特許第6824810号(P6824810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6824810-業務用洗濯機の排水利用システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824810
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】業務用洗濯機の排水利用システム
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20210121BHJP
   D06F 31/00 20060101ALI20210121BHJP
   D06F 95/00 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   D06F39/08 301Z
   D06F39/08 341
   D06F31/00
   D06F95/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-88841(P2017-88841)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-183539(P2018-183539A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】507415772
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】渡部 光陽
(72)【発明者】
【氏名】古市 直樹
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−141786(JP,A)
【文献】 特開2016−087166(JP,A)
【文献】 実開昭58−107408(JP,U)
【文献】 特開2008−116196(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/147743(WO,A1)
【文献】 特開2016−172199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 31/00,39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務用洗濯機の排水利用システムであって、
業務用洗濯機の洗濯排水を受け入れる排水受けタンク(2)と、
該排水受けタンク(2)に洗濯排水を供給するための排水供給路(3)と、
排水口(8)を備え、前記排水受けタンク(2)で受け入れた洗濯排水を前記排水口(8)より外部に排水するための排水路(6)と、
該排水路(6)を介して前記排水受けタンク(2)内の洗濯排水を排水するための排水用ポンプ(11)と、
新水受入口(16)と新水供給口(17)を備え、業務用洗濯機に新水を供給するための新水供給路(15)と、
前記洗濯排水と新水を熱交換するための複数個のシェル&チューブ型熱交換器(20)と、を具備して、
前記新水供給路(15)の途上に前記シェル&チューブ型熱交換器(20)のシェルを配置して、
前記排水路(6)の途上に前記シェル&チューブ型熱交換器(20)のチューブを配置し
前記排水路(6)における前記排水口(8)とシェル&チューブ型熱交換器(20)間に排水用バルブ(10)を備えるとともに、該排水用バルブ(10)と前記シェル&チューブ型熱交換器(20)間に、前記排水路(6)と前記排水受けタンク(2)を連通する循環路(21)を配置し、該循環路(21)に循環用バルブ(22)を備えた、ことを特徴とする業務用洗濯機の排水利用システム。
【請求項2】
新水供給路(15)における、新水受入口(16)とシェル&チューブ型熱交換器(20)間と、シェル&チューブ熱交換器(20)と新水供給口(17)間を連通した混合路(23)を備えるとともに、該混合路(23)に混合用バルブ(24)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の業務用洗濯機の排水利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用洗濯機の排水利用システムに係り、より詳しくは、業務用洗濯機から排水される洗濯排水を利用して洗濯槽に供給される新水を加熱することを特徴とした業務用洗濯機の排水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、大型のクリーニング業者では自社工場において業務用の大型洗濯機を用いて、大量の洗濯物を一括して洗濯することが行われている。そして、従来業務用洗濯機では、洗濯を行う度に毎回、洗濯に使用する新水をボイラからの蒸気を用いて所定温度まで加温し、その後にこの加温した新水を洗濯槽に供給して使用し、洗濯終了後は洗濯排水をそのまま排水するものが多かった。
【0003】
しかしながら、洗濯を行う度に毎回、洗濯に使用する新水をボイラからの蒸気を用いて所定温度まで加温する方法では、ボイラを駆動するための燃料費が上がってしまうという問題点が指摘できる。
【0004】
また、洗濯が終了した後の洗濯排水をそのまま排水した場合には、排水処理にコストがかかるとう問題点も指摘できる。即ち、洗濯排水は一般的に、活性汚泥により処理されることが多いが、このとき、洗濯排水の温度が高いと、バクテリアに悪影響を及ぼし、排水処理に余計な薬品やバクテリアの栄養剤、バクテリアの補充等のコストがかかってしまう。
【0005】
そのために、従来は、二重管や、プレート型の熱交換器を用いて、洗濯排水を再利用して新水を加温する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−097049号公報
【特許文献2】特開2012−239614号公報
【特許文献3】特開2010−214002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、二重管を用いた方法や、プレート型の熱交換器を用いた場合には、洗濯排水に含まれる糸くずや、水垢(スケール)の清掃が容易に行えないという問題点が指摘できる。
【0008】
そこで、本発明は、洗濯排水を利用して新水の加温を可能にすることで、燃料費を抑えることが可能であるとともに、清掃も容易な、業務用洗濯機の排水利用システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の業務用洗濯機の排水利用システムは、
業務用洗濯機の排水利用システムであって、
業務用洗濯機の洗濯排水を受け入れる排水受けタンクと、
該排水受けタンクに洗濯排水を供給するための排水供給路と、
先端側に排水口を備え、前記排水受けタンクで受け入れた洗濯排水を前記排水口を介して外部に排水するための排水路と、
該排水路を介して前記排水受けタンク内の洗濯排水を排水するための排水用ポンプと、
新水受入口と新水供給口を備え、業務用洗濯機に新水を供給するための新水供給路と、
前記洗濯排水と新水を熱交換するための複数個のシェル&チューブ型熱交換器と、を具備して、
前記新水供給路の途上に前記シェル&チューブ型熱交換器のシェルを配置し、
前記排水路の途上に前記シェル&チューブ型熱交換器のチューブを配置し、
前記排水路における前記排水口とシェル&チューブ型熱交換器間に排水用バルブを備えるとともに、該排水用バルブと前記シェル&チューブ型熱交換器間に、前記排水路と前記排水受けタンクを連通する循環路を配置し、該循環路に循環用バルブを備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の業務用洗濯機の排水利用システムは、シェル&チューブ型熱交換器を用いて、洗濯排水の熱を利用して新水を加熱するために、洗濯を行う度に毎回、洗濯に使用する新水をボイラからの蒸気を用いて所定温度まで加温する方法と比較し、ボイラを駆動するためのコストを抑えることが可能である。
【0011】
また、シェル&チューブ型熱交換器を用いて、洗濯排水の熱を利用して新水を加熱しているために、洗濯排水の温度を下げることができ、洗濯が終了した後の洗濯排水をそのまま排水した場合に比較して、排水処理のコストを抑えることが可能である。即ち前述したように、洗濯排水の温度が高いと、活性汚泥処理を行うためのバクテリアに悪影響を及ぼし、排水処理に余計な薬品やバクテリアの栄養剤、バクテリアの補充等のコストがかかってしまが、本発明では、新水との熱交換で洗濯排水の温度を下げ、バクテリアに与える悪影響を抑えるため、排水処理に余計なコストを抑えることが可能である。
【0012】
そしてこのとき、本発明では、シェル&チューブ型熱交換器のチューブに排水を通すために、チューブごとに分解清掃することができ、洗濯排水に含まれる糸くずや、スケールの除去を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の業務用洗濯機の排水利用システムの実施例の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、業務用洗濯機の洗濯排水を受け入れる排水受けタンクと、この排水受けタンク内に洗濯排水を供給するための排水供給路を有しており、排水供給路は、基端側が業務用洗濯機の洗濯槽に連結された排水受入口とされ、先端側は前記排水受けタンクに連結された排水供給口とされている。
【0015】
また、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは排水路を有しており、この排水路は、先端側に排水口を備えており、排水受けタンクで受け入れた洗濯排水を外部に排水するために用いられる。
【0016】
更に、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、排水用ポンプを有しており、この排水用ポンプを駆動することで、前記排水路を介して、排水受けタンク内の洗濯排水を排水口から排水することとしている。
【0017】
更にまた、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、業務用洗濯機の洗濯槽に新水を供給するための新水供給路を有している。そして、この新水供給路は、新水を受け入れるための新水受入口と、受け入れた新水を業務用洗濯機に供給するための新水供給口を備えている。
【0018】
また、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、洗濯排水と新水を熱交換するための熱交換器として、シェル&チューブ型熱交換器を具備しており、このシェル&チューブ型熱交換器は複数個を連結して備えている。
【0019】
そして、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、新水供給路の途上にシェル&チューブ型熱交換器のシェルを配置し、シェル&チューブ型熱交換器のシェルを通して、新水を業務用洗濯機に供給することとしている。
【0020】
更に、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、排水路の途上にシェル&チューブ型熱交換器のチューブを配置し、シェル&チューブ型熱交換器のチューブを通して、洗濯排水を排水することとしている。そしてこれにより、シェル&チューブ型熱交換器内において、洗濯排水と新水の熱交換を行い、洗濯排水の熱を新水に吸収させ、新水の温度を上げて洗濯排水の温度を下げることとしている。
【0021】
更にまた、本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、排水路における排水口とシェル&チューブ型熱交換器間に排水用バルブを備え、更に排水路における排水用バルブとシェル&チューブ型熱交換器間には、排水路と排水受けタンクを連通する循環路を配置し、循環路に循環用バルブを備えており、これにより、通常は排水用バルブを開放して循環用バルブを閉鎖することで排水口を介して洗濯排水を排水する一方、排水用バルブを閉鎖して循環用バルブを開放することで、洗濯排水を循環させることができるので、排水受けタンク内に洗浄剤を入れて洗濯排水を循環させることで、排水受けタンク内や排水路内の洗浄を行うことをできるようにしている。
【0022】
ここで、新水供給路における新水受入口とシェル&チューブ型熱交換器間の空間と、新水供給路におけるシェル&チューブ熱交換器と新水供給口間の空間を混合路で連通し、この混合路に混合用のバルブを備えるとよく、これにより、洗濯排水と熱交換する前後の新水を混合し、業務用洗濯機に供給する新水の温度を一定温度に維持することが可能となる。
【実施例1】
【0023】
本発明の業務用洗濯機の排水利用システムの実施例について図面を参照して説明すると、図1は本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムの構成を示すブロック図であり、図においてWMが業務用洗濯機であり、本実施例において前記業務用洗濯機WMは、連続式洗濯機としている。
【0024】
そして、図において1に示す部分が本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムであり、本実施例における業務用洗濯機の排水利用システム1は、洗濯排水を受け入れるための排水受けタンクを有している。即ち、図において2が排水受けタンクであり、この排水受けタンク2は、排水供給路を介して前記業務用洗濯機の洗濯槽やすすぎ槽に連結されている。
【0025】
ここで、図において3が排水供給路であり、この排水供給路3は、業務用洗濯機WMに連結された供給路側排水受入口4を基端側に有しており、先端側には、排水受けタンク2に連結された供給路側排水供給口5を有し、これにより、業務用洗濯機WM内の洗濯排水を排水受けタンク2に供給可能としている。
【0026】
次に図において6は排水路である。即ち、前記排水受けタンク2には排水路8が連結されており、この排水路6を介して排水受けタンク2内の洗濯排水を外部に排水可能としている。
【0027】
ここで、前記排水路6について説明すると、本実施例において前記排水路6は排水路側排水受入口7を有しており、この排水路側排水受入口7は前記排水受けタンク2に連結されている。
【0028】
また、前記排水路6は先端側に排水口8を有しており、この排水口8を介して、前記排水路側排水受入口7から受け入れた排水受けタンク2内の洗濯排水を、外部に排水可能としている。
【0029】
更に、排水路6の途上には、第1排水用バルブ9、第2排水用バルブ10、排水ポンプ11が配置され、及び、排水路6内の洗濯排水の温度を計測するための第1排水温度センサー12、第2排水温度センサー13が配置されている。そして、第1排水用バルブ9は排水路側排水受入口7側に配置され、第2排水用バルブ10は排水口8側に配置され、排水ポンプ11は第1排水用バルブ9の近傍に配置されている。
【0030】
なお、図において、排水受けタンク2内は、スクリーン14によって複数の部屋に分離されている。そして、前記スクリーン14は上端と排水受けタンク2の天井部分との間に隙間が形成されており、従って前記の複数の部屋は上方部分で連通され、洗濯排水がスクリーン14の上端を越えることで、洗濯排水が隣の部屋に移動可能としている。
【0031】
次に、図において15は新水供給路である。即ち、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムでは、洗濯用の新水を業務用洗濯機に供給するための新水供給路15を有している。そして、新水供給路15は、水道水等の供給用ホース等に連結される新水受入口16を基端側に有し、先端側には、業務用洗濯機に新水を供給するための新水供給口17を有しており、これにより、業務用洗濯機の洗濯槽やすすぎ槽に新水を供給可能としている。また、本実施例においては、新水供給路15内の新水の温度を計測するための第1新水温度センサー18、第2新水温度センサー19を有している。
【0032】
次に、図において20はシェル&チューブ型熱交換器である。即ち、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムでは、シェル&チューブ型熱交換器20を有しており、このシェル&チューブ型熱交換器20内において、前記洗濯排水と新水とを熱交換して、洗濯排水の熱で新水の水温を上げることとしている。
【0033】
ここで、前記シェル&チューブ型熱交換器20について説明すると、本実施例においては、互いに連結した複数個のシェル&チューブ型熱交換器20を用いており、この一連のシェル&チューブ型熱交換器20を、前記排水路6及び新水供給路15の途上に配置している。
【0034】
即ち、本実施例において前記排水路6は、上流側排水路6Aと下流側排水路6Bとで構成しており、上流側排水路6Aは、基端が前記排水受けタンク2に連結された排水路側排水受入口7を有している。また、第1排水用バルブ9及び排水ポンプ11は上流側排水路6Aの途上に配置され、更に、上流側排水路6A内の排水温度は前記第1排水温度センサー12により測定することとしている。
【0035】
一方、下流側排水路6Bは、先端に排水口8有しており、第2排水用バルブ10は下流側排水路6Bの途上に配置され、更に、下流側排水路6B内の排水温度は前記第2排水温度センサー13により測定することとしている。
【0036】
そして、前記上流側排水路6Aの先端と、下流側排水路6Bの基端はそれぞれ、前記シェル&チューブ型熱交換器20のチューブの入口側及び出口側に連結されている。即ち、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムでは、前記排水路6の途上に前記シェル&チューブ型熱交換器20のチューブを介在しており、従って排水受けタンク2内の洗濯排水は、上流側排水路6A、前記シェル&チューブ型熱交換器20のチューブ、及び下流側排水路6Bを通って排水口8から排水されることとしている。なお図において、各シェル&チューブ型熱交換器20のチューブは連結管26によって連結されている。
【0037】
次に、本実施例において前記新水供給路15は、上流側新水供給路15Aと下流側新水供給路15Bとで構成されており、上流側新水供給路15Aの基端側に前記新水受入口16が備えられ、下流側新水供給路15Bの先端側に新水供給口17が備えられ、上流側新水供給路15A内の温度を第1新水温度センサー18で測定し、下流側新水供給路15B内の温度を第2新水温度センサー19で測定することとしている。
【0038】
そして、前記上流新水供給路15Aの先端と、下流側新水供給路15Bの基端はそれぞれ、前記シェル&チューブ型熱交換器20のシェルの入口側及び出口側に連結されている。即ち、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムでは、前記新水供給路15の途上に前記シェル&チューブ型熱交換器20のシェルを介在しており、従って、新水受入口16から受け入れた新水は、上流側新水供給路15A、前記シェル&チューブ型熱交換器20のシェル、及び下流側新水供給路15Bを通って、新水供給口17から業務用洗濯機WMに供給されることとしている。
【0039】
従って、業務用洗濯機WMに供給される新水は、シェル&チューブ型熱交換器20のシェルを通過する過程で、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブを通過する洗濯排水と熱交換され、加熱されて所定温度になった状態で業務用洗濯機に供給される。なお、図において、各シェル&チューブ型熱交換器20のシェルは連結管25によって連結されている。
【0040】
このように、本実施例では、シェル&チューブ型熱交換器20を用いて、洗濯排水の熱を利用して新水を加熱するために、洗濯する度ごとに毎回、洗濯に使用する新水をボイラからの蒸気を用いて所定温度まで加温する従来の方法と比較して、ボイラを駆動するためのコストを抑えることが可能である。
【0041】
また、シェル&チューブ型熱交換器を用いて、洗濯排水の熱を利用して新水を加熱しているために、洗濯排水の温度を下げることができるので、活性汚泥処理を行うバクテリアに悪影響を及ぼすこともなく、従って、排水処理に余計な薬品やバクテリアの栄養剤、バクテリアの補充等のコストがかかることを防止することが可能である。
【0042】
更に本実施例では、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブに排水を通すために、チューブごとに分解清掃することができ、洗濯排水に含まれる糸くずや、スケールの除去を容易に行うことが可能である。
【0043】
次に、図において21は循環路である。即ち、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムでは、前記下流側排水路6Bにおける第2排水用バルブ10とシェル&チューブ型熱交換器20間に基端を連結するとともに、先端側は前記排水受けタンク2に連結した循環路21を有している。
【0044】
そしてこれにより、循環路21によって、下流側排水路6Bにおける第2排水用バルブ10とシェル&チューブ型熱交換器20間と、排水受けタンク2を連通することとしており、更に、循環路21には循環用バルブ22を備えている。
【0045】
従って、この構成により、第2排水用バルブ10を閉鎖し、第1排水用バルブ9と循環用バルブ22を開放した状態で排水ポンプ11を駆動すると、上流側排水路6A、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブ、下流側排水路6Bにおける第2排水用バルブ10の手前側、及び循環路21を介して排水受けタンク2内の洗濯排水を循環させることができる。そのため、洗浄液を排水受けタンク2内の投入した状態で洗濯排水を循環させることで、排水受けタンク2、排水路6、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブ内を洗浄することが可能となる。
【0046】
次に、図において23は混合路であり、24は混合用のミキシングバルブである。即ち本実施例では、上流側新水供給路15Aと下流側新水供給路15Bとを混合路23で連通しており、この混合路23の途上にはミキシングバルブ24を配置している。そしてこれにより、洗濯排水と熱交換して加温された新水が所定温度以上になった場合に、この加温された新水に熱交換する前の新水を混合することで、業務用洗濯機に供給する新水の温度を一定温度に維持することが可能となる。
【0047】
次に、このように構成される本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムの作用について説明すると、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムでは、1回目の洗濯においてはボイラからの蒸気を用いて新水を所定温度まで加温する必要はあるが、その後の洗濯では、洗濯に使用する新水は、ボイラからの蒸気を用いて加温する必要はない。即ち、業務用洗濯機が稼働している状態においては、所定温度に加温された新水を業務用洗濯器WMに供給する必要があるときは、第1排水用バルブ9、第2排水用バルブ10を開放して循環用バルブ22を閉鎖し、排水ポンプ11を駆動させ、更に、新水受入口16から新水を受け入れる。
【0048】
そうすると、排水供給路3を介して排水受けタンク2に供給された洗濯排水は、上流側排水路6A、前記シェル&チューブ型熱交換器20のチューブ、及び下流側排水路6Bを通って、排水口8から排水される。
【0049】
そしてそれとともに、新水受入口16から受け入れた新水は、上流側新水供給路15A、シェル&チューブ型熱交換器20のシェル、及び下流側新水供給路15Bを通って、新水供給口17から業務用洗濯機WMに供給される、
【0050】
そして、洗濯排水及び新水は、シェル&チューブ型熱交換器20のシェル及びチューブを通る過程で熱交換され、新水は洗濯排水によって加熱されて所定温度になった後に業務用洗濯機に供給され、一方洗濯排水は、温度が下げられた状態で排水口8から排水される。
【0051】
またこのとき、洗濯排水の温度は第1排水温度センサー12、第2排水温度センサー13で測定され、新水の温度は第1新水温度センサー18、第2新水温度センサー19で測定される。そして、新水の温度が所定温度以上であるときには、ミキシングバルブ24を開放して、洗濯排水と熱交換して加温された新水に、熱交換する前の新水を混合し、業務用洗濯機に供給する新水の温度を一定温度に維持し、一方、新水の温度が所定温度を下回っているときは、ボイラからの蒸気によって、新水を所定温度迄加温する。
【0052】
また、業務用洗濯機を停止し、排水受けタンク2内を洗浄する場合には、第2排水用バルブ10を閉鎖し、第1排水用バルブ9と循環用バルブ22を開放した状態で排水ポンプ11を駆動するとともに排水受けタンク2内に洗浄液を投入する。そうすると、上流側排水路6A、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブ、下流側排水路6Bにおける第2排水用バルブ10の手前側、及び循環路21を介して排水受けタンク2内の洗濯排水が循環し、それにより排水受けタンク2、排水路6、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブ内を洗浄することが可能となる。
【0053】
このように、本実施例の業務用洗濯機の排水利用システムによれば、洗濯排水の熱を利用して新水を加熱するために、毎回、洗濯の度に、洗濯に使用する新水をボイラからの蒸気を用いて所定温度まで加温する従来の方法と比較して、ボイラの稼働を半分以下に抑えることができるので、ボイラの寿命を従来の2倍以上に延命することができ、またボイラのメンテナンス頻度も下がり、ボイラを駆動するためのコストを大幅に抑え、省エネを達成することが可能である。
【0054】
また、加温された新水ですすぎを行うこともできるので、冷水ですすいだ場合と異なり、洗濯が終了した品物が温かいために、乾燥機での乾燥時間を短縮することができ、乾燥に要する燃料費を削減することも可能である。
【0055】
更に、洗濯排水の熱を利用して新水との間で熱交換して新水を加熱しているために、洗濯排水の温度を下げることができ、洗濯が終了した後の洗濯排水をそのまま排水した場合に比較して、活性汚泥処理を行うバクテリアに悪影響を及ぼすこともなく、従って、排水処理に余計な薬品やバクテリアの栄養剤、バクテリアの補充等のコストがかかることを防止することが可能である。
【0056】
更にまた、本実施例では、シェル&チューブ型熱交換器20のチューブに排水を通すために、チューブごとに分解清掃することができ、洗濯排水に含まれる糸くずや、スケールの除去を容易に行うことが可能である。
【0057】
また、本実施例では、シェル&チューブ型熱交換器20を複数個連結して用いているために、ユニットごとに分解清掃することが可能であり、清掃が容易であるとともに、ユニットごとに交換することも可能であるために交換作業が簡単である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の業務用洗濯機の排水利用システムでは、洗濯後の洗濯排水を用いて洗濯に用いる新水を加温するために、洗濯機の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 排水利用システム
2 排水受け入タンク
3 排水供給路
4 供給路側排水受入口
5 供給路側排水供給口
6 排水路
6A 上流側排水路
6B 下流側排水路
7 排水路側排水受入口
8 排水口
9 第1排水用バルブ
10 第2排水用バルブ
11 排水ポンプ
12 第1排水温度センサー
13 第2排水温度センサー
14 スクリーン
15 新水供給路
15A 上流側新水供給路
15B 下流側新水供給路
16 新水受入口
17 新水供給口
18 第1新水温度センサー
19 第2新水温度センサー
20 シェル&チューブ型熱交換器
21 循環路
22 循環用バルブ
23 混合路
24 ミキシングバルブ
図1