(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生体液体サンプルを撹拌し収集するための装置であって、当該装置は、チューブ(10)のラック(8)の撹拌機(30)と、チューブ(10)中の生体液体サンプルを収集することが可能なサンプリング手段(51,52)と、チェンジャー(34)とを有し、該チェンジャーは、前記撹拌機(30)に受け入れられたラック(8)上にあるチューブ(10)を把持し、かつ、それを前記サンプリング手段(51,52)まで移動させることが可能であり、その特徴は、前記撹拌機(30)が少なくとも3つのラック(8)を同時に撹拌することが可能であることと、それがさらにスケジューラーを有することであり、該スケジューラーは、チューブ(10)用の行先データおよびこのチューブ(10)を受け入れる前記ラック(8)用の行先データを判定することが可能であり、かつ、前記チューブ(10)の前記行先データおよび前記装置に受け入れられた前記ラック(8)の前記行先データに基づいて、各チューブ(10)について最終位置を判定することが可能であり、かつ、チューブ(10)を把持し、それを前記サンプリング手段(51,52)に渡し、かつ、前記最終位置におけるサンプリングの後にそれを置き換えるために、前記チェンジャー(34)を制御するように構成されており、前記最終位置は、前記撹拌機(30)上に受け入れられたラック(8)およびこのラック(8)上の位置を示し、かつ、前記チューブ(10)を受け入れた前記ラック(8)が前記装置(1)に導入された時の前記チューブ(10)の位置とは異なり得る、
前記装置。
前記スケジューラーが、所定のチューブ(10)について、前記の所定のチューブ(10)と同一の行先データを有するラック(8)上の自由な位置の中から前記最終位置を選択するように配置されている、請求項1に記載の装置。
前記スケジューラーが、所定のラック(8)上の最終位置として、前記の所定のラック(8)上の第1の空の位置を判定するように構成されている、請求項2に記載の装置。
どのラック(8)も前記チェンジャー(34)によって把持されたチューブ(10)と同一の行先データを示さない時、前記スケジューラーが、行先データが関連付けられていないラック(8)に、このチューブ(8)と関連付けられた行先データを付与するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
前記スケジューラーが、ラック(8)に受け入れられたチューブ(10)を、このチューブ(10)と関連付けられた行先データにしたがって垂直に移動させるために、前記チェンジャー(34)を制御するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
前記スケジューラーが、前記装置(1)からラック(8)を出力するために、かつ、それを、前記ラック(8)と関連付けられた行先データに応じて変化する出力位置に配置するために、前記チェンジャー(34)を制御するように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
前記スケジューラーが、使用者の指令に応答して、または、選択された期間の経過に応答して、前記装置(1)から空の位置を有するラック(8)を出力するように構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
空の位置を有するラック(8)が出力された後、前記スケジューラーが、少なくとも等しい数の空の位置を有するラック(8)を、前記装置(1)に導入するように構成されている、請求項7または8に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間にわたって、血液製品分析ユニットが、ますます自動化されてきた。血液試験の需要を満たすために、サンプリング能力(キャパシティ)および多重分析に関する要件が激増した。結果として、現代のユニットは、それらの分析速度(1時間あたりのチューブ(管)の数)と、単一の機械で複数のタイプの試験を実行するそれらの能力とに基づいて評価される。
【0003】
この分野における発展は、まず処理速度を、その後は異なるタイプの試験の追加を好んだ。装置によって実行されるべきシーケンスにおける特定のタスクは、物質資源を追加することによって速度を増大させる能力を制限する。
【0004】
したがって、特定の期間チューブを撹拌し、サンプル血液製品がサンプリング時に均質であるようにすることが必要である。逆に言えば、撹拌されたサンプルは、サンプリング前に長期間動かないままにされてはならず、そうでなければ、撹拌の利益は失われるであろう。さらに、撹拌は特定の速度を越えて加速され得ず、そうでなければ、サンプルが劣化するかも知れず、かつ/または、取得される混合物が不十分であろう。
【0005】
これらの限度を考慮に入れながら速度を増大させるため、2つのチューブを有する撹拌機が提案され、同時に複数のチューブを撹拌するために、チューブ支持部(ラックとも呼ばれる)が後に続いた。ラックは、撹拌および空間要件によって課せられた限度に達するまで、種々の構成で設計された。
【0006】
撹拌機はその後、それらが同時に2つのラックを受け入れ得るように修正された。この態様では、2つの連続するラックの間の移動中の速度の維持が改善され、同時に、満足のいく撹拌が維持されることを許容した。
【0007】
装置は、ラックのシーケンシャルな処理の限度に達するまで、徐々に自動化された。しかしながら、これらの改善は、純粋な速度という意味だけでなく、例外的な場合の管理という意味でも、それらのピークに達した。
【0008】
用語「例外的な場合」は、例えば、ラックが1つのチューブのみを含んでいるか、もしくは、チューブが処理済みのラックを考慮することなく迅速に試験されなければならない場合、または、チューブが既にサンプリングされており、かつ、試験の結果が疑わしいので前記試験を繰り返さなければならない場合(例えば、検出限界の末端における測定)を意味するものと理解される。
【0009】
「固有のチューブ」の状況はまた、ラックが装置によって実行されない試験を必要とするチューブを含んでいる場合、および、ラック上にある単一のチューブが装置によって効果的に分析され得る場合にもあてはまる。
【0010】
この速度の増大は、同一の設備内での装置の一体化の進展を伴う。種々の装置間のチューブの割り当ての管理、および所望の試験が実行された後すぐのそれらのアーカイビングは、緊急の課題である。
【0011】
この問題を解決するために、「ソーター」と呼ばれる特化した器械が開発されてきた。これらの器械は、アーカイビングのような、類似の位置が意図されるチューブのグループを作るためにチューブラックをソートするという単一の機能を有する。
【0012】
これらの装置は、非常に扱いにくく、重大なサイズの問題を引き起こし、かつ、実質的な追加費用を示す。これらの欠点に加え、設備がサイズを変えるとすぐ、ソーターは大き過ぎるか小さ過ぎるようになり、したがって、不適切となるか、または、障害を引き起こす。
【発明の概要】
【0013】
この目的のため、本発明は、生体液体サンプルを撹拌し収集するための装置を提供し、該装置は、チューブのラックの撹拌機と、チューブ中の生体液体サンプルを収集することが可能なサンプリング手段と、チェンジャーとを有し、該チェンジャーは、撹拌機に受け入れられたラック上にあるチューブを把持し、かつ、それをサンプリング手段まで移動させることが可能である。
【0014】
撹拌機は、少なくとも3つのラックを同時に撹拌することが可能であり、かつ、当該装置はさらに、スケジューラーを有し、該スケジューラーは、チューブ用の行先データとこのチューブを受け入れるラック用の行先データとを判定することが可能であり、かつ、チューブの行先データと装置に受け入れられたラックの行先データとに基づいて、各チューブについて最終位置(撹拌機上に受け入れられたラックとこのラック上の位置とを示し、かつ、チューブを受け取ったラックが当該装置に導入された時のチューブの位置とは異なり得る)を判定することが可能であり、かつ、チューブを把持し、それをサンプリング手段に渡し、かつ、前記最終位置におけるサンプリングの後でそれを置き換えるために、チェンジャーを制御するように構成されている。
【0015】
この装置は、チューブの管理が構成されるやり方を完全に変えるので、特に有利である。具体的には、先行技術では、チューブは常に、ラックにおけるそれらの位置にしたがってシーケンシャルに分析されており、かつ、ラックもまた、常にシーケンシャルに処理されていた。装置は、できるだけ素早く使用者によって挿入されるラックを処理することが意図された自動化機械的ユニットとして見られていた。
【0016】
本発明は、もはや厳密にシーケンシャルではないが、問題の状況に関わらず最高速度を維持するためにインデックスされた処理を許容することによって、サンプリング装置が動作する態様を劇的に変える。具体的には、スケジューラーは、装置の一般的な処理ステータスに基づくが、チューブ上で実行される工程および試験にも基づくか、または、他のパラメーターに基づくインテリジェントな順番でラック上にあるチューブを処理することを可能にする。
【0017】
これはもはや、できるだけ素早く1つずつチューブを処理する自動化機械的ユニットの場合ではなく;本発明は、動作条件に適合し、前記条件に関わらず最大速度を維持するインテリジェントユニットを提供する。
【0018】
種々の実施形態によれば、当該装置は、次の特徴の1つ以上を有し得る:
− スケジューラーは、所定のチューブについて、所定のチューブと同一の行先データを有するラック上の自由な位置の中から最終位置を選択するように構成されており、
− スケジューラーは、所定のラック上の最終位置として、所定のラック上の第1の空の位置を判定するように構成されており、
− スケジューラーは、所定のラックが当該装置に導入される時、所定のラックと関連する行先データを再設定するように構成されており、
− どのラックもチェンジャーによって把持されたチューブと同一の行先データを示さない時、スケジューラーは、行先データが関連付けられていないラックに、このチューブと関連付けられた行先データを付与するように構成されており、
− スケジューラーは、ラックに受け入れられたチューブを、このチューブに関連付けられた行先データにしたがって垂直に移動させるために、チェンジャーを制御するように構成されており、
− スケジューラーは、当該装置からラックを出力し、かつ、それを、ラックと関連付けられた行先データに応じて変化する出力位置に配置するために、チェンジャーを制御するように構成されており、
− スケジューラーは、使用者の指令に応答して、または、選択された期間の経過に応答して、当該装置から空の位置を有するラックを出力するように構成されており、
− 空の位置を有するラックが出力された後、スケジューラーは、少なくとも等しい数の空の位置を有するラックを当該装置に導入するように構成されており、かつ、
− 当該装置はさらに、ラックのコンベアーへの接続用のゾーンを有する。
【0019】
本発明はまた、チューブの撹拌およびサンプリングのための方法に関し、該方法は、次の工程を含む:
a. 少なくとも1つの生体液体を含む少なくとも1つのチューブを受け入れている少なくとも1つのラックを、生体液体サンプルを撹拌し収集するための装置に挿入すること、
b. 当該装置における各チューブ用の行先データおよびこれらのチューブのうちの1つを受け入れる各ラック用の行先データを判定すること、
c. 当該装置に受け入れられた各チューブについて、チューブの行先データおよび当該装置に受け入れられたラックの行先データに基づく最終位置(当該装置に受け入れられたラックおよびこのラック上の位置を示し、かつ、チューブを受け入れたラックが当該装置に導入された時のチューブの位置と異なり得る)を判定すること、
d. 当該装置に受け入れられた各チューブ中の生体液体サンプルを収集すること、
e. 工程d)の後、チューブをその最終位置に配置すること。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面と次の説明とは、大部分は、明確な要素を含む。それらは、本発明の理解の向上のためだけでなく、必要であればそれを規定するのに貢献するために役立ち得る。
【0023】
図1は、本発明による装置1の斜視図を示す。ロケーターXYZは、それが示された図の種々の配向を識別することを可能にする。
【0024】
装置1は、略直方体形状のハウジング2を有し、該ハウジングは、それぞれローディング(載荷)トレイ4およびアンローディング(除荷)トレイ6のためのものである2つのくぼみを有する。トレイ4および6は、装置1がサンプリングし分析する生体液体と血液製品とを含むチューブ10のラック8を挿入および回収することを可能にする。ラック8は、それらの長さに沿って、すなわちY軸に沿って、トレイ4および6の上に互いに平行に配置される。
【0025】
図1に示される例では、ラックは、ローディングトレイ4上の右から左に機械に挿入され、すなわち、一番左のラック8が最初に挿入され、かつ、一番右のものが最後に挿入される。アンローディングトレイ6については、状況が逆であり;最初に取り出されたのは一番右のラック8であり、一番左のラック8が直近に取り出されたものである。ここに記載の例では、装置1内のその配置が故に、ローディングトレイ4は装置1の下部に配置され、アンローディングトレイ6は上部に配置される。代替的には、トレイ4および6の機能は逆であってもよく、または、トレイが、状況に基づいてラック8のローディングまたはアンローディングのために用いられる、装置1の動作モードに基づいて役割を演じてもよい。
【0026】
ハウジング2はまた、スクリーン12を有しており、該スクリーンは、装置1を制御し、かつ、その動作ステータスをモニタリングすることを可能にする。最後に、ハウジング2は、ハッチ14を有し、該ハッチは、「優先チューブ」の挿入を許容する。優先チューブは、使用者が他のものに関して優先的に処理することを希望する単一のチューブである。
図2および
図8に見られ得るように、このチューブは、装置1の一部であるバレル15に受け入れられる。ハッチ14はまた、その処理がラックの用途と相容れないチューブ、例えば小児科用途のためのチューブを挿入するためにも用いられ得る。
【0027】
図2は、装置1のハウジング2の内部に含まれている部品の一部の斜視図である。この図に見られ得るように、装置1は、壁部16を受け入れ、該壁部は、主に方向Yに広がり、かつ、ほぼローディングトレイ4の端部のレベル(高さ)に配置される。壁部16は、2つのアーム18を有し、それらアームによって、ハウジング1および開口部20の上の所定の位置に固定されることができ、該開口部を通してローダー22が見えている。
【0028】
ローダー22は、壁部16に、ほぼローディングトレイ4のレベルでそれとは反対側に取り付けられる。ラック8がトレイ4から矢印21の方向に押される時、それは、ローダー22によって直接受け入れられる。以下に見られるであろうが、ローダー22は、方向Yに移動可能であるアクチュエーター24を有し、該アクチュエーターは、開口部20を通る突出部(図示せず)を制御し、該突出部は、ローダー22に受け入れられたラック8を、装置1の内部に向かって矢印25によって示される方向に押す。
【0029】
装置1はまた、撹拌機30と、昇降機構32と、チェンジャー34とを有する。撹拌機30は、Yとほぼ平行である軸の周りの回転によって、それが受け入れるチューブのラック8を混合する機能を有する。
【0030】
図4および
図5に見られ得るように、撹拌機30は、4つのラック8を受け入れ得、各ラックは、他のものに関してほぼ90°の角度で配置される。代替的には、撹拌機30は、ラック8を3つのみ、または4つより多いラックを受け入れるように構成されてもよい。撹拌機30は、モーター36を有し、該モーターは、回転を加えるように構成されており、該回転は、それを支持するラック8上に受け入れられたチューブ10の内容物の混合を許容する。
【0031】
以下に見られるであろうが、モーター36はまた、選択されたラック8をチェンジャー34の反対に配置するために駆動され得る。ラック8を受け入れるために、撹拌機30は4つの支持体38を有し、各支持体は、Y方向に延びるガイド40を有する。支持体38はモーター36に接続され、後者の回転が、支持体38およびそれらが受け入れるラック8の回転を駆動させるようになっている。
【0032】
図6および
図7に見られ得るように、ラック8は、T形のベース42を有し、該ベースは、撹拌機30のガイド40のうちの1つに収まる。この態様では、ラック8を挿入するためには、撹拌機30の所望の支持体38をローダー22の反対に配置する必要のみがあり、かつ、アクチュエーター24は、ラック8を、対応するガイド40における位置へと押すために駆動される。
【0033】
撹拌機30は、
図2における矢印35によって示されるように、昇降機構32によって装置1内に動かされる。昇降機構32は、撹拌機30が、それがローダー22のラック8を受け入れ得る低い位置と、チェンジャー34がラック8上にあるチューブ10をサンプリングし得る高い位置との間を、Z軸に沿って移動することを引き起こす。
【0034】
図8は、
図2における図の鏡像である、軸に沿うチェンジャー34の斜視図である。
【0035】
チェンジャー34はモーター45を有し、該モーターはベルト46を駆動させ、該ベルトは、取付部47に接続されている。チェンジャー34はホイール49を有し、該ホイールは、壁部16に取り付けられた、
図2に見られ得るレール48に受け入れられる。この態様では、チェンジャー34は、矢印50によって示されるように、Y軸に沿って移動する。
【0036】
チェンジャー34の主な機能は、撹拌機30に受け入れられたラック8からのチューブ10のサンプリングと、第1のサンプリング手段51または第2のサンプリング手段52(
図3に見られ得る)に向かってこのチューブ10を持っていくことである。
【0037】
チューブ10のサンプリングを実行するために、チェンジャー34は、クランプ54を有し、該クランプは、駆動機器56によってX軸に沿って動かされる。サンプリングされるべきチューブ10を識別するために、チェンジャー34はセンサー58を用い、該センサーは、チューブ10によって保有されるバーコードまたは別の光学的識別の手段を読み取る。クランプ54はまた、別の把持手段、例えば真空ノズル、磁気装置などによって置換されてもよい。センサー58もまた異なり得、例えばRFIDセンサーであってもよい。
【0038】
最後に、チェンジャー34は、上部ストップ60および下部ストップ64を有し、これらのストップは、サンプリング針の挿入および回収中のチューブの運動を制限し、プッシャー62も同様である。プッシャー62は、アンローディングトレイ6に向かって撹拌機30のラック8を取り出すことを可能にする。
【0039】
撹拌機30のチューブ10をサンプリング手段51および52のうちの1つに向かって持っていくために、昇降機構32は、撹拌機30をチェンジャー34のレベルにおける高い位置に動かし、かつ、撹拌機30のモーター36は、所望のラック8をチェンジャー34の反対に配置する。チェンジャー34はその後、求められるチューブ10がセンサー58を用いて識別されるまで、Y軸に沿って移動する。一旦チューブ10が識別されると、駆動機器56は、チューブ10を把持するクランプ54を移動させ、かつ、昇降機構32は、撹拌機32が方向Zに降り、チューブ10がラック8から回収されるようになっている。チェンジャー34はその後、第1のサンプリング手段51または第2のサンプリング手段52の下まで、方向Yに動かされる。一旦チェンジャー34が停止すると、サンプリング手段の針は、チューブ10におけるサンプリングを実行するために、矢印65によって示されるように、Z軸に沿って移動する。最後に、一連の逆の工程を利用して、チューブ10は、撹拌機30上にあるラック8に戻される。
【0040】
撹拌機30からラック8を回収するために、チェンジャー34は、
図2および
図3における図にしたがって、Y軸に沿って最後まで左に動かされる。昇降機構32はその後、撹拌機30をチェンジャー34のレベルにおける高い位置に移動させ、かつ、撹拌機30のモーター36は、求められるラック8をチェンジャー34の反対に配置する。最後に、チェンジャー34は、Y軸に沿って右に動かされ、プッシャー62は、ラック8を、それがアンローディングトレイ6のアンローディングゾーン66に到達するまで、それを受け入れる支持体38の外側へ徐々に押し、かつ、図示されない駆動機器が、装置1からラック8を回収するために、矢印67によって示されるように、X軸に沿って回収されたラック8を移動させる。
【0041】
すべての工程は、スケジューラーによって調整(コーディネート)されており、該スケジューラーは、コンピュータープログラムの形態で構成され得る。スケジューラーの機能は、ラック8を挿入し、それらを撹拌し、かつ、サンプリングを実行するために、ローダー22、撹拌機30、昇降機構32、およびチェンジャー34ならびにサンプリング手段51および52を調整することである。
【0042】
ここに記載の例では、スケジューラーは、装置1のハウジングに統合されている。代替的には、スケジューラーは、遠隔構成であってもよく、かつ、装置1のハウジングの外にあるコンピューターまたはコントローラーから操作されてもよく、かつ、有線または無線のいずれかによって後者と通信してもよい。さらに、かかるコンピューターまたはコントローラーは、それが接続される複数の装置1を制御し得、前記装置は互いに独立していてもよい。
【0043】
ラック8が撹拌機30にローディングされる時、それは、チェンジャー34のレベルまで昇降機構32によって動かされ、該チェンジャーは、どのチューブ10がラック8上に存在しているのかを判定するため、および、これらのチューブについて必要とされる試験を判定するために、センサー58を用いる。
【0044】
スケジューラーはしたがって、どのチューブがラック8上に存在するかを正確に知っており、かつ、装置1の速度を最適化することを可能にするサンプリングおよび試験のシーケンスを特定し得る。
【0045】
具体的には、優先チューブがハッチ14を介して挿入されれば、スケジューラーは、進行中のシーケンスを「休止」し、かつ、進行中のチューブのサンプリングが完了し、かつ、前記チューブがそのラックに戻されたらすぐ、優先チューブをサンプリングするために準備し得る。
【0046】
図9は、スケジューラーによって実行される例示的な関数である。
【0047】
この図は、工程900で始まるスケジューラーの動作ループを示しており、該工程では、関数Ev()は、試験開始イベントの存在について試験する。
【0048】
かかるイベントが検知される時、工程905で関数PopR()が実行される。関数PopR()は、引数としてRkリストを受け入れる。Rkリストは、装置1によって現在受け入れられているチューブ10のラック8の識別子を含む。ここに記載の例では、ラック8は、Rkリストにおける優先順位の順番によって配置されており、第1のラック8が、優先的に処理されなければならないものであるようになっており、その後も同じように続く。
【0049】
Rkリストの管理とその中へのラック8の挿入とは、スケジューラーによって制御され得るか、または、自動化され得る。ここに記載の例では、ローディングトレイ4上に受け入れられたラック8は、装置1の入口に近い順番で分類され、優先ラックまたは優先チューブが挿入される時、それはRkリストの一番上に配置される。他のRkリストを管理する方法もまた、用いられてもよい。
【0050】
関数PopR()はRkリストをスタックから取り降ろし、かつ、結果として生じるラック識別子8は、変数Rで貯蔵される。次に、工程910では、関数Intro()が実行される。関数Intro()は、引数として変数Rを受け入れ、かつ、タブリストと変数Lとを返す。
【0051】
ここに記載の例では、関数Intro()は、その識別子が変数Rに与えられたラック8を挿入し、かつ、それが保有するチューブ10の混合を進めるよう装置1に指令する。
【0052】
ここに記載の例では、この挿入は、問題のチューブ10および必要とされる試験を判定することを許容する、チューブ10に添付されたラべルの読取を有する。チューブ10の識別子は、後に続く試験のためのタブリストに貯蔵される。チューブ10の読取はまた、変数Rによって示されるラック8について実行されるべき試験に必要とされる期間の判定を許容し、かつ、この必要とされる時間は変数Lに追加され、該変数Lは、装置1にローディングされたすべてのチューブを分析するために、見積時間を受け入れる。
【0053】
関数Intro()は、次の基準のうちの1つ以上に基づく、関数Intro()の最後の実行以来の処理の過程に基づいて、タブリストを修正することが可能である:
− 新たに挿入されたチューブについて実行されるべき試験のタイプ、
− 新たに挿入されたチューブのうちの1つまたは複数の優先ステータス、
− 当該装置におけるチューブの撹拌の程度、
− 新たに挿入されたチューブのラックの出所(トレイ、優先チューブなど)、
− 当該装置に存在する各チューブの滞留時間。
【0054】
状況にしたがって、他の基準が考慮され得る。
【0055】
次に、工程915では、試験が、変数Lを閾値LTと比較する。閾値LTは、ラック8のチューブを撹拌するために必要とされる見積期間に対応する。具体的には、残りの試験の合計期間がこの期間(ここに記載の例では2分のオーダー)より短ければ、新しいラックをローディングし、できるだけ素早く前記ラックを撹拌し、かつ、装置1の最大動作速度を確実にすることが好ましい。
【0056】
LがLTより小さければ、その時は工程910が繰り返される。反対の場合、チューブの試験が開始される。この目的のために、工程920では、試験が、引数としてタブリストを受け入れる関数PopT()を利用して、タブリストが空であるかどうかを判定する。
【0057】
タブリストが空でなければ、その時は、関数PopT()は、どのチューブが次に試験されなければならないかを判定する。例えば、工程910で挿入された優先ラックまたは優先チューブの場合、タブリストは、これらのチューブの識別子を、それらが、それらの撹拌が完了すると最初に処理されるであろうような位置に受け入れ得る。このシナリオでは、タブリストは極めて単純にスタックから取り降ろされ、かつ、対応するチューブの識別子は、変数Tで返される。
【0058】
他の実施形態では、関数PopT()は、より複雑であり得、かつ、内部および/または外部のアルゴリズムに基づいて、分析されるべき次のチューブを決定し得る。
【0059】
次に、工程925では、関数Shk()が、変数Tによって示されるチューブが十分に撹拌されたかどうかを判定する。そうでない場合は、追加の撹拌が実行される。
【0060】
変数Tによって示されるチューブはその後、関数Proc()によって工程930で分析される。関数Proc()は、そのラック上にある識別子Tを有するチューブを探すよう装置1に指令し、それを2つのサンプリング手段51および52のうちの1つに持っていき、かつ、試験が実行されたらすぐ、それをそのラックに戻す。識別子Tを有するチューブを探すために、装置1は、問題のラック上にあるチューブのラベルの読取を命じ得るか、または、中間表を用い得、該中間表は、装置1に受け入れられた各チューブを、撹拌機30の1つの表面上の所定の位置と関連付ける。ここに記載の例では、サンプリング手段51は、試験を方向付けること専用であり、サンプリング手段52は、試験を繰り返すこと専用である。
【0061】
関数Proc()はまた、識別子Tを削除すること、または、試験を繰り返す必要があればそれを再配置することのいずれかによって、タブリストを更新する。変数Lもまた、それから、識別子Tを有するチューブについて計画されていた試験の期間を引くことによって、適宜更新される。
【0062】
最後に、工程935では、関数Emp()が、タブリストが空であるかどうかを判定する。そうでない場合は、ループは、新しいラックがローディングされなければならないかどうかを判定するために、工程915で再開する。そうでなければ、工程940では、工程910と同一の工程が実行される。もはや利用可能であるラックがない時、すべての試験は実行され、かつ、装置1は、工程900で次のイベントを待つことによってやり直す。そうでなければ、ループは、このラックを挿入するために、工程910で再開する。
【0063】
撹拌機30がラック受け入れホルダーを有していれば、それらのうちの1つは、必要に応じてチューブを一時的に貯蔵するために用いられるバッファーとして役立つために、永久に空のままであり得る。
【0064】
撹拌機30が少なくとも3つのラック8を受け入れ得るという事実は、試験を繰り返す(リターン/レフレックス(反転)ともいう)必要があれば最適速度を確実にすることを可能にする。この態様では、3つのラックが1つの「有用な」ラックのみを含んでいたとしても、速度の連続性が確実とされる。
【0065】
具体的には、サンプリングを経験する前に、チューブは、各チューブにおける混合物の均質性を確実にするのに十分な程度に撹拌されなければならない。このことは、ラックが当該装置に挿入される時、チューブがまず撹拌されなければならないことを意味する。しかしながら、この工程は、4つのサンプリング工程の同等物を必要とする。したがって、2つのラックが受け入れられ得る時、特定の速度の連続性は、第1のラックの最後のチューブがサンプリングされている間に第2のラックのチューブを撹拌し始めることによって確実とされ得る。
【0066】
しかしながら、優先チューブまたはリターン/レフレックスのタイプの工程の場合、速度は、チューブが適切に撹拌されるほど十分に長く落ちるかも知れない。第3のラックは、1つまたは2つのラックの処理を継続する一方で、優先チューブまたはリターン/レフレックスのタイプの工程のチューブを同時に撹拌することを可能にする。したがって、後者はできるだけ素早く処理される一方で、当該装置の最大動作速度は維持される。
【0067】
撹拌機30が4つ以上の支持体を受け入れれば、このことは、新たな可能性を切り開き、該可能性は、上記のラックバッファーの使用、または、「優先ラック」、すなわち、もはや単独のチューブではなく、優先的にサンプリングされ、かつ、分析されるであろうチューブのラック全体の使用を許容するために支持体を永久に空にしておく可能性のようなものである。
【0068】
最後に、装置1はまた、撹拌機30に類似する第2の撹拌機を受け入れ得る。このことは、追加のバッファーの使用を許容し、かつ、昇降機構32とチェンジャー34とは、1つのラックの、同一の撹拌機上の別のラックへの移行、または、2つの撹拌機の間の移行を許容する。
【0069】
本発明によって提案される新たなパラダイムを利用して、優先チューブを用いる時またはそれぞれ有用なチューブを1つのみ有するラックを用いる時でさえ、1時間に120回のサンプリングの実速度を達成することが可能になる。改善された実速度に加えて、本発明による装置の構成は、ラックの構成物およびそれらの装置1への挿入の順番とは独立して最速のサンプリングルートを決定することが可能になるので、試験の取り扱いにおいて新たな可能性を切り開く。当該装置の部品について選択された寸法に基づいて、速度は、例えば1時間に240回のサンプリングまたはそれ以上まで増大され得た。
【0070】
本発明の文脈の範囲内で、本出願人は、できるだけ円滑な動作を達成するために、当該装置の部品のさらなる機械的および機能的試験を実行した。
【0071】
このことは、本出願人が、15秒の工程サイクルを特定すること、および、次の工程を特定することをもたらした:
a. − 前方トレイからのラックのローディング、ならびに、このラックおよびそれが受け入れるチューブの識別、
b. − 撹拌、
c. − チューブの識別子の確認、このチューブの把持、サンプリングのためにそれを供給すること、および、チューブを所定の位置に戻すこと、
d. − 前方トレイに向けてのラックの取り出し。
【0072】
工程aから工程dは、コンベアーに接続されておらず、かつ、チューブおよび/またはラックをソートすることが可能ではない当該装置における相互作用を単純に管理することを可能にする。スケジューラーは、当該装置の動作速度を最適化することを可能にする順番で、これらの工程を管理するように構成されている。
【0073】
本出願人はまた、これらの工程が、当該装置のコンベアー(
図10における参照番号1000)への接続を自動化し、したがって、それらを、本発明による装置1にしたがい得たか、または、それから異なり得た撹拌および収集のための別の装置(
図10における参照番号1100)に送ることを可能にするため、かつ、後に続く自動化された処理または手動処理のためのチューブ10および/またはチューブ10のラック8のソートを自動化するために延ばされ得たことを見出した。
【0074】
この場合、新たな工程が、スケジューラーによって管理のために特定され得る:
e. コンベアーからのラックのローディングおよびこのラックの識別、
f. チューブの識別子の確認、このチューブの把持、サンプリングのためにそれを供給すること、その後このチューブを所定の位置に戻すこと、および、コンベアーの控え領域からのラックの同時ローディング、
g. チューブの識別子の確認、このチューブの把持、サンプリングのためにそれを供給すること、その後このチューブを所定の位置に戻すこと、および、コンベアーの控え領域に向けてのラックの同時取り出し、
h. 撹拌およびラックの識別、
i. コンベアーに向けてのラックの取り出し、
j. 前方トレイ上の移動を用いたラックの取り出し、
k. ラックの1つまたは複数のチューブの垂直移動、および、ラックの移動を用いた、または、用いない前方トレイ上のこのラックの取り出し、
l. チューブの識別子の確認、このチューブの把持、サンプリングのためにそれを供給すること、および、チューブをその元の位置(ラックおよび/またはラック上の位置)以外の位置に戻すこと、
m. チューブの識別子の確認、このチューブの把持、サンプリングのためにそれを供給すること、その後このチューブをその元の位置(ラックおよび/またはラック上の位置)以外の位置に戻すこと、および、(コンベアーの控え領域からの、または、別の位置からの)ラックの同時ローディング、
n. チューブの識別子の確認、このチューブの把持、サンプリングのためにそれを供給すること、その後このチューブをその元の位置(ラックおよび/またはラック上の位置)以外の位置に戻すこと、および、(コンベアーの控え領域に向けての、または、別の位置に向けての)ラックの同時取り出し、ならびに、
o. チューブの識別子の確認、このチューブの把持、および、チューブをその元の位置(ラックおよび/またはラック上の位置)以外の位置に戻すこと。
【0075】
工程eから工程iは、試験研究所における、本発明の装置の、より複雑なシステムへの接続を管理することを可能にする。この場合、当該装置は、システムにおける他の装置1100のチューブ10および/またはラック8を受け入れることが可能である。この移行は、コンベアー1000によって実行され、該コンベアーは、チューブ10および/またはラック8を、装置1の専用の控え領域に持っていく。
【0076】
工程jおよび工程kは、手動ソートのためのチューブおよび/またはラックを管理することを可能にする。具体的には、出口において垂直に動かされたチューブおよび/または動かされたラックを見る作業者は、これが追加の試験であるか繰り返される試験であるかに関わらず、後者が別の処理を受けなければならないことを知るであろう。もちろん、当該装置の寸法(トレイの長さ、ラックの出口の高さ)は、適宜適合されなければならない。
【0077】
工程aから工程kは、上記の装置の論理のいかなる適合も必要としない。ラックの挿入(
図9の関数Intro())ならびにチューブの処理(
図9の関数Proc())および/またはラックの処理(
図9の関数Empt())は、必要に応じて工程aから工程kのうちの1つ以上を挿入するために調節され得る。
【0078】
それらの一部について、工程lから工程oは、チューブおよび/またはラックの完全に自動化されたソートを実行することを可能にする。具体的には、チューブがその元の位置とは異なる位置に戻され得るので、このことは、実行されるべき残りの試験を考慮に入れるために、異なるラック上にあるチューブの群を再配置することを可能にする。
【0079】
このことは、いくつかの利点を有する。ソート装置は、それらが貯蔵専用であれ、同一のシステムの複数の装置の間のチューブの循環専用であれ、非常に高価であり、多くの空間を占め、かつ、システムに関して正確に寸法決めされなければならない。
【0080】
さらに、システムがサイズを変えれば(他の装置の追加またはサイズの減少)、ソート装置は不適切になるか、さらには置き換えられなければならない。本発明では、専用のソート装置は、ソートが内在化されているので、単純に除去される。このことは、低価格であり、必要とされる空間が狭く、設計時間(寸法決め)が短く、かつ、規模の柔軟性が増大することを意味する(システムのサイズに関わらず、ソートは統合される)。
【0081】
最後に、ソートが統合されているので、ラックを満たす時間を相当節約し得る。具体的には、チューブを予めソートするために、類似の試験が実行されるべきチューブのグループを作ることによってラックを調製することがもはや必要ではない。使用者は、実行されるべき試験に関わらず、ラックにチューブを大量に配置してもよく、かつ、当該装置は、ラックにおけるチューブの分布を最適化するであろう。
【0082】
このタイプの自動化された処理は、2つの特徴によって可能とされる。
【0083】
第1の特徴は、少なくとも3つのラックを同時に撹拌する撹拌機の能力であり、3つのラックのうちの1つの、調整先としての永久的な使用を許容する。
【0084】
この態様では、チューブが、目下の試験後、その元のラックのチューブのものとは異なる試験を経験しなければならないことが判定されるとすぐ、前記チューブは、試験後、調整ラックに戻される。別のチューブが同一の試験を経験しなければならないことが判定されるとすぐ、それもまたラックに戻され、調整ラックが一杯になるまで、または、時間閾値を超えるまで同じように続き、その後、調整ラックは、このラックの行先を使用者に示すために、コンベアーがある場合はそれに向かって、そうでなければ、トレイの上を移動して、当該装置から回収される。
【0085】
当該装置の最高水準の動作では、受け入れられたラック上の「空の」位置の総数(すなわち、チューブを受け入れていない位置の数)は一定である。なぜなら、別のラック上に、または、それらの元の位置以外の位置へと動かされるチューブが、後者を空のままにするからである。調整ラックが一杯になり、かつ、別の一杯の後に続くラックによって置き換えられるとすぐ、それらが取り出される場合も残る。
【0086】
調整ラックが使用者の要求で回収される時、または、時間閾値を超えれば、調整能力を回復するために、空のラックが当該装置に挿入されなければならない。
【0087】
一般的に言えば、撹拌機によって管理されるそれぞれの追加のラックは、異なる調整先の管理を許容する。4つのラックはしたがって、2つの調整先の管理を可能にし、かつ、第2の撹拌機の追加は、調整先の数を増大させることを可能にするであろう。
【0088】
第2の特徴は、当該装置の論理の管理の変化である。具体的には、工程aから工程kを参照して説明された場合では、当該装置は、連鎖の残部とは完全に独立している。なぜなら、ラックは、それが含むチューブがラックにおけるそれらの順番で必ずしも処理されないか、または、別のラックが優先的に処理されてもよいが、それが入ったとの同一のやり方で戻るように出るであろうからである。言い換えると、装置は、コンベアーに接続されている時でさえ他の装置によって影響を受けない、閉じた領域を構成する。
【0089】
工程lから工程oの場合では、当該装置は、システムによって形成された連鎖になったリンクである。そのようであるので、当該装置の管理は、システムの総合的なステータスによって影響を受ける。
【0090】
したがって、ラックが装置に挿入される時、当該装置は、このラックの各チューブに関するデータを読み取り、これから各チューブについての行先データを得、かつ、各チューブについて実行されるべき工程のリストを更新する。行先データは、処理後にチューブが運ばれなければならない次の装置を示すか、または、さらなる試験がなければ貯蔵を示す。ここに記載の例では、行先データは、ローカルデータベースまたはリモートデータベースにアクセスすることによって、チューブの識別子に基づいて判定される。代替的には、それらは、チューブについて読み取られるデータの一部であり得る。
【0091】
次に、所定のチューブの試験を実行する時間が来る時、すなわち、当該装置がラック上にあるチューブを把持するようクランプに指令する時、目下の試験後のチューブの行先データがそれらを受け入れるラックのものと同一であるかどうかを判定するために、チューブに関するデータの新たな読取が実行される。そうであれば、速度を最適化するために提供されるものに基づいて、工程c、工程fまたは工程gが実行される。そうでなければ、工程l、工程mまたは工程nが実行される。
【0092】
最初は、どのラックも行先データを有していない。ラックに行先データが付与されてもよいのは、それが受け入れる第1のチューブのサンプリングの時である。具体的には、本発明によれば、どのラックもチューブのものと同一である行先データを有していない時、この行先データは最も古いラックに付与される。
【0093】
代替的には、ラックは、それらが受け入れるチューブの行先データに基づいて、かつ、当該装置へのラックのローディングの時点で既にローディングされていた他のラックの行先データに基づいて、行先データを付与されてもよい。
【0094】
この態様では、チューブが処理されるにつれて、当該装置にローディングされたラック上のそれらの配置およびそれらの分布が修正される。例えば、チューブがその元のラックとは異なるラックに戻された時、元のラックの次のチューブが元のラックに戻されれば、それは、その元の位置ではなく、先行するチューブによって空のままである位置に配置されるであろう。
【0095】
同様の態様では、所定のラックのチューブが、試験されるべきではないが、それを受け入れるラックのものとは異なる行先データを有していれば、クランプによってチューブの特定の運動が実行され得る(工程o)。既に当該装置にローディングされたラック上に受け入れられたチューブがその修正された試験を有し、もはや当該装置が意図した分析または試験に対応しない場合も、同様である。
【0096】
上記の工程のうち、工程oは、それがいかなる試験も提供しないという意味で、速度に影響を与えることが可能な唯一のものである。しかしながら、この状況は実際には極めて珍しいはずであり、かつ、避けることができない。
【0097】
したがって、当該装置は、上記のものと同一の原理にしたがって機能し、かつ、類似の利点を取得することを可能にするが、その論理は、外部イベントがその動作に影響するかも知れないので異なると思われる。
【0098】
例えば、使用者は、システム内に既にあるチューブについて、最初は計画されていなかった補足試験を追加することを決定してもよい。この場合、チューブは、十中八九、その処理のうちの1つの実行中に行先調整ラックに向かって動かされるであろう。さらに、後に続くすべてのチューブもまた、それらの追加の位置とは異なる位置に動かされるであろう。このことにも関わらず、速度は、本発明の装置を利用して、最高レベルのままであろう。
【0099】
工程lから工程oを実装するために与えられた例は、コンベアーによって接続された複数の装置を有するシステムを参照して説明された。しかしながら、それらは、コンベアーがなくても、工程jおよび工程kと完全に組み合わせられ得る。具体的には、選択された行先データを有するラックは、問題の行先の距離特性にしたがって、トレイ4または6の上を動かされ得る。さらに、対応する行先データが、各ラックについて近くに表示され得る。
【0100】
上記では、工程の期間は15秒に設定されたが、これは、具体的には1時間に120回のサンプリングという所望の速度に鑑み、工程の細分性とスケジューリングの効率との間の良好な妥協点を提供する期間である。代替的には、トレードオフおよび所望の速度に基づいて、他の期間が選択されてもよい。
【0101】
概して、空で当該装置に挿入されたラックが、「無理矢理」、すなわち、使用者の要求で、または、時間閾値の経過後に、回収されるたびに、これがコンベアーに向かって起きようがトレイに向かって起きようが、それは置き換えられなければならない。この置換は、手動または自動で実行され得る(例えばコンベアーを介して)。
【0102】
上記の装置は、チューブのサンプリング後に特定の数の試験を実行するように構成されている。代替的には、当該装置はサンプリングのみに限定されてもよく、かつ、分析器がユニットから遠くにあってもよい。
【0103】
上記の説明は血液製品に関したが、本発明は、すべてのタイプの生体液体、特に体液の処理に採用され得る。