特許第6824986号(P6824986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧 ▶ ローム アンド ハース カンパニーの特許一覧

特許6824986積層接着剤用途のためのアクリル/エポキシ複合材料
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824986
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】積層接着剤用途のためのアクリル/エポキシ複合材料
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20210121BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20210121BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20210121BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   C09J163/00
   C09J201/00
   C09J133/00
   C09J11/06
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-528611(P2018-528611)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公表番号】特表2019-506463(P2019-506463A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】US2016054789
(87)【国際公開番号】WO2017112018
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年9月19日
(31)【優先権主張番号】62/270,608
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ウェンウェン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・シエ
(72)【発明者】
【氏名】ヅェンウェン・フー
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−029871(JP,A)
【文献】 特開2012−180516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)脂肪族エポキシ化合物を吸収させた熱可塑性ポリマー粒子の水性分散体であって、前記脂肪族エポキシ化合物の濃度が、前記水性分散体の固形分の総重量に基づいて1〜40重量パーセントである、水性分散体と、
b)ポリアミン、ポリアミド、アミドアミン、カルボン酸官能性ポリエステル、無水物、メルカプタン、ポリメルカプタン、環状アミジン、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの水乳化性または水分散性のエポキシ硬化剤と、を含む、積層接着剤組成物。
【請求項2】
前記脂肪族エポキシ化合物が、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)脂肪族エポキシ化合物を水と混合して、50ナノメートル〜10ミクロンの範囲の大きさを有するエポキシ粒子を含むエポキシエマルションを形成することと、
b)前記エポキシエマルションを水性アクリラート分散体と混合して、エポキシを吸収させたアクリル粒子を有するアクリル/エポキシラテックスを形成することと、
c)前記アクリル/エポキシラテックスを硬化剤と混合して、接着剤組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項4】
前記脂肪族エポキシ化合物が、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)における混合が、10〜90℃の範囲の温度で生じ、かつ前記ステップ(b)における混合が、20〜80℃の範囲の温度で生じる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
硬化した積層物を形成するための方法であって、
a)請求項1に記載の硬化性組成物を第1の基材へ適用することと、
b)前記硬化性組成物を乾燥させることと、
c)第2の基材を前記コーティングした第1の基材に積層させて、積層物を形成することと、
d)前記積層物を硬化させて、前記硬化した積層物を形成することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記第1及び/または第2の基材が、ポリマー薄膜、金属化ポリマー薄膜、箔、ポリマーで裏打ちされた金属箔、紙、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2015年12月22日出願の米国仮出願第62/270,608号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
積層接着剤は、食品包装用途のための可撓性積層物(2層以上を有する)の製造において広く用いられている。接着性組成物に基づいて、積層接着剤は、3つの区分、すなわち、溶媒媒介性(SB)、無溶媒(SL)及び水媒介性(WB)に分類することができる。水媒介性乾燥積層接着剤(WBDL)は、清浄化するのがより安全で、すなわち、VOCの問題または溶媒の保持がなく、かつ容易であることが既知である。WBDL接着剤用途のための1つの現行技術は、アクリル/ポリウレタン系2K系である。これは、少量の低分子量ポリオールによって改質されたアクリルラテックスであり、適用前に水乳化性イソシアナートと組み合わされる。これらの積層接着剤は、一般的及び中程度の性能の適用について比較的十分に挙動する。しかしながら、より需要のある中程度〜高い性能の適用については、これらのWBDL接着剤はしばしば、温度、水分、及び化学物質への脆弱な耐性により失敗に終わる。さらに、これらの接着剤は、箔または金属薄膜のようなある特定の物質への適切な接着を呈しない。それゆえ、より良好な性能特性を備えたWBDL接着剤が所望である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの広範な態様において、a)エポキシ化合物を吸収させた熱可塑性ポリマー粒子の水性分散体であって、エポキシ化合物の濃度が、水性分散体の固形分の総重量に基づいて1重量パーセント〜40重量パーセントである、水性分散体と、b)ポリアミン、ポリアミド、アミドアミン、カルボン酸官能性ポリエステル、無水物、メルカプタン、ポリメルカプタン、環状アミジン、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの水乳化性または水分散性のエポキシ硬化剤と、を含む、からなる、あるいはから本質的になる、積層接着剤組成物が開示される。
【0004】
本発明の別の態様において、a)請求項1に記載の硬化性組成物を第1の基材へ適用するステップと、b)硬化性組成物を乾燥させるステップと、c)第2の基材をコーティングした第1の基材へ積層させて、積層物を形成するステップと、d)当該積層物を硬化させて、硬化した積層物を形成するステップと、を含む、からなる、またはから本質的になる、硬化した積層物を形成するための方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
適切なエポキシ化合物の例としては、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪環エポキシ樹脂、及び芳香族エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例としては、1,2−プロパンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンドメタノール(cyclohexanedmethanol)ジグリシジルエーテル、1,3−シクロヘキサンドメタノール(cyclohexanedmethanol)ジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキシメチル(epoxycyclohexymethyl)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−5,1”−スピロ−3”,4”−エポキシシクロヘキサン−1,3−ジオキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、DGEBA系の固体エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、及びクレゾールエポキシノボラックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
アクリラート粒子の中に封入されるエポキシ樹脂の量は概して、アクリラート分散体における固形の総重量に基づいて1重量パーセント〜40重量パーセントの範囲にあり、種々の他の実施形態においては1重量パーセント〜15重量パーセント、種々の他の実施形態においては1重量パーセント〜10重量パーセントの範囲にある。
【0007】
アクリラート分散体は、遊離基のエマルションもしくは懸濁液の付加重合を通じて、またはあらかじめ形成されたポリマーの水性媒体中への剪断下での分散によって調製されることができる。アクリルラテックス粒子の調製に適したモノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びメタクリル酸2−エチルヘキシル、ならびにこれらの組み合わせのような、アクリレート類及びメタクリレート類を含むが、これらに限定されない。
【0008】
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリル酸ホスホエチル、スチレンスルホン酸ナトリウム、及びスルホン酸アクリルアミド−メチル−プロパンのような、酸官能性を有するモノマーも含まれ得る。概して、酸モノマーの濃度は、当該ポリマーの重量に基づいて20重量パーセント以下である。酸モノマーの濃度は、一部の実施形態において、最高15重量パーセントであり得、種々の他の実施形態において、最高5重量パーセントであり得る。
【0009】
種々の実施形態において、アクリルラテックスは、スチレン及びアクリロニトリルのような他のモノマーの構造単位、ならびにアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルのような、同時に硬化できる官能性を付与することのできるモノマーの構造単位も含み得る。
【0010】
種々の実施形態において、エポキシエマルションは、エポキシ樹脂を水と混合することによって調製される。種々の実施形態において、この混合は、10℃〜90℃、好ましくは20℃〜60℃の範囲の温度で生じ、高速のミキサーまたはホモジナイザーが使用される。種々の実施形態において、界面活性剤は、エポキシエマルションの調製において使用されることができる。適切な界面活性剤は、酸化ポリアルキレンブロックコポリマーのようなAPEO非含有の非イオン性湿潤剤を含む非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、脂肪酸エステル、グリセロールアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ならびにThe Dow Chemical Companyから入手可能なTRITON(商標)X−405 Octylphenol Ethoxylateのような市販の湿潤剤を含む、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテルを含むが、これらに限定されない。界面活性剤を使用する場合、0.5重量パーセント〜5重量パーセントの範囲の濃度で概して使用される。
【0011】
エポキシエマルションは、50ナノメートル〜10ミクロンの範囲の大きさを有するエポキシ粒子を含む。50nm〜50ミクロンのいかなる範囲も及びすべての範囲は、本明細書に含まれ、本明細書において開示され、例えば、エポキシ粒子は、50nm〜15ミクロン、または50nm〜10ミクロンの範囲の大きさを有し得る。
【0012】
次に、エポキシエマルションをアクリラート分散体と混合して、エポキシを完全に吸収させたアクリル粒子を有するアクリル/エポキシラテックスを形成する。この混合は、20℃〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の範囲の温度で典型的に生じる。
【0013】
吸収させたアクリル/エポキシラテックス組成物を硬化剤で硬化させる。適切な硬化剤の例としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、アミン付加物、ポリアミド、アミドアミン、カルボン酸官能性ポリエステル、無水物、メルカプタン、ポリメルカプタン、環状アミジン、ポリエーテルアミン、及びこれらの何らかの2つ以上の組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。より具体的な例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1−エチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、1,2−ジアミノ−4−エチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシル−3,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロン−ジアミン、ノルボランジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシル−プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキサン−アミノ−プロパン、1,3−及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリアミドアミン、ならびに尿素及びメラミンとアルデヒドとの反応によって形成されるアミノプラスト樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
吸収させたアクリル/エポキシラテックス組成物は、広範な温度範囲にわたって有効な時間硬化させることができる。種々の実施形態において、この硬化は、硬化性組成物(硬化剤を吸収させたアクリル/エポキシラテックス)が基材へ適用された後に生じる。この基材は、ポリマー薄膜、金属化ポリマー薄膜、箔、ポリマーで裏打ちされた金属箔、紙、及びこれらの組み合わせからなる群から概して選択される。
【0015】
種々の実施形態において、アクリル/エポキシラテックスは、硬化剤(hardner)/硬化剤(curing agent)と混合して、第1の基材上をコーティングして、1.5〜2.2lb/連の乾燥コーティング重量を生じる。次に、第2の基材を第1の基材へ積層することができ、結果として生じる積層物は、40〜50℃のような室温または高温で硬化させることができる。この基材は、ポリマー薄膜、金属化ポリマー薄膜、箔、ポリマーで裏打ちされた金属箔、紙、及びこれらの組み合わせからなる群から概して選択される。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
a)エポキシ化合物を吸収させた熱可塑性ポリマー粒子の水性分散体であって、前記エポキシ化合物の濃度が、前記水性分散体の固形分の総重量に基づいて1〜40重量パーセントである、水性分散体と、
b)ポリアミン、ポリアミド、アミドアミン、カルボン酸官能性ポリエステル、無水物、メルカプタン、ポリメルカプタン、環状アミジン、及びこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つの水乳化性または水分散性のエポキシ硬化剤と、を含む、積層接着剤組成物。
項2.
前記エポキシ化合物が、1,2−プロパンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンドメタノール(cyclohexanedmethanol)ジグリシジルエーテル、1,3−シクロヘキサンドメタノール(cyclohexanedmethanol)ジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキシメチル(epoxycyclohexymethyl)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−5,1”−スピロ−3”,4”−エポキシシクロヘキサン−1,3−ジオキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、DGEBA系の固体エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、クレゾールエポキシノボラック、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項1に記載の組成物。
項3.
a)エポキシ樹脂を水と混合して、50ナノメートル〜10ミクロンの範囲の大きさを有するエポキシ粒子を含むエポキシエマルションを形成することと、
b)前記エポキシエマルションを水性アクリラート分散体と混合して、エポキシを吸収させたアクリル粒子を有するアクリル/エポキシラテックスを形成することと、
c)前記アクリル/エポキシラテックスを硬化剤と混合して、接着剤組成物を形成することと、を含む、方法。
項4.
前記エポキシ樹脂が、1,2−プロパンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンドメタノール(cyclohexanedmethanol)ジグリシジルエーテル、1,3−シクロヘキサンドメタノール(cyclohexanedmethanol)ジグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキシメチル(epoxycyclohexymethyl)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−5,1”−スピロ−3”,4”−エポキシシクロヘキサン−1,3−ジオキサン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、DGEBA系の固体エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、クレゾールエポキシノボラック、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項3に記載の方法。
項5.
前記ステップ(a)における混合が、10〜90℃の範囲の温度で生じ、かつ前記ステップ(b)における混合が、20〜80℃の範囲の温度で生じる、項3に記載の方法。
項6.
硬化した積層物を形成するための方法であって、
a)項1に記載の硬化性組成物を第1の基材へ適用することと、
b)前記硬化性組成物を乾燥させることと、
c)第2の基材を前記コーティングした第1の基材に積層させて、積層物を形成することと、
d)前記積層物を硬化させて、前記硬化した積層物を形成することと、を含む、方法。
項7.
前記第1及び/または第2の基材が、ポリマー薄膜、金属化ポリマー薄膜、箔、ポリマーで裏打ちされた金属箔、紙、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項6に記載の方法。
【実施例】
【0016】
材料
Robond(商標)L−90M:Dow Chemical Companyから入手可能な、固形分〜42%を有するアクリルエマルション。
【0017】
Robond(商標)L−330:Dow Chemical Companyから入手可能な、固形分〜45%を有するアクリルエマルション。
【0018】
Robond(商標)L−230:Dow Chemical Companyから入手可能な、固形分〜45%を有するアクリルエマルション。
【0019】
DER331:Olinから入手可能な、エポキシ当量(EEW)182〜192のビスフェノールA系液体エポキシ樹脂。
【0020】
DER731:Olinから入手可能な、EEW:130〜145の脂肪族液体エポキシ樹脂。
【0021】
CR9−101:The Dow Chemical Companyから入手可能な、イソシアナート系水分散性架橋剤。
【0022】
Anquamine401:Air Productsから入手可能な、水中の70%固体で供給される、アミン水素当量200の、改質された脂肪族アミン硬化剤。使用前に脱イオン水を用いて1:1の重量比で希釈される。
【0023】
トリトンX−405:Dow Chemical Companyから入手可能な、水中で70%の非イオン性界面活性剤であるオクチルフェノールエトキシラート。
【0024】
PET(92LBT):Dupontから入手可能な、厚さ23ミクロン(92ゲージ)のポリエステルであるポリ(エチレングリコール−テレフタラート)。
【0025】
OPP:Coex PP(75SLP):Exxon Mobilから入手可能な、厚さ19マイクロメートル(0.75ミル)の非ヒートシール性のBicor SLP指向性ポリプロピレン。
【0026】
PE:GF−19、Berry Plastics Corp.から入手可能な、厚さ25.4マイクロメートル(1.0ミル)の高スリップ低密度のポリエチレン薄膜。
【0027】
PET−Foil:Dow Chemical Companyから入手可能な、3.26g/m(2.00lb/ream)のAdcote550/Coreactant Fを有する0.00035ミルのAl Foilへ積層した12マイクロメートル(48ゲージ)のポリエステル(PET)薄膜。
【0028】
アクリルエポキシ混成物(AEH)分散体の例
アクリルエポキシ混成物分散体の例を、2つのステップで調製した。第1のステップにおいて、エポキシエマルションを高剪断下で調製し、第2のステップにおいて、高温でエポキシエマルションをアクリルラテックスと混合して、このエポキシ樹脂をラテックス粒子中へとオーバーヘッド撹拌下で緩徐に分散させておいた。詳細な配合を表1に要約する。
【0029】
Robond(商標)L−90M及びDER331に基づくアクリルエポキシ混成物(AEH)の例、例えば、アクリルエポキシ混成物例1であるAEH−1を調製する典型的な例において、30gのトリトンX−405及び67gの脱イオン水を金属缶の中で、均質な界面活性剤溶液を形成するまで数分間混合し、次に、129.5gの予熱しておいたDER331(樹脂粘度を低下させるために60℃のオーブンにおいて予熱)をこの界面活性剤溶液へ、オーバーヘッド撹拌の下で添加し、この混合物を、エポキシ液滴が容器の壁に接着しなくなるまで撹拌した。次に、エポキシ/界面活性剤/水混合物を高剪断条件下で、オーバーヘッド高速ミキサーを用いて3000rpmで20分間混合した。最後に、45.3gの形成されたエポキシエマルションを、65gの予熱しておいたRobond(商標)L−90M(60℃)を含有するフラスコへ添加した。このエポキシ/Robond(商標)L−90M混合物を60℃で1〜2時間撹拌した。試料をフラスコから周期的に採取して、DLSによってラテックス粒径を確認した。大きなエポキシ液滴がDLS分析において観察されなくなったとき、撹拌を中止した。試料をガラス瓶へと入れ、室温で保存した。
【0030】
30重量%未満のエポキシを含有するアクリルエポキシ混成物分散体を2つの方法において調製した。
方法1:直接的な封入。5%(固体に基づく)DER731を封入したRobond(商標)L−330を調製する典型的な例(AEH−9)において、30gのトリトンX−405及び67gの脱イオン水をまず金属缶の中で均質な界面活性剤溶液が形成されるまで数分間混合した。次に、129.5gのDER731を界面活性剤溶液へオーバーヘッド撹拌の下で添加し、この混合物をエポキシ液滴が容器の壁へ接着しなくなるまで撹拌した。次に、このエポキシ/界面活性剤/水混合物を高剪断条件下で、オーバーヘッド高速ミキサーを用いて2000rpmで20分間混合した。最後に、24.2gの形成されたエポキシエマルションを、60℃で予熱しておいた600gのRobond(商標)L−330を含有するフラスコへ添加した。このエポキシ/Robond(商標)L−330混合物を60℃で4時間撹拌した。試料をフラスコから周期的に採取して、DLSによってラテックス粒径を確認した。大きなエポキシ液滴がDLS分析において観察できなくなったとき、撹拌を中止した。試料をガラス瓶へと入れ、室温で保存した。
【0031】
方法2:30%エポキシを含有するアクリルラテックスとよりアクリル性のあるエマルションとのブレンド。5%(固体に基づく)DER331を封入したRobond(商標)L−90Mを調製する典型的な例(AEH−5)において、118gのRobond(商標)L−90Mラテックスを、20gのAEH−1(30%DER331を含有するRobond(商標)L−90M)とともにローラ上で2時間混合した。典型的な配合を表2に要約する。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
積層接着剤の実施例及び比較実施例
エポキシ樹脂を含有するアクリルラテックスをアミン硬化剤と混合した後、積層し、エポキシド/NH基の化学量論を1:0.8〜1:1に設定したので、具体的な配合を表3に示す。このプラスチック薄膜を約0.12〜0.14KWというより低レベルでコロナ処理した後、積層した。典型的には、各試料を、約1.6〜1.8lb/rmであるよう調整されたコーティング重量を有する一次薄膜上へと手動コーティングした後、80℃での温度設定を有するオーブンの中で1分間乾燥させた。この一次薄膜を180°Fでのニップ温度設定を有する油系積層装置上で二次薄膜へと積層した。結合力検査を容易にするために、少なくとも5個の積層物(約9インチ×11インチ)を、一部の積層物内に結合ストリップを有しながら各配合について調製した。この積層物を、積層物試料にわたって等価の圧力を適用するために、1〜2lbの重しの下に置き、この積層物を室温で2週間または50℃で1日硬化させておいた。
【0035】
積層構造の結合力測定
T−剥離結合力を、1インチのストリップ上で、50Nの負荷セルを備えたInstron引張検査装置上で10インチ/分の速度で測定した。5個のストリップを各積層物について検査し、高い及び平均の強度を失敗モードとともに記録した。薄膜の裂け及び薄膜の伸びの場合、高い値を記録し、他の失敗モードにおいては、平均T−剥離結合力を報告した。典型的な失敗モードは以下を含む。
AF−接着剤の不全(一次との接着)、
AT−接着剤の移送(二次との接着)、
AS−接着剤の裂け(接着剤の粘着性不全)、
FT−薄膜の裂け(結合の破壊)
FS−薄膜の伸び(結合の破壊)
【0036】
積層物のボイルインバッグ検査
硬化した積層物(9インチ×11インチ)のうちの1つを折りたたんで二重の層を得た。縁をペーパーカッターで、約5インチ×7インチの折りたたんだピースへと調えた。次に、縁を熱で密封して、4インチ×6インチの内部の大きさを有するパウチを得た。2つのパウチを各検査について作った。次に、パウチを100mLの脱イオン水または1:1:1のソース(等重量部分のケチャップ、酢及び植物油の配合)のいずれかで、開いた縁を通じて満たした。充填後、パウチの内側に空気が捉えられているのを最小限にする様式でパウチを密封した。次に、充填したパウチを沸騰水の中に注意深く入れ、そこで30分間維持し、バッグが全過程の間に水中に常に浸漬していたことを確認する。完了した時、トンネリング、脱積層または漏逸の程度を、標識した既存の欠陥と比較した。次に、バッグを空け、少なくとも2個の1インチストリップをパウチから切り出し、T−剥離結合力をできるだけすぐに測定した。
【0037】
【表3】
【0038】
比較実施例1、実施例1及び実施例2
比較実施例1、実施例1、及び実施例2をPET/PE積層物において評価した。Anquamine401を硬化剤として実施例1及び実施例2について使用した。エポキシド:NH基の化学量論を1:0.8に設定した。表4において示されるように、比較実施例1と比較すると、実施例1及び実施例2を積層物に使用したとき、初期結合の液滴は観察されなかった。実際、わずかにより高い初期結合が、実施例2の場合において達成された。結合力は、エポキシ樹脂が経時的に硬化するにつれて増大した。例えば、実施例2を積層物に使用したとき、結合力は、1日硬化させた後に250g/インチから320g/インチを超えるまで増大し、室温で1週間硬化させた後に800g/インチ超という非常により高い結合力を達成した。薄膜の裂けは、積層物を室温で2週間硬化させておいたときに観察された。対照的に、比較実施例1に基づく積層物の結合力は、2週間後でさえ〜320g/インチに過ぎなかった。また、結合力の持続的なビルドアップが実施例1において観察され、2週間の硬化後に薄膜が裂けた。
【0039】
実施例1を上回る実施例2の結合力の改善は、期待されていない。いずれの実施例も、同じポリマー粒子を含有していた。しかしながら、実施例2は、脂肪族エポキシを吸収していたのに対し、実施例1はビスフェノールAエポキシを吸収していた。コーティングのような従来のエポキシ用途において、ビスフェノールAエポキシ樹脂は通常、より良好な機械力、化学耐性、及び耐熱性を実証している。
【0040】
【表4】
【0041】
比較実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5
比較実施例2、実施例3、実施例4、及び実施例5の積層接着剤を、PET/PE積層物において評価した。Anquamine401を実施例3、実施例4、及び実施例5のための硬化剤として使用した。エポキシド:NH基の化学量論を1:0.8に設定した。表5に示されるように、実施例4を積層物に使用したとき、結合力は、1日の硬化後に170g/インチから400g/インチ超まで増大し、薄膜の裂けは、室温で1週間硬化させた後に達成した。実施例3を積層物に使用した場合、結合力の増大は、エポキシが硬化するにつれて観察された。実施例5を積層接着剤として使用したとき、初期結合力は380g/インチ(AS)で測定され、薄膜の裂けは、室温で1週間硬化させた後に観察された。
【0042】
比較実施例2と比較すると、実施例5は、完全に硬化した後の比較実施例2と同等の/当該比較実施例2と比べて良好な結合力を示した。
【0043】
実施例4及び実施例5は、実施例3よりも改善された結合力及び迅速な結合を実証した。実施例4及び実施例5に脂肪族エポキシ樹脂を吸収させたのに対し、実施例3にビスフェノールAエポキシ樹脂を吸収させた。ビスフェノールA吸収接着剤を上回る脂肪族エポキシ吸収接着剤の改善された結合力及び迅速な結合は、期待されていない。食品接触性用途におけるビスフェノールAの使用に関する懸念により、実施例4及び実施例5が好ましい。
【0044】
また、比較実施例2、実施例4及び実施例5を、OPP/PE及びPET−箔/PEを含む他の積層構造を用いて評価した。典型的な結合力を表6に要約する。実施例4及び実施例5を接着剤として使用したとき、先の構造すべてに関して良好な結合力を観察した。実施例4及び実施例5は、50℃で1日間硬化させた後に、すべての構造、すなわちPET/PE、OPP/PE、及びPET−箔/PEに関して比較実施例2を上回る改善された結合力を実証した。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
比較実施例2、実施例6及び実施例7
比較実施例2ならびに実施例6及び実施例7の積層接着剤をPET/PE積層物において評価した。Anquamine401を実施例6及び実施例7のための硬化剤として使用した。エポキシド:NH基の化学量論を1:1に設定した。典型的な結合力の結果を表7に要約する。比較実施例2と比較すると、実施例6及び実施例7は、完全に硬化した後の比較実施例2よりも良好な結合力を示した。薄膜の裂けは、すべての場合において観察された。
【0048】
積層物の耐熱性及び化学耐性を、硬化した積層物とともに調製した、パウチの中へと充填させた脱イオン水または1:1:1のソースのいずれかを用いるボイルインバッグ検査において試験した。実施例6及び実施例7は、比較実施例2よりも良好な耐熱性及び化学耐性を示した。1:1:1のソースへ曝露された100℃で30分間のボイルインバック検査において、より高い結合力が観察された。
【0049】
【表7】