニット88の接続部60との間が接続部側中継部66を介して電気的に接続された状態となる。これにより、端子間接続構造10が完成される。
【0068】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、第一端子部側ユニット24および第二端子部側ユニット26の接続端子28の端子部32が絶縁性の端子部カバー48を構成する外周部48Aおよび内周部48Bによってカバーされている。それゆえ、端子部32を部分的に露出させる端子部開口窓50を設けても、作業者の指先等に対して小さいため、端子部開口窓50を通した作業者や異物の端子部32への接触を抑制することができる。また、端子部開口窓50を挿通して端子部側ユニット24,26の端子部32に接続する接続部側中継部66を介して、接続部側ユニット86,88のバスバー56の接続部60と端子部側ユニット24,26の端子部32,32とをそれぞれ導通接続できる。それゆえ、端子部32と接続部60とを電気的に接続することができる。
【0069】
また、すべての端子部32に絶縁性の端子部カバー48を設けることにより、優れた感電防止対策を実現できる。本実施形態のように、2つの電池モジュール12A,12Bの隣接する単電池16群の対極同士の端子間を接続する場合には、第一端子部側ユニット24と第二端子部側ユニット26の端子部32の両方が活電部となる。それゆえ、第一端子部側ユニット24と第二端子部側ユニット26の端子部32の両方を絶縁性の端子部カバー48で覆うことにより、作業者等の活電部への接触を抑制して安全性の向上を図ることができる。
【0070】
端子部32と接続部60をボルト締結によって固定することにより、端子部32と接続部60を安定して締め付けて固定することができる。また、端子部開口窓50がボルト挿通孔68の周囲に環状に形成され、接続部側中継部66の内孔がボルト挿通孔68とされ、接続部側中継部66が環状の金属部材から構成されている。それゆえ、コンパクトに端子部開口窓50と接続部側中継部66を形成でき、端子間接続構造10の小型化を図ることができる。しかも、接続部側中継部66を環状の金属部材とすることにより、接続部側中継部66の強度を確保することができる。
【0071】
接続部60に接続する接続部側中継部66の筒部66Aの下端部は、
図6および
図7に示すように、ガイド壁78に囲まれており、ケース70の外部には露出していない。それゆえ、接続部60が下面の全面に亘ってケースから露出していた従来構造に比して、作業者等の接続部60への接触も有利に抑制することができる。
【0072】
通電部材がバスバー56によって構成され、バスバー56の長手方向中間部分に、バスバー56の板厚方向に屈曲された一対のクランク状屈曲部58が設けられている。これにより、バスバー56の長手方向両端部に設けられた各接続部60が接続される第一端子部側ユニット24の端子部32と第二端子部側ユニット26の端子部32との間に生じるバスバー56の板厚方向における公差を有利に吸収できる。また、逆向きの一対のクランク状屈曲部58を設けたことにより、各接続部60をバスバー56の板厚方向で同じ位置に設けることができる。加えて、バスバー56の接続部60のボルト挿通孔62が長手方向に延びる楕円形状とされていることから、バスバー56の接続部60が接続される端子部32との間に生じるバスバー56の長手方向における公差を有利に吸収できる。
【0073】
図7に示すように、接続部60のボルト挿通孔62と接続部側中継部66のボルト挿通孔68には、バスバー56の長手方向へのボルト84の変位を許容する第一スペース:a1,a2が設けられている一方、通電部品54のケース本体70Aと蓋体70Bには、バスバー56の長手方向へのボルト84と接続部側中継部66の変位を許容する第二スペース:b1,b2,b3が設けられている。これにより、通電部品54の各接続部60,60を端子部32にボルト締結する際には、バスバー56の長手方向において寸法公差の積み重なりによって生じる第一端子部側ユニット24の端子部32と第二端子部側ユニット26の端子部32の離隔距離のばらつきが、第一スペース:a1,a2および第二スペース:b1,b2,b3により有利に吸収できる。なお、第一スペース:a2は内周部48Bを収容するスペースを兼ねている。
【0074】
通電部品54を構成するケース70の上面には絶縁塗装が施されたボルト84の頭部を露出する上面開口部80が設けられ、ケース70の下面には、ボルト84のねじ部84Aと接続部側中継部66を露出する下面開口穴74が設けられている。ケース70内にはボルト84が予め収容されていることから、ボルト締結時における作業性の向上を図ることができる。また、ボルト84の頭部には絶縁塗装が施されていることから、ケース上面側における感電防止対策も達成されている。さらに、ケース70に設けられた下面開口穴74からボルト84のねじ部84Aと接続部側中継部66が露出しているに過ぎないことから、ケース70の下面側における作業者と接続部60との接触が有利に抑制されている。
【0075】
ガイド壁78が接続部側中継部66より高い壁であることから、接続部側中継部66に対する作業者の接触を一層有利に抑制することができる。また、ガイド壁78が、ボルト84のねじ部84Aの先端部とほぼ同じ寸法で突出している。それゆえ、ボルト締結時における作業者とボルト84のねじ部84Aとの接触も有利に抑制され、ボルト締結作業時の安全性の向上を図ることができる。
【0076】
一対のガイド壁78が、各端子部側ユニット24,26の接続端子28にそれぞれ接触することで通電部品54の変位が抑制乃至は制限されている。これにより、例えば、第一端子部側ユニット24に第一接続部側ユニット86をボルト締結した後に通電部品54が変位して、活電部となる第二接続部側ユニット88の接続部60が作業者等が接触可能な領域に露出されることなどが、抑制乃至は防止される。
【0077】
加えて、接続部側中継部66と通電部材であるバスバー56を別体とすることで、それらの材料の選択自由度を向上させることができる。しかも、接続部側中継部66がケース70に保持されていることから、比較的小型となる接続部側中継部66の取り扱いが容易となっている。なお、接続部側中継部66のフランジ部66B側をケース70の内部から下面開口穴74の周縁に係合させることで、ケース70内に接続部側中継部66を収容して保持していることから、簡単な構造で、接続部側中継部66のケース70外への突出とケース70への保持を実現することができる。
【0078】
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。なお、以下の変形例3〜12では、第二端子部側ユニット26と第二接続部側ユニット88側を図示して説明するが、これらの変形例は、第一端子部側ユニット24と第一接続部側ユニット86にも同様に適用可能であり、第一端子部側ユニット24と第一接続部側ユニット86および第二端子部側ユニット26と第二接続部側ユニット88の一方に適用されてもよいし、両方に適用されてもよい。
【0079】
<変形例1>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、第一電池モジュール12Aと第二電池モジュール12Bを接続していたが、これに限定されない。例えば、
図8に示す変形例1の端子間接続構造90のように、電池モジュール12とジャンクションボックス92を接続していてもよく、2つの任意の機器の端子部同士を接続することが可能である。
また、通電部品54は直線状に延びて形成されていたが、例えば、
図8に示す変形例1の端子間接続構造90のように、通電部品94がL字状とされていてもよく、任意の形状が採用可能である。なお、通電部品94を構成するバスバー96の接続部60,60の2つのボルト挿通孔62の形状は、
図9に示すように、いずれもバスバー56の長手方向が長軸となる略楕円形状を有しており、その方向が相互に直交している(
図9のX方向とY方向)。例示の実施形態1のように、接続部側中継部66のボルト挿通孔68も同様の楕円形状として、ボルト84の変位を許容する第一スペース:a1,a2を設け、さらにケース70においても、ボルト84と接続部側中継部66変位を許容する第二スペース:b1,b2,b3を設けることにより、直交する2方向の公差吸収が可能となる。
【0080】
<変形例2>
加えて、両端子部32,32が絶縁性の端子部カバー48によって覆われていたが、ジャンクションボックス92と外部端子98とを接続する変形例2の端子間接続構造100のように、ジャンクションボックス92側の第二端子部側ユニット26の端子部32のみが絶縁性の端子部カバー48によって覆われていてもよい。すなわち、活電部となり得る少なくとも一方の端子部のみを絶縁性の端子部カバー48によって覆うことも可能であり、コストを抑えつつ感電防止を図ることができる。
【0081】
<変形例3>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、ボルト84の頭部には絶縁塗装が施されていたが、これに限定されない。例えば、
図10から
図11に示す変形例3の端子間接続構造102のように、通電部品54に用いられるボルトとして頭部に絶縁塗装が施されていない六角穴付きボルト104を用いることが可能である。六角穴付きボルト104は、円筒形状の頭部104Aと頭部104Aから下方に延びるやや小径のねじ部104Bを有しており、頭部104Aの上面の中央部分には、図示しない締結工具の先端部が嵌め入れられる六角断面の工具嵌合穴104Cが上方に開口して形成されている。また、六角穴付きボルト104を収容保持するケース106のケース本体106Aと蓋体106Bのうち、蓋体106Bの長手方向(X方向)の端部には、蓋体106Bの上面から上方に向かって突出して下方に向かって開口する有底円筒形状の突部108が設けられている。突部108の上壁108Aの中央部には、円形断面形状の上面開口部80が形成されている。この結果、平面視において、上面開口部80を介して工具嵌合穴104Cが外部に露出され、頭部104Aの外周部分はケース106の上面となる蓋体106Bに形成された突部108の上壁108Aによって覆われている。なお、
図11に示すように、ケース106の上面を構成する蓋体106Bにおいて、六角穴付きボルト104の頭部104Aの外周部分を覆う部位である突部108の上壁108Aが、頭部104Aから上方に離隔して構成されている。
六角穴付きボルト104に対してボルト締結の際に使用される図示しない工具の先端部分は、工具嵌合穴104Cに挿入可能な大きさである。上述の端子間接続構造10で用いられていたボルト84をボルト締結する際に使用される図示しない工具の先端部分は、ボルト84の頭部を把持する必要性からボルト84の頭部よりも大きい。それゆえ、変形例3の端子間接続構造102では、通電部品54のケース106における蓋体106Bの上面開口部80の径を、上述の端子間接続構造10の蓋体70Bの上面開口部80の径よりも小さくすることができる。さらに、変形例3の端子間接続構造102では、六角穴付きボルト104の頭部104Aの外周部を覆う突部108の上壁108Aが、六角穴付きボルト104の頭部104Aから上方に離隔している。これにより、上述の端子間接続構造10で用いられていたボルト84のように頭部に絶縁処理を施さなくとも、上面開口部80のある程度の大きさを確保しつつ活電部となるボルト84の頭部への手指の接触を有利に抑制乃至は防止することができる。なお、工具嵌合穴104Cの断面形状として六角断面のものを例示して説明を行ったが、非円形断面である、六角以外の多角形や星形、+や−の他、円形断面等の任意の形状が採用可能である。
【0082】
<変形例4>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、接続部側中継部66と通電部材であるバスバー56が別体で形成されていたが、これに限定されない。例えば、
図12から
図13に示す変形例4の端子間接続構造110のように、接続部側中継部112がバスバー56に一体的に形成されていてもよい。これにより、比較的小型の部品である接続部側中継部112の取り扱いが容易となる。それゆえ、組み立て作業性の向上等を図ることができる。接続部側中継部112は、例えばバーリング加工によって形成することができる。この結果、接続部側中継部112のボルト挿通孔68の上方開口部は上方に向かって外方に広がるテーパ状となっている。それゆえ、ボルト挿通孔68に対してボルト84のねじ部84Aを容易に挿通することが可能となっている。なお、接続部側中継部112をバスバー56に一体的に形成する方法に限定はなく、任意の方法が採用可能である。例えば、アルミ等のダイキャスト品としてバスバー56と接続部側中継部112を一体的に形成してもよい。
【0083】
<変形例5>
あるいは、
図14から
図15に示す変形例5の端子間接続構造114のように、それぞれ別体で形成された平板形状のバスバー56と円筒形状の接続部側中継部116を溶接等の公知の手段を用いて一体化してもよい。この場合も、比較的小型の部品である接続部側中継部116の取り扱いが容易となる。それゆえ、組み立て作業性の向上等を図ることができる。
【0084】
<変形例6>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、接続部側中継部66は、円筒形状の筒部66Aと、筒部66Aから外方に突出するフランジ部66Bとを備えており、フランジ部66Bがケース70の内側から下面開口穴74の周縁に係合されることにより、ケース70に保持されていたが、これに限定されない。例えば、
図16から
図17に示す変形例6の端子間接続構造118のように、接続部側中継部120が全体として円筒形状を有しており、接続部側中継部120の軸方向中央部分に矩形断面で環状に延びるくびれ部120Aが外周面に開口して形成されていてもよい。これにより、ケース本体70Aに貫設された下面開口穴74に接続部側中継部120を圧入すると、下面開口穴74の外周縁部が下方に向かって弾性変形されて下面開口穴74に対する接続部側中継部120の挿入が許容される。接続部側中継部120のくびれ部120Aが下面開口穴74に到達すると、下面開口穴74の外周縁部が弾性復帰してくびれ部120Aに入り込む。その結果、ケース本体70Aに貫設された下面開口穴74に接続部側中継部120を圧入するだけで、接続部側中継部120のケース本体70A外への突出とケース本体70Aへの保持を実現することができ、ケース本体70Aや接続部側中継部120の構造の容易化を図ることができる。なお、端子間接続構造10の接続部側中継部66が、ケース本体70Aにインサート成形されることにより、ケース70に保持されていてもよい。これにより、比較的小型の部品である接続部側中継部66の取り扱いが容易となる。それゆえ、組み立て作業性の向上等を図ることができる。
【0085】
<変形例7>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、端子部カバー48は、端子部カバー48の外周部を構成する外周部48Aと、端子部カバー48の内周部を構成する内周部48Bとを含み、外周部48Aと内周部48Bによって平面視で円環状の端子部開口窓50が区画されるようになっていたが、端子部開口窓50の形状はこれに限定されない。
例えば、
図18から
図19に示す変形例7の端子間接続構造122では、端子部カバー124は平板形状を有する絶縁性の合成樹脂製であり、平面視で円形の端子部開口窓50が開口して形成されている。この端子部開口窓50は、端子部32のボルト挿通孔38とその周辺部を露出させる大きさで開口している。そして、端子部開口窓50の周縁部には、接続部側中継部66に向かって突出する円筒形状の突部124Aが設けられている。突部124Aが高さを有して接続端子28から離隔する方向に突出していることから、端子部開口窓50を挿通した接続端子28への手指等の接触が、突部124Aの高さの分、発生し難くなっている。それゆえ、突部124Aを設けることにより、端子間接続構造10で用いた内周部48Bを省略することも可能となり、部品点数の削減を図ることができる。
なお、端子間接続構造122の組付け状態で、突部124Aの突出先端部は、ケース本体70Aの底壁72に当接しないように構成されている。これにより、ボルト締結による軸力が突部124Aを介して端子部カバー124に分散されることが回避されている。
【0086】
<変形例8>
さらに、
図20から
図21に示す変形例8の端子間接続構造126では、端子部カバー128に矩形断面形状の端子部開口窓130が設けられ、端子部開口窓130の頂点から斜め外方に向かってスリット130Aが貫設されている。これにより、端子部開口窓130の周縁部が、上下方向に弾性変形可能な4つの弾性撓み片128Aによって構成されており、端子間接続構造126の組付け状態において、接続部側中継部66の筒部66Aによって4つの弾性撓み片128Aが下方に押圧されて弾性変形されて、端子部開口窓130が拡開されることにより、接続部側中継部66の筒部66Aの先端部が端子部32に導通接続可能となっている。なお、
図20から
図21において、弾性変形前の端子部カバー128を仮想線で記載し、弾性変形後の端子部カバー128を実線で記載している。また、
図21において、筐体14Aを仮想線で記載している。端子間接続構造126の組付け状態前には、端子部カバー128の弾性撓み片128Aが弾性変形しておらず、端子部開口窓130の開口面積を小さくできる。それゆえ少ない部品点数で、端子部32に手指が触れることが抑制乃至は防止されている。
【0087】
<変形例9>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、略円筒形状の単一の接続部側中継部66が用いられていたが、接続部側中継部の形状や個数はこれに限定されない。例えば、
図22から
図23に示す変形例9の端子間接続構造132では、バスバー56の第二接続部側ユニット88において、矩形断面で突出する2つの接続部側中継部138が相互に離隔して突出して形成されている。ケース本体70Aの底壁72には2つの接続部側中継部138が挿通される2つの貫通孔140が相互に離隔して貫設され、端子部カバー134には2つの接続部側中継部138が挿通される2つの矩形状の端子部開口窓136が相互に離隔して設けられている。なお、
図22では、理解を容易とするために、バスバー56のみ裏面側が表示されるように回転して示している。このように複数の接続部側中継部138を相互に離隔して配設できることから、接続部側中継部138の配置や材料選択等の自由度の向上が図られる。なお、複数の接続部側中継部138はバスバー56と一体に設けられてもよいし、別体に設けられてもよい。また、端子部開口窓50が円環状に設けられていた端子間接続構造10では、接続端子28のボルト挿通孔38の内周面を覆う端子部カバー48の内周部48Bを、端子部カバー48の他の部位から別体に設ける必要があった。変形例9の端子間接続構造132では、端子部カバー134に設けられる端子部開口窓136が相互に離隔して設けられた2つの矩形状であることから、接続端子28のボルト挿通孔38の内周面を上方から覆う内周部134Bを端子部カバー134の他の部位と一体的に設けることができる。これにより、比較的小型となる内周部134Bの取扱性が向上されている。
【0088】
<変形例10>
図24から
図25に示す変形例10の端子間接続構造142では、バスバー56の第二接続部側ユニット88において、5つの円形断面で突出する接続部側中継部148がボルト挿通孔62の周方向に相互に離隔して突設されている。ケース本体70Aの底壁72には5つの接続部側中継部148が挿通される5つの貫通孔150が相互に離隔して貫設され、端子部カバー144には5つの接続部側中継部148が挿通される5つの円形状の端子部開口窓146が相互に離隔して設けられている。なお、
図24では、理解を容易とするために、バスバー56のみ裏面側が表示されるように回転して示している。端子間接続構造142においても、接続部側中継部148の配置や材料選択等の自由度の向上が図られる。複数の接続部側中継部148はバスバー56と一体に設けられてもよいし、別体に設けられてもよい。また、端子部カバー144において、接続端子28のボルト挿通孔38の内周面を上方から覆う内周部144Bを端子部カバー144の他の部位と一体的に設けることができることから、部品点数の削減や取扱性の向上を図ることができる。
【0089】
<変形例11>
本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、第一電池モジュール12Aと第二電池モジュール12Bに対して、それぞれ別途形成された第一端子部側ユニット24と第二端子部側ユニット26を装着して、端子間接続構造10を構成する例を示したが、
図26に示す本開示の変形例11の端子間接続構造152のように、電池モジュール154上に取り付けられるバスバーモジュール156に対して、第一端子部側ユニット24や第二端子部側ユニット26を設けるようにしてもよい。電池モジュール154は、図示しない筐体内に充電可能な複数(
図26では、5個)の単電池16を収容している。バスバーモジュール156は、格子状の矩形枠体形状を有しており、各矩形状の枠体156A内に前後方向に対向する下端部から内方に向かって突出する矩形平板状のバスバー支持突起156Bが設けられている。各枠体156A内に矩形平板状のバスバー156Cが配置され、電池モジュール154上に取付けられた後、単電池16の電極154Aに電気的に接続される。これにより、複数の単電池16が直列に接続されている。複数の単電池16の電極154Aのうち、左上の電極154Aが最も低い電圧(例えば0V)とされており、右下の電極154Aが最も高いプラス電圧とされている。左上の電極154Aは、例えば外部のグランド電圧とされた部位に図示しない部材によって電気的に接続されている。右下の電極154Aには、例えば
図26に示すように、第一端子部側ユニット24が取り付けられている。このように、バスバーモジュール156に設けられた第一端子部側ユニット24に対して、通電部品54の第一接続部側ユニット86が接続されるようにしてもよい。
【0090】
<変形例12>
上述の実施形態1やその変形例1〜11では、通電部品として、通電部材であるバスバー56がケース70,106に収容された構成のものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、
図27に示す本開示の変形例12の端子間接続構造158のように、通電部品は、両端に接続部が設けられたワイヤハーネス160によって構成され、当該ワイヤハーネス160により2つの機器、例えば、電池モジュール154の第一端子部側ユニット24と図示しない外部機器の端子部間が導通接続される端子部間接続構造に対しても、同様に適用可能である。
図27に示す本開示の変形例12の端子間接続構造158では、ワイヤハーネス160が、活電部となる電池モジュール154の第一端子部側ユニット24の端子部32と図示しない外部機器の端子部を接続する端子間接続構造に本開示の端子間接続構造158が用いられている。すなわち、第一端子部側ユニット24には、端子部32が内部に収容状態で保持され、端子部32は絶縁性の端子部カバー48によってカバーされており、端子部カバー48によって端子部32を部分的に露出させる端子部開口窓50が設けられている。また、第一端子部側ユニット24に接続されるワイヤハーネス160の一端側の第一接続部側ユニット86の接続部60が、絶縁性のケース70によって覆われており、第一接続部側ユニット86に設けられた接続部側中継部66がケース70から外部に突出している。そして、ワイヤハーネス160の一端部に設けられた第一接続部側ユニット86が電池モジュール154の第一端子部側ユニット24にボルト締結されることにより、第一接続部側ユニット86に設けられた接続部側中継部66が第一端子部側ユニット24に設けられた端子部開口窓50を通じて挿通されて、接続部側中継部66の筒部66Aが第一端子部側ユニット24の端子部32に接触した状態に保持される。これにより、第一端子部側ユニット24とワイヤハーネス160の第一接続部側ユニット86の接続部60との間が接続部側中継部66を介して電気的に接続された状態となる。
変形例12においても、活電部である電池モジュール154の第一端子部側ユニット24の端子部32への接触を端子部カバー48により抑制乃至は防止することができる。また、電池モジュール154の第一端子部側ユニット24に接続されるワイヤハーネス160の第一接続部側ユニット86に接続部側中継部66が設けられていることから、端子部32と接続部60との電気的接続を問題なく実現できる。
【0091】
<変形例13>
上述の実施形態1やその変形例1〜12に示す端子間接続構造では、第一および/または第二端子部側ユニット24,26の端子部32,32を絶縁性の端子部カバー48によって覆うことにより、端子部32,32に対する感電対策を施す例を示したが、通電部品の接続部60,60を接続部カバーで覆うことにより、接続部側に感電対策を施すことも可能である。具体的には、例えば、
図8に示す端子間接続構造90(変形例1)は、第一電池モジュール12Aの第一端子部側ユニット24の端子部32とジャンクションボックス92の端子部を接続しているが、第一端子部側ユニット24の端子部32に通電部品94の第二接続部側ユニット88の接続部60を接続すると、ジャンクションボックス92の端子部への接続前の第一接続部側ユニット86の接続部60が活電部となる。そのため、活電部となり得るジャンクションボックス92の端子部32へ接続される
図8に示す通電部品94の第一接続部側ユニット86の接続部60へ感電対策を施した変形例13について、
図28〜33を参照しつつ、以下に詳述する。変形例13の端子間接続構造162では、通電部品163の第一接続部側ユニット164の接続部60が後述する絶縁性カバーとしての接続部カバーを構成する端部ケース174のケース本体174Aの底壁72に覆われることにより、接続部60の感電対策がなされている。より詳細には、通電部品163の第一接続部側ユニット164の接続部60は、ジャンクションボックス92の第一端子部側ユニット168に設けられた端子部187へ接続されるものであり、通電部品163の図示しない第二接続部側ユニットの接続部60が
図8に示す電池モジュール12等の端子部32に接続された状態で活電部となるものである。通電部品163は、通電部材を構成するバスバー170と、バスバー170に設けられた接続部60,60を覆う端部ケース174を含んでおり、端部ケース174には、絶縁被覆171が施されたナット172が収容されている。
【0092】
<バスバー170>
通電部材を構成するバスバー170は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板状の金属からなり、バスバー170の長手方向の両端部には、同形状とされた接続部60,60が形成され、中央に長手方向が長軸となる略楕円形状のボルト挿通孔62が貫設されかつ幅方向の両側に位置決め凹部64が形成されている。なお、本開示の変形例13では、バスバー170を収容する絶縁性のケースが、バスバー170の長手方向の中間部分を被覆する絶縁被覆175と、接続部60を覆う端部ケース174を含んで構成されている。それゆえ、バスバー170を収容する絶縁性のケースを、バスバー170の全体を覆うケースとする場合に比して、よりコンパクト且つ低コストで提供することができる。また、バスバー170の端部のみに端部ケース174を取り付ければよく、長尺のケース内にバスバー170を収容する場合に比して作業性の改善が図られている。
【0093】
<端部ケース174>
バスバー170の接続部60を収容する絶縁性の端部ケース174は、例えば
図30に示すように、ケース本体174Aと蓋体174Bを含んでいる。ケース本体174Aと蓋体174Bはいずれも絶縁性の合成樹脂製とされ、別体で形成されている。なお、ケース本体174Aと蓋体174Bは一体形成されていてもよい。変形例13では、端部ケース174が第一接続部側ユニット164に設けられた場合について説明を行うが、後述する変形例14,15で説明するような端部ケース174を第二接続部側ユニット88に設けることも可能である。
【0094】
ケース本体174Aは、長手方向に延びる略矩形箱体形状とされており、内部に収容されるバスバー170の形状に応じて、長手方向一端部(
図30中、左端部)が浅底とされている。ケース本体174Aの底壁72の長手方向中央部には、後述する端子部側中継部188の筒部188Aが挿通されてバスバー170と接続するために設けられた開口窓としての接続部開口窓176が、周方向に離隔した4箇所に形成されている(
図31参照)。ケース本体174Aの底壁72の幅方向両側には、バスバー170の位置決め凹部64に係合する位置決め突起76a,76bが内側に向かって突出して形成されている。また、底壁72の長手方向一方側(
図32中、右側)には、幅方向に離隔して長手方向他方側(
図32中、左側)に向かって延び出す2本の位置決め突条178が形成されている。バスバー170の位置決め凹部64と位置決め突起76a,76bの間には、長手方向に対して隙間c1、c2が形成されていることから、バスバー170の長手方向で、ケース本体174Aのバスバー170に対する変位が許容されている。すなわち、バスバー170の長手方向の一方側となる左方向へのバスバー170に対するケース本体174Aの変位端は、ケース本体174Aに設けられた位置決め突起76への位置決め凹部64の当接により規定される。また、バスバー170の長手方向の他方側となる右方向へのバスバー170に対するケース本体174Aの変位端は、ケース本体174Aに設けられた位置決め突条178へのバスバー170の端縁部の当接により規定される。このように、ケース本体174Aはバスバー170に対してバスバー170の長手方向に変位可能に組み付けられている。さらに、バスバー170の接続部60に貫設されたボルト挿通孔62は、バスバー170の長手方向に長尺となる長穴形状を有しており、ボルト挿通孔62に挿通されるボルト195の両側において、バスバー170に対する端部ケース174の長手方向での変位を許容する変位許容隙間c3,c4が設けられるようになっている。さらに、
図33に示すように、端部ケース174にナット172が保持された状態で収容されている。これにより、ナット172は端部ケース174と共に、バスバー170に対して長手方向に変位可能である。それゆえ、後述する第一端子部側ユニット168において突出しているボルト195や端子部側中継部188に対して、端部ケース174をバスバー170の長手方向に変位させてボルト195と端子部側中継部188をボルト挿通孔62と接続部開口窓176に位置合わせすることにより、第一および第二端子部側ユニット168,26間距離の公差を有利に吸収できて、端子部187,32間の接続を容易に行うことが可能となっている。加えて、ケース本体174Aの長手方向中央部の幅方向両端部には、上方に向かって開口する切欠部180が形成されており、切欠部180の下端部には外方に向かって突出する係合突部182が設けられている。
【0095】
端部ケース174の上面を構成する蓋体174Bは、
図30に示すように、全体として長手方向に延びて下方に向かって開口する矩形の箱体の形状である。蓋体174Bの長手方向の中央部には、ナット172とナット172に締結されたボルト195の先端部が位置する上面開口部80が形成されている。本変形例では、ナット172がボルト195の先端部を覆う壁部を備えた袋状とされており、ナット172の表面には、
図33に示す絶縁被覆が施されている。なお、絶縁被覆171は、例えば、フッ素樹脂をコーティング加工したり、ナイロン粉体加工すること等により形成されている。また、蓋体174Bの長手方向中央部の幅方向両端部には、下方に向かって延び出す係合枠体184が形成されており、ケース本体174Aの係合突部182と係合することで、ケース本体174Aに対して蓋体174Bが組み付け状態に固定されるようになっている。
【0096】
<第一端子部側ユニット168>
第一端子部側ユニット168は、
図30に示すように、ボルト195と、ボルト195の頭部を保持するホルダー186と、下流側の回路と接続される端子部187および中継部としての端子部側中継部188と、端子部187および端子部側中継部188をカバーする絶縁性の絶縁カバー190と、を含んでいる。端子部187は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板状の金属からなり、幅方向の中間部がL字状に曲げられた形状を有しており、ボルト挿通孔38が貫設されている。
【0097】
<端子部側中継部188>
端子部側中継部188は、
図30に示すように、環状の金属部材から構成されており、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄等の金属からなる。端子部側中継部188は、略円筒形状の筒部188Aと、筒部188Aの下端部から外周側にフランジ状に突出するフランジ部188Bとを備え、端子部側中継部188の内側は、ボルト195のねじ部が挿通されるボルト挿通孔68とされている。筒部188Aは、軸方向に形成されたスリットによって周方向に4つに分割されている。フランジ部188Bは、ボルト挿通孔68の軸方向における下方側において、端子部側中継部188の外壁の全周に亘って一定の寸法で段差状に突出されている。そして、後述する絶縁カバー190の貫通孔の周縁部にフランジ部188Bが当接することで、絶縁カバー190からの端子部側中継部188の離脱が阻止されるようになっている。
【0098】
なお、端子部側中継部188の形状は例示のものに限定されず、任意の形状が採用可能である。例えば、端子部側中継部188と接続端子28が一体的に形成されていてもよい。あるいは、端子部側中継部188が、絶縁カバー190に貫設された貫通孔に圧入されることにより、絶縁カバー190に保持されていてもよい。また、接続端子28に、複数の端子部側中継部188が相互に離隔して突出して形成されていてもよい。
【0099】
<絶縁カバー190>
絶縁性の絶縁カバー190は、
図30に示すように、全体として略矩形箱体形状を有しており、絶縁カバー190の上面の中央部には、貫通孔が形成されている。貫通孔の周縁部が上方に突出した後に内方に向かって延び出して中央部に開口窓194を有する円筒形状の筒部192を形成している。筒部192内に端子部側中継部188のフランジ部188Bが収容されて安定的に保持され、筒部188Aが筒部192の開口窓194を挿通して上方に露出するようになっている。端子部側中継部188の下方には、固定用のボルト195が配置されており、ボルト195のねじ部が端子部側中継部188の内孔を挿通して上方に突出している。また、絶縁カバー190の長手方向両側の外壁の下端部には、係合突起196が外方に向かって突出しており、ホルダー186の被係合部198と係合して第一端子部側ユニット168が組み付け状態に保持されるようになっている。ホルダー186は、長手方向に延びる略帯状平板形状とされており、中央部分にボルト84の頭部を保持する収容凹所200が上方に向かって開口して形成されており、長手方向両端部には、ホルダー186を固定する固定部202が設けられている。
【0100】
<本開示の変形例13の端子間接続構造162の組み付け>
はじめに、ケース本体174A内にバスバー170の接続部60を収容し、バスバー170の位置決め凹部64にケース本体174Aの位置決め突起76が配置され、バスバー170の長手方向の端部がケース本体174Aの位置決め突条178より手前側に位置するように配置する。次に、ナット172のねじ穴がバスバー170のボルト挿通孔62の中央に位置合わせされた状態で、ケース本体174Aを蓋体174Bで覆蓋することで、ナット172を蓋体174Bの上面開口部80内に安定的に配置された状態で保持する。これにより、通電部品163の第一接続部側ユニット164が完成する。続いて、ホルダー186を準備して、ホルダー186の収容凹所200にボルト195の頭部を保持し、このボルト195のねじ部に対して端子部187のボルト挿通孔38を挿通して、ボルト195の頭部上に端子部187を載置する。続いて、ボルト挿通孔38上に端子部側中継部188のボルト挿通孔68を位置合わせして配置し、その上から絶縁カバー190を覆蓋することによりこれらの部材が絶縁カバー190とホルダー186の間に安定的に収容される。これにより、第一端子部側ユニット168が完成する。最後に、第一端子部側ユニット168に対して第一接続部側ユニット164を組み付けることにより、通電部品163の接続部60と端子部187が端子部側中継部188を介して導通接続され、端子間接続構造162の一方の接続が完成する。なお、他方の接続については、上述の実施形態1やその変形例1〜12と同じであるので省略する。この結果、二つの接続部の他方である第一接続部側ユニット164の接続部60が絶縁性の接続部カバーである端部ケース174のケース本体174Aの底壁に覆われ、底壁に設けられた接続部開口窓176を介して接続部60が部分的に露出している。ケース本体174Aの底壁に覆われた接続部60に締結される端子部187を備える第一端子部側ユニット168に、端子部187に接続した端子部側中継部188が設けられており、端子部側中継部188が接続部開口窓176を挿通して接続部60に接続されるようになっている。
【0101】
続いて、本変形例13の作用効果について説明する。本変形例13によれば、通電部品163の図示しない第二接続部側ユニットの接続部60が
図8に示す第一電池モジュール12Aの第一端子部側ユニット24の端子部32に接続されることを想定しているが、活電部となる第一電池モジュール12Aの第一端子部側ユニット24の端子部32は、実施形態1で示したとおり端子部カバー48で覆われていることから、作業者等の端子部32との接触が抑制でき、要求される感電対策を満たすことができる。通電部品163の第一接続部側ユニット164の接続部60は、図示しない第二接続部側ユニットの接続部60を第一電池モジュール12Aの第一端子部側ユニット24の端子部32に締結した後は活電部となる。本変形例では、第一接続部側ユニット164の接続部60がケース本体174Aの底壁によって構成された接続部カバーで覆われていることから、活電部となる接続部60への作業者等の接触を抑制できる。これにより、通電部品163による二つの端子部187,32の締結作業をより優れた感電対策のもと行うことが可能となる。
【0102】
また、通電部品163の第一接続部側ユニット164において、端部ケース174内に締結用のナット172が収容されている。第一端子部側ユニット168では、締結用のボルト195と端子部側中継部188がいずれも絶縁カバー190の開口窓194の下方に配置されて収容されている。これにより、第一端子部側ユニット168と第一接続部側ユニット164を締結用の部品を含めてユニット化することができ、部品の取扱性や作業性の向上を有利に図ることができる。特に、バスバー170の長手方向で、端部ケース174がバスバー170に対して変位可能に組み付けられ、バスバー170の接続部60に貫設されたボルト挿通孔62は、バスバー170に対する端部ケース174およびその内部に収容されたナット172の長手方向での変位を許容する変位許容隙間c3,c4を有して設けられている。それゆえ、接続部60,端子部187をボルト195とナット172を用いて締結する際に、2つの端子部32,187の間の離隔距離の公差を、バスバー170に対する端部ケース174の変位により容易に吸収できる。さらに、端部ケース174の上面開口部80に位置するナット172は絶縁被覆されていることから、端部ケース174上面側における感電防止対策も両立して達成されている。加えて、端子部187は、絶縁カバー190で覆われており、ボルト195の先端部と端子部側中継部188の先端部が、絶縁カバー190の開口窓194を挿通して突出しているが、活電部とならない、電池モジュール12に接続される電気接続箱の端子部等に設けることで、感電対策を行っている。
【0103】
<変形例14>
次に、上述の実施形態1やその変形例1〜13に示す本開示の端子間接続構造において、通電部品のケースに対して端子部との接続を阻止する後述する接続阻止部210を設けた変形例14について、
図34〜
図39を用いて説明する。以下の説明では、通電部品の一方の接続部側に接続阻止部210を設けた例を示すが、通電部品の他方の接続部側にも同様の接続阻止部210を設けてもよい。すなわち、変形例14の端子間接続構造204では、通電部品206の一方の接続部である接続部60を備えた接続部側ユニット208に、接続阻止部210が設けられている。なお、変形例14の通電部品206では、変形例13と同様、通電部品206のケースが、通電部材を構成するバスバー170の長手方向の中間部分を被覆する絶縁被覆175と、バスバー170の一方の端部に設けられた接続部60を覆う端部ケース174を含んで構成されている。また、通電部品206の接続部側ユニット208が組み付けられる端子部側ユニット212も、変形例13に示した第一端子部側ユニット168と類似の構造を有している。それゆえ、実施形態1やその変形例1〜13と同様の構造については、図面において同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0104】
<接続部側ユニット208>
通電部品206の接続部60を収容する端部ケース174が、バスバー170の長手方向でバスバー170に対して変位可能である点は変形例13と同様であるが、変形例14では、端部ケース174の内部には、ボルト214と中継部としての接続部側中継部216が収容保持されている点が、異なっている。そして、ボルト214と接続部側中継部216は、端部ケース174と共に、バスバー170に対して長手方向に変位可能とされている。ケース本体174Aの底壁には、下面開口穴74が板厚方向に貫通して設けられている。接続部側中継部216は、環状の金属部材から構成されており、略円筒形状の筒部216Aと、筒部216Aの上端部から外周側にフランジ状に突出するフランジ部216Bとを備え、接続部側中継部216の内側は、ボルト214のねじ部214Aが挿通されるボルト挿通孔218とされている。筒部216Aは、軸方向に形成されたスリットによって周方向に4つに分割されている。これにより、端部ケース174に収容保持された接続部側中継部216の先端部とボルト214の先端部が、下面開口穴74とボルト挿通孔218をそれぞれ挿通して外部に突出している。端部ケース174の蓋体174Bに設けられた上面開口部80を介して絶縁被覆されたボルト214の頭部が露出されており、ボルト締結用の工具がボルト214の頭部に対して接続可能とされている。
【0105】
図36,
図38に示すように、端部ケース174のケース本体174Aは、下面開口穴74が貫設された底壁よりもボルト214の先端部を越えて下方に突出する周壁部220を有している。周壁部220を構成する一対の側壁220a,220bの一方側(
図38中、左側)の側壁220aの突出端部には、平板状の接続阻止部210が回転軸222回りに回転可能に軸支されている。接続阻止部210は、
図36に示す接続部側ユニット208と端子部側ユニット212の接続を許容する許容位置と、
図37に示す接続部側ユニット208と端子部側ユニット212の接続を阻止する阻止位置との間を回動可能である。
図36の許容位置では、接続阻止部210が側壁220aの突出端部からさらに下方に延び出しており、周壁部220の突出端部により区画される端部ケース174の下面開口部224を介して、ケース本体174Aの底壁の下面開口穴74から突出する接続部側中継部216の筒部216Aの先端部とボルト214の先端部が、露出している。
図37の阻止位置では、接続阻止部210が端部ケース174の下面開口部224を蓋覆して、ケース本体174Aの底壁の下面開口穴74から突出する接続部側中継部216の筒部216Aの先端部とボルト214の先端部を覆っている。接続阻止部210は、ばね部材226により
図37に示す阻止位置に付勢されており、ばね部材226の付勢力に抗して接続阻止部210を
図36に示す許容位置に向けて回動変位させることにより、接続阻止部210が接続部側ユニット208と端子部側ユニット212の接続を許容する許容位置へ変位可能とされている。接続阻止部210の側壁220aから離隔した端縁部には、接続部側ユニット208に設けられた後述する被嵌合部252,252に嵌合する嵌合部228,228が設けられている。
【0106】
<端子部側ユニット212>
端子部側ユニット212は、ナット230とL字状に屈曲された金属平板により構成された端子部232と、それらを保持するホルダー186を備えている。ホルダー186には、ナット230とナット230上に配置された端子部232を覆う絶縁性の絶縁カバー190が組み付けられており、ナット230と端子部232が絶縁カバー190とホルダー186の間に安定的に収容される。絶縁カバー190の上面は、端子部232を覆う絶縁性カバーとしての端子部カバーを構成しており、絶縁カバー190の中央部には、接続部側中継部216の筒部216Aが挿通されて端子部232と接続するために設けられた開口窓としての端子部開口窓234が、周方向に離隔した4箇所に形成されている(
図35参照)。さらに、端子部開口窓234の内周側には、ボルト挿通孔236を備えた内周筒部238が突出して形成されている。絶縁カバー190の側壁240には、接続阻止部210を収容保持する樋状の収容部242が下方に突出して設けられている。
図38に示すように、収容部242を構成する内壁部244と外壁部246の対向面間は、接続阻止部210を収容可能な隙間248が上方に開口して設けられている。内壁部244の上端部には、接続阻止部210の嵌合部228に当接して接続阻止部210を隙間248に案内する案内面250が設けられている。内壁部244の下方側には、隙間に向かって開口する凹状の被嵌合部252が設けられており、接続阻止部210の嵌合部228が嵌合されるようになっている。
【0107】
<本開示の変形例14の端子間接続構造204の組み付け>
はじめに、ケース本体174A内に接続部側中継部216を収容し、接続部側中継部216の先端部を環状の下面開口穴74を挿通してケース本体174Aの底壁から突出させる。続いて、バスバー170の接続部60のボルト挿通孔62を接続部側中継部216のボルト挿通孔218に位置合わせして、接続部側中継部216上に載置する。その後、ボルト214のねじ部214Aをボルト挿通孔62,218を挿通させてボルト214の頭部をバスバー170の接続部60上に載置する。この状態で、ケース本体174Aを蓋体174Bで覆蓋することで、端部ケース174内に、接続部60,接続部側中継部216,ボルト214が安定的に保持される。これにより、通電部品206の接続部側ユニット208が完成する。この時、接続阻止部210は、ばね部材226の付勢力により
図37に示す阻止位置に位置している。続いて、ホルダー186を準備して、ホルダー186の収容凹所200にナット230を保持し、ナット230の上面に端子部232を載置して、ナット230のボルト挿通孔254と端子部232のボルト挿通孔256を位置合わせする。その後、絶縁カバー190を上方からホルダー186に対して装着すると、絶縁カバー190の上面に設けられた内周筒部238のボルト挿通孔236がナット230のボルト挿通孔254と端子部232のボルト挿通孔256に位置合わせされる。この状態で、ホルダー186と絶縁カバー190の間で、ナット230と端子部232が安定的に保持される。これにより、端子部側ユニット212が完成する。
【0108】
最後に、端子部側ユニット212に対して接続部側ユニット208を組み付ける。その際には、先ず、接続部側ユニット208において、
図38に示すように接続阻止部210をばね部材226の付勢力に抗して許容位置まで変位させる。次に、接続阻止部210を絶縁カバー190に設けられた収容部242の隙間248に対して、上方から挿し入れる。その際、接続阻止部210に設けられた嵌合部228が収容部242の内壁部244に設けられた案内面250に当接することで、接続阻止部210がスムーズに収容部242の隙間248に案内されると共に、接続部側ユニット208のボルト214のねじ部214Aが端子部側ユニット212側の各ボルト挿通孔236,254,256に予め位置合わせされ、ボルト214のねじ部214Aが各ボルト挿通孔236,254,256にスムーズに挿入される。その後、図示しない工具によりボルト214をナット230にねじ込むことで、接続阻止部210がさらに収容部242の隙間248に押し込まれ、
図39に示すように接続阻止部210の嵌合部228が、端子部側ユニット212の収容部242に設けられた被嵌合部252に嵌合される。変形例14では、嵌合部228と被嵌合部252が、通電部品206の接続部60と端子部232の正規嵌合位置において嵌合されるようになっていることから、作業者は、嵌合部228と被嵌合部252の嵌合を検知することで、通電部品206の接続部60と端子部232が正しく嵌合されたことを容易に確認できる。これにより、通電部品206の接続部60と端子部232が接続部側中継部216を介して導通接続され、端子間接続構造204の一方の接続が完成する。
【0109】
続いて、本変形例14の作用効果について説明する。本変形例14によれば、通電部品206のケースを構成する端部ケース174に接続阻止部210が設けられ
図37に示す阻止位置に付勢されており、ボルト214や接続部側中継部216が接続阻止部210により覆われている。それゆえ、端子部間の接続作業中に、誤操作により通電部品206の接続部側ユニット208が端子部側ユニット212に落下等しても、接続部60が端子部232に誤って接続されることが確実に防止される。その結果、通電部品206の他方の接続部が意図せず活電部となる不具合を未然に防止できる。しかも、接続阻止部210は、接続部60と端子部232の接続を許容する許容位置へ変位可能とされ、実際に接続部60と端子部232を接続する際には、接続阻止部210を
図36,38に示す許容位置へ変位させる作業を伴う。それゆえ、作業者が接続部60と端子部232との接続作業を実行する際に注意を喚起することができ、通電部品206の他方の接続部が意図せず活電部となる不具合を確実に防止できる。
【0110】
加えて、本変形例14によれば、接続部側ユニット208の接続阻止部210に設けられた嵌合部228が、端子部側ユニット212の収容部242に設けられた被嵌合部252に嵌合することで、接続部側ユニット208と端子部側ユニット212の固定構造も併せて担うことができる。それゆえ、少ない部品点数で接続部60と端子部232の優れた接続安定性を確保することができる。
【0111】
<変形例15>
次に、上述の変形例14に示した接続阻止部のその他の態様である接続阻止部258を備えた、本開示の変形例15としての端子間接続構造259を
図40A,40Bに示す。変形例14と同様の構造については、図面に変形例14と同じ符号を付すことにより説明を省略する。変形例15の接続阻止部258は、端部ケース174のケース本体174Aの側壁220a,220bの外面に突出して形成された一対の弾性を有するロック片260,260を含んで構成されている。絶縁カバー190の側壁240a,240bの外面には、一対のロック枠体262,262が突出して形成されている。弾性を有するロック片260は、側壁220a,220bの上下方向に所定長さで延出し、下端部に側壁220a,220bに向かって突出する嵌合部264が設けられており、上端部には側壁220a,220bから離隔する方向に突出する押圧部266が設けられている。弾性を有するロック片260,260は、下端部よりの位置で連結部268を介して側壁220a,220bに連結されている。それゆえ、荷重が及ぼされない初期状態では、嵌合部264が側壁220a,220b側に接近し、押圧部266が側壁220a,220bから離隔している。ロック枠体262には、嵌合部264が嵌合する穴状の被嵌合部270が設けられている。
【0112】
図40Aに示す接続阻止部258を構成する弾性を有するロック片260の阻止位置では、弾性を有するロック片260の嵌合部264がロック枠体262の上端面に当接して、接続部側ユニット208の端子部側ユニット212への接近が阻止される。この状態では、ボルト214のねじ部214Aが端子部232に到達しておらず、接続部側中継部216が端子部開口窓234から離隔している。それゆえ、接続部60と端子部232の接続が確実に阻止されている。次に、接続部60と端子部232の接続を行う場合には、作業者が弾性を有するロック片260の押圧部266を押圧して嵌合部264をロック枠体262の上端面を乗り越えて下方側に移動可能となる許容位置に変位させる。その状態で、図示しない工具によりボルト214をナット230にねじ込むことで、嵌合部264がさらに下方に移動して、
図40Bに示すように弾性を有するロック片260の嵌合部264が、端子部側ユニット212のロック枠体262に設けられた被嵌合部270に嵌合され、接続部60と端子部232が正しく接続されたことが、検知できる。このように、変形例15においても、接続阻止部258を構成する弾性を有するロック片260が接続部60と端子部232の接続を阻止する阻止位置から、接続部60と端子部232の接続を許容する許容位置へ作業者により変位可能とされていることから、変形例14と同様の作用効果を奏することができる。
【0113】
<変形例16>
以下、本開示の変形例16について、
図41から
図50を参照しつつ説明する。上述の実施形態1および変形例1〜15では、少なくとも一方の端子部に絶縁性カバー(端子部カバー)が設けられていると共に、この端子部に締結される接続部に中継部(接続部側中継部)が設けられていたが、変形例16の端子間接続構造280では、両方の端子部に絶縁性カバーが設けられていない。即ち、変形例16の端子間接続構造280では、一方の接続部(第一接続部282)に絶縁性カバーとしての接続部カバー284が設けられていると共に、第一接続部282に締結される一方の端子部(第一端子部286)に中継部としての端子部側中継部288が設けられている。
【0114】
具体的には、変形例16の端子間接続構造280は、
図41に示されるように、ジャンクションボックス290における端子部(第一端子部286)と電池モジュール292における端子部(第二端子部294)とを通電部品296を介して電気的に接続する構造である。通電部品296は、通電部材としてのバスバー298を備えており、当該バスバー298の長さ方向両端部が、第一および第二端子部286,294と締結される第一および第二接続部282,300である。第一接続部282と第一端子部286との締結部分の構造を
図42,43に示すと共に、第二接続部300と第二端子部294との締結部分の構造を
図44,45に示す。
【0115】
図42〜45からも明らかなように、第一接続部282と第一端子部286との締結部分(通電部品296の一方の端部とジャンクションボックス290との接続部分)には、感電対策がなされている。また、第二接続部300と第二端子部294との締結部分(通電部品296の他方の端部と電池モジュール292との接続部分)は、ボルト302により締結されている。なお、変形例16における電池モジュール292は、前記実施形態1における第一または第二電池モジュール12A,12Bと同様の構造であり、実質的に同一の部材および部位には、図中に、第一または第二電池モジュール12A,12Bと同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0116】
電池モジュール292は筐体14を備えており、筐体14には、複数の単電池16が直列に接続された状態で収容されている。最も前方の単電池16には接続端子28が締結されており、この接続端子28が、端子部としての第二端子部294を備えている。また、電池モジュール292の筐体14には、一体的にまたは別体としてナット保持部304が設けられており、ナット保持部304にナット306が配置されている。
【0117】
第一接続部282と第一端子部286との締結部分(通電部品296の一方の端部とジャンクションボックス290との接続部分)には、前記変形例13と同様の感電対策構造が設けられている。即ち、通電部品296の一方の端部には、第一接続部282を含んで第一接続部側ユニット308が設けられていると共に、ジャンクションボックス290には、第一端子部286を含んで第一端子部側ユニット310が設けられている。第一接続部側ユニット308を
図46〜48に示すと共に、第一端子部側ユニット310を
図49,50に示す。
【0118】
<第一接続部側ユニット308>
第一接続部側ユニット308は、バスバー298の一方の端部である第一接続部282を収容する絶縁性の端部ケース312を備えている。即ち、バスバー298を収容する絶縁性のケースが、バスバー298の長さ方向中間部分を被覆する絶縁被覆314と、長さ方向の一方の端部である第一接続部282を収容する端部ケース312とを含んで構成されている。また、この端部ケース312は、ケース本体316と蓋体318とを含んでいる。
【0119】
ケース本体316は、第一接続部282の下方を覆う底壁72と、底壁72の外周縁部から上方に突出する周壁320とを備えている。周壁320は、第一接続部282の外側の三方を覆っており、第一接続部282の後方(
図48中、右方)と、左右方向両側に設けられている。また、周壁320において、左右方向両側には、外方に突出する複数の係合突部182が設けられている。なお、周壁320における左右方向両側には、凹凸が設けられており、後述する第一接続部側ユニット308と第一端子部側ユニット310との組付けの際の位置決めが容易とされる。
【0120】
さらに、底壁72において、第一接続部282に設けられたボルト挿通孔62と対応する位置には、円形の下面開口穴74が設けられている。この下面開口穴74の内径寸法は、第一接続部282におけるボルト挿通孔62の内径寸法よりも大きくされており、第一接続部282に端部ケース312を組み付けた状態において、下面開口穴74を通じて第一接続部282(バスバー298)の下面が露出するようになっている。なお、底壁72には、前記実施形態1の
図5に示された位置決め突起76や前記変形例13の
図32に示された位置決め突起76a,76bのような位置決め突起が設けられている。また、第一接続部282の左右方向両端部には、底壁72に設けられた位置決め突起に対応する位置決め凹部が設けられている。これらの位置決め突起と位置決め凹部が係合することで、第一接続部282と端部ケース312とを組み付けた際に、第一接続部282と端部ケース312との相対変位がある程度制限されるようになっている。
【0121】
また、蓋体318は、平板形状の上底壁322を備えている。上底壁322において、第一接続部282のボルト挿通孔62と底壁72の下面開口穴74と対応する位置には、上下方向に延びる円筒状部324が設けられており、上下方向で貫通している。この円筒状部324の上方開口部により、端部ケース312の上面に開口する上面開口部80が構成されている。更に、上底壁322において、円筒状部324を外れた位置には、下方に突出する押え突部326が設けられており、第一接続部282と端部ケース312とを組み付けた際に、押え突部326により第一接続部282が底壁72に対して上方へ変位することが抑制されている。なお、蓋体318の外周縁部において、ケース本体316の係合突部182と対応する位置には、上底壁322から下方に突出する係合枠体184が設けられている。
【0122】
さらに、第一接続部側ユニット308は、内周筒部328と、ナット330とを備えている。内周筒部328は、全体として円筒形状であり、合成樹脂により形成されて、絶縁性を有している。この内周筒部328は、第一接続部282のボルト挿通孔62に挿通されて組み付けられている。具体的には、内周筒部328の上端部における外径寸法が他の部分よりも大きくされており、ボルト挿通孔62の上方から内周筒部328が挿通されて、内周筒部328の上端部がボルト挿通孔62の上方の開口周縁部に当接することで、第一接続部282からの内周筒部328の下方への脱落が阻止されている。なお、内周筒部328は、第一接続部282に対して接着剤等により固定されていてもよいし、固定されなくてもよい。
【0123】
内周筒部328が第一接続部282に組み付けられることで、内周筒部328の下端が、下面開口穴74を通じて、端部ケース312の外方(下方)に突出している。したがって、変形例16では、第一接続部282を覆う接続部カバー284が、ケース本体316の底壁72と、内周筒部328とを含んで構成されている。また、底壁72の下面開口穴74と内周筒部328とにより環状の開口窓としての接続部開口窓332が構成されている。これにより、接続部開口窓332を通じて、第一接続部282の下面が環状に露出しているが、内周筒部328が端部ケース312よりも外方(下方)に突出していることにより、作業者が第一接続部282に接触することを抑止している。
【0124】
更にまた、ナット330は、蓋体318における円筒状部324の内周側に配置されている。具体的には、ナット330には、上方から絶縁被覆334が固着されている。絶縁被覆334の下端は外径寸法が大きくされており、円筒状部324の下端において内径寸法が大きくされた部分に差し入れられることで、ナット330および絶縁被覆334の上方への抜出しが防止されている。ナット330および絶縁被覆334は、蓋体318に設けられた上面開口部80を通じて外方に露出しており、外部から治具等を用いてナット330の締付操作等が可能とされている。
【0125】
<第一端子部側ユニット310>
ジャンクションボックス290は、アッパケース336と図示しないロアケースとを含んで構成されており、アッパケース336の上底壁338に第一端子部側ユニット310が設けられている。第一端子部側ユニット310は、第一端子部286と、端子部側中継部288と、絶縁カバー340と、ボルト342とを含んで構成されている。
【0126】
絶縁カバー340は、平板形状の底壁344と、底壁344の外周縁部から上方に突出する周壁346とを備えている。周壁346は、底壁344における後方と左右両側の三方に設けられている。要するに、周壁346は前方に開口している。また、周壁346の左右方向両側における内面には、第一接続部側ユニット308の端部ケース312における左右方向両側の外面と対応する凹凸が設けられている。更に、底壁344の略中央部分には、上下方向で貫通する貫通孔348が形成されている。また、周壁346の下端における左右方向両側には、外方に突出する図示しない凸部が設けられていると共に、アッパケース336の上底壁338には、図示しない凹部が設けられている。そして、これら凹凸部の凹凸嵌合によりアッパケース336の上底壁338に対して絶縁カバー340が固定されている。なお、上底壁338に対する絶縁カバー340の固定方法は凹凸嵌合に限定されるものではない。
【0127】
また、ジャンクションボックス290の内部には図示しない電気回路が収容されており、この電気回路に電気的に接続されるバスバー350が、図示しない固定手段によりジャンクションボックス290内に固定されている。このバスバー350の端部が第一端子部286であり、第一端子部286には、上下方向で貫通するボルト挿通孔38が形成されている。この第一端子部286は、絶縁カバー340における底壁344の下方に位置しており、底壁344に設けられた貫通孔348と第一端子部286に設けられたボルト挿通孔38とが上下方向で相互に位置合わせされている。
【0128】
そして、これら絶縁カバー340の底壁344とバスバー350(第一端子部286)との間に、端子部側中継部288が設けられている。具体的には、端子部側中継部288は、全体として環状の部材であり、金属により形成されている。端子部側中継部288は、上方の筒部352と下方のフランジ部354とを含んで構成されており、筒部352の下端から環状のフランジ部354が外周側に突出している。そして、端子部側中継部288の筒部352が底壁344の貫通孔348に挿通されていると共に、フランジ部354が、底壁344とバスバー350との上下方向間で挟持されている。これにより、端子部側中継部288と第一端子部286とが相互に当接している。
【0129】
端子部側中継部288の中央を上下方向に貫通するボルト挿通孔68は、第一端子部286のボルト挿通孔38と位置合わせされており、両ボルト挿通孔68,38に、下方からボルト342が挿通されて上方に突出している。なお、ボルト342は接着剤等によりバスバー350に固定されていてもよいし、図示しない固定手段によりバスバー350やジャンクションボックス290等に固定されていてもよい。ボルト342の外径寸法は、端子部側中継部288のボルト挿通孔68における内径寸法よりも大きい寸法とされており、端子部側中継部288とボルト342との間には、所定の径方向幅寸法を有する環状の空間が形成されている。なお、変形例16では、ボルト342の上端は絶縁カバー340よりも上方まで突出しておらず、意図しないボルト342への接触やボルト342の損傷のリスクが低減されている。
【0130】
<本開示の変形例16の端子間接続構造280の組み付け>
以下、端子間接続構造280の組み付け工程、即ちジャンクションボックス290と電池モジュール292とを通電部品296で接続する工程の具体的な一例について説明する。なお、端子間接続構造280の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0131】
先ず、絶縁被覆314が設けられたバスバー298、内周筒部328、絶縁被覆334が設けられたナット330、ケース本体316および蓋体318を準備する。そして、ケース本体316に対してバスバー298の一方の端部である第一接続部282を上方から差し入れて、底壁72に設けられた位置決め突起(76)と第一接続部282に設けられた位置決め凹部(64)とを係合させる。その後、第一接続部282のボルト挿通孔62に内周筒部328を挿通させる。続いて、内周筒部328の内孔とナット330の内孔とが連通するように、内周筒部328(第一接続部282)の上方から絶縁被覆334が設けられたナット330を載置する。この状態からケース本体316の上方から蓋体318を被せて、係合突部182と係合枠体184とを係合させる。これにより、第一接続部282に端部ケース312を組み付けて、第一接続部側ユニット308が完成する。
【0132】
また、アッパケース336に対して図示しない電気回路とバスバー350を固定した状態で、第一端子部286の上方に端子部側中継部288を、それぞれのボルト挿通孔38,68を位置合わせして載置する。その後、端子部側中継部288の上方から絶縁カバー340を被せて、アッパケース336に固定する。そして、第一端子部286の下方からボルト342を挿通して固定し、アッパケース336に対して図示しないロアケースを組み付けることで、第一端子部側ユニット310を備えたジャンクションボックス290が完成する。
【0133】
続いて、電池モジュール292を準備して、第二端子部294とバスバー298の他方の端部である第二接続部300とを重ね合わせて、それぞれのボルト挿通孔38,62を位置合わせする。そして、これらボルト挿通孔38,62にボルト302を挿通してナット306に締結する。これにより、第二端子部294と第二接続部300とを締結、即ち電池モジュール292と通電部品296とを電気的に接続する。
【0134】
次に、第一接続部側ユニット308の端部ケース312を、第一端子部側ユニット310の絶縁カバー340内に差し入れて、第一端子部側ユニット310のボルト342を、第一接続部側ユニット308における内周筒部328を通じてナット330の開口部に接触させる。その後、端部ケース312の上面開口部80を通じて、外部から図示しない治具によりナット330を締め付けることで、ボルト342をナット330に締結する。これにより、
図43にも示されるように、端子部側中継部288の筒部352を、端部ケース312の下面に設けられた接続部開口窓332に挿通し、第一接続部282に接触させて接続させる。即ち、第一端子部286と第一接続部282とを締結することで、ジャンクションボックス290と通電部品296とを電気的に接続する。この結果、ジャンクションボックス290と電池モジュール292とが通電部品296により電気的に接続されて、端子間接続構造280が完成する。
【0135】
変形例16の端子間接続構造280では、電池モジュール292と通電部品296の他方の端部とがボルト締結されると、通電部品296の一方の端部である第一接続部282が活電部となる。ここにおいて、第一接続部282には、接続部カバー284が設けられており、作業者が意図せず第一接続部282に接触するおそれが低減されている。また、接続部カバー284には接続部開口窓332が設けられており、第一接続部282が部分的に露出している。そして、第一接続部282と第一端子部286の締結時には、第一端子部286に接触する端子部側中継部288が、接続部開口窓332を通じて第一接続部282に接触することから、第一接続部282と第一端子部286との電気的な接続も確保される。
【0136】
したがって、本開示の端子間接続構造では、二つの接続部と二つの端子部とにより二つの締結部分が設けられることとなるが、本開示に従う感電対策の構造は、少なくとも一つの締結部分に設けられればよく、感電対策が設けられない締結部分があってもよい。即ち、絶縁性カバーは、二つの接続部と二つの端子部の計四つの中から何れか一つに設けられればよく、中継部は、絶縁性カバーが設けられた接続部または端子部に締結される端子部または接続部に設けられればよい。
【0137】
<その他>
(1)本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、締結部材としてボルト84とナット44を用いて行われていたが、ボルトのみを用いてねじ部をねじ込むようにしてもよいし、任意の公知の締結部材が採用可能である。
(2)また、本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、一対のクランク状屈曲部58,58が設けられていたが、
図8に示す変形例1,2の端子間接続構造90,100のように、クランク状屈曲部58は1つだけであってもよい。あるいは、クランク状屈曲部58は任意の数を、同じ板厚方向あるいは逆の板厚方向に屈曲するように設けることが可能である。これにより様々な形状の端子間接続構造に対応可能である。
(3)さらに、本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、ガイド壁78が、ボルト84のねじ部84Aの先端部とほぼ同じ寸法で突出して形成されていたが、電池モジュール側の形状等に応じた寸法も採用することができる。
(4)加えて、本開示の実施形態1の端子間接続構造10では、接続部側中継部66は、フランジ部66Bから突出する円筒形状の筒部66Aを有し、端子部開口窓50は、筒部66Aに対応する円環状を有していたが、これに限定されない。例えば、1つの接続部側中継部66に複数の突部が設けられ、各突部を挿通する複数の端子部開口窓を形成してもよい。具体的には、接続部側中継部66において、フランジ部66Bから突出する筒部66Aの突出端部をスリットにより周方向で複数の円弧状突部に分断し、端子部開口窓50を各円弧状突部に対応する形状としてもよい。また、フランジ部66Bの平面形状も円環状に限定されず、任意の形状が採用可能であり、フランジ部66Bから突出する1つまたは複数の突部や突部が挿通される端子部開口窓の形状も矩形状など任意の形状が採用可能である。
(5)接続部カバーを構成する端部ケース174に設けられる接続部開口窓176は、端子部側中継部188の挿通を許容しつつ作業者の指の挿通が阻止される大きさで設けられることが好ましい。また、端部ケース174の上面開口部80に位置するナット172とナット172に締結されたボルト195を絶縁被覆する構成は、任意の構成が採用可能であり、例示の絶縁被覆のほかに、例えば袋状のナットカバー等が採用可能である。
複数の端子部32を通電部品54を介して電気的に接続する端子間接続構造10であって、通電部品54が、複数の端子部32にそれぞれ接続状態で締結される複数の接続部60を有する通電部材56と、通電部材56を収容する絶縁性のケース70とを含み、複数の端子部32と複数の接続部60のうちの少なくとも一つを覆う絶縁性カバー48と、絶縁性カバー48に設けられて端子部32と接続部60の少なくとも一つを露出させる開口窓50と、絶縁性カバー48により覆われた端子部32と接続部60の少なくとも一つに締結される接続部60または端子部32に設けられており、開口窓50を挿通して端子部32と接続部60の少なくとも一つに接続される中継部66と、を含む。