特許第6824562号(P6824562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6824562アクリルアミドベースのコポリマー、ターポリマー、および水化物阻害剤としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824562
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】アクリルアミドベースのコポリマー、ターポリマー、および水化物阻害剤としての使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/56 20060101AFI20210121BHJP
   C10L 3/00 20060101ALN20210121BHJP
【FI】
   C08F220/56
   !C10L3/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2018-557936(P2018-557936)
(86)(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公表番号】特表2019-515108(P2019-515108A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】US2017029283
(87)【国際公開番号】WO2017192298
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2019年7月10日
(31)【優先権主張番号】62/332,771
(32)【優先日】2016年5月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(73)【特許権者】
【識別番号】514250632
【氏名又は名称】キング ファハド ユニバーシティ オブ ペトロリアム アンド ミネラルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】エラナニー,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】マイノウニ,カリード
(72)【発明者】
【氏名】アレッサ,ラシェド
(72)【発明者】
【氏名】アル−マーリキー,アブドゥラー
(72)【発明者】
【氏名】アル−ダオウス,ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】アル−アジュワド,ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】アスロフ アリ,シャイク
(72)【発明者】
【氏名】アデル,シャディ
(72)【発明者】
【氏名】リタウディン,メガト
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−164276(JP,A)
【文献】 特開2001−139965(JP,A)
【文献】 特開平09−221515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08L
C08K
C08C
C07B
C07C
B01J
C10L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
(式中:
がメチルであり、
がメチルであり、
がイソプロピルであり、
は、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基または2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、前記2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、もしくはSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含み、
、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され、
xが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲であり、
ここで、x、y、およびzの和は、1と等しい
を有し、ランダムである、ターポリマー。
【請求項2】
【化2】
が、
【化3】
から選択される、請求項1に記載のターポリマー。
【請求項3】
前記ターポリマーの粘度平均分子量が、1,000g/mol〜1,000,000g/molの範囲内である、請求項1に記載のターポリマー。
【請求項4】
クラスレート水和物を形成する能力がある流体において前記クラスレート水和物の形成を阻害する方法であって、前記方法は、
前記流体を、前記クラスレート水和物を形成するのに適した条件下で、一般式(I):
【化4】
(式中:
がメチルであり、
がメチルであり、
がイソプロピルであり、
は、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基または2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、前記2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、もしくはSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含み、
、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され、
xが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲であり、
ここで、x、y、およびzの和は、1と等しい
の、ランダムである、少なくとも1つのターポリマーと接触させることを含む、方法。
【請求項5】
前記流体が、水ホスト分子およびメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、二酸化炭素、硫化水素、窒素、またはその組み合わせから選択される天然ガスゲスト分子を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流体が、酸性ガスゲスト分子を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記クラスレート水和物が、SIクラスレート水和物、SIIクラスレート水和物、またはその組み合わせを含み、
前記接触させることが、前記SIクラスレート水和物、前記SIIクラスレート水和物、または前記その組み合わせの形成を阻害する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記接触させることが、0℃〜4.0℃の第1の過冷却温度にて前記クラスレート水和物の形成を阻害する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記接触させることが、40bar〜200barの圧力範囲において前記クラスレート水和物の形成を阻害する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記流体が、式(I)の前記少なくとも1つのターポリマーおよび腐食阻害剤または溶媒の少なくとも1つを含む組成物と接触される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
が、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
【化5】
が、
【化6】
から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのターポリマーの粘度平均分子量が、1,500g/mol〜20,000g/molの範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記流体が、結合したプラットフォームにて前記少なくとも1つのターポリマーと接触される、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年5月6日に出願した米国仮出願第62/332,771号の優先権を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、アクリルアミドベースのコポリマーおよびターポリマー、コポリマーおよびターポリマーを合成する方法、ならびにクラスレート水和物の形成を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クラスレート水和物の形成に好ましい条件が、パイプラインにおいてしばしば見出される。沖合でのガス探査および生産の拡大と共に、クラスレート水和物形成の形成は、ガス輸送とガス処理両方において重大な操作上の関心事となる。クラスレート水和物のパイプライン壁への凝集および付着は、ガス生産を低減し得、パイプラインのプラグ部分は、パイプラインを詰まらせさえし、これがパイプライン停止の原因になる。ガス生産を維持し、パイプライン停止を回避するために、クラスレート水和物阻害剤が、パイプラインの流体に加えられている。
【0004】
市販のクラスレート水和物阻害剤は、クラスレート水和物がパイプラインの流体において生じる条件を修飾するように働く、熱力学的水化物阻害剤(すなわち、THI)を含む。例えば、THIを、パイプラインの流体に高濃度(例えば、最大0.6重量/重量、すなわち、含水率のw/w)にて加えて、クラスレート水和物が生じる圧力、温度、または圧力と温度の組み合わせが修飾されてもよい。エチレングリコール(すなわち、モノエチレングリコールまたはMEG)およびメタノールは、THIの一例である。別のタイプの市販のクラスレート水和物阻害剤は、(1)クラスレート水和物核形成を熱力学的に遅延させ、(2)クラスレート水和物凝集を阻害するのに働く、低用量水化物阻害剤(すなわち、LDHI)である。クラスレート水和物核形成の熱力学的遅延に関して、LDHIは、クラスレート水和物の形成の初期の間にクラスレート水和物核と相互作用し得る。クラスレート水和物凝集の阻害に関して、LDHIは、クラスレート水和物を吸着して、クラスレート水和物の多量の蓄積を妨げることにより、クラスレート水和物凝集を阻害し得る。1つまたは複数の実施形態において、LDHIは、クラスレート水和物が懸濁液の形態で維持されるように、クラスレート水和物凝集を阻害し得る。
【0005】
最近、THIは、パイプラインの流体から分離するのが困難であること、および環境にとって有害であるとみなされるので、THIは、市販のLDHIに置き換えられている。しかしながら、市販のLDHIはまた、いくつかは、不効率であるか、または他の添加剤、例えば、腐食阻害剤と不適合であるという点において不完全である。さらに、構造(タイプ)I(すなわち、SI)結晶構造を有するクラスレート水和物を厳しい条件、例えば、極端な過冷却温度および圧力下で阻害する能力がある市販のLDHIに制限される。さらに、SI結晶構造を有するクラスレート水和物を阻害する能力がある市販のLDHIは、狭い過冷却温度範囲に制限される。
【発明の概要】
【0006】
背景を考えると、クラスレート水和物阻害剤およびクラスレート水和物形成を阻害する方法が継続して必要である。本開示の実施形態は、一般式(I):
【0007】
【化1】
(式中:R、R、およびRは、C〜C30脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含む;R、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され;xは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり、ここで、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率であり、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率である;zは、0.1〜0.9から選択されるモル分率範囲であり、ここで、x、y、およびzの和は、1と等しい)を有するコポリマーならびにターポリマーに関する。
【0008】
本開示の実施形態はまた、クラスレート水和物を形成する能力がある流体においてクラスレート水和物の形成を阻害する方法に関する。方法は、流体を、一般式(I):
【0009】
【化2】
(式中:R、R、およびRは、C〜C30脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含む;R、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され;xは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり、ここで、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率であり、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率である;zは、0.1〜0.9から選択されるモル分率範囲であり、ここで、x、y、およびzの和は、1と等しい)の少なくとも1つのコポリマーあるいはターポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることを含む。
【0010】
本開示において記載される実施形態のさらなる特性および利点は、以下の詳細な説明において説明され、一部は、その説明から当業者にとって容易に明らかであるか、または以下の詳細な説明、請求項、ならびに添付の図面を含む本開示において記載される実施形態を実施することにより認められるだろう。
【0011】
前述の一般的な記載と以下の詳細な説明両方が、様々な実施形態を記載し、請求する主題の性質および特徴を理解するための概説または構成を提供することが意図されることは、理解されるべきである。添付の図面は、様々な実施形態のさらなる理解をもたらすために含まれ、本開示の一部に組み込まれ、構成する。図面は、本開示において記載される様々な実施形態を説明し、詳細な説明と共に、請求する主題の原理および運用を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、表1において開示される構造(ABT−1)を有するアクリルアミドベースのターポリマーのプロトン核磁気共鳴(すなわち、H NMR)スペクトルであり、ここで、1.00単位の領域(a)は、モノマー繰り返し単位構造(M3)のHと印を付けられた水素原子に属し、化学シフトδ[百万分率、すなわち、PPM]=0.9〜3.5下の9.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)の残りの交換不可能な9個の水素原子に属し、11.0単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M1)の11個の水素原子に属し、19.65単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M2)の9個の水素原子に属し、破線は、スペクトルピークと関連するプロトンの積算回数を介して推定するため描かれる。
図2図2は、表1において開示される構造(ABT−2)を有するアクリルアミドベースのターポリマーのH NMRスペクトルであり、ここで、1.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)のHと印を付けられた水素原子に属し、化学シフトδ=0.9〜3.5ppm下の9.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)の残りの交換不可能な9個の水素原子に属し、11.0単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M1)の11個の水素原子に属し、53.5単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M2)の9個の水素原子に属する。
図3図3は、表1において開示される構造(ABC−3)を有するアクリルアミドベースのコポリマーのH NMRスペクトルであり、ここで、領域(A)は、構造(ABC−3)におけるa、a’、b、およびcと印を付けられた10個の水素原子に属する化学シフトδ=0.8〜1.8ppm下の領域に対応し、領域(B)は、残りの12個の印を付けられていない水素原子に属するδ2.0〜3.8ppm下の領域に対応する。
図4図4は、表1において開示される構造(ABC−4)を有するアクリルアミドベースのコポリマーのH NMRスペクトルであり、ここで、化学シフトδ=0.9〜1.75ppm下の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M4)におけるa、b、およびcと印を付けられた8個の水素原子に属し、統合された領域8yを有し、モノマー繰り返し構造(M2)におけるc’と印を付けられた2個の水素原子は、統合された領域6y(すなわち、23y)を有し、a、b、c、およびc’と印を付けられた水素原子の総統合された領域は、14yであり、δ2.0〜3.7ppm下の領域は、dおよびeと印を付けられた水素原子に属し、5yを占め、e’およびfと印を付けられた水素原子の統合された領域は、21y(すなわち、73y)である。
図5図5は、表1において開示される構造(ABC−5)を有するアクリルアミドベースのコポリマーのH NMRスペクトルであり、ここで、1.00単位の領域(a)は、モノマー繰り返し単位構造(M3)のHと印を付けられた水素原子に属し、化学シフトδ=0.9〜3.5ppm下の9.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)の残りの交換不可能な9個の水素原子に属し、トータルの領域は、19.67単位(すなわち、3.97+9.71+5.99)であり、10.67単位は、モノマー繰り返し単位構造(M1)の11個の水素原子に属する。
図6図6は、ブライン(すなわち、ブライン)の圧力(Bar)に関する時間(分)のグラフ、およびロッキングセルRC−5の温度(セ氏温度、すなわち、℃)(すなわち、RC温度)に関する時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表4において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図7図7は、表1において開示される構造(ABT−6)(すなわち、T6)を有するアクリルアミドベースのターポリマーの圧力(Bar)に関する時間(分)のグラフ、およびロッキングセルRC−5の温度(℃)(すなわち、温度)に関する時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表4において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図8図8は、表1において開示される構造(ABT−1)(すなわち、T1)および(ABT−2)(すなわち、T2)を有するアクリルアミドベースのターポリマーの圧力(Bar)に関する時間(分)のグラフ、ならびにロッキングセルRC−5の温度(℃)(すなわち、温度)に関する時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表4において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図9図9は、表1において開示される構造(ABC−3)(すなわち、T3)および(ABC−4)(すなわち、T4)を有するアクリルアミドベースのコポリマーの圧力(Bar)に関する時間(分)のグラフ、ならびにロッキングセルRC−5の温度(℃)(すなわち、RC温度)に関する時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表5において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図10図10は、表1において開示される構造(ABC−5)(すなわち、T5)および(ABC−8)(すなわち、T8)を有するアクリルアミドベースのコポリマーの圧力(Bar)に関する時間(分)のグラフ、ならびにロッキングセルRC−5の温度(℃)(すなわち、TC温度)に関する時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表4において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図11図11は、構造(ABH−1)(すなわち、T9)および(ABH−2)(すなわち、T10)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーの圧力(Bar)に関する持続時間(分、すなわち、分)のグラフ、ならびにロッキングセルRC−5の温度(℃)(すなわち、RC温度)に関する持続時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表4において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図12図12は、構造(ABH−3)(すなわち、T11)および(ABH−4)(すなわち、T12)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーの圧力(Bar)に関する時間(分)のグラフ、ならびにロッキングセルRC−5の温度(℃)(すなわち、RC温度)に関する時間(分)のグラフであり、ここで、ロッキングセルRC−5の温度(℃)は、表4において説明される開始温度(℃)、平均勾配(℃/分)および持続時間(分)に基づき3段階で変化するようプログラムされる。
図13A図13Aは、水源と、およびパイプラインを介して陸上プラントと流体連結した沖合の結合したプラットフォームの図式的描写であり、ここで、結合したプラットフォームは、クラスレート水和物阻害剤を保持するための容器を含む。
図13B図13Bは、水源と、およびパイプラインを介して陸上プラントと流体連結した図13Aのクラスレート水和物阻害剤を保持するための容器の図式的描写である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の用語は、当業者により十分に理解されると思われ、定義は、ここで開示される主題の説明を容易にするために説明される。
【0014】
用語「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマー繰り返し単位を有するポリマーを指す。例えば、コポリマーは、2つの異なるモノマー繰り返し単位を含んでもよい(すなわち、二元重合体)。あるいは、コポリマーは、3つの異なるモノマー繰り返し単位を含んでもよい(すなわち、ターポリマー)。1つまたは複数の実施形態において、コポリマーはランダムである。当業者により理解される通り、モノマー繰り返し単位の分散が統計法則に従うとき、コポリマーはランダムである。例えば、ポリマー鎖中の特定のポイントで所定のモノマー繰り返し単位が見出される確率が、鎖中のそのモノマー繰り返し単位のモル分率と等しいとき、コポリマーはランダムである。ランダムコポリマーはまた、統計コポリマーとして言及されてもよい。
【0015】
用語「脂肪族」は、飽和および不飽和直鎖(すなわち、非分岐)ならびに分岐の炭化水素ラジカル両方を指す。実施形態において、脂肪族炭化水素ラジカルは、1価または2価である。当業者により理解される通り、脂肪族は、アルキル、アルケニル、およびアルキニル部分を含むことが意図されるが、これらに限定されない。したがって、用語「アルキル」は、直鎖および分岐アルキル基を含む。類似の慣習が、「アルケニル」、「アルキニル」などのような他の総称に適用される。ある種の実施形態において、用語「低級アルキル」を使用して、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(分岐または非分岐)が示されてもよい。
【0016】
実施形態において、記載されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜30個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態において、記載されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、記載されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。なおさらに他の実施形態において、記載されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態において、記載されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜4個の炭素原子を含有する。したがって、例示的な脂肪族基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、部分などを含むが、これらに限定されない。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどを含むが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基は、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0017】
用語「1価」は、原子価「−」が、ラジカルの1つの端にて飽和されていない、不飽和の原子価1を有するラジカルを指す。例えば、炭化水素基が、脂肪族ラジカルまたはヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在する実施形態において、1個の水素原子が、脂肪族ラジカルまたはヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在する炭化水素基から取り除かれたとき、脂肪族ラジカルまたはヘテロ脂肪族ラジカルは1価である。別の例として、ヘテロ原子が、ヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在する実施形態において、ヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在するヘテロ原子が、不飽和の原子価「−」を有するとき、ヘテロ脂肪族ラジカルは1価である。
【0018】
用語「2価」は、原子価「−」が、ラジカルの2つの端にて飽和されていない、不飽和の原子価2を有するラジカルを指す。例えば、炭化水素基が、脂肪族ラジカルまたはヘテロ脂肪族ラジカルの2つの端に位置する実施形態において、1個の水素原子が、脂肪族ラジカルまたはヘテロ脂肪族ラジカルの2つの端に存在する炭化水素基のそれぞれから取り除かれたとき、脂肪族ラジカルまたはヘテロ脂肪族ラジカルは2価である。別の例として、ヘテロ原子が、ヘテロ脂肪族ラジカルの2つの端に存在する実施形態において、ヘテロ脂肪族ラジカルの2つの端に存在するヘテロ原子のそれぞれが、不飽和の原子価「−」を有するとき、ヘテロ脂肪族ラジカルは2価である。同様に、別の例として、炭化水素基が、ヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在し、ヘテロ原子が、ヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在する実施形態において、1個の水素原子が、ヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在する炭化水素基から取り除かれ、ヘテロ脂肪族ラジカルの1つの端に存在するヘテロ原子が、不飽和の原子価「−」を有するとき、ヘテロ脂肪族ラジカルは2価である。
【0019】
用語「ヘテロ脂肪族」は、主鎖中の1個または複数の炭素原子がヘテロ原子で置換されている脂肪族ラジカルを指す。例示の目的で、1個の炭素原子が1個のヘテロ原子で置換されている、4つの主鎖原子を有する脂肪族ラジカルは、Cヘテロ脂肪族として言及される。別の例として、2個の炭素原子が2個のヘテロ原子で置換されている、7つの主鎖原子を有する脂肪族ラジカルは、Cヘテロ脂肪族として言及される。実施形態において、ヘテロ脂肪族ラジカルは、1価または2価である。したがって、ヘテロ脂肪族は、例えば、炭素原子の代わりに、1つもしくは複数の酸素、硫黄、または窒素原子を含有する脂肪族鎖を含むことが意図される。ヘテロ脂肪族部分は、直鎖または分岐、および飽和または不飽和であってもよい。
【0020】
用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環状」は、ヘテロ脂肪族部分と環状部分の特性を合わせ、5〜8個の原子を有する飽和および不飽和の単環または大環状系を含むが、これらに限定されないラジカルであって、ここで、少なくとも1個の環原子は、Nヘテロ原子であり;0、1または2個の環原子は、S、O、ならびにN(ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されていてもよい)から独立して選択されるさらなるヘテロ原子である、ラジカルを指す。ある種の実施形態において、用語ヘテロシクロアルキル、複素環または複素環状は、少なくとも1個の環原子が、Nヘテロ原子であり、0、1または2個の環原子が、二環式もしくは三環式基を含むが、これらに限定されない、S、O、ならびにN(ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されていてもよく、窒素原子は、4級化されていてもよい)から独立して選択されるさらなるヘテロ原子である、非芳香族5員、6員、または7員環あるいは多環式部分を指す。代表的な複素環は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジチアゾリル、ジチアゾリジニル、およびアゼパニルのような複素環を含むが、これらに限定されない。実施形態において、ヘテロシクロアルキル、複素環または複素環状は、1個の環原子がNであり;0、1または2個の環原子が、S、O、およびNから独立して選択されるさらなるヘテロ原子であり;残りの環原子が炭素であり、ラジカルが、分子の残りにN環原子を介して結合されている、5〜8個の環原子を有する飽和もしくは不飽和の単環式または多環式部分であり、例えば、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、およびアゼパニルである。
【0021】
用語「クラスレート水和物」は、ホスト水分子がガスゲスト分子をクラスレート化する、結晶性水ベースの固体を指す。用語「クラスレート化する」は、ガスゲスト分子の周囲でのホスト水分子の水素結合を指す。1つまたは複数の実施形態において、ホスト水分子がガスゲスト分子の周囲で水素結合した結晶性水ベースの固体は、ガスゲスト分子が、水素結合したホスト水分子の骨組み内に閉じ込められるようである。クラスレート水和物は、構造(タイプ)I(すなわち、SI)、構造(タイプ)II(すなわち、SII)、または構造(タイプ)H(すなわち、SH)結晶構造を含み得る。
【0022】
用語「阻害する」、「阻害」、および「阻害すること」は、任意の方法でのクラスレート水和物の形成、成長、付着、凝集、もしくはその組み合わせの制御、遅延、低減、軽減、防止、またはその組み合わせにおける任意の改善を指す。例えば、クラスレート水和物阻害は、クラスレート水和物が生じる条件を熱力学的に修飾すること、クラスレート水和物核形成を熱力学的に遅延させること、クラスレート水和物を分解すること、クラスレート水和物を破壊すること、またはその組み合わせを含むが、これらに限定されない。さらに、クラスレート水和物阻害は、クラスレート水和物形成が完全に防止される、クラスレート水和物形成の完全な停止を含み得る。
【0023】
用語「形成」、「形成すること」、および「形成する」は、クラスレート水和物が成長するか、クラスレート水和物が付着するか、クラスレート水和物が凝集するか、またはその組み合わせである、ホスト水分子が、結晶構造においてガスゲスト分子をクラスレート化する任意のプロセスを指す。
【0024】
用語「過冷却温度」および「Tsc」は、フィールドガスの操作温度と140barでのフィールドガスのクラスレート水和物の三相系平衡温度との差を指す。したがって、用語「第1の過冷却温度」は、第1の操作段階におけるフィールドガスの操作温度と三相系平衡温度との差を指す。実施形態において、第1の過冷却温度は、約0℃〜約4.0℃、または約0℃〜約1.0℃、または約1.0℃〜約2.0℃、または約2.0℃〜約3.5℃、または約4.0℃である。同様に、用語「第2の過冷却温度」は、第2の操作段階におけるフィールドガスの操作温度と三相系平衡温度との差を指す。実施形態において、第2の過冷却温度は、約4.0℃〜約5.6℃、または約4.0℃〜約4.6℃、または約4.6℃〜約5.0℃、または約5.0℃〜約5.6℃、または約5.6℃である。加えて、用語「第3の過冷却温度」は、第3の操作段階におけるフィールドガスの操作温度と三相系平衡温度との差を指す。実施形態において、第3の過冷却温度は、約5.6℃〜約10.5℃、または約5.6℃〜約7.0℃、または約7.0℃〜約8.6℃、または約8.6℃〜約10.0℃、または約10.5℃である。
【0025】
本開示の実施形態は、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマー(すなわち、ABC)、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマーを合成する方法、および一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマーを使用するクラスレート水和物の形成を阻害する方法に関する。一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマーの実施形態が、ここで詳細に記載される。その後、一般式(I)のコポリマーを合成する方法の実施形態が、記載される。次に、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマーを使用するクラスレート水和物の形成を阻害する方法が、図13A〜13Bを参照して記載される。
【0026】
I.一般式(I)のアクリルアミドベースのコポリマー
実施形態において、開示は、一般式(I):
【0027】
【化3】
を有するアクリルアミドベースのコポリマーを記載する。
【0028】
一般式(I)のコポリマーにおいて、R、R、およびRは、C〜C30飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含む;R、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され;xは、0〜約0.8から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜約0.8から選択されるモル分率範囲であり、ここで、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率であり、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率である;zは、約0.1〜約0.9から選択されるモル分率範囲であり、ここで、x、y、およびzの和は、1と等しい。
【0029】
一般式(I)のコポリマーにおいて、R、R、およびRは、C〜C30飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択される。実施形態において、R、R、およびRは、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択される。例示的な非限定的な実施形態において、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、およびsec−ヘキシルからそれぞれ独立して選択される。他の例示的な非限定的な実施形態において、Rはメチルであり;Rはメチルであり;Rはイソプロピルである。
【0030】
一般式(I)のコポリマーにおいて、Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含む。直鎖へテロ脂肪族基の1または2個のヘテロ原子は、N原子に加えて、
【0031】
【化4】
に存在する。実施形態において、
【0032】
【化5】
は、
【0033】
【化6】
に存在するN原子を含む、最大3個のヘテロ原子総数を含んでもよい。実施形態において、Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択される。さらなる実施形態において、Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択される。
【0034】
1つまたは複数の実施形態において、Rは、1つまたは複数の置換基で場合により置換される。Rが1つまたは複数の置換基で置換されている実施形態において、Rは、1〜7個、または2〜6個、または3〜5個の置換基を含んでもよい。Rが2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、1つまたは複数の置換基で置換されている実施形態において、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基内に置換基との結合を供給するためのさらなる不飽和の原子価「−」を含む。例えば、Rが2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、置換されている実施形態において、さらなる水素原子を、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基内に存在する炭化水素基から取り除いて、置換基との結合が供給されてもよい。
【0035】
実施形態において、Rは、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換される。例示的な非限定的な実施形態において、Rは、1つまたは複数の低級アルキルで置換される。他の例示的な非限定的な実施形態において、Rは、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで置換される。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、部分、もしくはその組み合わせから独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換される。
【0036】
が2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択される実施形態において、C〜C直鎖脂肪族基およびC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、2つの端に不飽和の原子価「−」を含む。このようにして、Rは、コポリマー分子の残りの部分でその2つの不飽和の端の原子価を介して−N−と結合するとき、ヘテロシクロアルキルまたは複素環を形成する。実施形態において、Rが、コポリマーの残りの部分で−N−と結合するとき、形成されたヘテロシクロアルキルまたは複素環は、非芳香族である。実施形態において、Rが、コポリマーの残りの部分で−N−と結合するとき、形成されるヘテロシクロアルキルまたは複素環は、部分的に飽和である。例示的な非限定的な実施形態において、形成されるヘテロシクロアルキルまたは複素環は、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、およびアゼパニルから選択される。さらなる例示的な非限定的な実施形態において、形成されるヘテロシクロアルキルまたは複素環は、ピロリジニルおよびピペリジニルから選択される。実施形態において、形成されるヘテロシクロアルキルまたは複素環は、以下の構造:
【0037】
【化7】
(式中、ヘテロシクロアルキルまたは複素環は、コポリマー分子の残りにを介して結合する)
を有する。例示的な非限定的な実施形態において、
【0038】
【化8】
は、
【0039】
【化9】
から選択される。他の例示的な非限定的な実施形態において、
【0040】
【化10】
は、
【0041】
【化11】
から選択される。
【0042】
一般式(I)のコポリマーにおいて、R、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択される。実施形態において、R、R、およびRの少なくとも1つは、水素である。実施形態において、R、R、およびRの少なくとも1つは、メチルである。
【0043】
一般式(I)のコポリマーにおいて、xは、0〜約0.8から選択されるモル分率範囲である。実施形態において、xは、0〜約0.75から選択されるモル分率範囲、または0〜約0.2から選択されるモル分率範囲、またはモル分率約0.5である。例示的な非限定的な実施形態において、xは、0〜約0.5から選択されるモル分率範囲である。他の例示的な非限定的な実施形態において、xは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、xは、0より大きいモル分率である。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、xは、モル分率0である。
【0044】
一般式(I)のコポリマーにおいて、yは、0〜約0.8から選択されるモル分率範囲である。実施形態において、yは、0〜約0.75から選択されるモル分率範囲、または約0.1〜約0.5から選択されるモル分率範囲、またはモル分率約0.25である。例示的な非限定的な実施形態において、yは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲である。他の例示的な非限定的な実施形態において、yは、モル分率範囲0〜約0.5である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、yは、0より大きいモル分率である。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、yは、モル分率0である。
【0045】
一般式(I)のコポリマーにおいて、zは、約0.1〜約0.9から選択されるモル分率範囲である。実施形態において、zは、約0.1〜約0.75から選択されるモル分率範囲、または約0.1〜約0.75から選択されるモル分率範囲、または約0.2〜約0.25から選択されるモル分率範囲である。例示的な非限定的な実施形態において、zは、約0.2〜約0.75から選択されるモル分率範囲である。他の例示的な非限定的な実施形態において、zは、約0.1〜約0.25から選択されるモル分率範囲である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、zは、約0.25〜約0.5から選択されるモル分率範囲である。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、zは、0より大きいモル分率である。
【0046】
一般式(I)のコポリマーにおいて、x、y、およびzの和は1と等しく、但し、zは、0より大きいモル分率である。さらに、実施形態において、xまたはyが、モル分率0であり得る一方、xおよびyは、それぞれモル分率0ではないかもしれない。むしろ、実施形態において、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率である。同様に、実施形態において、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率である。実施形態において、yおよびzは、等モル分率である。他の実施形態において、xおよびzは、等モル分率である。
【0047】
実施形態において、一般式(I)のコポリマーの粘度平均分子量は、約1,000グラム/モル、すなわち、g/mol〜約1,000,000g/mol、または約1,500g/mol〜約100,000g/mol、または約5,000g/mol〜約50,000g/mol、または約20,000g/molである。例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)のコポリマーの粘度平均分子量は、約1,500g/mol〜約20,000g/molである。実施形態において、コポリマーの粘度平均分子量は、テトラヒドロフラン(すなわち、THF)中の0.7%トリエチルアミンを移動相として、Phenogel(商標)(Phenomenex、サター・クリーク、カリフォルニア州)を順に3つのカラムにおける固定相(異なる孔サイズの、500Å、100Å、および50Å)として、屈折率検出器(すなわち、RID)と共に利用する、ゲル浸透クロマトグラフィー(すなわち、GPC)を介して決定された。校正は、ポリスチレン標準を使用して行われた。さらに、GPCにより決定された一般式(I)のコポリマーの粘度平均分子量を、硫黄元素分析を介して確認した。
【0048】
例示的な非限定的な実施形態において、R、R、およびRは、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され;xは、0〜約0.5から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜約0.5から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.2〜約0.75から選択されるモル分率範囲である。他の例示的な非限定的な実施形態において、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、およびsec−ヘキシルからそれぞれ独立して選択され;Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され;xは、0〜約0.2から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜約0.5から選択されるモル分率範囲であり;zは、0.2〜約0.75から選択されるモル分率範囲である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、
【0049】
【化12】
は、
【0050】
【化13】
から選択される。なおさらに他の例示的な非限定的な実施形態において、Rはメチルであり;Rはメチルであり;Rはイソプロピルであり;xは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲であり;yは、約0.1〜約0.25から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.1〜約0.25から選択されるモル分率範囲である。
【0051】
さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、xは、0より大きいモル分率であり;yは、0より大きいモル分率であり;yおよびzは、等モル分率である。他の例示的な非限定的な実施形態において、yは、モル分率0であり;xは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.25〜約0.5から選択されるモル分率範囲である。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、yは、モル分率0であり;xおよびzは、等モル分率である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、xは、モル分率0であり;yは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.25〜約0.5から選択されるモル分率範囲である。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、xは、モル分率0であり;yおよびzは、等モル分率である。
【0052】
表1において、様々な実施形態による一般式(I)を有するコポリマーが、提供される。
【0053】
【表1】
【0054】
一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマーの実施形態が、詳細に記載される。一般式(I)のコポリマーを合成する方法の実施形態が、記載される。
【0055】
II.一般式(I)のコポリマーを合成する方法
実施形態において、開示は、一般式(I)のコポリマーを合成する方法を記載する。しかしながら、一般式(I)のコポリマーは、当業者に公知の任意の適当な合成スキームを介して合成されてもよい。例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)のコポリマーを合成する方法は、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(すなわち、ABCVA)(約350ミリグラム、すなわち、mg、1.25ミリモル、すなわち、mmol)に、水(約42ミリリットル、すなわち、mL)中の式(1a)(約18mmol)、(1b)(約36mmol)および(1c)(約18mmol):
【0056】
【化14】
を有するモノマー繰り返し単位、ならびにおよびチオグリコール酸(約334mg、3.60mmol)を有する溶液をN下で供給して、反応混合物を形成することを含む。
【0057】
実施形態において、反応混合物を、N下で約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌して、合成されたアクリルアミドベースのターポリマーを含む反応生成物を得る。24時間後、実施形態において、反応生成物は、均一であり、室温まで冷却され、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄され、凍結乾燥させる。いくつかの実施形態において、混濁した懸濁液が、数時間N下で約63℃にて撹拌した後に観察され得る。しかしながら、実施形態において、混濁した懸濁液は、室温まで冷却する際になくなる。
【0058】
実施形態において、式(1a)、(1b)、および(1c)を有するモノマー繰り返し単位のR、R、R、R、R、R、ならびにRは、一般式(I)に関して既に記載された通りである。当業者により理解される通り、溶液中の反応物、例えば、モノマー繰り返し単位(1a)、(1b)、および(1c)の量を調節して、それぞれのモノマー繰り返し単位の変動するモル分率x、y、またはzが達成され得る。さらに、また当業者により理解される通り、二元重合体およびターポリマーは、一般式(I)のコポリマーにおいて記載されるモノマー繰り返し単位(1a)、(1b)、および(1c)のみを加えることにより、本開示において記載される方法を介して合成されてもよい。
【0059】
一般式(I)のコポリマーを合成する方法の実施形態が、ここで詳細に記載される。クラスレート水和物の形成を阻害する方法の実施形態は、図13A〜13Bを参照してここで詳細に記載される。
【0060】
III.クラスレート水和物の形成を阻害する方法
1つまたは複数の実施形態において、開示は、流体を一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることを含む、クラスレート水和物を形成する能力がある流体においてクラスレート水和物を阻害する方法を記載する。さらなる実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、既に記載された通りである。
【0061】
実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、R、R、およびRは、C〜C30飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含む;R、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され;xは、0〜約0.8から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜約0.8から選択されるモル分率範囲であり、ここで、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率であり、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率である;zは、約0.1〜約0.9から選択されるモル分率範囲であり、ここで、x、y、およびzの和は、1と等しい。実施形態において、流体は、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマー、および腐食阻害剤または溶媒の少なくとも1つと接触される。
【0062】
例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、R、R、およびRは、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され;xは、0〜約0.5から選択されるモル分率範囲であり;yは、0〜約0.5から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.2〜約0.75から選択されるモル分率範囲である。他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、R、R、およびRは、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され;Rは、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され;xは、0より大きいモル分率であり;yは、0より大きいモル分率であり;yおよびzは、等モル分率である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、
【0063】
【化15】
は、
【0064】
【化16】
から選択され;xは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲であり;yは、約0.1〜約0.25から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.1〜約0.25から選択されるモル分率範囲である。
【0065】
さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、yは、モル分率0であり;xは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.25〜約0.5から選択されるモル分率範囲である。なおさらに他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、yは、モル分率0であり;xおよびzは、等モル分率である。他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、xは、モル分率0であり;yは、約0.5〜約0.75から選択されるモル分率範囲であり;zは、約0.25〜約0.5から選択されるモル分率範囲である。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、xは、モル分率0であり;yおよびzは、等モル分率である。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーにおいて、コポリマーの粘度平均分子量は、約1,500g/mol〜約20,000g/molである。
【0066】
実施形態において、流体は、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーを含む調合物と接触される。実施形態において、流体は、約3重量%の調合物と接触され、ここで、調合物の量は、含水率のパーセンテージと関連する。より具体的には、実施形態において、調合物は、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーの1つまたは複数(例えば、一般式(I)の2つ以上のコポリマーが使用され得る)、溶媒、または添加剤を含む。実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、添加剤と適合する。実施形態において、添加剤は、腐食阻害剤および協力剤から選択される。例示的な非限定的な実施形態において、調合物は、約0.01%〜約15%の一般式(I)の少なくとも1つのコポリマー、約0%〜約20%の溶媒、および約0%〜約1%の添加剤を含む。他の例示的な非限定的な実施形態において、調合物は、約0.1%〜約5%の一般式(I)の少なくとも1つのコポリマー、約0%〜約20%の溶媒、約0%〜約10%の添加剤、0百万分率(すなわち、ppm;質量分率)〜約3000ppmの腐食阻害剤、0ppm〜約3000ppmのスケール阻害剤、0%〜約40%の熱力学的水化物阻害剤、および約0.1%〜約10%の抗凝集体を含む。実施形態において、調合物の開示される量は、含水率のパーセンテージまたはppmに関連する。
【0067】
例示的な非限定的な実施形態において、溶媒は、水、アルコール、例えば、モノエチレングリコール、メタノール、エタノール、およびイソブタノール、ケトン、エーテル、ならびに非極性芳香族化合物、例えば、トルエンおよびベンゼンから選択される。さらに例示的な非限定的な実施形態において、溶媒は、グリコール、例えば、モノエチレングリコールから選択されるアルコールである。他の例示的な非限定的な実施形態において、添加剤は、腐食阻害剤および協力剤から選択される。例示的な非限定的な実施形態において、腐食阻害剤は、ガス腐食阻害剤を含む。実施形態において、協力剤は、スケール阻害剤、熱力学的水化物阻害剤、低用量水化物阻害剤、および抗凝集体から選択される。例示的な非限定的な実施形態において、熱力学的水化物阻害剤は、グリコールエーテルおよびメタノールから選択される。例示的な非限定的な実施形態において、低用量水化物阻害剤は、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)およびポリ(N−メチル−N−ビニルアセトアミド)から選択される。
【0068】
実施形態において、流体は、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触される。実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、流体と当業者に公知の方法を介して接触される。例えば、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、流体と、添加すること、合わせること、混合すること、注入すること、またはその組み合わせを介して接触させてもよい。例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成するのに適当な条件は、流体への圧力が、約11bara〜約200bara、または約11bara〜約50bara、または約50bara〜約100bara、または約100bara〜約150bara、または約150bara〜約200baraである条件を含み;また流体の温度が、約0℃〜約25℃、または約0℃〜約12℃、または約12℃〜約16℃、または約16℃〜約19℃、または約19℃〜約25℃である条件を含む。
【0069】
他の実施形態において、流体を一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることは、第1の過冷却温度でのクラスレート水和物の形成を阻害するか、または阻害するのに有効である。他の実施形態において、流体を一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることは、第2の過冷却温度でのクラスレート水和物の形成を阻害するか、または阻害するのに有効である。さらに他の実施形態において、流体を一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーをクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることは、第3の過冷却温度でのクラスレート水和物の形成を阻害するか、または阻害するのに有効である。
【0070】
例示的な非限定的な実施形態において、流体を一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることは、約40bar〜約200barの圧力範囲においてクラスレート水和物の形成を阻害するか、または阻害するのに有効である。他の例示的な非限定的な実施形態において、流体を一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物を形成するのに適した条件下で接触させることは、約70bar〜約100barの圧力範囲においてクラスレート水和物の形成を阻害するか、または阻害するのに有効である。
【0071】
実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、水ホスト分子および天然ガスゲスト分子を含む。さらなる実施形態において、天然ガスゲスト分子は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、二酸化炭素、硫化水素、窒素、またはその組み合わせから選択される。例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、以下の組成量の天然ガスゲスト分子:メタン(約60〜90モル%);エタン(約0〜4モル%);プロパン(約0〜1モル%);ブタン(約0〜1モル%);二酸化炭素(約5〜15モル%);硫化水素(約0〜5モル%);および窒素(約5〜15モル%)を含む。他の実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、表2において後に記載されるようなブラインを含む。例示的な非限定的な実施形態において、ブラインは、塩素アニオン、ナトリウムカチオン、酢酸、ギ酸、酢酸の共役塩基、ギ酸の共役塩基、またはその組み合わせを含む。
【0072】
例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、酸性ガスゲスト分子を含む。例えば、実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、二酸化炭素および硫化水素を含む。例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、二酸化炭素、硫化水素、または二酸化炭素と硫化水素の組み合わせリッチである。例えば、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、硫化水素リッチであってもよく、ここで、それは、少なくとも約2モル%の硫化水素を含む。別の例として、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、二酸化炭素リッチであってもよく、ここで、それは、少なくとも約8モル%の二酸化炭素を含む。なお別の例として、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、二酸化炭素および硫化水素リッチであってもよく、ここで、それは、少なくとも約8モル%の二酸化炭素および少なくとも約2モル%の硫化水素を含む。さらに他の例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、二酸化炭素、硫化水素、窒素、またはその組み合わせを含む。なお他の例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、二酸化炭素、硫化水素、および窒素ガスゲスト分子を含む。なおさらに他の例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、硫化水素、二酸化炭素、または硫化水素と二酸化炭素の組み合わせを含まない。
【0073】
実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、SIクラスレート水和物、SIIクラスレート水和物、またはその組み合わせを形成する能力がある。実施形態において、SIクラスレート水和物を形成する能力がある流体は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、二酸化炭素、または硫化水素の少なくとも1つを含む。他の実施形態において、SIIクラスレート水和物を形成する能力がある流体は、プロパン、ブタン、またはペンタンの少なくとも1つを含む。実施形態において、SIクラスレート水和物およびSIIクラスレート水和物は、当業者に周知の結晶立体構造を有する。クラスレート水和物を形成する能力がある流体が、SIクラスレート水和物、SIIクラスレート水和物、またはその組み合わせを形成する能力があるさらなる実施形態、接触は、SIクラスレート水和物、SIIクラスレート水和物、もしくはその組み合わせの形成を阻害するか、または阻害するのに有効である。
【0074】
実施形態において、流体は、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーとクラスレート水和物形成を阻害するのに有効な量で接触される。特定の実施形態において、流体は、約0.1重量%、すなわち、wt%〜約7wt%の含水率、または約0.3wt%〜約5wt%の含水率、または約0.5wt%〜約3wt%の含水率で接触される。
【0075】
図13A〜13Bにおいて示される通り、実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、結合したプラットフォーム10で一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーと接触される。図13A〜13Bにおいて示される通り、実施形態において、結合したプラットフォーム10は、パイプライン50を介して陸上プラント100と流体連結している沖合プラットフォームである。実施形態において、結合したプラットフォーム10は、水源200、300、400、500、および600と流体連結し、穿孔用インタフェイサおよび生産装置を提供する。実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、パイプライン50内を流れる。さらなる実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、沖合側から陸上側にパイプライン50内を流れる。例示的な非限定的な実施形態において、クラスレート水和物を形成する能力がある流体は、結合したプラットフォーム10から陸上プラント100にパイプライン50内を流れる。例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、結合したプラットフォーム10にてクラスレート水和物を形成する能力がある流体に注入される。
【0076】
実施形態において、結合したプラットフォーム10は、クラスレート水和物阻害剤を保持するための容器15およびクラスレート水和物阻害剤注入スキッド20を含む。例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、クラスレート水和物阻害剤を保持するための容器15内に保持される。例示的な非限定的な実施形態において、一般式(I)の少なくとも1つのコポリマーは、クラスレート水和物阻害剤注入スキッド20を介してクラスレート水和物を形成する能力がある流体に注入される。
【0077】
一般式(I)を有するアクリルアミドベースのコポリマーを使用するクラスレート水和物の形成を阻害する方法の実施形態が、詳細に記載される。
【実施例】
【0078】
以下の非限定的な実施例は、一般式(I)を有するコポリマーの合成および比較ホモポリマーの合成を説明し、また本開示の方法を説明する。合成される化合物は、性質、および一般式(I)または記載される方法の範囲に対する無関係の限定における実例であると解されるべきである。
【0079】
実施例1:一般式(I)を有するアクリルアミドベースのターポリマーの合成
材料および方法。一般式(I)(式中、Rはメチルであり、Rはメチルであり、Rはイソプロピルであり、Rは−(CH−であり、xは0.25であり、yは0.25であり、zは0.5である)を有するアクリルアミドベースのターポリマー(すなわち、ABT)を、以下の反応スキーム:
【0080】
【化17】
に従い合成した。
【0081】
より具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(すなわち、ABCVA)(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M1):
【0082】
【化18】
のモノマー繰り返し単位(約18mmol)、
構造(M2):
【0083】
【化19】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、
構造(M3):
【0084】
【化20】
のモノマー繰り返し単位(約18mmol)、および
チオグリコール酸(約334mg、3.60mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0085】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。24時間後、反応混合物は均一であり、室温まで冷却した。次に、反応混合物を、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−1):
【0086】
【化21】
のアクリルアミドベースのターポリマーを白色ポリマーとして得た(収率:約91%)。
【0087】
結果。構造(ABT−1)のターポリマーは、範囲20℃〜63℃にある低臨界溶解温度(すなわち、LCST)を示さなかった。H NMRスペクトルを注意深く解析して、構造(ABT−1)のターポリマーが、それぞれのターポリマー組成約1:1:2を有することを決定した。例えば、比約1:1:2について、図1を参照し、約1.00単位の領域(a)は、モノマー繰り返し単位構造(M3)のHと印を付けた水素原子に属し、ここで、約δ0.9〜3.5ppm下の約9.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)の残りの交換不可能な9個の水素原子に属し、約11.0単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M1)の11個の水素原子に属し、約19.65単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M2)の9個の水素原子に属する。範囲内のトータルの領域は、約39.65単位(すなわち、約21.08+12.03+6.54)であるので、モノマー繰り返し単位構造(M1)および(M3)についての約20.00単位を引いた後、モノマー繰り返し単位構造(M2)の9個の水素原子の寄与に属する約19.65単位が残る。
【0088】
したがって、1個の水素についてモノマー繰り返し単位構造(M1):(M3):(M2)の比は、約1:1:(19.65/9)、すなわち、約1.00:1.00:2.18である。これは、仕込み濃度約1:1:2とほぼ等しい。
【0089】
実施例2:一般式(I)を有するアクリルアミドベースのターポリマーの合成
材料および方法。一般式(I)(式中、Rはメチル、Rはメチルであり、Rはイソプロピルであり、Rは−(CH−であり、xは0.125であり、yは0.125であり、zは0.75である)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、別段示すのを除き、実施例1での通り合成した。より具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、ABCVA(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M1):
【0090】
【化22】
のモノマー繰り返し単位(約9mmol)、
構造(M2):
【0091】
【化23】
のモノマー繰り返し単位(約54mmol)、
構造(M3):
【0092】
【化24】
のモノマー繰り返し単位(約9mmol)、および
チオグリコール酸(約334mg、3.60mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0093】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。24時間後、反応混合物は均一であり、室温まで冷却した。次に、反応混合物を、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−2):
【0094】
【化25】
のアクリルアミドベースのターポリマーを白色ポリマーとして得た(収率:約94%)。
【0095】
結果。構造(ABT−2)のターポリマーは、範囲20℃〜63℃内のLCSTを示さなかった。H NMRスペクトルを注意深く解析して、構造(ABT−2)のターポリマーが、それぞれのポリマー組成約1:1:6を有することを決定した。例えば、比約1:1:6について、図2を参照し、約1.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)のHと印を付けた水素原子に属し、ここで、約δ0.9〜3.5ppm下の約9.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)の残りの交換不可能な9個の水素原子に属し、約11.0単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M1)の11個の水素原子に属し、約53.5単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M2)の9個の水素原子に属する。範囲内のトータルの領域は、約73.5単位(すなわち、約48.25+18.69+6.51)であるので、モノマー繰り返し単位構造(M1)および(M3)についての約20.00単位を引いた後、モノマー繰り返し単位構造(M2)の9個の水素原子の寄与に属する約53.5単位が残る。
【0096】
したがって、1個の水素についてモノマー繰り返し単位構造(M1):(M3):(M2)の比は、約1:1:(53.5/9)、すなわち、約1.00:1.00:5.94である。これは、仕込み濃度約1:1:6とほぼ等しい。
【0097】
実施例3:一般式(I)を有するアクリルアミドベースの二元重合体の合成
材料および方法。一般式(I)(式中、Rはメチルであり、Rはメチルであり、Rは存在せず、Rは−(CH−であり、xは0.5であり、yは0であり、zは0.5である)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、以下の反応スキーム:
【0098】
【化26】
に従い合成した。
【0099】
より具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、ABCVA(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M4):
【0100】
【化27】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、
構造(M2):
【0101】
【化28】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、および
チオグリコール酸(約166mg、1.80mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0102】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。数時間以内に、混濁した懸濁液を観察した。約63℃にて混濁する一方、反応混合物は、室温で透明であり、これにより、一般式(I)の二元重合体がLCSTを有していたことが暗示される。24時間後、反応混合物は不均一であり、室温まで冷却して、透明溶液を得た。次に、透明溶液を、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−3):
【0103】
【化29】
のアクリルアミドベースの二元重合体を白色ポリマー(収率:約85%)として得た。
【0104】
結果。H NMRスペクトルを注意深く解析して、構造(ABC−3)の二元重合体の組成を決定した。例えば、構造(M4)および(M2)の組み込まれたモノマー繰り返し単位の比約1:1について、図3を参照し、約δ0.8〜1.8ppm下の領域(A)は、a、a’、bおよびcと印を付けた10個のHsに属し、一方、範囲約δ2.0〜3.8に現れる12個の印を付けていないプロトンの残りの領域(B)は、したがって、(A/10)×12に達する。したがって、領域比B/Aは、約[(A/10)×12]/A、すなわち、約1.20と等しい。モノマー繰り返し単位構造(M4):(M2)の実験に基づく比は、約1.00/0.82、すなわち、約1.22である。したがって、モノマー繰り返し単位構造(M4):(M2)の確認した二元重合体組成は、約1:1である。
【0105】
実施例4:一般式(I)を有するアクリルアミドベースの二元重合体の合成
材料および方法。一般式(I)(式中、Rはメチルであり、Rはメチルであり、Rは存在せず、Rは−(CH−であり、xは0.75であり、yは0であり、zは0.25である)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、別段示すのを除き、実施例3での通り合成した。より具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、ABCVA(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M4):
【0106】
【化30】
のモノマー繰り返し単位(約18mmol)、
構造(M2):
【0107】
【化31】
のモノマー繰り返し単位(約54mmol)、および
チオグリコール酸(約166mg、1.80mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0108】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。24時間後、反応混合物を室温まで冷却した。次に、反応混合物を、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−4):
【0109】
【化32】
のアクリルアミドベースの二元重合体を白色ポリマー(収率:約85%)として得た。
【0110】
結果。構造(ABT−4)の二元重合体は、範囲20℃〜63℃内のLCSTを示さなかった。例えば、構造(M4)および(M2)の組み込まれたモノマー繰り返し単位の比について、図4を参照し、約δ0.9〜1.75ppm下の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M4)におけるa、b、およびcと印を付けた8個の水素原子に属し、統合された領域約8yを有し、モノマー繰り返し単位(M2)におけるc’と印を付けた2個の水素原子は、統合された領域約6y(すなわち、約23y)を有し、モノマー繰り返し単位構造(M2)および(M4)においてa、b、c、ならびにc’と印を付けた水素原子は、統合された領域約14yを有し、約δ2.0〜3.7ppm下の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M4)におけるdおよびeと印を付けた水素原子に属し、約5yを占め、e’およびfと印を付けた水素原子は、統合された領域約21y(すなわち、約73y)を有する。d、e、e’、およびfと印を付けたプロトンのトータルの統合された領域は、約26y(すなわち、5y+21y)であるべきである。したがって、範囲約δ2.0〜3.7ppmおよび約δ0.9〜1.75ppm内の領域比は、約1.86(すなわち、26y/14y)であるべきである。モノマー繰り返し単位構造(M4):(M2)の観察した領域比は、約1.92(すなわち、約1.00/0.52)である。これにより、仕込み濃度約1:2を確かにする。
【0111】
実施例5:一般式(I)を有するアクリルアミドベースの二元重合体の合成
材料および方法。一般式(I)(式中、Rは存在せず、Rは存在せず、Rはイソプロピルであり、Rは−(CH−であり、xは0であり、yは0.5であり、zは0.5である)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、以下の反応スキーム:
【0112】
【化33】
に従い合成した。
【0113】
より具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、ABCVA(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M1):
【0114】
【化34】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、
構造(M3):
【0115】
【化35】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、および
チオグリコール酸(約334mg、3.6mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0116】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。数時間以内に、混濁した懸濁液を観察した。約63℃にて混濁する一方、反応混合物は、室温で透明であり、これにより、一般式(I)の二元重合体がLCSTを有していたことが暗示される。24時間後、反応混合物は不均一であり、室温まで冷却して、透明溶液を得た。次に、透明溶液を、石油エーテル(3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−5):
【0117】
【化36】
のアクリルアミドベースの二元重合体を白色ポリマーとして得た(収率:約95%)。
【0118】
結果。構造(ABC−5)の二元重合体のLCSTは、28℃であると見出した。例えば、構造(M1)および(M3)の組み込まれたモノマー繰り返し単位の比1:1について、図5を参照し、約1.00単位の領域(a)は、モノマー繰り返し単位構造(M3)のHと印を付けた水素原子に属し、約δ0.9〜3.5ppm下の約9.00単位の領域は、モノマー繰り返し単位構造(M3)の残りの交換不可能な9個の水素原子に属する。トータルの領域は、約19.67単位(すなわち、約3.97+9.71+5.99)であるだろう。加えて、約10.67単位は、モノマー繰り返し単位構造(M1)の11個の水素原子に属する。したがって、構造(M1):(M3)の組み込まれたモノマー繰り返し単位の領域比は、約10.67/11(すなわち、0.97:1.00)であり、それは、仕込み濃度約1:1とほぼ同一である。
【0119】
実施例6:クラスレート水和物形成のアクリルアミドベースのターポリマー(ABT−6)および(ABT−7)の阻害の特徴
材料および方法。一般式(I)(式中、Rはメチル、Rはメチルであり、Rはイソプロピルであり、Rは−(CH−であり、xは0.40であり、yは0.25であり、zは0.35である)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、別段示すのを除き、実施例1での通り合成した。より具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、ABCVA(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M4):
【0120】
【化37】
のモノマー繰り返し単位(約25.5mmol)、
構造(M3):
【0121】
【化38】
のモノマー繰り返し単位(約18mmol)、
構造(M2):
【0122】
【化39】
のモノマー繰り返し単位(約28.8mmol)、
チオグリコール酸(約334mg、3.6mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0123】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。24時間後、反応混合物は均一であり、室温まで冷却した。次に、反応混合物を、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−6):
【0124】
【化40】
のアクリルアミドベースのターポリマーを得た(収率:約90%)。
【0125】
構造(ABT−6)のアクリルアミドベースのターポリマーの組成を、実施例1および2における構造(ABT−1)ならびに(ABT−2)のアクリルアミドベースのターポリマーに関して行ったように、H NMR解析を介して確認した。
【0126】
一般式(I)(式中、Rはメチルであり、Rはメチルであり、Rはイソプロピルであり、Rは−(CH−であり、xは0.25であり、yは0.25であり、zは0.5である)を有するアクリルアミドベースのターポリマーをまた、x、y、およびzのモル分率ならびに対応するモノマー繰り返し単位を修飾して、構造(ABT−7)のアクリルアミドベースのターポリマーを得た点を除き、構造(ABT−6)のアクリルアミドベースのターポリマーに関して記載した通り合成した。具体的には、一般式(I)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、ABCVA(約350mg、1.25mmol)を、水(約42mL)中の構造(M4):
【0127】
【化41】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、
構造(M3):
【0128】
【化42】
のモノマー繰り返し単位(約18mmol)、
構造(M2):
【0129】
【化43】
のモノマー繰り返し単位(約18mmol)、
チオグリコール酸(約334mg、3.6mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。
【0130】
反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。24時間後、反応混合物は均一であり、室温まで冷却した。次に、反応混合物を、石油エーテル(約3×20mL)で洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−7):
【0131】
【化44】
のアクリルアミドベースのターポリマーを得た(収率:約87%)。
【0132】
構造(ABT−7)のアクリルアミドベースのターポリマーの組成を、実施例1および2における構造(ABT−1)ならびに(ABT−2)のアクリルアミドベースのターポリマーに関して行ったように、H NMR解析を介して確認した。
【0133】
(ABT−6)および(ABT−7)のクラスレート水和物形成を阻害する能力を特徴付けた。より具体的には、ロッキングセル(すなわち、RC−5)を利用して、構造(ABT−6)および(ABT−7)を有するアクリルアミドベースのターポリマーのクラスレート水和物形成を阻害する能力を特徴付けた。RC−5は、高い圧力(すなわち、最大200bar)下およびサワーガス条件において働くことができる5個のハステロイセル(PSL Systemtechnik Gmbh、オステローデ・アム・ハル、ドイツ)を含んでいた。RC−5の5個のハステロイセルを、エチレングリコールおよび水を含む温度制御バスに浸した。操作中、RC−5を振動させて、反応物スラリーを混合した。混合玉を含むハステロイセルの体積は、約30mLであった。RC−5は、構造(ABT−6)および(ABT−7)を有するアクリルアミドベースのターポリマーの有効性を試験するための模擬操作条件下で天然ガスクラスレート水和物の形成を可能にした。データ取得をWinRCソフトウエアで完了して、5個のハステロイセルのそれぞれにおける経時的圧力および温度を測定した。
【0134】
フィールドでのパイプライン操作条件をまねた典型的な実行において、5個のハステロイセルのそれぞれに、アクリルアミドベースのコポリマー調合物約10mLを充填した。具体的には、アクリルアミドベースのコポリマー調合物10mLは、アクリルアミドベースのコポリマー(約0.105g、約3重量%)、溶媒(モノエチレングリコール、すなわち、MEG約0.195g)、および表2において説明するブライン(約9.7g、約97重量%)を含むものであった。次に、5個のハステロイセルに、表3において記載する通り、天然ガスを充填した、すなわち、天然ガスを、5個のハステロイセルに、21℃で圧力約140barまで加えた。ブラインは、表2において説明する通り、塩素アニオン、ナトリウムカチオン、酢酸、ギ酸、および共役塩基の水溶液を含むものであった。
【0135】
【表2】
【0136】
フィールドにおける天然ガスは、大量のメタン、二酸化炭素、硫化水素、および窒素を含み、また少量のエタン、プロパン、およびブタンを含むので、フィールドでのパイプライン操作条件をまねるために、表3において説明する天然ガス組成を利用した。
【0137】
【表3】
【0138】
次に、この具体的な実施例において、5個のハステロイセルのそれぞれに、構造(ABT−6、約3重量%)または(ABT−7、約3重量%)を有するアクリルアミドベースのターポリマー、ならびに表2のブライン(約97重量%)を含むアクリルアミドベースのコポリマー調合物10mLを充填した。それぞれのアクリルアミドベースのターポリマー構造を別々に試験した、すなわち、2つの異なるアクリルアミドベースのターポリマー構造を、1つの試験において対としなかった。次に、5個のハステロイセルに、表3において記載した天然ガスを、21℃で圧力約140barまで充填した。次に、図6を参照し、RC−5を、表4において一般的に説明する3つの操作段階で温度を変化するようプログラムした。
【0139】
【表4】
【0140】
表3の天然ガス組成におけるクラスレート水和物の三相系平衡温度(すなわち、液体、蒸気、および水和物)を、当業者に公知の方法を介して計算した。天然ガス組成におけるクラスレート水和物の三相系平衡温度は、140barにて約18.6℃であることを見出した。さらに、圧力変化が、クラスレート水和物形成に正確に帰するように、液体、蒸気、および水和物相についての圧力変化を、天然ガス組成のマスバランスを利用することにより、説明した。
【0141】
構造(ABT−6)および(ABT−7)を有するアクリルアミドベースのターポリマーのクラスレート水和物形成を阻害する能力を、3種の過冷却温度:約4.0℃、5.6℃、および10.5℃にて評価した。構造(ABT−6)および(ABT−7)を有するアクリルアミドベースのターポリマーのクラスレート水和物形成を阻害する能力を、3種の過冷却温度にて評価して、クラスレート水和物形成が生じた誘導期および温度を決定した。より具体的には、実施形態において、アクリルアミドベースのコポリマーのクラスレート水和物形成を阻害する能力を、様々な過冷却温度での操作段階のそれぞれの間に圧力を査定することにより評価し、安定な圧力が、クラスレート水和物阻害の指標であると決めた。
【0142】
結果。図7において示す通り、構造(ABT−6)を有するアクリルアミドベースのターポリマーは、第1の過冷却温度4.0℃と第2の過冷却温度5.6℃の両方でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。対照的に、構造(ABT−7)を有するアクリルアミドベースのターポリマーは、第1の過冷却温度4.0℃でのクラスレート水和物形成の有効な水化物阻害剤であった。
【0143】
実施例7:アクリルアミドベースのターポリマー(ABT−1)および(ABT−2)のクラスレート水和物形成を阻害する能力の特徴
材料および方法。構造(ABT−1)および(ABT−2)を有するアクリルアミドベースのターポリマーを、実施例1〜2での通り合成した。(ABT−6)および(ABT−7)のクラスレート水和物形成を阻害する能力を、別段示すのを除き、実施例6での通り特徴付けた。具体的には、5個のハステロイセルのそれぞれを、アクリルアミドベースのコポリマー調合物約10mLで充填した。具体的には、アクリルアミドベースのコポリマー調合物10mLは、アクリルアミドベースのコポリマー(約1重量%)、溶媒(約2重量%MEG)、および表2において説明したブライン(約97重量%)を含むものであった。
【0144】
結果。図8において示す通り、構造(ABT−1)を有するアクリルアミドベースのターポリマーは、第1の過冷却温度4.0℃と第2の過冷却温度5.6℃の両方でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。加えて、構造(ABT−2)を有するアクリルアミドベースのターポリマーは、第1の過冷却温度4.0℃でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。
【0145】
実施例8:アクリルアミドベースの二元重合体(ABC−3)および(ABC−4)のクラスレート水和物形成を阻害する能力の特徴
材料および方法。構造(ABC−3)および(ABC−4)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、実施例3〜4での通り合成した。(ABC−3)および(ABC−4)のクラスレート水和物形成を阻害する能力を、別段示すのを除き、実施例6のように特徴付けた。具体的には、5個のハステロイセルのそれぞれを、アクリルアミドベースのコポリマー調合物約10mLで充填した。具体的には、アクリルアミドベースのコポリマー調合物10mLは、アクリルアミドベースのコポリマー(約1重量%)、溶媒(約2重量%MEG)、および表2において説明したブライン(約97重量%)を含むものであった。加えて、RC−5を、表5において一般的に説明する3つの操作段階で温度を変化するようプログラムした。
【0146】
【表5】
【0147】
結果。図9において示す通り、構造(ABC−3)を有するアクリルアミドベースの二元重合体は、第1の過冷却温度4.0℃と第2の過冷却温度5.6℃の両方でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。加えて、構造(ABC−4)を有するアクリルアミドベースの二元重合体は、第1の過冷却温度4.0℃でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。
【0148】
実施例9:構造(ABC−5)および構造(ABC−8)を有するアクリルアミドベースの二元重合体のクラスレート水和物形成を阻害する能力の特徴
材料および方法。一般式(I)(式中、Rは存在せず、Rは存在せず、Rはイソプロピルであり、Rは−(CH−であり、xは0であり、yは0.5であり、zは0.5である)を有するアクリルアミドベースの二元重合体(ABC−5)を、実施例5での通り合成した。一般式(I)(式中、Rはメチルであり、Rはメチルであり、Rは存在せず、Rは−(CH−であり、xは0.5であり、yは0であり、zは0.5である)を有するアクリルアミドベースの二元重合体(ABC−8)を、別段示すのを除き、実施例1での通り合成した。より具体的には、構造(ABC−8)を有するアクリルアミドベースの二元重合体を、ABCVAを、水(約42mL)中の構造(M1):
【0149】
【化45】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、
構造(M2):
【0150】
【化46】
のモノマー繰り返し単位(約36mmol)、
チオグリコール酸(約5.2mmol)を有する溶液にN下で加えて、反応混合物を生じることにより、合成した。反応混合物を、N下、約63℃にて磁気攪拌棒を使用して24時間撹拌した。24時間後、反応混合物は均一であり、室温まで冷却した。次に、反応混合物を、石油エーテルで洗浄し、凍結乾燥させて、構造(ABT−8):
【0151】
【化47】
のアクリルアミドベースの二元重合体を得た。
【0152】
(ABC−5)および(ABC−8)のクラスレート水和物形成を阻害する能力を、別段示すのを除き、実施例6での通り特徴付けた。具体的には、5個のハステロイセルのそれぞれを、アクリルアミドベースのコポリマー調合物約10mLで充填した。具体的には、アクリルアミドベースのコポリマー調合物10mLは、アクリルアミドベースのコポリマー(約1重量%)、溶媒(約2重量%MEG)、および表2において説明したブライン(約97重量%)を含むものであった。
【0153】
結果。図10において示す通り、構造(ABC−5)を有するアクリルアミドベースの二元重合体は、第1の過冷却温度4.0℃と第2の過冷却温度5.6℃の両方でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。対照的に、構造(ABC−8)を有するアクリルアミドベースの二元重合体は、第1の過冷却温度4.0℃での数時間のクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。
【0154】
実施例10:構造(ABH−1)および構造(ABH−2)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーのクラスレート水和物形成を阻害する能力の特徴
材料および方法。構造(ABH−1)、(ABH−2)、(ABH−3)、および(ABH−4)を有するアクリルアミドベースのホモポリマー(すなわち、ABH)を合成した。より具体的には、構造(ABH−1)、(ABH−2)、(ABH−3)、および(ABH−4)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーを、それぞれ、構造(M5)、(M3)、(M2)、および(M1)の対応するモノマー繰り返し単位から、別段示すのを除き、実施例1での通り合成した(収率:約85〜93%)。構造(ABH−1)、(ABH−2)、(ABH−3)、および(ABH−4)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーの合成において、構造(M5)、(M3)、(M2)、および(M1)の対応するモノマー繰り返し単位約72mmolを利用した。構造(M5):
【0155】
【化48】
のモノマー繰り返し単位を示す。
【0156】
構造(ABH−1)、(ABH−2)、(ABH−3)、および(ABH−4):
【0157】
【化49】
を有するアクリルアミドベースのホモポリマーを示す。
【0158】
(ABH−1)、(ABH−2)、(ABH−3)、および(ABH−4)のクラスレート水和物形成を阻害する能力を、別段示すのを除き、実施例6での通り特徴付けた。具体的には、5個のハステロイセルのそれぞれを、アクリルアミドベースのコポリマー調合物約10mLで充填した。具体的には、アクリルアミドベースのコポリマー調合物10mLは、アクリルアミドベースのコポリマー(約1重量%)、溶媒(約2重量%MEG)、および表2において説明したブライン(約97重量%)を含むものであった。
【0159】
結果。図11〜12において示す通り、構造(ABH−2)および(ABH−4)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーは、第1の過冷却温度4.0℃でのクラスレート水和物形成の有効な阻害剤であった。対照的に、構造(ABH−1)および(ABH−3)を有するアクリルアミドベースのホモポリマーは、いずれの過冷却温度でもクラスレート水和物形成の有効な阻害剤ではなかった。
【0160】
様々な修飾およびバリエーションが、請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、本開示において記載される実施形態に成され得ることは、当業者に明らかだろう。したがって、本開示は、記載された様々な実施形態の修飾およびバリエーションをカバーする、但し、かかる修飾およびバリエーションは、添付の請求の範囲およびその均等物の範囲内にあることが意図される。
【0161】
「一般的に」、「通常」および「典型的には」のような用語は、請求項の範囲を制限するため、またはある種の特性が、請求項の構造もしくは機能に重大であるか、必須であるか、または重要でありさえすることを暗示するために利用されないことに注意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態において利用されてもよいか、もしくはされなくてもよい、代わりの、またはさらなる特性を強調することが、単に意図される。
【0162】
様々な実施形態の記載が、用語「含むこと(comprising)」、または「含むこと(including)」を使用する場合、当業者が、ある特定の場合では、実施形態は、語句「本質的にからなる」または「からなる」を使用して代わりに記載され得ることを理解することは、さらに理解されるべきである。
【0163】
別段示されない限り、開示および請求項において使用される成分の量、反応条件のような特性などを表す全ての数字が、全ての場合で用語「約」により修飾されていると解されるべきである。したがって、対照的に示されない限り、本開示および請求項において説明される数値パラメーターは、ここで開示される主題により得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る。
【0164】
本開示を通じて与えられるあらゆる最大の数値限定が、あらゆるより小さい数値限定を、かかるより小さい数値限定が、本開示において明確に書かれているかのように含むことは、理解されるべきである。本開示を通じて与えられるあらゆる最小の数値限定は、あらゆるより大きい数値限定を、かかるより大きい数値限定が、本開示において明確に書かれているかのように含む。本開示を通じて与えられるあらゆる数値範囲は、かかるより広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲を、かかるより狭い数値範囲が、本開示において全て明確に書かれているかのように含む。
【0165】
別段定義されない限り、本開示において使用される全ての技術用語および科学用語は、請求される主題が属する当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本開示において使用される専門用語は、ただ特定の実施形態を説明するためであり、制限することを意図しない。本開示および添付の請求の範囲において使用される通り、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段明確に示さない限り、同様に複数形を含むことが意図される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
一般式(I):
【化50】
(式中:
、R、およびRは、C〜C30飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され、
は、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、前記2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含み、
、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され、
xは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり、
yは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり、ここで、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率であり、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率であり、
zは、0.1〜0.9から選択されるモル分率範囲であり、x、y、およびzの和は、1と等しい)
を有するコポリマー。
実施形態2
、R、およびRが、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され、
が、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され、
xが、0〜0.5から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0〜0.5から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.2〜0.75から選択されるモル分率範囲である、実施形態1に記載のコポリマー。
実施形態3
、R、およびRが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、およびsec−ヘキシルからそれぞれ独立して選択され、
が、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され、
xが、0〜0.2から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0〜0.5から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.2〜0.75から選択されるモル分率範囲である、実施形態1または実施形態2に記載のコポリマー。
実施形態4
【化51】
が、
【化52】
から選択される、実施形態1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
実施形態5
がメチルであり、
がメチルであり、
がイソプロピルであり、
xが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲である、実施形態1に記載のコポリマー。
実施形態6
xが、0より大きいモル分率であり、
yが、0より大きいモル分率であり、
yおよびzが、等モル分率である、実施形態1〜5のいずれかに記載のコポリマー。
実施形態7
yが、モル分率0であり、
xが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.25〜0.5から選択されるモル分率範囲である、実施形態1に記載のコポリマー。
実施形態8
yが、モル分率0であり、
xおよびzが、等モル分率である、実施形態1または実施形態2に記載のコポリマー。
実施形態9
xが、モル分率0であり、
yが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.25〜0.5から選択されるモル分率範囲である、実施形態1または実施形態3に記載のコポリマー。
実施形態10
xが、モル分率0であり、
yおよびzが、等モル分率である、実施形態1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
実施形態11
前記コポリマーの粘度平均分子量が、1,000g/mol〜1,000,000g/molの範囲内である、実施形態1〜10のいずれかに記載のコポリマー。
実施形態12
前記コポリマーの粘度平均分子量が、1,500g/mol〜20,000g/molの範囲内である、実施形態1〜11のいずれかに記載のコポリマー。
実施形態13
クラスレート水和物を形成する能力がある流体において前記クラスレート水和物の形成を阻害する方法であって、前記方法は、
前記流体を、前記クラスレート水和物を形成するのに適した条件下で、一般式(I):
【化53】
(式中:
、R、およびRは、C〜C30飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され、
は、1つもしくは複数のC〜C直鎖脂肪族基、C〜C分岐脂肪族基、またはその組み合わせで場合により置換されている、2価のC〜C直鎖脂肪族基および2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基から選択され、ここで、前記2価のC〜C直鎖へテロ脂肪族基は、O、N、およびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含み、
、R、およびRは、メチルまたは水素からそれぞれ独立して選択され、
xは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり、
yは、0〜0.8から選択されるモル分率範囲であり、ここで、yが、モル分率0であるとき、xは、0より大きいモル分率であり、xが、モル分率0であるとき、yは、0より大きいモル分率であり、
zは、0.1〜0.9から選択されるモル分率範囲であり、x、y、およびzの和は、1と等しい)
の少なくとも1つのコポリマーと接触させることを含む、方法。
実施形態14
前記流体が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、二酸化炭素、硫化水素、窒素、またはその組み合わせから選択される水ホスト分子および天然ガスゲスト分子を含む、実施形態13に記載の方法。
実施形態15
前記流体が、酸性ガスゲスト分子を含む、実施形態13または実施形態14に記載の方法。
実施形態16
前記流体が、二酸化炭素、硫化水素、窒素、またはその組み合わせから選択される天然ガスゲスト分子を含む、実施形態13〜15のいずれかに記載の方法。
実施形態17
前記流体が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、二酸化炭素、硫化水素、および窒素ガスゲスト分子を含む、実施形態13〜16のいずれかに記載の方法。
実施形態18
前記流体が、SIクラスレート水和物、SIIクラスレート水和物、またはその組み合わせを形成する能力があり、
前記接触させることが、前記SIクラスレート水和物、前記SIIクラスレート水和物、または前記その組み合わせの形成を阻害するのに有効である、実施形態13〜17のいずれかに記載の方法。
実施形態19
前記接触させることが、0℃〜4.0℃の第1の過冷却温度にて前記クラスレート水和物の形成を阻害するのに有効である、実施形態13〜18のいずれかに記載の方法。
実施形態20
前記接触させることが、4.0℃〜10.0℃の第2の過冷却温度にて前記クラスレート水和物の形成を阻害するのに有効である、実施形態13〜19のいずれかに記載の方法。
実施形態21
前記接触させることが、40bar〜200barの圧力範囲において前記クラスレート水和物の形成を阻害するのに有効である、実施形態13〜20のいずれかに記載の方法。
実施形態22
前記接触させることが、70bar〜100barの圧力範囲において前記クラスレート水和物の形成を阻害するのに有効である、実施形態13〜21のいずれかに記載の方法。
実施形態23
前記流体が、式(I)の前記少なくとも1つのコポリマーおよび腐食阻害剤または溶媒の少なくとも1つを含む組成物と接触される、実施形態13〜22のいずれかに記載の方法。
実施形態24
、R、およびRが、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され、
が、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され、
xは、0〜0.5から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0〜0.5から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.2〜0.75から選択されるモル分率範囲である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態25
、R、およびRが、C〜C飽和脂肪族基からそれぞれ独立して選択され、
が、2価のC〜C直鎖脂肪族基から選択され、
xが、0より大きいモル分率であり、
yが、0より大きいモル分率であり、
yおよびzが、等モル分率である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態26
【化54】
が、
【化55】
から選択され、
xが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
yが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.1〜0.25から選択されるモル分率範囲である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態27
yが、モル分率0であり、
xが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.25〜0.5から選択されるモル分率範囲である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態28
yが、モル分率0であり、
xおよびzが、等モル分率である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態29
xが、モル分率0であり、
yが、0.5〜0.75から選択されるモル分率範囲であり、
zが、0.25〜0.5から選択されるモル分率範囲である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態30
xが、モル分率0であり、
yおよびzが、等モル分率である、実施形態13〜23のいずれかに記載の方法。
実施形態31
前記少なくとも1つのコポリマーの粘度平均分子量が、1,500g/mol〜20,000g/molの範囲内である、実施形態13〜30のいずれかに記載の方法。
実施形態32
前記流体が、結合したプラットフォームにて前記少なくとも1つのコポリマーと接触される、実施形態13〜31のいずれかに記載の方法。
実施形態33
前記流体が、パイプライン内を流れる、実施形態13〜32のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B