特許第6824994号(P6824994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824994
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】血液の調製及びプロファイリング
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20210121BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20210121BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   G01N33/68
   G01N33/48 B
   G01N33/49 Z
【請求項の数】14
【全頁数】90
(21)【出願番号】特願2018-537693(P2018-537693)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公表番号】特表2018-530766(P2018-530766A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】AU2016000341
(87)【国際公開番号】WO2017059477
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年9月30日
(31)【優先権主張番号】2015904075
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518120083
【氏名又は名称】サングイ バイオ ピーティーワイ. エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ベン ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】アラン リドル
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ヒル
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/156806(WO,A2)
【文献】 特開2015−055620(JP,A)
【文献】 特表2013−501926(JP,A)
【文献】 PASINI Erica M. et al.,In-depth analysis of the membrane and cytosolic proteome of red blood cells,Blood,2006年,Vol.108, No.3,pp.791-801
【文献】 ANNISS Angela M. et al.,Proteomic analysis of supernatants of stored red blood cell products,TRANSFUSION,2005年 9月,Vol.45,pp.1426-1432
【文献】 HAUDEK Verena J. et al.,Proteome Maps of the Main Human Peripheral Blood Constituents,Journal of Proteome Research,2009年,Vol.8,pp.3834-3843
【文献】 FERRU Emanuela et al.,A new method for the capture of surface proteins in Plasmodium falciparum parasitized erythrocyte,The Journal of Infection in Developing Countries,2012年,Vol.6, No.6,pp.536-541
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/49,33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)対象から取得された血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成することであって、該対象から取得された血液試料が5μL〜100μLの量である、前記生成すること;
b.)該赤血球濃縮試料中の赤血球を培地中でインキュベートすること;並びに
c.)該赤血球濃縮試料から該インキュベートされた培地に分泌又は放出された1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該インキュベートされた培地中で検出される1種以上のタンパク質を含み、かつ該1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、ホルモン、及び酵素からなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記1種以上のタンパク質が、2種以上のタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1種以上のタンパク質が、3種以上のタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記1種以上のタンパク質が、4種以上のタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記インキュベートされた培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記対象がヒト又は非ヒト動物である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
1種以上の抗体を用いて、前記1種以上のタンパク質の存在検出るか、又は該1種以上のタンパク質のレベル測定る、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
検出される前記1種以上のタンパク質が、サイトカインである、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上のタンパク質、2種以上のタンパク質、3種以上のタンパク質、又は4種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、IL-8、MCP-1、RANTES、及びDDTからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記インキュベートされた培地中で検出される1種以上のタンパク質が、前記赤血球の表面又は内部から分泌又は放出される、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
工程b)における前記赤血球濃縮試料中の前記インキュベートされた赤血球を、工程b)における前記インキュベートされた培地から分離することをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記赤血球濃縮試料由来の前記分離された赤血球を溶解することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記赤血球濃縮試料由来の前記溶解された赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを検出することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記赤血球濃縮試料由来の前記溶解された赤血球において検出された前記1種以上のタンパク質のレベルを測定することをさらに含む、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、概して、血液学の分野に関する。本開示はまた、血液中のタンパク質プロファイリング、並びに、特に、赤血球濃縮血液試料中のサイトカイン及び/又はケモカインプロファイルを含む血液タンパク質プロファイルを生成又は作製する方法に関する。
【0002】
(相互参照)
本出願は、2015年10月7日出願の、「血液の調製及びプロファイリング」と題するオーストラリア特許出願第2015904075号の優先権を主張するものであり、それに関連する。本出願は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている。加えて、本開示で言及される他の参考文献又は刊行物も、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
(背景)
血液のタンパク質プロファイリングは、様々な目的のために使用されている。例えば、末梢血単核細胞(PBMC)及び血清/血漿中の指標タンパク質のプロファイリングは、疾患の診断に一般に使用されている。また、血液内のタンパク質プロファイルを監視することは、治療に対する応答を監視する手段及び寛解又は退行の指標を提供することにより、より効果的な治療的介入を導くのを助けることができる。
【0004】
サイトカイン、ケモカイン及び成長因子などの血液コンパートメント中の生物学的マーカーは、炎症、免疫応答、及び修復への洞察を提供することができる。特に、血液中の炎症促進性及び/又は抗炎症性のサイトカイン及びケモカインの検出並びにそれらのレベルの定量化は、免疫状態を測定するために広く使用されている。これらのサイトカイン及びケモカインは、特定の疾患状態を診断し、疾患を発症する素因を決定し、かつ/又は予後転帰を予測するために一般に使用されている。
【0005】
典型的には、血液コンパートメント中の様々なタンパク質の検出及び定量化は、分離された血清/血漿、及び/又はPBMCを用いて評価される。これは、血液の最も豊富な細胞成分で、その体積の40%〜50%を占める赤血球(erythrocyte)/赤血球(red blood cell)(RBC)を効果的に無視する。RBCは、処理/アッセイを複雑にし得、かつ/又は血液の全体的なタンパク質プロファイルに多大な貢献をもたらすとは考えられていないので、血漿/血清及び/又は白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))上でタンパク質分析を行う前に日常的に取り除かれる。したがって、RBCが、実質的に貢献し、かつ/又はそうでなければ血液のタンパク質プロファイルに影響を与える場合には、現在の分析は不十分である。
【0006】
また、採血技術における不一致及び/又は血液を処理する方法が、既知のタンパク質プロファイリングの精度に悪影響を与える可能性があることが明らかになってきた。
【0007】
そのために、血液中のタンパク質プロファイルを決定するためのより包括的な、かつ/又は一貫した方法に対する必要性が存在する。したがって、本明細書に開示されるこれらの及び他の問題に対処するためのシステム、方法並びに/又はキットが望ましい。本開示は、本明細書の説明から明らかになるように、従来技術の欠点の少なくとも1つの克服及び/又は改善を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(本開示の概要)
本発明者らは、驚くべきことに、血液タンパク質プロファイルを決定しようとする血液タンパク質プロファイル分析から日常的に除外される血液の主要成分であるRBCが、それにもかかわらず、実質的なレベルでいくつかの異なるタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、成長因子)の供給源であることを特定した。さらに、本発明者らは、血液及び/又は成分が採取並びに処理される方法に依存して、個々の血液コンパートメント内で検出される様々なタンパク質(例えば、赤血球、血漿、白血球)のレベルが著しく異なり得ることを見出した。このように、本発明者らは、RBC中の新たに特定されたタンパク質の存在又はレベルを評価することによって、濃縮赤血球試料のタンパク質プロファイルを生成するための新規かつ有用な実験室技術を作った。新規かつ有用な実験室技術は、血液からタンパク質プロファイルを生成し、タンパク質を検出する能力を高める(例えば、検出のレベルを高める)ために、現在の技術を超えて著しく改善されている。タンパク質は、RBC中での濃度がより高いこと、RBC中でのそれらの検出可能なレベルをさらに増加させるための独特のプロセス、及びより少ない細胞処理を必要とするRBC分離方法により、濃縮RBC試料中でより容易に検出される。さらに、RBC中でのタンパク質の濃度が高いと、少量の血液中での検出が可能になる。理論に束縛されるものではないが、RBCは、様々なタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び成長因子)のための貯蔵所として作用することができ、血液が処理される方法は、RBCによるこれらのタンパク質の放出及び/又は隔離に影響を及ぼし得ると推論される。これは、ひいては、血液のタンパク質プロファイル及び/若しくは他の血液コンパートメント(複数可)を変更並びに/又は増強することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本開示は、少量の赤血球濃縮試料若しくは画分中のタンパク質プロファイルを生成又は作製し、それによって、タンパク質プロファイルに対する血液処理の作用を低減若しくは排除するために改良された方法、キット、及び/又はシステムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の特定の非限定的な実施態様を以下に記載する。
【0011】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタンパク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;血液試料の少なくとも一部から白血球除去(leukodepleting)して、赤血球濃縮試料を生成すること;及び少量の赤血球濃縮試料中で1種以上のタンパク質の存在を検出すること、を含む方法であり、該少量は5μL〜100μLであり、生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含む。一実施態様において、本方法はさらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質含む。別の実施態様において、本方法はさらに、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する前に、該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、該カチオン塩は、該赤血球濃縮試料中で検出可能なレベルの1種以上のタンパク質を増加させる。
【0012】
本開示の他の態様において、本明細書に提供されるのは、タンパク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;該血液試料の少なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させ、該少なくとも1種のカチオン塩が該赤血球濃縮試料中で検出可能なレベルの1種以上のタンパク質を増加させること;及び少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出すること、を含み、該少量は5μL〜100μLであり、生成されるタンパク質プロファイルは該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法である。一実施態様において、本方法はさらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルは該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩のカチオンは、金属イオン又はアンモニウムイオンである。他の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、鉄塩、フランシウム塩、ピリジニウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらに他の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩化物塩である。別の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭酸塩である。さらに別の実施態様において、該少なくとも1種のカチオン塩はアンモニウム塩である。さらに他の実施態様において、該アンモニウム塩は、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタンパク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;該血液試料の少なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、を含み、生成されるタンパク質プロファイルは、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法である。
【0014】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタンパク質プロファイルを生成する方法であって、血液試料を採取すること;該血液試料の少なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;該赤血球濃縮試料中の赤血球を培地中でインキュベートすること;及び該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、を含み、生成されるタンパク質プロファイルは、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法である。一実施態様において、本方法はさらに、該培地中で検出された1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料中に測定される1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様において、該培地は、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である。
【0015】
本開示のさらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中のタンパク質プロファイルを生成する方法であって、少量の血液試料を採取すること;少量の血液試料の少なくとも一部から白血球除去して、赤血球濃縮試料を生成すること;及び該赤血球濃縮試料中で1種以上のタンパク質を検出すること、を含み、生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法である。一実施態様において、本方法はさらに、該赤血球濃縮試料で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルは、該赤血球濃縮試料中に測定される1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様において、該少量の血液試料は、対象から採取される。別の実施態様において、該少量の血液試料は、5μL〜100μLである。別の実施態様において、該少量の血液試料は、5μL〜20μLである。他の実施態様において、該少量の血液試料は、指、踵、耳、又は尾部から採取される。さらなる実施態様において、該少量の血液試料は、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取される。特定の実施態様において、該少量の血液試料は、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数採取される。別の実施態様において、該少量の血液試料は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数採取される。さらに別の実施態様において、該少量の血液試料は毎日採取される。別の実施態様において、該少量の血液試料は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数採取される。他の実施態様において、該少量の血液試料は、月に1回採取される。
【0016】
本明細書に提供される方法の特定の実施態様において、該血液試料は、対象から採取される。別の実施態様において、該血液試料は、対象の毛細血管又は対象の静脈から採取される。さらに別の実施態様において、該対象は、ヒト又は非ヒト動物である。特定の実施態様において、該対象はヒトである。特定の他の実施態様において、該対象は、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、及びイヌからなる群から選択される非ヒト動物である。さらに別の実施態様において、該対象は、疾患又は障害を有する。
【0017】
本開示の方法の他の実施態様において、該血液試料は、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、遠心分離、セルロースカラム、及びデキストラン沈降からなる群から選択される1以上の方法により白血球除去される。特定の実施態様において、該赤血球は、デキストラン沈降によって白血球除去される。
【0018】
本開示の方法の特定の実施態様において、該少量の赤血球濃縮試料は5μL〜20μLである。さらに別の実施態様において、該少量の赤血球濃縮試料は5μLである。
【0019】
本明細書に提供される方法の別の実施態様において、1又は複数のタンパク質のいずれかは、赤血球の表面、赤血球の内部、赤血球の溶解物、赤血球の上清、赤血球を含有する培地、及び赤血球を以前に含有していた培地からなる群から選択される1以上の場所から検出又は測定される。
【0020】
本明細書に提供される方法の他の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で2種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は2種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で4種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は4種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で5種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は10種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、該赤血球濃縮試料中で30種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上のタンパク質のレベルが測定される。特定の実施態様において、1種以上の抗体を用いて該1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は1種以上のタンパク質のレベルが測定される。いくつかの実施態様において、該1種以上のタンパク質は、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス成分、並びに酵素からなる群から選択される。さらに別の実施態様において、該1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパク質若しくは表2に記載のタンパク質の組み合わせからなる群から選択される。さらに他の実施態様において、該1種以上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、及びDDTからなる群から選択される。
【0021】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、赤血球濃縮血液試料中の疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、本明細書に提供される方法に従って、疾患又は障害を有する対象及び疾患又は障害を有していない対象から生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルと疾患又は障害を有していない対象のタンパク質プロファイルを比較すること、を含み、生成される疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していない対象のタンパク質プロファイルと比較して、疾患又は障害を有する対象からのタンパク質プロファイル中の異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法である。一実施態様において、該疾患又は障害は癌である。さらなる実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである。別の実施態様において、該疾患又は障害は子癇前症である。さらに別の実施態様において、該疾患プロファイルは、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルである。さらなる実施態様において、該子癇前症のタンパク質プロファイルは、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む。
【0022】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、本明細書に提供される方法に従って生成される対象のタンパク質プロファイルを取得すること;及び疾患タンパク質プロファイルと対象のタンパク質プロファイルを比較すること、を含み、該疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性は、対象が疾患又は障害を有することを示す、前記方法である。一実施態様において、該疾患又は障害は、癌、子癇前症、自己免疫疾患、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病、代謝性障害、筋骨格疾患、感染症、遺伝性障害、腎障害、及び胃腸障害からなる群から選択される。
【0023】
本開示のさらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における治療を監視する方法であって、本明細書に提供される方法に従って、治療前及び治療後に対象から生成されるタンパク質プロファイルを取得すること;並びに治療前の対象のタンパク質プロファイルを治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較すること、を含み、治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療前の対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの差が、対象に対する治療の効果を示す、前記方法である。一実施態様において、治療を受けなかった対象のタンパク質プロファイルは、治療を受けた後の対象のタンパク質プロファイルと比較される。別の実施態様において、治療後のある時点での対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療後の異なる時点での対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルと比較される。さらなる実施態様において、該対象は、同じ治療を受けている。さらに他の実施態様において、該対象は異なる治療を受けている。特定の実施態様において、該血液試料は、少量の血液試料である。特定の他の実施態様において、該対象は、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数監視される。さらなる実施態様において、該対象は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数監視される。別の実施態様において、該対象は、毎日監視される。さらに別の実施態様において、該対象は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数監視される。さらに別の実施態様において、該対象は、月に1回監視される。
【0024】
本開示の他の態様において、本明細書に提供されるのは、治療の有効性を決定する方法であって、本明細書に提供される方法に従って、治療を受けた対象、及び治療を受けていない対象から生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに治療を受けた対象のタンパク質プロファイルを治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較すること、を含み、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、治療の有効性を示す、前記方法である。
【0025】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、血液試料中の1種以上のタンパク質の検出又は測定の精度を高める方法であって、該血液試料とデキストランとを接触させること;該血液試料が白血球含有層及び赤血球緻密層を形成するのを可能にすること;赤血球緻密層中の赤血球を分離して、赤血球濃縮血液試料を作製すること;並びに該赤血球濃縮血液試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定すること、を含む前記方法である。一実施態様において、該血液試料は、少量の血液試料である。さらなる実施態様において、該少量の血液試料は、5μL〜100μLである。別の実施態様において、デキストランに対する該血液試料中の血液の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、及び10:1からなる群から選択される。他の実施態様において、該血液試料からの白血球及び血小板の平均除去率は、85%〜99%である。
【0026】
本開示の別の態様において、本明細書に提供されるのは、血液試料のタンパク質プロファイルを測定するためのキットであって、血液試料から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成するための少なくとも1種類の試薬;並びに少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための少なくとも1種類の試薬、を含む前記キットである。一実施態様において、該キットはさらに、対象から血液試料を採取するための少なくとも1種類の試薬を含む。別の実施態様において、該1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬は、1種以上の抗体である。特定の実施態様において、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)器具である。
【0027】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、対象から採取される血液試料又は該血液試料成分からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、該血液試料又は該血液試料成分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含み、該血液試料及び該血液試料成分のそれぞれが赤血球(RBC)を含む、前記方法である。
【0028】
本方法の一実施態様において、該タンパク質プロファイルは、該血液試料成分から作製される。本方法の別の実施態様において、RBCの数は、該血液試料成分中に存在する全血液細胞の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。本方法のさらに別の実施態様において、該血液試料成分は、該血液試料の白血球除去によって生成されるRBC濃縮画分である。本方法の他の実施態様において、該白血球除去は、該血液試料又はその一部から白血球の元の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除く。さらに他の実施態様において、該白血球除去は、該画分中の血液細胞の総数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超がRBCであるRBC濃縮画分を提供する。さらなる実施態様において、該血液試料又はその一部は、血小板除去に供される。別の実施態様において、該血小板除去は、該血液試料又はその一部から血小板の元の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除く。
【0029】
本方法の特定の実施態様において、該1種以上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、DDT、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の実施態様において、該1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパク質若しくは表2に記載のタンパク質の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0030】
本方法のいくつかの実施態様において、RBCの表面上の1種以上のタンパク質のレベルが決定される。さらに他の実施態様において、RBC内の1種以上のタンパク質のレベルが決定される。別の実施態様において、RBCによって放出される1種以上のタンパク質のレベルが決定される。さらに別の実施態様において、該血液試料は、乾燥血液スポット試料(DBS)である。
【0031】
本開示の一態様において、タンパク質プロファイルの作製は、RBCを含む細胞集団から細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成すること;並びに該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。一実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、該細胞溶解物を用いて行われる。本方法の他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、RBCを急速凍結すること;RBCを解凍して、細胞溶解物を生成すること;並びに該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、によって行われる。さらに別の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、細胞洗浄液を用いて行われる。さらなる実施態様において、該細胞洗浄液は、2以上の細胞洗浄液を組み合わせることによって生成される。さらに別の実施態様において、該細胞洗浄液は、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含む洗浄液を用いて生成される。
【0032】
いくつかの実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルの決定は、該細胞上清を用いて行われる。別の実施態様において、該細胞上清は、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)のうちの1以上を含む細胞培養培地で、細胞上清を生成するために使用される細胞を培養することにより生成される。他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該細胞上清の複数の試料を用いて行われ、該細胞上清の試料は、細胞上清を生成するために使用される細胞の培養物から異なる時点で抽出される。
【0033】
特定の実施態様において、方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該RBCから分けた白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。一実施態様において、本方法は、該白血球を急速凍結すること;該白血球を解凍して、白血球溶解物を生成すること;及び解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、本方法は、白血球を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞洗浄液並びに/又は細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらなる実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該RBCから分けた血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血小板を急速凍結すること;該血小板を解凍して、血小板溶解物を生成すること;及び解凍した血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、本方法は、血小板を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞洗浄液並びに/又は細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む。
【0034】
いくつかの実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該RBCから分けた血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。
【0035】
本方法の他の実施態様において、急速凍結は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-190℃、-195℃、又は-196℃以下の温度である。本方法の他の実施態様において、該急速凍結及び解凍は、複数の凍結-解凍サイクルを含む。
【0036】
本方法の別の実施態様において、白血球は、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降によって該RBCから分けられる。他の実施態様において、血小板は、遠心分離によって該RBCから分けられる。
【0037】
本方法のさらに他の実施態様において、該血液試料は、採取中に血液安定剤と混合されている。別の実施態様において、該対象から採取された血液試料を、1種以上のタンパク質のレベルを決定する前に、血液安定剤と接触させる。本方法のさらに別の実施態様において、該血液安定剤は、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び/又は抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤のうちの1以上である。本方法のいくつかの実施態様において、該血液安定剤は、抗凝固剤ではない。別の実施態様において、該血液安定剤は、アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害剤I、カルパイン阻害剤II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害剤、ペファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F-Thermo Fisher Scientific)、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤である。さらに他の実施態様において、該抗凝固剤は、ヘパリン、ヘパリン硫酸塩、パールカン、アグリン、シンデカン、ベータグリカン、グリピカン、セルグリシン、クエン酸塩、酸性クエン酸塩デキストロース、EDTA、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0038】
本方法の特定の実施態様において、該血液試料と該血液安定剤とを接触させる工程は、該対象から血液試料が採取されてから5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間、又は10時間以内に実行される。
【0039】
本方法の一実施態様において、該血液試料は、該対象の毛細血管から採取される。本方法の他の実施態様において、該血液試料は、該対象の静脈から採取される。
【0040】
本方法のいくつかの実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該血液試料が採取された時の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる。
【0041】
特定の態様において、本方法はさらに、該対象から血液試料を採取する第1の工程を含む。
【0042】
本開示のさらなる非限定的な実施態様を以下に記載する。
【0043】
本開示の特定の態様において、本明細書に提供されるのは、対象から採取された血液試料からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、血液試料又は血液試料成分から細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成する工程;及び該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程、を含み、該血液試料又は該血液試料成分が赤血球を含む、前記方法である。本方法の一実施態様において、該赤血球は、該血液試料又は該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。別の実施態様において、本方法は、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清を生成する前に、該血液試料及び/又は血液試料成分の白血球除去を含む。本方法のさらに他の実施態様は、該血液試料又は該血液試料成分と血液安定剤とを接触させる工程;及び/又は該血液試料又は該血液試料成分を急速凍結する工程、を含む。
【0044】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、対象から採取された血液試料からタンパク質プロファイルを作製することを含む方法であって、該血液試料又は該血液試料成分の白血球除去により、赤血球(RBC)濃縮画分を生成する工程;該RBC濃縮画分から細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成する工程;及び該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程、を含む前記方法である。一実施態様において、該白血球除去は、該血液試料中に存在する白血球数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超が取り除かれたRBC濃縮画分を提供する。本方法の別の実施態様において、該白血球除去は、全血液細胞中のRBCの数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を含むRBC濃縮画分を提供する。
【0045】
他の実施態様において、本方法は、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清を生成する前に、該RBC濃縮画分と血液安定剤とを接触させること;及び/又は該血液試料又は該血液試料成分を急速凍結すること、を含む。さらに別の実施態様において、該RBC濃縮画分を生成する工程は、前記急速凍結前に実行される。さらに別の実施態様において、該RBC濃縮画分を生成する工程は、前記急速凍結後に実行される。
【0046】
本方法のいくつかの実施態様において、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の前記1種以上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施態様において、該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の前記1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパク質若しくは表2に記載のタンパク質の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0047】
さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料、又は該血液試料成分の血小板除去を含む。一実施態様において、該血小板除去は、該血液試料又は該血液試料成分中に存在する血小板の総数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除く。
【0048】
別の実施態様において、該血液と血液安定剤とを接触させる工程及び/又は急速凍結する工程は、該対象から血液試料を採取する工程を行ってから5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に実行される。他の実施態様において、該細胞溶解物を生成する工程は、細胞の急速凍結及び解凍の1以上のサイクルを含む。
【0049】
他の実施態様において、本方法は、血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該血液試料又は該血液試料成分の前記白血球除去から得られた白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。特定の実施態様において、本方法は、該血液試料又は該血液試料成分の前記白血球除去から得られた白血球を急速凍結すること;該白血球を解凍すること;及び解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらなる実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;該血液試料又は該血液試料成分の前記血小板除去から得られた血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料又は該血液試料成分の前記血小板除去から得られた血小板を急速凍結すること;血小板を解凍すること;及び解凍した血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。
【0050】
さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;該血液試料又は該血液試料成分から血漿を分離すること;及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらなる実施態様において、本方法はさらに、該血漿を急速凍結すること;該血漿を解凍すること;及び解凍した血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。
【0051】
いくつかの実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分の血小板除去は、遠心分離によるものである。他の実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分の白血球除去は、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降によるものである。さらに他の実施態様において、急速凍結する工程は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、又は-80℃未満の温度である。さらなる実施態様において、解凍して、細胞溶解物を作製する工程は、1回の凍結-解凍サイクル、2回の凍結-解凍サイクル、3回の凍結-解凍サイクル、4回の凍結-解凍サイクル、5回の凍結-解凍サイクル、又は3回以上の凍結-解凍サイクル、4回以上の凍結-解凍サイクル、5回以上の凍結-解凍サイクル、又は6回以上の凍結-解凍サイクルを含む。
【0052】
本方法の他の実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分は、ヘパリン及び/又はEDTAを含む。
【0053】
本方法のさらに他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該細胞洗浄液を用いて行われる。別の実施態様において、該細胞洗浄液は、2以上の細胞洗浄液を組み合わせることによって生成される。さらに別の実施態様において、該細胞洗浄液は、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及びアール平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含む洗浄液を用いて生成される。
【0054】
本方法の特定の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該細胞上清を用いて行われる。別の実施態様において、該細胞上清は、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)のうちの1以上を含む細胞培養培地中で、細胞上清を生成するために使用される細胞を培養することによって生成される。
【0055】
本方法の他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、細胞上清の複数の試料を用いて行われ、該細胞上清の試料は、上清を生成するために使用される細胞の培養物から異なる時点で抽出される。
【0056】
別の実施態様において、本方法は、血液試料と抗凝固剤とを接触させること;該血液試料又は該血液試料成分の白血球除去から得られた白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;並びに該血液試料又は該血液試料成分の白血球除去から得られた白血球を洗浄及び/若しくは培養することにより作製された細胞洗浄液並びに/又は細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び該血液試料又は該血液試料成分の血小板除去から得られた血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。さらに他の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;並びに該血液試料又は該血液試料成分の血小板除去から得られた血小板を洗浄及び/若しくは培養することにより作製された血小板洗浄液並びに/又は血小板上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、本方法は、該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;該血液試料から血漿を分離すること;及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。
【0057】
他の実施態様において、該血小板除去は遠心分離を含む。別の実施態様において、該白血球除去は、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降を含む。
【0058】
他の実施態様において、該血液試料又は該血液試料成分は、ヘパリン及び/又はEDTAを含む。さらなる実施態様において、本方法は、細胞洗浄液又は細胞上清を生成する工程の前に、該血液試料又は該血液試料成分と血液安定剤とを接触させる工程を含む。別の実施態様において、該血液安定剤と接触させる工程は、対象から血液試料が採取されてから5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に実行される。
【0059】
いくつかの実施態様において、該血液安定剤は、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び/又は抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤;抗凝固剤ではなく、かつ/又はヘパリン、EDTA、EGTA、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、又はフッ化物(例えば、フッ化ナトリウム)ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤である。
【0060】
特定の実施態様において、該血液試料は、該対象の毛細血管から採取される。他の実施態様において、該血液試料は、該対象の静脈から採取される。
【0061】
本方法の他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該血液試料が採取される時の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる。
【0062】
本開示の一態様において、本明細書に提供されるのは、対象の血液試料からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、対象から取得された全血試料から細胞溶解物を生成する工程;及び該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程、を含む前記方法である。一実施態様において、本方法は、該全血試料を急速凍結すること;該全血試料を解凍して、細胞溶解物を生成すること;及び該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、を含む。別の実施態様において、全血試料を解凍して、細胞溶解物を作製する前記工程は、2回以上の凍結-解凍サイクル、3回以上の凍結-解凍サイクル、又は4回以上の凍結-解凍サイクルを含む。さらに他の実施態様において、急速凍結は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、-90℃、-100℃、-120℃、-104℃、-160℃、-180℃、-190℃、-200℃未満の温度である。
【0063】
本方法の特定の実施態様において、該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質は、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質は、表1に記載のタンパク質;若しくは表2に記載のタンパク質の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0064】
他の実施態様において、本方法は、該細胞溶解物を生成する工程の前に、該全血試料と血液安定剤とを接触させる工程を含む。別の実施態様において、該血液安定剤は、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び/又は抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤;抗凝固剤ではなく、かつ/又はヘパリン、EDTA、EGTA、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、又はフッ化物(例えば、フッ化ナトリウム)ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤である。さらに別の実施態様において、該全血試料と該血液安定剤との接触は、全血試料が採取された時に生じるか、又は全血試料が採取された時の5秒、10秒、20秒、30秒、45秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間若しくは10時間以内に生じる。さらに他の実施態様において、本方法は、該全血試料と抗凝固剤とを接触させることを含む。別の実施態様において、該抗凝固剤は、ヘパリン及び/又はEDTAである。本方法のさらなる実施態様において、該全血試料は、該対象の毛細血管から採取される。別の実施態様において、該全血試料は、該対象の静脈から採取される。
【0065】
本方法のさらに他の実施態様において、1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程は、該全血試料が該対象から採取されている工程の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる。
【0066】
要約で説明した実施態様に加えて、他の実施態様は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲に開示される。要約は、それぞれ及び全ての実施態様を網羅することを意図しない。組み合わせ又は変形は、本開示と共に企図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
(図面の簡単な説明)
本開示の実施態様は、添付の図面を参照しながら、ほんの一例として記載される。
【0068】
図1図1A〜1Cは、IgG対照に対するCD44についてのRBC免疫表現型検査の結果を示す。細胞(灰色のヒストグラム)は、CD44について陽性である(n=3)。
図2図2は、細胞(灰色のヒストグラム)がCD74について陰性であることを実証するIgG対照に対するCD74についてのRBC免疫表現型検査の結果を示す(n=3)。
図3図3は、陽性(染色)試料の血液スライドのアルカリリン酸染色(alkaline phosphate staining)によるMIFの免疫細胞化学の結果を示す(n=1)。
図4図4は、陰性(未染色)対照の血液スライドのアルカリリン酸染色によるMIFの免疫細胞化学の結果を示す(n=1)。
図5図5は、陰性対照のRA滑膜のHRP染色によるMIFの免疫組織化学の結果を示す(n=1)。
図6図6は、陽性対照のRA滑膜のHRP染色による免疫細胞化学の結果を示す(n=1)。
図7図7は、指穿刺から採取した血液を用いてFACSにより分離したRBC中のマクロファージ遊走阻止因子(MIF)濃度を示すグラフである(n=4)。
図8図8は、指穿刺及び静脈穿刺から採取した血液を用いてFACSにより分離したRBC中のMIF濃度を示すグラフである(n=1)。
図9図9は、静脈穿刺から採取した血液を用いてFACS、デキストラン沈降及びRBC溶解緩衝液により分離したRBCを示すグラフである(n=1)。
図10図10A〜10Cは、IgGに対するCD45の免疫表現型検査を用いて分離したRBCにおけるWBC混入の試験の結果を示す。細胞(灰色のヒストグラム)は、CD45について大部分は陰性であった(n=3)。
図11図11A〜11GGは、洗浄処理されていないRBCと比べて、洗浄処理したRBC中の様々なタンパク質のレベルを示す一連のグラフである。
図12図12は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
図13図13は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
図14図14は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
図15図15は、BioPlexにより測定し、pg/mL(100μLのPBS中2000万個のRBC)として報告する、37℃で24時間かけてRBCからPBSに分泌又は放出されるタンパク質をまとめたグラフである。データを平均±SDとして提示した。
図16図16A〜16Zは、RBCから分泌されるタンパク質の濃度(黒カラム)及びインキュベーション後に細胞中に残存するタンパク質の濃度(灰色カラム)に対するプロテアーゼ阻害剤(PI)の効果を示す一連のグラフである。
図17図17は、血漿レベルに正規化した時の、溶解した全血におけるCRPの倍数変化を示すグラフである。
図18図18は、血漿中及び精製し、溶解したRBC中のCRPの濃度を示すグラフである。
図19図19A〜19TTは、少量の全血中の様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
図20図20A〜20AAは、指穿刺(FT)又は静脈穿刺(V)によって健常対象から採取した全血試料から分離した赤血球中の様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
図21図21A〜21Bは、血漿中のレベルに対する赤血球中の様々なタンパク質レベルの比を示すチャートである。
図22図22A〜22Gは、塩化リチウムと接触させた赤血球中の様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
図23図23A〜23VVは、健常個体、健常妊婦、子癇前症妊婦、及び癌患者から分離した赤血球中の様々なタンパク質レベルの差を示す一連のグラフである。
図24図24A〜24Cは、癌患者から分離した血漿のレベルに対する赤血球中の様々なタンパク質レベルの比を示すチャートである。
図25図25A〜25RRは、健常個体、健常妊婦、子癇前症妊婦、及び腫瘍患者から分離した赤血球から分泌又は放出された様々なタンパク質レベルを示す一連のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
(定義)
本出願で使用する場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「細胞溶解物」は、複数の細胞溶解物を含む。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」は「含む(including)」を意味する。「含む(comprise)」「含む(comprises)」などの単語「含む(comprising)」の変形は、対応して変化する意味を有する。したがって、例えば、工程「A」及び「B」を「含む」方法は、専ら工程「A」及び「B」からなり得るか、又は1以上の追加の工程(例えば、工程「A」、「B」及び「C」)を含み得る。
【0071】
詳細な説明で使用される主題の見出しは、参照の容易さ又は読者のために含まれており、本開示又は特許請求の範囲を通して見られる主題を制限するために使用されるべきではない。主題の見出しは、請求項の範囲又は請求項の制限の解釈に使用されるべきではない。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「対象」には、ウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥及び齧歯類種を含む経済的、社会的又は研究に重要な任意の動物が含まれる。したがって、「対象」は、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物などの哺乳動物であり得る。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgD、IgE、又はIgM、及びIgY、単鎖全抗体を含む全抗体、及びその抗原結合断片を含む。抗原結合抗体断片には、Fab、Fab’及びF(ab’)2、Fd、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)及びVL又はVHドメインのいずれかを含む断片が含まれるが、これらに限定されない。該抗体は、任意の動物起源に由来し得る。単鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、可変領域(複数可)を単独で、又は以下のもの:ヒンジ領域、CH1、CH2、及びCH3ドメインの全体若しくは部分と組み合わせて含むことができる。可変領域(複数可)及びヒンジ領域、CH1、CH2、及びCH3ドメインの組み合わせも含まれる。抗体は、特異的に生体分子と結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、ヒト化抗体、並びにヒトのモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体であり得る。
【0074】
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」は、ペプチド結合によって共に連結されたアミノ酸から構成されるポリマーを指す。
【0075】
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質プロファイル」は、試料中に存在するタンパク質(複数可)及び/又はタンパク質断片(複数可)を指す。該試料は、細胞を含んでも、又は含まなくてもよい。該試料が細胞を含む場合、該タンパク質又はタンパク質断片は、細胞内に、及び/又は細胞表面に部分的若しくは完全に存在し得る。必要条件ではないが、該タンパク質プロファイルはまた、該試料中のタンパク質(複数可)及び/又はタンパク質断片(複数可)についての定量的情報を提供し得る。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語「血液試料」は、少なくとも部分的に血液及び/又は血液成分を含む試料を指す。該血液試料は、1以上の対象から直接、又は1以上の対象の血液の既存のコレクションから採取することができる。該血液試料は、当技術分野で公知のいくつかの方法によって、例えば、身体部分(例えば、腕、足、耳)の静脈穿刺(例えば、翼状針及びバキュテナー、直針及びバキュテナー、並びに翼状針及びシリンジ)、又は穿刺(例えば、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺)によってヒト対象から採取することができる。該血液試料は、当技術分野で公知のいくつかの方法によって、例えば、任意の身体部分(例えば、尾部、腕、脚(例えば、大腿部)、鼻、顔、耳、胸部、首/喉、舌、心臓)の静脈穿刺(例えば、針及びシリンジ)又は穿刺(例えば、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺又は尾部穿刺)によって、非ヒト哺乳動物対象から採取することができる。該血液試料は、当技術分野で公知のいくつかの方法によって、例えば、身体部分(例えば、翼、喉、心臓)の静脈穿刺(例えば、針及びシリンジ)によって他の非ヒト動物(例えば、ニワトリ、鳥)から採取することができる。
【0077】
本明細書で使用する用語「血液細胞」又は「血液試料中に存在する細胞」は、赤血球及び白血球を含む試料中の細胞を指すが、血小板を除外する。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「赤血球濃縮血液試料」又は「RBC濃縮画分」は、RBCの割合が、濃縮前の血液試料のものと比較して増加した試料又は試料の成分を指す。RBCの割合は、例えば、試料からのRBCではない細胞型(複数可)を除去すること(例えば、白血球の除去(白血球除去)及び/又は血小板の除去)により、並びに/又は別々の試料を提供するために、試料中の他の細胞型(複数可)からRBCを取り出すことにより増加させることができる。RBC濃縮画分は、全血液細胞数の99.5%超、99.6%超、99.7%超、99.75%超、99.8%超、99.85%超、99.9%超、99.5%超、約100%の赤血球、又は100%の赤血球を含み得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「急速凍結」は、一般的に、急速期間内で(例えば、数ミリ秒、1〜2秒、1〜5秒、1〜10秒、1〜15秒、1〜20秒、10〜20秒、10〜30秒、30〜60秒、1分未満、又は2分未満の期間で)、凝固点未満の温度まで血液細胞(例えば、RBC)及び/又は血漿/血清を凍結することを指す。
【0080】
本明細書で使用する場合、「白血球除去」は、別々の白血球除去試料を提供するために、例えば、血液試料又は血液試料成分から白血球を取り除くことによって、あるいは該血液試料又は該血液試料成分から他の血液構成物(複数可)を取り出すことによって、該血液試料又は該血液試料成分中の白血球の割合を低減することを指す。いくつかの実施態様において、白血球除去には、血小板除去が含まれる。
【0081】
本明細書で使用する場合、「血小板除去」は、別々の血小板除去試料を提供するために、例えば、血液試料又は血液試料成分から血小板を取り除くことによって、あるいは該血液試料又は該血液試料成分から他の血液構成物(複数可)を分離することによって、該血液試料又は該血液試料成分中の血小板の割合を低減することを指す。
【0082】
本明細書で使用する場合、「細胞上清」は、所定の温度又は所定の温度範囲で、所定の期間、例えば、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、又は120時間超の間、集団細胞の培養に用いられる細胞培養培地を意味すると理解される。
【0083】
本明細書で使用する場合、「細胞洗浄液」は、細胞洗浄液が細胞培養のための培地として使用されない限り、細胞集団をすすぐために使用されており、上記で定義した細胞上清と異なる液体を意味すると理解される。したがって、「細胞洗浄液」を作製するために使用される流体は、30分、20分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、1分、又は30秒未満の期間、細胞集団と混合することができる。
【0084】
本明細書で使用する場合、「培地」は、血液試料内の細胞、血液試料から分離した細胞、又は血液試料から分離した細胞から生成された細胞成分の生存率を維持する能力を有する組成物を指す。該培地は、細胞の成長及び増殖を刺激するか、又は特定の及び/又は既存の状態で細胞を維持することができる。培地の非限定的な例としては、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、アール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)が挙げられる。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「少量」は、1ミリリットル以下である血液の量を指す。少量は、1μL〜100μL、100μL〜200μL、200μL〜300μL、300μL〜400μL、400μL〜500μL、500μL〜600μL、600μL〜700μL、700μL〜800μL、800μL〜900μL及び900μL〜1000μLであり得る。いくつかの実施態様において、少量は、50μL〜100μL、100μL〜150μL、150μL〜200μL、200μL〜250μL、250μL〜300μL、300μL〜350μL、350μL〜400μL、400μL〜450μL、450μL〜500μL、500μL〜550μL、550μL〜600μL、600μL〜650μL、650μL〜700μL、700μL〜750μL、750μL〜800μL、800μL〜850μL、850μL〜900μL、900μL〜950μL、950μL〜1000μLである。いくつかの実施態様において、少量は、1μL〜10μL、10μL〜20μL、20μL〜30μL、30μL〜40μL、40μL〜50μL、50μL〜60μL、60μL〜70μL、70μL〜80μL、80μL〜90μL、又は90μL〜100μLである。他の実施態様において、少量は、1μL〜5μL、5μL〜10μL、10μL〜15μL、15μL〜20μL、20μL〜25μL、25μL〜30μL、30μL〜35μL、35μL〜40μL、40μL〜45μL、45μL〜50μL、50μL〜55μL、55μL〜60μL、50μL〜65μL、65μL〜70μL、70μL〜75μL、75μL〜80μL、80μL〜85μL、85μL〜90μL、90μL〜95μL、又は95μL〜100μLである。いくつかの実施態様において、少量は、5μL〜10μL、5μL〜15μL、5μL〜20μL、5μL〜25μL、5μL〜30μL、5μL〜35μL、5μL〜40μL、5μL〜45μL、5μL〜50μL、5μL〜55μL、5μL〜60μL、5μL〜65μL、5μL〜70μL、5μL〜75μL、5μL〜80μL、5μL〜85μL、5μL〜90μL、5μL〜95μL、又は5μL〜100μLである。他の実施態様において、少量は、1μL、2μL、3μL、4μL、5μL、6μL、7μL、8μL、9μL、10μL、11μL、12μL、13μL、14μL、15μL、16μL、17μL、18μL、19μL、20μL、21μL、22μL、23μL、24μL、25μL、26μL、27μL、28μL、29μL、30μL、31μL、32μL、33μL、34μL、35μL、36μL、37μL、38μL、39μL、40μL、41μL、42μL、43μL、44μL、45μL、46μL、47μL、48μL、49μL、又は50μLである。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語「検出可能なレベル」又は「検出のレベル」は、試料(例えば、血液試料)中のタンパク質などの所望の分子の存在を示す及び/若しくは示唆する組成物又は薬剤の能力を指す。本明細書に開示する方法に記載の赤血球濃縮試料において、例えば、タンパク質の検出可能なレベルは、検出に利用可能なタンパク質の増加により増加し得る。この増加は、例えば、タンパク質の検出を予防及び/又は減少させるタンパク質-分子相互作用(例えば、タンパク質-タンパク質、タンパク質-膜、タンパク質-核酸)の破壊を介する1以上の理由に起因し得る。
【0087】
本明細書で使用する場合、RBCからのタンパク質「放出」は、活性又は不活性機構によって、(i)RBCの細胞内領域若しくは内部からRBCの表面及び/又は細胞外若しくは外部の領域(例えば、血漿、血清、若しくは培地)へ移動したか、又は(ii)RBCの細胞外若しくは外部の領域(例えば、血漿、血清若しくは培地)からRBCの表面及び/又は細胞外領域若しくは外部に移動したタンパク質を指す。いくつかの実施態様において、該タンパク質は、当技術分野で公知の細胞表面タンパク質結合相互作用(例えば、受容体、共有結合、非共有結合、接着)によってRBCの表面に結合する。さらなる実施態様において、該表面結合タンパク質は、RBC細胞外又は外部領域(例えば、血漿、血清、若しくは培地中)に放出されて、戻され得る。
【0088】
本明細書で使用する場合、「治療」は、疾患、障害、若しくは病態及び/又はそれに関連する症状の1以上の症状の予防、軽減、又は改善を含む、疾患、障害、若しくは病態を予防、管理、軽減、又は改善するのに使用することができる1以上の療法、プロトコル、方法及び/又は薬剤を指す。特定の実施態様において、用語「治療(treatment)」」及び「治療(treatments)」は、医療関係者などの当業者に公知の疾患、障害、若しくは病態を予防、管理、軽減、及び/又は改善するのに有用な生物学的療法、支持療法、並びに/又は他の療法を指す。
【0089】
本明細書で使用する場合、語句「実質的に類似」又は「実質的に同一」は、当業者が2つの値(例えば、タンパク質濃度/レベル)間の差を、値によって測定された生物学的特性との関連でほとんど若しくは全く生物学的に及び/又は統計的に有意でないとみなすように、2つの数値間の十分に高い類似性を示す。例えば、2つの値の間の差は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、又は約5%未満であり得る。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「キット」は、本明細書に記載の方法を実行するのに必要な全ての成分を有する送達システムを指す。非限定的な例としては、該キットは、採血、抗凝固剤(複数可)、血液安定剤(複数可)、RBCの濃縮、非RBC血液成分の除去/分離、血液又はその成分(複数可)の急速凍結、細胞の溶解、細胞の洗浄、細胞の培養、細胞内及び/若しくは細胞外での特異的標的タンパク質(複数可)の検出、又はそれらの組み合わせのための手段を含むことができる。いくつかの実施態様において、キットは、以下のもの:対象から血液試料を採取するための装置(複数可)(例えば、注射器、針、翼状針、チューブ、針ホルダ、採血セット、移送装置、バキュテナー、hemaPEN(商標));対象から乾燥血液試料を採取するための装置(複数可)(例えば、濾紙、カード、HemaSpot(商標));液体血液試料から赤血球画分、白血球画分、及び/又は血小板画分を取得するための装置(複数可)(例えば、抗体コーティング磁気ビーズ);抗凝固剤;プロテアーゼ阻害剤;及びタンパク質変性剤などのうちの1以上を含み得る。そのような送達システムは、ある場所から別の場所へ反応試薬(例えば、適切な容器中の標識、参照試料、支持材料など)及び/若しくは支持材料(例えば、緩衝液、アッセイを実行するための説明書など)の保管、輸送、又は送達を可能にするシステムを含む。例えば、キットには、関連する反応試薬及び/又は支持材料を含有する箱などの1以上のエンクロージャが含まれ得る。用語「キット」は、分けられたキットと組み合わされたキットの両方を含む。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「分けられたキット」は、全キット成分のサブポーションを含有する2以上の別々の容器を含む送達システムを指す。該容器は、共に又は別々に意図された受け手に送達され得る。それぞれが全キット成分のサブポーションを含有する2以上の別々の容器を含む送達システムは、用語「分けられたキット」の意味に含まれる。
【0092】
本明細書で使用する場合、「組み合わされたキット」は、単一容器(例えば、所望の成分のそれぞれを保有する単一ボックス)に反応アッセイの成分の全てを含有する送達システムを指す。
【0093】
本明細書での先行技術文書のいずれかの説明、又はそれらの文書から導かれるか、若しくはそれに基づく本明細書での記述は、その文書又は導かれる記述が関連分野の共通の一般的知識の一部であることを認めるものではない。
【0094】
(詳細な説明)
血液中のタンパク質レベルをプロファイリングするための現在使用されている技術は、典型的には、分析を血清/血漿及び/又はPBMCに制限している。RBCは、タンパク質プロファイルを作製する前に、日常的に血液処理中に取り除かれる。
【0095】
本発明者らは、RBCが様々なサイトカイン及びケモカインを含むタンパク質マーカーの有意な供給源を提供するという予想外の決定を行った。したがって、RBCは、本明細書に記載の様々なタンパク質マーカーの供給源を提供することを以前に認識されず、タンパク質プロファイリングからのそれらの排除が不十分かつ/又は不正確な評価を提供するという点で、現在の技術の欠点が確認された。本開示は、RBCの分析を組み込む、血液からのタンパク質プロファイルを作製する方法を提供することによって、この欠点を修正する。特に、本開示は、RBC内で新たに特定されたタンパク質の存在又はレベルを評価することによって濃縮赤血球試料のタンパク質プロファイルを生成するための新規かつ有用な実験室技術を提供する。
【0096】
また、血液中のタンパク質プロファイリングは、例えば、血液源(例えば、静脈、毛細血管など)、抗凝固剤が使用されるかどうか、使用される抗凝固剤の種類、採取後タンパク質含有量が測定される時間枠、採取時に最初に血液が安定化されるかどうか、及び分析される特定の血液コンパートメント(複数可)を含むいくつかの要因に応じて変化し得ることが本発明者らによって決定された。特定の作用モードに限定されないが、上記のものを含む要因から生じる血液タンパク質プロファイルの変化は、少なくとも部分的に、多数の異なるタンパク質(例えば、サイトカイン及びケモカイン)を隔離並びに放出するRBCの以前には知られていなかった能力から生じると仮定される。RBCによるタンパク質放出(あるいは隔離)の程度は、血液採取及び処理中に生じる様々な要因によって影響されると考えられる。したがって、特定の血液コンパートメント(例えば、血漿/血清)のタンパク質プロファイルが血液源(例えば、静脈、毛細血管など)、抗凝固剤、採取後測定前の時間枠、及び/又は安定剤の存在/不在などの要因によって著しく影響を受けることが知られていなかったという点で、現在の技術のさらなる欠点が確認された。本開示は、RBCコンパートメントのタンパク質プロファイルも考慮しながら、血液の採取及び処理中にRBCタンパク質プロファイルの変化を最小限に抑えるように、血液からタンパク質プロファイルを作製する方法を提供することによってこの欠点を修正する。
【0097】
以下の説明は、当業者が実践できるほど十分詳細に、本開示の例示的な実施態様を示す。記載される様々な実施態様の特徴又は限定は、必ずしも本開示の他の実施態様又は本開示全体を限定するものではない。したがって、以下の詳細な説明は、特許請求の範囲によってのみ定義される本開示の範囲を限定するものではない。
【0098】
(赤血球(RBC)におけるタンパク質プロファイリング)
血液タンパク質の分析は、典型的には、分けた血清/血漿及び/又はPBMCを用いて実行される。血液の主要成分であり、非常に豊富な細胞型(通常、全血液細胞の99%超)にもかかわらず、RBCは、日常的にタンパク質プロファイリングアッセイから除外される。
【0099】
本開示は、少なくとも部分的に、RBCが例えば、対象における診断結果及び予後結果に関連するいくつかの異なるタンパク質マーカーを含有するという予期せぬ観察から生じている。RBCが血液のかなりの部分及びほとんどその全細胞成分であることを考慮すると、血液の全体的なタンパク質マーカー内容物のより完全な状況を知るために、RBCのタンパク質プロファイルを評価することは有用である。
【0100】
本開示はまた、血液試料、赤血球濃縮試料、及び/又はRBCを含む血液試料成分からタンパク質プロファイルを作製する方法を提供する。いくつかの実施態様において、RBCの数は、該血液試料又は該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。
【0101】
(血液試料)
本方法で採取される血液試料は、本明細書で定義される通りであり(例えば、「血液試料」を参照されたい)、対象又は血液の既存のコレクション(例えば、1以上の対象から以前に採取された血液)から採取することができる。該血液試料は、当業者に公知の例示的な手段を用いて対象から採取することができる(例えば、世界保健機関、「血液、血液成分及び血漿誘導体の採取、処理並びに品質管理のための要件」、世界保健機関の技術レポートシリーズ、番号840、1994、附属書2(World Health Organisation, “Requirements for the collection, processing and quality control of blood, blood components and plasma derivatives”, World Health Organisation Technical report Series, No. 840, 1994, Annex 2)を参照されたい)。非限定的な例としては、該血液試料は、静脈血、毛細管血、動脈血又はそれらの組み合わせを用いて対象から採取することができる。
【0102】
いくつかの実施態様において、少量の血液試料は、対象又は血液の既存のコレクションから採取される。該少量は、例えば、穿刺(例えば、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、尾部穿刺)を含む、当業者に公知の方法によって対象から採取することができる。一実施態様において、該少量の血液試料は、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺により(例えば、ヒトから)採取される。別の実施態様において、該少量の血液試料は、尾部穿刺により(例えば、マウス又はラットから)採取される。他の実施態様において、該少量の血液試料は、指穿刺により採取される。他の実施態様において、該少量の血液試料は、踵穿刺により(例えば、乳児から)採取される。さらに他の実施態様において、該少量の血液試料は、耳穿刺により採取される。さらなる実施態様において、該少量の血液試料は、尾部穿刺により採取される。
【0103】
いくつかの実施態様において、該少量は本明細書に定義される通りである(例えば、「少量」を参照されたい)。他の実施態様において、該少量は5μL〜100μLである。別の実施態様において、該少量は5μL〜50μLである。他の実施態様において、該少量は5μL〜20μLである。さらに他の実施態様において、該少量は5μL〜10μLである。さらに他の実施態様において、該少量は5μLである。
【0104】
より多い量の血液試料と比較して、少量の血液試料採取は対象への害(例えば、疼痛、失血、血中濃度の遅い回復)を減少させるので、少量の血液試料採取は、例えば、対象のより頻繁な試料採取を可能にする。例えば、総合的な血液分析は、動物を犠牲にしなければならないほど多くの血を必要とするので、現在の方法を用いて、小動物(例えば、ラット、マウス)からの頻繁な採血は達成可能ではない。同様に、失血からの害を防ぐために、乳児は穿刺(例えば、踵穿刺)によってのみ頻繁に安全に採取することができる。本明細書に提供される方法によれば、少量の血液試料は、特定の実施態様において、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上の頻度で採取することができる。他の実施態様において、少量の血液試料は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上採取される。他の実施態様において、少量の血液試料は毎日採取される。さらに他の実施態様において、少量の血液試料は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回採取される。特定の実施態様において、少量の血液試料は、月に1回採取される。
【0105】
(濃縮赤血球試料又は画分)
いくつかの実施態様において、本方法は、赤血球濃縮血液試料若しくは赤血球濃縮画分からタンパク質プロファイルを生成又は作製すること、並びに赤血球濃縮試料若しくはその画分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む。該赤血球濃縮試料及び赤血球濃縮画分は、例えば、白血球除去及び/又は血小板除去により、対象から採取した血液試料から生成することができる。追加的又は代替的に、RBCは、赤血球濃縮試料又は画分を生成するために試料から取り出すことができる。
【0106】
白血球除去及び血小板除去の方法は当業者に周知である(例えば、Wenz,B.の文献、「白血球除去された血液生成物の臨床的利益(Clinical Benefits of Leukodepleted Blood Products)」の中の「白血球除去の方法(Methods for leukodepletion)」、pp5-16,1995,Springer Berlin Heidelberg;Novotny V.,及びBrand,A.の文献、「現代の輸血医学(Modern Transfusion Medicine)」の中の「白血球の少ない血液及び血小板輸血(Leukocyte-Poor Blood and Platelet Transfusions)」、pp117-121,1995,CRC Press社;White及びJenningsの文献、「血小板プロトコル:研究及び臨床検査手順(Platelet Protocols: Research and Clinical Laboratory Procedures)」,1999,Academic Pressを参照されたい)。白血球除去のための適切な技術の非限定的な例としては、フローサイトメトリー、デキストラン沈降、及びフィコール/パーコール密度勾配遠心分離などが挙げられる。
【0107】
本開示はまた、赤血球濃縮試料を生成し、該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか又はそのレベルを測定することによって、血液試料中の1種以上のタンパク質の検出又は測定の感度を高める方法を提供する。特定の実施態様において、デキストランに対する血液の比は、1:1〜2:1、1:1〜3:1、1:1〜4:1、1:1〜5:1、1:1〜6:1、1:1〜7:1、1:1〜8:1、1:1〜9:1、1:1〜10:1である。他の実施態様において、デキストランに対する血液の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1である。さらに他の実施態様において、デキストランに対する血液の比は2:1である。さらなる実施態様において、デキストランに対する血液の比は4:1である。
【0108】
非限定的な例としては、該赤血球濃縮試料又は画分は、該血液試料中に存在していた白血球数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、又は99.9%超の白血球除去によって作製することができる。この文脈における「白血球除去」は、別々の白血球除去(RBC濃縮)画分を提供するために、該血液試料から白血球を直接除去することによって、かつ/又は該試料からRBCを取り出すことによって達成することができる。いくつかの実施態様において、白血球除去には血小板除去が含まれる。
【0109】
追加的に又は代替的に、該赤血球濃縮試料又は画分は、該血液試料中に存在していた血小板数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、又は99.9%超の血小板除去によって作製することができる。この文脈における「血小板除去」は、別々の血小板除去(RBC濃縮)画分を提供するために、該血液試料から血小板を直接除去することによって、かつ/又は該試料からRBCを取り出すことによって達成することができる。
【0110】
いくつかの実施態様において、該赤血球濃縮試料又は画分は、(RBC濃縮画分内に存在する血液細胞の総数の成分として)99.75%超、99.8%超、99.9%超、99.95%超、ほぼ100%、又は100%の赤血球を含むことができる。
【0111】
所定の濃縮試料又は画分中のRBCの割合は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、及び他の抗体ベースの技術などを含む当業者に公知の日常的な方法を用いて評価することができる。
【0112】
(少量の赤血球濃縮試料)
本開示はまた、少量の赤血球濃縮血液試料からタンパク質プロファイルを生成する方法を提供する。少量は、当技術分野で公知であり、赤血球濃縮試料中のタンパク質検出又はタンパク質測定のその後の方法に適すると当業者が判断するような方法(例えば、以下のタンパク質プロファイリングを参照されたい)によって赤血球濃縮血液試料から採取することができる。少量は、本明細書で定義される通りの量である(例えば、「少量」を参照されたい)。非限定的な例としては、他の実施態様において、該少量は、5μL〜10μL、5μL〜20μL、5μL〜30μL、5μL〜40μL、5μL〜50μL、5μL〜60μL、5μL〜70μL、5μL〜80μL、5μL〜90μL、又は5μL〜100μLであり得る。一実施態様において、該少量は、5μL〜100μLである。別の実施態様において、該少量は5μL〜50μLである。さらに他の実施態様において、該少量は5μL〜20μLである。さらに他の実施態様において、該少量は5μL〜10μLである。特定の実施態様において、該少量は5μLである。
【0113】
(RBCを含む全血)
他の実施態様において、本開示の方法は、RBCを含む全血試料の分析を含む。これらの実施態様において、全血試料は、試料内の血液細胞型の相対比率を変更することなく、若しくは実質的に変更することなく、かつ血漿/血清を分離することなく、タンパク質プロファイルについて分析される。
【0114】
全血試料は、当業者に公知の例示的な手段を用いて採取することができる(例えば、世界保健機関、「血液、血液成分及び血漿誘導体の採取、処理並びに品質管理のための要件」、世界保健機関の技術レポートシリーズ、番号840、1994、附属書2(World Health Organisation,“Requirements for the collection, processing and quality control of blood, blood components and plasma derivatives”, World Health Organisation Technical report Series, No. 840, 1994, Annex 2)を参照されたい)。方法はまた、本明細書の実施例に示されている。
【0115】
非限定的な例としては、該全血試料は、静脈血、毛細管血、動脈血又はそれらの組み合わせを用いて採取することができる。
【0116】
いくつかの実施態様において、全血の分析を含む本開示の方法は、乾燥血液スポット(DBS)サンプリングを用いて行うことができる。DBSサンプリングの非限定的な利点は、以下のもの:試料の安定性、最少量の要件(例えば、スポットあたり30〜100μL)、試料採取の容易さ(例えば、指、つま先又は踵の穿刺)及び輸送のうちの1以上を含む。本開示で使用するために得られたDBS試料は、例えば、冷蔵及び/又は周囲温度で数ヶ月から数年間、安定性を維持することができる。
【0117】
DBSに適切な方法は、当業者に周知である(例えば、McDadeらの文献、Demography 2007,44:899-925;De Jesusらの文献、Clin Chem 2009,55:1;158-164;Sharmaらの文献、Drug Testing and Analysis,2014,6(5),399-414を参照されたい)。
【0118】
ここでも非限定的な例としてのみ簡潔に説明すると、全血は、適切な器具(例えば、無菌の外科用ブレード又は使い捨てのランセット)を用いて関心のある対象(例えば、指、ヒール又はつま先の穿刺)から採取し、例えば、膜又は紙(例えば、濾紙カード)上にスポットすることができる。定量分析については、血液の測定した量を適用することができる。次いで、血液を、例えば、室温及び/又は窒素流及び/又は制御された湿度下で乾燥させることができる。乾燥時間は、一般に、少なくとも部分的に試料量に依存する。DBS膜又は紙は、周囲温度で保存するか、又は冷蔵保存することができ、かつ湿度を回避するために適切に包装することができる。次いで、DBSは、適切な時点で(例えば、抽出溶媒又は同様の方法を用いて)分析のために抽出することができる。
【0119】
(追加の血液コンパートメントの分析)
濃縮RBC画分又はRBCを含む全血試料のタンパク質プロファイリングに加えて、本開示の方法はさらに、1以上の追加の血液コンパートメント(複数可)のタンパク質プロファイル分析を実施することを含むことができる。
【0120】
例えば、タンパク質プロファイル分析は、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせから選択される1以上の追加の血液コンパートメント(複数可)にて実行することができる。
【0121】
分析のための追加の血液コンパートメント(複数可)は、公知の技術を用いて調製することができる。例えば、細胞成分は、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、及び遠心分離などにより分離することができる。血漿/血清分離技術はまた、当技術分野で周知である。多くの標準テキスト及びプロトコルは、これらの目的のために利用でき、広く使用されており、非限定的な例としては、世界保健機関、「血液、血液成分及び血漿誘導体の採取、処理並びに品質管理のための要件」、世界保健機関の技術レポートシリーズ、番号840、1994、附属書2(World Health Organisation, “Requirements for the collection, processing and quality control of blood, blood components and plasma derivatives”, World Health Organisation Technical report Series, No. 840, 1994, Annex 2);Wenz,B.の文献、「白血球除去された血液生成物の臨床的利益(Clinical Benefits of Leukodepleted Blood Products)」の中の「白血球除去の方法(Methods for leukodepletion)」、pp5-16,1995,Springer Berlin Heidelberg;Novotny V.及びBrand,A.の文献、「現代の輸血医学(Modern Transfusion Medicine)」の中の「白血球の少ない血液及び血小板輸血(Leukocyte-Poor Blood and Platelet Transfusions)」、pp117-121,1995,CRC Press社;White及びJenningsの文献、「血小板プロトコル:研究及び臨床検査手順(Platelet Protocols: Research and Clinical Laboratory Procedures)」1999, Academic Press)が参照される。
【0122】
(血液安定剤及び抗凝固剤)
上記の通り、再び特定の機構的な特徴に限定されることなく、RBCは、異なるタンパク質(例えば、サイトカイン及びケモカイン)を隔離並びに放出する能力を有し得ると仮定され、RBCによるタンパク質放出(あるいは隔離)の程度は、採血及び処理中に生じる様々な要因に影響されると考えられる。
【0123】
いくつかの実施態様において、本開示の方法で使用される血液試料又はその成分は、血液安定剤と混合することができる。RBCを安定化する能力を有する薬剤は、処理中のRBCからのタンパク質の隔離及び/若しくは放出を低減又は防止するのに有用である。
【0124】
該血液細胞安定剤は、対象から血液試料を採取する時に及び/又は血液試料又はその成分(複数可)のその後の処理中に該血液試料と混合することができる。非限定的な例としては、該血液安定剤は、該対象からの血液試料採取の1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に該血液試料又はその成分と混合することができる。
【0125】
適切な血液安定剤の非限定的な例としては、プロテアーゼ阻害剤(例えば、アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害剤I、カルパイン阻害剤II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害剤、ペファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F-Thermo Fisher Scientific)、及び完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)など)、抗凝固剤、RNA安定剤(例えば、RNALater-Thermo Fisher Scientific)、タンパク質変性剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0126】
例示的な実施態様において、該血液安定剤は抗凝固剤である。該抗凝固剤は、対象からの血液試料採取時(例えば、血液試料が採取される容器又は入れ物は抗凝固剤を含有し得る)、及び/又は該血液試料若しくはその成分(複数可)のその後の処理中に抗凝固剤と混合することができる。
【0127】
適切な抗凝固剤の非限定的な例としては、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二ナトリウム塩、EDTA四ナトリウム塩、EDTA二カリウム塩、EDTA二アンモニウム塩、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、EDTA三ナトリウム塩、EDTA三カリウム塩、エチレングリコール-O,O-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N,N-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N,N-三酢酸三ナトリウム塩、クエン酸塩、酸-クエン酸塩-デキストロース、クエン酸水素二アンモニウム、酒石酸二アンモニウム、ワルファリン、N-(2-ビス(カルボキシメチル)アミノエチル)-N-(2-ヒドロキシエチル)グリシン塩二水和物、クエン酸、クエン酸モノナトリウム塩、クエン酸二ナトリウム塩、クエン酸三ナトリウム塩、クエン酸モノカリウム塩、クエン酸三カリウム塩、タンパク質C/タンパク質S、ニトリロ三酢酸、酒石酸カリウムナトリウム、D-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸モノナトリウム塩、L-酒石酸二ナトリウム塩、L-酒石酸二カリウム塩、ストレプトキナーゼ、硫酸プロタミン、トリス(カルボキシメチル)アミン、抗トロンビンIII、フェンプロクモン、ヒルジン、ニクマロン、クマジン、グリコサミノグリカン、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、インドメタシン、プロスタグランジン、スルフィンピラゾン、ウロキナーゼ、ヒルログ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、クマリン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0128】
RBC濃縮画分の分析に加えて、例えば、白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))、血小板及び/又は血漿のうちの1種以上のタンパク質プロファイリングが望まれる場合、抗凝固剤を使用することは有益であり得る。抗凝固剤はまた、血液の完全な細胞成分(すなわち、血液細胞から血漿成分を除いた混合集団)のタンパク質プロファイリングを行うことが望ましい場合に使用することが有益であり得る。
【0129】
他の実施態様において、本開示の方法で使用される血液試料は、抗凝固剤と混合しなくてよい。これは、タンパク質プロファイリングが、RBC、濃縮RBC、又は全血試料で行われるべきである場合であり得る。このような場合には、抗凝固活性がないか、又は公称量の抗凝固活性のみを有する他の安定剤を、血液試料又はその成分と混合することができる。他の実施態様において、本開示の方法において使用される血液試料又はその成分は、凍結(例えば、急速凍結)又は乾燥(例えば、乾燥血液スポット)によって安定化することができる。
【0130】
(溶解物の分析)
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、細胞溶解物からタンパク質プロファイルを作製することを含む。
【0131】
非限定的な例としてのみ、本開示の方法に従って調製した濃縮RBC画分を処理して、1種以上のタンパク質のレベルが決定された溶解物を提供することができる。例えば、該溶解物は、全血、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせから選択される1以上の他の血液コンパートメント(複数可)から生成することができる。
【0132】
追加的又は代替的に、RBCではない、又は最小量のRBC(例えば、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0.5%未満のRBC)を含有する血液の他の細胞成分を処理して、1種以上のタンパク質のレベルが決定された溶解物を提供することができる。
【0133】
本開示の方法における使用のための細胞溶解物を、例えば、液体の均質化、機械的破壊、凍結/解凍サイクル、高周波音波、手動研削、化学的透過処理、酵素的透過処理、及びストレプトリシンを用いる透過処理などを含む適切な手段を用いて生成することができる。
【0134】
いくつかの実施態様において、細胞溶解物は、1、2、3、4、5、又は5を超える凍結/解凍サイクルにより調製される。この技術は、凝固点で血液試料又はその成分(複数可)を安定化し、タンパク質内容物の溶解及び分析前の保管を可能にする手段を提供するという潜在的な利点を提供する。典型的には、該急速凍結は、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、-90℃、-100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-190℃、-195℃、又は-196℃以下の温度で実行することができる。さらに別の実施態様において、急速凍結は、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、-90、-100℃、-120℃、-104℃、-160℃、-180℃、-190℃、-200℃未満の温度で実行される。さらに別の実施態様において、急速凍結は、-190℃、-191℃、-192℃、-193℃、-194℃、-195℃、-196℃、-197℃、-198℃、又は-199℃未満の温度で実行される。全血試料、RBC濃縮試料若しくは画分、及び/又は別の異なる細胞成分を急速凍結させて、細胞を安定化させることができる。これは、例えば、処理中に存在するRBC及び/若しくは他の細胞型からのタンパク質の隔離並びに/又は放出を低減又は防止することができる。
【0135】
(細胞洗浄液及び上清の分析)
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、細胞洗浄液及び/又は細胞上清からタンパク質プロファイルを作製することを含む。
【0136】
該細胞洗浄液及び/又は細胞上清は、RBCを含む血液試料又は血液試料成分から生成することができる。いくつかの実施態様において、RBCの数は、該血液試料又は該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成する。
【0137】
いくつかの実施態様において、該細胞洗浄液は、RBC濃縮細胞を洗浄することにより、かつ/又は全血、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、又はそれらの組み合わせから選択される1以上の細胞血液コンパートメント(複数可)を別々に洗浄することにより生成することができる。
【0138】
いくつかの実施態様において、該細胞上清は、RBC濃縮細胞をインキュベート又は培養することにより、かつ/又は血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、又はそれらの組み合わせから選択される1以上の細胞血液コンパートメント(複数可)を別々にインキュベート又は培養することにより生成することができる。次いで、細胞上清を細胞から分けて、インキュベート又は培養した細胞によって(細胞内及び/又は細胞表面から)放出されるタンパク質について分析することができる。必要に応じて、上清を取り除いた後に残っている細胞を洗浄し、タンパク質プロファイルを作製するために使用することができる。細胞洗浄液は、タンパク質プロファイルを作製するために、細胞上清と組み合わせることができるか、あるいは個々のタンパク質プロファイルは、細胞洗浄液及び細胞上清から別々に作製することができる。これは、必要に応じて、2つの個々のプロファイルの比較を可能にする。
【0139】
一連の細胞上清を、ある期間上記のように細胞を培養し、異なる時点で一連の上清を収集することによって生成することができる。各上清は、複数の時点にわたるタンパク質プロファイル分析を提供するために、タンパク質内容物について分析することができる。必要に応じて、インキュベーション又は培養条件(例えば、培地の内容物、温度など)は、上清のサンプリングの時点間で変化し得る。必要に応じて、1以上の時点で上清を取り除いた後に残っている細胞を洗浄し、タンパク質プロファイルを作製するために使用することができる。細胞洗浄液を、所定の時点(例えば、同一の時点)の細胞上清と組み合わせ、タンパク質プロファイルを作製することができる。あるいは、個々のタンパク質プロファイルは、個々の細胞洗浄液及び個々の細胞上清から作製することができる。あるいは、複数の時点からの細胞洗浄液をプールし、分析して、タンパク質プロファイルを作製することができる。同様に、複数の時点からの細胞上清をプールし、分析して、タンパク質プロファイルを作製することができる。
【0140】
RBC濃縮細胞をインキュベート若しくは培養するのに適する、及び/又は他の細胞性血液コンパートメント(複数可)を別々にインキュベート若しくは培養するのに適する例示的なプロトコル並びに/又は培地は、当業者に周知である(例えば、Koller,Palsson,Masters,(編)「ヒト細胞培養:IV巻、初代造血細胞(Human Cell Culture:Vol IV.Primary Hematopoietic cells)」,2006,Springer Science and Business Media;Mirty及びHughes(編)2001,「ヒト細胞培養プロトコル、第3版(Human Cell Culture Protocols,Third edition)」,2011,Humana Pressを参照されたい)。方法はまた、本明細書の実施例に示されている。
【0141】
細胞洗浄液は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、等張塩溶液、増殖培地、培養培地、又はそれらの組み合わせなどの適切な培地を用いて実行することができる。
【0142】
本開示の方法における細胞洗浄液、細胞培養培地、又は細胞インキュベーション培地として使用するのに適する培地の非限定的な例としては、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、アール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施態様において、該培地は、RBCを非成長状態又は増殖状態で維持するためのPBS又はHBSSである。他の実施態様において、該培地は、RBCの成長又は増殖を刺激するためのRPMIである。
【0143】
(カチオン塩の使用)
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、該試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加及び/又は増強する少なくとも1種のカチオン塩と、赤血球濃縮試料とを接触させることを含む。該カチオン塩は、当業者によって決定されるように、本方法での使用に適する1以上であり得る。該カチオン塩は、一実施態様において、一価又は多価(例えば、二価、三価)金属イオン塩である。他の実施態様において、該カチオン塩はアンモニウム塩である。
【0144】
本方法での使用に適する一価の金属カチオン塩には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びリチウム塩など、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なナトリウム塩には、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及びプロピオン酸ナトリウムなど、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なカリウム塩には、例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、重炭酸カリウム、亜硝酸カリウム、過硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、グルタミン酸カリウム、グアニル酸二カリウム、グルコン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、アスコルビン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム及びそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なリチウム塩には、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、乳酸リチウム、クエン酸リチウム、アスパラギン酸リチウム、グルコン酸リチウム、リンゴ酸リチウム、アスコルビン酸リチウム、オロチン酸リチウム、コハク酸リチウム又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0145】
本方法での使用に適する二価金属カチオン塩には、例えば、カルシウム塩、カリウム塩、ベリリウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、ラジウム塩、及び鉄(第一鉄)塩など、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なカルシウム塩には、例えば、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム(calcium alginite)、ステアリン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、及びグルコン酸カルシウムなど、又はそれらの組み合わせが含まれる。適切なマグネシウム塩には、例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、マレイン酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、タウリン酸マグネシウム、オロチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、アセチルアセトン酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なベリリウム塩には、例えば、リン酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、酒石酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、マレイン酸ベリリウム、コハク酸ベリリウム、リンゴ酸ナトリウムベリリウム、アルファブロモカンファースルホン酸ベリリウム、ベリリウムアセチルアセトナート、ギ酸ベリリウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なストロンチウム塩には、例えば、塩化ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、酒石酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、マレイン酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、リンゴ酸ストロンチウム、L型及び/又はD型アスパラギン酸ストロンチウム、フマル酸ストロンチウム、L型及び/又はD型グルタミン酸ストロンチウム、グルタル酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、L-トレオン酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、ラネリン酸ストロンチウム(有機金属キレート)、アスコルビン酸ストロンチウム、酪酸ストロンチウム、クロドロン酸ストロンチウム、イバンドロン酸ストロンチウム、サリチル酸ストロンチウム、アセチルサリチル酸ストロンチウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なバリウム塩には、例えば、水酸化バリウム、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硫酸バリウム、硫化バリウム(S)、炭酸バリウム、過酸化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム、酒石酸バリウム、クエン酸バリウム、グルコン酸バリウム、マレイン酸バリウム、コハク酸バリウム、リンゴ酸バリウム、グルタミン酸バリウム、シュウ酸バリウム、マロン酸バリウム、ナフテン酸バリウム、アセチルアセトン酸バリウム、ギ酸バリウム、安息香酸バリウム、p-t-ブチル安息香酸バリウム、アジピン酸バリウム、ピメリン酸バリウム、スベリン酸バリウム、アゼル酸バリウム、セバシン酸バリウム、フタル酸バリウム、イソフタル酸バリウム、テレフタル酸バリウム、アントラニル酸バリウム、マンデル酸バリウム、サリチル酸バリウム、チタン酸バリウム又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なラジウム塩には、例えば、ラジウムフッ化物、塩化ラジウム、臭化ラジウム、ヨウ化ラジウム、酸化ラジウム、ラジウム窒化物又はそれらの組み合わせが含まれ得る。適切なラジウム塩には、例えば、ラジウムフッ化物、塩化ラジウム、臭化ラジウム、ヨウ化ラジウム、酸化ラジウム、及びラジウム窒化物などが含まれる。適切な鉄(第一鉄)塩には、例えば、硫酸第一鉄、酸化第一鉄、酢酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸アンモニウム第一鉄、グルコン酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、フマル酸第一鉄、マレイン酸第一鉄、リンゴ酸第一鉄、乳酸第一鉄、アスコルビン酸第一鉄、エリスロビン酸第一鉄(ferrous erythrobate)、グリセリン酸第一鉄、及びピルビン酸第一鉄など、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0146】
特定の実施態様において、該カチオン塩は、該赤血球濃縮試料中のpH変化を防止及び/又は最小限にすることができるものである(例えば、塩化物又は炭酸塩)。したがって、特定の実施態様において、該カチオン塩は炭酸塩である。さらなる実施態様において、該カチオン塩はまた、細胞膜(例えば、RBC膜)への損傷を防止又は最小限にすることができる。特定の実施態様において、該カチオン塩は塩化物塩である。他の実施態様において、該カチオン塩は、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ラジウム、又はそれらの組み合わせである。さらに他の実施態様において、該カチオン塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化リチウム、又はそれらの組み合わせである。さらに別の実施態様において、該カチオン塩は塩化リチウムである。別の実施態様において、該カチオン塩は塩化ナトリウムであり得る。特定の実施態様において、該カチオン塩は、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、又は炭酸ラジウムであり得る。さらに他の実施態様において、該カチオン塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、又はそれらの組み合わせである。さらに他の実施態様において、該カチオン塩は炭酸リチウムである。他の実施態様において、該カチオン塩は炭酸ナトリウムである。
【0147】
一価又は二価の金属カチオン塩以外の塩は、本方法で使用することができ、例えば、アルミニウム、シリコン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、銅、マンガン、亜鉛、錫、及び銀など、若しくはそれらの組み合わせなど三価又は他の多価塩を含む。
【0148】
アンモニウム塩はまた、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、臭化アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムセリウム(IV)、クロム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、フッ化アンモニウム、ギ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、二塩基性リン酸アンモニウムナトリウム四水和物、チオ硫酸アンモニウム、及びアンモニウムジルコニウムなど、又はそれらの組み合わせを含む適切なアンモニウム塩を用いて本方法で使用することができる。
【0149】
特定の実施態様において、該カチオン塩は塩化アンモニウムである。他の実施態様において、該カチオン塩は炭酸アンモニウムである。
【0150】
特定の実施態様において、該赤血球濃縮試料を、該試料中の1種以上のタンパク質のレベルの検出可能なレベルを増加及び/又は増強するために、上記のカチオン塩の1以上の組み合わせと接触させる。いくつかの実施態様において、該赤血球濃縮試料を、少なくとも1種のカチオン塩と接触させる。他の実施態様において、該赤血球濃縮試料を、少なくとも2種のカチオン塩と接触させる。さらに他の実施態様において、該赤血球濃縮試料を、少なくとも3種のカチオン塩と接触させる。
【0151】
特定の実施態様において、該血液試料の赤血球濃縮の前に、該試料中の1種以上のタンパク質のレベルの検出可能なレベルを増加及び/又は増強するために、該血液試料を上記のカチオン塩の1以上の組み合わせと接触させる。いくつかの実施態様において、該血液試料を、少なくとも1種のカチオン塩と接触させる。他の実施態様において、該血液試料を、少なくとも2種のカチオン塩と接触させる。さらに他の実施態様において、該血液試料を、少なくとも3種のカチオン塩と接触させる。
【0152】
本明細書において、塩(例えば、ナトリウム含有塩)への言及は、無水形態及び塩の水和形態を含む。
【0153】
特定の実施態様において、全血試料を、タンパク質プロファイルを生成するために、上記のカチオン塩の少なくとも1種と接触させる。該全血試料は、当業者に公知の方法を用いて、静脈血、毛細管血、動脈血又はそれらの組み合わせから採取することができる。
【0154】
他の実施態様において、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせから選択される1以上の追加の血液コンパートメント(複数可)に、上記のカチオン塩の少なくとも1種を接触させ、タンパク質プロファイルを生成する。分析のための追加の血液コンパートメント(複数可)は、既知の技術(例えば、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、及び遠心分離など)を用いて調製することができる。
【0155】
(タンパク質プロファイリング)
本開示は、RBCを含む血液試料(例えば、RBC濃縮画分又は全血試料)からタンパク質プロファイルを生成する方法を提供する。そのようなプロファイルの生成は、炎症、免疫反応、及び/若しくは細胞修復、又は疾患状態を含むが、これらに限定されない重要な生物学的プロセスへの洞察を提供することができる。
【0156】
本開示の方法によるタンパク質プロファイルの作製において検出することができるタンパク質の種類(複数可)に特定の制限を与えるものではないが、非限定的な例としては、シグナル伝達分子、例えば、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス成分、並びに酵素が挙げられる。例えば、成長因子には、例えば、多面的成長因子(例えば、トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-β)、トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-α)、腫瘍壊死因子(TNF))と共に、皮膚細胞の成長、増殖、治癒、又は分化を刺激するもの(例えば、上皮成長因子(EGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、遊走刺激因子(MSF))、神経細胞/神経系(例えば、ニューレグリン(例えば、ニューレグリン1-4)及びニューロトロフィン(例えば、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、ニューロトロフィン4(NT-4)))、結合組織及び間葉細胞(例えば、線維芽細胞成長因子(FGF))、血管細胞(例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、胎盤成長因子(PGF)、血管内皮成長因子(VEGF))、血液細胞(例えば、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、及び細胞増殖(例えば、インスリン様成長因子(IGF-1)、インスリン様成長因子-2(IGF-2))が含まれ得る。
【0157】
受容体には、細胞内受容体(例えば、核内受容体(例えば、転写因子)、細胞質内受容体(例えば、ステロイド)、及び小胞体(例えば、IP3)受容体)又は細胞表面受容体(例えば、イオンチャネル結合型、G-タンパク質結合型、酵素結合型、トール(toll)依存性及びリガンド依存性受容体、インテグリン)が含まれ得る。ホルモンには、脂質由来(例えば、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン(prostacylins)、トロンボキサン);アミノ酸由来(例えば、エピネフリン、メラトニン、チロキシン);ペプチド(例えば、アミリン、アディポネクチン(adiponenctin)、アンジオテンシノーゲン、カルシトニン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グレリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インスリン、及びインスリン様成長因子(IGF)など);並びに、ステロイド(例えば、アンドロゲン、エストロゲン、グルココルチコイド、プロゲストゲン、及びセコステロイドなど)が含まれ得る。細胞内シグナル伝達物質又はトランスデューサには、タンパク質ファミリー及びタンパク質キナーゼ(例えば、Ras及びSrcファミリー)、並びにWntシグナル伝達ファミリータンパク質が含まれ得る。神経伝達物質には、アミノ酸、ペプチド(例えば、β-エンドルフィン、オピオイド)、モノアミン、トレースアミン、プリン、及びガス状伝達物質が含まれ得る。核内転写因子には、DNA転写のモジュレーター(例えば、fos、myc、N-myc)、及びmRNA転写のモジュレーター、及び細胞分裂抑制因子(例えば、p53、pRb)が含まれ得る。酵素には、オキシドレダクターゼ(例えば、アルコール、アルデヒド、アミノ酸、硫黄、ジフェノール、及びペルオキシダーゼなど)、NADH、NADPH、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、及びリガーゼが含まれ得る。ケモカイン及びサイトカインは多数あり、例えば、以下の表1及び表2に記載のものを含むことができる。
【0158】
特定の実施態様において、本方法は、以下の表1及び2に記載の単一タンパク質又はタンパク質の組み合わせからなる、又はそれらを含むタンパク質プロファイルを生成することを含む。該プロファイルは、RBCを含む血液試料(例えば、赤血球濃縮試料、RBC濃縮画分、又は全血試料)から作製することができる。追加のプロファイル(複数可)は、血漿、血清、血小板、白血球、濃縮血小板画分、濃縮白血球画分、血小板濃縮血漿、白血球濃縮血漿、血小板と白血球の混合物、特定の白血球(複数可)(例えば、Tリンパ球(例えば、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球)、Bリンパ球、NK細胞、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などのうちの1以上)、並びにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない他の細胞コンパートメント(複数可)から作製することができる。
【0159】
表1:本開示の方法によって作製されるタンパク質プロファイルに含まれ得る個々のタンパク質の非限定的な例。該タンパク質プロファイルは、記載のタンパク質の1以上を含むか、又はそれらからなり得る。
【表1】
【0160】
表2:本開示の方法によって作製されるタンパク質プロファイルに含まれ得るタンパク質ペアの非限定的な例。タンパク質プロファイルは、記載の1種以上のタンパク質ペアを含むか、又はそれらからなり得る。
【表2】
【0161】
特定の実施態様において、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上、26種以上、27種以上、28種以上、29種以上若しくは30種以上のタンパク質の存在又はレベルが、赤血球濃縮試料中で検出されるか、又は測定される。
【0162】
特定の他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は1種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で2種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は2種以上のタンパク質のレベルが測定される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で4種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は4種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で5種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタンパク質のレベルが測定される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で6種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は6種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で7種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は7種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で8種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は8種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で8種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は8種以上のタンパク質のレベルが測定される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で9種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は9種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は10種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で11種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は11種以上のタンパク質のレベルが測定される。いくつかの実施態様において、赤血球濃縮試料中で12種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は12種以上のタンパク質のレベルが測定される。いくつかの他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で13種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は13種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で14種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は14種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらなる実施態様において、赤血球濃縮試料中で15種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は15種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で16種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は16種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で17種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は17種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で18種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は18種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で19種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は19種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で20種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は20種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で21種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は21種以上のタンパク質のレベルが測定される。他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で22種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は22種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で23種以上のタンパク質の存在が検出されるか、23又は23種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で24種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は24種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で25種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は25種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で26種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は26種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに他の実施態様において、赤血球濃縮試料中で27種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は27種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で28種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は28種以上のタンパク質のレベルが測定される。別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で29種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は29種以上のタンパク質のレベルが測定される。さらに別の実施態様において、赤血球濃縮試料中で30種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上のタンパク質のレベルが測定される。
【0163】
タンパク質プロファイルは、例えば、本開示の方法に従って調製される溶解物、細胞洗浄液、細胞上清、又はそれらの組み合わせにおける1種以上のタンパク質の存在を検出することによって生成又は作製することができる。検出されたタンパク質(複数可)はまた、タンパク質プロファイルを生成又は作製するために、定量化(例えば、レベルを測定)することができる。
【0164】
単一の又は混合した血液細胞集団及び血漿/血清中のタンパク質の検出並びに/又は定量化の方法は、当業者によく知られている。適切な方法の非限定的な例としては、抗体ベースの方法、一般的に、フローサイトメトリー、ELISA、側方流動、免疫染色、免疫蛍光法、及び免疫電気泳動(例えば、ウエスタンブロットを含む)などが挙げられる。あるいは、タンパク質は、質量分析法、分光法、クロマトグラフィー、電気泳動、ビシンコニン酸アッセイ(BCA)、及び酵素アッセイなどを用いて検出並びに/又は定量することができる。再び、一例としてのみ、タンパク質の定量法は、米国特許第7,501,286号、同第8,530,182号、及び米国特許公開第2013028838号に記載されている。方法はまた、本明細書の実施例に示されている。
【0165】
本開示はまた、血漿中の同じ1種以上のタンパク質のレベルに対する赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算することによって、赤血球濃縮試料からタンパク質プロファイルを生成する方法を提供する。タンパク質比は、RBC及び血漿中の測定したタンパク質濃度を正規化し、次いで、血漿中のタンパク質(複数可)の濃度によって、RBC中のタンパク質(複数可)の濃度を割ることによって計算することができる。RBC及び血漿中のタンパク質(複数可)の濃度は、全血中のミリリットル当たりのそれらの相対濃度(全血中の%)を計算することによって正規化される。
【0166】
特定の実施態様において、血漿中のこれらの1種以上のタンパク質のレベルに対する赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比は、少なくとも2:1、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、又は少なくとも200:1である。他の実施態様において、該タンパク質比は、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも11:1、少なくとも12:1、少なくとも13:1、少なくとも14:1、少なくとも15:1、少なくとも16:1、少なくとも17:1、少なくとも18:1、少なくとも19:1、少なくとも20:1、少なくとも21:1、少なくとも22:1、少なくとも23:1、少なくとも24:1、少なくとも25:1、少なくとも26:1、少なくとも27:1、少なくとも28:1、少なくとも29:1、少なくとも30:1、少なくとも31:1、少なくとも32:1、少なくとも33:1、少なくとも34:1、少なくとも35:1、少なくとも36:1、少なくとも37:1、少なくとも38:1、少なくとも39:1又は少なくとも40:1である。
【0167】
(疾患プロファイル)
本開示は、赤血球濃縮血液試料中の疾患タンパク質プロファイルを生成するための方法を本明細書に提供する。赤血球濃縮試料に関連する1種以上のタンパク質の存在又はレベルの差がある任意の疾患又は障害についての疾患プロファイルを生成することができる。非限定的な例としては、表1に記載のタンパク質の1以上若しくは表2に記載のタンパク質の1以上の組み合わせの存在又はレベルに差がある、任意の疾患又は障害についての疾患プロファイルを生成することができる。例えば、特定の実施態様において、プロファイルされる疾患又は障害は、癌、子癇前症、自己免疫疾患、心臓血管疾患、神経変性疾患、糖尿病、代謝性障害、筋骨格疾患、感染性疾患、遺伝性障害、腎障害、及び胃腸障害からなる群から選択される。
【0168】
疾患タンパク質プロファイル(複数可)は、本方法に従って、疾患又は障害を有する1以上の対象から生成されたタンパク質プロファイル及び疾患又は障害を有していない1以上の対象から生成されたタンパク質プロファイルを取得することによって生成される。一実施態様において、少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対象から取得され、少なくとも1つのプロファイルは、疾患又は障害を有していない対象から取得される。別の実施態様において、該血液試料は、疾患又は障害を有する1以上の対象から採取され、プールされる。別の実施態様において、血液試料は、疾患又は障害を有していない1以上の対象から採取され、プールされる。次いで、タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する1以上の対象及び/又は疾患又は障害を有していない1以上の対象のプールされた血液試料から採取される。別の実施態様において、1以上のタンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対象から採取され、1以上のタンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していない対象から採取され、疾患又は障害を有する対象についてのタンパク質プロファイル及び疾患又は障害を有していない対象についてのタンパク質プロファイルを含むタンパク質を(タンパク質の存在及び/又はレベルにおいて統計的に関連する差によって)決定するために統計解析が実行される。疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイル及び疾患又は障害を有していない対象のタンパク質プロファイルは、疾患タンパク質プロファイルを決定する前の任意の時点で生成することができる。
【0169】
一実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対象に存在するが、疾患又は障害を有していない対象には存在しない1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有する対象に存在しないが、疾患又は障害を有していない対象に存在する1種以上のタンパク質を含む。さらに他の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していない対象中の1種以上のタンパク質と比較して、疾患又は障害を有する対象においてより高いレベルを有する1種以上のタンパク質を含む。別の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していない対象中の1種以上のタンパク質と比較して、疾患又は障害を有する対象においてより低いレベルを有する1種以上のタンパク質を含む。特定の実施態様において、疾患タンパク質プロファイルは、疾患又は障害を有していない対象中の1種以上のタンパク質と比較して、疾患又は障害を有する対象において異なる(例えば、より高い、より低い、又はより高いとより低いの両方の)レベルを有するタンパク質を含む。
【0170】
特定の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである。他の実施態様において、該疾患タンパク質プロファイルは、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルである。特定の実施態様において、該子癇前症のタンパク質プロファイルは、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む。
【0171】
本開示はまた、本明細書に提供される方法によって生成される疾患プロファイルを用いて、対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法を提供する。本明細書に提供される方法の1つによって生成される/されたタンパク質プロファイルは、対象から取得することができる。対象のタンパク質プロファイルは、2つのタンパク質プロファイル間の(例えば、タンパク質の存在又はタンパク質レベルにおける)類似性について疾患タンパク質プロファイルと比較することができる。対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルの間の類似性は、該対象が該疾患又は障害を有することを示すことができる。一実施態様において、少なくとも1種のタンパク質、少なくとも2種のタンパク質、少なくとも3種のタンパク質、少なくとも4種のタンパク質、少なくとも5種のタンパク質、少なくとも6種のタンパク質、少なくとも7種のタンパク質、少なくとも8種のタンパク質、少なくとも9種のタンパク質、少なくとも10種のタンパク質、少なくとも11種のタンパク質、少なくとも12種のタンパク質、少なくとも13種のタンパク質、少なくとも14種のタンパク質、少なくとも15種のタンパク質、少なくとも16種のタンパク質、少なくとも17種のタンパク質、少なくとも18種のタンパク質、少なくとも19種のタンパク質、少なくとも20種のタンパク質、少なくとも21種のタンパク質、少なくとも22種のタンパク質、少なくとも23種のタンパク質、少なくとも24種のタンパク質、少なくとも25種のタンパク質、少なくとも26種のタンパク質、少なくとも27種のタンパク質、少なくとも28種のタンパク質、少なくとも29種のタンパク質、又は少なくとも30種のタンパク質の間に類似性がある。別の実施態様において、少なくとも1種のタンパク質間に類似性がある。さらに別の実施態様において、少なくとも3種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも5種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも10種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも15種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも20種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも30種のタンパク質間に類似性がある。
【0172】
特定の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルは、存在する同じ1種以上のタンパク質を有し、該対象が疾患又は障害を有し得ることを示す。他の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルは、同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質を有し、該対象が該疾患又は障害を有し得ることを示す。同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質には、例えば、統計解析又は決定される閾値の倍差(例えば、2倍未満の差)によって、例えば、当業者が十分に異なると判断したタンパク質レベルと(例えば、当業者が決定した関連統計解析内で)同じであるタンパク質レベルが含まれ得る。いくつかの実施態様において、対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは同じである。さらに別の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、実質的に類似している。別の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の統計学的方法(例えば、0.05以上のp値を有するT検定)によって決定される。さらに別の実施態様において、対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の所定の基準範囲(例えば、健常又は正常の濃度範囲)と比較することによって決定される。他の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、0.5倍未満異なる。特定の他の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1倍未満異なる。さらに別の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1.5倍未満異なる。さらに他の実施態様において、対象のタンパク質プロファイル及び疾患タンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、2倍未満異なる。
【0173】
(治療の評価)
本開示はまた、本明細書に提供される方法によって生成されるタンパク質プロファイルを用いて、対象における治療を監視する方法を提供する。本明細書に提供される方法に従って生成されるタンパク質プロファイルは、治療前及び治療後の対象から採取され、該タンパク質プロファイルは、2つの間の(例えば、タンパク質の存在又はタンパク質レベルにおける)差が比較される。一実施態様において、治療を受ける対象は、1回以上の治療又はいくつかの治療を受けることができる。別の実施態様において、該対象は、特定の治療を受けた、かつ/又は受けている。一実施態様において、治療前に取得されたタンパク質プロファイルは、全く治療を受けていない対象から取得することができ、治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較される。別の実施態様において、タンパク質プロファイルは、治療の過程で測定され、治療中のある時点で取得された対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療中の異なる時点で取得された対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルと比較される。特定の実施態様において、治療前及び治療後のタンパク質プロファイルは、治療の過程で同じ治療を受けている対象から取得される。別の実施態様において、治療前と治療後のタンパク質プロファイルは、治療の過程で異なる治療を受けている対象(例えば、治療法を切り替えた対象)から取得される。
【0174】
治療前と治療後の対象のタンパク質プロファイル間の差(例えば、タンパク質の存在又はレベル)は、治療が対象に影響を与えていることを示すことができる。一実施態様において、少なくとも1種のタンパク質、少なくとも2種のタンパク質、少なくとも3種のタンパク質、少なくとも4種のタンパク質、少なくとも5種のタンパク質、少なくとも6種のタンパク質、少なくとも7種のタンパク質、少なくとも8種のタンパク質、少なくとも9種のタンパク質、少なくとも10種のタンパク質、少なくとも11種のタンパク質、少なくとも12種のタンパク質、少なくとも13種のタンパク質、少なくとも14種のタンパク質、少なくとも15種のタンパク質、少なくとも16種のタンパク質、少なくとも17種のタンパク質、少なくとも18種のタンパク質、少なくとも19種のタンパク質、少なくとも20種のタンパク質、少なくとも21種のタンパク質、少なくとも22種のタンパク質、少なくとも23種のタンパク質、少なくとも24種のタンパク質、少なくとも25種のタンパク質、少なくとも26種のタンパク質、少なくとも27種のタンパク質、少なくとも28種のタンパク質、少なくとも29種のタンパク質、又は少なくとも30種のタンパク質の間に差がある。別の実施態様において、少なくとも1種のタンパク質間に差がある。さらに別の実施態様において、少なくとも3種のタンパク質間に差がある。さらに他の実施態様において、少なくとも5種のタンパク質間に差がある。さらに他の実施態様において、少なくとも10種のタンパク質間に差がある。さらに他の実施態様において、少なくとも15種のタンパク質間に差がある。他の実施態様において、少なくとも20種のタンパク質間に差がある。他の実施態様において、少なくとも30種のタンパク質間に差がある。
【0175】
特定の実施態様において、治療前に取得された対象のタンパク質プロファイルは、治療後に取得されたタンパク質プロファイルとは異なるタンパク質(複数可)を含み、該治療が対象に影響を与えた可能性を示す。他の実施態様において、治療前に取得された対象のタンパク質プロファイルは、治療後に取得されたタンパク質プロファイルと比較して異なるレベルの1種以上のタンパク質を有し、該治療が対象に影響を与えた可能性を示す。この異なるレベルの1種以上のタンパク質には、例えば、1倍超の差であるレベルが含まれ得る。特定の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、1倍超、1.5倍超、2倍超、2.5倍超、3倍超、3.5倍超、4倍超、4.5倍超、5倍超、5.5倍超、6倍超、6.5倍、7倍超、7.5倍超、8倍超、8.5倍超、9倍超、9.5倍超、及び10倍超である。いくつかの実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、1.5倍超である。他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、2倍超である。他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、2.5倍超である。さらに他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、3倍超である。さらに他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、4倍超である。別の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、5倍超である。他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、6倍超である。さらに他の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、7倍超である。別の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、8倍超である。さらに別の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、9倍超である。さらに別の実施態様において、治療前後の対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、10倍超である。
【0176】
特定の実施態様において、少量の血液試料は、対象の治療を監視するために治療前及び治療後のタンパク質プロファイルを生成するために採取される。少量の血液試料は、対象から頻繁に採取されるのを可能にし、その結果、以前に達成できなかった頻度での治療監視を可能にする。いくつかの実施態様において、少量の血液試料は、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上の頻度で採取することができる。他の実施態様において、少量の血液試料は、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上採取される。他の実施態様において、少量の血液試料は毎日採取される。さらに他の実施態様において、少量の血液試料は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回採取される。特定の実施態様において、少量の血液試料は、月に1回採取される。
【0177】
本開示はまた、本明細書に提供される方法によって生成されるタンパク質プロファイルを用いて、対象における治療の有効性を決定する方法を提供する。一実施態様において、少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療を受けた対象から取得される。別の実施態様において、少なくとも1つのタンパク質プロファイルは、治療を受けていない対象から取得され、治療を受けた対象のタンパク質プロファイルは、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較される。別の実施態様において、該タンパク質プロファイルは、治療を受けていない1以上の対象から採取された血液試料を用いて生成され、該血液試料はプールされる。別の実施態様において、タンパク質プロファイルは、治療を受けた対象から採取された1以上の血液試料を用いて生成され、該血液試料はプールされる。タンパク質プロファイルは、その後、治療を受けていない1以上の対象のプールされた血液試料及び/又は治療を受けていない対象からの1以上の血液試料から取得される。別の実施態様において、1以上のタンパク質プロファイルは、治療を受けていない1以上の対象から取得され、かつ/又は1以上のタンパク質プロファイルは、治療を受けた対象から取得され、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けた対象のタンパク質プロファイルを含むタンパク質を(存在及び/又はレベルの差によって)決定するために、当技術分野で公知の手段によって統計解析が実行される。治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルは、2種類のタンパク質プロファイルの比較前の任意の時点で生成することができる。
【0178】
治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル間の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性は、治療の有効性を示すことができる。一実施態様において、少なくとも1種のタンパク質、少なくとも2種のタンパク質、少なくとも3種のタンパク質、少なくとも4種のタンパク質、少なくとも5種のタンパク質、少なくとも6種のタンパク質、少なくとも7種のタンパク質、少なくとも8種のタンパク質、少なくとも9種のタンパク質、少なくとも10種のタンパク質、少なくとも11種のタンパク質、少なくとも12種のタンパク質、少なくとも13種のタンパク質、少なくとも14種のタンパク質、少なくとも15種のタンパク質、少なくとも16種のタンパク質、少なくとも17種のタンパク質、少なくとも18種のタンパク質、少なくとも19種のタンパク質、少なくとも20種のタンパク質、少なくとも21種のタンパク質、少なくとも22種のタンパク質、少なくとも23種のタンパク質、少なくとも24種のタンパク質、少なくとも25種のタンパク質、少なくとも26種のタンパク質、少なくとも27種のタンパク質、少なくとも28種のタンパク質、少なくとも29種のタンパク質、又は少なくとも30種のタンパク質の間に類似性がある。別の実施態様において、少なくとも1種のタンパク質間に類似性がある。さらに別の実施態様において、少なくとも3種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも5種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも10種のタンパク質間に類似性がある。さらに他の実施態様において、少なくとも15種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも20種のタンパク質間に類似性がある。他の実施態様において、少なくとも30種のタンパク質間に類似性がある。
【0179】
特定の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルは、存在する同じ1種以上のタンパク質を有し、該治療が有効であった可能性があることを示す。他の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルは、同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質を有し、該治療が有効であった可能性があることを示す。同一又は実質的に類似するレベルの1種以上のタンパク質には、例えば、統計解析又は決定される閾値の倍差(例えば、2倍未満の差)によって、例えば、当業者が十分に異なると決定したタンパク質レベルと(例えば、当業者が決定した関連統計解析内で)同じであるタンパク質レベルが含まれ得る。いくつかの実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイルと治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは同じである。さらに別の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、実質的に類似している。別の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の統計学的方法(例えば、0.05以上のp値を有するT検定)によって決定される。さらに別の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイルと治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルの差は、当業者に公知の所定の基準範囲(例えば、健常又は正常の濃度範囲)と比較することによって決定される。別の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、0.5倍未満異なる。別の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1倍未満異なる。さらに別の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、1.5倍未満異なる。さらに他の実施態様において、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル及び治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルの1種以上のタンパク質のレベルは、2倍未満異なる。
【0180】
(対象)
特定の実施態様は、対象からの血液試料又はその成分のタンパク質プロファイルを決定することに関する。
【0181】
該対象は、血液が赤血球(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)を含む動物であり得る。適切な対象の非限定的な例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥及び齧歯類の種が挙げられる。したがって、いくつかの実施態様において、該対象は、ヒト、非ヒト哺乳動物、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、又はイヌであり得る。
【0182】
(キット)
本開示はまた、本明細書に記載の方法を実行するのに必要な成分を含むキットを提供する。
【0183】
非限定的な例としては、該キットは、血液採取、抗凝固剤(複数可)、血液安定剤(複数可)、RBCの濃縮、非RBC血液成分の除去/分離、急速凍結血液又はその成分(複数可)、細胞溶解、細胞洗浄、細胞培養、細胞内及び/又は細胞外の特定の標的タンパク質(複数可)の検出、並びに/又はそれらの組み合わせのための手段を含み得る。特定の実施態様において、該キットは、血液試料から白血球を除去し、赤血球濃縮試料を生成するための少なくとも1種類の試薬、並びに少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための少なくとも1種類の試薬を含む。一実施態様において、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する試薬は、ELISA装置である。他の実施態様において、該キットはさらに、対象から血液試料を採取するための少なくとも1種類の試薬を含む。
【0184】
いくつかの実施態様において、本開示によるキットは、以下のもの:対象から血液試料を採取するための装置(複数可)(例えば、注射器、針、翼状針、チューブ、針ホルダ、採血セット、移送装置、バキュテナー、hemaPEN(商標));対象から乾燥血液試料を採取するための装置(複数可)(例えば、濾紙、カード、HemaSpot(商標));液体血液試料から赤血球画分、白血球画分、及び/又は血小板画分を取得するための装置(複数可)(例えば、抗体コーティング磁気ビーズ);抗凝固剤;及びタンパク質変性剤などのうちの1以上を含み得る。
【実施例】
【0185】
(実施例)
本開示は、これから具体的な実施例(複数可)を参照して説明するが、決して限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0186】
(実施例1.RBCの表面上のMIF受容体の存在の調査)
RBCはMIFを含有する。RBCがMIFに結合する受容体を有するかどうかを決定するために、細胞表面上のCD44とCD74との間に形成される複合体である、MIFの最もよく知られている受容体についてRBCを分析した。免疫表現型検査を用いて、RBC上のCD44及びCD74の不在又は存在を特定した。全血(WB)を、EDTAバキュテナーに採取し、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し(5分間、500gで遠心分離)、最終的に、1mLの溶液に再懸濁した。5μLの溶液をそれぞれのチューブに添加した。次いで、細胞を、5μL又は20μLの各抗体(抗CD44、抗CD74、抗CD45、及びIgG対照)並びに50μLのPBS+FBS(2%)で染色した。細胞溶液を15分間、室温、暗所でインキュベートし、インキュベーション後、細胞を1×PBS(500g、5分)で3回洗浄した。細胞を200μLのPBSに再懸濁し、象限統計及びオーバーレイヒストグラムを用いてフローサイトメトリーにより分析した。
【0187】
図1A〜1Cに示すように、RBCは、受容体CD44について陽性であった。しかし、RBCは、CD74については陽性であるようには見えなかった(図2)。予想されるように、RBCは、白血球(WBC)マーカーCD45について陽性ではなかった(データ示さず)。RBCはCD44について陽性であったが、CD74については陽性ではないので、RBCは主なMIF受容体を有していない。そのために、MIFがRBCの表面上にある場合、RBCは別の機構によって結合するはずである。
【0188】
(実施例2.RBC中のMIF局在)
RBCを、免疫細胞化学を用いて、MIFの局在について分析した。全血をシリンジに収集し、1×PBSで2回洗浄した(5分間、500gで、遠心機で回転させた)。細胞ペレットを用いて、血液塗抹標本(スライドあたり10μL)を調製し、血液スライドを少なくとも2時間、室温で乾燥させた。スライドを完全に乾燥させた後、塗抹標本を室温で、5分間、100%メタノールで固定した。スライドを固定した後、それらをメタノールから取り出し、約10分間、空気乾燥させた。スライドを1×PBSで徹底的に洗浄し、次いで、血液塗抹標本をブロット乾燥した。塗抹標本を室温で1時間、PBS+5% BSAでブロッキングした。ブロッキング後、該試料を4℃で一晩、一次MIF抗体(抗ヒト、ウサギMIF抗体、1μg/mL)と共に又は含めないでインキュベートした。インキュベーション後、スライドを1×PBSでよく洗浄し、次いで、二次抗体(抗ウサギ、AP結合抗体、1:50希釈)と室温で30分間インキュベートした。スライドを1×PBSでよく洗浄し、過剰な液体を取り除いた。新たに調製した基質(AP発色緩衝液:基質A:基質B=100:1:1)をスライド上に滴下し、室温で20分間インキュベートし、ミリQ水で反応を停止させた。スライドを乾燥させ、マウントし、光学顕微鏡を用いて画像を収集した。
【0189】
次に、RA滑膜(ヒト)のパラフィン包埋試料を切片にし、スライドガラスにのせた。キシレン(2回、5分)及びエタノール(100%、100%、95%、70%、3分毎)で洗浄し、最後に水道水を流して洗浄し、パラフィンを試料から取り除いた。次いで、熱誘導エピトープ賦活化を、以下の方法によって沸騰水浴を用いて実行した:Tissue-Tek社製容器を緩衝液(pH6)で満たし、水浴中で95℃まで加熱した。スライドを沸騰水浴中の容器に入れ、20分間インキュベートした。スライドを水浴から取り出し、室温で20分間放冷した。そして、冷水を徐々に添加し、最終的にスライドを2〜3分間、冷たい水道水で洗浄した。スライドをSequenzaトレイに接着させ、洗浄緩衝液(TBST)で6分間洗浄した。切片を、Dako社のプロテインブロック血清フリー(100μL、10分)を用いてブロッキングした。一次抗体(又は対応する陰性IgG対照)を調製濃度でスライドに添加し、一晩インキュベートした(100μL、4℃;0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mL)。インキュベーション後、スライドをTBST(6分、室温)で洗浄した。二次抗体(EnVisionポリマー、ウサギ、HRP)を、スライドに添加し(3滴)、スライドを室温で30分間インキュベートした。次いで、スライドをTBSTで洗浄し(6分、室温)、Sequenzaトレイから取り出し、HRP基質試薬(NovaRED)を、各スライド上に直接滴下することにより、各スライドに添加した(200μL)。スライドを室温で15分間インキュベートした。次いで、5分間水道水を流してスライドを洗浄し、反応を停止させ、試料をヘマトキシリン(2分、室温)及びスコット・ブルー(30秒、室温)で対比染色した。次いで、試料を、漸増濃度のエタノール、次いで、キシレンで脱水し、マウントして、光学顕微鏡を用いて観察した。
【0190】
予想される通り、白血球の明確な細胞内染色(図3)が観察された(WBCは、MIFの高い細胞内プールを含有する)。これらの結果はまた、RBCの細胞表面が染色されことを示し(図3)、MIFが細胞表面上に存在することが示唆された。RBC上で明確な細胞内染色はなかった(図3)。陰性対照を図4に示す。
【0191】
滑膜切片の染色も成功した。陰性対照での染色はほとんどないか又は全くなく(図5)、陽性対照では内皮細胞及び炎症性細胞の染色が良好であった(図6)。血管内のRBCは染色されたように見えたが、染色の局在化は決定されなかった。
【0192】
これらの結果から、MIFは細胞内ではなく、細胞膜上に局在していることが示唆された。これとは対照的に、RBCゴースト及びRBC溶解物は、MIF染色を示さなかった(データ示さず)。WBCは、細胞内MIFを含有する。
【0193】
(実施例3.RBC中でのMIFの存在の調査)
MIFレベルは、血漿中よりもRBC中で約1000倍高かったので、RBCをMIFの細胞内レベルについて分析した。全血を、毛細血管床から採取した(指先採取)。血液をEDTA(30mg/mL)溶液で抗凝固させ(1:1)、PBS+FBS(2%)で2回洗浄した。細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色した。インキュベーション後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、次いで、RBCをフローサイトメトリー(FACS)による陰性選別を用いて分離した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分間)によってペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。細胞を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。次いで、試料をHu MIF ELISAにて分析した。指先及び静脈血については、全血を、毛細血管床(指先採取)又は静脈のいずれかから採取した。血液をEDTA(30mg/mL)溶液で抗凝固させ(1:1)、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し、細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色した。インキュベーション後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、FACS上の陰性選別を用いてRBCを分離した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によりペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。細胞を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。試料をHu MIF ELISAにて分析した。
【0194】
図7に示すように、MIFをFACS分離RBC中で、高濃度で特定した。しかし、レベルは、全血中で測定されたものより約10倍低かった。図8に示すように、静脈採取に対して、指先から採取したRBCの中のMIF濃度に差があった。全血におけるMIFの濃度は、ELISAによって分析するにはあまりにも高かった(データ示さず)。結果から、MIFはRBC中に存在するが、その測定可能なMIF濃度は、採取部位(指先又は静脈)並びに選択された抗凝固剤(EDTA又はヘパリン)に依存して異なることが実証された。
【0195】
(実施例4.RBC分離の最適化)
(4.1 デキストラン沈降対フローサイトメトリー)
全血を、静脈採取によりEDTA及びヘパリンバキュテナーに採取した。RBCを、FACS、デキストラン沈降、又はRBC溶解緩衝液のいずれかを用いて分離した。FACS分離のために、血液を遠心分離(5分間、1000g)により、FACS洗浄緩衝液(PBS+2%FBS)で2回洗浄した。得られた細胞ペレットを50μLのFACs洗浄緩衝液に再懸濁し、CD45-FITC(5μL、FITCマウス抗ヒトCD45、H130、eBioscience 11-0459-42)で染色し、暗所で、室温で15分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をFACS洗浄緩衝液(5分間、1000g)で2回洗浄し、次いで、緩衝液に再懸濁させたRBCを、FACS(FACSAria IIIフローサイトメーター、4レーザー)上での陰性選別を用いて分離した。RBC及びWBCを、前方散乱及び側方散乱によって、サイズに応じて血小板からゲーティングした。次いで、RBCをCD45染色のWBC欠如によってWBCからゲーティングした。デキストラン沈降のために、抗凝固WBを高分子量デキストランに添加し(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v、1:1の血液:デキストラン)、溶液を穏やかに混合し、RBCを沈降させるために室温(約23℃)で、最大60分間放置し、沈降後、RBCを分離し、1×PBSで2回洗浄した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分間)によってペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。次いで、RBCを溶解した。2億5千万個の細胞を6mLの氷冷のミリQ水に添加し、30秒間インキュベートした。インキュベーション後、2mLの氷冷0.6M KClを添加して、等張性を回復させた。溶液を氷冷PBSで50mLまで希釈した。そして、混入細胞をペレット化し、溶解物を収集した(250,000細胞/50μLに等しい)。最後に、試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全細胞を溶解した。
【0196】
溶解した細胞中のMIFの濃度をMIF ELISA(R&D Systems、USA)を用いて測定し、MIF ELISAの吸光度データを、450nm(570nmにおける吸光度補正)でSynergy 2プレートリーダー(BioTeck、USA)を用いて収集した。検量線を、log/logカーブフィット(GraphPad Prismソフトウェア(バージョン6、USA))を用いて分析した。
【0197】
分離したRBCの純度を決定するために、全血をEDTAバキュテナーに採取し、上記のように、デキストラン沈降法を用いてRBCを分離した。RBCを、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し、5分間、500gにし、最後に1mLの溶液に再懸濁した。5μLの溶液をそれぞれのチューブに加え、5μL又は20μLの各抗体(抗CD45、及びIgG対照)並びに50μLのPBS+FBS(2%)で細胞を染色した。細胞溶液を暗所で、15分間、室温でインキュベートし、インキュベーション後、細胞を1×PBSで3回洗浄した(500g、5分)。細胞を、200μLのPBSに再懸濁し、象限統計及びオーバーレイヒストグラム(Coulter AcT Diff、Beckman Coulter)を用いてフローサイトメトリーにより分析した。
【0198】
図9に示すように、RBCのデキストラン沈降は、RBC溶解緩衝液又はFACS分離(全血1mLに相対的な寄与に対して正規化した濃度)を用いるよりも、MIFの測定濃度はより高かった。デキストラン自体の存在は、測定されたMIFのレベルを変化させなかった(データ示さず)。加えて、デキストラン沈降を用いて分離したRBCを、混入したCD45+細胞(WBC)の存在について染色した。RBCは約0.0025%純粋であった(図10A〜10C)。
【0199】
結果から、RBC集団で測定したMIF量がRBC分離の方法に依存していることが実証された。デキストラン沈降は、純度の高いRBCの最大数をもたらす最適なRBC分離技術であった。結果から、デキストラン沈降が他の一般的に使用されるRBC分離技術よりも効果的又はさらにより効果的であることが示された。加えて、デキストラン沈降は、MIFのはるかに高いレベルの検出をもたらし、本方法がタンパク質レベルの測定のための他の方法よりもはるかに正確であり得ることが示された。
【0200】
(4.2 RBC処理:デキストラン沈降対他の方法)
全血を、静脈穿刺(n=1)によって健常ボランティアからEDTAバキュテナー(K2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、分析前に完全な細胞溶解を確実にするために、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供した。
【0201】
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下部赤血球画分を収集した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で1回洗浄するか、又はPBSで3回、反転しながら十分に洗浄した。得られた赤血球を、新鮮なまま使用するか、又は凍結させた(-80℃)。
【0202】
赤血球のアリコートを、PBSで4億細胞/mLに希釈し、37℃、24時間、5% CO2でインキュベートした。インキュベーション後、赤血球及び得られた馴化PBSを分けて、凍結させた(-80℃)。
【0203】
赤血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供し、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0204】
このデータは、再び、デキストラン沈降による赤血球の分離が95%を超える平均白血球及び血小板除去をもたらしたことを示した(表3)。
【0205】
表3.デキストラン沈降を用いて生成した濃縮赤血球画分からの白血球及び血小板の除去率
【表3】
【0206】
RBC分離方法において一般的に使用される洗浄工程の効果を評価すること。赤血球のデキストラン沈降分離後に徹底的な洗浄工程を追加すると、この洗浄工程を経ていない細胞と比較した場合に、サイトカインプロファイルに変化があった。洗浄した細胞中で測定可能なサイトカインが全体的に減少していた(図11A-11GG)。
【0207】
洗浄した赤血球中のほとんどのタンパク質の濃度は、例えば、IFN-γ(2倍少ない)、G-CSF(4倍少ない)、及びPDGF-bb(6倍少ない)に見られるように、未洗浄赤血球で観察されるものよりも顕著に低かった。さらに、その時点までに、タンパク質のコレクションのレベルは、未洗浄対照とは異なり、検出レベル未満であった。IFN-α2及びIL-17が、未洗浄赤血球で検出可能である場合、それらは洗浄した細胞には完全に存在しなかった。これらの結果は、赤血球の過剰な洗浄がそれらのサイトカインプロファイルを変化させ得ることを実証する。この洗浄は、ほとんどの赤血球分離技術において重要な工程である。
【0208】
RBC溶解は不完全であるため、このデータから、デキストラン沈降がMIFレベルに関して最も正確な答えを与えたことが示唆される。RBC分離技術間の主な違いは、それぞれがどれくらい広範囲に処理されるかということである。デキストラン沈降法は、比較的穏やかで、最小限の洗浄工程を伴うが、FACs法は、細胞選別のために、細胞が多数の洗浄工程及びサイトメーターの高速通過を受けることを必要とする。
【0209】
(実施例5.血液成分全域でのMIFの分布)
RBCがMIFの主要な貯蔵所であるかどうかを決定するために、RBCをMIFの存在について分析した。全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取した。血漿を遠心分離後に収集し、細胞をFACS又はデキストラン沈降のいずれかを用いて分離した。FACS分離のために、血液をPBS+FBS(2%)で2回洗浄し、細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色し、次いで、1×PBSで2回洗浄した。次いで、RBCをFACS上で陰性選別を用いて分離した。WBCを、CD45について陽性染色を用いて分離した。そして、血小板をサイズに従って分離した。上記のようにデキストラン沈降を実行した後に、WBC及び血小板を遠心分離により上清から分離した。細胞及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によってペレット化し、再懸濁させて、濃度を設定した。試料を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。次いで、試料をHu MIF ELISAで分析した。
【0210】
細胞をFACS又はデキストラン沈降によって分離した時のMIF分布を、表4及び5に示す。MIFは血液の全成分中に存在するが、RBCは、全MIFの最大の割合に寄与した。WBCは、細胞あたり最高濃度のMIFを含有していたが、血液中には1000倍超のRBCが存在していた。
【0211】
表4:デキストラン沈降を用いて分離した後に全血と比較した血液成分間のMIFの分布(n=1)
【表4】
【0212】
表5:FACSを用いて分離した後の全血と比較した血液成分間のMIFの分布(n=1)
【表5】
【0213】
表6:デキストラン沈降を用いて分離した後の全血と比較した血液成分間のMIFの分布。データは平均±標準偏差として提示される(n=3)
【表6】
【0214】
(実施例6.RBC中に存在するタンパク質の特定)
RBCがMIF以外のタンパク質の貯蔵所であるかどうかを調査するために、RBC中の他のタンパク質レベルを評価した。全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取した。上記のように、血漿を遠心分離後に収集し、細胞をFACS又はデキストラン沈降のいずれかを用いて分離した。分離した細胞及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によってペレット化し、再懸濁させて、濃度を設定した。試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。試料を、Hu27-プレックスBioPlexで分析した。加えて、RBCによって放出又は分泌されたタンパク質を分析した。前述のように、全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取し、デキストラン沈降によってRBCを分離した。分離したRBCを、100μLのPBS又はPBS+プロテアーゼ阻害剤(1×)中2千万個の細胞に分注し、細胞を37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、上清及び細胞を遠心分離により分離し、試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。試料をHu27プレックスBioPlexで分析した。
【0215】
試料をBioPlex上に流した後、RBC及び他の血液成分中に存在するものとしていくつかのタンパク質を特定した。該分析は、全血とRBCの両方に実質的な量で存在する(合計27種中)16種のタンパク質のそれぞれの濃度を報告する(表7〜11)。全収率を、全血中の測定したタンパク質と比較した各血液成分からのタンパク質の全収率として報告する(表7〜11)。
【0216】
表7:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の炎症促進性サイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表7】
【0217】
表8:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の抗炎症性サイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表8】
【0218】
表9:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の成長因子のまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表9】
【0219】
表10:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中のケモカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表10】
【0220】
表11:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の複数の機能を有するサイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表11】
【0221】
RBCを37℃で24時間、PBS中で培養した後に、いくつかのタンパク質が放出又は分泌された。抗炎症、炎症促進性、ケモカイン、又は成長因子としてのタンパク質分類については表7〜11を参照されたい。表12〜15は、37℃で24時間かけてRBC(100μLのPBS中2000万個のRBC)からPBS中に放出又は分泌される検体のまとめを示し、BioPlexによって測定し、pg/mLとして報告する。図は、各タンパク質の平均検出濃度に従って分けられている。RBC培養中にプロテアーゼ阻害剤を添加すると、タンパク質の放出又は分泌が変化した(37℃で24時間)。
【0222】
培養条件は以下の通りであった:
1.RBC+PBS(100μLのPBS中2000万個のRBC)
2.RBC+PBS+プロテアーゼ阻害剤(PI)(100μLのPBS+PI中2000万個のRBC)
【0223】
図16A〜16Zに示す一連のグラフは、RBCから放出又は分泌されたタンパク質の濃度(黒カラム)並びに分泌後に細胞中に残っているタンパク質の濃度(灰色カラム)に対するプロテアーゼ阻害剤(PI)の有効性を示す。いくつかの例外(すなわち、MIP-1b)はあるが、培養液にプロテアーゼ阻害剤を含めると、典型的には、放出又は分泌と細胞溶解物の両方に対して検出可能な濃度はより低かった。データを平均値±標準偏差(SD)として提示した。
【0224】
該データは、多くのサイトカインがRBC中に存在することを実証した。全血中のサイトカインレベルは、血漿中に比べてはるかに異なるので、それらは、末梢血のサイトカインプロファイルの非常に異なる概念を与え、これはバイオマーカー分析に対する影響を有する。
【0225】
(実施例7.RBC中又はRBC上のCRPの存在)
CRP炎症マーカーがRBCと関連しているかどうかを調査するために、ランセットを使用する指穿刺によりWBを採取した。血液を、新鮮な血液で(血漿レベルを検出する)又は細胞の全てを溶解させるための3回の凍結-解凍サイクル後(全血レベルについて)のいずれかで、iChroma装置を用いてCRPレベルについて分析した。(デキストラン沈降後に)精製したRBCを収集し、3回の凍結-解凍サイクルを用いて溶解し、iChroma装置上に流し、タンパク質レベルを貯蔵した血漿試料中のものと比較した。
【0226】
図17に示すように、CRPは、血漿成分よりも溶解した全血においてより高いレベルで検出可能であった。CRPはまた、対応する血漿濃度と比較して、RBC溶解物中で同様の比率で検出可能であった(図18)。結果から、CRPがRBCと関連し、RBCが全血中で検出可能な総CRPの約50%に関与することが示唆された。
【0227】
(実施例8.少量の血液中のタンパク質レベルの測定)
等量の血漿中のレベルと比較して、赤血球中で様々なタンパク質のレベルが高いという発見から、例えば、少量の全血及び/又はRBCはタンパク質マーカーを特定するために使用することができることが示唆された。少量の全血及びRBC中の多数のタンパク質レベルを分析した。
【0228】
全血を、指穿刺(n=1)によって健常ボランティアからEDTA溶液(3mg/mL)に直接採取した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供し、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。赤血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供し、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、全血を、5μLの全血(45μLのPBS中)、10μLの全血(40μLのPBS中)、15μLの全血(35μLのPBS中)、20μLの全血(30μLのPBS中)、又は25μの全血(25μLのPBS中)でマルチプレックスサイトカインアッセイにて分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0229】
様々な希釈の全血中の示したタンパク質濃度(1:10、1:5、1:3.3、1:2.5、1:2)を図19A〜19TTに示す(未希釈濃度に対して逆算する)。全血の分析により、いくつかのタンパク質の存在が明らかになり、これらのタンパク質はまた、希釈の範囲で存在した。しかし、全血に特有ではない分析タンパク質の多くについて希釈直線性はなかった。それはまた、BioPlexなどのLuminexプラットフォームでの血漿分析で観察される(複数のタンパク質が典型的には希釈して検出される)。結果は、少量(5μLまで)の全血中のタンパク質を監視することができることを示す。全血中の多数のタンパク質の検出の容易さは、非常に少量の(例えば、指先から採取される)血液を採取し、タンパク質レベルの分析のために使用することができることを実証する。
【0230】
(実施例9.静脈血試料に対する指先試料中のタンパク質の存在)
少量の血液中のタンパク質の検出をさらに探索するために、指穿刺中の多数のタンパク質レベルを、既知の方法により採取した静脈血中のそれらのレベルと比較した。
【0231】
全血を静脈穿刺又は指穿刺(n>12)によって、健常ボランティアからEDTAバキュテナー(k2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)又はEDTA溶液(3mg/mL)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。以下のように、血漿及び赤血球を、デキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を収集した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を、1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下側の赤血球画分を分離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、次いで、分析まで凍結させた(-80℃)。
【0232】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。1つのマルチプレックスアッセイを利用した。それは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex, Bio-Rad)であった。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0233】
静脈血及び指先血から分離した血漿、又は静脈血及び指先血から分離した赤血球の溶解物中の示したタンパク質の濃度を、図20A〜20AAに示す。有意差(p<0.05)を、スチューデントt検定を用いて決定した。指先血及び静脈血を比較した場合、血漿と赤血球中のタンパク質レベル間に一貫した傾向があった。例えば、IL-6の濃度は、静脈血漿中の濃度と対照的に、指先から分離した血漿において有意に高い濃度であった。この同じ傾向が赤血球で観察され、有意に高いレベルのタンパク質が指先の血液から分離した細胞中で観察された。この傾向は、例えば、IL-2、RANTES、及びIP-10を含むいくつかのタンパク質について観察された。例えば、IL-1β、IL-8、及びTNF-αを含むいくつかのタンパク質について、より高い濃度が、指先血から分離した血漿及び赤血球において観察された。
【0234】
赤血球については、生物学的なばらつき(標準偏差)は、静脈試料(例えば、MIP-1β、G-CSF)より指先試料において低かった。これにより、指先から採取した赤血球の分析が静脈血の分析よりも再現性があることが示唆された。反対のことが、血漿中のいくつかのタンパク質について観察され、静脈血漿は指先血よりも変化しなかった(例えば、IL-7、PDGF-bb)。これらの結果から、頻繁な採血を使用することができる指先からの赤血球の分離及び分析の場合が支持された。
【0235】
(実施例10.血漿に対するRBC中のタンパク質プロファイル)
赤血球中でタンパク質レベルが比較的高いことを考慮して、赤血球溶解物中のタンパク質レベルを血漿中のレベルと比較した。全血を静脈穿刺(n=6)によって健常ボランティアからEDTAバキュテナー(K2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0236】
血漿、赤血球、及び白血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層及び下部赤血球画分を分離し、個々のチューブに加えた。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを凍結させた(-80℃)。上部白血球濃縮層をPBS(1,000g、10分)で2回洗浄した。上清を廃棄し、30秒間、3mLのミリQ水で細胞ペレットを再懸濁することにより、混入している全ての赤血球を低張ショックにより溶解した。この後に、1mLの塩化カリウム(0.65M)を添加することによって等張性を戻し、この溶液をPBSで15mLまで希釈した。残りの細胞をペレット化し、PBSで2回洗浄した(1,000g、5分間)。残りの細胞ペレットをPBSに再懸濁し、すぐに-80℃で凍結させた。
【0237】
赤血球及び白血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈し、白血球溶解物を20,000細胞/mLに希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0238】
血漿及び赤血球溶解物(4億細胞/mL)中の示したタンパク質濃度を示すチャートを、図21A〜21Bに示す。タンパク質濃度を、全血1mLあたりの相対濃度(約50億細胞/mL)に対して逆算し、白血球混入について補正した。補正した赤血球タンパク質濃度と血漿タンパク質濃度との間の倍差も決定した(図21A〜21B)。分析した48種のタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン)全てにおいて、血漿中よりもRBC中で実質的に高い濃度を有する31種のタンパク質が存在した。血漿中のタンパク質濃度に対するRBC中のタンパク質濃度(RBC:血漿比)の倍数変化の増加の範囲は、3.6〜3970であった。RBC:血漿比の中央値は、11.3であった。これらの結果から、少量の血液(例えば、少量の血液から分離した全血又はRBCの量の1/10)が目的のタンパク質(実験で特定されたタンパク質を含む)の検出に用いることができることが示唆された。加えて、(例えば、指穿刺を介して)少量の血液を採取する能力は、頻繁な低侵襲採取を可能にする。
【0239】
(実施例11.カチオン塩を用いたRBC中のタンパク質プロファイル)
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層及び下部赤血球画分を分離し、白血球を廃棄した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄した。上清を廃棄し、PBS又は100mMのLiClを含有するPBSのいずれかに赤血球ペレットを再懸濁した。
【0240】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)で、赤血球溶解物を分析した。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0241】
図22に見られるように、塩化リチウムは、アッセイ中のタンパク質のいくつかのレベルを増加させ、かつ/又は高めた。
【0242】
(実施例12.子癇前症又は癌を有する個体に対する健常個体からのRBC中のタンパク質プロファイル)
疾患又は障害を有するものと比較した健常個体の血液中のタンパク質レベルの差を測定した。1)健常ボランティア、2)健常妊婦、3)子癇前症を有する妊婦、及び4)癌患者を含む人々の4つのグループから全血を採取した(表12を参照されたい)。健常妊娠対照は、妊娠に応じて子癇前症の試料と一致した。血液を、静脈穿刺(n≧3)によって各ボランティアからEDTAバキュテナー(k2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。
【0243】
表12.参加者のまとめ
【表12】
【0244】
血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0245】
以下のように、血漿及び赤血球を、デキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を収集した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を、1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下側の赤血球画分を分離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、次いで、分析まで凍結させた(-80℃)。
【0246】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物及び血漿試料(無希釈)を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0247】
図23A-23VVは、全血の1mLあたりの相対濃度(約5×109細胞/mL)に対して逆算した参加者グループからの血漿及び赤血球溶解物(4億細胞/mL)中の示したタンパク質濃度を示す。有意差(p<0.05)を、スチューデントT検定を用いて決定した。健常(非妊娠)個体の血液中のタンパク質レベルを癌患者と比較し、健常妊娠個体の血液中のタンパク質レベルを子癇前症妊娠個体のレベルと比較した。図24A〜24Cは、血漿とは対照的に、赤血球中のタンパク質濃度間の倍差を示す。
【0248】
タンパク質コレクションにおいて、健常対照個体のタンパク質レベルと疾患又は障害を有する個体のタンパク質レベル間に有意な差があった。例えば、IL-2は、健常群よりも腫瘍群から採取した赤血球において有意に低く(約10倍低い)、ケモカインCTACKは、健常妊娠グループよりも子癇前症群から採取した赤血球において有意に高かった。加えて、48種のサイトカインのうちの28種が、実質的に血漿レベルを超える(2:1より大きい)RBC中のタンパク質レベルを有しており、倍数変化は2:1〜280:1(RBC:血漿比)の範囲であった。RBC-血漿比の中央値は5.9:1であった。研究の結果から、赤血球が疾患におけるバイオマーカーを特定するのに有用なツールであり得ることが実証された。さらに、特に、血漿のみにおいてはタンパク質レベルの明確な差は存在しないが、赤血球において(例えば、bFGF)又は赤血球と血漿の間で識別可能な差がある場合に、血漿と組み合わせた赤血球の分析は、現在達成不可能である疾患状態に関する詳細情報を提供することができる。
【0249】
(実施例13.子癇前症又は癌を有する個体に対する健常個体からのRBC中のタンパク質プロファイル並びにRBCタンパク質放出)
赤血球によって放出されるタンパク質レベルを、健常個体及び疾患又は障害を有する個体において評価した。1)健常ボランティア、2)健常妊婦、3)子癇前症を有する妊婦、及び4)腫瘍患者を含む人々の4つのグループから、全血を採取した(表13)。
【0250】
表13.参加者のまとめ
【表13】
【0251】
健常妊娠対照の試料は、妊娠に応じて子癇前症の試料と一致した。血液を、静脈穿刺によって各ボランティア(n≧3)からEDTAバキュテナー(k2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0252】
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下部赤血球画分を分離した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数した(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)。次いで、赤血球を、4億細胞/mLまでPBSで希釈し、37℃、5% CO2で、24時間インキュベートした。インキュベーション後、得られた馴化PBSを遠心分離(500g、5分)により分離した。全ての試料を-80℃で保存し、分析の前に3回の凍結-解凍サイクルを行った。次いで、該馴化PBS試料をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0253】
図25A〜25RRは、参加グループからのPBS馴化赤血球中の示したタンパク質の濃度を示す。37℃で24時間、赤血球インキュベーション後に、馴化PBSを生成した。有意差(p<0.05)を、スチューデントT検定を用いて決定した。健常対照個体と疾患群の個体の間のタンパク質レベルに有意差があった。例えば、健常対照と比べて有意に少ないIL-1α及びGCS-Fが、癌患者から分離した赤血球から放出され、健常個体よりも有意に多いIL-12(p40)及びエオタキシンが、癌患者から分離した赤血球から放出された。同様に、MIFなどのいくつかのサイトカインが、健常妊娠群と子癇前症を有する群との間で有意に異なっていた。
【0254】
結果から、赤血球のセクレトームの分析は、疾患におけるバイオマーカーを特定及び追跡するのに有用な診断ツールであり得ることが示唆された。赤血球(赤血球タンパク質放出)の分泌の分析は、疾患状態に関する追加情報を提供することができた。
【0255】
(実施例14.限定されない他の例示的な実施態様)
請求される主題のさらなる利点は、特許請求される主題の特定の実施態様を記載する以下の実施例から明らかになるであろう。
1.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;並びに
c.)少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出し、該少量が5μL〜100μLであること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する前に、該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、該カチオン塩が該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させる、前記方法。
2.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)少なくとも1種のカチオン塩と該赤血球濃縮試料とを接触させ、該カチオン塩が、該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させること;並びに
d.)少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出し、該少量が5μL〜100μLであること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
少なくとも1種のカチオン塩のカチオンが、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
少なくとも1種のカチオン塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、鉄塩、フランシウム塩、ピリジニウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
該少なくとも1種のカチオン塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩化物塩であり;
該少なくとも1種のカチオン塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭酸塩であり;
該少なくとも1種のカチオン塩が、アンモニウム塩であり;
該アンモニウム塩が、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
3.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
e.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含み;
該赤血球及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルが、該赤血球濃縮試料から少量で測定され;
該タンパク質比が、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、及び少なくとも200:1からなる群から選択され、
該タンパク質比が、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、及び少なくとも10:1からなる群から選択される、前記方法。
4.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)カチオン塩と該赤血球とを接触させ、少なくとも1種のカチオン塩が該赤血球中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させること;
e.)少量の該赤血球濃縮試料において該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
f.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含み;
該タンパク質比が、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、及び少なくとも200:1からなる群から選択され、
該タンパク質比が、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、及び少なくとも10:1からなる群から選択される、前記方法。
5.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で該赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートすること;並びに
d.)該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
該培地が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である、前記方法。
6.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で該赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートし、該培地が、該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させるカチオン塩を含有すること;並びに
d.)該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、該生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
該培地が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である、前記方法。
7.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)少量の血液試料を取得すること;
b.)該少量の血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;及び
c.)該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中に検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
該少量の血液試料が5μL〜100μLであり;
該少量の血液試料が5μL〜20μLであり;
該血液試料が対象から採取され;
該対象がヒト又は非ヒト動物であり;
該少量の血液試料が指、踵、耳又は尾から採取され;
該少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺により採取され;
該対象がヒトであり;
該少量の血液試料が、指、踵、又は耳から採取され;
該少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取され;
該対象が、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、及びイヌからなる群から選択される非ヒト動物であり;
該少量の血液試料が、尾部穿刺又は耳穿刺により採取され;
該少量の血液試料が、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が毎日採取され;
該少量の血液試料が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が月に1回採取される、前記方法。
8.疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)(i)疾患又は障害を有する対象、及び
(ii)疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象
から、上記の例のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルを、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
生成される疾患タンパク質プロファイルが、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較して、該疾患又は障害を有する対象からのタンパク質プロファイルの異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含み;
該疾患又は障害が癌であり;
該疾患タンパク質プロファイルが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルであり;
該疾患又は障害が子癇前症であり;
該疾患プロファイルが、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルであり;
該子癇前症のタンパク質プロファイルが、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
9.対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、
a.)上記例のうちの1以上に従って生成される対象のタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、対象が疾患又は障害を有していることを示し;
該疾患又は障害が、癌、子癇前症、自己免疫疾患、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病、代謝性障害、筋骨格疾患、感染症、遺伝性障害、腎障害、及び胃腸障害からなる群から選択される、前記方法。
10.対象において治療を監視する方法であって、
a.)治療前及び治療後の対象から、上記例のうちの1以上に従って生成されるタンパク質プロファイルを取得すること;
b.)治療前の対象のタンパク質プロファイルと治療後の対象のタンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療前の対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの差が、該対象に対する治療の有効性を示し;
治療を受けなかった対象のタンパク質プロファイルが、治療を受けた後の対象のタンパク質プロファイルと比較され;
ある時点での治療後の対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルが、異なる時点での治療後の対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルと比較され;
該対象が同じ治療を受け;
該対象が異なる治療を受け;
該血液試料が少量の血液試料であり;
該対象が、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数監視され;
該対象が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数監視され;
該対象が毎日監視され;
該対象が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数監視され;
該対象が月に1回監視される、前記方法。
11.治療の有効性を決定する方法であって、
a.)(i)治療を受けた対象、及び
(ii)治療を受けていない対象
から、上記例のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;
b.)治療を受けた対象のタンパク質プロファイルを、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、該治療の有効性を示す、前記方法。
12.該血液試料が対象から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
13.該血液試料が、該対象の毛細血管又は該対象の静脈から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
14.該対象がヒト又は非ヒト動物である、上記例のうちの1以上に記載の方法。
15.該対象がヒトである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
16.該少量の赤血球濃縮試料が5μL〜20μLである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
17.該少量の赤血球濃縮試料が5μLである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
18.該1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は該1種以上のタンパク質のレベルが1種以上の抗体を用いて測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
19.該赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
20.該赤血球濃縮試料中で5種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
21.該赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は10種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
22.該赤血球濃縮試料中で20種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は20種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
23.該赤血球濃縮試料中で30種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
24.該1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス成分、並びに酵素からなる群から選択される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
25.該1種以上のタンパク質が、表1に記載のタンパク質又は表2に記載のタンパク質の組み合わせからなる群から選択される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
26.該1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、及びDDTからなる群から選択される、上記例のうちの1以上の方法。
27.該血液試料が、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、遠心分離、セルロースカラム、及びデキストラン沈降からなる群から選択される1以上の方法により白血球除去される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
28.該赤血球がデキストラン沈降によって白血球除去される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
29.該1種以上のタンパク質が、該赤血球の表面、赤血球の内部、赤血球の溶解物、赤血球の上清、赤血球を含有する培地、及び赤血球を以前に含有していた培地からなる群から選択される1以上の場所から検出又は測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
30.該対象が疾患又は障害を有する、上記例のうちの1以上に記載の方法。
31.血液試料中の1種以上のタンパク質の検出又は測定の精度を高める方法であって、
a.)該血液試料とデキストランとを接触させること;
b.)該血液試料が白血球含有層及び赤血球緻密層を形成するのを可能にすること;
c.)該赤血球緻密層中の赤血球を分離し、赤血球濃縮血液試料を作製すること;並びに
d.)該赤血球濃縮血液試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定すること、
を含み、
該血液試料が少量の血液試料であり;
該少量の血液試料が、5〜100μLであり;
該血液試料中のデキストランに対する血液の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、及び10:1からなる群から選択され;
該血液試料からの白血球及び血小板の平均除去が85%〜95%である、前記方法。
32.血液試料のタンパク質プロファイルを測定するためのキットであって、
a.)血液試料から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成するための少なくとも1種類の試薬;
b.)少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための少なくとも1種類の試薬
を含み、
該カチオン塩が、該血液試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させ;
本方法がさらに、対象から血液試料を採取するための少なくとも1種類の試薬を含み;
1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬が、1種以上の抗体であり;
該1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬が、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)器具である、前記方法。
33.対象から採取された血液試料又は該血液試料の成分からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、
a.)該血液試料又は該血液試料成分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含み、
b.)該血液試料及び該血液試料成分が、それぞれ赤血球(RBC)を含み、
該タンパク質プロファイルが、該血液試料成分から作製され;
該RBCが、該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成し;
該血液試料成分が、該血液試料の白血球除去によって生成されるRBC濃縮画分であり;
該白血球除去が、該血液試料又はその一部から白血球の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除き;
該白血球除去が、該画分中の血液細胞の数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超がRBCであるRBC濃縮画分を提供し;
該血液試料又はその一部が、血小板除去に供され;
該血小板除去が、該血液試料又はその一部から血小板の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除き;
該1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、DDT、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され;
該1種以上のタンパク質が、
a.)表1に記載のタンパク質;若しくは
b.)表2に記載のタンパク質の組み合わせ
を含むか、又はそれらからなる、前記方法。
34.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)RBCの表面上の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること;
b.)RBC内の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること;
c.)RBCによって放出される1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
のうちの1以上を含み、
該血液試料が、乾燥血液スポット試料(DBS)である、前記方法。
35.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、タンパク質プロファイルを作製することが、
a.)RBCを含む細胞集団から細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成すること;及び
b.)該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞溶解物を用いて行われる、前記方法。
36.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)RBCを急速凍結すること;
b.)RBCを解凍して、細胞溶解物を生成すること;及び
c.)該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞洗浄液を用いて行われ;
該細胞洗浄液が、2以上の細胞洗浄液を組み合わせることによって生成され;
該細胞洗浄液が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含む洗浄液を用いて生成され;
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞上清を用いて行われ;
該細胞上清が、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)のうちの任意の1以上を含む細胞培養培地中で、該細胞上清を生成するために使用される細胞を培養することにより生成され;
1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程が、該細胞上清の複数の試料を用いて行われ;
該細胞上清の試料が、該細胞上清を生成するために使用される細胞の培養物から異なる時点で抽出される、前記方法。
37.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
b.)RBCから分離された白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、
i.)白血球を急速凍結すること;
ii.)白血球を解凍して、白血球溶解物を生成すること;及び
iii.)解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、細胞洗浄液並びに/又は白血球を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む、前記方法。
38.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び
b.)RBCから分離された血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、
i.)該血小板を急速凍結すること;
ii.)該血小板を解凍して、血小板溶解物を生成すること;及び
iii.)該解凍した血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、細胞洗浄液並びに/又は血小板を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む、前記方法。
39.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
b.)RBCから分離された血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
該急速凍結が、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-190℃、-195℃、又は-196℃以下の温度である、前記方法。
40. 該急速凍結及び解凍が、複数の凍結-解凍サイクルを含む、上記例のうちの1以上に記載の方法。
41.白血球が、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降によってRBCから分離される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
42.血小板が、遠心分離によりRBCから分離される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
43.該血液試料が、採取中に血液安定剤と混合される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
44.さらに、1種以上のタンパク質のレベルを決定する前に、該対象から採取された血液試料と血液安定剤とを接触させることを含み、
該血液安定剤が、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤からなる群から選択される1以上であり;
該血液安定剤が、抗凝固剤ではなく;
該血液安定剤が、アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害剤I、カルパイン阻害剤II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害剤、ペファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F-Thermo Fisher Scientific)、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤であり;
該血液安定剤が、ヘパリン、クエン酸塩、酸性クエン酸塩デキストロース、EDTA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤であり;
該血液安定剤と接触させる工程が、該対象から血液試料を採取する工程を行ってから5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に実行される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
45.該血液試料が、該対象の毛細血管から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
46.該血液試料が、該対象の静脈から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
47.1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程が、該血液試料が採取される時の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる、上記例のうちの1以上に記載の方法。
48.さらに、該対象から血液試料を採取するための第1の工程を含む、上記例のうちの1以上に記載の方法。
【0256】
広く記載される本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施態様に開示されるように、多数の変形及び/又は修正が本実施態様になされ得ることは当業者によって理解されるであろう。そのために、本実施態様は、全ての点で例示的であり、制限するものではないことが考慮されるべきである。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;並びに
c.)少量の前記赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出することであって、該少量が5μL〜100μLである、前記検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成2)
さらに、前記赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、前記生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含む、構成1記載の方法。
(構成3)
さらに、前記1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する前に、前記赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、前記カチオン塩が該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させる、構成2記載の方法。
(構成4)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)前記赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)前記赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び前記血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
e.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
前記生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成5)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で前記赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートすること;並びに
d.)前記培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
前記生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成6)
さらに、前記培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、前記生成されるタンパク質プロファイルが、前記赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含む、構成5記載の方法。
(構成7)
前記血液試料が対象から採取される、構成1〜6のうちの1以上に記載の方法。
(構成8)
前記対象がヒト又は非ヒト動物である、構成7記載の方法。
(構成9)
前記採取される血液試料が少量の血液試料であり、前記少量が5μL〜100μLである、構成1〜8のうちの1以上に記載の方法。
(構成10)
前記少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取される、構成9記載の方法。
(構成11)
前記少量の血液試料が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数採取される、構成9又は構成10記載の方法。
(構成12)
1種以上の抗体を用いて、前記1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は該1種以上のタンパク質のレベルが測定される、構成1〜11のうちの1以上に記載の方法。
(構成13)
前記赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される、構成1〜12のうちの1以上に記載の方法。
(構成14)
前記1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス成分、及び酵素からなる群から選択される、構成1〜13のうちの1以上に記載の方法。
(構成15)
前記1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、及びDDTからなる群から選択される、構成1〜13のうちの1以上に記載の方法。
(構成16)
前記赤血球が、デキストラン沈降により白血球除去される、構成1〜15のうちの1以上に記載の方法。
(構成17)
疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)(i)疾患又は障害を有する対象、及び
(ii)前記疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象
から、構成1〜7のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルを、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
前記生成される疾患タンパク質プロファイルが、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較して、該疾患又は障害を有する対象からのタンパク質プロファイル中に異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成18)
前記疾患タンパク質プロファイルが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである、構成17記載の方法。
(構成19)
前記疾患プロファイルが、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルである、構成17記載の方法。
(構成20)
前記子癇前症のタンパク質プロファイルが、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む、構成19記載の方法。
(構成21)
対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、
a.)構成1〜7のうちの1以上に従って生成される前記対象のタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
前記疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、該対象が前記疾患又は障害を有することを示す、前記方法。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A-D】
図11CC-FF】
図11E-H】
図11GG
図11I-L】
図11M-P】
図11Q-T】
図11U-X】
図11Y-BB】
図12
図13
図14
図15
図16A-D】
図16E-H】
図16I-L】
図16M-P】
図16Q-T】
図16U-X】
図16Y-Z】
図17
図18
図19A-D】
図19CC-FF】
図19E-H】
図19GG-JJ】
図19I-L】
図19KK-NN】
図19M-P】
図19OO-RR】
図19Q-T】
図19SS-TT】
図19U-X】
図19Y-BB】
図20A-D】
図20E-H】
図20I-L】
図20M-P】
図20Q-T】
図20U-X】
図20Y-AA】
図21A
図21B
図22A-D】
図22E-G】
図23A-D】
図23CC-FF】
図23E-H】
図23GG-JJ】
図23I-L】
図23KK-NN】
図23M-P】
図23OO-RR】
図23Q-T】
図23SS-VV】
図23U-X】
図23Y-BB】
図24A
図24B
図24C
図25A-D】
図25CC-FF】
図25E-H】
図25GG-JJ】
図25I-L】
図25KK-NN】
図25M-P】
図25OO-RR】
図25Q-T】
図25U-X】
図25Y-BB】