(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調理域を通して移動する食材に対して加熱調理を行うための調理部と、前記調理域に食材を供給する食材供給部と、前記調理域に液体又はその蒸気を供給する液体/蒸気供給部と、前記調理域を移動する食材及び液体又は蒸気に光を照射して加熱するための光照射手段と、前記調理域を移動する食材を検知するための食材検知手段とを備え、前記食材検知手段が食材を検知すると、前記光照射手段が作動して前記調理域を通して移動する食材と液体又は蒸気に対する加熱調理が行われ、前記食材検知手段が設定時間継続して食材を検知しないと、前記光照射手段による加熱調理が終了することを特徴とする光照射調理器。
前記温度検知手段は、赤外線を利用した赤外線検知センサから構成され、前記赤外線検知センサの検知信号を分光処理して食材の温度状態を検知するとともに、この食材の調理状態を検知することを特徴とする請求項2に記載の光照射調理器。
前記調理部は中空筒状部材を備えており、食材と液体又は蒸気とは前記中空筒状部材に設けられた前記調理域を通して移動され、食材と液体又は蒸気とは加熱調理可能な基準体積よりも少なく移動するように構成され、前記基準体積は、前記調理域を移動する食材と液体又は蒸気との移動量、食材の種類及び前記光照射手段の照射出力とに基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光照射調理器。
前記中空筒状部材は上下方向に延び、その上端部に加熱調理すべき食材と液体又は蒸気が流入する流入部が設けられ、その下端部に加熱調理された食材が排出される排出部が設けられ、食材が重力を利用して前記流入部から前記調理域を通して前記排出部に流れることを特徴とする請求項4に記載の光照射調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のこのような炊飯器の場合、炊飯すべき米の量に対応した水の量(一般的に、内釜の内側壁に設けられた水位目盛に、炊飯すべき米の量に対応する水の量が目盛として付されている)を入れて炊飯するが、炊飯できる米の量は、この目盛のうち最も下位の目盛、即ち最下位置目盛(内釜の底壁に最も近い目盛)の水位に対応する量であり、この最下位目盛よりも少ない米の量を投入したときには適切に調理炊飯することができない。例えば使用者が食べようとする米の量が茶碗1杯分であっても、最下位置目盛の水位に対応する米の量を炊飯しなければならす、それ故に、それ炊きたい米の量が茶碗一杯分であってもそれよりも多くの米を炊く必要があり、その分、調理時間が長くなるとともに、炊飯したご飯が余るようになる。
【0005】
このような問題は、米以外の食材、例えばミンチされた肉の加熱調理、小さく切断した野菜の加熱調理、肉及び/又は野菜などを含む流動食を加熱して煮調理するときにも同様の問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記事由に鑑みてなされたものであり、少ない必要量であっても食材を加熱調理することができ、調理時間も短縮することができる光照射調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光照射調理器は、調理域を通して移動する食材に対して加熱調理を行うための調理部と、前記調理域に食材を供給する食材供給部と、前記調理域に液体又はその蒸気を供給する液体/蒸気供給部と、前記調理域を移動する食材及び液体又は蒸気に光を照射して加熱するための光照射手段
と、前記調理域を移動する食材を検知するための食材検知手段とを備え、前記食材検知手段が食材を検知すると、前記光照射手段が作動して前記調理域を通して移動する食材と液体又は蒸気に対する加熱調理が行われ、前記食材検知手段が設定時間継続して食材を検知しないと、前記光照射手段による加熱調理が終了することを特徴とする。
また、本発明の他の光照射調理器は、調理域を通して移動する食材に対して加熱調理を行うための調理部と、前記調理域に食材を供給する食材供給部と、前記調理域に液体又はその蒸気を供給する液体/蒸気供給部と、前記調理域を移動する食材及び液体又は蒸気に光を照射して加熱するための光照射手段と、前記調理域の食材の温度を検出するための温度検知手段を備え、前記温度検知手段による検知温度に基づいて前記光照射手段の照射出力が制御されることを特徴とする。
【0008】
このような光照射調理器では、調理部は中空筒状部材を備えており、食材と液体又は蒸気とは中空筒状部材に設けられた調理域を通して移動され、食材と液体又は蒸気とは加熱調理可能な基準体積よりも少なく移動するように構成され、調理域を移動する食材と液体又は蒸気との移動量、食材の種類及び光照射手段の照射出力とに基づいて
基準体積を設定するのが好ましい。
【0009】
また、
温度検知手段を赤外線を利用した赤外線検知センサから構成し、赤外線検知センサの検知信号を分光処理して食材の温度状態を検知するとともに、この食材の調理状態を検知するのが好ましく、更に中空筒状部材が上下方向に延び、その上端部に加熱調理すべき食材と液体又は蒸気が流入する流入部を設け、その下端部に加熱調理された食材が排出される排出部を設け、食材を重力を利用して流入部から調理域を通して排出部に流れるようにするのが好ましい。
更に、中空筒状部材に関連して、食材の流動を促進するための流動促進手段を設けるのが好ましく、またこの中空筒状部材の排出側に拡径部を設け、この拡径部に水分を除去するための水分除去手段を設けるのが好ましく、更にまた食材として米粒を用い、液体又は蒸気として水又は水蒸気を用い、光照射手段としてレーザ光を照射するレーザ光照射手段を用いるのが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明
の光照射調理器によれば、調理域を通して移動する食材に対して加熱調理を行うための調理部と、この調理域に食材を供給する食材供給部と、この調理域に液体(又は蒸気)を供給する液体/蒸気供給部と、この調理域を移動する食材と液体(又は蒸気)に光を照射して加熱するための光照射手段とを備えているので、光照射手段からの光を調理域にて食材及び液体(又は蒸気)に照射して加熱することができ、この照射光による熱を利用して食材を加熱調理することができる。
また、食材検知手段が設定時間継続して食材を検知しないと光照射手段による加熱調理が終了するので、食材が投入されない状態において光照射手段が動作状態に放置され続けることを防止することができる。更に、調理域を移動する食材を加熱調理するために、使用者が必要とする量の食材を少量であっても無駄無く調理することができ、これによって、調理する食材の量を少なくして調理時間の短縮を図ることができる。
また、本発明の他の光照射調理器によれば、その基本的構成が上述したものと同様であるので、上述したと同様の効果が達成される。また、温度検知手段により食材の温度を検出し、その検知温度に基づいて光照射手段の照射出力を制御しているので、食材を適切な加熱調理温度に保って調理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態に係る光照射調理器を図面を参照して説明する。図示の例では、光照射調理器の一例として、レーザ光を用いたレーザ光照射調理器に適用して説明する。図示のレーザ光照射調理器1は、調理域Tを通して移動する食材L及び水にレーザ光を照射してこの食材Lを加熱調理するものである。食材Lとしては、例えば米、トウモロコシ、ミンチにした肉片、麦、小さく刻んだ野菜などが挙げられ、米(米粒)の炊飯に好都合に適用することができる。
【0013】
図1において、本実施の形態に係るレーザ光照射調理器1は、食材L(L1,L2,L3)を加熱調理する調理部13と、食材L1を供給するための食材供給部11と、水を供給するための水供給部12(液体/蒸気供給部を構成する)と、調理域Tに向けてレーザ光を照射するためのレーザ光照射手段16(光照射手段を構成する)とを備えている。このレーザ光照射調理器1は、更に、調理域Tの食材L2の温度を検知するための温度検知手段17と、食材L(L1)及び水の流動を促進するための流動促進手段14と、食材L(L1)を検知するための食材検知手段15と、食材L(L1)及び水を吸引するための吸引手段18とを含んでいる。また、レーザ光照射調理器1は、図示していないが、食材Lの加熱調理を開始するときに操作され調理開始ボタンと、食材Lの調理終了するときに操作される調理終了ボタンとを備えている。
【0014】
調理部13は、例えば細長い中空筒状部材、例えば断面形状が円形状の中空円筒状部材から構成されている。この調理部13は上下方向に延び、その一端部(上端部)に流入部13aが設けられ、その他端部(下端部)に流出部13bが設けられ、この流入部13aから流入した食材L及び水は、調理部13の中間部に配設された調理域Tを通して排出部13Bに流動し、食材Lの流動は重力を利用して行われる。尚、この実施形態では、重力を利用して食材Lを移動させているが、食材Lを加熱調理するのに水蒸気を用いるようにしてもよく、このような場合、水蒸気の流れを利用して食材Lを移動させるようにしてもよく、或いは吸引用モータなどによる吸引作用を利用して食材Lを移動させるようにしてもよい。
【0015】
この実施形態では、調理部13の側壁(調理域Tより上流側の部位)に孔131が設けられ、この孔131に対応して流動促進手段14が設けられ、またこの孔131の下流側(孔131と調理域Tとの間の部位)に食材検知用窓132が設けられ、この食材検知用窓132に対応して食材検知手段15が設けられている。更に、この調理部13の側壁(調理域Tに対応する部位)にレーザ照射用窓133が設けられ、このレーザ照射用窓133に対応してレーザ光照射手段16が設けられ、またこのレーザ照射用窓133の反対側に赤外線検知用窓134が設けられ、この赤外線検知用窓134に対応して温度検知手段17が設けられている。
【0016】
調理部13の流路断面は、予め設定された基準体積(この実施形態の場合、単位時間当たりに流れる食材L及び水の体積)以下の食材Lが流れるよう構成されている。例えば、食材Lが米粒である場合、この基準体積は米粒1つ分が水とともに流動する体積に相当する程度に設定される。この場合、調理部13の流路(食材L及び水が流動する流路)の内径W1は、例えば約3mm程度に設定すればよい。この基準体積は、例えば、調理部13を流れる食材及び水の移動量、この食材Lの種類及びレーザ光照射手段16からのレーザ出力に基づいて設定され、この基準体積以下の食材L及び水が調理域Tを通して移動したときに、この調理域Tにおいて、レーザ光照射手段16からのレーザ光による熱を利用して食材Lに所望の加熱調理を施すことができ、食材Lが例えば米粒である場合にこの米粒を所要の通りに炊飯することができる。
【0017】
また、調理部13の排出部13bの上流側(調理域Tと排出部13bとの間の部位)に、調理域Tにて加熱調理された食材L(L2)に付着した水分を除去するための水分除去手段20が設けられている。水分除去手段20は、例えば電気ヒータなどから構成され、調理後の食材L2を加熱することにより食材L2に付着した水を気化させて除去する。尚、この形態では、調理部13の排出部13b及びその上流側部が拡径され、この拡径部13cの内径は他の部位よりも大きく、この拡径部13cを囲むように水分除去手段20が設けられている。水分除去手段20により食材L(L2)に付着した水分を除去する際に付着した不純物も除去されて拡径部13cの内周面に付着するようになるが、調理部13の排出部13b及び拡径部13cの内径をこのように大きくすることにより、この拡径部13cに付着した不純物の除去が容易となる。
【0018】
この調理部13の流入部13aには接続部材19が接続されている。この接続部材19は、調理部13の上方に配置された食材供給部11及び水供給部12と調理部13とを接続するための部材である。この接続部材19は、食材供給部11から調理部13へ供給される食材L1が流れる第1流路191と、水供給部12から調理部13へ供給される水が流れる第2流路192とを有する。食材供給部11は、例えば食材収容容器から構成され、この食材収容容器には加熱調理すべき食材L(例えば、米粒)が収容される。また、水供給部12は、例えば水収容容器から構成され、この水収容容器には食材L1を加熱調理するときに用いる水が収容される。尚、食材供給部11及び水供給部の供給排出部には、図示していないが、供給開始、供給停止を行うための供給用開閉弁が配設されている。
【0019】
この実施形態においては、液体/蒸気供給部として水供給部12を用い、食材Lを調理するときに用いる液体として水を用いているが、直材Lを調理するときに蒸気を用いるようにしてもよく、この蒸気として水蒸気を用いるようにしてもよく、この場合、液体/蒸気供給部として水蒸気供給部を用い、水蒸気供給部内に加熱手段(例えば、電磁加熱手段から構成される)を設け、水蒸気供給部内に収容した水を加熱手段により加熱して生成した水蒸気を調理部13に供給するようにすることができる。
【0020】
この形態では、調理部13の流入部13aに吸引手段18が設けられている。吸引手段18は、例えば真空ポンプから構成され、その吸引口18aが接続部材19の第1流路191および第2流路192の下流端部に開口している。この吸引手段18の吸引作用によって、食材供給部11内の食材Lは、破線矢印AR1で示すように第1流路191を通して調理部13に供給され、また水供給部12内の水は、破線矢印AR2で示すように第2流路192と通して調理部13に供給され、この調理部13にて食材Lと水とが混ざって調理域Tを通り、この調理域Tで後述する如くして調理された後に排出口13bから排出され、排出された食材L(L3)が、例えば茶碗Vの中に堆積される。
【0021】
流動促進手段14は、調理部13内の食材の流動を促進する。流動促進手段14は、例えば超音波発生装置から構成され、この超音波発生装置からの超音波は、調理部13の側壁の孔131を通して調理部13を流れる食材L(L1)及び水に作用し、この超音波により食材L及び水が振動され、これにより、この食材Lが調理部13の内側に詰まるのを防止してその流動を促進するとともに、食材L及び水の振動により食材Lが洗浄され、調理域Tまで流動する前に食材Lの洗浄を行うことができる。
【0022】
食材検知手段15は、例えばフォトカプラなどの検知センサから構成され、片方の食材検知用窓132の外側に例えば発光素子15aが設けられ、他方の食材検知用窓132の外側に例えば受光素子15bが設けられる。食材L(L1)が食材検知用窓132の間を流動すると、発光素子15aからの光が食材Lにより遮られて受光素子15bに到達せず、このように受光素子15bの受光状態の変化によって、食材検知手段15は食材Lを検知する。
【0023】
光照射手段としてレーザ光を利用したレーザ光照射手段16は、調理部13の調理域Tを流れる食材L及び水にレーザ光を照射して食材L及び水を加熱する。レーザ光照射手段16は、レーザ光源161と、レーザ光源161から出射されるレーザ光を集光するレンズ体162とを有し、このレーザ光源161からのレーザ光は、レンズ体162及びレーザ照射用窓133を通して調理域Tを照射する。
【0024】
このレーザ光源161としては、例えば紫外領域の波長を有するレーザ光を出射するものから構成され、このレーザ光の波長帯域は、調理域Tにおいて食材L及び水に作用してこれらを加熱調理するのに適した波長帯に設定される。
【0025】
尚、光照射手段としては、例えば高出力のLEDの照明光を利用したLED光照射手段を用いるようにしてもよいが、レーザ光照射手段16の方が高出力を得ることができ、例えば米粒の炊飯に適用する場合、レーザ光照射手段16を用いるのが望ましい。
【0026】
温度検知手段17は、レーザ光照射部16により加熱調理される食材L(L2)の温度を検知する。温度検知手段17は、例えば赤外線センサ171及び集光レンズ体172を備え、調理域Tの食材L2から放射される赤外線は、赤外線検知用窓134を通し、集光レンズ体172により集光されて赤外線センサ171に導かれる。この赤外線センサ171は、受光した赤外線を所要の通りに処理して食材L(L2)の温度を検知する。尚、この受光した赤外線を分光処理することにより、加熱調理された食材L2の調理状態をモニターすることができ、食材L(L2)の調理状態のモニター機能を持たせるように構成することができる。
【0027】
レーザ光照射調理器1を制御するための制御手段21は、例えばプロセッサ211(Central Processing Unit)及びメモリ212備えている。このプロセッサ211は、メモリ212に登録されたプログラムを読み込んで実行することにより、制御手段21はレーザ光照射調理器1を後述する如く作動制御し、このレーザ光照射調理器1の各種機能が実現される。
【0028】
使用者が調理開始ボタン(図示せず)を押下すると、この制御手段21へ調理開始指令が入力され、後述する加熱調理が開始される。また、調理終了ボタンを押下すると、この制御手段21へ調理終了指令が入力され、後述する加熱調理が終了する。この制御手段21は、食材検知手段15からの食材検知信号に基づいて、調理部13内通して食材L(L1)が流れているか否かを判定し(食材有無検知機能)、また温度検知手段17から出力される温度検出信号に基づいて、レーザ光により加熱されている食材の温度を算出する(食材温度検知機能)。
【0029】
また、この制御手段21は、食材検知手段15により食材Lが検知されない時間が予め設定された設定時間(例えば、2〜10秒程度に設定される)を超えるか否かに応じてレーザ光照射手段16をオフ制御する(オフ制御機能)。この食材検知手段15が食材L(L1)を検知すると、この食材検知手段15からの検知信号に基づいてレーザ光照射手段16が作動して調理域Tに向けてレーザ光を照射して加熱調理が開始される。そして、このような加熱調理状態において、食材検知手段15がこの設定時間にわたって食材Lを検知しなくなると、このオフ制御機能によって、レーザ光照射手段16が作動停止し、食材L及び水に対する加熱調理が終了する。
【0030】
また、この制御手段21は、温度検知手段17により検出される食材L(L2)の温度が予め設定された所定温度範囲内であるか否かに応じてレーザ光照射手段16から照射されるレーザ光の強度を制御する(レーザ出力調整機能)。例えば、温度検知手段17の検知温度が蒸気所定温度範囲内であると、制御手段21はこのレーザ光照射手段17のレーザ光の出力をそのまま維持するが、この所定温度範囲より高くなる(又は低くなる)と、加熱調理の温度が高くなった(又は低くなった)として、レーザ光照射手段17のレーザ光の出力を低下させる(上昇させる)。尚、この加熱調理時の所定温度範囲は、調理しようとする食材Lの種類によって適宜設定される。
【0031】
次に、上述の実施形態のレーザ光照射調理器1によって実行される調理処理について、
図2を参照しながら説明する。このレーザ光照射調理器1を用いた調理処理では、まず、レーザ光照射調理器1への電源を投入した(例えば、図示しない主電源スイッチをオンにした)後、使用者が調理開始ボタン(図示せず)を押下する。かくすると、調理開始ボタンからの調理開始指令が制御手段21に送られ、制御手段21は、この調理開始指令に基づいて食材Lに対する加熱調理を開始するように制御する。
【0032】
加熱調理が開始されると、食材供給部11の食材供給用開閉弁(図示せず)が開放されて食材Lの供給が開始されるとともに、水供給部12の水供給用開閉弁(図示せず)が開放されて水の供給が開始される(ステップS1)。また、吸引手段18が作動して食材L及び水が吸引され、食材L及び水が上述したようにして調理部13に供給される(ステップS2)。また、流動促進調理部13が作動され、供給された食材L及び水は、流動促進手段13の流動促進作用を受け、それらの自重により調理域Tに向けて下流側に流動する。
【0033】
そして、食材Lが調理部13の食材検出用窓132まで流動すると、食材検知手段15が移動する食材L(L1)を検知し、ステップS3からステップS4に進み、その検知信号が制御手段21に送られ、食材Lに対する加熱調理が行われる。
【0034】
食材に対する加熱調理が開始すると、レーザ光照射手段16が作動してそのレーザ光がレンズ体162を通して調理域Tを照射するとともに、水分除去手段20が作動して調理部13の排出部13b近傍の拡径部13cの内部が加熱される(ステップS5)。
【0035】
この加熱調理中においては、食材検知手段15が食材Lを検知する間(換言すると、食材Lを設定時間継続して検知しなくなるまでの間)、ステップS6からステップS8に、又はステップS6からステップS7を経てステップS8に移り、温度検知手段17は、調理域Tにて加熱調理される食材L(L1)の温度を検知し、制御手段21は、この温度検知手段17の検知温度に基づいてレーザ光照射手段16のレーザ出力を制御する。
【0036】
この温度検知手段17の検知温度が所定温度範囲内にあるときには、食材Lに対してレーザ光による適切な加熱調理が行われているとしてステップS9からステップS11に移る。また、この検知温度が所定温度範囲より高い(又は低い)と、ステップS9からステップS10を経てステップS11に移る。
【0037】
ステップS10においては、レーザ光照射手段16から照射するレーザ光の出力調整が行われる。即ち、食材Lに対して過度の加熱調理が行われている(又は加熱調理不足である)場合、温度検知手段17の検知温度が所定温度範囲となるように、レーザ光照射手段16のレーザ出力が低下(又は上昇)され、このようにして食材Lに対する加熱調理が適切に行われる。
【0038】
調理域Tにて加熱調理された食材L(L2)は、その調理部13の排出部13bに向けて流動し、その拡径部13cまで移動すると、水分除去手段20が調理済み食材L(L2)に作用し、食材Lに付着した水分とともに不純物を除去し、加熱調理され且つ適度な水分を含む食材L(L2)が調理部13の排出部13bから排出される。例えば、食材Lが米粒である場合、調理域Tにて炊飯が行われ、拡径部13cにて水分調整が行われ、おいしく炊飯されたご飯が調理部13から茶碗Vに排出される。
【0039】
この加熱調理は、使用者が調理終了ボタン(図示せず)を押下するまで行われ、この調理終了ボタンを押下操作すると、ステップS11からステップS12に進み、食材供給部11の食材供給用開閉弁(図示せず)が閉状態となって食材Lの供給が終了し、また水供給部12の水供給用開閉弁(図示せず)が閉状態となって水の供給が終了する。
【0040】
そして、この食材Lの供給停止によって、食材検知手段15が食材Lを検知しなくなると、ステップS13からステップS14に進み、吸引手段18及び流動促進手段14の作動が停止し、更にレーザ光照射手段16及び水分除去手段20が作動停止し(ステップS15)、このようにして加熱調理が終了する。尚、レーザ光照射手段16及び水分除去手段20は、食材検知手段15が食材Lを検知しなくなった後一定時間(例えば、食材Lが排出部13bから排出されるまでに要する時間)の経過後に作動停止するようにしてもよい。
【0041】
この実施形態では、また、上述した加熱調理中において食材検知手段15が所定時間継続して食材Lを検知しないときには、加熱調理すべき食材Lがなくなったとして、ステップS6からステップS7を経てステップS16に移って加熱調理が終了する。即ち、食材供給部11の食材供給用開閉弁(図示せず)及び水供給部12の水供給用開閉弁(図示せず)が閉状態となり(ステップS16)、吸引手段18及び流動促進手段14の作動が停止し(ステップS17)、更にレーザ光照射手段16及び水分除去手段20が作動停止し(ステップS15)、このようにして加熱調理が終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係るレーザ光照射調理器1によれば、調理部13が、基準体積以下の食材Lが流れるよう設定されている。これにより、調理する食材Lの供給量を基準体積単位できめ細かく設定することができるので、使用者が必要とする量の食材Lを無駄無く調理でき、調理する食材Lの量を少なくすることにより、調理時間を短縮することができる。また、基準体積を小さくすることにより食材Lの中まで十分に加熱調理し易くなる。
【0043】
また、本実施形態では、食材検知手段15により食材Lが検知されない時間が所定時間を超えると、制御手段21はレーザ光照射手段16を作動停止しており、このように制御することにより、調理部13に食材Lが投入されない状態においてレーザ光照射部16が動作状態に放置され続けることを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態では、温度検知手段17により検出される食材Lの温度に基づいてレーザ光照射手段16のレーザ光出力を調整しており、これにより、食材Lを適切な加熱調理温度に保って調理することができる。
【0045】
以上、本発明の光照射調理器の一実施形態をレーザ光照射調理器1に適用して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、食材供給部11からの食材L及び水供給部12からの水が一つの調理部13に供給される構成であるが、この食材L及び水を複数の調理部13に供給するように構成することもできる。また、レーザ光照射手段16として異なる波長帯域のレーザ光を照射する複数のレーザ光源161を備えたものを用い、このレーザ光照射手段16から複数の波長帯域のレーザ光を照射するようにしてもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、液体/蒸気供給部として水分供給部12を用い、この水供給部12から調理部13に調理に用いる水を供給しているが、調理に用いる水蒸気を供給するようにしてもよく、この場合、液体/蒸気供給部として水蒸気供給部を用いることができる。また、食材Lとして例えば肉片を用いてこの肉片に加熱調理を行った場合、調理に用いる液体として食用油を用いるのが好ましく、この場合、液体/蒸気供給部として油供給部を用いることができる。また、調理用の液体(食用油)に代えて調理用の蒸気、即ち油蒸気を用いるようにしてもよく、この場合、液体/蒸気供給部として油蒸気供給部を用いることができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、レーザ光照射手段16が紫外線領域の波長を有するレーザ光を照射するものを用いて説明したが、これに限らず、例えば可視光領域の波長を有するレーザ光や赤外領域の波長を有するレーザ光を照射するものを用いるようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、光照射調理器として、レーザ光を利用したレーザ光照射調理器1に適用して説明したが、レーザ光照射調理器1に代えて、調理部13にテラヘルツ波を照射するテラヘルツ波照射手段を備えたもの、或いは調理部13にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を備えたものにも同様に適用することができる。
【0050】
また、上述した実施形態では、温度検知手段17として赤外線センサ171を用いているが、赤外線センサ171に代えて、例えばイメージセンサを利用したものを用いるようにしてもよい。
【0051】
更に、上述した実施形態では、流動促進手段14として超音波を利用した超音波発生装置を用いているが、このような構成に限定されず、マイクロレベル(又はナノレベル)の小さなバブルを発生するマイクロバルブ発生装置(又はナノバルブ発生装置)を用いるようにしてもよい。