(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第三送信要求部は、前記取得部で取得した診断結果が異常の予兆があることを示す場合、前記データユニットの送信側に対して、前記受信部における受信間隔を短くして前記データユニットを送信するよう要求することを特徴とする請求項1に記載の収集装置。
前記第三送信要求部は、前記取得部で取得した診断結果が異常の予兆があることを示す場合、前記データユニットの送信側に対して、前記受信部における受信間隔をずらして前記データユニットを送信するよう要求することを特徴とする請求項1に記載の収集装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異常の予兆の診断処理に使用する、プラントから収集するデータは多岐に亘る。このため、収集したデータは、品質にバラツキがあるおそれがある。品質にバラツキがあるデータでは、異常の予兆の診断処理が実行できないおそれがある。また、データの品質が異常の予兆の診断処理に適していない場合、適切なデータの準備に手間を要するおそれがある。このように、異常の予兆の診断処理に適したデータを収集することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、適切なデータを収集する収集装置、収集方法、プログラム及び収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収集装置は、プラントの運転状態を示す運転データと前記運転データの真正性を保証する保証値とを含むデータユニットを受信する受信部と、前記保証値に基づいて、前記データユニットの真正性を検査する第一検査部と、前記第一検査部の検査結果が真正性を否定する場合、前記データユニットの送信側に対して前記データユニットの再送信を要求する第一送信要求部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、適切なデータを収集することができる。
【0009】
本発明の収集装置は、前記運転データが所定範囲の値であるか否かに基づいて、前記運転データが正常であるか否かを検査する第二検査部と、前記データユニットの送信側に対して所定の前記データユニットの送信を要求する第二送信要求部とを備え、前記第二送信要求部は、前記第二検査部で前記運転データが異常であると判定された場合、前記データユニットの送信側に対して、異常であると判定された前記運転データを含む前記データユニットと異なる時刻のデータユニットの送信を要求する、ことが好ましい。この構成によれば、運転データが異常であると判定された場合、適切なデータを収集することができる。
【0010】
本発明の収集装置は、前記データユニットに含まれる前記運転データの値を補完する補完部を備え、前記第二検査部は、前記第二検査部で異常であると判定された前記運転データを含む前記データユニットについて、異常であると判定された前記運転データの値を補完することで、前記データユニットに基づいて前記プラントの異常の予兆の診断処理を実行することが可能か否かを判定し、前記補完部は、前記第二検査部で診断処理を実行可能と判定した場合、異常であると判定された前記運転データの値を補完する、ことが好ましい。この構成によれば、異常であると判定された運転データの値を補完することで、プラントの異常の予兆の診断処理を実行することが可能な場合、異常であると判定された前記運転データの値を補完し、適切なデータを収集することができる。
【0011】
本発明の収集装置は、前記データユニットを使用した前記プラントの異常の予兆の診断処理の診断結果を取得する取得部と、前記データユニットの送信側に対して、前記受信部における受信間隔が変更されるように前記データユニットを送信するよう要求する第三送信要求部とを備え、前記第三送信要求部は、前記取得部で取得した診断結果が異常の予兆があることを示す場合、前記データユニットの送信側に対して、前記受信部における受信間隔が変更されるように前記データユニットを送信するよう要求する、ことが好ましい。この構成によれば、診断結果が異常の予兆があることを示す場合、適切なデータを収集することができる。
【0012】
本発明の収集装置は、前記データユニットを使用した前記プラントの異常の予兆の診断処理の診断結果を取得する取得部と、含まれる前記運転データの項目を変更して前記データユニットを送信するよう要求する第四送信要求部とを備え、前記第四送信要求部は、前記取得部で取得した診断結果が異常の予兆があることを示す場合、前記データユニットの送信側に対して、含まれる前記運転データの項目を変更して前記データユニットを送信するよう要求する、ことが好ましい。この構成によれば、診断結果が異常の予兆があることを示す場合、適切なデータを収集することができる。
【0013】
本発明の収集装置は、前記第三送信要求部は、前記取得部で取得した診断結果が異常の予兆があることを示す場合、前記データユニットの送信側に対して、前記受信部における受信間隔を短くして前記データユニットを送信するよう要求する、ことが好ましい。この構成によれば、診断結果が異常の予兆があることを示す場合、適切なデータを収集することができる。
【0014】
本発明の収集装置は、前記第三送信要求部は、前記取得部で取得した診断結果が異常の予兆があることを示す場合、前記データユニットの送信側に対して、前記受信部における受信間隔をずらして前記データユニットを送信するよう要求する、ことが好ましい。この構成によれば、診断結果が異常の予兆があることを示す場合、適切なデータを収集することができる。
【0015】
本発明の収集方法は、プラントの運転状態を示す運転データと前記運転データの真正性を保証する保証値とを含むデータユニットを受信する受信ステップと、前記保証値に基づいて、前記データユニットの真正性を検査する検査ステップと、前記検査ステップにおける検査結果が真正性を否定する場合、前記データユニットの送信側に対して前記データユニットの再送信を要求する送信要求ステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、適切なデータを収集することができる。
【0017】
本発明のプログラムは、プラントの運転状態を示す運転データと前記運転データの真正性を保証する保証値とを含むデータユニットを受信する受信ステップと、前記保証値に基づいて、前記データユニットの真正性を検査する検査ステップと、前記検査ステップにおける検査結果が真正性を否定する場合、前記データユニットの送信側に対して前記データユニットの再送信を要求する送信要求ステップとをコンピューターに実行させることを特徴とする。
【0018】
このプログラムによれば、適切なデータを収集することができる。
【0019】
本発明の収集システムは、プラントの運転状態を示す運転データと前記運転データの真正性を保証する保証値とを含むデータユニットを受信する受信部と、前記保証値に基づいて、前記データユニットの真正性を検査する第一検査部と、前記第一検査部の検査結果が真正性を否定する場合、前記データユニットの送信側に対して前記データユニットの再送信を要求する第一送信要求部とを有する収集装置と、前記データユニットを前記収集装置に送信する送信部を有する送信装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、適切なデータを収集することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、適切なデータを収集する収集装置、収集方法、プログラム及び収集システムを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る収集システムの一例を示すブロック図である。収集システム1は、診断装置100におけるプラントの異常の予兆を診断処理で使用する運転データを収集する。収集システム1は、診断装置100と管理装置110とデータを送受信可能である。
【0025】
図2を用いて、診断装置100について説明する。
図2は、診断装置のブロック図である。診断装置100は、プラントの遠隔監視を行うサービス事業者の拠点内に設置されている。診断装置100は、収集装置3から受信した、後述する運転データユニットDUに基づいて、プラントの異常の予兆の有無を診断する。診断装置100は、診断結果を収集装置3に送信する。診断装置100は、受信部101と、送信部102と、記憶部103と、制御部104とを有する。
【0026】
受信部101は、収集装置3からデータを受信可能である。受信部101は、運転データユニットDUを収集装置3から受信する。
【0027】
送信部102は、収集装置3に対してデータを送信可能である。送信部102は、診断結果を収集装置3に送信する。
【0028】
記憶部103は、制御部104における情報処理を実行するために用いられる各種プログラム及び各種データベースが記憶されている。記憶部103は、受信した運転データユニットDUを記憶する。記憶部103は、診断結果を記憶している。
【0029】
制御部104は、メモリ及びCPUにより構成される。制御部104は、専用のハードウェアにより実現されるものであっても、制御部104の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。制御部104は、診断部1041を有する。
【0030】
診断部1041は、受信した運転データユニットDUに基づいて、プラントの異常の予兆の有無を診断する診断処理を実行する。
【0031】
図3を用いて、管理装置110について説明する。
図3は、管理装置のブロック図である。管理装置110は、プラントの運営事業者の拠点内に設置されている。管理装置110は、プラントの運転状態を示すデータである運転データユニットDUを管理する。管理装置110は、受信部111と、記憶部112と、制御部113とを有する。
【0032】
受信部111は、送信装置2からデータを受信可能である。受信部111は、送信装置2が送信した運転データユニットDUを受信する。
【0033】
記憶部112は、制御部113における情報処理を実行するために用いられる各種プログラム及び各種データベースが記憶されている。記憶部112は、受信した運転データユニットDUを記憶する。
【0034】
図1に戻って、収集システム1は、送信装置2と、収集装置3とを備える。
【0035】
図4を用いて、送信装置2について説明する。
図4は、送信装置のブロック図である。送信装置2は、プラントに設置されている。送信装置2は、機器やセンサから出力された、プラントの運転状態を示す運転データを取得し、収集装置3と管理装置110とに送信する。より詳しくは、送信装置2は、取得した運転データと、運転データの真正性を保証するハッシュ値とを含む運転データユニットDUを収集装置3と管理装置110とに送信する。送信装置2は、送信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。ハッシュ値とは、運転データの真正性を保証する保証値の一例である。
【0036】
送信部21は、収集装置3と管理装置110とに対してデータを送信可能である。送信部21は、運転データユニットDUを所望の時間間隔で収集装置3と管理装置110とに送信する。例えば、送信部21は、運転データユニットDUをサンプリング間隔ごとに収集装置3と管理装置110とに送信する。
【0037】
運転データユニットDUは、少なくとも一つ以上の運転データとハッシュ値とを含む。運転データは、プラントの機器の部品に取り付けられたセンサが取得したデータである。本実施形態では、運転データは、センサAで取得したデータAからセンサZAで取得したデータZAまでの複数のデータを含む。ハッシュ値は、運転データユニットDUごとに一意に設定される。例えば、ハッシュ値は、運転データユニットDUに含まれる運転データに基づいてハッシュ関数で算出される。
【0038】
サンプリング間隔は、運転データユニットDUを収集装置3と管理装置110とに送信する時間間隔Δtである。
【0039】
記憶部22は、制御部23における情報処理を実行するために用いられる各種プログラム及び各種データベースが記憶されている。記憶部22は、運転データと運転データユニットDUとを記憶する。
【0040】
制御部23は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)により構成される。制御部23は、専用のハードウェアにより実現されるものであっても、制御部23の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。制御部23は、取得部231と、生成部232とを有する。
【0041】
取得部231は、プラントの機器の部品に取り付けられたセンサが取得した運転データを取得する。取得部231は、少なくともサンプリング間隔と同じ時間間隔でデータを取得する。取得部231は、取得したデータを記憶部22に記憶する。
【0042】
図5A、
図5Bを用いて、取得部231で取得するデータについて説明する。
図5Aは、送信装置が取得するデータの一例を示す模式図である。
図5Bは、送信装置が取得するデータの他の例を示す模式図である。本実施形態では、サンプリング間隔Δtで、センサAからセンサZAまでのセンサが取得した運転データを受信しているものとする。例えば、
図5Aに示すように、時刻t1において、センサAからデータA1を取得し、センサBからデータB1を取得し、センサCからデータC1を取得し、センサZからデータZ1を取得し、センサZAからデータZA1を取得する。時刻t1+Δtにおいて、センサAからデータA2を取得し、センサBからデータB2を取得し、センサCからデータC2を取得し、センサZからデータZ2を取得し、センサZAからデータZA2を取得する。時刻t1+(n−1)Δtにおいて、センサAからデータAnを取得し、センサBからデータBnを取得し、センサCからデータCnを取得し、センサZからデータZnを取得し、センサZAからデータZAnを取得する。なお、nは自然数である。
【0043】
または、サンプリング間隔Δtより短い時間間隔で、センサAからセンサZAまでのセンサが取得した運転データを受信してもよい。この場合、例えば、
図5Bに示すように、サンプリング間隔Δtの運転データに加えて、時刻t1+Δt/2において、センサAからデータA11を取得し、センサBからデータB11を取得し、センサCからデータC11を取得し、センサZからデータZ11を取得し、センサZAからデータZA11を取得する。時刻t1+(3/2)Δtにおいて、センサAからデータA21を取得し、センサBからデータB21を取得し、センサCからデータC21を取得し、センサZからデータZ21を取得し、センサZAからデータZA21を取得する。時刻t1+(2nー1)(Δt/2)において、センサAからデータAn1を取得し、センサBからデータBn1を取得し、センサCからデータCn1を取得し、センサZからデータZn1を取得し、センサZAからデータZAn1を取得する。
【0044】
生成部232は、運転データとハッシュ値とを組み合わせた運転データユニットDUを生成する。生成部232は、取得部231で取得した運転データをすべて含む運転データユニットDUを生成してもよいし、取得した運転データの一部を含む運転データユニットDUを生成してもよい。生成部232は、生成した運転データユニットDUを記憶部22に記憶する。
【0045】
図6を用いて、生成部232で生成する運転データユニットDUについて説明する。
図6は、運転データユニットの一例を示す模式図である。本実施形態では、生成部232は、サンプリング間隔ごとに、センサAからセンサZまでのセンサが取得した運転データを含む運転データユニットDUを生成する。例えば、生成部232は、運転データとして、センサAから取得したデータA1と、センサBから取得したデータB1と、センサCから取得したデータC1と、センサZから取得したデータZ1とを含み、運転データから生成されたハッシュ値hash1とを含む運転データユニットDU1を生成する。生成部232は、運転データとして、センサAから取得したデータA2と、センサBから取得したデータB2と、センサCから取得したデータC2と、センサZから取得したデータZ2とを含み、運転データから生成されたハッシュ値hash2とを含む運転データユニットDU2を生成する。生成部232は、運転データとして、センサAから取得したデータAnと、センサBから取得したデータBnと、センサCから取得したデータCnと、センサZから取得したデータZnとを含み、運転データから生成されたハッシュ値hashnとを含む運転データユニットDUnを生成する。以下の説明においては、各運転データユニットを区別しないときは、運転データユニットDUとして説明する。
【0046】
図7を用いて、収集装置3について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る収集装置のブロック図である。収集装置3は、プラントの遠隔監視を行うサービス事業者の拠点内に設置されている。収集装置3は、プラントの運転状態を示すデータである運転データユニットDUを収集する。収集装置3は、運転データユニットDUを診断装置100に出力する。収集装置3は、受信部31と、送信部32と、記憶部33と、制御部34とを有する。
【0047】
受信部31は、送信装置2からデータを受信可能である。受信部31は、送信装置2が送信した運転データユニットDUを受信する。受信部31は、送信装置2の取得部231で取得した運転データから生成されたすべての運転データユニットDUを受信してもよいし、生成された運転データユニットDUの一部を受信してもよい。
【0048】
送信部32は、診断装置100と管理装置110とに対してデータを送信可能である。送信部32は、運転データユニットDUを診断装置100に送信する。送信部32は、診断装置100から取得した診断結果を管理装置110に送信する。
【0049】
記憶部33は、制御部34における情報処理を実行するために用いられる各種プログラム及び各種データベースが記憶されている。記憶部33は、受信した運転データユニットDUを記憶する。記憶部33は、運転データユニットDUに含まれるデータ項目ごとに、データが取り得るデータ範囲(所定範囲)を記憶している。
【0050】
制御部34は、メモリ及びCPUにより構成される。制御部34は、専用のハードウェアにより実現されるものであっても、制御部34の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。制御部34は、第一検査部341と、第二検査部342と、取得部343と、第一送信要求部344と、第二送信要求部345と、第三送信要求部346と、第四送信要求部347と、補完部348とを有する。
【0051】
第一検査部341は、受信した運転データユニットDUの品質と、受信した運転データユニットDUのデータの欠落の有無とに基づいて、データが真正であるか否かを検査する。まず、第一検査部341は、受信した運転データユニットDUの品質を検査する。第一検査部341は、受信した運転データユニットDUのハッシュ値(以下、「受信ハッシュ値」という)と、送信装置2の記憶部22で記憶している当該運転データユニットDUのハッシュ値(以下、「送信ハッシュ値」という)とを比較する。第一検査部341は、受信ハッシュ値と送信ハッシュ値とが一致する場合、品質は良好であると判定する。例えば、運転データユニットDUが正しく送受信され、かつ、データの改ざんがない場合、品質は良好であると判定される。第一検査部341は、受信ハッシュ値と送信ハッシュ値とが一致しない場合、品質は不良であると判定する。例えば、通信エラーで運転データユニットDUが正しく送受信されなかった場合や、運転データユニットDUのデータが改ざんされた場合などは、受信ハッシュ値と送信ハッシュ値とが一致せず、品質は不良であると判定される。
【0052】
さらに、第一検査部341は、受信した運転データユニットDUのデータの欠落の有無を検査する。第一検査部341は、受信した運転データユニットDUを受信時刻でソートする。第一検査部341は、ソートした運転データユニットDUの受信間隔がサンプリング間隔より長い場合、データの欠落があると判定する。例えば、通信エラーで運転データユニットDUが送受信されなかった場合、ソートした運転データユニットDUの受信間隔がサンプリング間隔より長くなり、データの欠落があると判定される。第一検査部341は、受信した運転データユニットDUの受信間隔がサンプリング間隔と一致する場合、データの欠落がないと判定する。
【0053】
第一検査部341は、データの品質が良好、かつ、データの欠落がない場合、データが真正であると判定する。
【0054】
第二検査部342は、受信した運転データユニットDUのデータが正常であるか否かを検査する。第二検査部342は、受信した運転データユニットDUに含まれる運転データごとに、運転データのデータ範囲を満たしているか否かを検査する。第二検査部342は、運転データがデータ範囲を満たしている場合、運転データが正常であると判定する。第二検査部342は、運転データがデータ範囲を満たしていない場合、運転データが異常であると判定する。例えば、センサの故障時には、データ範囲を外れた値が取得されたり、値が取得されなかったりして、運転データが異常であると判定される。
【0055】
さらに、第二検査部342は、運転データが異常であると判定した場合、診断装置100において、運転データユニットDUを使用して異常の予兆の診断処理の実行が可能であるか否かを判定する。例えば、運転データがわずかにデータ範囲を外れている場合や、運転データを平均値などで補完できる場合などは、診断可能と判定する。例えば、運転データがデータ範囲を大きく外れている場合や、運転データを補完できない場合などは、診断不可と判定する。
【0056】
取得部343は、診断装置100から異常の予兆の診断処理の診断結果を取得する。取得部343は、取得した診断結果を記憶部33に記憶する。
【0057】
第一送信要求部344は、データが真正ではないと判定された場合、送信装置2に対して、運転データユニットDUの再送信を要求する。例えば、通信エラーで運転データユニットDUが正しく送受信されなかったことや、運転データユニットDUのデータが改ざんされたことが、データが真正ではないと判定された原因であれば、再送信された運転データユニットDUは、データが真正であると判定される可能性が高い。
【0058】
第二送信要求部345は、データの異常があり、かつ、診断装置100での診断不可と判定された場合、送信装置2に対して、データが異常であると判定された運転データユニットDUと異なる時刻の運転データユニットDUの送信を要求する。第二送信要求部345は、データの異常があり、かつ、診断装置100での診断不可と判定された場合、送信装置2に対して、データが異常であると判定された運転データユニットDUの前後の時間の運転データユニットDUの送信を要求する。第二送信要求部345は、データの異常があり、かつ、診断装置100での診断不可と判定された場合、送信装置2に対して、送信装置2が新しく取得する運転データに基づいて生成する運転データユニットDUの送信を要求してもよい。
【0059】
図5A、
図6を用いて、より詳しく説明する。収集装置3は、
図6に示すような運転データユニットDUを受信しているものとする。第二送信要求部345は、時刻t1の運転データユニットDU1がデータが異常であると判定された場合、時刻t1より後の時刻t1+Δt/2の運転データユニットDU11の送信を要求する。運転データユニットDU1だけに異常値が含まれていた場合であれば、運転データユニットDU11は、データの異常がないと判定される可能性が高い。
【0060】
第三送信要求部346は、取得部343で取得した診断結果に基づいて、サンプリング間隔を変更した運転データユニットDUの送信を要求する。第三送信要求部346は、送信装置2が新しく取得する運転データに基づいて、サンプリング間隔を変更して生成する運転データユニットDUの送信を要求してもよい。
【0061】
例えば、第三送信要求部346は、診断結果に基づき、故障時期を精度よく特定するために、より多くの運転データユニットDUを使用した診断処理を要すると判定した場合、サンプリング間隔を短くした運転データユニットDUの送信を要求してもよい。
図8を用いて、より詳しく説明する。
図8は、運転データユニットの他の例を示す模式図である。例えば、第三送信要求部346は、サンプリング間隔を短くして、サンプリング間隔Δt/2ごとの運転データユニットDUの送信を要求してもよい。これにより、より多くの運転データユニットDUが得られる。
【0062】
第三送信要求部346は、取得部343で取得した診断結果に基づいて、サンプリング間隔の周期をずらした運転データユニットDUの送信を要求する。第三送信要求部346は、送信装置2が新しく取得する運転データに基づいて、サンプリング間隔の周期をずらして生成する運転データユニットDUの送信を要求してもよい。
【0063】
例えば、第三送信要求部346は、診断結果に基づき、サンプリング間隔の周期をずらした運転データユニットDUを使用した診断処理を要すると判定した場合、サンプリング間隔を変えず、サンプリング間隔の周期をずらした運転データユニットDUの送信を要求してもよい。
図9を用いて、より詳しく説明する。
図9は、運転データユニットの他の例を示す模式図である。第三送信要求部346は、サンプリング間隔Δtごとの時刻t1+(n−1)Δtの運転データユニットDUnに替えて、時刻t1+d+(nー1)Δtの運転データユニットDUn2の送信を要求してもよい。これにより、受信する運転データユニットDUの数は変わらず、サンプリング間隔の周期をずらした運転データユニットDUが得られる。
【0064】
第四送信要求部347は、送信装置2に対して、取得部343で取得した診断結果に基づいて、運転データユニットDUのデータ項目を変更した運転データユニットDUの送信を要求する。異常原因を特定するために、通常時には取得していないセンサからのデータを含むようにデータ項目を変更した運転データユニットDUを取得する。第四送信要求部347は、送信装置2が新しく取得する運転データに基づいて、運転データユニットDUのデータ項目を変更して生成する運転データユニットDUの送信を要求してもよい。
【0065】
図10を用いて、より詳しく説明する。
図10は、運転データユニットの他の例を示す模式図である。第四送信要求部347は、送信装置2に対して、センサZAからのデータZAのデータ項目を追加した運転データユニットDUの送信を要求する。
【0066】
補完部348は、データの異常があり、かつ、診断装置100での診断可能と判定された場合、例えば、データが異常であると判定された運転データユニットDUの各運転データを、運転データユニットDUの各運転データの平均値で補完する。補完部348は、運転データユニットDUのすべての運転データを平均値で補完してもよいし、データが異常であると判定された運転データのみを平均値で補完してもよい。
【0067】
次に、
図11、
図12を用いて、収集装置3を用いた収集方法について説明する。
図11は、本発明の実施形態に係る収集装置における収集方法の概略を示すフロー図である。
図12は、本発明の実施形態に係る収集装置における収集方法の概略を示すフロー図である。
【0068】
収集装置3の起動中は、制御部34は、受信部31で、送信装置2が送信した運転データユニットDUを常時受信可能な状態である。制御部34は、受信部31で運転データユニットDUを受信すると、
図11に示すフローチャートの処理を実行する。
【0069】
まず、制御部34は、第一検査部341で、受信した運転データユニットDUの品質を検査する(ステップS11)。そして、制御部34は、第一検査部341で、受信した運転データユニットDUの欠落の有無を検査する。制御部34は、第一検査部341で、品質は良好であり、データの欠落がないと判定した場合、データが真正である(ステップS11でYes)と判定する。品質が良好とは、運転データユニットDUが正しく送受信され、かつ、データの改ざんがないことをいう。制御部34は、データが真正であると判定した場合、ステップS13に進む。制御部34は、第一検査部341で、品質が不良またはデータの欠落があると判定した場合、データが真正ではない(ステップS11でNo)と判定する。品質が不良とは、通信エラーで運転データユニットDUが正しく送受信されなかったり、または、運転データユニットDUのデータが改ざんされたりしたことをいう。制御部34は、データが真正ではないと判定した場合、ステップS12に進む。
【0070】
制御部34は、第一送信要求部344で送信装置2に対して運転データユニットDUの再送信を要求する(ステップS12)。制御部34は、このフローチャートの処理を終了する。なお、ステップS12の再送信の要求に基づいた運転データユニットDUを受信部31が受信すると、受信した運転データユニットDUについて、ステップS11から処理が実行される。
【0071】
制御部34は、第二検査部342で、受信した運転データユニットDUのデータが正常であるか否かを検査する(ステップS13)。制御部34は、第一検査部341で、運転データがデータ範囲を満たしていると判定した場合、運転データが正常である(ステップS13でYes)と判定する。制御部34は、運転データが正常であると判定した場合、ステップS14に進む。制御部34は、第一検査部341で、運転データがデータ範囲を満たしていないと判定した場合、運転データが正常ではない(ステップS13でNo)と判定する。制御部34は、運転データが正常ではないと判定した場合、ステップS15に進む。
【0072】
制御部34は、送信部32で、運転データユニットDUを診断装置100に送信する(ステップS14)。ここまでの処理で、診断装置100へ送信される運転データユニットDUのデータが真正かつ正常であることが保障されている。制御部34は、このフローチャートの処理を終了する。
【0073】
制御部34は、第二検査部342で、診断装置100において運転データユニットDUを使用して診断処理が可能であるか否かを判定する(ステップS15)。診断処理が可能とは、異常診断を行うのに十分なデータが集まっている状態であることをいう。制御部34は、第二検査部342で、診断可能と判定した場合(ステップS15でYes)、ステップS16に進む。制御部34は、第二検査部342で、診断不可と判定した場合(ステップS15でNo)、ステップS18に進む。
【0074】
制御部34は、データを補完する(ステップS16)。例えば、制御部34は、補完部348で、運転データユニットDUを平均値で補完する。制御部34は、ステップS17に進む。
【0075】
制御部34は、送信部32で、補完した運転データユニットDUを診断装置100に送信する(ステップS17)。制御部34は、このフローチャートの処理を終了する。
【0076】
制御部34は、第二送信要求部345で送信装置2に対して、データが異常であると判定された運転データユニットDUの前後の時間の運転データユニットDUの送信を要求する(ステップS18)。制御部34は、このフローチャートの処理を終了する。なお、ステップS18の送信の要求に基づいた運転データユニットDUを受信部31が受信すると、受信した運転データユニットDUについて、ステップS11から処理が実行される。
【0077】
このようにして、診断装置100での診断処理に適した運転データユニットDUが収集される。そして、診断装置100で、運転データユニットDUを使用して診断処理が実行される。そして、診断装置100は、診断結果を収集装置3に送信する。
【0078】
収集装置3の起動中は、制御部34は、診断装置100から診断結果を受信した際に、
図12に示すフローチャートの処理を実行する。制御部34は、取得部343で、診断装置100が送信した診断結果を常時取得可能な状態である。制御部34は、取得部343で、診断装置100から診断結果を取得する(ステップS21)。制御部34は、ステップS22に進む。
【0079】
制御部34は、異常の予兆を検知したか否かを判定する(ステップS22)。制御部34は、診断結果が異常の予兆を検知したことを示す場合(ステップS22でYes)、ステップS24に進む。制御部34は、診断結果が異常の予兆を検知していないことを示す場合(ステップS22でNo)、ステップS23に進む。
【0080】
制御部34は、異常なしと判断する(ステップS23)。制御部34は、ステップS28に進む。
【0081】
制御部34は、原因を特定または推定可能か否かを判定する(ステップS24)。より詳しくは、制御部34は、異常の予兆を検知した原因が特定または推定可能か否かを判定する。例えば、制御部34は、異常の予兆の原因となった部位が特定または推定される場合、原因が特定または推定可能と判定する。制御部34は、原因を特定または推定可能である場合(ステップS24でYes)、ステップS25に進む。制御部34は、原因を特定または推定可能ではない場合(ステップS24でNo)、ステップS26に進む。
【0082】
制御部34は、制御部34は、異常の予兆を検知した原因となった部位に関連するデータを追加するように、第三送信要求部346で送信装置2に対して運転データユニットDUの送信を要求する(ステップS25)。例えば、制御部34は、変更したサンプリング間隔での運転データユニットDUの送信を要求する。例えば、制御部34は、第三送信要求部346で、変更したデータ項目での運転データユニットDUの送信を要求する。制御部34は、ステップS27に進む。なお、ステップS25の送信の要求に基づいた運転データユニットDUを受信部31が受信すると、受信した運転データユニットDUについて、ステップS11から処理が実行される。
【0083】
制御部34は、第四送信要求部347で送信装置2に対して運転データユニットDUに加えて異常の予兆の原因の特定に必要な現場情報などの追加データの送信を要求する(ステップS26)。現場情報の一例として、センサ故障の有無、プラントの緊急停止に関する情報等があげられる。制御部34は、ステップS27に進む。なお、ステップS26の送信の要求に基づいた運転データユニットDUを受信部31が受信すると、受信した運転データユニットDUについて、ステップS11から処理が実行される。
【0084】
制御部34は、異常あり・監視継続と判断する(ステップS27)。制御部34は、ステップS28に進む。
【0085】
制御部34は、送信部32で、診断装置100から取得した診断結果を管理装置110に送信する(ステップS28)。
【0086】
このようにして、収集システム1で、診断装置100における診断で使用する運転データユニットDUが適切に収集される。
【0087】
つづいて、
図13を用いて、収集システム1におけるデータの授受について説明する。
図13は、本発明の実施形態に係る収集装置と送信装置と管理装置とのデータの授受を示す概略図である。
【0088】
送信装置2は、運転データユニットDUを収集装置3と管理装置110とに送信する。
【0089】
収集装置3は、受信した運転データユニットDUに基づいて、
図11に示すフローチャートの処理を実行する。収集装置3では、制御部34で、受信した運転データユニットDUの品質が検査される(ステップS11)。制御部34で、品質が良好であると判例されると、受信した運転データユニットDUのデータが正常であるか否かが検査される(ステップS13)。制御部34で、データが正常であると判定されると、診断装置100において運転データユニットDUを使用して異常診断を行うのに十分なデータが集まっているか否かが判定される(ステップS15)。制御部34で、十分なデータが集まっていないと判定されると、送信装置2に対して、データが異常であると判定された運転データユニットDUの前後の時間の運転データユニットDUの送信が要求される(ステップS18)。
【0090】
送信装置2では、収集装置3からの運転データユニットDUの送信要求に基づいて、送信要求に対応する運転データユニットDUが収集装置3と管理装置110とに送信される。
【0091】
管理装置110では、受信した運転データユニットDUが記憶装置に記憶される。
【0092】
収集装置3では、受信した運転データユニットDUに基づいて、
図11に示すフローチャートの処理が実行されて、ステップS13でデータが正常であると判定された場合、診断装置100に対して運転データユニットDUが送信される。
【0093】
診断装置100では、運転データユニットDUに基づいて異常診断が実行される。
【0094】
診断装置100から診断結果を受信した際に、収集装置3では、
図12に示すフローチャートの処理が実行されて、診断装置100から診断結果が取得される(ステップS21)。
【0095】
収集装置3では、制御部34で、異常の予兆を検知したか否かが判定される(ステップS22)。制御部34で、異常の予兆を検知したと判定された場合、原因を特定または推定可能か否かが判定される(ステップS24)。制御部34で、原因を特定または推定可能と判定された場合、異常の予兆を検知した原因となった部位に関連するデータを追加するように、送信装置2に対して運転データユニットDUの送信が要求される(ステップS25)。
【0096】
送信装置2では、収集装置3からの運転データユニットDUの送信要求に基づいて、送信要求に対応する運転データユニットDUが収集装置3と管理装置110とに送信される。
【0097】
管理装置110では、受信した運転データユニットDUが記憶装置に記憶される。
【0098】
収集装置3では、受信した運転データユニットDUに基づいて、
図11に示すフローチャートの処理が実行される。
【0099】
収集装置3は、ステップS21で取得した診断結果を管理装置110に対して送信する。
【0100】
このようにして、収集装置3では、診断装置100における診断で使用する適切な運転データユニットDUが収集される。
【0101】
以上のように、本実施形態によれば、まず、第一検査部341で運転データユニットDUが真正であるか否かを検査する。これにより、本実施形態は、運転データユニットDUについて、通信エラーによるデータの不整合やデータの改ざんがないことを保証することができる。さらに、本実施形態によれば、第二検査部342で運転データユニットDUのデータの異常の有無を検査する。これにより、本実施形態は、運転データユニットDUについて、データの異常がないことを保証することができる。
【0102】
本実施形態は、運転データユニットDUのデータが真正ではない場合、第一送信要求部344で、送信装置2に対して運転データユニットDUの再送信を要求する。本実施形態は、運転データユニットDUがデータが異常であると判定された場合、第二送信要求部345で、送信装置2に対してデータが異常であると判定された運転データユニットDUの前後の時間の運転データユニットDUの送信を要求する。これにより、本実施形態は、受信した運転データユニットDUのデータが真正ではない場合やデータが異常であると判定された場合、送信装置2から運転データユニットDUを収集することができる。
【0103】
このように、本実施形態は、診断装置100における診断で使用する運転データユニットDUを適切に収集することができる。本実施形態によれば、適切に収集された運転データユニットDUに基づいて、診断装置100で診断処理を実行させることができる。このようにして、本実施形態は、診断装置100における診断の精度を向上させることができる。
【0104】
本実施形態は、診断装置100の診断結果に基づいて、異常の予兆ありと判定された場合、第三送信要求部346で、サンプリング間隔を変更したり、データ項目を追加したりした運転データユニットDUを適切に収集することができる。そして、診断装置100では、サンプリング間隔を変更したり、データ項目を追加したりした運転データユニットDUに基づいて診断処理を実行する。これにより、本実施形態は、正確かつ迅速に、異常の予兆の原因を特定することが可能になる。
【0105】
本実施形態は、異常の予兆ありと判定された場合に限って、運転データユニットDUのサンプリング間隔を変更したり、データ項目を追加した運転データユニットDUの送信を要求する。このように、本実施形態は、運転データユニットDUのデータ量を不用意に増加することなく、運転データユニットDUを適切に収集することができる。
【0106】
しかも、本実施形態は、運転データユニットDUのデータ量を不用意に増加することがないので、収集システム1および診断装置100における情報処理に要する時間の増加を抑制することができる。
【0107】
さて、これまで本実施形態に係る収集装置、収集方法、プログラム及び収集システムについて説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0108】
診断装置100は、収集装置3とは異なる装置として説明したが、収集装置3と組み合わせた一つの装置であってもよい。