(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周囲環境に応じた信号を出力するセンサからの信号に基づいて周囲に異常が発生しているかを判断し、異常が発生していると判断した場合に警報を出力する警報器であって、
前面側の上ケースと後面側の下ケースとからなる筐体を備え、
前記上ケースの表面に位置する広告表示可能領域に、他の品物、店舗又は法人の情報を有する広告情報が付与され、
前記広告表示可能領域に付与された前記広告情報は、壁面取り付け時において上下方向となる方向に伸長されたものとなっている
ことを特徴とする警報器。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばガス事業者がガス外の事業(電力小売事業やリフォーム事業)をPRする時にチラシを作り、お客様に配布することが多いが、チラシはいずれ捨てられてしまうため、広告としての有効期間は短かった。
【0003】
そこで、広告の有効期間を長くするために、例えばボトルの外周に取付け具を外嵌め装着し、取付け具を介してボトルに広告媒体を取り付けた給水装置が提案されている(特許文献1参照)。また、給水装置の筐体前面や側面に液晶ディスプレイを備え、広告を液晶ディスプレイにて表示するものも提案されている(特許文献2参照)。さらに、粒状体の食品を収納及び取り出し可能な容器の表面の広告スペースに広告情報が印刷されたシートを貼り付けるものも提案されている(特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の広告手法では、取付け具という広告専用の別部品が必要となり、給水装置の大型化も招いてしまうものであった。また、特許文献2に記載の広告手法においても広告専用に液晶ディスプレイを設ける必要があった。
【0006】
そこで、特許文献3に記載のように容器等の筐体に広告情報を付与することが好まれるが、食品用の容器は食品を消費してしまった場合には容器ごと捨てられることが多く、決して広告としての有効期間が長いとはいえない。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、広告としてより長い有効期間を有すると共に、広告専用の別部品を必要とせず、大型化を防止することが可能な警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の警報器は、周囲環境に応じた信号を出力するセンサからの信号に基づいて周囲に異常が発生しているかを判断し、異常が発生していると判断した場合に警報を出力する警報器であって、前面側の上ケースと後面側の下ケースとからなる筐体を備え、前記上ケースの表面に位置する広告表示可能領域に、他の品物、店舗又は法人の広告情報が付与され
、前記広告表示可能領域に付与された前記広告情報は、壁面取り付け時において上下方向となる方向に伸長されたものとなっていることを特徴とする。
【0009】
この警報器によれば、上ケースの表面に位置する広告表示可能領域に広告情報が付与されているため、各家庭等において5年間や10年間などの長期に亘り設置される警報器自体に広告情報が付与されることとなり、広告としてより長い有効期間を有することができる。また、ケースに広告情報が付与されることから、広告専用の別部品を必要としないうえに、別部品による大型化もない。従って、広告としてより長い有効期間を有すると共に、広告専用の別部品を必要とせず、大型化を防止することができる。
また、広告情報は、壁面取り付け時において上下方向となる方向に伸長されたものとなっているため、警報器が壁面の天井付近や床付近に設置される場合において、視認される広告情報が平たく潰れたように視認されないようにすることができる。
【0010】
また、本発明の警報器において、前記広告情報は、前記広告表示可能領域に印刷されるものであり、前記広告表示可能領域は、奥行き方向の高さの差が2mm以内とされ、又は、曲面部を有する場合において当該曲面部の曲率半径が3mm以内とされた印刷ムラ低減構造を有することが好ましい。
【0011】
この警報器によれば、広告表示可能領域は印刷ムラ低減構造を有するため、曲面等を有し3次元印刷技術が必要となる警報器であっても広告情報の印刷ムラを抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、広告としてより長い有効期間を有すると共に、広告専用の別部品を必要とせず、大型化を防止することが可能な警報器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0017】
さらに、以下においてはガス警報器を警報器の一例として説明するが、これに限らず、火災警報器やガス火災一体型警報器などの他の警報器に適用されてもよい。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器の正面図であり、
図2は、
図1に示すガス警報器の側面図である。
図1に示すように、ガス警報器1は、周囲環境(検知対象ガスとなるガス濃度)に応じた信号を出力するガスセンサと、ガスセンサからの信号に基づいて周囲に異常が発生しているか(ガス漏れが発生しているか)を判断するCPUと、CPUにより異常が発生していると判断された場合に警報音声や警報表示を行うスピーカ及びLEDを備えたものである。
【0019】
このようなガス警報器1は、
図2に示すように、前面側の上ケース2aと後面側(取り付け対象となる壁面側)の下ケース2bからなる筐体2を備え、筐体2内に各種部品が収納されたものである。筐体2の内部には、上記したガスセンサ、CPU、スピーカ及びLEDの他、スイッチ部材などが配線板に搭載された状態で収納されている。
【0020】
また、ガス警報器1は、
図1に示すように、上ケース2aの上端側のうち一方の角部に押しボタン3を備えている。押しボタン3は、平面視して略二等辺三角形状となっており、上ケース2aに形成された二等辺三角形の開口部に嵌め込まれる構成となっている。ユーザは、押しボタン3を押下することで、配線板上のスイッチ部材を操作することができる。ガス警報器1は、スイッチ操作により、点検動作を開始したり、警報を停止したりする。
【0021】
ここで、
図1に示すように、本実施形態に係るガス警報器1は、上ケース2aの表面に位置する広告表示可能領域AAを有しており、この広告表示可能領域AAに広告情報ADが付与されている。
【0022】
本実施形態において広告情報ADとは、例えばガス警報器1以外の他の品物(同じガス警報器であっても型番違いを含む)、店舗又は法人の情報を有する情報である。すなわち、広告情報ADとは、ガス警報器1自体の機能部の名称や取扱内容等を除く概念の情報である。
【0023】
ここで、広告情報ADは、3次元の対象物に対して印刷を行う3次元印刷技術により広告表示可能領域AAに付与されている。また、本実施形態に係るガス警報器1は、都市ガス向けの警報器であるため、壁面のうち天井寄りに設置される。このため、広告情報ADは、広告表示可能領域AAのうち下側に付与されている(上側領域よりも下側領域に多くの広告情報ADが付与されている)。なお、ガス警報器1がLPガス向けの警報器である場合には壁面のうち床面寄りに設置されることから、広告情報ADは広告表示可能領域AAのうち上側に付与されていることが好ましい。
【0024】
さらに、広告情報ADは、影や側面を付与して文字・記号等を立体的に見せる3D印刷が施されていることが好ましい。また、文字等に限らず製品写真等についても3D印刷されることが好ましい。加えて、上ケース2aの広告表示可能領域AAに箔を用いて広告情報ADを際立たせるようにしてもよいし、ホログラム技術を用いて見る角度によって複数の内容を視認可能としてもよい。
【0025】
図3は、広告情報ADの一例を示す正面図である。さらに、広告情報ADは、壁面取り付け時において上下方向となる方向に伸長されたものとなっていることが好ましい。すなわち、広告情報ADとして付与される製品の写真等については実製品よりも上下方向に長く、文字については各文字を囲う仮想的な矩形(
図3において「超」の文字のみ例示的に示す符号VR)が全体として縦長の長方形となる。このような伸長された広告情報ADとすることで、ガス警報器1の斜め上側や下側から広告情報ADを視認した場合に、平たく潰れた表示とならず好適に視認される。
【0026】
また、
図1に示すように、広告表示可能領域AAは、例えば、上ケース2aの表面(前面側)のうち、上ケース2aと別体となる他の部品(
図1においては押しボタン3)、上ケース2aに形成された開口4、及び上ケース2aに形成された溝部5を除く領域をいう。なお、
図1に示す例においては、複数の開口4からなる開口群4Aが上ケース2aに形成されているが、各開口4の間の部位4Bについては広告表示可能領域AAとなる。同様に、複数の溝部5の間の部位5Bについても広告表示可能領域AAとなる。
【0027】
また、本実施形態に係るガス警報器1において広告表示可能領域AAには、インク噴射方式や水圧転写方式等による広告情報ADの印刷時におけるムラを抑えるための印刷ムラ低減構造が採用されている。具体的には以下の2つの構造が採用されている。
【0028】
第1に、本実施形態に係るガス警報器1は、
図2に示すように広告表示可能領域AAの奥行方向における高さの差が2mm以内となっている(第1の印刷ムラ低減構造)。奥行き方向の高さの差が2mm以内となることで、広告表示可能領域AAを平面に近い構造とし、印刷ムラを抑えることにつなげることができる。
【0029】
第2に、本実施形態に係るガス警報器1は、広告表示可能領域AAが曲面部を有する場合においてその曲面部の曲率半径が3mm以内とされている(第2の印刷ムラ低減構造)。
図4は、上ケース2aの側端の断面図である。
図4に示すように、上ケース2aの側端部、すなわち広告表示可能領域AAの端部は、ユーザやガス事業者等の持ち易さや意匠性などが考慮されて曲面部Rを有した構造となっている。この曲面部Rについては、その曲率半径が3mm以内とされ、比較的緩やかなカーブとなっている。これにより、広告表示可能領域AAにおいて急激な奥行き方向の高さ変化を抑えて、印刷ムラを抑えることにつなげることができる。
【0030】
次に、本実施形態に係るガス警報器1の製造方法を説明する。
【0031】
まず、広告表示可能領域AAに広告情報ADが付与されていないガス警報器1を製造する。このとき、広告表示可能領域AAについて、奥行方向における高さの差が2mm以内とし、且つ、曲面部Rの曲率半径が3mm以内としたガス警報器1を製造する。
【0032】
次に、ガス警報器1の広告表示可能領域AAに対して例えばインク噴射による広告情報ADの印刷を行う。この際、ガス警報器1の上下方向に伸長した広告情報ADの印刷を行ったり、影や側面を付与して文字等を立体的に見せたりするなど、広告情報ADの視認性を考慮した効果的な印刷を行う。
【0033】
以上により、本実施形態に係るガス警報器1が製造される。
【0034】
このようにして、本実施形態に係るガス警報器1によれば、上ケース2aの表面に位置する広告表示可能領域AAに広告情報ADが付与されているため、各家庭等において5年間という長期に亘り設置されるガス警報器1自体に広告情報ADが付与されることとなり、広告としてより長い有効期間を有することができる。また、上ケース2aに広告情報ADが付与されることから、広告専用の別部品を必要としないうえに、別部品による大型化もない。従って、広告としてより長い有効期間を有すると共に、広告専用の別部品を必要とせず、大型化を防止することができる。
【0035】
また、広告表示可能領域AAは印刷ムラ低減構造を有するため、曲面等を有し3次元印刷技術が必要となるガス警報器1であっても広告情報ADの印刷ムラを抑えることができる。
【0036】
また、広告情報ADは、壁面取り付け時において上下方向となる方向に伸長されたものとなっているため、ガス警報器1が壁面の天井付近や床付近に設置される場合において、視認される広告情報ADが平たく潰れたように視認されないようにすることができる。
【0037】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0038】
例えば、上記実施形態において広告表示可能領域AAは、第1及び第2の印刷ムラ低減構造のうち双方を備えるものであるが、特に双方に限らず、いずれか一方のみを備えるものであってもよい。
【0039】
また、本実施形態に係るガス警報器1は、広告情報ADを上ケース2aに直接印刷しているが、これに限らず、広告情報ADが印刷されたシール等が貼り付けられる構成であってもよい。また、上ケース2aに広告情報ADを印刷する場合には、インク噴射方式に限らず水圧転写方式などの他の印刷技術により行われてもよい。
【0040】
加えて、本実施形態に係るガス警報器1は、押しボタン3が上ケース2aとは別体に設けられており、押しボタン3上が広告表示可能領域AAとなっていないが、ボタン部材が上ケース2aと一体となるガス警報器1についてはボタン部材上も広告表示可能領域AAとなってもよい。