(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記希釈剤の、1013hPaの圧力で5〜95℃の範囲の沸点を有し、直鎖状である脂肪族炭化水素(n−アルカン)の含量が、50質量%を超えない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において、用語「イソブチレン含量」または「イソプレン含量」は、イソブチレンまたはイソプレンから誘導された繰り返し単位のコポリマー内の含量を指す。
【0025】
本発明のコポリマーは、任意の知られた方法でハロゲン化することができ、新規なハロゲン化コポリマーを得ることができる。
【0026】
したがって、本発明の範囲は、本発明のコポリマーをハロゲン化することによって得ることができるハロゲン化されたコポリマーを包含する。好ましくは、ハロゲン化は、塩素化または臭素化を意味する。
【0027】
好ましくは、ハロゲン化されたコポリマーのハロゲンの量は、前記ハロゲン化されたコポリマーの0.1〜8.0質量%の範囲、好ましくは0.5〜4質量%の範囲、より好ましくは0.8〜3質量%の範囲、さらにより好ましくは1.2〜2.5質量%の範囲、なおさらにより好ましくは1.5〜2.5質量%の範囲、最も好ましくは1.8〜2.3質量%の範囲である。
【0028】
1つの実施態様では、本発明のハロゲン化されたコポリマーの質量平均分子量は、典型的には、300〜1000kg/モルの範囲、好ましくは300〜700kg/モルの範囲、より好ましくは325〜650kg/モルの範囲、さらにより好ましくは350〜600kg/モル、なおさらに好ましくは375〜550kg/モルの範囲、最も好ましくは400〜500kg/モルの範囲である。既に上述したとおり、分子量は、テトラヒドロフラン(THF)溶液中、ポリスチレン分子量標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって得られる。
【0029】
本発明のさまざまなコポリマーおよびハロゲン化されたコポリマーは、互いにブレンドすることができ、あるいは少なくとも1種の第二のゴムであって、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、パーフルオロエラストマー(FFKM/FFPM)、エチレンビニルアセテート(EVA)ゴム、エチレンアクリレートゴム、ポリスルフィドゴム(TR)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンM−クラスゴム(EPDM)、ポリフェニレンスルフィド、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)、プロピレンオキサイドポリマー、星状分枝コポリマーおよびハロゲン化星状分枝コポリマー、本発明の主題ではない(すなわち、異なる配列分布を有する)コポリマー、臭素化コポリマーおよび塩素化コポリマー、星状分枝ポリイソブチレンゴム、星状分枝臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレン・コポリマー)ゴム、ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)およびハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−p−メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−p−メチルスチレン)、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−スチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−スチレン)、ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−α−メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−co−イソプレン−co−α−メチルスチレン)、およびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される第二のゴムとブレンドすることができる。
【0030】
本発明のさまざまなコポリマーおよびハロゲン化されたコポリマーは、代替的にまたは追加的に、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル酸エステル(ACM、PMMA)、熱可塑性ポリエステルウレタン(AU)、熱可塑性ポリエーテルウレタン(EU)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から好ましくは選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとさらにブレンドすることができる。
【0031】
本発明のコポリマーおよびハロゲン化されたコポリマーおよび上述したそのブレンドには、1種以上の充填剤をさらに配合することができる。充填剤は、非無機フィラー、無機フィラーまたはそれらの混合物であってよい。いくつかの実施態様では、非無機充填剤が好ましく、例えば、カーボンブラック、ゴムゲルおよびそれらの混合物が挙げられる。 適切なカーボンブラックは、好ましくは、ランプブラック、ファーネスブラックまたはガスブラックプロセスによって調製される。 カーボンブラックは、BET比表面積が20〜200m
2/gであることが好ましい。 カーボンブラックのいくつかの具体例は、SAF、ISAF、HAF、FEFおよびGPFカーボンブラックである。ゴムゲルは、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーまたはポリクロロプレンをベースとするものが好ましい。
【0032】
好ましい無機充填剤には、例えば、シリカ、ケイ酸塩、クレー、ベントナイト、バーミキュライト、ノントロナイト、ベイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニヤイト、レディカイト、石膏、アルミナ、タルク、ガラス、金属酸化物(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛)、金属水酸化物(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)、またはこれらの混合物が含まれる。
【0033】
無機充填剤としての使用に適した乾燥非晶質シリカ粒子は、1〜100ミクロン、または10〜50ミクロン、または10〜25ミクロンの範囲の平均凝集粒子サイズを有し得る。1つの実施態様では、凝集粒子の10体積%未満が5ミクロン未満であってよい。1つの実施態様では、10体積%未満の凝集粒子が50ミクロンを超えるサイズであってよい。適切な非晶質乾燥シリカは、例えば、DIN(Deutsche Industrie Norm)66131に準拠して測定したBET表面積が50〜450平方メートル/gであってよく、DIN 53601に準拠して測定したDBP吸収は、100gのシリカ当たり150〜400gであってよい。DIN ISO 787/11に準拠して測定した乾燥損失は、0〜10質量%であってよい。好適なシリカ充填剤は、PPG Industries Inc.からHiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)233およびHiSil(登録商標)243の名称で入手可能である。また、Bayer AGから市販されているVulkasil(登録商標)SおよびVulkasil(登録商標)Nも適切である。
【0034】
本発明において有用な高アスペクト比の充填剤は、少なくとも1:3のアスペクト比を有するクレー、タルク、雲母などを含んでいてよい。これらの充填剤は、板状(プレート状)または針状構造を有する非円形(acircle)すなわち非等尺性の材料を含んでいてよい。アスペクト比は、プレートの面と同じ面積の円の平均直径の、プレートの平均厚さに対する比として定義される。針状および繊維状充填剤のアスペクト比は、長さの直径に対する比である。高アスペクト比の充填剤は、少なくとも1:5、または少なくとも1:7、または1:7〜1:200の範囲のアスペクト比を有することができる。高アスペクト比の充填剤は、例えば、0.001〜100ミクロン、または0.005〜50ミクロン、または0.01〜10ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有し得る。適切な高アスペクト比の充填剤は、DIN(Deutsche Industrie Norm)66131に準拠して測定したBET表面積が5〜200m
2/gであり得る。高アスペクト比充填剤には、例えば、有機改質ナノ粘土などのナノクレーが含まれる。ナノクレーの例には、天然粉末スメクタイトクレー(例えば、ナトリウムまたはカルシウムモンモリロナイト)または合成クレー(例えば、ハイドロタルサイトまたはラポナイト)が含まれる。1つの実施態様では、高アスペクト比充填剤は、有機改質モンモリロナイトナノクレーを含むことができる。このクレーは、一般的に疎水性のポリマー環境内でのクレーの分散を助ける界面活性剤官能基がクレーにもたらされるように、当該分野で公知のように、遷移金属をオニウムイオンに置換することによって改質されていてよい。1つの実施態様では、オニウムイオンはリン系(例えばホスホニウムイオン)または窒素系(例えばアンモニウムイオン)であり、2〜20個の炭素原子を有する官能基を有する。クレーは、例えば25μm未満などのナノメートルスケールの粒径で提供され得る。この粒径は、1〜50μm、または1〜30μm、または2〜20μmの範囲であり得る。シリカに加えて、ナノクレーはアルミナ成分をいくらか含有していてもよい。例えば、ナノクレーは、0.1〜10質量%のアルミナ、または0.5〜5質量%のアルミナ、または1〜3質量%のアルミナを含んでいてよい。高アスペクト比無機充填剤として市販されている有機改質ナノクレーの例には、例えば、商品名Cloisite(登録商標)クレー10A、20A、6A、15A、30B、または25Aで販売されているものが含まれる。
【0035】
本発明によるコポリマーおよびハロゲン化コポリマー、ならびに上述したブレンドおよび配合物は、以下では、まとめてポリマー生成物と呼ばれ、当業者に知られている安定剤、酸化防止剤、粘着付与剤、および/または他の添加剤をさらに含み得る。
【0036】
これらの成分は、従来の配合技術を用いて一緒に配合することができる。 適切な配合技術には、例えば、内部ミキサー(例えば、バンバリーミキサー)、小型内部ミキサー(例えば、HaakeまたはBrabenderミキサー)または2本ロールミルミキサーを用いて成分を一緒に混合することが含まれる。 押出機も良好な混合を提供し、より短い混合時間を可能にする。 混合を2つ以上の段階で実施することが可能であり、その混合は異なる装置内で、例えば内部ミキサー内の1段階および押出機内の1段階で行うことができる。 配合技術に関するさらなる情報については、高分子大辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、Vol. 4、p. 66以下の「配合」を参照されたい。当業者に知られている他の技術も、配合に適している。
【0037】
ポリマー生成物は、それらの硬化を可能にする硬化系をさらに含んでいてもよい。
【0038】
使用に適した硬化系の選択には特に制限はなく、当業者の理解の範囲内である。特定の実施態様では、硬化系は、硫黄系、過酸化物系、樹脂系または紫外線(UV)吸収剤系であり得る。
【0039】
硫黄系硬化系は、(i)金属酸化物、(ii)元素硫黄、および(iii)少なくとも1種の硫黄系促進剤を含むことができる。硫黄硬化系における成分として金属酸化物を使用することは、当該技術分野において周知である。適切な金属酸化物は、酸化亜鉛であり、約1〜約10質量部の量で使用することができる。別の実施態様では、酸化亜鉛は、約2〜約5質量部の量で使用され得る。元素硫黄(成分(ii))は、典型的には、約0.2〜約2質量部の量で使用される。適切な硫黄系促進剤(成分(iii))は約0.5〜約3質量部の量で使用することができる。有用な硫黄ベースの促進剤の非限定的な例には、チウラムスルフィド(例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD))、チオカルバメート(例えば、亜鉛ジメチルジチオカルバメート(ZDC))およびチアジルまたはベンゾチアジル化合物(例えば、メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS))が含まれる。特に注目すべき硫黄系促進剤はメルカプトベンゾチアジルジスルフィドである。
【0040】
過酸化物ベースの硬化系もまた、とりわけ約0.2モル%を超える残留マルチオレフィン含量を含むコポリマーアイオノマーに適している。ペルオキシド硬化系には、過酸化ジクミル、過酸化ジ-tert-ブチル、過酸化ベンゾイル、2,2'-ビス(tert-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン(Vulcup(登録商標)40KE)、過酸化ベンゾイル、 2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)- ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、(2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンなどの過酸化物硬化剤が含まれる。1つのこのような過酸化物硬化剤には、過酸化ジクミルが含まれ、商品名DiCup 40Cの下で商業的に入手可能である。過酸化物硬化剤は、約0.2〜7質量部、または約1〜6質量部、または約4質量部の量で使用することができる。過酸化物硬化助剤も使用することができる。適切な過酸化物硬化助剤には、例えば、DuPontからDIAK 7の名称で市販されているトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、DuPontまたはDowからのHVA-2として知られているN、N'-m-フェニレンジマレイミド、トリアリルシアヌレート(TAC)、または(Ricon Resinsから供給されている)Ricon D 153として知られている液状ポリブタジエンが含まれる。過酸化物硬化助剤は、過酸化物硬化剤の量に対して当量以下で使用することができる。過酸化物硬化された物品の状態は、不飽和度の増加したブチルポリマー、例えば少なくとも0.5モル%のマルチオレフィン含量のブチルポリマーで増強される。
【0041】
ポリマー生成物はまた、樹脂硬化系、および必要であれば、その樹脂硬化を活性化するための促進剤によって硬化されてもよい。 好適な樹脂には、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、アルキル化フェノール類、ハロゲン化アルキルフェノール樹脂、およびそれらの混合が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
ポリマー生成物は、多様な用途にそれらを非常に有用にする化学的および物理的特性を備えている。ガスに対する透過性の程度が低いことに加え、架橋、硬化またはポスト重合改質部位として機能し得る不飽和部位が均一に分布していることは、これらのゴムの最大の用途、すなわち内側チューブおよびタイヤインナーライナーに有用である。同じこれらの特性は、空気クッション、空気ばね、空気ベローズ、アキュムレータバッグ、および薬学的クロージャー(pharmaceutical closure)においても重要である。 本発明のポリマーの熱安定性は、それらを、ゴムタイヤを硬化するブラダー、高温サービスホース、および高温材料を取扱うためのコンベヤベルトに理想的なものにする。
【0043】
ポリマー生成物はさらに、高い減衰(danping)を示し、温度および周波数の両方において独特の幅広い減衰および衝撃吸収範囲を有し、これによりそれらが、自動車サスペンションバンパー、自動排気ハンガー、ボディマウント、および靴底に有用なものにされている。
【0044】
本発明のポリマー生成物は、タイヤサイドウォールコンパウンドおよびトレッドコンパウンドにおいても有用である。サイドウォールにおいて、このポリマーの特性により、良好な耐オゾン性、亀裂成長性、および外観が付与される。
【0045】
ポリマー生成物は、硬化前に所望の物品に成形することができる。硬化されたポリマー生成物を含む物品には、例えば、ベルト、ホース、靴底、ガスケット、Oリング、ワイヤー/ケーブル、メンブラン、ローラー、ブラダー(例えば、硬化用ブラダー)、タイヤのインナーライナー、タイヤトレッド、ショックアブソーバー、機械架台、バルーン、ボール、ゴルフボール、防護服、医療用チューブ、貯蔵タンクライニング、電気絶縁、ベアリング、医薬品ストッパー、接着剤;ボトル、トート、貯蔵タンクなどの容器;容器の蓋または蓋;ガスケットまたはコーキングなどのシールまたはシーラント;オーガ(auger)またはコンベヤベルトなどの材料取扱装置;冷却塔;金属加工装置、または金属加工流体と接触する任意の装置;燃料ライン、燃料フィルター、燃料貯蔵タンク、ガスケット、シールなどのエンジン部品;流体濾過またはタンクシーリングのためのメンブラン。ブチルアイオノマーが物品またはコーティングに使用され得るさらなる例には、以下:機器、ベビー製品、浴室備品、バスルーム安全具、床材、食品貯蔵備品、庭備品、キッチン備品、キッチン製品、オフィス製品、ペット製品、シーラント、グラウト(grout)、スパ、水の濾過および貯蔵、機器、食品調製用度品および装置、ショッピングカート、表面塗装、貯蔵容器、靴、保護服、スポーツ用品、カート、歯科用器具、ドアノブ、服、電話、おもちゃ、病院内のカテーテル用液体、容器およびパイプの表面、コーティング、食品加工、生物医学的装置、フィルター、添加物、コンピューター、船体艇体、シャワー壁、生物付着の問題を最小限に抑えるチュービング、ペースメーカー、インプラント、創傷包帯、医療用織物、製氷機、清涼飲料水機、フルーツジュースディスペンサ、ソフトドリンクマシーン、配管、貯蔵容器、計量システム、バルブ、継手、アタッチメント、フィルターハウジング、ライニング、およびバリヤーコーティングが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
本発明の別の側面によれば、本発明の新規なコポリマーの製造方法であって、少なくとも以下の工程a)、b)、およびc):
a)希釈剤と、少なくともイソブチレンおよびイソプレンを含むモノマー混合物とを、モノマー混合物対希釈剤の質量比5:95〜95:5、好ましくは40:60〜95:5、より好ましくは45:55〜85:15、さらにより好ましくは61:39〜80:20で準備して、反応媒体を形成させる工程;
b)前記反応媒体中の前記モノマー混合物を、開始剤系の存在下で重合させて、前記コポリマーと、前記希釈剤と、任意選択的であるが含まれることが好ましい前記モノマー混合物の残りのモノマーとを含むコポリマー溶液を形成させる工程;
c)前記反応媒体から、前記モノマー混合物の残りのモノマーを分離し、好ましくは追加的に前記希釈剤を分離して、前記コポリマーを得る工程
を含み、好ましくは上記工程a)、b)、およびc)のみからなり、
ここで、工程b)は、
− −100℃から0℃の範囲、好ましくは−95℃〜−20℃の範囲、さらにより好ましくは−95℃〜−60℃の範囲の温度で実施され、かつ、
前記希釈剤が、
− 少なくとも50.0質量%、好ましくは少なくとも80.0質量%、より好ましくは少なくとも90.0質量%、さらにより好ましくは少なくとも95.0質量%、なおさらにより好ましくは少なくとも98.0質量%、なおさらにより好ましくは少なくとも99.0質量%の2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンを含む、方法が提供される。
【0047】
1つの実施態様では、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンは、好ましくは商業的に入手可能な純度で、単一の希釈剤として使用される。
100質量%までの残りの成分が存在する場合には、フッ素化、塩素化、またはフッ素化および塩素化された炭化水素、または脂肪族炭化水素が含まれていてよい。
【0048】
塩素化炭化水素の例には、塩化メチル、塩化メチレン、または塩化エチルが含まれる。
【0049】
フッ素化炭化水素の例には、式:C
xH
yF
z(式中、xは、1〜40、あるいは1〜30、あるいは1〜20、あるいは1〜10、あるいは1〜6、あるいは2〜20、あるいは3〜10、あるいは3〜6、最も好ましくは1〜3の整数であり、yおよびzは、少なくとも1の整数である。)によって表される希釈剤が含まれる。
【0050】
1つの実施態様では、フッ素化炭化水素は、例えば、フルオロメタン;ジフルオロメタン;トリフルオロメタン;フルオロエタン;1,1-ジフルオロエタン;1,2-ジフルオロエタン;1,1,1-トリフルオロエタン;1,1,2-トリフルオロエタン;1,1,2,2-テトラフルオロエタン;1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン;1-フルオロプロパン;2-フルオロプロパン;1,1-ジフルオロプロパン;1,2-ジフルオロプロパン;1,3-ジフルオロプロパン;2,2-ジフルオロプロパン;1,1,1-トリフルオロプロパン;1,1,2-トリフルオロプロパン;1,1,3-トリフルオロプロパン;1,2,2-トリフルオロプロパン;1,2,3-トリフルオロプロパン;1,1,1,2-テトラフルオロプロパン;1,1,1,3-テトラフルオロプロパン;1,1,2,2-テトラフルオロプロパン;1,1,2,3-テトラフルオロプロパン;1,1,3,3-テトラフルオロプロパン;1,2,2,3-テトラフルオロプロパン;1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン;1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン;1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン;1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン;1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン;1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン;1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン;1-フルオロブタン;2-フルオロブタン;1,1-ジフルオロブタン;1,2-ジフルオロブタン;1,3-ジフルオロブタン;1,4-ジフルオロブタン;2,2-ジフルオロブタン;2,3-ジフルオロブタン;1,1,1-トリフルオロブタン;1,1,2-トリフルオロブタン;1,1,3-トリフルオロブタン;1,1,4-トリフルオロブタン;1,2,2-トリフルオロブタン;1,2,3-トリフルオロブタン;1,3,3-トリフルオロブタン;2,2,3-トリフルオロブタン;1,1,1,2-テトラフルオロブタン;1,1,1,3-テトラフルオロブタン;1,1,1,4-テトラフルオロブタン;1,1,2,2-テトラフルオロブタン;1,1,2,3-テトラフルオロブタン;1,1,2,4-テトラフルオロブタン;1,1,3,3-テトラフルオロブタン;1,1,3,4-テトラフルオロブタン;1,1,4,4-テトラフルオロブタン;1,2,2,3-テトラフルオロブタン;1,2,2,4-テトラフルオロブタン;1,2,3,3-テトラフルオロブタン;1,2,3,4-テトラフルオロブタン;2,2,3,3-テトラフルオロブタン;1,1,1,2,2-ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,3-ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,4-ペンタフルオロブタン;1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン;1,1,1,3,4-ペンタフルオロブタン;1,1,1,4,4-ペンタフルオロブタン;1,1,2,2,3-ペンタフルオロブタン;1,1,2,2,4-ペンタフルオロブタン;1,1,2,3,3-ペンタフルオロブタン;1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタン;1,1,3,3,4-ペンタフルオロブタン;1,2,2,3,3-ペンタフルオロブタン;1,2,2,3,4-ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,2,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,3,3,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロブタン;1,1,2,2,3,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,2,2,4,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロブタン;1,2,2,3,3,4-ヘキサフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,2,4,4-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,4-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,3,3,4,4-ヘプタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,3,4-オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,4,4-オクタフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン;1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタン;1,1,1,2,2,3,4,4,4-ノナフルオロブタン;1-フルオロ-2-メチルプロパン;1,1-ジフルオロ-2-メチルプロパン;1,3-ジフルオロ-2-メチルプロパン;1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン;1,1,3-トリフルオロ-2-メチルプロパン;1,3-ジフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン;1,1,1,3-テトラフルオロ-2-メチルプロパン;1,1,3,3-テトラフルオロ-2-メチルプロパン;1,1,3-トリフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン;1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-2-メチルプロパン;1,1,3,3-テトラフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン;1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン;フルオロシクロブタン;1,1-ジフルオロシクロブタン;1,2-ジフルオロシクロブタン;1,3-ジフルオロシクロブタン;1,1,2-トリフルオロシクロブタン;1,1,3-トリフルオロシクロブタン;1,2,3-トリフルオロシクロブタン;1,1,2,2-テトラフルオロシクロブタン;1,1,3,3-テトラフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3-ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,3,3-ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロブタンなどの飽和ヒドロフルオロカーボンからなる群から選択される。
【0051】
フッ素化炭化水素のさらなる例には、フッ化ビニル;1,2-ジフルオロエテン;1,1,2-トリフルオロエテン;1-フルオロプロペン;1,1-ジフルオロプロペン;1,2-ジフルオロプロペン;1,3-ジフルオロプロペン;2,3-ジフルオロプロペン;3,3-ジフルオロプロペン;1,1,2-トリフルオロプロペン;1,1,3-トリフルオロプロペン;1,2,3-トリフルオロプロペン;1,3,3-トリフルオロプロペン;2,3,3-トリフルオロプロペン;3,3,3-トリフルオロプロペン;1-フルオロ-1-ブテン;2-フルオロ-1-ブテン;3-フルオロ-1-ブテン;4-フルオロ-1-ブテン;1,1-ジフルオロ-1-ブテン;1,2-ジフルオロ-1-ブテン;1,3-ジフルオロプロペン;1,4-ジフルオロ-1-ブテン;2,3-ジフルオロ-1-ブテン;2,4-ジフルオロ-1-ブテン;3,3-ジフルオロ-1-ブテン;3,4-ジフルオロ-1-ブテン;4,4-ジフルオロ-1-ブテン;1,1,2-トリフルオロ-1-ブテン;1,1,3-トリフルオロ-1-ブテン;1,1,4-トリフルオロ-1-ブテン;1,2,3-トリフルオロ-1-ブテン;1,2,4-トリフルオロ-1-ブテン;1,3,3-トリフルオロ-1-ブテン;1,3,4-トリフルオロ-1-ブテン;1,4,4-トリフルオロ-1-ブテン;2,3,3-トリフルオロ-1-ブテン;2,3,4-トリフルオロ-1-ブテン;2,4,4-トリフルオロ-1-ブテン;3,3,4-トリフルオロ-1-ブテン;3,4,4-トリフルオロ-1-ブテン、 4,4,4-トリフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3-テトラフルオロ-1-ブテン;1,1,2,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,1,3,3-テトラフルオロ-1-ブテン;1,1,3,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,1,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,2,3,3-テトラフルオロ-1-ブテン;1,2,3,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,2,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,3,3,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,4,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;2,3,3,4-テトラフルオロ-1-ブテン;2,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;2,4,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;3,4,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,1,3,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,1,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,2,3,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,2,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,2,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;2,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン;1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン;1,2,3,3,4,4-ベキサフルオロ-1-ブテン;1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン;2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン;1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン;1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン;1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン;1-フルオロ-2-ブテン;2-フルオロ-2-ブテン;1,1-ジフルオロ-2-ブテン;1,2-ジフルオロ-2-ブテン;1,3-ジフルオロ-2-ブテン;1,4-ジフルオロ-2-ブテン;2,3-ジフルオロ-2-ブテン;1,1,1-トリフルオロ-2-ブテン;1,1,2-トリフルオロ-2-ブテン;1,1,3-トリフルオロ-2-ブテン;1,1,4-トリフルオロ-2-ブテン;1,2,3-トリフルオロ-2-ブテン;1,2,4-トリフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2-テトラフルオロ-2-ブテン;1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン;1,1,1,4-テトラフルオロ-2-ブテン;1,1,2,3-テトラフルオロ-2-ブテン;1,1,2,4-テトラフルオロ-2-ブテン;1,2,3,4-テトラフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン;1,1,1,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン;1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン;1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン;1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン;1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン;1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン;1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン;1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン;およびそれらの混合物が含まれる。
【0052】
脂肪族炭化水素の例には、プロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、 2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-エチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、 エタン、メタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、1,1-ジメチルシクロペンタン、シス-1,2-ジメチルシクロペンタン、トランス-1,2-ジメチルシクロペンタン、トランス-1,3-ジメチル-シクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンが含まれる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「少なくとも実質的に溶解した」という用語は、少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%の工程b)により得られたコポリマーが希釈剤に溶解されていることを意味する。
【0054】
工程b)は、重合プロセスを開始することができる開始剤系(例えば、ルイス酸触媒およびプロトン源)の存在下で行われる。本発明に適したプロトン源には、ルイス酸またはルイス酸を含有する組成物に添加されるとプロトン(proton)を生成する任意の化合物が含まれる。 プロトンは、ルイス酸とプロトン源とが反応して、プロトンおよび対応する副生成物を生成する反応から生成され得る。このような反応は、プロトン源とプロトン化された添加剤との反応が、プロトン源とモノマーとの反応と比較してより速い場合に好ましいであろう。
【0055】
プロトン生成反応剤には、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノールなどのアルコール、フェノール、チオール、カルボン酸、塩化水素、または臭化物、およびこれらの混合物が含まれる。 水、アルコール、フェノールまたはそれらの任意の混合物が好ましい。 最も好ましいプロトン源は水である。ルイス酸対プロトン源の好ましい比は、一般に、質量で5:1から100:1、または質量で5:1から50:1である。触媒およびプロトン源を含む開始剤系は、好ましくは、反応混合物中に、反応混合物の総質量に基づいて0.02〜0.1質量%の量で存在する。
【0056】
アルキルアルミニウムハライドは、本発明による溶液重合反応を触媒するためのルイス酸の特に好ましい部類である。アルキルアルミニウムハライド触媒の例には、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライドおよびこれらの任意の混合物が含まれる。好ましいものは、ジエチルアルミニウムクロライド(Et
2AlClすなわちDEAC)、エチルアルミニウムセスキクロライド(Et
1.5AlCl
1.5すなわちEASC)、エチルアルミニウムジクロライド(EtAlCl
2すなわちEADC)、ジエチルアルミニウムブロマイド(Et
2AlBrすなわちDEAB)、エチルアルミニウムセスキブロマイド(Et
1.5AlBr
1.5すなわちEASB)、およびエチルアルミニウムジブロマイド(EtAlBr
2すなわちEADB)、およびこれらの任意の混合物である。
【0057】
特に好ましい開始剤系では、触媒は、エチルアルミニウムセスキクロライド、好ましくは等モル量のジエチルアルミニウムクロライドとエチルアルミニウムジクロライドとを好ましくは希釈剤中で混合することによって生成されるエチルアルミニウムセスキクロライドを含む。希釈剤は、好ましくは、共重合反応を行うために使用されるのと同じものである。
【0058】
アルキルアルミニウムハライドを使用する場合、水および/またはアルコール、好ましくは水をプロトン源として使用することが好ましい。1つの実施態様では、水の量は、アルキルアルミニウムハライドのアルミニウム1モル当たり水0.40〜4.0モルの範囲、好ましくはアルキルアルミニウムハライドのアルミニウム1モル当たり水0.5〜2.5モルの範囲の量であり、好ましくはアルミニウムアルキルハライドのアルミニウム1モル当たり水1〜2モルの量である。
【0059】
本発明の1つの実施態様において、工程b)による重合は、重合反応器を用いて行う。適切な反応器は、当業者に公知のものであり、フロースルー重合反応器が含まれる。例は、国際公開第2011/000922号および国際公開第2012/089823号に開示されている。
【0060】
採用されるモノマーは、コポリマーについて上述したモノマーである。
【0061】
モノマーの精製は、適切なモレキュラーシーブまたはアルミナベースの吸着材料を含む吸着カラムを通過させることによって行うことができる。 重合反応への干渉を最小限に抑えるために、反応の毒として作用する水ならびにアルコールおよび他の有機酸素化物などの物質の総濃度は、質量基準で約10ppm未満に低減することが好ましい。
【0062】
工程b)に従う重合は、典型的には、重合後の溶液の固形分が、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは10〜18質量%、さらにより好ましくは12〜18質量%、なおさらにより好ましくは14〜18質量%、さらにより好ましくは14.5〜18質量%、なおさらに好ましくは15〜18質量%、最も好ましくは16〜18質量%となるように実施される。
【0063】
典型的には、5質量%〜90質量%、好ましくは5〜50質量%、別の実施態様では5〜25質量%、好ましくは10質量%〜約20質量%の用いた単量体が消費された後で転化を停止させる。
本明細書において、用語「固形分」または「固形分濃度」は、工程b)に従って、すなわち重合において得られた、最終反応混合物中に存在するポリマーの質量%を指す。
【0064】
1つの実施態様では、工程b)における反応時間は2分から2時間、好ましくは10分から1時間、より好ましくは20分から45分である。
【0065】
この方法は、バッチ式または連続式で行うことができる。 連続反応が行われる場合、上述した反応時間は平均滞留時間を表す。
【0066】
この反応は、典型的には、メタノールまたはエタノール中1質量%の水酸化ナトリウム溶液などの停止剤によって停止させる。
【0067】
典型的には、最初に使用したモノマーの5質量%〜25質量%、好ましくは10質量%〜20質量%のモノマー消費後に転化を停止させる。
【0068】
モノマーの転化は、重合中にオンライン粘度計または分光モニタリングによって追跡することができる。工程c)に従って、反応媒体から、モノマー混合物の残留モノマー、および好ましくは追加的に希釈剤を、コポリマーを得るために分離する。
【0069】
そのような分離には、蒸留を使用して、残留モノマーおよび希釈剤を引き続いてまたは一緒に望ましい程度まで除去することができ、押出しを使用しても、例えば、国際公開第2010/03183号および国際公開第2011/117280号に開示されているように、揮発性成分の濃度を無視し得る濃度にまで低下させることができる。種々の沸点の液体を分離するための蒸留プロセスは当技術分野において周知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れるEncyclopedia of Chemical Technology、Kirk Othmer、第4版、8〜311頁に記載されている。
【0070】
別の実施形態では、使用する希釈剤は、少なくとも95.0質量%、好ましくは少なくとも98.0質量%、より好ましくは少なくとも98.5質量%、さらにより好ましくは少なくとも99.0質量%の1種以上の脂肪族炭化水素であって、圧力1013hPaで45℃〜95℃、好ましくは45℃〜80℃の範囲の沸点を有し、かつ、希釈剤中のコポリマーの溶液を得る工程c)において未反応の残留モノマーを20重量部未満の濃度まで除去することを可能にする脂肪族炭化水素である。
【0071】
この蒸留には、約40個のトレイを採用することがこの程度の分離を達成するのに十分であることが見出されている。
【0072】
一般に、未反応モノマーおよび希釈剤は、本発明の方法の工程a)に別々にまたは一緒にリサイクルすることができる。
【0073】
未反応の残留モノマーを除去した後、工程d)においてコポリマーをハロゲン化することが好ましい。
【0074】
ハロゲン化コポリマーは、既知の溶液相技術を用いて製造される。ブチルゴムの溶液をハロゲン化剤で処理する。ハロゲン化のための所望の特性を有するいわゆる「セメント」を形成させるために、分離したコポリマー溶液に追加の希釈剤を添加してもよい。好ましくは、ブチルポリマーは、ハロゲン化工程において臭素化または塩素化される。好ましくは、ハロゲンの量は、その好ましい実施形態を含む上述により開示した範囲内である。
【0075】
ハロゲン化剤は、元素状の塩素(Cl
2)または臭素(Br
2)および/またはこれらへの有機ハロゲン前駆体、例えば、ジブロモ-ジメチルヒダントイン、トリ-クロロイソシアヌル酸(TClA)、n-ブロモコハク酸イミドなどを含むことができる。好ましくは、ハロゲン化剤は、臭素または塩素を含むか、あるいは臭素または塩素である。この手順におけるハロゲン化の量は、最終ハロゲン化コポリマーが上述した好ましい量のハロゲンを有するように制御することができる。ハロゲンをポリマーに結合させる具体的な態様は特に限定されず、当業者であれば、本発明の利点を達成する上で上述したもの以外の態様を使用できることを認識するであろう。溶液相ハロゲン化プロセスのさらなる詳細および代替実施態様については、例えば、本明細書に参照により組み込む「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」(第5版、完全改訂版、第A231巻、Elversら編)および/または「Rubber Technology」(第3版)Maurice Morton著、Chapter 10(Van Nostrand Reinhold Company、1987)を参照されたい(特にpp. 297-300に記載されている)。
【0076】
本発明の驚くべき利点は、モノマー対希釈剤比、温度および溶媒組成、好ましくは開始剤の種類および量などが規定された重合条件下で重合を実施すると、均質にマルチオレフィンが組み込まれたこれまでに例のない新規なコポリマーポリマーが得られ、特に、後重合での改質および硬化のためのコポリマーの適用範囲を広げることを可能にするという事実である。
【実施例】
【0077】
[重合]:
全ての重合は、乾燥した不活性雰囲気下で行った。重合は、外部の電動攪拌機によって駆動されるオーバーヘッドの4ブレードステンレススチール羽根車を備えた、600mLのステンレススチール製反応容器中でバッチ反応として行った。 反応温度は熱電対を介して測定した。組み立てた反応器をペンタン冷却浴に浸漬することによって、反応器を所望の反応温度(−95℃)に冷却した。攪拌した炭化水素浴の温度を±2℃の範囲内に制御した。反応媒体と液体接触するすべての装置を、使用前に150℃で少なくとも6時間乾燥させ、真空-窒素雰囲気の交互チャンバ内で冷却した。
【0078】
製造設備から高純度のイソブテンおよび塩化メチルを受け取り、そのまま使用した。
【0079】
ハイドロフルオロカーボン1,1,1,2−テトラフルオロエタン(99.9%を超える純度)(HFC-134a、Genetron(登録商標)134a)およびハイドロフルオロオレフィン2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(99.99%を超える純度)(HFO-1234yf、Solstice(登録商標)1234yf 自動車用グレード)を受け取ったまま使用した。
【0080】
これらをいずれも凝縮し、ドライボックス内の液体として集めた。イソプレン(Sigma-Aldrich、純度99.5%以上)は、活性化した3Aモレキュラーシーブ上で数日間乾燥させ、窒素下で蒸留した。ヘキサン中のエチルアルミニウムジクロライドの1.0M溶液(Sigma-Aldrich)は受け取ったまま使用した。予め乾燥したSure/Seal(登録商標)ボトルに無水CH
2Cl
2(VWR)を入れたものに、無水HClガス(Sigma-Aldrich、純度99%)を通気することによって、HCl/CH
2Cl
2の溶液を調製した。次いで、このHCl/CH
2Cl
2溶液を、0.1N NaOH(VWR)標準溶液を用いて滴定し、その濃度を決定した。
【0081】
スラリー重合は、イソブテン、イソプレン、および(各実施例で特定する)液化した希釈剤を重合温度に冷却した反応容器に充填し、500〜900rpmの間の所定の攪拌速度で撹拌することによって実施した。
【0082】
開始剤系溶液を塩化メチル中で調製した。開始剤系溶液は、HCl/CH
2Cl
2溶液を塩化メチルのアリコートに希釈し、エチルアルミニウムジクロリドの1.0M溶液を添加して1:4モル比のHCl:EADCとし、その後穏やかに旋回させることによって、反応容器と同じ温度条件下で調製した。調製した開始剤系溶液は直ちに使用した。開始剤系溶液を、冷却ガラスパスツールピペットを用いて重合系に添加した。反応を5分間進行させ、エタノール溶液中の1%水酸化ナトリウム2mLの添加により停止させた。転化率は、重合中にポリマーに変換されたモノマーの質量パーセントとして報告する。
【0083】
[
参考例1〜9および実施例10〜12]
一連の重合を、−95℃で、純粋な塩化メチル、純粋な1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは純粋な2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン中で行った。すべての重合は、一貫して上述したとおりに行った。重合は、180mLの希釈剤、20mLのイソブテンおよび種々の量のイソプレンを用いて行った。開始剤系溶液は、塩化メチル80mL中、0.18MのHCl/CH
2Cl
2溶液11mLおよびエチルアルミニウムジクロライド(EADC)の1.0Mヘキサン溶液8mLを添加することによって調製した。5mlの前記開始剤系溶液を、
参考例1〜9および実施例1
0〜12による全ての重合のために使用した。
【0084】
イソプレンの組み込みは、
1H−NMRスペクトルによって決定した。NMR測定は、Bruker DRX 500MHz分光計(500.13MHz)を用いて、ポリマーのCDCl
3溶液を用い、その残留CHCl
3ピークを内部基準として使用して得た。
【0085】
トリアッド配列の分布は、
13C−NMRスペクトルから得た。その際、Bruker DRX 500MHz分光計(500.13MHz)を使用し、緩和剤として1.5%(質量/体積)クロム(III)アセチルアセトネートを含むポリマーのCDCl
3溶液(6〜8質量%)を用いた。データの取得および加工は、米国特許第7,332,554号に記載されているように行った
(3)。
【0086】
結果を表1にまとめる。
【0087】
【表1】