特許第6824723号(P6824723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824723
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】バッグ
(51)【国際特許分類】
   A45C 7/00 20060101AFI20210121BHJP
   A45C 3/00 20060101ALI20210121BHJP
   A45C 13/30 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   A45C7/00 B
   A45C3/00 C
   A45C13/30 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-246862(P2016-246862)
(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-99289(P2018-99289A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年10月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 配布日 平成28年10月 4日 配布場所 TOKYO PACK 2016 −2016東京国際包装展−
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 知生
(72)【発明者】
【氏名】古田 明城
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−080712(JP,U)
【文献】 実開昭52−128406(JP,U)
【文献】 特開2016−097045(JP,A)
【文献】 特許第2828618(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3143997(JP,U)
【文献】 特開2010−119459(JP,A)
【文献】 実公昭38−017971(JP,Y1)
【文献】 実開昭52−159807(JP,U)
【文献】 米国特許第02412007(US,A)
【文献】 登録実用新案第3177156(JP,U)
【文献】 特許第4375682(JP,B1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有する袋状、かつ、四角形状の本体と、
前記本体の第一の面に設けられた第一の紐と、
前記本体の第二の面に設けられた第二の紐と、
前記本体の第一の面上方に設けられ、前記本体との間で前記第一の紐を上下に移動可能なように挟み込み、前記第一の紐の左右で本体に縫着された第一の補強部材と、
前記本体の第二の面上方に設けられ、前記本体との間で前記第二の紐を上下に移動可能なように挟み込み、前記第二の紐の左右で本体に縫着された第二の補強材と、
を有し、
前記第一の紐と前記第二の紐が、前記本体の底部において下部係止具を挟み込んで縫着され、
前記第一の紐、前記第二の紐のいずれか、または、両方が、前記本体を下から上に折り曲げた際に、前記下部係止具と係止する上部係止具を備えることを特徴とするバッグ。
【請求項2】
前記本体が、紙、または不織布からなることを特徴とする請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
前記本体が、クラフト紙製の重袋からなることを特徴とする請求項1または2に記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用途に応じて、大容量のハンドバッグ、小容量のハンドバッグ、ショルダーバッグと形態を変えられるバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、用途に応じて、ハンドバッグ、ショルダーバッグ、リュックサック等と形態を変えられるバッグが知られている(特許文献1、2)。しかし、これまでのバッグは、形態を変えるために、紐の長さを変える、紐の固定位置を変える、接続する紐の組み合わせを変える等の煩雑な作業が必要であったため、結局、形態を変えずに用られることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3024734号公報
【特許文献2】実用新案登録第3175195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、形態の変化を簡単、迅速に行うことができるバッグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.上方に開口部を有する袋状、かつ、四角形状の本体と、
前記本体の第一の面に設けられた第一の紐と、
前記本体の第二の面に設けられた第二の紐と、
前記本体の第一の面上方に設けられ、前記本体との間で前記第一の紐を上下に移動可能なように挟み込む第一の補強部材と、
前記本体の第二の面上方に設けられ、前記本体との間で前記第二の紐を上下に移動可能なように挟み込む第二の補強部材と、
を有し、
前記第一の紐と前記第二の紐が、前記本体の底部において下部係止具を挟み込んで縫着され、
前記第一の紐、前記第二の紐のいずれか、または、両方が、前記本体を上下に折り曲げた際に、前記下部係止具と係止する上部係止具を備えることを特徴とするバッグ。
2.前記本体が、紙、または不織布からなることを特徴とする1.に記載のバッグ。
3.前記本体が、クラフト紙製の重袋からなることを特徴とする1.または2.に記載のバッグ。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバッグは、大容量のハンドバッグ、小容量のハンドバッグ、ショルダーバッグと異なる形態で用いることができる。本発明のバッグは、形態を容易に、かつ、迅速に変えることができ、その日の服装や気分に合わせて、異なる形態のバッグとして用いることができる。
本発明のバッグは、本体を紙、または不織布から形成することにより、布帛や皮革に比べて軽量化することができる。特に、クラフト紙からなる重袋は十分な強度を有し、また、印刷により多様なデザインを安価に付与することができるため、デザインの異なるバッグを少量多品種で生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のバッグの一実施態様を示す図。
図2】一実施態様であるバッグを小容量のハンドバッグとした図。
図3】一実施態様であるバッグをショルダーバッグとした図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、本発明の一実施態様であるバッグを示す。なお、図1に示す一実施態様において、図は、第一の面側を表し、図に現れない第二の面側は、第一の面と同一の構成を備えている。
図1に示す一実施態様であるバッグ100は、上方に開口部11を有する袋状、かつ、四角形状の本体10と、本体10の第一の面10aに設けられた第一の紐20aと、本体の第二の面10b(図示せず)に設けられた第二の紐20bと、本体の第一の面上方に設けられ、本体10との間で第一の紐20aを上下に移動可能なように挟み込む第一の補強部材30aと、本体の第二の面上方に設けられ、本体10との間で第二の紐20bを上下に移動可能なように挟み込む第二の補強部材30b(図示せず)とを有する。以下、第一の紐20aと第二の紐20bとを合わせて「紐20」、第一の補強部材30aと第二の補強部材30bを合わせて「補強部材30」という場合もある。
【0009】
本体10は、内部に物品を収納するものである。本体上方の開口部11には、マグネット、ファスナー等を設け、開閉自在とすることができる。一実施態様であるバッグ100は、本体10がクラフト紙からなる重袋により形成されている。
重袋は、一枚、または、重ね合わせた複数枚のクラフト紙を、筒状となるように折り畳み、一端を補強用テープで覆い縫着したものであり、セメント、米等の重量物を収納するために広く用いられている。また、重袋は、内容物に応じて耐湿性を付与するために、ポリエチレン等の高分子フィルムが重ね合わせられる場合がある。本体10として重袋を使用する場合は、高分子フィルムを重ね合わせた重袋を使用することもできる。高分子フィルムを備える重袋は、クラフト紙のみからなる重袋と比較して破れにくく、防水性に優れている。
【0010】
重袋は、印刷により様々なデザインを付与することができる。下記で詳述するが、第一の面10aと第二の面10b、各面の上部と下部のいずれか、または両方に異なるデザインを印刷することにより、本発明のバッグを形態を変えて用いる場合に、外観を大きく変化させることができ、服装や気分等に応じて、異なるデザインのバッグとすることができる。また、本体10を重袋から形成し、第一の紐20a、第二の紐20b、第一の補強部材30a、第二の補強部材30bの一以上を布帛、皮革等から形成することにより、素材の違いによる多様な質感を表現でき、優れた意匠性を付与することができる。
【0011】
本発明のバッグにおいて、本体10を形成する材料は、クラフト紙に制限されず、クラフト紙以外の紙、不織布、布帛、天然皮革、人工皮革等を用いることができる。これらの中で、紙、または、不織布が、軽量、かつ、折り畳みやすいため好適に利用することができる。
【0012】
本体10を紙から形成する場合、パルプをシート状にした紙を特に制限することなく使用することができるが、バッグとした際に実用的な強度を有する点から、木材パルプを主成分とする紙を用いることが好ましい。木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等のパルプを、単独または任意の割合で混合して使用することができる。これらの中で、針葉樹クラフトパルプ(NKP)を50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことがさらに好ましい。針葉樹クラフトパルプを50重量%以上とすることにより、原紙の強度を高くし、耐久性を向上させることができる。また、強度の点から、原料パルプは未晒であることが好ましく、特に針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)を用いることが好ましい。
【0013】
紐20は、バッグ100をハンドバッグとして用いる際の持ち手となるものである。また、下記で詳述するが、紐20は、バッグ100をショルダーバッグとして用いる際のショルダーストラップとなるものである。紐20は、帯状であることが、圧力が分散し、使用感に優れるため好ましい。
第一の紐20a、第二の紐20bは、それぞれの両端が、本体10の底部において下部係止具40を挟み込むように縫着されており、それ以外の部分で本体10に、縫着、接着等により固定されていない。また、第一の紐20a、第二の紐20bは、それぞれ、本体10を上下に折り曲げた際に、下部係止具40と係止する第一の上部係止具41a、第二の上部係止具41b(図示せず)を備える。以下、第一の上部係止具41aと第二の上部係止具41bとを合わせて「上部係止具41」という場合もある。ここで、本発明のバッグは、折り畳んで使用する際に、本体10の底部が補強部材30の下方に位置する。そのため、上部係止部41は、本発明のバッグを大容量のバッグとして、すなわち、折り畳まずに使用した際に、補強部材30のすぐ下方に位置する箇所に設けられる。また、上部係止具41は、第一の紐20a、第二の紐20bの一方にのみ設けることもできる。
【0014】
下部係止具40と上部係止具41とは、対となって互いに係止するものである。下部係止具40、上部係止具41は、互いに係止できるものであれば特に制限されず、バックル、ナスカン、フック、リング、ホック、マグネット等を適宜用いることができる。
【0015】
補強部材30は、開口部11を補強するものである。補強部材30は、本体10との間に紐20を挟み込むように、本体10に縫着される。上記したように、紐20は、本体10の底部に縫着されているが、それ以外の部分は本体10と固定されていないため、補強部材30に挟み込まれた状態で上下に移動可能である。紐20は、上下に移動可能であるが、横方向への移動は補強部材30により制限されている。本発明のバッグは、紐20の横方向への移動が制限されているため、バッグに重量物を収納した場合でも、持ち手の間隔が狭くならず、バッグを安定した状態で保持することができる。
【0016】
上記したように、本発明のバッグにおいて、紐20は、本体10の底部にのみ縫着されている。そのため、本発明のバッグは、バッグに収容された物品の重みを紐20で支え、本体10には張力がほとんど加わらない。本発明のバッグは、本体10を紙から形成した場合であっても、紙からなる本体10にはほとんど張力が加わっていないため、使用時に突起物等が接触しても破れにくい。
【0017】
「使用態様」
本発明のバッグは、用途に応じて、大容量のハンドバッグ、小容量のハンドバッグや小袋、ショルダーバッグと形態を変えることができる。本発明のバッグの大きさは特に制限されないが、大容量のハンドバッグとしたときに、紙おむつ、ティッシュペーパー、トイレットペーパーのような嵩高い商品が収納できる大きさであることが好ましい。例えば、本体10の幅方向の長さが35cm以上50cm以下、伸ばした状態の本体10の長さが50cm以上70cm以下、折り畳んだ状態の本体10の長さが30cm以上40cm以下の範囲が挙げられる。
【0018】
以下、一実施態様であるバッグ100の各使用態様を図2、3に基づいて説明する。
一実施態様であるバッグ100は、折り畳まずに伸ばした状態で大容量のハンドバッグとして使用することができる(図1)。
一実施態様であるバッグ100を、第二の面10bを外側とする小容量のハンドバッグとして使用する場合は、本体10を第一の面10aを内側として上下方向に折り畳み、下部係止具40と上部係止具41aとを互いに係止する(図2)。第一の紐20aは、上部係止具41aが下部係止具40と係止されているため、第一の紐20aのみを持ってバッグ100を持ち上げても、第一の紐20aが移動することなくバッグ100を持ち上げることができる。
この状態から下部係止具40と上部係止具41aの係止を解き、第一の紐20aを第一の補強部材30aから上方に引き出すことにより、ショルダーバッグとすることができる(図3)。図3では、第一の紐20aを第二の紐20bの持ち手部分に通すことにより、使用時に開口部11が大きく開かないようにしているが、マグネット、ファスナー等により、開口部11を閉じることもできる。
【0019】
本発明のバッグは、小容量のハンドバッグ、またはショルダーバッグとして用いる場合、本体10の第一の面10a、第二の面10bのいずれかが外側となる。また、外側となる面が上下に分割されて、両側面に位置する。本発明のバッグは、大容量のハンドバッグとして使用する場合と、小容量のハンドバッグ、または、ショルダーバッグとして使用する場合に、外側に位置する面が異なるため、第一の面10aと第二の面10b、各面の上部と下部のいずれか、または両方に異なるデザインを印刷することにより、形態とともに外観、印象が大きく変化し、その日の気分や服装に応じて、ファッション性の異なるバッグとして用いることができる。
【符号の説明】
【0020】
100 バッグ
10 本体
10a 第一の面
10b 第二の面
11 開口部
20a 第一の紐
20b 第二の紐
30a 第一の補強部材
30b 第二の補強部材
40 下部係止具
41a 第一の上部係止具
41b 第二の上部係止具
図1
図2
図3