(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
SPMヒュームを排出するために、現像工程に適用される特許文献1のガードの構成を、レジスト剥離工程にも適用する手法が考えられる。しかし、現像工程において現像液から揮発する気体に比べて、レジスト剥離工程では極めて多量のヒュームが発生する。このため、特許文献1の装置構成を用いた場合には、多量のヒュームに対して装置の排出能力が不足し、ガードが囲む空間にヒュームが滞留してしまう。
【0008】
また、特許文献1の装置の排気機構は、工場の排気設備等に接続される。当該排気設備には、通常、当該基板処理装置を含む複数の装置が接続する。当該排気設備は、これに接続する各装置に、予め定められた排気用力を割り当てて各装置の排気を行う。このため、特許文献1の装置に割り当てられる排気用力を増大させることによって、ヒュームの排気効率を向上させる手法も採れない。
【0009】
本発明は、基板処理工程において発生するヒュームを効率良く排出できる技術を提供することを目的とし、特に、レジスト剥離工程におけるヒューム発生に例示されるような多量のヒュームを効率良く排出する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、第1の態様に係る基板処理装置は、基板を略水平姿勢で保持しつつ回転可能な保持部材と、前記保持部材を、回転軸を中心に回転させる回転機構と、前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給機構と、前記保持部材の周囲を取り囲み、上端が開放された筒形状の内側ガードと、前記保持部材の周囲を取り囲み、前記内側ガードとの間に前記基板の上方の気体を導く流路を形成するように前記内側ガードの外側に設けられ、上端が開放された筒形状の外側ガードと、前記内側ガードと前記外側ガードとの間に形成される前記流路に連通する排気口を含み、当該流路内の気体を外部に導く排気ダクトと、を備え、前記外側ガードの上端は、前記内側ガードの上端よりも上方に位置し、前記外側ガードの上端と前記内側ガードの上端とがなす開口は、前記回転軸に対向しており、前記流路の通気抵抗が、前記回転軸に対して前記排気口とは反対側よりも前記排気口側の方が小さく、前記基板の上方の部分のうち前記内側ガードの上端よりも上方で、かつ、前記外側ガードの上端よりも下方の部分の気体が前記基板の上方から前記排気口側に向けて主に流れるように、前記内側ガードと前記外側ガードとが設けられている。
【0011】
第2の態様に係る基板処理装置は、第1の態様に係る基板処理装置であって、前記内側ガードと前記外側ガードとは、前記保持部材の周囲を取り囲んで前記回転軸に沿って延在する筒形状の側壁をそれぞれ含み、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔は、前記回転軸に対して前記排気口とは反対側よりも排気口側の方が広い。
【0012】
第3の態様に係る基板処理装置は、第2の態様に係る基板処理装置であって、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔が、前記回転軸に対して前記排気口とは反対側よりも前記排気口側の方が広くなるように、前記内側ガードに対して前記外側ガードが相対的に偏心している。
【0013】
第4の態様に係る基板処理装置は、第3の態様に係る基板処理装置であって、前記内側ガードの側壁の中心軸が前記回転軸に一致し、前記外側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口側に偏心している。
【0014】
第5の態様に係る基板処理装置は、第3の態様に係る基板処理装置であって、前記外側ガードの側壁の中心軸が前記回転軸に一致し、前記内側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口とは反対側に偏心している。
【0015】
第6の態様に係る基板処理装置は、第3の態様に係る基板処理装置であって、前記外側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口側に偏心しており、前記内側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口とは反対側に偏心している。
【0016】
第7の態様に係る基板処理装置は、第1から第6の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記内側ガードと前記外側ガードとは、前記保持部材の周囲を取り囲んで前記回転軸に沿って延在する筒形状の側壁をそれぞれ含み、平面視において前記回転軸から前記排気口の中心に延びる仮想の半直線によって第1半直線を定義し、前記回転軸を中心に前記第1半直線を前記基板の回転方向の下流側へ鋭角回転して得られる仮想の半直線によって第2半直線を定義したとき、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔は、平面視において前記内側ガードの側壁と前記外側ガードの側壁とが前記第2半直線とそれぞれ交差する箇所において最も広い。
【0017】
第8の態様に係る基板処理装置は、第1から第7の何れか1つの態様に係る基板処理装置であって、前記処理液供給機構は、前記基板の上方から前記基板の表面のうち前記基板の中心に対して前記排気口側の着液位置に前記処理液を吐出するノズルを備え、前記着液位置は、前記着液位置に吐出された前記処理液が前記基板の表面に形成する液膜が前記基板の中心を覆う位置である。
【0018】
第9の態様に係る基板処理方法は、保持部材によって基板を略水平姿勢で保持しつつ回転させる基板処理装置による基板処理方法であって、前記基板処理装置は、前記保持部材の周囲を取り囲み、上端が開放された筒形状の内側ガードと、前記保持部材の周囲を取り囲み、前記内側ガードとの間に前記基板の上方の気体を導く流路を形成するように前記内側ガードの外側に設けられ、上端が開放された筒形状の外側ガードと、前記内側ガードと前記外側ガードとの間に形成される前記流路に連通する排気口を含み、当該流路内の気体を外部に導く排気ダクトと、を備え、前記外側ガードの上端は、前記内側ガードの上端よりも上方に位置し、前記外側ガードの上端と前記内側ガードの上端とがなす開口は、前記基板の回転軸に対向しており、前記流路の通気抵抗が、前記回転軸に対して前記排気口とは反対側よりも前記排気口側の方が小さく、前記基板の上方の部分のうち前記内側ガードの上端よりも上方で、かつ、前記外側ガードの上端よりも下方の部分の気体が前記基板の上方から前記排気口側に向けて主に流れるように、前記内側ガードと前記外側ガードとが設けられており、当該基板処理方法は、基板を略水平姿勢で保持しつつ回転軸を中心に回転させる回転ステップと、前記基板の表面に処理液を供給する処理液供給ステップと、を備える。
【0019】
第10の態様に係る基板処理方法は、第9の態様に係る基板処理方法であって、前記内側ガードと前記外側ガードとは、前記保持部材の周囲を取り囲んで前記回転軸に沿って延在する筒形状の側壁をそれぞれ含み、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔は、前記回転軸に対して前記排気口とは反対側よりも排気口側の方が広い。
【0020】
第11の態様に係る基板処理方法は、第10の態様に係る基板処理方法であって、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔が、前記回転軸に対して前記排気口とは反対側よりも前記排気口側の方が広くなるように、前記内側ガードに対して前記外側ガードが相対的に偏心している。
【0021】
第12の態様に係る基板処理方法は、第11の態様に係る基板処理方法であって、前記内側ガードの側壁の中心軸が前記回転軸に一致し、前記外側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口側に偏心している。
【0022】
第13の態様に係る基板処理方法は、第11の態様に係る基板処理方法であって、前記外側ガードの側壁の中心軸が前記回転軸に一致し、前記内側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口とは反対側に偏心している。
【0023】
第14の態様に係る基板処理方法は、第11の態様に係る基板処理方法であって、前記外側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口側に偏心しており、前記内側ガードの側壁が前記回転軸に対して前記排気口とは反対側に偏心している。
【0024】
第15の態様に係る基板処理方法は、第9から第14の何れか1つの態様に係る基板処理方法であって、前記内側ガードと前記外側ガードとは、前記保持部材の周囲を取り囲んで前記回転軸に沿って延在する筒形状の側壁をそれぞれ含み、平面視において前記回転軸から前記排気口の中心に延びる仮想の半直線によって第1半直線を定義し、前記回転軸を中心に前記第1半直線を前記基板の回転方向の下流側へ鋭角回転して得られる仮想の半直線によって第2半直線を定義したとき、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔は、平面視において前記内側ガードの側壁と前記外側ガードの側壁とが前記第2半直線とそれぞれ交差する箇所において最も広い。
【0025】
第16の態様に係る基板処理方法は、第9から第15の何れか1つの態様に係る基板処理方法であって、前記処理液供給ステップは、前記基板の上方から前記基板の表面のうち前記基板の中心に対して前記排気口側の着液位置に前記処理液を吐出するステップであり、前記着液位置は、前記着液位置に吐出された前記処理液が前記基板の表面に形成する液膜が前記基板の中心を覆う位置である。
【発明の効果】
【0026】
第1の態様に係る発明によれば、基板の上方の部分のうち内側ガードの上端よりも上方で、かつ、外側ガードの上端よりも下方の部分の気体が基板の上方から排気口側に向けて主に流れるように、内側ガードと外側ガードとの間に形成される流路の通気抵抗が、回転軸に対して排気口とは反対側よりも排気口側の方が小さい。従って、基板に供給された処理液から発生するヒュームは、排気口側に向かう基板の上方の気流によって、流路のうち排気口側の部分から効率良く流路に導入されて、排気ダクトを経て効率良く外部に排出される。
【0027】
第2の態様に係る発明によれば、内側ガードの側壁と、外側ガードの側壁との間隔は、回転軸に対して排気口とは反対側よりも排気口側の方が広いので、流路の通気抵抗は、回転軸に対して排気口とは反対側よりも排気口側の方が小さくなる。
【0028】
第3の態様に係る発明によれば、内側ガードの側壁と、外側ガードの側壁との間隔が、回転軸に対して排気口とは反対側よりも排気口側の方が広くなるように、内側ガードに対して外側ガードが相対的に偏心している。従って、内側ガードの側壁と、外側ガードの側壁との間隔が、回転軸に対して排気口とは反対側よりも排気口側の方が広くなる構成を容易に実現できる。
【0029】
第7の態様に係る発明によれば、前記内側ガードと前記外側ガードとは、前記保持部材の周囲を取り囲んで前記回転軸に沿って延在する筒形状の側壁をそれぞれ含み、平面視において前記回転軸から前記排気口の中心に延びる仮想の半直線によって第1半直線を定義し、前記回転軸を中心に前記第1半直線を前記基板の回転方向の下流側へ鋭角回転して得られる仮想の半直線によって第2半直線を定義したとき、前記内側ガードの側壁と、前記外側ガードの側壁との間隔は、平面視において前記内側ガードの側壁と前記外側ガードの側壁とが前記第2半直線とそれぞれ交差する箇所において最も広い。当該箇所は、ヒュームの粘性と、基板の回転との影響によってヒュームが集まり易く、当該箇所からヒュームを効率良く流路に導入できるので、基板の回転による遠心力の影響によってヒュームの排気効率が低下することを抑制できる。
【0030】
第8の態様に係る発明によれば、処理液供給機構のノズルは、基板の表面のうち基板の中心に対して排気口側の着液位置に処理液を吐出する。着液位置は、着液位置に吐出された処理液が基板の表面に形成する液膜が基板の中心を覆う位置である。ヒュームは、処理液の着液位置の近傍において多く発生するので基板の中心よりも排気口側で多く発生する。このため、発生したヒュームを流路の排気口側の部分から効率良く排出できる。
【0031】
第9の態様に係る発明によれば、基板の上方の部分のうち内側ガードの上端よりも上方で、かつ、外側ガードの上端よりも下方の部分の気体が基板の上方から排気口側に向けて主に流れるように、内側ガードと外側ガードとの間に形成される流路の通気抵抗が、回転軸に対して排気口とは反対側よりも排気口側の方が小さい。従って、基板に供給された処理液から発生するヒュームは、排気口側に向かう基板の上方の気流によって、流路のうち排気口側の部分から効率良く流路に導入されて、排気ダクトを経て効率良く外部に排出される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。上下方向は鉛直方向であり、スピンチャックに対して基板側が上である。
【0034】
<実施形態について>
<1.基板処理装置1の全体構成>
基板処理装置1の構成について、
図1〜
図2を参照しながら説明する。
図1〜
図2は、実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための図である。
図1、
図2は、基板処理装置1の側面模式図、上面模式図である。
【0035】
図1、
図2では、ノズル51が基板9の中心c1の上方に配置された状態で、基板9がスピンベース21によって回転軸a1周りに所定の回転方向(矢印AR1の方向)に回転している状態が示されている。より詳細には、
図1、
図2では、ノズル51が基板9の周縁部の上方と、中心c1の上方との間で、経路T1に沿って走査されている状態が示されている。また、
図2には、退避位置に配置されたノズル51等が仮想線で示されている。
図2では、基板処理装置1の構成要素のうち処理部5の処理液供給部83等の一部の構成要素の記載は省略されている。また、
図2では、中部材311の側壁311Aのうち外周壁部3112が示されるとともに、外部材312の側壁312Aのうち内周壁部3121が示されており、上壁311B、上壁312Bの記載は省略されている。ノズル51が処理液として高温のSPMを基板に供給して基板9の上面に形成されているレジストのパターンを剥離するレジスト剥離処理を行う場合には、高温のSPMと基板上のレジストとが反応してヒュームF1が発生する。
【0036】
基板9の表面形状は略円形である。基板9の基板処理装置1への搬入搬出は、ノズル51、スプラッシュガード31等が待避位置に配置された状態で、ロボット等により行われる。基板処理装置1に搬入された基板9は、スピンベース21により着脱自在に保持される。
【0037】
基板処理装置1は、箱形のチャンバー11、スピンチャック2、飛散防止部3、処理部5、ノズル移動機構6、排気ダクト7、対向部109および制御部130を備える。これら各部2〜3、5〜6、109は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130からの指示に応じて動作する。制御部130としては、例えば、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御部130は、例えば、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスク、等を備えている。制御部130においては、プログラムに記述された手順に従って主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、基板処理装置1の各部を制御する。
【0038】
<2.基板9>
基板処理装置1にて処理対象とされる基板9の表面形状は略円形である。基板9の半径は、例えば、150mmである。基板9は、予め、デバイス面である上面にレジストを塗布された後、露光、現像、エッチング等の処理を経て、不純物注入と活性化処理をされている。基板9の上面には、エッチングされた導電体の微細パターンの上に、レジストのパターンが残存しており、基板9は、次にレジスト剥離処理(レジスト除去処理)を施される段階であるものとする。基板処理装置1は、ノズル51から基板9に処理液としてSPMを供給して基板9のレジストを剥離するレジスト剥離処理を行う。
【0039】
<3.基板処理装置1の各部の構成>
<チャンバー11>
チャンバー11は、スピンチャック2やノズル等を収容する。チャンバー11の上部には、チャンバー11内に清浄空気(フィルタによってろ過された空気)を送る送風ユニットとしてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)12が設けられている。FFU12は、基板9の処理中にチャンバー11内に清浄空気の下向きの気流(「下降流」)を発生させる。
【0040】
チャンバー11の下部には、基板処理装置1の外部の排気設備99に連通する排気ダクト7が接続している。排気ダクト7は、後述するスプラッシュガード31の中部材311と外部材312との間に形成される流路CA内の気体を排気設備99に導く。
【0041】
<スピンチャック2>
スピンチャック(「回転保持機構」)2は、基板9を、その一方の主面を上方に向けた状態で、略水平姿勢に保持しつつ回転可能な機構である。スピンチャック2は、基板9を、主面の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に回転させる。基板処理装置1が処理液としてSPMを用いるときには、基板処理装置1は、例えば、100rpmの回転速度で基板9を回転させる。
【0042】
スピンチャック2は、基板9より若干大きい円板状の部材であるスピンベース(「保持部材」、「基板保持部」)21を備える。スピンベース21は、その上面が略水平となり、その中心軸が回転軸a1に一致するように設けられている。スピンベース21の下面には、円筒状の回転軸部22が連結されている。回転軸部22は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置される。回転軸部22の軸線は、回転軸a1と一致する。また、回転軸部22には、回転駆動部(例えば、サーボモータ)23が接続される。回転駆動部23は、回転軸部22をその軸線まわりに回転駆動する。従って、スピンベース21は、回転軸部22とともに回転軸a1を中心に回転可能である。回転駆動部23と回転軸部22とは、スピンベース21を、回転軸a1を中心に回転させる回転機構231である。回転軸部22および回転駆動部23は、筒状のケーシング24内に収容されている。
【0043】
スピンベース21の上面の周縁部付近には、適当な間隔をおいて複数個(例えば6個)のチャックピン25が設けられている。チャックピン25は、基板9の端面と当接して基板9の水平方向の位置決めを行うとともに、スピンベース21の上面より僅かに高い位置で(すなわち、スピンベース21の上面から定められた間隔を隔てて)、基板9を略水平姿勢で着脱可能に保持する。すなわち、チャックピン25は、スピンベース21の上面から隙間を隔てた基板9の周縁部を保持する。これにより、スピンベース21は、チャックピン25を介して基板9を下方から略水平に保持する。スピンベース21の上面は、基板9の下面と隙間を隔てて、例えば、略平行に対向する。
【0044】
この構成において、スピンベース21が基板9を吸着保持した状態で、回転駆動部23が回転軸部22を回転すると、スピンベース21が鉛直方向に沿った軸線周りで回転される。これによって、スピンベース21上に保持された基板9が、その面内の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に矢印AR1方向に回転される。
【0045】
なお、スピンチャック2としては、挟持式のものに限らず、例えば、基板9の裏面を真空吸着することにより、基板9を水平姿勢で保持する真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
【0046】
<飛散防止部3>
飛散防止部3は、スピンベース21に保持されて回転される基板9から飛散する処理液等を受け止める。
【0047】
飛散防止部3は、スプラッシュガード31を備える。スプラッシュガード31は、上端が開放された筒形状の部材であり、スピンベース21を取り囲むように設けられる。この実施の形態では、スプラッシュガード31は、例えば、内部材310、中部材(「内側ガード」とも称する)311、および、外部材(「外側ガード」とも称する)312の3個の部材を含んで構成されている。なお、スプラッシュガード31の外側に、スピンチャック2を取り囲むようにガードがさらに設けられてもよい。
【0048】
内部材310は、上端が開放された筒形状の部材であり、円環状の底部3101と、底部3101の内側縁部から上方に延びる円筒状の内壁部3102と、底部3101の外側縁部から上方に延びる円筒状の案内壁3103と、を備える。内壁部3102の少なくとも先端付近は、スピンベース21のケーシング24に設けられた鍔状部材241の内側空間に収容される。
【0049】
底部3101の下端部分には、内壁部3102と案内壁3103との間の空間と連通する排液溝(図示省略)が形成される。この排液溝は、工場の排液ラインと接続される。内壁部3102と案内壁3103との間の空間は、基板9の処理に使用された処理液を集めて排液するための空間であり、この空間に集められた処理液は、排液溝から排液される。
【0050】
中部材311は、上端が開放された筒形状の部材であり、内部材310の外側に設けられている。中部材311は、回転軸a1を中心とする周方向に沿ってスピンベース21の周囲を取り囲んでいる。すなわち、中部材311は、スピンベース21に保持された基板9の端縁に沿って基板9を取り囲んでいる。中部材311は、その上部(「上端側部分」、「上端部分」)を成して、回転軸a1を取り囲んでいる環状の上壁311Bと、上壁311Bの外周縁部からスピンベース21の側面(端縁)に沿ってスピンベース21の周囲を取り囲んで下方に延設された筒形状の側壁311Aとを含んでいる。上壁311Bは内側上方に向かって延びている。すなわち、上壁311Bは、回転軸a1に向かって斜め上方に延びている。
【0051】
中部材311の下部である側壁311Aは、スピンベース21に対向して下方に延びる円筒状の内周壁部3111と、内周壁部3111の外側に設けられ、内周壁部3111に沿って下方に延びる円筒状の外周壁部3112とを含んでいる。内部材310の案内壁3103は、中部材311の内周壁部3111と外周壁部3112との間に収容される。また、外周壁部3112の下端は、円環状の底部3113の内側縁部に着設される。底部3113の外側縁部からは、上方に延びる円筒状の案内壁3114が立設されている。中部材311として、例えば、側壁311Aと上壁311Bとのうち側壁311Aのみを備える部材が採用されてもよい。
【0052】
外部材312は、上端が開放された筒形状の部材であり、中部材311との間に流路CAを形成するように中部材311の外側に設けられている。流路CAは、外部材312の内側に存在する気体を導入して排気ダクト71へと導く。換言すれば、流路CAは、基板9の上方の気体を導く。外部材312は、回転軸a1を中心とする周方向に沿って中部材311の周囲、すなわちスピンベース21の周囲をスピンベース21の側面(端縁)に沿って取り囲んでいる。すなわち、外部材312は、スピンベース21に保持された基板9の端縁に沿って基板9を取り囲んでいる。外部材312は、その上部(「上端側部分」、「上端部分」)を成して、回転軸a1を取り囲んでいる環状の上壁312Bと、上壁312Bの外周縁部からスピンベース21の周囲を取り囲んで下方に延設された筒形状の側壁312Aとを含んでいる。上壁312Bは、内側上方に向かって延びている。すなわち、上壁312Bは、回転軸a1に向かって斜め上方に延びている。
【0053】
側壁312Aは、その下部に、円筒状の内周壁部3121と円筒状の外周壁部3122とを含んでいる。内周壁部3121は、中部材311の外周壁部3112と案内壁3114とに対向して外周壁部3112に沿って下方に延びている。外周壁部3122は、内周壁部3121の外側に設けられ、内周壁部3121に沿って下方に延びている。中部材311の案内壁3114は、外部材312の内周壁部3121と外周壁部3122との間に収容される。
【0054】
スプラッシュガード31には、これを昇降移動させるスプラッシュガード駆動機構32が配設されている。スプラッシュガード駆動機構32は、例えば、ステッピングモータを備えて構成される。この実施の形態では、スプラッシュガード駆動機構32は、スプラッシュガード31が備える3個の部材310,311,312を、独立して昇降させる。
【0055】
基板9の交換が行われるときには、3個の部材310,311,312は、その上端がスピンベース21の上面よりも下方に位置する退避位置に位置決めされる。
【0056】
スピンベース21に保持された基板9に対して、基板処理装置1が、例えば、不図示のSC1供給機構からSC1を供給して基板9の処理を行う場合には、SC1はヒュームF1を発生させないため、スプラッシュガード31は、第1処理位置に位置決めされる。スプラッシュガード31が第1処理位置に配置された状態においては、中部材311と外部材312とはそれぞれの上壁311B、312Bが重なった状態で、上壁311B、312Bのそれぞれの内周縁が基板9の側方よりも少し上方に配置される。
【0057】
基板9に対してSPMを用いた処理が行われる場合には、ヒュームF1が発生するため、スプラッシュガード31は、第2処理位置に位置決めされる。スプラッシュガード31が第2処理位置に位置決めされた状態において、中部材311は第1処理位置と同じ位置に配置され、外部材312は、中部材311よりも上方に配置される。具体的には、外部材312は、中部材311よりも、例えば、25mm程度上方に配置される。発生したヒュームF1は、中部材311の上壁311Bの内周縁と、外部材312の上壁312Bの内周縁との間から流路CAに導入される。
【0058】
スプラッシュガード31が、退避位置、第1処理位置、および第2処理位置の何れの位置に位置決めされた状態においても、中部材311の案内壁3114は、外部材312の内周壁部3121と、外周壁部3122との間に収容される。また、内部材310は、その案内壁3103が、中部材311の内周壁部3111と外周壁部3112との間に収容されるように、中部材311に対して配置される。
【0059】
スプラッシュガード駆動機構32は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、スプラッシュガード31の位置(具体的には、内部材310、中部材311、および、外部材312各々の位置)は、制御部130によって制御される。なお、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側において、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとが重なっていてもよい。
【0060】
中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広くなるように設定されている。
【0061】
中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔が、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広くなるように、中部材311に対して外部材312が相対的に偏心している。
図1、
図2に示される例では、スピンベース21と、内部材310と、中部材311とのそれぞれの中心軸は一致している。外部材312の中心軸は、中部材311の中心軸に対して排気口71a側に偏心している。当該偏心によって、外部材312の内周壁部3121と外周壁部3122に収容されている中部材311の案内壁3114は、内周壁部3121と外周壁部3122とに対して移動する。このため、内周壁部3121と外周壁部3122との間隔は、案内壁3114の当該相対移動が可能な間隔に設定されている。
【0062】
図5〜
図7は、基板9(スピンベース21)の中心c1(回転軸a1)と、中部材311と外部材312との配置関係の一例をそれぞれ示す上面模式図である。
図5〜
図7では、基板9と、基板処理装置1のうち中部材311の側壁311A、外部材312の側壁312A、および排気口71aが表示され、他の要素の記載は省略されている。また、側壁311A、312Aは、基板9の平面視において円形に形成されている。
図5〜
図7の何れにおいても中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広くなるように設定されている。
図5〜
図7では、平面視において、回転軸a1と、排気口71aの中心とを結ぶ直線上に中部材311の中心b1と、外部材312の中心b2とが位置している。
図5〜
図7においても、側壁311Aと側壁312Aとの間隔は、当該直線上において、排気口71a側で互いに等しい最大値D1となり、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側で互いに等しい最小値D2となっている。
【0063】
図5の例では、
図1、
図2と同様に、基板9(スピンベース21)の中心c1(回転軸a1)と、中部材311の中心b1とが一致している。外部材312の中心b2は、中部材311の中心b1(スピンベース21の回転軸a1)に対して排気口71a側にずれている。すなわち、中部材311は、スピンベース21の回転軸a1に対して偏心しておらず、外部材312は、スピンベース21の回転軸a1に対して排気口71a側に偏心した状態で配置されている。
【0064】
また、スピンベース21と内部材310と外部材312との中心軸が一致しており、中部材311の中心軸が、外部材312の中心軸に対して基板9の径方向に沿って排気ダクト71とは反対側に偏心されてもよい。
【0065】
図6の例では、回転軸a1(中心c1)と、外部材312の中心b2とが一致している。中部材311の中心b1は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側にずれている。すなわち、外部材312は、回転軸a1に対して偏心しておらず、中部材311は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側に偏心した状態で配置されている。
【0066】
図7の例では、回転軸a1(中心c1)と、中部材311の中心b1と、外部材312の中心b2とは、互いに異なっている。中心b1は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側にずれている。中心b2は、回転軸a1に対して排気口71a側にずれている。すなわち、中部材311は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側に偏心した状態で配置されている。外部材312は、回転軸a1に対して排気口71a側に偏心した状態で配置されている。
【0067】
図5における回転軸a1に対する外部材312の中心b2の偏心量と、
図6における回転軸a1に対する中部材311の中心b1の偏心量とは互いに等しい。
図7において回転軸a1に対する中心b1、b2の偏心量は、互いに等しく、
図5(
図6)における回転軸a1に対する外部材312(中部材311)の中心b2(中心b1)の偏心量の半分となっている。すなわち、
図7に示されるように、回転軸a1に対して、中部材311と外部材312との双方を偏心させれば、何れか一方のみを偏心させる場合に対して、偏心量を少なくしても、側壁311Aと側壁312Aとの間隔を、何れか一方のみを偏心させる場合と同じ間隔にすることができる。
【0068】
なお、中部材311、外部材312が略同心の筒状体であって、例えば、外部材312の側壁312Aのうち、排気口71aの近傍部分が基板9の径方向外側に膨らんでいてもよい。この構成によっても、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔が、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広くなるようにすることができる。また、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの形状は、平面視において円形に限られず、例えば、楕円形や、多角形などでもよい。
【0069】
中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔は、好ましくは、排気口71aの近傍部分のうち排気口71aに対してスピンベース21の回転方向の下流側の部分において最も広くなるように設定される。
図2において、第1半直線41は、基板9の平面視において回転軸a1から排気口71aの中心に延びる仮想の半直線である。第2半直線42は、回転軸a1を中心に第1半直線41を基板9の回転方向の下流側へ角度θ回転して得られる仮想の半直線である。角度θは、鋭角である。角度θは、例えば、10度〜20度に設定される。
【0070】
ここで、流路CBは、流路CAのうち側壁311A(外周壁部3112)と側壁312A(内周壁部3121)との間の部分である。側壁311A(外周壁部3112)と側壁312A(内周壁部3121)との間隔、すなわち流路CBの幅は、平面視において側壁311A(外周壁部3112)と側壁312A(内周壁部3121)とが第2半直線42とそれぞれ交差する箇所(流路CBのうち部分C1)において最も広い。部分C1は、流路CBのうち基板9の径方向の幅が最も広い部分である。
【0071】
上述の角度θは、基板9の回転軸a1から部分C1に向かう方向と、回転軸a1から排気ダクト71に向かう方向とがなす角度である。角度θは、例えば、基板9の回転速度に応じて、この範囲よりも小さい角度とされてもよいし、この範囲よりも大きい角度に設定されてもよい。部分C1は、回転軸a1に対して排気ダクト71側に位置している。部分C1の幅D1は、流路CBのうち回転軸a1に対して部分C1とは反対側の部分C2の幅D2よりも大きく、さらに流路CBの各部分の幅の中で最も広い。
【0072】
中部材311と外部材312との間に形成される流路CA内の気体は、後述する排気ダクト71を経て、基板処理装置1の外部の排気設備99に排出される。また、ケーシング24と、中部材311との間の部分に存在する気体は、後述する排気ダクト72、71を順に経て、排気設備99に排出される。
【0073】
中部材311と外部材312とはスプラッシュガード駆動機構32によって昇降される。中部材311と、中部材311とが水平方向(例えば、基板9の径方向)にも移動可能に構成されていることが好ましい。例えば、飛散防止部3が中部材311と外部材312とを基板9の径方向に移動させるボールネジ機構を備え、基板処理装置1の運転開始に先立って、操作者が当該ボールネジ機構を用いて中部材311と外部材312との間隔を設定してもよい。飛散防止部3が、中部材311に対して外部材312を相対的に基板9の径方向に沿って移動させる移動機構を備え、当該移動機構が、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔を変動させてもよい。
【0074】
<処理部5>
処理部(「処理液供給機構」)5は、スピンベース21上に保持された基板9に対する処理を行う。具体的には、
図1の処理部5は、スピンベース21上に保持された基板9の上面に処理液としてSPMと過酸化水素水とを選択的に供給する。処理部5は、ノズル保持部材50、ノズル51、および処理液供給部83を備えている。
【0075】
ノズル保持部材50は、ノズル51を保持する部材である。ノズル保持部材50は、後述するノズル移動機構6が備える長尺のアーム63の先端に取り付けられている。アーム63は、水平面に沿って延在する。
【0076】
ノズル保持部材50は、例えば、鉛直面に沿って延在する板状部材によって形成されている。当該ノズル保持部材50の上端は、アーム63の先端に取り付けられている。ノズル51は、当該ノズル保持部材50の下端部分に、アーム63の延在方向に沿って、アーム63とは反対側に突出するように取り付けられている。
【0077】
図1の例では、処理部5は、処理液として処理液供給部83から供給される硫酸と過酸化水素水との混合液であるSPMと、過酸化水素水とを、制御部130の制御に従って、選択的に吐出することができる。
図8は、ノズル51の構造と、ノズル51による処理液の吐出を説明するための断面模式図である。
図9は、ノズルによる処理液の吐出を説明するための平面模式図である。
【0078】
ノズル51は、たとえば略円筒状のケーシングを有している。ノズル51の上部を形成するケーシングの内部には、混合室511が形成されている。ノズル51は、混合室511の下部に、基板9の上面に向かって延在する先端側部分52を備えている。先端側部分52は、基板9に対向する下端部を閉鎖する底部52bと、底部52bの周縁から上方に延在する筒形状の側壁部52cと、側壁部52cのうち排気口71a側の部分に設けられた吐出口52cと、を備える。ノズル51は、混合室511で硫酸と過酸化水素水とが混合された混合液であるSPMを吐出口52cから基板9の上面に吐出する。
【0079】
処理液供給部83は、ノズル51に接続され、硫酸供給源841から硫酸が供給される配管842と、過酸化水素水供給源831から過酸化水素水が供給される配管832とを含む。
【0080】
配管842の途中部には、配管842を開閉するための開閉弁843、流量調整弁844およびヒーター845が、ノズル51側からこの順に設けられている。ヒーター845は、硫酸を室温よりも高い温度(70〜120℃の範囲内の一定温度。たとえば100℃)に維持する。硫酸を加熱するヒーター845は、
図1に示すようなワンパス方式のヒーターであってもよいし、ヒーターを含む循環経路の内部に硫酸を循環させることにより硫酸を加熱する循環方式のヒーターであってもよい。図示はしないが、流量調整弁844は、例えば、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他の流量調整弁についても同様である。
【0081】
配管832の途中部には、配管832を開閉するための開閉弁833と、流量調整弁834とが、ノズル51側からこの順に設けられている。ノズル51には、温度調整されていない常温(約23℃)程度の過酸化水素水が、配管832を通して供給される。開閉弁833は、制御部130による制御により開閉される。
【0082】
配管842は、ノズル51の混合室511を囲む側壁に配置された硫酸用の導入口514に接続されている。配管832は、ノズル51のケーシングの側壁において導入口514よりも上方に配置された過酸化水素水用の導入口513に接続されている。
【0083】
開閉弁843および開閉弁833が開かれると、配管842からの硫酸が、ノズル51において導入口514から混合室511へと供給されるとともに、配管832からの過酸化水素水が、ノズル51において導入口513から混合室511へと供給される。混合室511に流入した硫酸および過酸化水素水は、その内部において十分に混合(攪拌)される。この混合によって、硫酸と過酸化水素水とが均一に混ざり合い、硫酸と過酸化水素水との反応によって硫酸および過酸化水素水の混合液(SPM)が生成される。SPMは、酸化力が強いペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid;H
2SO
5)を含み、混合前の硫酸および過酸化水素水の温度よりも高い温度(100℃以上。たとえば、160℃)まで加熱される。ノズル51の混合室511において生成された高温のSPMは、ノズル51の先端側部分52に設けられた吐出口52cから吐出される。
【0084】
なお、処理部5としてノズル51の外部で硫酸と過酸化水素水とを予め混合してSPMを生成して必要な加熱等を行い、高温のSPMをノズル51に供給する構成が採用されてもよい。
【0085】
図8、
図9に示されるように、ノズル51は、基板9の表面のうち当該ノズル51の下方部分に対して排気口71a側の着液位置P1に当たるように処理液(SPM)を吐出する。ノズル51は、基板9の表面のうち先端側部分52の下方部分(経路T1)に対して排気口71a側の部分に当たるように処理液を吐出する。ノズル51の先端側部分52が、例えば、下方に延びた後に、略水平方向に曲ったL字形状のパイプによって構成されてもよい。
【0086】
着液位置P1に吐出された処理液の液流L1は、基板9の上面に平面視において着液位置P1から周囲へ拡がる液膜201を形成する。すなわち、着液位置P1は、着液位置P1に吐出された処理液が基板9の表面(上面)に形成する液膜201が基板の中心を覆う位置でもある。処理液は、液膜201からさらに、その周囲(基板9の径方向外側、かつ、回転方向の下流側の部分)へ流れる。液膜201の膜厚は、その周囲の処理液の膜厚よりも厚くなる。後述するノズル移動機構6が、ノズル51を経路T1に沿って移動すると、着液位置P1は、経路T1に平行な経路T2に沿って移動する。
【0087】
基板9に吐出された高温のSPMは、着液位置P1の近傍において高温であり反応性が高い。ヒュームは、処理液の着液位置P1の近傍において多く発生するので基板9の中心c1よりも排気口71a側で多く発生する。このため、発生したヒュームを流路CAの排気口71a側の部分C1から効率良く排出できる。
【0088】
図10は、基板処理装置1のノズルの他の例としてのノズル51Aと、ノズル51Aによる処理液の吐出を説明するための断面模式図である。
図10に示されるように、先端側部分52が、基板9の上面に向かって延在する筒状体であって、その先端に、当該筒状体の延在方向に沿って基板9の上面の着液位置P1に処理液を吐出する吐出口を備えていてもよい。
【0089】
上述のようにSPMは、硫酸と過酸化水素水との反応熱によって、高温となるが、硫酸と混合される過酸化水素水の割合が増加すると、硫酸と過酸化水素水との混合時に生じる反応熱が増加し、SPMの液温がさらに上昇して反応性が高くなり、SPMとレジストとが反応して発生するヒュームF1の量も増加する。処理部5は、SPMの吐出が終了する際には、多量の過酸化水素水をノズル51から基板9に供給する。この場合には、極めて多量のヒュームF1が発生する。このため、ヒュームF1が流路CAから排気ダクト71を経て排気設備99に十分に排出されない場合には、多量のヒュームF1が基板9の上方に滞留し、パーティクルの発生が増加する。
【0090】
処理液供給部83が備える開閉弁833、843、流量調整弁834、844は、制御部130と電気的に接続されている図示省略のバルブ開閉機構によって、制御部130の制御下で開閉される。つまり、ノズル51からの処理液の吐出態様(具体的には、吐出される処理液の吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部130によって制御される。すなわち、処理部5のノズル51は、制御部130の制御によって、回転軸a1を中心に回転している基板9の上面の着液位置P1に当たるように処理液の液流L1を吐出する。
【0091】
<ノズル移動機構6>
ノズル移動機構6は、ノズル51を、その処理位置と退避位置との間で移動させる機構である。ノズル移動機構6は、水平に延在するアーム63、ノズル基台66、昇降駆動部68、回転駆動部69を備える。ノズル保持部材50は、アーム63の先端部分に取り付けられている。
【0092】
アーム63の基端部は、ノズル基台66の上端部分に連結されている。ノズル基台66は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢でケーシング24の外側に配置されている。ノズル基台66は、その軸線に沿って鉛直方向に延在し、軸線周りに回転可能な回転軸を備えている。ノズル基台66の軸線と回転軸の軸線とは一致する。回転軸の上端には、ノズル基台66の上端部分が取り付けられている。回転軸が回転することにより、ノズル基台66の上端部分は回転軸の軸線、すなわちノズル基台66の軸線を中心に回転する。ノズル基台66には、その回転軸を当該軸線を中心に回転させる回転駆動部69が設けられている。回転駆動部69は、例えば、サーボモータなどを備えて構成される。
【0093】
また、ノズル基台66には、昇降駆動部68が設けられている。昇降駆動部68は、例えば、サーボモータなどを備えて構成される。昇降駆動部68は、その出力軸に連結されたボールねじを有するボールねじ機構などを介して、ノズル基台66の回転軸をその軸線に沿って昇降させる。
【0094】
回転駆動部69は、ノズル基台66の回転軸を介してノズル基台66の上端部分を回転させる。当該上端部分の回転に伴って、ノズル保持部材50もノズル基台66の軸線周りに回転する。これにより、回転駆動部69は、ノズル51が基板9に対して処理液を吐出する際には、制御部130による制御に応じて、基板9の周縁部の上方と、中心c1の上方との間で、ノズル51を経路T1に沿って水平移動させる。経路T1は、基板9の上方から見たときに、例えば、基板9の中心c1を通るように設定される。また、回転駆動部69は、ノズル51が基板9に対して処理液を吐出する際に、基板9上でノズル51を停止させることも出来る。ノズル51が経路T1に沿って移動すると、ノズル51が吐出する処理液の着液位置P1は、経路T1に平行な経路T2に沿って移動する。
【0095】
昇降駆動部68は、ノズル基台66の回転軸をその軸線に沿って昇降させることによって、ノズル保持部材50、すなわちノズル51を昇降させる。昇降駆動部68と回転駆動部69とは、協働して、スピンベース21に保持された基板9の近傍の処理位置と、例えば、処理位置から基板9の径方向に沿って外側、かつ、上方の待避位置との間で、ノズル51を移動させる。
【0096】
ノズル保持部材50およびノズル51のそれぞれの待避位置は、これらが基板9の搬送経路と干渉せず、かつ、これらが相互に干渉しない各位置である。各退避位置は、例えば、スプラッシュガード31の外側、かつ、上方の位置である。
【0097】
駆動部68、69は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、ノズル51の位置は、制御部130によって制御される。
【0098】
<排気ダクト7>
排気ダクト7は、排気ダクト71と、排気ダクト72とを備えて構成されている。排気ダクト71は、中部材311と外部材312との間に形成される流路CAに連通する排気口71aを含み、当該流路CA内の気体を排気口71aから排気ダクト71に導入し、基板処理装置1の外部の排気設備99に導く。
【0099】
排気ダクト72は、一端が、排気ダクト71の経路途中に連通している。排気ダクト72の他端には、中部材311の内周壁部3111と、内部材310の案内壁3103との間に形成される流路に連通する排気口72aが形成されている。排気ダクト72は、主に、ケーシング24と、中部材311の内周壁部3111との間の気体を、排気口72aを経て排気ダクト72に導入し、排気ダクト71を経て排気設備99に排出する。排気設備99は、排気ダクト7の内部を減圧して、流路CA内の気体を吸引する。
【0100】
基板9の上方の部分のうち中部材311の上壁311Bの内周縁よりも上方で、かつ、外部材312の上壁312Bの内周縁よりも下方の部分の気体が基板9の上方から排気口71a側に向けて主に流れるように、流路CAの通気抵抗は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さい。外部材312の上端は、中部材311の上端よりも上方に位置し、外部材312の上端と中部材311の上端とがなす開口は、回転軸a1に対向しており、回転軸a1を中心とする周方向に沿って回転軸a1を取り囲んでいる。中部材311と外部材312とは、基板9の上方の部分のうち中部材311の上端よりも上方で、かつ、外部材312の上端よりも下方の部分の気体が基板9の上方から排気口71a側に向けて主に流れるように、流路CAの通気抵抗が、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さい幾何学的関係で設けられている。これにより、基板9の上方の部分のうち中部材311の上壁311Bの内周縁よりも上方で、かつ、外部材312の上壁312Bの内周縁よりも下方の部分には、主に、基板9の上方から排気口71a側に向けて主に流れる気流A1が生ずる。なお、
図12、
図13は、内側ガードと外側ガードの構成の一例をそれぞれ示す側面模式図である。流路CAの通気抵抗が、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さくなるように、流路CA内の気流を乱す突起315等の擾乱構造が中部材311、外部材312に設けられてもよい(
図12参照)。突起315は、中部材311、外部材312の何れか一方のみに設けられてもよい。また、流路CAの開口のうち回転軸a1に対して排気口71aとは反対側の部分の面積を、当該開口のうち排気口71a側の部分の面積よりも小さくするシャッター316が、中部材311の上端(内周縁)と、外部材312の上端(内周縁)とのうち少なくとも一方に設けられてもよい(
図13参照)。このようにシャッター316を設けることによって、流路CAの通気抵抗は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さくなる。
【0101】
ノズル51がSPMを基板9の上面に吐出して、SPMとレジストとの反応でヒュームF1が発生する場合においても、発生したヒュームF1は、気流A1によって、効率的に流路CAのうち排気口72a側の部分に運ばれて、流路CA内に導入され、排気ダクト71を通って排気設備99へ排出される。排気設備99は、例えば、工場の設備であり、ポンプなどを備えて排気用力を発生させる。排気設備99には、通常、基板処理装置1以外の他の装置の排気ダクトも接続されており、排気設備99の排気用力は、基板処理装置1以外の他の装置の排気にも均等に割り当てられる。このため、ヒュームF1の排気を行う基板処理装置1のみのために大きな用力を割り当てることが出来ないので、排気設備99から供給される排気用力を増大させることによってヒュームF1の排気効率を高めることはできない。基板処理装置1において、流路CAの通気抵抗は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さい。このため、排気ダクト71の吸引力によって、基板9の上方の部分のうち中部材311の上端よりも上方で、かつ、外部材312の上端よりも下方の部分の気体が基板9の上方から排気口71a側に向けて主に流れる気流が発生する。基板処理装置1に割り当てられる用力を増やすことが出来ない場合においても、基板処理装置1においては、SPMから発生したヒュームF1を流路CAと排気ダクト71とを介して効率良く排気設備99に回収できる。
【0102】
<対向部109>
対向部109はスピンベース21上に保持された基板9の上面と隙間を空けて対向することによって、基板9の上面を保護する。対向部109は、当該隙間の幅を変更することが出来る。
【0103】
対向部109は、円筒状の軸部材94を備える。軸部材94の中心軸は、回転軸a1と一致している。対向部109は、円筒状の回転部93と、円板状の遮断板90とをさらに備える。回転部93は軸部材94の下端部分を挿通した状態で、ベアリングを介して当該下端部分に取り付けられている。回転部93の中心軸は、回転軸a1と一致している。これにより、回転部93は、回転軸a1を中心として軸部材94の周囲を周方向に回転可能となっている。
【0104】
回転部93の下部には、円板状の遮断板(「対向部材」)90が回転部93と一体的に回転可能なように取り付けられている。遮断板90は、基板9と同等若しくは基板9よりも若干大きい円板状の形状を有しており、その中心を回転軸a1が通る。これにより、遮断板90は、回転軸a1を中心とする周方向に回転可能である。遮断板90は、基板9の上面全域に対向する下面(「主面」)91と、下面91の周縁から上方に立設された側面92とを含んでいる。下面91は円形である。遮断板90の中央部には、軸部材94と連通する貫通孔95が設けられている。下面91は、チャックピン25に保持された基板9の上面と隙間を隔てて対向する。隙間の幅は、対向部109の高さに応じて変動する。
【0105】
回転部93には、遮断板回転機構97が結合されている。遮断板回転機構97は、制御部130により動作を制御される電動モーター、ギア等を備えており、回転部93を、回転軸a1を中心に周方向に回転させる。これにより、遮断板90は、回転部93と一体的に回転する。より詳細には、遮断板回転機構97は、制御部130の制御に従って、基板9と同じ回転速度で、同じ方向に遮断板90と回転部93とを回転させる。
【0106】
軸部材94の上端部分には、軸部材94を保持する保持部材(不図示)を介して、制御部130により動作を制御される電動モーター、ボールねじ等を含む構成の遮断板昇降機構98が結合されている。遮断板昇降機構98は、遮断板90、回転部93と一緒に軸部材94を鉛直方向に昇降する。遮断板昇降機構98は、遮断板90の下面91がスピンベース21に保持されている基板9の上面に近接する近接位置と、近接位置の上方に設けられた退避位置の間で、遮断板90、回転部93、および軸部材94を昇降させる。遮断板昇降機構98は、近接位置と退避位置との間の各位置で遮断板90を保持可能である。遮断板90の退避位置は、具体的には、基板9の上面から遮断板90の下面91までの高さが、例えば、150mmとなる高さ位置である。また、近接位置は、当該高さが、例えば、3mmとなる高さ位置である。基板処理装置1が、例えば、軸部材94の中空部を挿通したノズルから基板9の上面にリンス液を供給するリンス液供給機構などをさらに備え、遮断板90を近接位置に配置した状態で基板9の上面にリンス液等を供給してもよい。
【0107】
<4.流路の通気抵抗とヒュームの排気効率>
図3は、比較技術に係る基板処理装置100において発生するヒュームF100の流れH100を説明するための側面模式図である。
図4は、実施形態に係る基板処理装置1において発生するヒュームF1の流れH1を説明するための側面模式図である。
【0108】
基板処理装置100は、基板処理装置1の飛散防止部3に代えて飛散防止部300を備えることを除いて基板処理装置1と同様に構成されている。飛散防止部3と飛散防止部300とは何れも中部材311、外部材312を備えているが、飛散防止部3と飛散防止部300では、中部材311に対する外部材312の基板9の径方向における相対的な配置関係が異なっている。
【0109】
基板処理装置1において、中部材311の側壁311A(外周壁部3112)と外部材312の側壁312A(内周壁部3121)との間に流路CBのうち回転軸a1に対して排気ダクト71(排気口71a)側の部分X1の幅D1が、流路CBの各部分の幅の中で最も広い。流路CBのうち回転軸a1に対して部分X1とは反対側の部分X2の幅D2は、流路CBの各部分の幅の中で最も狭い。幅D1は幅D2よりも大きい。流路CBの排気口71a側の部分X1の通気抵抗は、部分X2の通気抵抗よりも小さい。
【0110】
このため、基板9の上方の部分のうち中部材311の上端よりも上方で、かつ、外部材312の上端よりも下方の部分、すなわち、基板9の上方の部分のうち外部材312の上端と中部材311の上端とがなす開口の高さ位置には、主に、基板9の上方から排気口71a側に向けて主に流れる気流A1が生ずる。ノズル51から基板9に吐出された高温のSPMと、基板9のレジストとが反応して生成するヒュームF1は、遮断板90側に向かって基板9から上昇するが、遮断板90の下面に殆ど付着することなく排気口71a側から、流路CBを含む流路CAに効率良く導かれて排気ダクト71を経て排気設備99に排出される。このため、発生したヒュームF1は、基板9の汚染やパーティクルの要因と成りにくい。
【0111】
基板処理装置100において、中部材311の側壁311A(外周壁部3112)と外部材312の側壁312A(内周壁部3121)との間に流路CBのうち回転軸a1に対して排気ダクト71(排気口71a)側の部分Y1の幅D3が、流路CBの各部分の幅の中で最も狭い。流路CBのうち回転軸a1に対して部分Y1とは反対側の部分Y2の幅D4は、流路CBの各部分の幅の中で最も広い。幅D3は、幅D4よりも小さい。流路CBの排気口71a側の部分Y1の通気抵抗は、回転軸a1に対して排気口71aと反対側の部分Y2の通気抵抗よりも大きい。このため、基板9の上方の気体が、回転軸a1を取り囲む流路CAの開口の各位置から流路CAに入る際の流路CAの通気流量のばらつきが流路CAの周方向において抑制される。このため、基板9の中心の上方(遮断板90の下方)から流路CAの開口の各位置に向けて放射状に略等しい流量で向かう気流B1が生じ、発生したヒュームF100は基板9の上面から遮断板90側に略鉛直方向に立ち上った後、遮断板90に遮られて、基板9の中心の上方から放射状に流路CAの開口に流れる。このため、ヒュームF100は、流路CAに入る前に、遮断板90の下面に付着し、パーティクルの要因となる。
【0112】
<5.基板処理装置1の動作>
図11は、基板処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。基板処理装置1は、このフローチャートに沿って、処理液によって基板9を処理する。このフローチャートに係る動作の開始に先立って、基板9はスピンベース21によって予め保持されている。また、基板9の上面には、エッチングされた導電体の微細パターンの上に、レジストのパターンが残存しており、基板9は、次にレジスト剥離処理(レジスト除去処理)を施される段階であるものとする。
【0113】
先ず、回転機構231が、制御部130の制御に従って、スピンベース21の回転を開始させることによって、スピンベース21に保持された基板9の回転を開始させる(
図11のステップS10)。
【0114】
次に、処理部5のバルブ開閉機構が、制御部130の制御下で、開閉弁521を所定の開度で開くことによって、ノズル51は、基板9の上面における着液位置P1に当たるように処理液の吐出を開始する(ステップS20)。
【0115】
制御部130は、処理液による処理の所要時間(「処理時間」)が経過するのを待って(ステップS30)、処理部5のバルブ開閉機構に開閉弁521、522を閉じさせて、ノズル51による処理液の吐出を停止し(ステップS40)、その後、回転機構231にスピンベース21の回転を停止させて基板9の回転を停止する(ステップS50)。
図11に示される基板処理装置1の処理動作が終了する。
【0116】
以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、中部材311と外部材312との間に流路CAが形成されている。そして、基板9の上方の部分のうち中部材311の上壁311Bの内周縁よりも上方で、かつ、外部材312の上壁312Bの内周縁よりも下方の部分の気体が基板9の上方から排気口71a側に向けて主に流れるように、流路CAの通気抵抗は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さい。従って、基板9に供給された処理液から発生するヒュームF1は、排気口71a側に向かう基板9の上方の気流によって、流路CAのうち排気口71a側の部分から効率良く流路CAに導入されて、排気ダクト71を経て効率良く外部に排出される。
【0117】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広い。従って、流路CAの通気抵抗は、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が小さくなる。
【0118】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔が、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広くなるように、中部材311に対して外部材312が偏心している。従って、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔が、回転軸a1に対して排気口71aとは反対側よりも排気口71a側の方が広くなる構成を容易に実現できる。
【0119】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔が、排気口71aの近傍部分のうち排気口71aに対してスピンベース21の回転方向の下流側の部分において最も広いので、ヒュームF1の粘性と基板9の回転の影響によってヒュームF1の排気効率が低下することを抑制できる。
【0120】
ヒュームF1は、排気口71a側に向かう基板9の上方の気流によって、排気口71a側へ向かって流れる。さらに、ヒュームF1の粘性と基板9の回転とによって、ヒュームF1には基板9の回転方向の下流側向きの力も作用する。このため、ヒュームF1は、平面視において排気口71a側へ向かいつつ基板9の回転方向の下流側へ向かうので、排気口71aの近傍部分のうち排気口71aに対してスピンベース21の回転方向の下流側の部分に向かって最も多く流れる。ここで、中部材311の側壁311Aと、外部材312の側壁312Aとの間隔は、当該下流側の部分において最も広いので、当該下流側の部分に向かって流れたヒュームF1を効率良く捕捉して流路CA内に導くことができる。これにより、ヒュームF1の粘性と基板9の回転の影響によってヒュームF1の排気効率が低下することを抑制できる。
【0121】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、また、本実施形態に係る基板処理装置1によれば、処理液供給機構のノズル51は、基板9の表面のうち当該ノズル51の下方部分に対して排気口71a側の部分に当たるように処理液を吐出する。ヒュームF1は、処理液が基板9に当たった部分の近傍において多く発生する。このため、発生したヒュームF1を流路CAの排気口71a側の部分から効率良く排出できる。
【0122】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、基板9の表面のうち当該ノズル51の下方部分に対して排気口71a側の部分に当たるように処理液を吐出するノズル51を簡単な構成によって実現できる。
【0123】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。