【実施例】
【0185】
(実施例)
本開示は、これから具体的な実施例(複数可)を参照して説明するが、決して限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0186】
(実施例1.RBCの表面上のMIF受容体の存在の調査)
RBCはMIFを含有する。RBCがMIFに結合する受容体を有するかどうかを決定するために、細胞表面上のCD44とCD74との間に形成される複合体である、MIFの最もよく知られている受容体についてRBCを分析した。免疫表現型検査を用いて、RBC上のCD44及びCD74の不在又は存在を特定した。全血(WB)を、EDTAバキュテナーに採取し、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し(5分間、500gで遠心分離)、最終的に、1mLの溶液に再懸濁した。5μLの溶液をそれぞれのチューブに添加した。次いで、細胞を、5μL又は20μLの各抗体(抗CD44、抗CD74、抗CD45、及びIgG対照)並びに50μLのPBS+FBS(2%)で染色した。細胞溶液を15分間、室温、暗所でインキュベートし、インキュベーション後、細胞を1×PBS(500g、5分)で3回洗浄した。細胞を200μLのPBSに再懸濁し、象限統計及びオーバーレイヒストグラムを用いてフローサイトメトリーにより分析した。
【0187】
図1A〜1Cに示すように、RBCは、受容体CD44について陽性であった。しかし、RBCは、CD74については陽性であるようには見えなかった(
図2)。予想されるように、RBCは、白血球(WBC)マーカーCD45について陽性ではなかった(データ示さず)。RBCはCD44について陽性であったが、CD74については陽性ではないので、RBCは主なMIF受容体を有していない。そのために、MIFがRBCの表面上にある場合、RBCは別の機構によって結合するはずである。
【0188】
(実施例2.RBC中のMIF局在)
RBCを、免疫細胞化学を用いて、MIFの局在について分析した。全血をシリンジに収集し、1×PBSで2回洗浄した(5分間、500gで、遠心機で回転させた)。細胞ペレットを用いて、血液塗抹標本(スライドあたり10μL)を調製し、血液スライドを少なくとも2時間、室温で乾燥させた。スライドを完全に乾燥させた後、塗抹標本を室温で、5分間、100%メタノールで固定した。スライドを固定した後、それらをメタノールから取り出し、約10分間、空気乾燥させた。スライドを1×PBSで徹底的に洗浄し、次いで、血液塗抹標本をブロット乾燥した。塗抹標本を室温で1時間、PBS+5% BSAでブロッキングした。ブロッキング後、該試料を4℃で一晩、一次MIF抗体(抗ヒト、ウサギMIF抗体、1μg/mL)と共に又は含めないでインキュベートした。インキュベーション後、スライドを1×PBSでよく洗浄し、次いで、二次抗体(抗ウサギ、AP結合抗体、1:50希釈)と室温で30分間インキュベートした。スライドを1×PBSでよく洗浄し、過剰な液体を取り除いた。新たに調製した基質(AP発色緩衝液:基質A:基質B=100:1:1)をスライド上に滴下し、室温で20分間インキュベートし、ミリQ水で反応を停止させた。スライドを乾燥させ、マウントし、光学顕微鏡を用いて画像を収集した。
【0189】
次に、RA滑膜(ヒト)のパラフィン包埋試料を切片にし、スライドガラスにのせた。キシレン(2回、5分)及びエタノール(100%、100%、95%、70%、3分毎)で洗浄し、最後に水道水を流して洗浄し、パラフィンを試料から取り除いた。次いで、熱誘導エピトープ賦活化を、以下の方法によって沸騰水浴を用いて実行した:Tissue-Tek社製容器を緩衝液(pH6)で満たし、水浴中で95℃まで加熱した。スライドを沸騰水浴中の容器に入れ、20分間インキュベートした。スライドを水浴から取り出し、室温で20分間放冷した。そして、冷水を徐々に添加し、最終的にスライドを2〜3分間、冷たい水道水で洗浄した。スライドをSequenzaトレイに接着させ、洗浄緩衝液(TBST)で6分間洗浄した。切片を、Dako社のプロテインブロック血清フリー(100μL、10分)を用いてブロッキングした。一次抗体(又は対応する陰性IgG対照)を調製濃度でスライドに添加し、一晩インキュベートした(100μL、4℃;0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、4μg/mL)。インキュベーション後、スライドをTBST(6分、室温)で洗浄した。二次抗体(EnVisionポリマー、ウサギ、HRP)を、スライドに添加し(3滴)、スライドを室温で30分間インキュベートした。次いで、スライドをTBSTで洗浄し(6分、室温)、Sequenzaトレイから取り出し、HRP基質試薬(NovaRED)を、各スライド上に直接滴下することにより、各スライドに添加した(200μL)。スライドを室温で15分間インキュベートした。次いで、5分間水道水を流してスライドを洗浄し、反応を停止させ、試料をヘマトキシリン(2分、室温)及びスコット・ブルー(30秒、室温)で対比染色した。次いで、試料を、漸増濃度のエタノール、次いで、キシレンで脱水し、マウントして、光学顕微鏡を用いて観察した。
【0190】
予想される通り、白血球の明確な細胞内染色(
図3)が観察された(WBCは、MIFの高い細胞内プールを含有する)。これらの結果はまた、RBCの細胞表面が染色されことを示し(
図3)、MIFが細胞表面上に存在することが示唆された。RBC上で明確な細胞内染色はなかった(
図3)。陰性対照を
図4に示す。
【0191】
滑膜切片の染色も成功した。陰性対照での染色はほとんどないか又は全くなく(
図5)、陽性対照では内皮細胞及び炎症性細胞の染色が良好であった(
図6)。血管内のRBCは染色されたように見えたが、染色の局在化は決定されなかった。
【0192】
これらの結果から、MIFは細胞内ではなく、細胞膜上に局在していることが示唆された。これとは対照的に、RBCゴースト及びRBC溶解物は、MIF染色を示さなかった(データ示さず)。WBCは、細胞内MIFを含有する。
【0193】
(実施例3.RBC中でのMIFの存在の調査)
MIFレベルは、血漿中よりもRBC中で約1000倍高かったので、RBCをMIFの細胞内レベルについて分析した。全血を、毛細血管床から採取した(指先採取)。血液をEDTA(30mg/mL)溶液で抗凝固させ(1:1)、PBS+FBS(2%)で2回洗浄した。細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色した。インキュベーション後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、次いで、RBCをフローサイトメトリー(FACS)による陰性選別を用いて分離した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分間)によってペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。細胞を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。次いで、試料をHu MIF ELISAにて分析した。指先及び静脈血については、全血を、毛細血管床(指先採取)又は静脈のいずれかから採取した。血液をEDTA(30mg/mL)溶液で抗凝固させ(1:1)、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し、細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色した。インキュベーション後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、FACS上の陰性選別を用いてRBCを分離した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によりペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。細胞を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。試料をHu MIF ELISAにて分析した。
【0194】
図7に示すように、MIFをFACS分離RBC中で、高濃度で特定した。しかし、レベルは、全血中で測定されたものより約10倍低かった。
図8に示すように、静脈採取に対して、指先から採取したRBCの中のMIF濃度に差があった。全血におけるMIFの濃度は、ELISAによって分析するにはあまりにも高かった(データ示さず)。結果から、MIFはRBC中に存在するが、その測定可能なMIF濃度は、採取部位(指先又は静脈)並びに選択された抗凝固剤(EDTA又はヘパリン)に依存して異なることが実証された。
【0195】
(実施例4.RBC分離の最適化)
(4.1 デキストラン沈降対フローサイトメトリー)
全血を、静脈採取によりEDTA及びヘパリンバキュテナーに採取した。RBCを、FACS、デキストラン沈降、又はRBC溶解緩衝液のいずれかを用いて分離した。FACS分離のために、血液を遠心分離(5分間、1000g)により、FACS洗浄緩衝液(PBS+2%FBS)で2回洗浄した。得られた細胞ペレットを50μLのFACs洗浄緩衝液に再懸濁し、CD45-FITC(5μL、FITCマウス抗ヒトCD45、H130、eBioscience 11-0459-42)で染色し、暗所で、室温で15分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をFACS洗浄緩衝液(5分間、1000g)で2回洗浄し、次いで、緩衝液に再懸濁させたRBCを、FACS(FACSAria IIIフローサイトメーター、4レーザー)上での陰性選別を用いて分離した。RBC及びWBCを、前方散乱及び側方散乱によって、サイズに応じて血小板からゲーティングした。次いで、RBCをCD45染色のWBC欠如によってWBCからゲーティングした。デキストラン沈降のために、抗凝固WBを高分子量デキストランに添加し(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v、1:1の血液:デキストラン)、溶液を穏やかに混合し、RBCを沈降させるために室温(約23℃)で、最大60分間放置し、沈降後、RBCを分離し、1×PBSで2回洗浄した。RBC及びWBを、遠心分離(2000g、10分間)によってペレット化し、250,000細胞/50μLに再懸濁した。次いで、RBCを溶解した。2億5千万個の細胞を6mLの氷冷のミリQ水に添加し、30秒間インキュベートした。インキュベーション後、2mLの氷冷0.6M KClを添加して、等張性を回復させた。溶液を氷冷PBSで50mLまで希釈した。そして、混入細胞をペレット化し、溶解物を収集した(250,000細胞/50μLに等しい)。最後に、試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全細胞を溶解した。
【0196】
溶解した細胞中のMIFの濃度をMIF ELISA(R&D Systems、USA)を用いて測定し、MIF ELISAの吸光度データを、450nm(570nmにおける吸光度補正)でSynergy 2プレートリーダー(BioTeck、USA)を用いて収集した。検量線を、log/logカーブフィット(GraphPad Prismソフトウェア(バージョン6、USA))を用いて分析した。
【0197】
分離したRBCの純度を決定するために、全血をEDTAバキュテナーに採取し、上記のように、デキストラン沈降法を用いてRBCを分離した。RBCを、PBS+FBS(2%)で2回洗浄し、5分間、500gにし、最後に1mLの溶液に再懸濁した。5μLの溶液をそれぞれのチューブに加え、5μL又は20μLの各抗体(抗CD45、及びIgG対照)並びに50μLのPBS+FBS(2%)で細胞を染色した。細胞溶液を暗所で、15分間、室温でインキュベートし、インキュベーション後、細胞を1×PBSで3回洗浄した(500g、5分)。細胞を、200μLのPBSに再懸濁し、象限統計及びオーバーレイヒストグラム(Coulter AcT Diff、Beckman Coulter)を用いてフローサイトメトリーにより分析した。
【0198】
図9に示すように、RBCのデキストラン沈降は、RBC溶解緩衝液又はFACS分離(全血1mLに相対的な寄与に対して正規化した濃度)を用いるよりも、MIFの測定濃度はより高かった。デキストラン自体の存在は、測定されたMIFのレベルを変化させなかった(データ示さず)。加えて、デキストラン沈降を用いて分離したRBCを、混入したCD45+細胞(WBC)の存在について染色した。RBCは約0.0025%純粋であった(
図10A〜10C)。
【0199】
結果から、RBC集団で測定したMIF量がRBC分離の方法に依存していることが実証された。デキストラン沈降は、純度の高いRBCの最大数をもたらす最適なRBC分離技術であった。結果から、デキストラン沈降が他の一般的に使用されるRBC分離技術よりも効果的又はさらにより効果的であることが示された。加えて、デキストラン沈降は、MIFのはるかに高いレベルの検出をもたらし、本方法がタンパク質レベルの測定のための他の方法よりもはるかに正確であり得ることが示された。
【0200】
(4.2 RBC処理:デキストラン沈降対他の方法)
全血を、静脈穿刺(n=1)によって健常ボランティアからEDTAバキュテナー(K
2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、分析前に完全な細胞溶解を確実にするために、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供した。
【0201】
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下部赤血球画分を収集した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で1回洗浄するか、又はPBSで3回、反転しながら十分に洗浄した。得られた赤血球を、新鮮なまま使用するか、又は凍結させた(-80℃)。
【0202】
赤血球のアリコートを、PBSで4億細胞/mLに希釈し、37℃、24時間、5% CO
2でインキュベートした。インキュベーション後、赤血球及び得られた馴化PBSを分けて、凍結させた(-80℃)。
【0203】
赤血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供し、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0204】
このデータは、再び、デキストラン沈降による赤血球の分離が95%を超える平均白血球及び血小板除去をもたらしたことを示した(表3)。
【0205】
表3.デキストラン沈降を用いて生成した濃縮赤血球画分からの白血球及び血小板の除去率
【表3】
【0206】
RBC分離方法において一般的に使用される洗浄工程の効果を評価すること。赤血球のデキストラン沈降分離後に徹底的な洗浄工程を追加すると、この洗浄工程を経ていない細胞と比較した場合に、サイトカインプロファイルに変化があった。洗浄した細胞中で測定可能なサイトカインが全体的に減少していた(
図11A-11GG)。
【0207】
洗浄した赤血球中のほとんどのタンパク質の濃度は、例えば、IFN-γ(2倍少ない)、G-CSF(4倍少ない)、及びPDGF-bb(6倍少ない)に見られるように、未洗浄赤血球で観察されるものよりも顕著に低かった。さらに、その時点までに、タンパク質のコレクションのレベルは、未洗浄対照とは異なり、検出レベル未満であった。IFN-α2及びIL-17が、未洗浄赤血球で検出可能である場合、それらは洗浄した細胞には完全に存在しなかった。これらの結果は、赤血球の過剰な洗浄がそれらのサイトカインプロファイルを変化させ得ることを実証する。この洗浄は、ほとんどの赤血球分離技術において重要な工程である。
【0208】
RBC溶解は不完全であるため、このデータから、デキストラン沈降がMIFレベルに関して最も正確な答えを与えたことが示唆される。RBC分離技術間の主な違いは、それぞれがどれくらい広範囲に処理されるかということである。デキストラン沈降法は、比較的穏やかで、最小限の洗浄工程を伴うが、FACs法は、細胞選別のために、細胞が多数の洗浄工程及びサイトメーターの高速通過を受けることを必要とする。
【0209】
(実施例5.血液成分全域でのMIFの分布)
RBCがMIFの主要な貯蔵所であるかどうかを決定するために、RBCをMIFの存在について分析した。全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取した。血漿を遠心分離後に収集し、細胞をFACS又はデキストラン沈降のいずれかを用いて分離した。FACS分離のために、血液をPBS+FBS(2%)で2回洗浄し、細胞を暗所で、室温で15分間、CD45-FITC(5μL)で染色し、次いで、1×PBSで2回洗浄した。次いで、RBCをFACS上で陰性選別を用いて分離した。WBCを、CD45について陽性染色を用いて分離した。そして、血小板をサイズに従って分離した。上記のようにデキストラン沈降を実行した後に、WBC及び血小板を遠心分離により上清から分離した。細胞及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によってペレット化し、再懸濁させて、濃度を設定した。試料を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。次いで、試料をHu MIF ELISAで分析した。
【0210】
細胞をFACS又はデキストラン沈降によって分離した時のMIF分布を、表4及び5に示す。MIFは血液の全成分中に存在するが、RBCは、全MIFの最大の割合に寄与した。WBCは、細胞あたり最高濃度のMIFを含有していたが、血液中には1000倍超のRBCが存在していた。
【0211】
表4:デキストラン沈降を用いて分離した後に全血と比較した血液成分間のMIFの分布(n=1)
【表4】
【0212】
表5:FACSを用いて分離した後の全血と比較した血液成分間のMIFの分布(n=1)
【表5】
【0213】
表6:デキストラン沈降を用いて分離した後の全血と比較した血液成分間のMIFの分布。データは平均±標準偏差として提示される(n=3)
【表6】
【0214】
(実施例6.RBC中に存在するタンパク質の特定)
RBCがMIF以外のタンパク質の貯蔵所であるかどうかを調査するために、RBC中の他のタンパク質レベルを評価した。全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取した。上記のように、血漿を遠心分離後に収集し、細胞をFACS又はデキストラン沈降のいずれかを用いて分離した。分離した細胞及びWBを、遠心分離(2000g、10分)によってペレット化し、再懸濁させて、濃度を設定した。試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。試料を、Hu27-プレックスBioPlexで分析した。加えて、RBCによって放出又は分泌されたタンパク質を分析した。前述のように、全血を静脈採取によりEDTAバキュテナーに採取し、デキストラン沈降によってRBCを分離した。分離したRBCを、100μLのPBS又はPBS+プロテアーゼ阻害剤(1×)中2千万個の細胞に分注し、細胞を37℃、5% CO
2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、上清及び細胞を遠心分離により分離し、試料を-80℃で凍結させ、3回の凍結-解凍サイクルに供して、全ての細胞を溶解した。試料をHu27プレックスBioPlexで分析した。
【0215】
試料をBioPlex上に流した後、RBC及び他の血液成分中に存在するものとしていくつかのタンパク質を特定した。該分析は、全血とRBCの両方に実質的な量で存在する(合計27種中)16種のタンパク質のそれぞれの濃度を報告する(表7〜11)。全収率を、全血中の測定したタンパク質と比較した各血液成分からのタンパク質の全収率として報告する(表7〜11)。
【0216】
表7:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の炎症促進性サイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表7】
【0217】
表8:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の抗炎症性サイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表8】
【0218】
表9:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の成長因子のまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表9】
【0219】
表10:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中のケモカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表10】
【0220】
表11:BioPlexによって測定し、pg/全血1mLとして報告する全血及び血液成分中の複数の機能を有するサイトカインのまとめ。全収率を、全血中のタンパク質濃度に従って報告する(n=1)。下線を引いた値は、標準曲線の下から補外した。
【表11】
【0221】
RBCを37℃で24時間、PBS中で培養した後に、いくつかのタンパク質が放出又は分泌された。抗炎症、炎症促進性、ケモカイン、又は成長因子としてのタンパク質分類については表7〜11を参照されたい。表12〜15は、37℃で24時間かけてRBC(100μLのPBS中2000万個のRBC)からPBS中に放出又は分泌される検体のまとめを示し、BioPlexによって測定し、pg/mLとして報告する。図は、各タンパク質の平均検出濃度に従って分けられている。RBC培養中にプロテアーゼ阻害剤を添加すると、タンパク質の放出又は分泌が変化した(37℃で24時間)。
【0222】
培養条件は以下の通りであった:
1.RBC+PBS(100μLのPBS中2000万個のRBC)
2.RBC+PBS+プロテアーゼ阻害剤(PI)(100μLのPBS+PI中2000万個のRBC)
【0223】
図16A〜16Zに示す一連のグラフは、RBCから放出又は分泌されたタンパク質の濃度(黒カラム)並びに分泌後に細胞中に残っているタンパク質の濃度(灰色カラム)に対するプロテアーゼ阻害剤(PI)の有効性を示す。いくつかの例外(すなわち、MIP-1b)はあるが、培養液にプロテアーゼ阻害剤を含めると、典型的には、放出又は分泌と細胞溶解物の両方に対して検出可能な濃度はより低かった。データを平均値±標準偏差(SD)として提示した。
【0224】
該データは、多くのサイトカインがRBC中に存在することを実証した。全血中のサイトカインレベルは、血漿中に比べてはるかに異なるので、それらは、末梢血のサイトカインプロファイルの非常に異なる概念を与え、これはバイオマーカー分析に対する影響を有する。
【0225】
(実施例7.RBC中又はRBC上のCRPの存在)
CRP炎症マーカーがRBCと関連しているかどうかを調査するために、ランセットを使用する指穿刺によりWBを採取した。血液を、新鮮な血液で(血漿レベルを検出する)又は細胞の全てを溶解させるための3回の凍結-解凍サイクル後(全血レベルについて)のいずれかで、iChroma装置を用いてCRPレベルについて分析した。(デキストラン沈降後に)精製したRBCを収集し、3回の凍結-解凍サイクルを用いて溶解し、iChroma装置上に流し、タンパク質レベルを貯蔵した血漿試料中のものと比較した。
【0226】
図17に示すように、CRPは、血漿成分よりも溶解した全血においてより高いレベルで検出可能であった。CRPはまた、対応する血漿濃度と比較して、RBC溶解物中で同様の比率で検出可能であった(
図18)。結果から、CRPがRBCと関連し、RBCが全血中で検出可能な総CRPの約50%に関与することが示唆された。
【0227】
(実施例8.少量の血液中のタンパク質レベルの測定)
等量の血漿中のレベルと比較して、赤血球中で様々なタンパク質のレベルが高いという発見から、例えば、少量の全血及び/又はRBCはタンパク質マーカーを特定するために使用することができることが示唆された。少量の全血及びRBC中の多数のタンパク質レベルを分析した。
【0228】
全血を、指穿刺(n=1)によって健常ボランティアからEDTA溶液(3mg/mL)に直接採取した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供し、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。赤血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供し、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、全血を、5μLの全血(45μLのPBS中)、10μLの全血(40μLのPBS中)、15μLの全血(35μLのPBS中)、20μLの全血(30μLのPBS中)、又は25μの全血(25μLのPBS中)でマルチプレックスサイトカインアッセイにて分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0229】
様々な希釈の全血中の示したタンパク質濃度(1:10、1:5、1:3.3、1:2.5、1:2)を
図19A〜19TTに示す(未希釈濃度に対して逆算する)。全血の分析により、いくつかのタンパク質の存在が明らかになり、これらのタンパク質はまた、希釈の範囲で存在した。しかし、全血に特有ではない分析タンパク質の多くについて希釈直線性はなかった。それはまた、BioPlexなどのLuminexプラットフォームでの血漿分析で観察される(複数のタンパク質が典型的には希釈して検出される)。結果は、少量(5μLまで)の全血中のタンパク質を監視することができることを示す。全血中の多数のタンパク質の検出の容易さは、非常に少量の(例えば、指先から採取される)血液を採取し、タンパク質レベルの分析のために使用することができることを実証する。
【0230】
(実施例9.静脈血試料に対する指先試料中のタンパク質の存在)
少量の血液中のタンパク質の検出をさらに探索するために、指穿刺中の多数のタンパク質レベルを、既知の方法により採取した静脈血中のそれらのレベルと比較した。
【0231】
全血を静脈穿刺又は指穿刺(n>12)によって、健常ボランティアからEDTAバキュテナー(k
2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)又はEDTA溶液(3mg/mL)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。以下のように、血漿及び赤血球を、デキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を収集した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を、1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下側の赤血球画分を分離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、次いで、分析まで凍結させた(-80℃)。
【0232】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。1つのマルチプレックスアッセイを利用した。それは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex, Bio-Rad)であった。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0233】
静脈血及び指先血から分離した血漿、又は静脈血及び指先血から分離した赤血球の溶解物中の示したタンパク質の濃度を、
図20A〜20AAに示す。有意差(p<0.05)を、スチューデントt検定を用いて決定した。指先血及び静脈血を比較した場合、血漿と赤血球中のタンパク質レベル間に一貫した傾向があった。例えば、IL-6の濃度は、静脈血漿中の濃度と対照的に、指先から分離した血漿において有意に高い濃度であった。この同じ傾向が赤血球で観察され、有意に高いレベルのタンパク質が指先の血液から分離した細胞中で観察された。この傾向は、例えば、IL-2、RANTES、及びIP-10を含むいくつかのタンパク質について観察された。例えば、IL-1β、IL-8、及びTNF-αを含むいくつかのタンパク質について、より高い濃度が、指先血から分離した血漿及び赤血球において観察された。
【0234】
赤血球については、生物学的なばらつき(標準偏差)は、静脈試料(例えば、MIP-1β、G-CSF)より指先試料において低かった。これにより、指先から採取した赤血球の分析が静脈血の分析よりも再現性があることが示唆された。反対のことが、血漿中のいくつかのタンパク質について観察され、静脈血漿は指先血よりも変化しなかった(例えば、IL-7、PDGF-bb)。これらの結果から、頻繁な採血を使用することができる指先からの赤血球の分離及び分析の場合が支持された。
【0235】
(実施例10.血漿に対するRBC中のタンパク質プロファイル)
赤血球中でタンパク質レベルが比較的高いことを考慮して、赤血球溶解物中のタンパク質レベルを血漿中のレベルと比較した。全血を静脈穿刺(n=6)によって健常ボランティアからEDTAバキュテナー(K
2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0236】
血漿、赤血球、及び白血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層及び下部赤血球画分を分離し、個々のチューブに加えた。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを凍結させた(-80℃)。上部白血球濃縮層をPBS(1,000g、10分)で2回洗浄した。上清を廃棄し、30秒間、3mLのミリQ水で細胞ペレットを再懸濁することにより、混入している全ての赤血球を低張ショックにより溶解した。この後に、1mLの塩化カリウム(0.65M)を添加することによって等張性を戻し、この溶液をPBSで15mLまで希釈した。残りの細胞をペレット化し、PBSで2回洗浄した(1,000g、5分間)。残りの細胞ペレットをPBSに再懸濁し、すぐに-80℃で凍結させた。
【0237】
赤血球及び白血球を、3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈し、白血球溶解物を20,000細胞/mLに希釈した。次いで、これらの溶解物を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0238】
血漿及び赤血球溶解物(4億細胞/mL)中の示したタンパク質濃度を示すチャートを、
図21A〜21Bに示す。タンパク質濃度を、全血1mLあたりの相対濃度(約50億細胞/mL)に対して逆算し、白血球混入について補正した。補正した赤血球タンパク質濃度と血漿タンパク質濃度との間の倍差も決定した(
図21A〜21B)。分析した48種のタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン)全てにおいて、血漿中よりもRBC中で実質的に高い濃度を有する31種のタンパク質が存在した。血漿中のタンパク質濃度に対するRBC中のタンパク質濃度(RBC:血漿比)の倍数変化の増加の範囲は、3.6〜3970であった。RBC:血漿比の中央値は、11.3であった。これらの結果から、少量の血液(例えば、少量の血液から分離した全血又はRBCの量の1/10)が目的のタンパク質(実験で特定されたタンパク質を含む)の検出に用いることができることが示唆された。加えて、(例えば、指穿刺を介して)少量の血液を採取する能力は、頻繁な低侵襲採取を可能にする。
【0239】
(実施例11.カチオン塩を用いたRBC中のタンパク質プロファイル)
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層及び下部赤血球画分を分離し、白血球を廃棄した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄した。上清を廃棄し、PBS又は100mMのLiClを含有するPBSのいずれかに赤血球ペレットを再懸濁した。
【0240】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)で、赤血球溶解物を分析した。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0241】
図22に見られるように、塩化リチウムは、アッセイ中のタンパク質のいくつかのレベルを増加させ、かつ/又は高めた。
【0242】
(実施例12.子癇前症又は癌を有する個体に対する健常個体からのRBC中のタンパク質プロファイル)
疾患又は障害を有するものと比較した健常個体の血液中のタンパク質レベルの差を測定した。1)健常ボランティア、2)健常妊婦、3)子癇前症を有する妊婦、及び4)癌患者を含む人々の4つのグループから全血を採取した(表12を参照されたい)。健常妊娠対照は、妊娠に応じて子癇前症の試料と一致した。血液を、静脈穿刺(n≧3)によって各ボランティアからEDTAバキュテナー(k
2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。
【0243】
表12.参加者のまとめ
【表12】
【0244】
血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0245】
以下のように、血漿及び赤血球を、デキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を収集した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を、1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下側の赤血球画分を分離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、次いで、分析まで凍結させた(-80℃)。
【0246】
赤血球を3回の凍結-解凍サイクルに供して、完全な細胞溶解を確実にした。溶解後、赤血球溶解物を4億細胞/mL当量までPBSで希釈した。次いで、これらの溶解物及び血漿試料(無希釈)を、マルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0247】
図23A-23VVは、全血の1mLあたりの相対濃度(約5×10
9細胞/mL)に対して逆算した参加者グループからの血漿及び赤血球溶解物(4億細胞/mL)中の示したタンパク質濃度を示す。有意差(p<0.05)を、スチューデントT検定を用いて決定した。健常(非妊娠)個体の血液中のタンパク質レベルを癌患者と比較し、健常妊娠個体の血液中のタンパク質レベルを子癇前症妊娠個体のレベルと比較した。
図24A〜24Cは、血漿とは対照的に、赤血球中のタンパク質濃度間の倍差を示す。
【0248】
タンパク質コレクションにおいて、健常対照個体のタンパク質レベルと疾患又は障害を有する個体のタンパク質レベル間に有意な差があった。例えば、IL-2は、健常群よりも腫瘍群から採取した赤血球において有意に低く(約10倍低い)、ケモカインCTACKは、健常妊娠グループよりも子癇前症群から採取した赤血球において有意に高かった。加えて、48種のサイトカインのうちの28種が、実質的に血漿レベルを超える(2:1より大きい)RBC中のタンパク質レベルを有しており、倍数変化は2:1〜280:1(RBC:血漿比)の範囲であった。RBC-血漿比の中央値は5.9:1であった。研究の結果から、赤血球が疾患におけるバイオマーカーを特定するのに有用なツールであり得ることが実証された。さらに、特に、血漿のみにおいてはタンパク質レベルの明確な差は存在しないが、赤血球において(例えば、bFGF)又は赤血球と血漿の間で識別可能な差がある場合に、血漿と組み合わせた赤血球の分析は、現在達成不可能である疾患状態に関する詳細情報を提供することができる。
【0249】
(実施例13.子癇前症又は癌を有する個体に対する健常個体からのRBC中のタンパク質プロファイル並びにRBCタンパク質放出)
赤血球によって放出されるタンパク質レベルを、健常個体及び疾患又は障害を有する個体において評価した。1)健常ボランティア、2)健常妊婦、3)子癇前症を有する妊婦、及び4)腫瘍患者を含む人々の4つのグループから、全血を採取した(表13)。
【0250】
表13.参加者のまとめ
【表13】
【0251】
健常妊娠対照の試料は、妊娠に応じて子癇前症の試料と一致した。血液を、静脈穿刺によって各ボランティア(n≧3)からEDTAバキュテナー(k
2EDTAバキュテナー、BD Biosciences)に直接採取した。血液の全ての画分を採取し、採取の4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結-解凍サイクルに供して、分析前に完全な細胞溶解を確実にした。
【0252】
赤血球を、以下のようにデキストラン沈降を用いて分離した。全血を遠心分離し(1500g、10分)、上部血漿層を廃棄した。残りの細胞ペレットを、等量の塩化ナトリウム(0.15M)に再懸濁した。次いで、デキストラン(0.15Mの塩化ナトリウム中6% w/v)を1:4(デキストラン:細胞懸濁液)の比でこの細胞懸濁液に添加した。この溶液を、チューブの底への赤血球沈降のために室温で30分間放置した。この後に、上部白血球濃縮層を廃棄し、下部赤血球画分を分離した。下部赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、500g、5分)で2回洗浄し、残りの赤血球ペレットを計数した(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)。次いで、赤血球を、4億細胞/mLまでPBSで希釈し、37℃、5% CO
2で、24時間インキュベートした。インキュベーション後、得られた馴化PBSを遠心分離(500g、5分)により分離した。全ての試料を-80℃で保存し、分析の前に3回の凍結-解凍サイクルを行った。次いで、該馴化PBS試料をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。第1のものは、FGF塩基性、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α及びVEGFについてアッセイする27プレックスのヒトサイトカインパネルであり、第2のものは、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスのヒトサイトカインパネルであった(Bio-Plex Pro 27-プレックス及び21-プレックス、Bio-Rad)。該アッセイを、洗浄工程については、自動化磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II、Bio-Rad)を用いて、製造業者の指示に従って実行した。該アッセイを、Luminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)にて行い、蛍光値を収集した。各サイトカインについての検量線を、BioPlexマネージャーソフトウェア(バージョン5.0、Bio-Rad、USA)を用いて、5パラメータのロジスティック曲線回帰を用いて分析した。
【0253】
図25A〜25RRは、参加グループからのPBS馴化赤血球中の示したタンパク質の濃度を示す。37℃で24時間、赤血球インキュベーション後に、馴化PBSを生成した。有意差(p<0.05)を、スチューデントT検定を用いて決定した。健常対照個体と疾患群の個体の間のタンパク質レベルに有意差があった。例えば、健常対照と比べて有意に少ないIL-1α及びGCS-Fが、癌患者から分離した赤血球から放出され、健常個体よりも有意に多いIL-12(p40)及びエオタキシンが、癌患者から分離した赤血球から放出された。同様に、MIFなどのいくつかのサイトカインが、健常妊娠群と子癇前症を有する群との間で有意に異なっていた。
【0254】
結果から、赤血球のセクレトームの分析は、疾患におけるバイオマーカーを特定及び追跡するのに有用な診断ツールであり得ることが示唆された。赤血球(赤血球タンパク質放出)の分泌の分析は、疾患状態に関する追加情報を提供することができた。
【0255】
(実施例14.限定されない他の例示的な実施態様)
請求される主題のさらなる利点は、特許請求される主題の特定の実施態様を記載する以下の実施例から明らかになるであろう。
1.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;並びに
c.)少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出し、該少量が5μL〜100μLであること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する前に、該赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、該カチオン塩が該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させる、前記方法。
2.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)少なくとも1種のカチオン塩と該赤血球濃縮試料とを接触させ、該カチオン塩が、該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させること;並びに
d.)少量の該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出し、該少量が5μL〜100μLであること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
少なくとも1種のカチオン塩のカチオンが、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
少なくとも1種のカチオン塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、鉄塩、フランシウム塩、ピリジニウム塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
該少なくとも1種のカチオン塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される塩化物塩であり;
該少なくとも1種のカチオン塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭酸塩であり;
該少なくとも1種のカチオン塩が、アンモニウム塩であり;
該アンモニウム塩が、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
3.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
e.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含み;
該赤血球及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルが、該赤血球濃縮試料から少量で測定され;
該タンパク質比が、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、及び少なくとも200:1からなる群から選択され、
該タンパク質比が、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、及び少なくとも10:1からなる群から選択される、前記方法。
4.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)該赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)カチオン塩と該赤血球とを接触させ、少なくとも1種のカチオン塩が該赤血球中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させること;
e.)少量の該赤血球濃縮試料において該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
f.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含み;
該タンパク質比が、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも30:1、少なくとも40:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1、少なくとも100:1、少なくとも110:1、少なくとも120:1、少なくとも130:1、少なくとも140:1、少なくとも150:1、少なくとも160:1、少なくとも170:1、少なくとも180:1、少なくとも190:1、及び少なくとも200:1からなる群から選択され、
該タンパク質比が、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、及び少なくとも10:1からなる群から選択される、前記方法。
5.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で該赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートすること;並びに
d.)該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
該培地が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である、前記方法。
6.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)該血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で該赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートし、該培地が、該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させるカチオン塩を含有すること;並びに
d.)該培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、該生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
該培地が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)からなる群から選択される1以上である、前記方法。
7.タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)少量の血液試料を取得すること;
b.)該少量の血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;及び
c.)該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中に検出される1種以上のタンパク質を含み;
本方法が、さらに、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含み;
該少量の血液試料が5μL〜100μLであり;
該少量の血液試料が5μL〜20μLであり;
該血液試料が対象から採取され;
該対象がヒト又は非ヒト動物であり;
該少量の血液試料が指、踵、耳又は尾から採取され;
該少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、又は耳穿刺により採取され;
該対象がヒトであり;
該少量の血液試料が、指、踵、又は耳から採取され;
該少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取され;
該対象が、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、及びイヌからなる群から選択される非ヒト動物であり;
該少量の血液試料が、尾部穿刺又は耳穿刺により採取され;
該少量の血液試料が、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が毎日採取され;
該少量の血液試料が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数採取され;
該少量の血液試料が月に1回採取される、前記方法。
8.疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)(i)疾患又は障害を有する対象、及び
(ii)疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象
から、上記の例のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルを、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
生成される疾患タンパク質プロファイルが、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較して、該疾患又は障害を有する対象からのタンパク質プロファイルの異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含み;
該疾患又は障害が癌であり;
該疾患タンパク質プロファイルが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルであり;
該疾患又は障害が子癇前症であり;
該疾患プロファイルが、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルであり;
該子癇前症のタンパク質プロファイルが、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
9.対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、
a.)上記例のうちの1以上に従って生成される対象のタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、対象が疾患又は障害を有していることを示し;
該疾患又は障害が、癌、子癇前症、自己免疫疾患、心血管疾患、神経変性疾患、糖尿病、代謝性障害、筋骨格疾患、感染症、遺伝性障害、腎障害、及び胃腸障害からなる群から選択される、前記方法。
10.対象において治療を監視する方法であって、
a.)治療前及び治療後の対象から、上記例のうちの1以上に従って生成されるタンパク質プロファイルを取得すること;
b.)治療前の対象のタンパク質プロファイルと治療後の対象のタンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
治療後の対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療前の対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの差が、該対象に対する治療の有効性を示し;
治療を受けなかった対象のタンパク質プロファイルが、治療を受けた後の対象のタンパク質プロファイルと比較され;
ある時点での治療後の対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルが、異なる時点での治療後の対象の少なくとも1つのタンパク質プロファイルと比較され;
該対象が同じ治療を受け;
該対象が異なる治療を受け;
該血液試料が少量の血液試料であり;
該対象が、1日1回以上、1日2回以上、1日3回以上、1日4回以上、及び1日5回以上からなる群から選択される回数監視され;
該対象が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数監視され;
該対象が毎日監視され;
該対象が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、及び4週間に1回からなる群から選択される回数監視され;
該対象が月に1回監視される、前記方法。
11.治療の有効性を決定する方法であって、
a.)(i)治療を受けた対象、及び
(ii)治療を受けていない対象
から、上記例のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;
b.)治療を受けた対象のタンパク質プロファイルを、治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
治療を受けていない対象のタンパク質プロファイルと比較した、治療を受けた対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、該治療の有効性を示す、前記方法。
12.該血液試料が対象から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
13.該血液試料が、該対象の毛細血管又は該対象の静脈から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
14.該対象がヒト又は非ヒト動物である、上記例のうちの1以上に記載の方法。
15.該対象がヒトである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
16.該少量の赤血球濃縮試料が5μL〜20μLである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
17.該少量の赤血球濃縮試料が5μLである、上記例のうちの1以上に記載の方法。
18.該1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は該1種以上のタンパク質のレベルが1種以上の抗体を用いて測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
19.該赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
20.該赤血球濃縮試料中で5種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は5種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
21.該赤血球濃縮試料中で10種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は10種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
22.該赤血球濃縮試料中で20種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は20種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
23.該赤血球濃縮試料中で30種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は30種以上のタンパク質のレベルが測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
24.該1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス成分、並びに酵素からなる群から選択される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
25.該1種以上のタンパク質が、表1に記載のタンパク質又は表2に記載のタンパク質の組み合わせからなる群から選択される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
26.該1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、及びDDTからなる群から選択される、上記例のうちの1以上の方法。
27.該血液試料が、フローサイトメトリー、磁気ビーズ分離、遠心分離、セルロースカラム、及びデキストラン沈降からなる群から選択される1以上の方法により白血球除去される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
28.該赤血球がデキストラン沈降によって白血球除去される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
29.該1種以上のタンパク質が、該赤血球の表面、赤血球の内部、赤血球の溶解物、赤血球の上清、赤血球を含有する培地、及び赤血球を以前に含有していた培地からなる群から選択される1以上の場所から検出又は測定される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
30.該対象が疾患又は障害を有する、上記例のうちの1以上に記載の方法。
31.血液試料中の1種以上のタンパク質の検出又は測定の精度を高める方法であって、
a.)該血液試料とデキストランとを接触させること;
b.)該血液試料が白血球含有層及び赤血球緻密層を形成するのを可能にすること;
c.)該赤血球緻密層中の赤血球を分離し、赤血球濃縮血液試料を作製すること;並びに
d.)該赤血球濃縮血液試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定すること、
を含み、
該血液試料が少量の血液試料であり;
該少量の血液試料が、5〜100μLであり;
該血液試料中のデキストランに対する血液の比が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、及び10:1からなる群から選択され;
該血液試料からの白血球及び血小板の平均除去が85%〜95%である、前記方法。
32.血液試料のタンパク質プロファイルを測定するためのキットであって、
a.)血液試料から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成するための少なくとも1種類の試薬;
b.)少量の赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための少なくとも1種類の試薬
を含み、
該カチオン塩が、該血液試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させ;
本方法がさらに、対象から血液試料を採取するための少なくとも1種類の試薬を含み;
1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬が、1種以上の抗体であり;
該1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定するための試薬が、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)器具である、前記方法。
33.対象から採取された血液試料又は該血液試料の成分からタンパク質プロファイルを作製する方法であって、
a.)該血液試料又は該血液試料成分中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含み、
b.)該血液試料及び該血液試料成分が、それぞれ赤血球(RBC)を含み、
該タンパク質プロファイルが、該血液試料成分から作製され;
該RBCが、該血液試料成分中に存在する血液細胞の総数の0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を構成し;
該血液試料成分が、該血液試料の白血球除去によって生成されるRBC濃縮画分であり;
該白血球除去が、該血液試料又はその一部から白血球の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除き;
該白血球除去が、該画分中の血液細胞の数の99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超がRBCであるRBC濃縮画分を提供し;
該血液試料又はその一部が、血小板除去に供され;
該血小板除去が、該血液試料又はその一部から血小板の数の90%、92.5%、95%、97.5%、99%、99.5%、99.75%、99.9%、又は99.95%超を取り除き;
該1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、DDT、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され;
該1種以上のタンパク質が、
a.)表1に記載のタンパク質;若しくは
b.)表2に記載のタンパク質の組み合わせ
を含むか、又はそれらからなる、前記方法。
34.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)RBCの表面上の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること;
b.)RBC内の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること;
c.)RBCによって放出される1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
のうちの1以上を含み、
該血液試料が、乾燥血液スポット試料(DBS)である、前記方法。
35.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、タンパク質プロファイルを作製することが、
a.)RBCを含む細胞集団から細胞溶解物、細胞洗浄液、又は細胞上清を生成すること;及び
b.)該細胞溶解物、該細胞洗浄液、又は該細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞溶解物を用いて行われる、前記方法。
36.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)RBCを急速凍結すること;
b.)RBCを解凍して、細胞溶解物を生成すること;及び
c.)該細胞溶解物中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞洗浄液を用いて行われ;
該細胞洗浄液が、2以上の細胞洗浄液を組み合わせることによって生成され;
該細胞洗浄液が、等張塩溶液、平衡化塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡化塩溶液(HBSS)、及び/又はアール平衡化塩溶液(EBSS)のうちの1以上を含む洗浄液を用いて生成され;
1種以上のタンパク質のレベルの決定が、該細胞上清を用いて行われ;
該細胞上清が、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改善された最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及び/又はイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)のうちの任意の1以上を含む細胞培養培地中で、該細胞上清を生成するために使用される細胞を培養することにより生成され;
1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程が、該細胞上清の複数の試料を用いて行われ;
該細胞上清の試料が、該細胞上清を生成するために使用される細胞の培養物から異なる時点で抽出される、前記方法。
37.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
b.)RBCから分離された白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、
i.)白血球を急速凍結すること;
ii.)白血球を解凍して、白血球溶解物を生成すること;及び
iii.)解凍した白血球中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、細胞洗浄液並びに/又は白血球を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む、前記方法。
38.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;及び
b.)RBCから分離された血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、
i.)該血小板を急速凍結すること;
ii.)該血小板を解凍して、血小板溶解物を生成すること;及び
iii.)該解凍した血小板中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
さらに、細胞洗浄液並びに/又は血小板を洗浄及び/若しくは培養することにより作製される細胞上清中の1種以上のタンパク質のレベルを決定することを含む、前記方法。
39.上記例のうちの1以上に記載の方法であって、
a.)該血液試料と抗凝固剤とを接触させること;
b.)RBCから分離された血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを決定すること、
を含み、
該急速凍結が、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-75℃、-80℃、100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃、-190℃、-195℃、又は-196℃以下の温度である、前記方法。
40. 該急速凍結及び解凍が、複数の凍結-解凍サイクルを含む、上記例のうちの1以上に記載の方法。
41.白血球が、フローサイトメトリー及び/又はデキストラン沈降によってRBCから分離される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
42.血小板が、遠心分離によりRBCから分離される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
43.該血液試料が、採取中に血液安定剤と混合される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
44.さらに、1種以上のタンパク質のレベルを決定する前に、該対象から採取された血液試料と血液安定剤とを接触させることを含み、
該血液安定剤が、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定剤、抗凝固剤、及び抗凝固剤ではない別の安定剤と組み合わせた抗凝固剤からなる群から選択される1以上であり;
該血液安定剤が、抗凝固剤ではなく;
該血液安定剤が、アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害剤I、カルパイン阻害剤II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害剤、ペファブロックSC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F-Thermo Fisher Scientific)、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤であり;
該血液安定剤が、ヘパリン、クエン酸塩、酸性クエン酸塩デキストロース、EDTA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗凝固剤であり;
該血液安定剤と接触させる工程が、該対象から血液試料を採取する工程を行ってから5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7.5時間又は10時間以内に実行される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
45.該血液試料が、該対象の毛細血管から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
46.該血液試料が、該対象の静脈から採取される、上記例のうちの1以上に記載の方法。
47.1種以上のタンパク質のレベルを決定する工程が、該血液試料が採取される時の2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、36時間、又は48時間以内に行われる、上記例のうちの1以上に記載の方法。
48.さらに、該対象から血液試料を採取するための第1の工程を含む、上記例のうちの1以上に記載の方法。
【0256】
広く記載される本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施態様に開示されるように、多数の変形及び/又は修正が本実施態様になされ得ることは当業者によって理解されるであろう。そのために、本実施態様は、全ての点で例示的であり、制限するものではないことが考慮されるべきである。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;並びに
c.)少量の前記赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の存在を検出することであって、該少量が5μL〜100μLである、前記検出すること、
を含み、
生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成2)
さらに、前記赤血球濃縮試料中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、前記生成されるタンパク質プロファイルが、該赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含む、構成1記載の方法。
(構成3)
さらに、前記1種以上のタンパク質の存在を検出するか、又はそのレベルを測定する前に、前記赤血球濃縮試料と少なくとも1種のカチオン塩とを接触させることを含み、前記カチオン塩が該赤血球濃縮試料中の1種以上のタンパク質の検出可能なレベルを増加させる、構成2記載の方法。
(構成4)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)前記赤血球濃縮試料中の赤血球及び血漿を分離すること;
d.)前記赤血球中の1種以上のタンパク質のレベル及び前記血漿中の1種以上のタンパク質のレベルを測定すること;並びに
e.)該血漿中の1種以上のタンパク質のレベルに対する該赤血球中の1種以上のタンパク質のレベルを含むタンパク質比を計算すること、
を含み、
前記生成されたタンパク質プロファイルが、少なくとも2:1のタンパク質比を有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成5)
タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)血液試料を取得すること;
b.)前記血液試料の少なくとも一部から白血球除去し、赤血球濃縮試料を生成すること;
c.)培地中で前記赤血球濃縮試料中の赤血球をインキュベートすること;並びに
d.)前記培地中で1種以上のタンパク質を検出すること、
を含み、
前記生成されるタンパク質プロファイルが、該培地中で検出される1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成6)
さらに、前記培地中で検出される1種以上のタンパク質のレベルを測定することを含み、前記生成されるタンパク質プロファイルが、前記赤血球濃縮試料中で測定される1種以上のタンパク質を含む、構成5記載の方法。
(構成7)
前記血液試料が対象から採取される、構成1〜6のうちの1以上に記載の方法。
(構成8)
前記対象がヒト又は非ヒト動物である、構成7記載の方法。
(構成9)
前記採取される血液試料が少量の血液試料であり、前記少量が5μL〜100μLである、構成1〜8のうちの1以上に記載の方法。
(構成10)
前記少量の血液試料が、指穿刺、踵穿刺、耳穿刺、又は尾部穿刺により採取される、構成9記載の方法。
(構成11)
前記少量の血液試料が、1週間に1回以上、1週間に2回以上、1週間に3回以上、1週間に4回以上、1週間に5回以上、1週間に6回以上、及び1週間に7回以上からなる群から選択される回数採取される、構成9又は構成10記載の方法。
(構成12)
1種以上の抗体を用いて、前記1種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は該1種以上のタンパク質のレベルが測定される、構成1〜11のうちの1以上に記載の方法。
(構成13)
前記赤血球濃縮試料中で3種以上のタンパク質の存在が検出されるか、又は3種以上のタンパク質のレベルが測定される、構成1〜12のうちの1以上に記載の方法。
(構成14)
前記1種以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス成分、及び酵素からなる群から選択される、構成1〜13のうちの1以上に記載の方法。
(構成15)
前記1種以上のタンパク質が、塩基性FGF、CTACK、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-12p40、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-18、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2ra、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IP-10、LIF、M-CSF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、CRP、及びDDTからなる群から選択される、構成1〜13のうちの1以上に記載の方法。
(構成16)
前記赤血球が、デキストラン沈降により白血球除去される、構成1〜15のうちの1以上に記載の方法。
(構成17)
疾患タンパク質プロファイルを生成する方法であって、
a.)(i)疾患又は障害を有する対象、及び
(ii)前記疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象
から、構成1〜7のうちの1以上に従って生成される少なくとも1つのタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該疾患又は障害を有する対象のタンパク質プロファイルを、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較すること、
を含み、
前記生成される疾患タンパク質プロファイルが、該疾患又は障害を有していない少なくとも1つの対象のタンパク質プロファイルと比較して、該疾患又は障害を有する対象からのタンパク質プロファイル中に異なる存在又はレベルを有する1種以上のタンパク質を含む、前記方法。
(構成18)
前記疾患タンパク質プロファイルが、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-α、TGF-β、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む癌タンパク質プロファイルである、構成17記載の方法。
(構成19)
前記疾患プロファイルが、TNF-α、IFN-γ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-1β、IL-6、IL-8、及びIL-12からなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む子癇前症のタンパク質プロファイルである、構成17記載の方法。
(構成20)
前記子癇前症のタンパク質プロファイルが、IL-6、IL-8、及びIFN-γからなる群から選択される1種以上のタンパク質を含む、構成19記載の方法。
(構成21)
対象が疾患又は障害を有するかどうかを決定する方法であって、
a.)構成1〜7のうちの1以上に従って生成される前記対象のタンパク質プロファイルを取得すること;並びに
b.)該対象のタンパク質プロファイルと疾患タンパク質プロファイルを比較すること、
を含み、
前記疾患タンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルと比較した、該対象のタンパク質プロファイル中の1種以上のタンパク質の存在又はレベルの類似性が、該対象が前記疾患又は障害を有することを示す、前記方法。